(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の保守点検スケジュール最適化装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の保守点検スケジュール最適化装置は、エレベータの保守点検作業の実施日や作業項目などを定めた保守点検スケジュールを最適化するためのものである。特に、本実施形態の保守点検スケジュール最適化装置は、エレベータ設置環境で計測された環境パラメータを取得して、この環境パラメータを用いてエレベータ制御盤に搭載された電気部品の寿命を推定する。そして、推定した電気部品の寿命に応じて、最適な時期に電気部品の点検や交換などが行われるように、保守点検スケジュールを更新する。
【0009】
以下では、本実施形態の保守点検スケジュール最適化装置を、サービス情報センタに設置されたスケジュール管理サーバの一機能として実現する例を説明する。スケジュール管理サーバは、メンテナンス契約を締結している各物件(エレベータ)に対する保守点検スケジュールを管理するサーバである。各物件の保守点検作業を担当する物件担当者は、このスケジュール管理サーバで管理される保守点検スケジュールに従って、該当物件に対する保守点検作業を行う。なお、本実施形態の保守点検スケジュール最適化装置は、以下で示す例に限らず、様々な方法で実現することができる。例えば、本実施形態の保守点検スケジュール最適化装置を、スケジュール管理サーバから独立した装置としてサービス情報センタに設置してもよい。また、本実施形態の保守点検スケジュール最適化装置を、物件ごとに独立した装置として、例えばエレベータ設置環境などに設ける構成であってもよい。
【0010】
図1は、保守点検作業支援システムの概略構成を示すブロック図である。この保守点検作業支援システムは、サービス情報センタに設置されたスケジュール管理サーバ100を用いて、物件担当者によるエレベータの保守点検作業を支援するシステムである。スケジュール管理サーバ100は、
図1に示すように、本実施形態の保守点検スケジュール最適化装置の一例であるスケジュール最適化装置10のほか、環境データベース20、部品管理データベース30、スケジュールデータベース40、および通信装置50を含む。
【0011】
環境データベース20は、スケジュール最適化装置10により取得された環境パラメータを物件ごとに格納するデータベースである。環境パラメータは、エレベータ設置環境で計測された環境条件を表す計測値であり、特に本実施形態では、エレベータ制御盤に搭載された電気部品の寿命に関わる環境パラメータが計測される。エレベータ設置環境で計測された環境パラメータは、例えば、当該環境パラメータを計測したセンサの識別情報および計測時刻を表す時間情報とともにスケジュール最適化装置10により取得され、環境データベース20に格納される。
【0012】
部品管理データベース30は、エレベータに使用されている各部品の情報を物件ごとに格納するデータベースである。この部品管理データベース30に格納される各部品の情報には、その部品の型番、定格寿命、定格寿命の算出に用いたパラメータ(標準的な環境における動作温度を示す基準温度など)、使用開始日(部品交換日)などの情報が含まれる。
【0013】
スケジュールデータベース40は、保守点検スケジュールを物件ごとに格納するデータベースである。このスケジュールデータベース40に格納される保守点検スケジュールは、スケジュール最適化装置10によって適宜最適化される。なお、スケジュールデータベース40には、予め、部品管理データベース30に格納されたエレベータの各部品の情報に基づいて人手により、あるいはスケジュール自動作成プログラムなどにより自動的に作成されたデフォルトの(スケジュール最適化装置10によって最適化される前の)保守点検スケジュールが格納されているものとする。
【0014】
通信装置50は、スケジュール管理サーバ100が、通信回線300を介してエレベータ設置環境と通信するためのインタフェースである。通信回線300には、無線基地局400を介して、物件担当者が使用する保守端末500も接続される。スケジュール管理サーバ100は、通信装置50を利用して保守端末500と通信し、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを送信したり、スケジュール最適化装置10が出力する情報(電気部品の点検や交換を促す情報)を送信したりすることができる。
【0015】
スケジュール管理サーバ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの内部記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置、通信装置50を構成する通信インタフェースなどを基本ハードウェアとして備える一般的なコンピュータとしてのハードウェアを用いて実現することができる。このスケジュール管理サーバ100は、例えば、CPUが、RAMをワークエリアとして利用して、ROMあるいはHDDやSSDなどに格納された所定の制御プログラムを実行することにより、スケジュール最適化装置10を構成する後述の機能的な構成要素(
図2参照)を実現することができる。また、スケジュール管理サーバ100は、HDDやSSDなどを利用して、環境データベース20、部品管理データベース30およびスケジュールデータベース40の各データベースを構築することができる。
【0016】
一方、エレベータ設置環境には、
図1に示すように、上述の環境パラメータを計測する1つ以上のセンサ端末200と、センサ端末200で計測された環境パラメータを収集するセンサGW(Gateway)210と、通信回線300を介してサービス情報センタのスケジュール管理サーバ100と通信するための通信装置230とが設けられている。
【0017】
センサ端末200は、センサ201と、MPU(Micro Processing Unit)202と、無線部203とを含み、センサ201により計測した環境パラメータに対して、MPU202がセンサ201の識別情報と計測時刻を示す時間情報とを付加してセンサデータを生成し、このセンサデータを無線部203から無線出力する構成となっている。本実施形態では、このセンサ端末200がエレベータ制御盤に設けられ、エレベータ制御盤に搭載された電気部品の寿命に関わる環境パラメータを予め定めた一定間隔(所定の計測周期)で計測して、センサデータとして無線出力する例を想定する。なお、センサ端末200には、例えば、エレベータのカゴに設置されてカゴの振動を計測するセンサ端末200など、エレベータ制御盤以外に設けられたものが含まれていてもよい。
【0018】
センサGW210は、無線部211と、MPU212とを含み、センサ端末200から無線出力されたセンサデータを無線部211で受信し、MPU212による制御のもとで、このセンサデータを通信装置230から通信回線300を介してサービス情報センタのスケジュール管理サーバ100に送信する機能を持つ。エレベータ設置環境に複数のセンサ端末200が設けられている場合、これら複数のセンサ端末200からのセンサデータがセンサGW210で集約されて、サービス情報センタのスケジュール管理サーバ100に送信される構成としてもよい。
【0019】
なお、本実施形態では、センサデータを無線出力する機能を持ったセンサ端末200により環境パラメータを計測する例を想定するが、これに限らない。例えば、エレベータ制御盤に設けられたセンサにより計測した環境パラメータを、ハーネスを介してエレベータ制御盤から通信装置230に送信し、この通信装置230から通信回線300を介してサービス情報センタのスケジュール管理サーバ100に送信する構成であってもよい。
【0020】
図2は、スケジュール管理サーバ100の一機能として実現されるスケジュール最適化装置10の機能的な構成例を示すブロック図である。スケジュール最適化装置10は、機能的な構成要素として、例えば
図2に示すように、環境パラメータ取得部11と、寿命推定部12と、スケジュール更新部13と、情報出力部14とを備える。
【0021】
環境パラメータ取得部11は、エレベータ設置環境で計測された環境パラメータ、すわなち、エレベータ制御盤に搭載された電気部品の寿命に関わる環境パラメータを取得する。具体的には、環境パラメータ取得部11は、エレベータ設置環境の通信装置230から通信回線300を介してスケジュール管理サーバ100に送信されたセンサデータ(センサ端末200のセンサ201により計測された環境パラメータと、センサ201の識別情報と、計測時刻を表す時間情報とを含むデータ)を通信装置50が受信すると、このセンサデータを取得して環境データベース20に格納する。
【0022】
寿命推定部12は、環境パラメータ取得部11により取得され、環境データベース20にセンサデータとして格納された環境パラメータを用いて、エレベータ制御盤に搭載された電気部品の寿命を推定する。エレベータ制御盤に搭載された電気部品には、標準的な環境で使用された場合の寿命である定格寿命が定められているが、電気部品の実際の寿命は環境条件に左右されて変動する。このため、本実施形態では、環境パラメータ取得部11により取得された環境パラメータを用いて、電気部品の実際の寿命を寿命推定部12により推定する構成としている。なお、寿命推定部12が電気部品の寿命を推定する方法の具体例については、詳細を後述する。
【0023】
スケジュール更新部13は、寿命推定部12により推定された電気部品の寿命に応じて、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールが最適化されるように、この保守点検スケジュールを更新する。例えば、スケジュール更新部13は、寿命推定部12により推定された電気部品の寿命と、この電気部品の定格寿命との差分が第1閾値(例えば1ヶ月など)以上の場合に、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。なお、スケジュール更新部13が保守点検スケジュールを更新する方法の具体例については、詳細を後述する。
【0024】
情報出力部14は、所定の条件が成立する場合に、エレベータ制御盤に搭載された電気部品の点検や交換を促す情報を出力する。例えば、情報出力部14は、寿命推定部12により推定された電気部品の寿命が、定格寿命に対して上述の第1閾値よりも大きい第2閾値(例えば3ヶ月など)以上短くなる場合に、電気部品の点検や交換を促す情報を出力する。この情報出力部14が出力する情報は、例えば、通信装置50から通信回線300を介して物件担当者が使用する保守端末500に送信され、保守端末500に表示される。物件担当者は、この保守端末500に表示された情報を閲覧し、緊急対応として電気部品の点検を行ったり、部品の手配や交換などの作業を行ったりすることができる。情報出力部14がこのような情報を出力することを、異常発報と呼ぶ。
【0025】
以下では、寿命推定の対象となる電気部品および計測される環境パラメータの具体例を示しながら、スケジュール最適化装置10の動作の詳細を実施例として説明する。
【0026】
<第1実施例>
図3は、第1実施例における環境パラメータの計測例を説明する図である。本実施例では、
図3に示すように、エレベータ制御盤250の基板251に実装されたコンデンサ252を寿命推定の対象となる電気部品とする。そして、このコンデンサ252の近傍にセンサ端末200Aを配置し、このセンサ端末200Aにより、コンデンサ252の周囲温度を環境パラメータとして計測する。
【0027】
センサ端末200Aは、センサ201として温度センサを備え、所定の計測周期(例えば30分毎など)でコンデンサ252の周囲温度を温度センサにより計測し、計測した周囲温度に温度センサの識別情報と計測時刻を表す時間情報と付加したセンサデータを無線出力する。このセンサデータは、センサGW210、通信装置230、および通信回線300を介してスケジュール管理サーバ100に送信され、スケジュール管理サーバ100の通信装置50により受信される。
【0028】
スケジュール最適化装置10の環境パラメータ取得部11は、センサ端末200Aの温度センサにより計測されたコンデンサ252の周囲温度を含むセンサデータが通信装置50によって受信されると、このセンサデータを取得して環境データベース20に格納する。
【0029】
寿命推定部12は、環境データベース20と部品管理データベース30とを参照して、コンデンサ252の定格寿命の算出に用いた基準温度と、センサ端末200Aの温度センサにより計測されたコンデンサ252の周囲温度との差分に基づいて、コンデンサ252の寿命を推定する。例えば、寿命推定部12は、センサ端末200Aの温度センサにより計測されたコンデンサ252の周囲温度を含むセンサデータが通信装置50によって受信されるたびに、コンデンサ252の周囲温度と基準温度との差分(温度差)を算出する。そして、温度差が所定値(例えば5℃)を超える回数が所定回数(例えば3回など)以上連続する場合に、下記式(1)に従って、コンデンサ252の推定寿命Lを算出する。
【数1】
ここで、L
0はコンデンサ252の定格寿命、T
Nはコンデンサ252の定格寿命の算出に用いた基準温度、T
Oは上記温度差の平均値である。
【0030】
スケジュール更新部13は、寿命推定部12により算出されたコンデンサ252の推定寿命Lと定格寿命L
0との差分を算出し、推定寿命Lと定格寿命L
0との差分が第1閾値Th1(例えば1ヶ月など)以上の場合に、コンデンサ252の交換を行うタイミングを変更するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。すなわち、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも第1閾値Th1以上短くなる場合は、推定寿命Lに応じてコンデンサ252の交換時期を早めるように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。また、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも第1閾値Th1以上長くなる場合は、推定寿命Lに応じてコンデンサ252の交換時期を遅くするように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。
【0031】
なお、スケジュールデータベース40には、上述したように、部品管理データベース30に格納されたエレベータの各部品の情報に基づいて人手により、あるいはスケジュール自動作成プログラムなどにより自動的に作成されたデフォルトの保守点検スケジュールが格納されている。このスケジュールデータベース40に予め格納された保守点検スケジュールでは、コンデンサ252の交換時期が、コンデンサ252の定格寿命L
0に基づいて決定されている。
【0032】
情報出力部14は、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも第2閾値Th2(例えば3ヶ月など)以上短くなる場合に異常発報を行って、物件担当者が使用する保守端末500に、コンデンサ252の点検や交換を促す情報を表示させる。なお、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも第2閾値Th2以上短くなり、情報出力部14が異常発報を行う場合は、スケジュール更新部13による保守点検スケジュールの更新は行わないように構成してもよい。
【0033】
図4は、第1実施例におけるスケジュール最適化装置10の動作手順の一例を示すフローチャートである。この
図4のフローチャートで示す一連の処理は、センサ端末200Aからのセンサデータが環境パラメータ取得部11により取得されるたびに繰り返し実行される。
【0034】
センサ端末200Aからのセンサデータが環境パラメータ取得部11により取得されると、寿命推定部12は、まず、このセンサデータに含まれるコンデンサ252の周囲温度と、コンデンサ252の定格寿命L
0の算出に用いた基準温度との温度差を算出する(ステップS101)。そして、寿命推定部12は、ステップS101で算出した温度差が所定値(例えば5℃)以上であるか否かを判定する(ステップS102)。ここで、ステップS101で算出した温度差が所定値未満であれば(ステップS102:No)、処理を終了する。なお、このとき後述の連続回数カウンタの値が1以上であれば、連続回数カウンタがリセットされる。
【0035】
一方、ステップS101で算出した温度差が所定値以上であれば(ステップS102:Yes)、寿命推定部12は、連続回数カウンタをインクリメント(1つ増加)して(ステップS103)、連続回数カウンタの値が所定回数(例えば3回)以上となったか否かを判定する(ステップS104)。ここで、連続回数カウンタの値が所定回数未満であれば(ステップS104:No)、処理を終了する。なお、このときステップS101で算出された温度差は、スケジュール最適化装置10の内部で一時的に保持される。
【0036】
一方、連続回数カウンタの値が所定回数以上であれば(ステップS104:Yes)、寿命推定部12は、直近の所定回数分の温度差の平均値T
Oを算出する(ステップS105)。そして、寿命推定部12は、コンデンサ252の定格寿命L
0と、この定格寿命L
0の算出に用いた基準温度T
Nと、ステップS105で算出した温度差の平均値T
Oとに基づいて、上記式(1)により、コンデンサ252の推定寿命Lを算出する(ステップS106)。
【0037】
次に、スケジュール更新部13が、ステップS106で算出された推定寿命Lとコンデンサ252の定格寿命L
0との差分を算出し(ステップS107)、算出した差分が第1閾値Th1以上であるか否かを判定する(ステップS108)。ここで、ステップS107で算出した差分が第1閾値Th1未満であれば(ステップS108:No)、処理を終了する。なお、このときステップS101で算出された温度差は、スケジュール最適化装置10の内部で一時的に保持される。
【0038】
一方、ステップS107で算出した差分が第1閾値Th1以上であれば(ステップS108:Yes)、スケジュール更新部13は、ステップS106で算出したコンデンサ252の推定寿命Lに応じて、適切なタイミングでコンデンサ252の交換が行われるように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する(ステップS109)。
【0039】
次に、情報出力部14が、ステップS107で算出された差分に基づいて、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも第2閾値Th2以上短くなるか否かを判定する(ステップS110)。ここで、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも長くなる、あるいは、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも短くなるがその差分が第2閾値Th2未満の場合は(ステップS110:No)、処理を終了する。
【0040】
一方、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも第2閾値Th2以上短くなる場合は(ステップS110:Yes)、情報出力部14が異常発報を行ってコンデンサ252の点検や交換を促す情報を物件担当者が使用する保守端末500に表示させ(ステップS111)、処理を終了する。なお、情報出力部14がこのような異常発報を行う場合は、スケジュール更新部13による保守点検スケジュールの更新は行わないようにしてもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施例では、エレベータ制御盤250の基板251に実装されたコンデンサ252の周囲温度を環境パラメータとして取得し、このコンデンサ252の周囲温度を用いてコンデンサ252の寿命を推定する。そして、推定したコンデンサ252の寿命に応じて、コンデンサ252が適切なタイミングで交換されるように保守点検スケジュールを更新する。したがって、本実施例によれば、エレベータ制御盤250に搭載された電気部品の一例であるコンデンサ252の実際の寿命を反映させて、保守点検スケジュールを最適化することができる。
【0042】
<第2実施例>
次に第2実施例について説明する。
図5は、第2実施例における環境パラメータの計測例を説明する図である。本実施例では、上述の第1実施例と同様に、エレベータ制御盤250の基板251に実装されたコンデンサ252を寿命推定の対象となる電気部品とする。ただし、本実施例では、
図5に示すように、コンデンサ252の周囲温度を計測するセンサ端末200Aに加えて、コンデンサ252のリプル電流を計測するセンサ端末200Bをエレベータ制御盤250に設け、コンデンサ252の周囲温度に加えてリプル電流も計測する。そして、コンデンサ252の周囲温度とリプル電流の計測値を用いて、コンデンサ252の寿命を推定する。
【0043】
センサ端末200Bは、センサ201として電流センサを備え、所定の計測周期(例えば30分毎など)でコンデンサ252のリプル電流を電流センサにより計測し、リプル電流の計測値に電流センサの識別情報と計測時刻を表す時間情報と付加したセンサデータを無線出力する。このセンサデータは、センサGW210、通信装置230、および通信回線300を介してスケジュール管理サーバ100に送信され、スケジュール管理サーバ100の通信装置50により受信される。
【0044】
スケジュール最適化装置10の環境パラメータ取得部11は、センサ端末200Aの温度センサにより計測されたコンデンサ252の周囲温度を含むセンサデータと、センサ端末200Bの電流センサにより計測されたコンデンサ252のリプル電流計測値を含むセンサデータとが通信装置50によって受信されると、これらのセンサデータを取得して環境データベース20に格納する。
【0045】
寿命推定部12は、環境データベース20と部品管理データベース30とを参照して、コンデンサ252の定格寿命の算出に用いた基準温度と環境パラメータとして取得されたコンデンサ252の周囲温度との差分と、コンデンサ252の定格リプル電流と環境パラメータとして取得されたコンデンサ252のリプル電流計測値との比とに基づいて、コンデンサ252の寿命を推定する。
【0046】
例えば、寿命推定部12は、コンデンサ252の周囲温度を含むセンサデータとコンデンサ252のリプル電流計測値を含むセンサデータとが通信装置50によって受信されるたびに、まず、コンデンサ252の周囲温度と基準温度との差分(温度差)を算出する。そして、温度差が所定値(例えば5℃)を超える回数が所定回数(例えば3回など)以上連続する場合に、コンデンサ252の定格リプル電流とリプル電流計測値との比を算出する。なお、コンデンサ252の定格リプル電流は、コンデンサ252の部品情報として部品管理データベース30に格納されている。そして、寿命推定部12は、コンデンサ252の定格リプル電流とリプル電流計測値との比を用い、下記式(2)に従って、コンデンサ252のリプル電流が寿命に与える影響度L
Iを算出する。
【数2】
ここで、I
Nはコンデンサ252の定格リプル電流、I
Mはコンデンサ252のリプル電流計測値、Δt
0は、カテゴリ上限温度(上限温度で部品をカテゴリ分けしたときのコンデンサ252が属するカテゴリの上限温度)で定格リプル電流を印加したときのコンデンサ252の内部温度上昇値である。
【0047】
そして、寿命推定部12は、上記式(2)で算出した影響度L
Iを用い、下記式(3)に従って、コンデンサ252の推定寿命Lを算出する。
【数3】
ここで、L
0はコンデンサ252の定格寿命、T
Nはコンデンサ252の定格寿命の算出に用いた基準温度、T
Oは上記温度差の平均値である。
【0048】
スケジュール更新部13は、第1実施例と同様に、例えば、コンデンサ252の推定寿命Lと定格寿命L
0との差分が第1閾値Th1以上の場合に、コンデンサ252の交換を行うタイミングを変更するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。また、情報出力部14は、第1実施例と同様に、コンデンサ252の推定寿命Lが定格寿命L
0よりも第2閾値Th2以上短くなる場合に異常発報を行って、物件担当者が使用する保守端末500に、コンデンサ252の点検や交換を促す情報を表示させる。
【0049】
図6は、第2実施例におけるスケジュール最適化装置10の動作手順の一例を示すフローチャートである。この
図6のフローチャートで示す一連の処理は、センサ端末200Aからのセンサデータとセンサ端末200Bからのセンサデータとが環境パラメータ取得部11により取得されるたびに繰り返し実行される。
【0050】
図6のステップS201乃至ステップS205の処理は、
図4に示したステップS101乃至ステップS105の処理と同様であるため、説明を省略する。本実施例では、寿命推定部12が、ステップS205で直近の所定回数分の温度差の平均値T
Oを算出した後、コンデンサ252の定格リプル電流I
Nとリプル電流計測値I
Mとの比(I
N/I
M)を算出し、上記式(2)に従って、コンデンサ252のリプル電流が寿命に与える影響度L
Iを求める(ステップS206)。そして、寿命推定部12は、コンデンサ252の定格寿命L
0と、この定格寿命L
0の算出に用いた基準温度T
Nと、ステップS205で算出した温度差の平均値T
Oと、ステップS206で求めた影響度L
Iとに基づいて、上記式(3)により、コンデンサ252の推定寿命Lを算出する(ステップS207)。
図6のステップS208乃至ステップS212の処理は、
図4に示したステップS107乃至ステップS111の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
以上説明したように、本実施例では、エレベータ制御盤250の基板251に実装されたコンデンサ252の周囲温度とリプル電流を環境パラメータとして取得し、このコンデンサ252の周囲温度とリプル電流を用いてコンデンサ252の寿命を推定する。そして、推定したコンデンサ252の寿命に応じて、コンデンサ252が適切なタイミングで交換されるように保守点検スケジュールを更新する。したがって、本実施例によれば、エレベータ制御盤250に搭載された電気部品の一例であるコンデンサ252の実際の寿命を反映させて、保守点検スケジュールを最適化することができる。また、本実施例では、コンデンサ252の周囲温度だけでなくリプル電流も用いてコンデンサ252の寿命を推定するので、コンデンサ252の寿命を第1実施例よりも精度よく推定することができる。
【0052】
<第3実施例>
次に第3実施例について説明する。
図7は、第3実施例における環境パラメータの計測例を説明する図である。本実施例では、
図7に示すように、エレベータ制御盤250の基板251に実装された電磁開閉器253、電磁継電器(リレー)254、電磁接触器(コンタクタ)255などの開閉器類を寿命推定の対象となる電気部品とする。そして、エレベータ制御盤250内に、開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度を計測するセンサ端末200Cと、開閉器類の周囲の湿度を計測するセンサ端末200Dと、開閉器類の周囲の温度を計測するセンサ端末200Eとを配置し、これらセンサ端末200C,200D,200Eにより、開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度、湿度および温度を環境パラメータとして計測する。なお、腐食性ガスとしては、例えば、二酸化硫黄、硫化水素、窒素酸化物、塩素、アンモニアなどが挙げられる。
【0053】
センサ端末200C,200D,200Eは、それぞれ、センサ201として濃度センサ、湿度センサ、温度センサを備え、所定の計測周期で計測した開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度、湿度、温度を含むセンサデータを無線出力する。これらのセンサデータは、センサGW210、通信装置230、および通信回線300を介してスケジュール管理サーバ100に送信され、スケジュール管理サーバ100の通信装置50により受信される。
【0054】
スケジュール最適化装置10の環境パラメータ取得部11は、センサ端末200Cの濃度センサにより計測された開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度を含むセンサデータと、センサ端末200Dの湿度センサにより計測された開閉器類の周囲の湿度を含むセンサデータと、センサ端末200Eの温度センサにより計測された開閉器類の周囲の温度を含むセンサデータとが通信装置50によって受信されると、これらのセンサデータを取得して環境データベース20に格納する。
【0055】
寿命推定部12は、センサ端末200C,200D,200Eにより各々計測された開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度、湿度、温度のうち、例えば腐食性ガス濃度が所定濃度以上となった場合に、開閉器類の接点が腐食によって動作不良となる故障到達時期(寿命)を推定する。例えば、寿命推定部12は、センサ端末200C,200D,200Eにより各々計測された開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度、湿度、温度をもとに、開閉器類の接点の腐食進行速度を推定する。そして、寿命推定部12は、推定した腐食進行速度と、予め実験により求めた信頼性評価データとに基づいて、開閉器類の故障到達時期を推定する。信頼性評価データは、開閉器類の接点の腐食進行速度とその接点に動作不良が生じるまでの時間との関係を示すデータであり、事前に行った実験の結果をもとに作成され、例えば、HDDやSSDなどの外部記憶装置に格納される。なお、ここでは開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度が所定濃度以上となった場合に開閉器類の故障到達時期を推定するものとしているが、開閉器類の故障到達時期を推定する条件として、さらに、開閉器類の周囲の湿度や温度が所定値以上となった場合といった条件を加えてもよい。
【0056】
スケジュール更新部13は、上述の推定寿命と定格寿命との差分に基づく保守点検スケジュールの更新のほか、保守点検作業時に開閉器類に対する点検が確実に行われるように保守点検スケジュールを更新する。例えば、スケジュール更新部13は、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを参照し、寿命推定部12により推定された開閉器類の故障到達時期が次回の保守点検作業の実施日以降である場合に、開閉器類に対する点検を次回の保守点検作業の重要作業項目として他の作業項目から区別するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。
【0057】
情報出力部14は、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを参照し、寿命推定部12により推定された開閉器類の故障到達時期が次回の保守点検作業の実施日より前である場合に異常発報を行って、物件担当者が使用する保守端末500に、開閉器類の点検や交換を促す情報を表示させる。なお、寿命推定部12により推定された開閉器類の故障到達時期が次回の保守点検作業の実施日より前である場合、情報出力部14による異常発報に代えて、あるいは情報出力部14による異常発報とともに、スケジュール更新部13が、次回の保守点検作業の実施日を早めるように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新するように構成してもよい。
【0058】
図8は、第3実施例におけるスケジュール最適化装置10の動作手順の一例を示すフローチャートである。この
図8のフローチャートで示す一連の処理は、センサ端末200C,200D,200Eからのセンサデータが環境パラメータ取得部11により取得されるたびに繰り返し実行される。
【0059】
センサ端末200C,200D,200Eからのセンサデータが環境パラメータ取得部11により取得されると、寿命推定部12は、まず、センサ端末200Cからのセンサデータを用いて、開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度が所定濃度以上であるか否かを判定する(ステップS301)。ここで、腐食性ガス濃度が所定濃度未満であれば(ステップS301:No)、処理を終了する。
【0060】
一方、腐食性ガス濃度が所定濃度以上であれば(ステップS301:Yes)、寿命推定部12は、センサ端末200C,200D,200Eからのセンサデータを用い、開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度、湿度、温度をもとに、開閉器類の接点の腐食進行速度を推定する(ステップS302)。そして、寿命推定部12は、ステップS302で推定した腐食進行速度の推定値と、予め実験により求めた信頼性評価データとに基づいて、開閉器類の接点が腐食によって動作不良となる故障到達時期(寿命)を推定する(ステップS303)。
【0061】
次に、スケジュール更新部13と情報出力部14が、ステップS303で推定した故障到達時期が次回の保守点検作業の実施日よりも前か否かを判定する(ステップS304)。そして、故障到達時期が次回の保守点検作業の実施日以降であれば(ステップS304:No)、スケジュール更新部13が、開閉器類に対する点検を次回の保守点検作業の重要作業項目として他の作業項目から区別するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新し(ステップS305)、処理を終了する。一方、故障到達時期が次回の保守点検作業の実施日よりも前であれば(ステップS304:Yes)、情報出力部14が異常発報を行って開閉器類の点検や交換を促す情報を物件担当者が使用する保守端末500に表示させ(ステップS306)、処理を終了する。
【0062】
以上説明したように、本実施例では、エレベータ制御盤250の基板251に実装された電磁開閉器253、電磁継電器254、電磁接触器255などの開閉器類の周囲の腐食性ガス濃度、湿度および温度を環境パラメータとして取得し、これらの環境パラメータを用いて開閉器類の故障到達時期(寿命)を推定する。そして、推定した開閉器類の故障到達時期に応じて、保守点検スケジュールの更新や異常発報を行う。したがって、本実施例によれば、エレベータ制御盤250に搭載された電気部品の一例である開閉器類の実際の寿命を反映させて、保守点検スケジュールを最適化することができる。
【0063】
<第4実施例>
次に第4実施例について説明する。
図9は、第4実施例における環境パラメータの計測例を説明する図である。本実施例では、上述の第3実施例と同様に、エレベータ制御盤250の基板251に実装された電磁開閉器253、電磁継電器254、電磁接触器255などの開閉器類を寿命推定の対象となる電気部品とし、第3実施例と同様の方法により開閉器類の故障到達時期(寿命)を推定する。
【0064】
さらに本実施例では、
図9に示すように、エレベータ制御盤250内の塵埃量を計測するセンサ端末200Fをエレベータ制御盤250に設け、環境パラメータの1つとして、エレベータ制御盤250内の塵埃量を取得する。センサ端末200Fは、センサ201として塵埃センサを備え、所定の計測周期で計測したエレベータ制御盤250内の塵埃量を含むセンサデータを無線出力する。このセンサデータは、センサGW210、通信装置230、および通信回線300を介してスケジュール管理サーバ100に送信され、スケジュール管理サーバ100の通信装置50により受信される。
【0065】
本実施例では、スケジュール最適化装置10が、第3実施例と同様の方法による保守点検スケジュールの最適化に加えて、エレベータ制御盤250内の塵埃量に応じた保守点検スケジュールの最適化を行う。すなわち、本実施例のスケジュール最適化装置10は、センサ端末200Fのセンサデータを用いてエレベータ制御盤250内の塵埃量をモニタリングし、エレベータ制御盤250内の塵埃量以上になると、エレベータ制御盤250内の冷却ファン256や冷却フィン257などの冷却機構の性能低下が予測されるため、これら冷却機構に対する点検を次回の点検作業の作業項目に追加するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。冷却ファン256や冷却フィン257などの冷却機構は、例えば半導体スイッチング素子などの発熱素子による熱を放熱するために、エレベータ制御盤250に設けられている。
【0066】
また、本実施例におけるスケジュール最適化装置10は、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上になった回数が第1基準回数(例えば3回)以上となった場合に、エレベータ制御盤250内が塵埃の溜まりやすい環境であり、この塵埃により開閉器類の絶縁性能や電気的耐久性の低下、短絡故障などを起こす可能性があるため、開閉器類に対する点検を次回の保守点検作業の重要作業項目として他の作業項目から区別するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する。
【0067】
さらに、本実施例におけるスケジュール最適化装置10は、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上になった回数が第1基準回数よりも大きい第2基準回数(例えば5回)以上となった場合には、エレベータ制御盤250内が非常に塵埃の溜まりやすい環境となっており、開閉器類の点検を迅速に行うことが望まれるため、情報出力部14による異常発報を行って、開閉器類の点検や交換を促す情報を物件担当者が使用する保守端末500に表示させる。
【0068】
図10は、第4実施例におけるスケジュール最適化装置10の動作手順の一例を示すフローチャートである。この
図10のフローチャートで示す一連の処理は、センサ端末200Fからのセンサデータが環境パラメータ取得部11により取得されるたびに繰り返し実行される。なお、本実施例におけるスケジュール最適化装置10は、この
図10のフローチャートで示す処理とは別に、
図8のフローチャートで示した第3実施例と同様の処理を行うものとする。
【0069】
センサ端末200Fからのセンサデータが環境パラメータ取得部11により取得されると、スケジュール更新部13が、センサ端末200Fからのセンサデータを用いて、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上となっているか否かを判定する(ステップS401)。ここで、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量未満であれば(ステップS401:No)、処理を終了する。
【0070】
一方、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上となっている場合には(ステップS401:Yes)、スケジュール更新部13は、エレベータ制御盤250内の冷却ファン256や冷却フィン257などの冷却機構に対する点検を次回の点検作業の作業項目に追加するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新する(ステップS402)。
【0071】
次に、スケジュール更新部13は、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上になった回数をカウントする回数カウンタをインクリメント(1つ増加)して(ステップS403)、回数カウンタの値が第1基準回数(例えば3回)以上となったか否かを判定する(ステップS404)。ここで、回数カウンタの値が第1基準回数未満であれば(ステップS404:No)、処理を終了する。
【0072】
一方、回数カウンタの値が第1基準回数以上であれば(ステップS404:Yes)、スケジュール更新部13と情報出力部14が、回数カウンタの値が第1基準回数よりも大きい第2基準回数(例えば5回)以上となったか否かを判定する(ステップS405)。そして、回数カウンタの値が第2基準回数未満であれば(ステップS405:No)、スケジュール更新部13が、開閉器類に対する点検を次回の保守点検作業の重要作業項目として他の作業項目から区別するように、スケジュールデータベース40に格納されている保守点検スケジュールを更新し(ステップS406)、処理を終了する。一方、回数カウンタの値が第2基準回数以上であれば(ステップS405:Yes)、情報出力部14が異常発報を行って開閉器類の点検や交換を促す情報を物件担当者が使用する保守端末500に表示させ(ステップS407)、処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、本実施例では、環境パラメータとしてエレベータ制御盤250内の塵埃量を取得し、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上の場合に、エレベータ制御盤250に設けられた冷却機構の点検を次回の保守点検作業の作業項目に加えるように保守点検スケジュールを更新する。また、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上となった回数が第1基準回数以上になると、開閉器類の点検を重要作業項目として他の作業項目から区別するように保守点検スケジュールを更新し、エレベータ制御盤250内の塵埃量が所定量以上となった回数が第2基準回数以上になると、異常発報を行って開閉器類の点検や交換を物件担当者に促すようにしている。したがって、本実施例によれば、上述の第3実施例と同様に、エレベータ制御盤250に搭載された電気部品の一例である開閉器類の実際の寿命を反映させて、保守点検スケジュールを最適化することができるとともに、エレベータ制御盤250内の塵埃量に応じて、保守点検スケジュールをさらに最適化することができる。
【0074】
なお、上述の第1実施例乃至第4実施例では、寿命推定の対象となる電気部品としてコンデンサ252や、電磁開閉器253、電磁継電器254、電磁接触器255などの開閉器類を例示したが、寿命推定の対象となる電気部品はこれに限らない。スケジュール最適化装置10は、例えば、インバータやコンバータなどの電力変換器、エレベータの動作制御を司るコントローラなど、エレベータ制御盤に搭載された各種の電気部品を寿命推定の対象とし、これら電気部品の推定寿命に応じて保守点検スケジュールを最適化することができる。この場合、スケジュール最適化装置10は、寿命推定の対象となるこれらの電気部品の寿命に関わる環境パラメータを取得すればよい。
【0075】
以上述べた少なくとも一つの実施例によれば、環境条件に応じた電気部品の寿命を反映させて保守点検スケジュールを最適化することができる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施例を説明したが、これらの実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【解決手段】実施形態のスケジュール最適化装置10は、エレベータ制御盤に搭載された電気部品の寿命に関わる環境パラメータを取得する環境パラメータ取得部11と、環境パラメータ取得部11により取得された環境パラメータを用いて電気部品の寿命を推定する寿命推定部12と、寿命推定部12により推定された電気部品の寿命と電気部品の定格寿命との差分が第1閾値以上場合に、電気部品の点検または交換を含む保守点検作業の作業時期および作業項目を定めた保守点検スケジュールを更新するスケジュール更新部13とを備える。