(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータの乗場に設けられた三方枠装置であって、一対の縦枠と、一対の前記縦枠を連結した上枠と、を備え、一方の前記縦枠は、前記乗場に固定された固定部材と、上下方向に延びる回動軸と、前記固定部材よりも他方の前記縦枠の側に設けられ、前記固定部材に対して前記回動軸を介して回動可能な回動パネルと、前記固定部材と前記回動パネルとを連結した蛇腹部材と、を有し、前記回動パネルは、前記乗場の側において前記固定部材と前記回動パネルとの間に点検用開口が形成される点検位置と、前記点検用開口が閉鎖される運転位置と、の間で回動可能になっており、前記蛇腹部材は、複数のヒンジ機構部と、前記複数のヒンジ機構部のうちの1つのヒンジ機構部の回動をロックするロック機構部と、を含み、前記回動パネルが前記運転位置に位置付けられた場合、エレベータの昇降路の側において前記固定部材と前記回動パネルとの間に前記ロック機構部にアクセス可能なロック用開口が形成されている、エレベータの三方枠装置。
前記回動軸の下端部は、前記乗場に設けられた敷居に回動可能に支持され、上端部は、前記上枠に回動可能に支持されている、請求項1に記載のエレベータの三方枠装置。
前記固定部材は、固定側磁石を含み、前記回動パネルは、回動側磁石を含み、前記回動パネルが前記運転位置に位置付けられた場合、前記固定側磁石と前記回動側磁石とが互いに吸着する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータの三方枠装置。
前記上枠の下端面に、下方に延びる上端スタッドが設けられ、前記回動パネルの上端部に、前記回動パネルが前記運転位置に位置付けられた場合に前記上端スタッドが挿入される上端切欠部が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレベータの三方枠装置。
前記乗場に設けられた敷居に、上方に延びる下端スタッドが設けられ、前記回動パネルの下端部に、前記回動パネルが前記運転位置に位置付けられた場合に前記下端スタッドが挿入される下端切欠部が設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレベータの三方枠装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
まず、
図1及び
図2に示すように、エレベータの乗場1の壁には、エレベータの乗降口100を形成するための乗場壁開口3が設けられている。乗場壁開口3は、乗場1の側と昇降路2の側とを連通するように設けられている。
【0012】
乗場壁開口3には、その両側面3a,3bと上面3cとに沿って、三方枠装置10が嵌め込まれている。三方枠装置10は、一対の縦枠20a,20bと、一対の縦枠20a,20bの上端部を連結した上枠30と、を有している。また、乗場壁開口3には、その下面3dに沿って、敷居4が配置されている。このように、三方枠装置10と敷居4とによって、エレベータの乗降口100が画成されている。
【0013】
乗場壁開口3には、乗降口100を開放・閉鎖するように、三方枠装置10に沿って移動する一対の乗場ドアパネル5a,5aを含む乗場ドア5が設けられている。乗場ドアパネル5a,5aは、敷居4に形成されたガイド溝に沿って、乗降口100を開放する開放位置と、乗降口100を閉鎖する閉鎖位置との間を移動する。
【0014】
一対の縦枠の一方20aには、警報装置6、表示装置7、及びインターホンボックス装置8が設置されている。警報装置6は、異常事態が発生した場合に警報を発して乗場1にいる利用者に異常事態が発生したことを知らせる装置である。表示装置7は、乗りかご200が位置する階床や乗りかご200(
図7参照)の移動方向を表示する装置である。インターホンボックス装置8は、非常時に乗りかご200内にいる人と通話するための装置である。
【0015】
一方、他方の縦枠20bには、このような装置6,7,8は設置されていない。他方の縦枠20bは、乗場ドアパネル5a,5aの収容部である。より具体的には、乗場ドア5は、片開き式のドアである。そして、乗場ドア5の乗場ドアパネル5a,5aは、開放位置に位置付けられた場合、他方の縦枠20bに収容されるようになっている。
【0016】
ところで、上述の装置6,7,8を収容する縦枠20aは、
図1に示すように、エレベータの運転中は、乗場1から見て閉鎖されており、いたずら等によって装置6,7,8が操作されることのないように構成されている。一方、エレベータのメンテナンス時には、乗場1の側に後述する点検用開口O2(
図8参照)が形成されて装置6,7,8のメンテナンス作業を行うことができるようになっている。
【0017】
以下、このような装置6,7,8を収容した縦枠20aの構成について、
図1乃至
図8を参照して詳述する。
図1乃至
図7は、運転位置にある縦枠20aをして示しており、
図8は、点検位置にある縦枠20aを示している。
【0018】
図7に示すように、縦枠20aは、乗場1に固定された固定部材40と、上下方向に延びる回動軸50と、固定部材40よりも他方の縦枠20bの側に設けられ、固定部材40に対して回動軸50を介して回動可能な回動パネル60と、を有している。
図8に示すように、回動パネル60が回動軸50を介して回動することによって、縦枠20aは、乗場1の側において、開放・閉鎖されるようになっている。また、縦枠20aは、その昇降路2の側に、固定部材40と回動パネル60とを連結した蛇腹部材70を有している。
【0019】
以下では、乗場1の側において縦枠20aが閉鎖されている状態、すなわちエレベータの運転が可能な状態、における回動パネル60の位置を、「運転位置」と呼ぶ。また、乗場1の側において、縦枠20aが開放されている状態、すなわちエレベータのメンテナンス作業が可能な状態、における回動パネル60の位置を、「点検位置」と呼ぶ。
【0020】
図6や
図7に示すように、固定部材40は、上面視においてL字型の形状を有している。L字型の固定部材40は、基部41と、縦枠20aの一側側壁を成す固定側壁部42と、を有している。固定側壁部42は、乗場壁開口3の一側側面3aに対向するように配置されている。基部41は、固定側壁部42の昇降路2の側の端部から乗降口100に向かって延びており、正面視において、乗場壁開口3の一側側面3aの側の縁部を覆っている。
【0021】
ここで、昇降路2の壁には、固定部材40を固定するための第1ブラケット101が、複数固定されている。
図4に示すように、各第1ブラケット101は、上面視においてL字型の形状を有している。各第1ブラケット101は、昇降路2の壁の縦枠20aに隣接する領域に固定されている。各第1ブラケット101は、正面視において、縦枠20aの側の縁部が乗場壁開口3の一側側面3aの側の縁部と重なるように、位置決めされている。
【0022】
このような第1ブラケット101に対し、固定部材40の基部41は、その昇降路2の側の面において、溶接またはボルト等の締結部材によって固定されている。
【0023】
また、
図3や
図7に示すように、固定部材40の基部41は、その乗場1の側の面において、第2ブラケット102によって、乗場1に対して固定されている。第2ブラケット102は、敷居4に溶接またはボルト等の締結部材により固定されている。第2ブラケット102は、固定部材40の基部41に対向する面を有しており、当該面に対して、固定部材40の基部41が溶接またはボルト等の締結部材によって固定されている。
【0024】
図2や
図5に示すように、固定部材40の固定側壁部42の上端部42uは、上枠30の下端面30dに平行に、乗降口100に向かって延びている。このような上端部42uに対し、上枠30が溶接またはボルト等の締結部材によって固定されている。
【0025】
図6に示すように、固定側壁部42の上面視における中央には、固定側磁石45が設けられている。
図2に示すように、固定側磁石45は、固定側壁部42の下端部から上端部に亘って、上下方向に延びている。
図6に示すように、固定側磁石45は、固定側壁部42に固定された第3ブラケット103によって保持されている。第3ブラケット103は、上面視においてL字型の形状を有しており、固定側磁石45を、固定側磁石45の固定部材40の側の面及び乗場1の側の面において保持している。固定側磁石45を保持する第3ブラケット103の位置は、後述する回動パネル60の回動側磁石65と当接するように決定されている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、回転軸50は、固定部材40よりも他方の縦枠20bの側に設けられ、敷居4から上枠30に亘って延びている。ここで、敷居4には軸受け4xが設けられている。回動軸50の下端部は、この軸受け4xによって、回動可能に支持されている。また、上枠30にも、軸受け30xが設けられている。回動軸50の上端部は、この軸受け30xによって、回動可能に支持されている。
【0027】
図6及び
図7に示すように、回動パネル60は、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、乗場1の側において固定部材40に対向して配置される当接壁部61と、当接壁部61と共に縦枠20a内に配置される装置6,7,8及び回動軸50を囲むように配置される乗場側壁部62、乗降口側壁部63及び昇降路側壁部64と、を有している。回動パネル60は、後述するパネル固定部材63xによって、回動軸50に対して相対的に回動しないようになっている。
【0028】
図6及び
図7に示すように当接壁部61は、乗場1の側において固定部材40の固定側壁部42に当接する当接面61aを含んでいる。当接壁部61の当接面61aとは反対側の面61bには、複数の回動側磁石65が、上下方向に並んで固定されている。回動側磁石65は、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、その昇降路2の側の面が固定部材40に設けられた第3ブラケット103に当接するように、位置決めされている。これにより、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、第3ブラケット103に保持された固定側磁石45と、回動側磁石65と、が互いに吸着するようになっている。
【0029】
なお、回動パネル60に設けられた回動側磁石65と比較して、固定部材40に設けられた固定側磁石45は、上下方向に長く設計されている。これにより、回動側磁石65と固定側磁石45との間に上下方向の位置ずれが生じても、固定側磁石45と回動側磁石65とを互いに吸着させることが可能である。
【0030】
図6及び
図7に示すように乗場側壁部62は、回動パネル60が運転位置に位置づけられた場合において、当接壁部61の乗場1の側の縁部から乗降口100に向かって延びている。このような乗場側壁部62は、乗場1にいる人によって視認されやすい位置にあり、三方枠装置10の意匠性に影響を与える。
【0031】
図2及び
図5に示すように、乗場側壁部62の上端部62uは、上枠30の下端面30dに平行に延びている。ここで、上端部62uに対向する上枠30の下端面30dには、下方に延びる2つの上端スタッド30sが設けられている。このような上端スタッド30sに対応して、上端部62uには、2つの上端切欠部62unが設けられている。上端切欠部62unは、回動パネル60が運転位置に位置づけられた場合に、上端切欠部62unに上端スタッド30sが挿入されるように位置決めされている。
【0032】
また、
図2及び
図7に示すように、乗場側壁部62の下端部62tは、敷居4の上面に平行に延びている。ここで、敷居4には、上方に延びる下端スタッド4sが1つ設けられている。より具体的には、敷居4には、敷居4から乗場1の側に向かって延びる第4ブラケット104が設けられている。第4ブラケット104は、回動パネル60の回動動作を阻害することのないよう、乗場側壁部62の下端部62tよりも下方に位置決めされている。第4ブラケット104の昇降路2の側の端部は、敷居4に、溶接又はボルト等の締結部材によって固定されている。また、第4ブラケット104の上面には、下端スタッド4sが設けられている。このような下端スタッド4sに対応して、下端部62tには、下端切欠部62tnが設けられている。下端切欠部62tnは、回動パネル60が運転位置に位置づけられた場合に、下端切欠部62tnに下端スタッド4sが挿入されるように位置決めされている。
【0033】
図6及び
図7に示すように、乗降口側壁部63は、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合において、全体として、乗場側壁部62の乗降口100の側の端部から、昇降路2の側に延びている。
【0034】
乗降口側壁部63の上面視における中央には、回動パネル60を回動軸50に対して相対的に回動しないようにするためのパネル固定部材63xが、上下方向に複数設けられている。具体的には、各パネル固定部材63xは、全体として四角柱の形状をしている。各パネル固定部材63xの上面視における中央には、上下方向に貫通孔が設けられており、当該貫通孔に回動軸50が挿通されて、各パネル固定部材63xは、回動軸50に対して相対的に回動しないようになっている。乗降口側壁部63は、その上面視における中央において、回動軸50が挿通されたパネル固定部材63xの側面に沿って屈曲する屈曲部63yを有している。屈曲部63yは、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、パネル固定部材63xの乗降口100の側の側面及び昇降路2の側の側面に沿うように屈曲している。これらの側面において、各パネル固定部材63xは、乗降口側壁部63に、溶接またはボルト等の締結部材によって固定されている。
【0035】
図4や
図5に示すように、乗降口側壁部63は、また、屈曲部63yよりも昇降路2の側に、戸当り面63rを有している。戸当り面63rは、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合において、乗場1の側から昇降路2の側に延びている。戸当り面63rには、クッション部材63iが設けられており、クッション部材63iによって、開放位置から閉鎖位置に移動する乗場ドアパネル5aから受ける衝撃を吸収することができるようになっている。
【0036】
図4乃至
図7に示すように、昇降路側壁部64は、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合において、戸当り面63rの昇降路2の側の端部から、固定部材40の側に延びている。昇降路側壁部64と固定部材40との間には、後述するロック機構部77へのアクセスを可能にするための、間隙O1が設けられている。以下では、この間隙O1を、「ロック用開口O1」と呼ぶ。
【0037】
図3に示すように、蛇腹部材70は、縦枠20aの昇降路2の側において、縦枠20a内に配置される装置6,7,8に干渉しないよう、上下方向に複数配置されている。蛇腹部材70の一方の端部は、固定部材40の固定側壁部42に固定されている。一方、蛇腹部材70の他方の端部は、回動パネル60の昇降路側壁部64に固定されている。
【0038】
図7に示すように、各蛇腹部材70は、複数(ここでは4つ)のヒンジ機構部71,72,73,74と、複数(ここでは5つ)のヒンジ板171,172,173,174,175を有している。ヒンジ板171は、蛇腹部材70の一方の端部を成している。このヒンジ板171は、固定部材40の固定側壁部42に、溶接またはボルト等の締結部材によって固定されている。ヒンジ板171の昇降路2の側の端部には、ヒンジ機構部71が接続されている。ヒンジ機構部71には、また、ヒンジ板172の一方の端部が接続されている。このヒンジ機構部71は、ヒンジ板171とヒンジ板172とを相対的に枢動可能に接続している。ヒンジ板172の他方の端部には、ヒンジ機構部72が接続されている。ヒンジ機構部72には、また、ヒンジ板173の一方の端部が接続されている。このヒンジ機構部72は、ヒンジ板172とヒンジ板173とを相対的に枢動可能に接続している。ヒンジ板173の他方の端部には、ヒンジ機構部73が接続されている。ヒンジ機構部73には、また、ヒンジ板174の一方の端部が接続されている。このヒンジ機構部73は、ヒンジ板173とヒンジ板174とを相対的に枢動可能に接続している。ヒンジ板174の他方の端部には、ヒンジ機構部74が接続されている。ヒンジ機構部74には、また、ヒンジ板175の一方の端部が接続されている。このヒンジ機構部74は、ヒンジ板174とヒンジ板175とを相対的に枢動可能に接続している。ヒンジ板175は、蛇腹部材70の他方の端部を成している。ヒンジ板175は、回動パネル60の昇降路側壁部64に、溶接またはボルト等の締結部材によって固定されている。なお、一対のヒンジ板とヒンジ機構部とが予め組み立てられたいわゆる蝶番を、複数組み合わせて、蛇腹部材70を構成してもよい。
【0039】
図7に示すように、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、ヒンジ機構部71とヒンジ板172とヒンジ機構部72とヒンジ板173とヒンジ機構部73とは、この順で、固定部材40から乗降口100の側に向かって整列する。ヒンジ機構部73に接続されたヒンジ板173は、ヒンジ機構部73から昇降路2の側に延びている。
【0040】
複数のヒンジ機構部71,72,73,74の内の1つ(ここではヒンジ機構部72)には、当該ヒンジ機構部72の回動をロックするロック機構部77が設けられている。ロック機構部77は、ヒンジ機構部72の回動をロックするとともにこのロックを解除することができれば、任意の構成とすることができる。例えば、ロック機構77は、ヒンジ機構部72の回動をロックする、または、このロックを解除するための機構を有していてもよい。あるいは、工具等を用いることで、ロック及びその解除が可能に構成されていてもよい。
【0041】
ここで、ロック機構部77には、縦枠20aの昇降路2の側から、上述のロック用開口O1を介して、アクセスすることができる。
【0042】
以上のような構成により、ロック機構77によるロックを解除して各蛇腹部材70を適切に変形させることにより、回動パネル60を回動させて、点検位置に位置付けることができる。この結果、回動パネル60は、乗場1の側において固定部材40と回動パネル60との間に開口O2が形成される点検位置と、当該開口O2が閉鎖される運転位置と、の間を回動可能になっている。以下では、この開口O2を、「点検用開口O2」と呼ぶ。
【0043】
なお、上記説明において、上枠30及び敷居4に対して回動パネル60が回動軸50とともに相対的に回動する場合について説明してきたが、これに限られない。具体的には、回動軸50の上端部及び下端部は、上枠30及び敷居4に固定されていてもよい。この場合、回動パネル60は、回動軸50に対して回動可能になっている。
【0044】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち三方枠装置の縦枠内に収容された装置のメンテナンス方法について、
図1乃至
図8を参照しながら説明する。
【0045】
まず、
図3や
図7に示すように、回動パネル60が運転位置に位置付けられている状態において、回動パネル60の当接壁部61の当接面61aと、固定部材40の固定側壁部42と、が当接している。このとき、回動パネル60に固定された回動側磁石65と、固定部材40に固定された固定側磁石45と、が互いに吸着している。また、
図3や
図5に示すように、回動パネル60の乗場側壁部62の上端部62uに設けられた上端切欠部62unには、上枠30の下端面30dから下方に延びる上端スタッド30sが挿入されている。また、
図3や
図7に示すように、回動パネル60の乗場側壁部62の下端部62tに設けられた下端切欠部62tnには、敷居4から上方に延びる下端スタッド4sが挿入されている。また、蛇腹部材70の第2ヒンジ機構部72に設けられたロック機構部77によって、第2ヒンジ機構部72の回動がロックされている。これにより、回動パネル60の回動が防止されている。
【0046】
縦枠20a内の装置6,7,8のメンテナンス作業を行う場合、まず、保守作業員は、エレベータの乗りかご200の中に乗り込み、メンテナンス作業を行うべき装置6,7,8が設けられた乗場階に移動する。当該乗場階において、乗りかご200を停止させる。そして、かごドア205及び乗場ドア5を開けて、乗場ドアパネル5a,5aをその開放位置で固定する。次に、乗りかご200内から、乗りかご200と縦枠20aとの隙間及びロック用開口O1を介して、第2ヒンジ機構部72のロック機構部77にアクセスする。ロック機構部77のロックを解除した後、
図8に示すように、各蛇腹部材70を、乗場1の側へ押す。これにより、回動パネル60の昇降路側壁部64が乗場1の側に引っ張られ、回動パネル60は、回動軸50を中心に、回動する。この結果、乗場1の側において、固定部材40と回動パネル60との間に、点検用開口O2が形成される。その後、保守作業員は、乗りかご200から乗場1に降り、乗場1から装置6,7,8のメンテナンス作業を行う。
【0047】
次に、保守作業員が装置6,7,8のメンテナンス作業を終え、縦枠20aを閉鎖する場合、保守作業員は、回動パネル60を乗場1から直接操作することによって、
図1〜
図7に示す運転位置に回動させる。このとき、回動パネル60の乗場側壁部62の上端部62uに設けられた上端切欠部62unは、上端スタッド30sを受容する。また、回動パネル60の乗場側壁部62の下端部62tに設けられた下端切欠部62tnは、下端スタッド4sを受容する。これにより、回動パネル60は、運転位置に適切に案内される。回動パネル60が運転位置まで移動されると、回動パネル60の当接面61aと固定部材40とが当接する。また、回動パネル60の回動側磁石65と、固定部材40の固定側磁石45と、が互いに吸着する。その後、保守作業員は、乗りかご200内に乗り込み、乗りかご200と縦枠20aとの隙間及びロック用開口O1を介して、第2ヒンジ機構部72のロック機構部77にアクセスし、ロック機構部77をロックする。
【0048】
このように本実施の形態によれば、エレベータの乗場1に設けられた三方枠装置10は、一対の縦枠20a,20bと、一対の縦枠20a,20bを連結した上枠30と、を備えている。一方の縦枠20aは、乗場1に固定された固定部材40と、上下方向に延びる回動軸50と、固定部材40よりも他方の縦枠20bの側に設けられ、固定部材40に対して回動軸50を介して回動可能な回動パネル60と、固定部材40と回動パネル60とを連結した蛇腹部材70と、を有している。回動パネル60は、乗場1の側において固定部材40と回動パネル60との間に点検用開口O2が形成される点検位置と、点検用開口O2が閉鎖される運転位置と、の間で回動可能になっている。蛇腹部材70は、複数のヒンジ機構部71,72,73,74と、複数のヒンジ機構部71,72,73,74のうちの1つのヒンジ機構部72の回動をロックするロック機構部77と、を含んでいる。回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、エレベータの昇降路2の側において固定部材40と回動パネル60との間にロック機構部77にアクセス可能なロック用開口O1が形成されている。
【0049】
回動パネル60が運転位置と点検位置との間で回動可能であることにより、乗場1から見たときに、装置6,7,8のメンテナンス時に、固定部材40と回動パネル60との間に点検用開口O2を形成することができる。このため、縦枠20a内に設けられた装置6,7,8を、乗場1から保守・点検することが可能であり、作業の安全性が向上される。
【0050】
また、回動パネル60の回動を規制するロック機構部77へアクセス可能なロック用開口O1がエレベータの昇降路2の側に形成されていることにより、回動パネル60がいたずら等によって操作されることが防止される。また、ロック機構部77が乗場1の側から視認されて縦枠20aの意匠性が損なわれる、ということがない。
【0051】
例えば、回動軸50の下端部は、乗場1に設けられた敷居4に回動可能に支持され、上端部は、上枠30に回動可能に支持されている。あるいは、回動パネル60は、回動軸50に対して回動可能になっている。回動パネル60または回動軸50をこのように構成することにより、回動パネル60の回動を実現することが容易である。
【0052】
また、本実施の形態によれば、固定部材40は、固定側磁石45を含み、回動パネル60は、回動側磁石65を含んでいる。そして、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、固定側磁石45と回動側磁石65とが互いに吸着する。これにより、蛇腹部材70が操作されない限り、回動パネル60を運転位置に安定的に保持することが容易である。
【0053】
また、本実施の形態によれば、上枠30の下端面30dに、下方に延びる上端スタッド30sが設けられ、回動パネル60の上端部62uに、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合に上端スタッド30sが挿入される上端切欠部62unが設けられている。上端スタッド30s及び上端切欠部62unにより、回動パネル60が点検位置から運転位置に回動する際、回動パネル60が適切な位置に案内される。
【0054】
また、本実施の形態によれば、乗場1に設けられた敷居4に、上方に延びる下端スタッド4sが設けられ、回動パネル60の下端部62tに、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合に下端スタッド4sが挿入される下端切欠部62tnが設けられている。下端スタッド4s及び下端切欠部62tnによっても、回動パネル60が点検位置から運転位置に回動する際、回動パネル60が適切な位置に案内される。
【0055】
また、本実施の形態によれば、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、回動パネル60の当接面61aが固定部材40に当接する。このように、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、縦枠20aは隙間無く閉鎖される。
【0056】
本発明の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述の実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】エレベータの乗場1に設けられた三方枠装置10は、一対の縦枠20aを備えている。縦枠20aは、乗場1に固定された固定部材40と、回動可能な回動パネル60と、固定部材40と回動パネル60とを連結した蛇腹部材70と、を有している。回動パネル60は、乗場1の側において固定部材40と回動パネル60との間に点検用開口が形成される点検位置と、点検用開口が閉鎖される運転位置と、の間で回動可能になっている。蛇腹部材70は、ロック機構部77を含み、回動パネル60が運転位置に位置付けられた場合、エレベータの昇降路2の側においてロック機構部77にアクセス可能なロック用開口O1が形成されている。