特許第6289498号(P6289498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6289498車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法
<>
  • 特許6289498-車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法 図000002
  • 特許6289498-車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法 図000003
  • 特許6289498-車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法 図000004
  • 特許6289498-車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法 図000005
  • 特許6289498-車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法 図000006
  • 特許6289498-車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289498
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/30 20180101AFI20180226BHJP
【FI】
   H04N13/04 680
   H04N13/04 090
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-547413(P2015-547413)
(86)(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公表番号】特表2016-510518(P2016-510518A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】US2013073137
(87)【国際公開番号】WO2014093100
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年7月14日
(31)【優先権主張番号】61/737,252
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505450755
【氏名又は名称】ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】エンリケス オルティス、 マリオ ジャヴィエール
【審査官】 佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−067312(JP,A)
【文献】 特開2009−271095(JP,A)
【文献】 特開昭54−045071(JP,A)
【文献】 特開2010−054350(JP,A)
【文献】 特開2008−141578(JP,A)
【文献】 特開平09−168170(JP,A)
【文献】 特開2006−324952(JP,A)
【文献】 特開2003−252127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00−13/04
H04N 5/64, 5/66
G09G 5/00− 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動立体画像ディスプレイと、
前記自動立体画像ディスプレイに結合されるアクチュエータであり、かつ第1車両乗員及び第2車両乗員に対して前記自動立体画像ディスプレイを水平軸周り及び垂直軸周りに回転させるように構成されるアクチュエータと、
前記第1車両乗員の第1頭部の第1位置、及び前記第2車両乗員の第2頭部の第2位置を監視するように構成されるセンサアセンブリと、
前記センサアセンブリ及び前記アクチュエータに結合されるコントローラであり、かつ前記第1頭部の前記第1位置又は前記第2頭部の前記第2位置に基づいて前記自動立体画像ディスプレイを前記水平軸周り、前記垂直軸周り又はこれらの組み合わせで回転させることを前記アクチュエータに命令するように構成されるコントローラ
を備え
前記センサアセンブリは前記第1頭部の第1向き及び前記第2頭部の第2向きを監視するように構成され、前記コントローラは前記第1頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられかつ前記第2頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられていない間に前記自動立体画像ディスプレイを前記第1頭部に向けることを前記アクチュエータに命令し、前記第2頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられかつ前記第1頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられていない間に前記自動立体画像ディスプレイを前記第2頭部に向けることを前記アクチュエータに命令し、かつ前記第1および第2頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられている間に優先度に基づいて前記自動立体画像ディスプレイを前記第1頭部に向けることを前記アクチュエータに命令する車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項2】
前記自動立体画像ディスプレイは、ディスプレイ表面上に画像を形成するように構成される複数の画素と、左目部分及び右目部分に前記画像を分離するために前記ディスプレイ表面に近接して位置決めされる視差バリアであって、かつ前記ディスプレイ表面に対して固定される視差バリアを備える請求項1記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記画像の前記左目部分を車両乗員の左目に向け、さらに前記画像の前記右目部分を前記車両乗員の右目に向けるために前記自動立体画像ディスプレイを前記水平軸周り、前記垂直軸周り又はこれらの組み合わせで回転させることを前記アクチュエータに命令するように構成される請求項2記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項4】
前記アクチュエータは電気サーボモータを備える請求項1記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項5】
前記アクチュエータは電気活性ポリマを備える請求項1記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項6】
前記アクチュエータはリニアアクチュエータを備える請求項1記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項7】
前記センサアセンブリは光学センサを備える請求項1記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項8】
前記センサアセンブリは容量性センサを備える請求項1記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項9】
自動立体画像ディスプレイと、
前記自動立体画像ディスプレイに結合されるアクチュエータであり、かつ第1車両乗員及び第2車両乗員に対する前記自動立体画像ディスプレイの向きを調整するように構成されるアクチュエータと、
前記第1車両乗員の第1頭部の第1位置、及び前記第2車両乗員の第2頭部の第2位置を監視するように構成されるセンサアセンブリと、
前記センサアセンブリ及び前記アクチュエータに結合されるコントローラであり、かつ前記自動立体画像ディスプレイの向きを、前記第1頭部の前記第1位置又は前記第2頭部の前記第2位置基づいて調整することを前記アクチュエータに命令するように構成されるコントローラ
を備え、
前記センサアセンブリは前記第1頭部の第1向き及び前記第2頭部の第2向きを監視するように構成され、前記コントローラは前記第1頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられかつ前記第2頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられていない間に前記自動立体画像ディスプレイを前記第1頭部に向けることを前記アクチュエータに命令し、前記第2頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられかつ前記第1頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられていない間に前記自動立体画像ディスプレイを前記第2頭部に向けることを前記アクチュエータに命令し、かつ前記第1および第2頭部が前記自動立体画像ディスプレイに向けられている間に優先度に基づいて前記自動立体画像ディスプレイを前記第1頭部に向けることを前記アクチュエータに命令する、車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項10】
前記自動立体画像ディスプレイは、ディスプレイ表面上に画像を形成するように構成される複数の画素と、左目部分及び右目部分に前記画像を分離するために前記ディスプレイ表面に近接して位置決めされる視差バリアであって、かつ前記ディスプレイ表面に対して固定される視差バリアを備える請求項記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項11】
前記コントローラは、前記画像の前記左目部分を各車両乗員の左目に向け、さらに前記画像の前記右目部分を前記各車両乗員の右目に向けるように前記自動立体画像ディスプレイの向きを調整することを前記アクチュエータに命令するように構成される請求項10記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項12】
前記アクチュエータは電気サーボモータ、電気活性化ポリマ、リニアアクチュエータ又はそれらの組み合わせを備える請求項記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【請求項13】
前記センサアセンブリは光学センサ、容量性センサ、又はそれらの組み合わせを備える請求項記載の車両ディスプレイアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(先行出願の相互参照)
本発明は、「車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法」という名称の、2012年12月14日に出願された米国仮特許出願番号61/737,252号明細書についての優先権及びその利益を主張するものであり、参照によって全体を援用する。
【0002】
本発明は全般的に車両内の3次元ディスプレイの角度を自動的に調整するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特定の車両は情報を運転者に伝えるように構成される様々なディスプレイを備える。例えば、インストルメントパネルはパラメータの中でも特に、車両のスピード、燃料量、燃費、オイル温度、オイル圧力、冷却液の温度及びエンジンスピードに関する情報を示すために構成されるゲージ及び/又はディスプレイを備える。特定のインストルメントパネルは、表示される情報のグラフィカルな描写も含む。例えば、インストルメントパネルは、ある時間関数で燃費のグラフを示すように構成されるディスプレイを備えてもよい。さらに、車両は、さらなるグラフィカル情報を運転者に示すように構成された中央コンソール内に別のディスプレイを備えてもよい。例えば、中央コンソールディスプレイは、情報の中でも特に、ナビゲーション、環境制御、及びオーディオ機能に関する情報を表示してもよい。
【0004】
特定の車両は、運転者への情報の効率的な表示を容易にする一つ以上の3次元(3D)ディスプレイを使用してもよい。3次元ディスプレイは、自動立体映像的であり、3Dメガネ(例えば、偏光メガネ、LCDシャッタメガネなど)を使用せずに、ディスプレイ上の3D画像を運転者に見せることを可能とする。例えば、自動立体映像的な3Dディスプレイは、ディスプレイ表面上に画像を形成するように複数の画素を備えてもよいし、さらに画像を左目部分及び右目部分に分割するためにディスプレイ表面に近接して視差バリアを備えてもよい。3次元にて画像を視るために、自動立体映像的な3Dディスプレイは、視認者の見通し線に概ね直交して配置される。あいにく、運転者の横方向の座席位置の変動及び/又は車両の動力性能(dynamics)に応じての運転者の動き(例えば、横方向)のせいで、運転者の頭部が3Dディスプレイに向けられていたとしても、3Dディスプレイは運転者の見通し線に概ね直交するようには向かないことがある。この結果、運転者は3次元の画像を視認することができない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、3次元(3D)ディスプレイ、及び3Dディスプレイに結合されるアクチュエータを備える車両のディスプレイアセンブリに関する。アクチュエータは、車両の乗員に対する3Dディスプレイの向きを調整するように構成される。車両のディスプレイアセンブリは、車両の乗員の頭部の位置を監視するように構成されるセンサアセンブリと、センサアセンブリ及びアクチュエータに通信可能に結合されるコントローラをも備える。コントローラは、車両の乗員の頭部の位置に基づいて3Dディスプレイの向きを調整することをセンサに命令するように構成される。
【0006】
本発明は、さらに3次元(3D)ディスプレイ及び、3Dディスプレイに結合されるアクチュエータを含む車両のディスプレイアセンブリに関する。アクチュエータは、第1乗員及び第2乗員に対する3Dディスプレイの向きを調整するように構成されている。車両のディスプレイアセンブリは、第1乗員の第1頭部の第1位置及び第2乗員の第2頭部の第2位置を監視するように構成されるセンサアセンブリも備える。車両のディスプレイアセンブリはさらにセンサアセンブリとアクチュエータに通信可能に結合されるコントローラも備える。コントローラは、第1頭部の第1位置及び/又は第2頭部の第2位置に基づいて3Dディスプレイの向きを調整することをアクチュエータに命令するように構成される。
【0007】
本発明は、乗員の頭部の位置を示すセンサアセンブリからの第1信号を受信することを含む車両ディスプレイアセンブリを動作するための方法に関する。この方法は、さらに、第1信号に基づいて3次元(3D)ディスプレイの所望の向きを決定することも含む。所望の向きは3Dディスプレイを乗員の頭部に向ける。この方法は、さらに、3Dディスプレイに結合されたアクチュエータへ所望の向きを示す第2信号を送信することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】運転者の頭部の位置に基づいて3次元ディスプレイの向きを自動的に調整するように構成される車両のディスプレイアセンブリを含む具体的な車両の斜視図である。
図2図1の車両の内装の一部の斜視図である。
図3図1の車両内に用いられる車両のディスプレイアセンブリの具現化例の概略的なブロック図である。
図4】視差バリアを有する3次元ディスプレイの斜視図である。
図5】運転者又は乗客に3次元ディスプレイを向けるように構成される車両のディスプレイアセンブリの具現化例の斜視図である。
図6】車両のディスプレイアセンブリを動作する方法の具現化例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、運転者の頭部位置に基づいて3次元(3D)ディスプレイの向きを自動的に調整するように構成されたディスプレイアセンブリを含む具体例としての車両10の外観図である。図示されるように、車両10は、インストルメントパネル14及び中央コンソール16を有する室内部12を含む。以下に詳細を記述するように、インストルメントパネル14及び/又は中央コンソール16内のディスプレイアセンブリは3D画像を運転者及び/又は前部搭乗者に視認させる。例えば、特定の実施形態にあって、ディスプレイアセンブリは3Dディスプレイ、及び3Dディスプレイに結合されるアクチュエータを備える。アクチュエータは、車両乗員(例えば、運転者、前部搭乗者など)に対する3Dディスプレイの向きを調整するように構成される。ディスプレイアセンブリは車両乗員の頭部の位置を監視するように構成されるセンサアセンブリも含む。センサアセンブリとアクチュエータとに通信可能に結合されるコントローラは、車両乗員の頭部位置に基づいて3Dディスプレイの向きを調整することをアクチュエータに命令するように構成される。例えば、コントローラは、車両乗員の頭部に3Dディスプレイを向けるように構成されてもよい。つまり、3Dディスプレイは、車両乗員の頭部が3Dディスプレイに向けられている間、車両乗員の見通し線に概ね直交して向けられる。その結果、車両乗員は車両の動力性能に対応してしまう横方向の座席位置及び/又は動き(例えば、横方向)の変動に関わらず、3次元におけるディスプレイ上の画像を視認することができる。
【0010】
本明細書にて用いられるように、用語「3次元」又は「3D」は、3Dオブジェクトの2次元の斜視的な外観に比較して、3次元を有するように見える画像を定義する。そのような画像は、立体メガネによって立体的に見える画像として周知である。用語「3Dディスプレイ」は、3D画像を映し出す能力のあるディスプレイデバイスを示す。詳細を後述するように、本実施の形態は、車両乗員に3Dメガネ(例えば、偏光メガネ、LCDシャッタメガネなど)を不要としてディスプレイ上の3D画像の視認を可能とする自動立体画像ディスプレイを用いてもよい。例えば、自動立体画像ディスプレイは、ディスプレイ表面上に画像を形成するように複数の画素を備えてもよいし、さらに画像を左目部分及び右目部分に分割するためにディスプレイ表面に近接して視差バリアを備えてもよい。3次元にて画像を視るために、自動立体画像ディスプレイは、視認者の見通し線に概ね直交して配置される。結果的に、車両乗員の右目は、画像の右目位置を視、車両乗員の左目は画像の左目位置を視る。それぞれの目は、異なる画像を視るので、3Dディスプレイは3D画像を発生するように見える。
【0011】
図2は、図1の車両10の室内12の一部の斜視図である。図示のように、インストルメントパネル14は第1グラフィカルディスプレイ18を備え、中央コンソール16は第2グラフィカルディスプレイ20を備える。詳細は後述するが、第1グラフィカルディスプレイ18及び/又は第2グラフィカルディスプレイ20は、車両乗員に3D画像を見せるように構成される。理解されるように、横方向の座席位置及び/又は車両の動力性能の変動は、乗員の頭部を車両室内12にあって様々な場所に置く。そこで、車両ディスプレイアセンブリは、乗員の頭部の位置を監視し、さらにその乗員の頭部の位置に基づいて3Dディスプレイ(例えば、第1ディスプレイ18及び/又は第2ディスプレイ20)の向きを調整するように構成される。例えば、車両ディスプレイアセンブリは、3Dディスプレイを車両乗員の頭部に向けるように構成されるので、3Dディスプレイは、乗員の頭部が3Dディスプレイに向けられている間、乗員の見通し線に対して概ね直交するように向けられる。結果として、車両乗員は、3次元ディスプレイ上で画像を見ることができる。図示された車両室内12はインストルメントパネル14及び中央コンソール16内にグラフィカルディスプレイを備えるが、他の具現化例が車両室内の他の部品内に配置されるグラフィカルディスプレイを備えてもよいことが理解される。例えば、特定の実施形態にあって、グラフィカルディスプレイは後方ミラー22、サンバイザ24、オーバーヘッドコンソール26、及び/又は車両10の室内12の他の任意の視認される表面であってもよい。そのような実施形態にあって、グラフィカルディスプレイの向きは、3次元におけるディスプレイ上の画像を乗員に視認させるのを可能とするために、車両乗員の頭部の位置に基づいて調整される。
【0012】
図3は、図1の車両10内部に用いられてもよい車両ディスプレイアセンブリ28の実施形態の概略的なブロック図である。図示されるように、車両ディスプレイアセンブリ28は、車両乗員(例えば、車両10内の運転者又は乗員)に3D画像を示すように構成される3Dディスプレイ30を備える。車両ディスプレイアセンブリ28は、3Dディスプレイ30に結合され、さらに車両乗員に対する3Dディスプレイの向きを調整するように構成されるアクチュエータ32も含む。特定の実施形態にあって、アクチュエータ32は、3Dディスプレイ30を一つ以上の軸の周りに回転するように構成される一つ以上の電気的なサーボモータ34を備える。例えば、第1サーボモータ34は3Dディスプレイを垂直軸周りに回転するように構成され、第2サーボモータ34は3Dディスプレイを水平軸周りに回転するように構成される。そのような構造にあって、3Dディスプレイ30は、車両室内12の様々な領域に対して向けられてもよい。さらに、アクチュエータ32は、3Dディスプレイ30の向きを調整するために一つ以上の電気活性ポリマ36を備えてもよい。正しく理解されるように、電気活性ポリマ36は、電流の印加に対応して形状を変更するように構成される。サーボモータ34と同様に、電気活性ポリマ36は3Dディスプレイ30の多数軸周りの回転を容易にするように構成される。さらに、アクチュエータ32は、3Dディスプレイ30の向きを調整するため一つ以上のリニアアクチュエータ37を備えてもよい。例えば、3Dディスプレイは旋回軸に結合され、リニアアクチュエータ37は旋回軸(例えば、一つ以上の軸)の周りに3Dディスプレイを回転するようにされてもよい。アクチュエータ32は、サーボモータ34だけ、電気活性ポリマ36だけ、リニアアクチュエータ37だけ、複数のサーボモータの組み合わせ、複数の電気活性ポリマ、及び複数のリニアアクチュエータ、又は一つ以上の軸周りに3Dディスプレイを回転するために適する他の任意のデバイスを備えてもよい。
【0013】
図示される実施形態にあって、車両ディスプレイアセンブリ28は、車両の室内部12内の車両乗員の頭部の位置を監視するように構成されるセンサアセンブリ38も備える。センサアセンブリ38は、車両室内部12の、画像又は一連の画像に基づいて乗員の頭部の位置を監視するように構成される光学センサ40(例えば、カメラ)を備えてもよい。例えば、光学センサ40は、乗員の頭部を識別するため、さらに一つ以上の基準点(車両の室内の固定された複数のマーカ)に対する乗員の頭部の位置を判断するために、車両の室内部12の、画像、又は一連の画像を分析してもよい。光学センサ40は、その後に、車両乗員の頭部の位置を示す信号を出力してもよい。さらに、センサアセンブリ38は、一つ以上のセンサへの乗員の頭部の接近に基づいて乗員の頭部の位置を監視するように構成される一つ以上の静電容量性センサ(以下、容量性センサ)42を備えてもよい。理解されるように、容量性センサ42は、電界を発生し、さらにその電界への妨害の度合いに基づいてセンサへの目的物の近接を検出するように構成される。特定の具現化例にあって、容量性センサのアレイは、車両の室内部12にわたって位置決めされ、乗員の頭部の位置は、各それぞれの電界への妨害を監視することによって決定される。そして、容量性センサ42は、乗員の頭部の位置を示す信号を出力する。
【0014】
図示されるように、車両ディスプレイアセンブリ28は、センサアセンブリ38及びアクチュエータ32に通信可能に結合されるコントローラ46を備える。コントローラ46は、車両乗員の頭部位置に基づいて3Dディスプレイ30の向きをアクチュエータ32に調整させることを命令するように構成される。例えば、コントローラ46は3Dディスプレイ30を車両乗員の頭部に向けることをアクチュエータ32に命令するように構成されてもよい。このようにして、3Dディスプレイ30は、車両乗員の頭部が3Dディスプレイ30に向けられている間、車両乗員の見通し線に概ね直交して向けられる。その結果、車両乗員は車両の動力性能に対応してしまう横方向の座席位置及び/又は動き(例えば、横方向)の変動に関わらず、3次元におけるディスプレイ上の画像を視認することができる。
【0015】
実施形態によれば、車両10の始動に応じて、センサアセンブリ38は運転者の頭部の位置を検出する(例えば、光学センサ40及び/又は容量性センサ42を通して)。コントローラ46はその後、3Dディスプレイ30を運転者の頭部に向けるようにアクチュエータ32に命令する。その結果、3Dディスプレイ30は、運転者の見通し線に概ね直交して向けられ、それによって運転者は3次元にて3Dディスプレイ30上の画像を見ることができる。運転車の頭部が右に動くと(例えば、曲がることに対応して)、車両ディスプレイアセンブリ28は運転者の新しい頭部位置を補償するために3Dディスプレイ30の向きを自動的に調整する。例えば、センサアセンブリ38が右への運転者の頭部の動きを検出すると、コントローラ46は新しい頭部の位置に3Dディスプレイ30を向けるようにアクチュエータ32に命令を出す。その結果、運転者は3次元にてディスプレイ上の画像を見続けることができる。
【0016】
図4は視差バリアを有する3Dディスプレイ30の実施形態の斜視図である。図示された実施形態にあって、3Dディスプレイ30はディスプレイ表面49上に画像を形成するために複数ピクセルのアレイ48を備える。図示されるように、複数ピクセルのアレイ48は左目用の複数ピクセル50及び右目用の複数ピクセル52の交互の列に分割される。詳細は後述するが、左目用の複数ピクセル50は3D画像の左目部分を形成するように構成され、右目用の複数ピクセル52は3D画像の右目部分を形成するように構成される。視差バリア54は左目部分及び右目部分に画像を分離するようにディスプレイ表面49に近接して配置される。図示された具現化例にあって、視差バリア54はディスプレイ表面49に対して固定される(例えば、動かないように)。図示されるように、視差バリア54は実質的に不透明な領域56を備える。実質的に不透明な領域56は車両乗員60の左目58から画像の右目部分をブロックするように構成される。同様に、実質的に透明な領域56は車両乗員60の右目62から画像の左目部分をブロックするように構成される。つまり、3Dディスプレイ30が車両乗員60の頭部に向けられている間、左目58は画像の左目部分を見、右目62は画像の右目部分を見るので、これにより乗員は3次元の画像の視聴を可能とする。図示される3Dディスプレイは視差バリアを備えるが、代替の複数3Dディスプレイが左目部分及び右目部分に画像を分離するための他の適切なデバイス(例えば、両凸レンズ(lenticular)アレイ)を備えてもよいことを理解すべきである。
【0017】
図示される実施形態にあって、車両ディスプレイアセンブリ28は乗員60の頭部の位置に基づいて3Dディスプレイ30の向きを調整するように構成される。例えば、ディスプレイの表面に垂直な軸64は乗員の頭部に向けられる。この結果、画像の左目部分は左目58に向けられ、画像の右目部分は右目62に向けられる。乗員の頭部の垂直位置が車両の動作の間に変動すると(例えば車両の動力性能のせいで)、車両のディスプレイアセンブリはディスプレイ30を水平軸68周りの方向66に回転する。さらに、乗員の頭部の横方向の位置が車両の動作の間に変動すると、車両のディスプレイアセンブリはディスプレイ30を垂直軸72周りの方向70に回転する。このような方法にあって、3Dディスプレイ30は、車両の動作の間、乗員の動きにもかかわらず、車両乗員60の頭部に向けられる。
【0018】
特定の実施形態にあって、3Dディスプレイ30は垂直方向にあって広視野角を備えてもよい。つまり、乗員は、乗員の頭部とディスプレイの間に著しい角度の変動(少なくとも方向66にあって)があってもディスプレイ30上に3D画像を見ることができる。そのような実施形態にあって、水平軸68周りの方向66でディスプレイ30を回転するように構成されるアクチュエータは除去されてもよい。したがって、単一のアクチュエータ32が、乗員の頭部の横方向の動きに対応して垂直軸72周りの方向70に、3Dディスプレイ30を回転するように用いられてもよい。
【0019】
図5は、3Dディスプレイを運転者又は搭乗者に向けて方向付けるように構成される車両ディスプレイアセンブリの実施形態の斜視図である。特定の実施形態にあって、センサアセンブリは第1頭部74(例えば、運転者の頭部)の第1方向及び第2頭部76(例えば、搭乗員の頭部)の第2方向を監視するように構成される。そのような実施形態にあって、コントローラは、第1頭部が3Dディスプレイに向けられている間、3Dディスプレイを第1頭部74に向けることをアクチュエータに命令するように構成され、かつ第2頭部76が3Dディスプレイに向けられている間、3Dディスプレイを第2頭部76に向けることをアクチュエータに命令するように構成される。両方の頭部74及び76が同時にディスプレイ30に向けられると、コントローラはディスプレイを運転者に向ける(例えば、予め決められた優先度に基づいて)。
【0020】
図示されるように、第1頭部74はディスプレイに向けられ、第2頭部76はディスプレイから離される。つまり、車両ディスプレイアセンブリは、3Dディスプレイ30を第1頭部74に向ける(例えば、垂直軸72の周りの方向70でのディスプレイの回転を介して)。ディスプレイは第1乗員の頭部に向けられるので、第1乗員は3次元にてディスプレイ上の画像を見ることができる。第1乗員が第1頭部74をディスプレイから離し、かつ第2乗員が第2頭部76をディスプレイに向けると、車両ディスプレイアセンブリはディスプレイを第2頭部76に対する方向70に回転するので、第2乗員が3次元にてディスプレイ上の画像を見ることが可能となる。さらに、第1頭部74が第2頭部76と異なる高さに位置されると、車両ディスプレイアセンブリはディスプレイを第2頭部76に向けるようにディスプレイを水平軸68周りの方向66に回転する。
【0021】
図6は、車両ディスプレイアセンブリの動作の具現化例の方法78のフローチャートである。まず、ブロック80に示されるように、車両乗員の頭部の位置を示す第1信号が受信される。第1信号は、センサアセンブリ38(例えば、光学センサ40及び/又は容量性センサ42)から受信される。3Dディスプレイの所望の向きは、ブロック84で示されるように、第1信号に基づいて決定される。特定の具現化例にあって、所望の向きは、3Dディスプレイを車両乗員の頭部に向ける。次に、ブロック86にて示されるように、所望の向きを示す第2信号が3Dディスプレイに結合されるアクチュエータ(例えば、サーボモータ34及び/又は電気活性ポリマ34)に送信される。その結果、3Dディスプレイは車両の動作の間、車両乗員の頭部に向けられるので、車両乗員は3次元にてディスプレイ上の画像を見ることが可能となる。
【0022】
本発明のある特徴及び具現化例のみが例示され、さらに説明されているのみであるが、多くの改良及び変更(例えば、大きさ、寸法、構造、形状及び様々な素子の比率、パラメータ値(例えば、温度、圧力、等)、取り付けの配置、使用材料、色、方向など)が、当業者によって、特許請求の範囲に列挙された発明の主題の新規な教示及び利点から材料的に逸れることなく、行われるかもしれない。任意の処理又は方法ステップの順番又はシーケンスが他の実施形態について変更されるか又はシーケンスし直されてもよい。つまり、添付された特許請求の範囲が本発明の真の主旨の範囲内の全ての改良及び変更を含むことを意図していることが理解される。さらに、具現化例の簡潔な記載を提供するために、全ての実際の特徴が説明されているわけでない(つまり、本発明を実行する考えられうるベストモードに無関係であるような記載、又は請求された発明を可能とするのに無関係であるような記載)。エンジニアリング又は設計のプロジェクトにおける、実行の発展にあって、数多くの実装が決定されるのを理解するべきである。そのような発展の努力は、複雑であり、時間を要するものであるがこの開示の利益を有する当業者にとっては本願の参照により実験をすることなく、設計、製作、及び製造の日常的な作業となるにすぎないであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6