(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=13.4°、15.2°、20.0°、20.8°、24.0°、26.6°、30.1°、30.7°、31.3°、および33.0°に特徴的なピークを有する、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶(A晶)。
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=10.8°、12.0°、13.8°、16.0°、19.3°、21.0°、22.4°、23.7°、26.6°、および
31.2°に特徴的なピークを有する、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶(B晶)。
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルを溶媒に懸濁し、塩基の水溶液を添加して加水分解する工程;および
反応物を中和する工程;
を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶(A晶)の製造方法。
溶媒が、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールおよびテトラヒドロフランより選択される単一の有機溶媒、もしくはこれら有機溶媒と水との混合溶媒、または、メタノール、エタノール、2−プロパノールおよび1−ブタノールより選択される2種以上の混合有機溶媒、もしくはこれらの混合有機溶媒と水との混合溶媒である、請求項11または12に記載の結晶の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、痛風、高尿酸血症等の治療薬または予防薬として有用な、新規化合物の結晶を提供することである。また、化学的に安定で、かつ医薬原薬として適した結晶を再現性良く製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的で鋭意研究した結果、下記式(I):
【化1】
で表される化合物は結晶化が可能であること、および少なくとも2種類の結晶多形体が存在することを見出した。またそれらの結晶多形体は、結晶化方法によりつくり分けることが可能であることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]下記式(I):
【化2】
で表される2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶;
[2]結晶がA晶である、[1]に記載の結晶;
[3]粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=13.4°、15.2°、20.0°、20.8°、24.0°、26.6°、30.1°、30.7°、31.3°、および33.0°に特徴的なピークを有する、[2]に記載の結晶;
[4]粉末X線回折スペクトルが、
図1に示すパターンを有する、[2]に記載の結晶;
[5]固体NMRスペクトル(
13C)において、化学シフト125.8ppm、134.8ppm、136.7ppm及び150.1ppmに特徴的なピークを有する、[2]に記載の結晶;
[6]固体NMRスペクトル(
13C)が、
図3に示すパターンを有する、[2]に記載の結晶;
[7]赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数1313cm
−1、1324cm
−1及び1391cm
−1に特徴的な吸収ピークを有する、[2]に記載の結晶;
[8]赤外吸収スペクトル(KBr法)が、
図5に示すパターンを有する、[2]に記載の結晶;
[9]熱重量測定・示差熱分析における吸熱ピークが、234℃である、[2]〜[8]のいずれかに記載の結晶;
[10]結晶がB晶である、[1]に記載の結晶;
[11]粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=10.8°、12.0°、13.8°、16.0°、19.3°、21.0°、22.4°、23.7°、26.6°、および31.2°に特徴的なピークを有する、[10]に記載の結晶;
[12]粉末X線回折スペクトルが、
図2に示すパターンを有する、[10]に記載の結晶;
[13]固体NMRスペクトル(
13C)において、化学シフト16.4ppm(ダブルピーク)、120.5ppm及び135.6ppmに特徴的なピークを有する、[10]に記載の結晶;
[14]固体NMRスペクトル(
13C)が、
図4に示すパターンを有する、[10]に記載の結晶;
[15]赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数1329cm
−1、1382cm
−1及び1401cm
−1に特徴的な吸収ピークを有する、[10]に記載の結晶;
[16]赤外吸収スペクトル(KBr法)が、
図6に示すパターンを有する、[10]に記載の結晶;
[17]熱重量測定・示差熱分析における吸熱ピークが、236℃である、[10]〜[16]のいずれか1項に記載の結晶;
[18]2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルを溶媒に懸濁し、塩基の水溶液を添加して加水分解する工程;および
反応物を中和する工程;
を含む、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶の製造方法;
[19]中和物を冷却しながら撹拌する工程をさらに含む、[18]に記載の結晶の製造方法;
[20]溶媒が、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールおよびテトラヒドロフランより選択される単一の有機溶媒、もしくはこれら有機溶媒と水との混合溶媒、または、メタノール、エタノール、2−プロパノールおよび1−ブタノールより選択される2種以上の混合有機溶媒、もしくはこれらの混合有機溶媒と水との混合溶媒である、[18]または[19]に記載の結晶の製造方法;
[21]溶媒が、メタノール、エタノール、2−プロパノールおよび1−ブタノールより選択される単一の有機溶媒、またはこれらの単一有機溶媒と水との混合溶媒である、[20]に記載の結晶の製造方法;
[22]溶媒が、エタノールである、[21]に記載の結晶の製造方法;
[23]溶媒が、テトラヒドロフランとエタノールの混合溶媒である、[18]または[19]に記載の結晶の製造方法;
[24][1]〜[17]のいずれかに記載の結晶、および製薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物;
[25][1]〜[17]のいずれかに記載の結晶を有効成分として含有する、URAT1阻害薬;ならびに
[26][1]〜[17]のいずれかに記載の結晶を有効成分として含有する、痛風、高尿酸血症、高血圧症、腎疾患、糖尿病、動脈硬化症、およびレッシュ・ナイハン症候群からなる群より選ばれる一つ以上の疾患の治療薬または予防薬;
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、痛風、高尿酸血症等の治療薬または予防薬として有用なピリジン誘導体の結晶、およびその製造方法が提供される。当該結晶は、医薬品製造用原体として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の結晶は、粉末X線回折スペクトル、固体NMRスペクトル、赤外吸収スペクトル及び/又は熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)等によって特徴付けられる。これらの結晶の粉末X線回折(XRD)スペクトル、固体NMRスペクトル、赤外吸収スペクトルは特徴的なパターンを示し、それぞれの結晶は特異的な回折角2θの値を有する。また、これらの結晶は、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)においても、それぞれに特徴的な熱挙動を示す。
【0012】
本発明のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=13.4°、15.2°、20.0°、20.8°、24.0°、26.6°、30.1°、30.7°、31.3°、および33.0°に特徴的なピークを有する。また、本発明のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、
図1に示すパターンを有する。
本発明のA晶は、
13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト125.8ppm、134.8ppm、136.7ppm及び150.1ppmにピークを有する。また、本発明のA晶は、
13C固体NMRスペクトルにおいて、
図3に示すパターンを有する。
本発明のA晶は、赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数1313cm
−1、1324cm
−1及び1391cm
−1に吸収ピークを有する。また、本発明のA晶は、赤外吸収スペクトル(KBr法)において、
図5に示すパターンを有する。
本発明のA晶は、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)において、234℃に吸熱ピークを有する。A晶は無水物晶である。
【0013】
本発明のB晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=10.8°、12.0°、13.8°、16.0°、19.3°、21.0°、22.4°、23.7°、26.6°、および31.2°に特徴的なピークを有する。また、本発明のB晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、
図2に示すパターンを有する。
本発明のB晶は、
13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト16.4ppm(ダブルピーク)、120.5ppm及び135.6ppmに特徴的なピークを有する。また、本発明のB晶は、
13C固体NMRスペクトルにおいて、
図4に示すパターンを有する。
本発明のB晶は、赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数1329cm
−1、1382cm
−1及び1401cm
−1に特徴的な吸収ピークを有する。また、本発明のB晶は、赤外吸収スペクトル(KBr法)において、
図6に示すパターンを有する。
本発明のB晶は、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)において、236℃に吸熱ピークを有する。B晶は無水物晶である。
【0014】
ここで「特徴的なピーク」とは各々の結晶多形の粉末X線回折スペクトル、
13C固体NMRスペクトル、および赤外吸収スペクトル(KBr法)において主に認められるピーク及び固有のピークを意味する。これらのスペクトルのピークにより特定される本発明の結晶には、上記の特徴的なピーク以外のピークを認めるものも含まれる。
【0015】
粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θの位置および相対強度は測定条件によって多少変動しうるものであるため、2θがわずかに異なる場合であっても、適宜スペクトル全体のパターンを参照して結晶形の同一性は認定されるべきであり、かかる誤差の範囲の結晶も本発明に含まれる。2θの誤差としては、例えば、±0.5°の範囲であり、典型的には±0.2°の範囲である。すなわち、上記回折角で特定される結晶には、±0.5°ないし±0.2°の範囲で一致するものも含まれる。
一般に、
13C固体NMRスペクトルにおける化学シフトも、誤差が生じ得るものである。かかる誤差としては、例えば、±0.5ppm、典型的には、±0.25ppmの範囲である。すなわち、上記化学シフトで特定される結晶には、±0.
25ppmないし±0.5ppmの範囲で一致するものも含まれる。
一般に、赤外吸収スペクトル(KBr法)の吸収ピークも、誤差が生じ得るものである。かかる誤差としては、例えば、±5cm
−1、典型的には、±2cm
−1の範囲である。すなわち、上記波数で特定される結晶には、±2cm
−1ないし±5cm
−1の範囲で一致するものも含まれる。
【0016】
熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)における吸熱ピークの誤差としては、例えば、±5℃の範囲であり、典型的には±2℃の範囲である。すなわち、上記吸熱ピークで特定される結晶には、±5℃ないし±2℃の範囲で一致するものも含まれる。
【0017】
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶は、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルを溶媒に懸濁し、塩基の水溶液を添加して加水分解する工程;および
反応物を中和する工程;
を含む方法により製造することができる。
また、本発明の結晶の製造方法は、さらに、中和物を冷却しながら撹拌する工程を含むことができる。
【0018】
本発明の結晶は、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルをメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールおよびテトラヒドロフランより選択される1種以上の有機溶媒、またはこれらの有機溶媒と水との混合溶媒をはじめとする反応に不活性な溶媒に懸濁させ、そこに塩基の水溶液を添加することで得られる。A晶の製造に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、およびテトラヒドロフランより選択される単一の有機溶媒、もしくはこれら有機溶媒と水との混合溶媒、または、メタノール、エタノール、2−プロパノール、および1−ブタノールより選択される2種以上の混合有機溶媒、もしくはこれらの混合有機溶媒と水との混合溶媒が挙げられる。好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノール、および1−ブタノールより選択される単一の有機溶媒、またはこれらの単一有機溶媒と水との混合溶媒であり、より好ましくはエタノールである。2種以上の溶媒が混合される場合、混合比率は当業者が適宜調整をすることができる。
【0019】
B晶の製造に用いられる溶媒としては、テトラヒドロフランとエタノールの混合溶媒が挙げられる。テトラヒドロフランとエタノールの混合比率は当業者が適宜調整をすることができるが、1:1が好ましい。
【0020】
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルとしては、C1〜C6アルキルエステルが好ましく、エチルエステルがより好ましい。ここで、アルキルエステルとは、直鎖または分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素エステルをいう。C1〜C6のアルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル等を具体例として挙げることができる。
【0021】
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルから2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸への加水分解反応は、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルを上記溶媒に懸濁させた後、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルに等量、あるいは小過剰の塩基を反応させることで進行する。好ましい塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを挙げることができる。本反応は0℃から100℃で進行するが、好ましくは室温から60℃である。
【0022】
加水分解反応後、使用した塩基と等量、あるいは小過剰の酸を反応させることで中和する。好ましい酸としては、塩酸を挙げることができる。中和反応は0℃から100℃で進行するが好ましくは0℃から60℃である。
【0023】
次いで、中和させた反応物を冷却しながら撹拌した後、析出物を濾取、乾燥して結晶を得る。撹拌条件、濾別までの時間は特に限定されないが、それらの条件が結晶の収率、化学純度、粒子径、粒度分布などに影響することがあるので、目的に応じて組み合わせて設定することが好ましい。濾取は通常の方法、例えば自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、または遠心分離を用いることができる。乾燥は通常の方法、例えば自然乾燥、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。
【0024】
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステルの合成はいかなる方法で行ってもよいが、下記スキームAで示したように合成することができる。すなわち、イミダゾール誘導体(V)をブロモ化して化合物(IV)を得た後に、塩基およびハライド化合物を用いた反応、もしくはアルコールを用いた光延反応でN−アルキル化を行い、化合物(III)を得る。化合物(III)とボロン酸誘導体との鈴木カップリング反応により、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のアルキルエステル(II)を得る。かかる化合物(II)のエステル基を加水分解することで、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(I)を得ることができる。
【0026】
(スキーム中、Rはアルキル基である)。スキームAにおける化合物(V)から(IV)への臭素化の好ましい試薬としては、臭素、N−ブロモスクシンイミド(NBS)等を挙げることができる。また本反応における溶媒は特に限定されないが、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン溶媒、アセトニトリル、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。本反応は0℃から100℃で反応するが、室温から50℃で行うのが好ましい。
【0027】
化合物(IV)から化合物(III)へのN−アルキル化は、塩基およびハライド化合物を用いた反応、またはアルコールを用いた光延反応により進行する。塩基およびハライド化合物を用いた場合の塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水素化ナトリウム等を挙げることができるが、このうち好ましい塩基としては炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンである。また、ハライド化合物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物が挙げられるが、好ましいハライド化合物としては塩化物、臭化物である。塩基およびハライド化合物存在下での反応温度は、室温から150℃が好ましく、より好ましくは50℃から120℃である。また本反応における溶媒は特に限定されないが、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、キシレン、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。また化合物(IV)から化合物(III)へのN−アルキル化は、アルコールとの光延反応でも進行する。光延反応の条件としては、不活性な溶媒中、ホスフィン化合物、縮合剤、アルコール、化合物(IV)を反応させることで、化合物(III)が得られる。ホスフィンとしては、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられるが、好ましくはトリフェニルホスフィンである。また好ましい縮合剤としては、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)またはアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)である。本光延反応の反応温度は、0℃から100℃のいずれでもよいが、好ましい反応温度としては、室温から80℃である。また光延反応の溶媒は特に限定されないが、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ジクロロメタン等のハロゲン溶媒、トルエン、キシレン、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0028】
化合物(III)から化合物(II)への鈴木カップリング反応は、化合物(III)とボロン酸誘導体、パラジウム触媒、塩基を、反応に不活性な溶媒中で加熱することで進行する。本反応は、不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。ボロン酸誘導体としては、ボロン酸、ボロン酸ピナコールエステルを好ましい例として挙げることができる。またパラジウム触媒としては、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl
2(dppf))、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh
3)
4)等を用いることが好ましい。また塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウムを好ましい塩基として挙げることができる。また本反応における溶媒は特に限定しないが、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン、水、またはこれらの混合溶媒を用いるのが良い。本反応は50℃から150℃で進行するが、好ましくは80℃から120℃である。
【0029】
本発明の結晶は、上記反応より得られた2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を、適当な溶媒に懸濁させて撹拌することによっても得ることができる。かかる溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トルエン、アニソール、および水が挙げられる。本発明のそれぞれの結晶は、特徴的な粉末X線回折スペクトルや熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)によって他の結晶形と区別できるが、他の結晶形の混入率という点について言及するものではない。特定の結晶を単独で得る場合、少なくとも、これらの測定方法によって検出できない程度の混入であれば許容される。また、医薬としてそれぞれ特定の結晶を原体として使用する場合、他結晶の含有を許容しない趣旨でもない。
【0030】
本発明のそれぞれの結晶は、いずれも医薬の有効成分として用いることができる。また、単独の結晶のみならず、2種以上の混合物で用いることができる。
本発明において、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶を得ることにより、結晶でないものに比べ、製造時の取り扱いや再現性、安定性、また、保存安定性などが有利となる。
本発明の結晶と、医薬上許容される担体を用いて医薬組成物とすることができる。
【0031】
本発明の結晶を含有する製剤は、通常製剤化に用いられる添加剤を用いて調製される。それら添加剤としては、固形製剤の場合、乳糖、白糖、ブドウ糖、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及びリン酸水素カルシウム等の賦形剤;結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びポリビニルピロリドン等の結合剤;デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルスターチナトリム等の崩壊剤;タルク、及びステアリン酸類等の滑沢剤;ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びエチルセルロース等のコーティング剤;着色剤;半固形製剤の場合、白色ワセリン等の基剤、液状製剤の場合、エタノール等の溶剤、エタノール等の溶解補助剤、パラオキシ安息香酸エステル類等の保存剤、ブドウ糖等の等張化剤、クエン酸類等の緩衝剤、L−アスコルビン酸等の抗酸化剤、EDTA等のキレート剤、及びポリソルベート80等の懸濁化剤・乳化剤、等を挙げることができる。
【0032】
本発明の結晶は、固形製剤、半固形製剤、及び液状製剤等のいずれの剤形、経口剤及び非経口剤(注射剤、経皮剤、点眼剤、坐剤、経鼻剤、および吸入剤等)のいずれの適用製剤であっても使用することができる。
【0033】
本発明の結晶を有効成分として含有する医薬組成物は、URAT1阻害薬、もしくは痛風、高尿酸血症、高血圧症、間質性腎炎等の腎疾患、糖尿病、動脈硬化症、またはレッシュ・ナイハン症候群等、URAT1の関与する疾患の治療薬または予防薬として用いることができる。ここで、「予防」とは、未だ罹患または発症をしていない個体において、罹患または発症を未然に防ぐことであり、「治療」とは既に罹患または発症した個体において、疾患や症状を治癒、抑制または改善させることをいう。
【実施例】
【0034】
[測定方法]
本発明の結晶の粉末X線回折は、以下の条件で測定した。
装置:ブルカー・エイエックスエス製D8 DISCOVER With GADDS CS線源:Cu・Kα,波長:1.541838(10
−10m)、40kv−40mA、入射側平板グラファイトモノクロメータ、コリメータφ300μm、2次元PSPC検出器、スキャン3〜40°
[測定方法]
本発明の結晶の固体NMRスペクトルは、以下の条件で測定した。
装置: ブルカー製 DSX300WB
測定温度: 室温
測定核: 13C
パルス繰り返し時間: 5秒
パルスモード: CP/MAS測定
[測定方法]
本発明の結晶の赤外吸収スペクトルは、日本薬局方の一般試験法に記載された赤外スペクトル測定法の臭化カリウム錠剤法に従い、以下の条件で測定した。
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック製 AVATAR320
測定範囲:4000〜400cm
−1
分解能:4cm
−1
積算回数:64
【0035】
本発明の結晶の熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)は、以下の条件で測定した。
装置:リガク製TG8120
昇温速度:毎分10℃、雰囲気:窒素、サンプルパン:アルミニウム、リファレンス:アルミナ、サンプリング:1.0秒、測定温度範囲:20〜300℃
【0036】
[実施例1]
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のA晶の製造
エチル 2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(5.0g,11.7mmol)をエタノール(32.5mL)に懸濁し、そこに2M水酸化ナトリウム水溶液(11.7mL,23.5mmol)を加えて60℃で1時間撹拌し溶解を確認した。反応後、フィルターを通し、水(5.0mL)で洗浄後、2M塩酸(11.7mL,4.4mmol)を60℃で1時間以上かけて添加し中和した。結晶の析出後、60℃で30分、室温で30分、0℃で30分撹拌後、結晶をろ取した。得られた結晶を水(90mL)とエタノール(10mL)の混合溶媒で洗浄し、50℃で終夜減圧乾燥をし、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶を得た。得られた結晶のXRDを
図1に示す。回折角2θ=13.4°、15.2°、20.0°、20.8°、24.0°、26.6°、30.1°、30.7°、31.3°、および33.0°にピークが観測された。得られた結晶の固体NMRスペクトルを
図3に、赤外吸収スペクトルを
図5に示す。また、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)における吸熱ピークは、234℃であった。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:13.13(1H,s),8.70(1H,brs),8.55(1H,brs),8.02(1H,brs),7.50(1H,d,J=8.0Hz),7.38(1H,dd,J=8.4,2.4Hz),6.60(1H,brs),5.60(2H,s),2.49(3H,s).
【0037】
[実施例2]
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸のB晶の製造
エチル 2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(1.0g,2.35mmol)をテトラヒドロフラン(6.5mL)とエタノール(6.5mL)の混合溶媒に懸濁し、そこに2M水酸化ナトリウム水溶液(2.35mL,4.7mmol)を加えて50℃で1時間撹拌し溶解を確認した。反応後、フィルターを通し、水(10mL)で洗浄後、室温まで冷却し2M塩酸(2.35mL,4.7mmol)を加えて中和した。結晶の析出後、0℃まで冷却し、30分撹拌後、結晶をろ取した。得られた結晶を水(4.5mL)とエタノール(0.5mL)の混合溶媒で洗浄し、45℃で終夜減圧乾燥をし、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の結晶(917mg)を得た。得られた結晶のXRDを
図2に示す。回折角2θ=10.8°、12.0°、13.8°、16.0°、19.3°、21.0°、22.4°、23.7°、26.6°、および31.2°にピークが観測された。得られた結晶の固体NMRスペクトルを
図4に、赤外吸収スペクトルを
図6に示す。また、熱重量測定・示差熱分析(TG/DTA)における吸熱ピークは236℃であった。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:13.13(1H,s),8.70(1H,brs),8.55(1H,brs),8.02(1H,brs),7.50(1H,d,J=8.0Hz),7.38(1H,dd,J=8.4,2.4Hz),6.60(1H,brs),5.61(2H,s),2.49(3H,s).
【0038】
[参考例1]
エチル 2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレートの製造
実施例1、2で使用したエチル 2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレートは下記の方法に従って製造した。
【0039】
【化4】
【0040】
(1)エチル 4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(7.5g,48.7mmol)をアセトニトリル(120mL)に溶解し、そこにN−ブロモスクシンイミド(10.4g,58.4mmol)を加えて室温下3時間撹拌した。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで2度抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製し、エチル 2−ブロモ−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(3.6g)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δ:4.35(2H,q,J=7.1Hz),2.51(3H,s),1.37(3H,t,J=7.1Hz).
【0041】
(2)(1)に記載のエチル 2−ブロモ−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(2.75g,11.81mmol)をDMF(20mL)に溶解し、炭酸カリウム(3.26g,23.62mmol)と2,5−ジクロロベンジルブロミド(3.4g,14.17mmol)を加えて90℃で3時間撹拌した。反応後、水を加え、酢酸エチルで2度抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製し、エチル 2−ブロモ−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(1.72g)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δ:7.34(1H,d,J=8.8Hz),7.20(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),6.40(1H,d,J=2.4Hz),5.60(2H,s),4.25(2H,q,J=7.2Hz),2.56(3H,s),1.27(3H,t,J=7.1Hz).
【0042】
(3)エチル 2−ブロモ−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(100mg,0.26mmol)、5−クロロピリジン−3−イルボロン酸(30mg,0.51mmol)、PdCl
2(dppf)(28mg,0.038mmol)、炭酸セシウム(166mg,0.51mmol)を1,4−ジオキサン(0.71mL)と水(0.14mL)との混合溶媒に溶解し、その溶液を窒素雰囲気下、95℃で終夜撹拌した。反応後、水を加え、酢酸エチルで2度抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製し、エチル 2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(35mg)を得た。
1H−NMR(CDCl
3)δ:8.62(1H,d,J=2.0Hz),8.46(1H,d,J=2.0),7.89(1H,t,J=2.4Hz),7.37(1H,d,J=8.4Hz),7.25(1H,dd,J=9.2,2.6Hz),6.65(1H,d,J=2.0),5.55(2H,s),4.27(2H,q,J=6.8Hz),2.64(3H,s),1.28(3H,t,J=6.8Hz).
【0043】
[参考例2]
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の製造
エチル 2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(35mg,0.0824mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)とメタノール(0.5mL)の混合溶媒に溶解し、そこに2M水酸化ナトリウム水溶液(0.2mL,0.4mmol)を加えて50℃で3時間撹拌した。反応後、2M塩酸(0.2mL,0.4mmol)を加えて中和し、濃縮した。残査を常法により精製し、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(22mg)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:8.71(1H,d,J=2.4Hz),8.56(1H,d,J=2.0Hz),8.02(1H,t,J=2.0Hz),7.50(1H,d,J=8.3Hz),7.38(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),6.62(1H,d,J=2.4Hz),5.61(2H,s),2.50(3H,s).
【0044】
[参考例3]
ヒトURAT1発現細胞を用いた尿酸輸送阻害試験
2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸をDMSO(シグマ社製)に20mMの濃度になるように溶解した後、使用時の目的の濃度に調製して用いた。ヒトURAT1(hURAT1)完全長cDNA(Origene社製、NCBI Reference Sequence:NM_144585)を発現ベクターpCMV6−Kan/Neo(Origene社製)にサブクローニングし、リポフェクタミン2000(インビトロジェン社製)を用いたリポソーム法により、ヒトURAT1遺伝子をヒト胎児腎由来細胞(HEK293細胞)に導入し、Geneticin耐性によりヒトURAT1遺伝子を発現したHEK293細胞を選別した。下記方法と同様の方法で、
14Cで標識された尿酸が細胞内に輸送されることを指標に、ヒトURAT1遺伝子が機能を発現していることを確認した。
ヒトURAT1発現HEK293細胞を、24穴細胞培養ディッシュに3×10
5個/mL/ウェルになるように播種し、10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM培地)で37℃、2日間培養した後、以下の尿酸輸送阻害試験を行った。
【0045】
各ウェルから培地を吸引除去した後、細胞をHanks’Balanced Salt Solution(HBSS)中のNaClをNa−gluconateで置換した溶液(以下、HBSS/Na−gluconate)と置き換え、37℃で約10分間プレインキュベーションした。HBSS/Na−gluconateを吸引除去した後、予め37℃に加温した種々の濃度の化合物と放射性リガンド(
14Cで標識された尿酸;最終濃度25μM)を含む
14C−尿酸溶液を添加し、37℃で5分間インキュベーションし取り込み反応を行った。反応後、
14C−尿酸溶液を吸引除去し、氷冷したHBSSで3回洗浄した。ヒトURAT1発現HEK293細胞を0.2mol/LのNaOH水溶液で溶解(以下、細胞サンプル)してウェルから採取し、細胞サンプルと液体シンチレーションカクテルULTIMA GOLD(パーキンエルマー社製)を混和し、液体シンチレーションカウンター(ベックマン・コールター社製)で放射活性を測定した。
URAT1特異的な尿酸輸送を示す放射活性(化合物無添加(DMSO添加)でのヒトURAT1発現細胞HEK293細胞における放射活性)を100%として、化合物各濃度における尿酸輸送率(% of control uptake)を算出し、尿酸輸送率が50%に阻害される化合物濃度(IC
50)を求めた。IC
50は0.2μM以下であった。
【0046】
[参考例4]
フサオマキザル薬効評価試験
フサオマキザルに0.5%メチルセルロース液に懸濁した2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(3mg/kg〜30mg/kg)をディスポーザブルカテーテル及び注射筒を用いて鼻腔から胃内に投与した。投与前、投与後30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間に血液を、投与直後から4時間、投与後4時間から8時間、投与後8時間から16時間、投与後16時間から24時間の間の尿サンプルを採取した。採取した血液と尿サンプル中の尿酸及びクレアチニンの濃度を自動分析装置(日本電子株式会社)により測定した。尿酸はLタイプワコーUA・F(和光純薬工業)、クレアチニンはLタイプワコークレアチニン・F(和光純薬工業)を用いて測定した。血中及び尿中の尿酸濃度から尿酸クリアランスを、同様にクレアチニン濃度からクレアチニンクリアランスを算出し、尿酸排泄率を下式により求めた。
尿酸排泄率(%)=(尿酸クリアランス/クレアチニンクリアランス)×100
本試験において、2−(5−クロロピリジン−3−イル)−1−(2,5−ジクロロベンジル)−4−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の優れた尿酸排泄促進作用が確認された。