(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289620
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】除湿器
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
B01D53/26 210
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-519428(P2016-519428)
(86)(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公表番号】特表2016-523700(P2016-523700A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】KR2014004570
(87)【国際公開番号】WO2014200200
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2016年9月28日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0066626
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515034378
【氏名又は名称】イ ボラム
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】イ ボラム
【審査官】
神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−293329(JP,A)
【文献】
特開2006−149856(JP,A)
【文献】
特開2009−018226(JP,A)
【文献】
実開昭62−048418(JP,U)
【文献】
実開平03−084753(JP,U)
【文献】
国際公開第2008/116662(WO,A1)
【文献】
米国特許第05907908(US,A)
【文献】
米国特許第06423122(US,B1)
【文献】
米国特許第06767521(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0098450(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0034788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 7/00−7/30
A47G 25/00−25/92
B01D 53/26−53/28
B01J 20/00−20/34
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿剤が含まれて、第1掛け孔が形成された除湿バッグと、該除湿バッグの下部に結合して該除湿バッグと連通する貯水部とを含む除湿ユニット;
空気の流れが円滑に誘導する換気口と第2ハンガー形成された上部カバー;及び、
該上部カバーの下部に結合する下部貯水タンク;を含み、
該第1掛け孔が該第2ハンガーに掛かるとき、該貯水部の床は、該下部貯水タンクの内側の底の面により支持され、
前記貯水部の床面は幅方向にフォールディングラインが具備され、該フォールディングラインを中心に内向きに畳まれていて、前記除湿バッグの吸収液が前記貯水部に貯蔵されると、該吸収液の自重によって該フォールディングラインを中心に拡張されることを特徴とする、除湿器。
【請求項2】
前記貯水部は幅方向の断面積が下に益々増加するように形成される、請求項1に記載の除湿器。
【請求項3】
前記貯水部の側面及び床面は一体型に形成される、請求項2に記載の除湿器。
【請求項4】
前記上部カバー及び前記下部貯水タンクが長方形のボックスを形成し、前記上部カバーは上部になるほど内部が狭くなるように形成される、請求項1に記載の除湿器。
【請求項5】
前記第1掛け孔が、前記除湿バッグの上部が穿孔されて形成された少なくとも一つの孔であり、前記第2ハンガーが、前記上部カバーの天井内側に輪の形で形成される、請求項1に記載の除湿器。
【請求項6】
前記除湿剤が塩化カルシウムを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の除湿器。
【請求項7】
前記上部カバー上面には、前記第1掛け孔が具備された前記除湿バッグの上段を前記上部カバーの上部に引き出して、前記第1掛け孔が前記第2ハンガーに対応して掛けることができるように切開穴が形成される、請求項1に記載の除湿器。
【請求項8】
前記切開穴が、前記上部カバーの中央の長さ方向に穿孔される、請求項7に記載の除湿器。
【請求項9】
前記第2ハンガーが、前記切開穴を中心に前記上部カバーの上部の左右どちらか一方、または両側に形成される、請求項8に記載の除湿器。
【請求項10】
前記第2ハンガーが、前記第1掛け孔の数に対応して形成される、請求項9に記載の除湿器。
【請求項11】
前記切開穴が、前記第1掛け孔が具備された前記除湿バッグの上段フレームの幅に合致する幅で形成される、請求項10に記載の除湿器。
【請求項12】
前記貯水部の枠は、熱融着によって接着される、請求項1に記載の除湿器。
【請求項13】
前記除湿バッグと前記貯水部との間が隔離部によって隔離され、該隔離部には前記除湿バッグと前記貯水部とを連結する連結通路が少なくとも一つ以上形成される、請求項7に記載の除湿器。
【請求項14】
前記隔離部は、ビニールと半透膜シートとを熱融着して形成される、請求項13に記載の除湿器。
【請求項15】
前記除湿剤の破片を隔離する隔離空間が形成されるように、隔離突起が前記隔離部で上方に突き出して形成される、請求項14に記載の除湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿器に関する。より、詳しくは除湿剤を使用する化学的方式の除湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿器は、空気中の湿気を吸収する装置として、主として機械的方式と除湿剤を使用する化学的方式がある。 化学的方式は、構成がシンプルでサイズが小さく、クローゼットのような狭い、密閉された空間に便利に使用することができる。ここで除湿剤は通常、塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどの塩化物が使用される。これらの物質は強力な吸水力を持っているために空気の湿気を吸収することができる。これらの除湿剤を活用した除湿器は、一般的に 除湿剤を保有して除湿剤によって吸収された水を格納する構成が要求される。
【0003】
大韓民国公開特許公報2005-0008705号(2005.01.21.公開、以下、本文献という)では、湿気吸収剤を使用する除湿装置を提示している。本文献では塩化カルシウムで構成される湿気吸収剤から流れ出た液体を貯蔵するための貯水箱が設けられる。 家庭で主に使用する除湿器は貯水箱として、通常プラスチックボックスが使用される。このようなボックスタイプの除湿器はプラスチックボックスの中に塩化カルシウムや塩化マグネシウムのような塩化物を入れてその上部を半透膜シートで密封する構成を有する。 半透膜シートは、微細な穴を通じて空気や気化状態の水分子のような単一分子は容易に通過させるが、液体状態で結合された多数の分子集団は通過させないため、吸収液が外に漏れないように防ぐ役割を果たしている。 ボックス型の除湿器はクローゼットの内部の床に設置されるのが一般的である。
【0004】
このようなボックスタイプの除湿器は構造的に安全で、衝撃によって倒れたり、破損される場合は少ないながらも、ボックスの上面だけが空気と接触して周りがボックスの壁面で塞がれているために除湿効率が落ちる問題点がある。また、除湿が行われて吸収液が基準値以上になると、塩化物が吸収液の中に埋もれてしまって、除湿能力が著しく低下する問題点が発生する。そして、使用が終わった除湿器の場合、ボックス内部に吸収液と塩化カルシウムが混在された状態であるため廃棄が難しい問題点がある。
【0005】
これに、塩化カルシウムのみを交替できるように構成された除湿器があるが、 これは構造的な問題で吸収液が流出しやすく、交換時に使用者の肌が塩化カルシウムと接触する危険が高い。このようなボックスタイプの除湿器の短所を補完する除湿バッグタイプの除湿器がある。除湿バッグタイプの除湿器は ビニールと半透膜シートで接着された除湿バッグの内部に塩化カルシウムを入れて除湿バッグの下部に連通する貯水部を含む構成を有する。除湿バッグと貯水部の間には連結流路が形成され、この連結流路を通じて除湿バッグで吸収液が下部の貯水部に流れて貯蔵される。
【0006】
このような除湿バッグはボックスタイプの除湿器に比べて空気と接触面積が大きくて、上下に薄く長く設置される構造上、溶解熱によって加熱されて空気の対流を妨げない、除湿効率が高い利点がある。また、ボックスタイプの除湿器より相対的に体積が小さく、使用が終わった後廃棄が容易な長所がある。しかし、このような除湿バッグタイプの除湿器の場合、通常的に、クローゼットのハンガーにかけて設置するか、除湿バッグの強度が大きくないビニールと半透膜シートで構成されており、吸収液が貯水部に貯蔵されるほど荷重が増加し、除湿バッグが破裂する危険が大きい。
【0007】
クローゼットのように密閉された空間では、下の部分が、相対的に湿度が高く、重いので除湿器を下部に設置することが除湿効率を高めるのに有利だが、除湿バッグタイプの除湿器はほとんどクローゼットの上部にあるハンガーにわたって設置しなければならず、吸収液の増加による除湿バッグの破損の危険が大きいため、除湿の効率を高めるための除湿器設置に多くの制約が伴う。
【0008】
また、除湿バッグの強度を高めるため、連結部位をプラスチックといった素材の別部品で構成するのは製造コストを大幅に高める問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2005―0008705号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、除湿バッグタイプで構成されながらも吸収液の増加による除湿バッグの破損の危険を防止できる除湿器を提供することを目的とする。また、除湿バッグの破損時にも吸収液を貯蔵して吸収液が外部に流出することを防止する貯水機能がある下部の下部貯水タンクを提供することを目的とする。さらに、使用後、廃棄が容易で、製造コストを削減できる除湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、除湿剤が含まれて、第1掛け孔が形成された除湿バッグと、該除湿バッグの下部に結合して該除湿バッグと連通する貯水部とを含む除湿ユニット;空気の流れが円滑に誘導する換気口と第2ハンガー形成された上部カバー;及び、該上部カバーの下部に結合する下部貯水タンク;を含み、該第1掛け孔が該第2ハンガーに掛かるとき、該貯水部の床は、該下部貯水タンクの内側の底の面により支持されることを特徴とする、除湿器を提供する。
望ましくは、前記貯水部の床面には内向きのフォールディングラインが幅方向に形成される。
望ましくは、前記貯水部は幅方向の断面積が下に益々増加するように形成される。
望ましくは、前記貯水部の側面や床面は一体型に形成される。
望ましくは、前記上部カバー及び前記下部貯水タンクが長方形のボックスを形成し、前記上部カバー部上部になるほど内部が狭くなるように形成される。
望ましくは、前記第1掛け孔が、前記除湿バッグの上部が穿孔されて形成された少なくとも一つの孔であり、前記第2ハンガーが、前記上部カバーの天井内側に輪の形で形成される。
望ましくは、前記除湿剤が塩化カルシクムを含む。
望ましくは、前記上部カバー上面には、前記第1掛け孔が具備された前記除湿バッグの上段を前記上部カバーの上部に引き出して前記第1掛け孔が、前記第2ハンガーに対応して掛けることができるように切開穴が形成される。
望ましくは、前記切開穴が、前記上部カバーの中央の長さ方向に穿孔される。
望ましくは、前記第2ハンガーが、前記切開穴を中心に前記上部カバーの上部の左右どちらか一方、又は両側に形成される。
望ましくは、前記第2ハンガーが前記第1掛け孔の数に対応して形成される。
望ましくは、前記切開穴が、前記第1掛け孔が具備された前記除湿バッグの上段フレームの幅に合致する幅で形成される。
望ましくは、前記貯水部の床面は幅方向に前記フォールディングラインが具備され、前記フォールディングラインを中心に内向きに畳まれていて、前記除湿バッグの吸収液が前記貯水部に貯蔵されると、該吸収液の自重によって前記フォールディングラインを中心に拡張される。
望ましくは、前記貯水部の枠は熱融着によって接着される。
望ましくは、前記除湿バッグと前記貯水部との間は隔離部によって隔離され、該隔離部には前記除湿バッグと前記貯水部とを連結する連結通路が少なくとも一つ以上形成される。
望ましくは、前記隔離部はビニールと半透膜シートとを熱融着して形成される。
望ましくは、前記除湿剤の破片を隔離する隔離空間が形成されるように、隔離突起が前記隔離部で上方に突き出して形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の除湿器によると、除湿ユニットが上部カバーにひいたとき、除湿ユニットの貯水部の床が下部貯水タンクによって支持されるように構成されることにより、貯水部に吸収液が増加し、除湿ユニットの荷重が増加しても除湿ユニットの除湿バッグが破損することを防止するという有利な効果が奏される。
そして、本発明による除湿器によると、貯水部の床面には内向きのフォールディングラインが幅方向に形成されて、幅方向の断面積が下にますます増加するように形成され、下部の貯水部の床をより安定的に支持するようにするという有利な効果が奏される。
また、本発明の除湿器によると、相互の結合した上部カバーと下部貯水タンクの中に除湿ユニットがと設置されるため、除湿ユニットの荷重増加に伴う設置領域の制約を受けずに、除湿効率を高めるための多様な位置に除湿器を設置することが可能になるという有利な効果が奏される。
さらに、本発明の除湿器によると、使用が終わった除湿ユニットのみを交替するように構成して、廃棄の容易性と資源の有効活用性という有利な効果が奏される。
さらにまた、本発明の除湿器によると、半透明シートで構成される除湿バッグの一部を穿孔させることだけで第1掛け孔を形成することにより、製造原価を大幅に減らすことができるという有利な効果が奏される。
そして、本発明の除湿器によると、除湿バッグや貯水部などの除湿ユニットが破損されても流出した吸収液が下部貯水タンクに一時的に貯蔵されて被害を防止するという有利な効果が奏される。
また、本発明の除湿器によると、上部カバーの内面と除湿バッグの間の余裕空間であるデッド・スペース(dead space)を除去することにより、除湿バッグに除湿剤の充填量を増やしたり、貯水部の容量を増やすという有利な効果が奏される。
さらに、本発明の除湿器によると、湿気を十分に吸収していない状態の除湿剤の破片と不飽和の状態の除湿剤とが下部の貯水部に落ちないように隔離突起によって阻止されて上部除湿バッグに残って、継続的に湿気を吸収して除湿効果を高められるという有利な効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による除湿器を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1で示した除湿器の除湿のユニットと上部カバーと下部貯水タンクとを示す図である。
【
図3】
図3は、
図2で示した上部カバーの第2ハンガーを示す図である。
【
図4】
図4は、上部カバーに除湿ユニットが装着された状態を示す図である。
【
図5】
図5は、除湿ユニットが上部カバーに装着されたとき、除湿ユニットの貯水部の床が下部貯水タンクによって支持される状態を示す図である。
【
図6】
図6は、除湿ユニットの周囲の気流の流れを示す図である。
【
図7】
図7は、貯水部のフォールディングラインが広がって下部貯水タンクによって支持される状態を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の一実施形態の除湿器の斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の別の一実施形態による除湿器の上部カバーから除湿バッグの上段の枠を引き出した状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の別の一実施形態による除湿器の上部カバーから除湿バッグの上段の枠を引き出した状態を示す側断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の別の一実施形態による除湿器の上部カバーから引き出した除湿バッグの上段の枠の第1掛け孔が、第2ハンガーに掛かった状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の別の一実施形態による除湿器の上部カバーから引き出した除湿バッグの上段の枠の第1掛け孔が、第2ハンガーに掛かった状態を示す側断面図である。
【
図13】
図13は、従来の除湿器の除湿バッグと貯水部との間の隔離部を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の別の一実施形態による除湿器の除湿バッグと貯水部の間の隔離部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付された図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0015】
まず、各図面の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されても可能な限り同一の符号を持つようにしていることに留意しなければならない。また、以下で本発明の望ましい実施形態を説明することや、本発明の技術的思想はこれに限定したり、制限されず、当業者によって変形され、多様に実施されることは勿論である。
【0016】
図1は本発明の望ましい一実施形態による除湿器を図示した図面で、
図2は、
図1で図示した除湿器の除湿のユニットと上部カバーと下部貯水タンクを図示した図面である。こうした、
図1および
図2は、本発明を概念的に明確に理解するために、主要な特徴の部分のみを明確に図示したものであり、その結果、 図解の多様な変形が予想され、図示された特定形状により本発明の範囲が制限される必要はない。
図1および
図2を並行参照すると、本発明の望ましい一実施形態による除湿器は除湿ユニット(100)と上部カバー(200)と、下部貯水タンク(300)とを含む。
【0017】
まず、除湿ユニット(100)は除湿剤の吸収力で空気中の湿気を吸収する役割を果たしている。 このような除湿ユニット(100)は除湿バッグ(110)と貯水部(120)を含むことができる。 除湿バッグ(110)は、内部に空間を形成する袋の形で形成され、少なくとも一方の面は気体が透過される半透膜シートである。 除湿バッグ(110)は幅が広くて厚さが薄い四角封筒の形で形成されことができる。除湿バッグ(110)内部には除湿剤を充填している。除湿剤として塩化カルシウムが使用することができる。 ここで、塩化カルシウムは丸いボールタイプ、フレークタイプなどの様々な形を持つように実施されることができる。
【0018】
除湿バッグ(110)は、枠が接着されて内部に空間を形成するように形成されるが、除湿バッグ(110)の上端の縁に孔が具備されて第1掛け孔(111)が形成されることができる。本発明の望ましい一実施形態を説明することにおいて、第1掛け孔(111)は除湿バッグ(110)の一部が穿孔され、第1掛け孔(111)が形成されるものと例示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0019】
このような除湿バッグ(110)は除湿剤が上側の半透膜シートだけで空気と接触できる従来のボックスタイプの除湿器より空気との接触面積が広くて空気の対流が活発で、除湿の効率を高めることができる。
【0020】
貯水部(120)は防水性材質で構成され、除湿バッグ(110)から流入される吸収液を貯蔵する役割を果たしている。こうした貯水部(120)は除湿バッグ(110)の下部に結合し、除湿バッグ(110)の吸収液は自重によって連結通路(123)を経て貯水部(120)に貯蔵される。貯水部(120)は、幅が広くて厚さが薄い四角封筒の形で形成されることができる。また、貯水部(120)の床面(121)は、幅方向にフォールディングライン(122)が形成されることができる。フォールディングライン(122)は内向 に畳まれるように構成され、貯水部(120)に吸収液の増加によってフォールディングライン(122)は次第に外側に向かって伸ばすように構成される。この時、貯水部(120)は幅の断面積が下に益々増加するように構成される(
図6および
図7参照)。これは貯水部(120)に吸収液が貯蔵された状態でより安定的に除湿ユニット(100)を支持するための構成である。
【0021】
貯水部(120)はフォールディングライン(122)が内向して折った状態で使用者に提供されおり、床面(121)に幅方向に形成されるフォールディングライン(122)に対応して多様なフォールディングラインが貯水部(120)全体に追加的に形成されることができる。また、貯水部(120)の側面や床面は一体で形成されられており、これに対応してフォールディングライン(122)と連結される多様なフォールディングラインが貯水部(120)全体に形成されることができる。
【0022】
貯水部(120)の側面や床面を一体で形成すれば、貯水容量が容易に拡大する効果があるが、貯水容量が拡大された貯水部(120)の強度が低下する可能性があるが、本発明の望ましい一実施形態による除湿器で貯水部(120)の床面(121)は下部貯水タンク(300)によって支持されるように構成されるために貯水部(120)の強さに制約なしに貯水部(120)の側面や床面を一体に成形することが可能である。これは除湿ユニット(100)の製造コストを大幅に縮小する利点を提供する。
【0023】
一方、このように除湿バッグ(110)と貯水部(120)が区画されて形成されるために、除湿剤が吸収液に埋もれてしまって、除湿効率が落ちるボックスタイプの除湿器の問題を根本的に防止することができる。
【0024】
図3は、
図2で図示した上部カバーの第2ハンガーを示す図である。
図2および
図3を並行参照すれば、上部カバー(200)は除湿ユニット(100)が設置された上部空間を形成し、除湿バッグ(110)に接触した空気の流れが円滑に誘導する換気口(210)が形成される。上部カバー(200)は、下側が開放された状態で上側と周りが壁に形成された屋根の形で実施されることができ、換気口(210)は、円形や長方形のホールが混在して使用することができる。
【0025】
一方、
図3を参照すれば、上部カバー(200)の上面の内側には第2ハンガー(220)が形成される。 第2ハンガー(220)は除湿バッグ(110)に形成された第1掛け孔(111)と互いにかかって、除湿ユニット(100)を支持する役割をしている。 第2ハンガー(220)は、上部カバー(200)の上面の内側で、延長形成されて輪の形で形成されることができる。しかし、本発明はこうした第2ハンガー(220)の形態に制限されず、第1掛け孔(111)と相互が掛かるように構成されて除湿ユニット(100)を支持する構成なら、第2ハンガー(220)は、さまざまな形で変更実施されることができる。
【0026】
下部貯水タンク(300)は貯水部(120)が位置する下部の空間を形成し、上部カバー(200)と結合するように構成される。このような下部貯水タンク(300)は貯水部(120)の床面と接しられる平らな床面を形成して上側は開放された形で形成されることができる。
【0027】
図4は上部カバーに除湿ユニットが装着された状態を示す図である。
図4を参照すれば、上部カバー(200)に除湿ユニット(100)が装着されたことを確認することができる。
図2および
図3でそれぞれ図示した第1掛け孔(111)に第2ハンガー(220)が相互かかることにより、
図4で図示したとおり、貯水部(120)が下にぶら下がった状態で除湿ユニット(100)が上部カバー(200)の天井に掛かる。また、除湿ユニット(100)の一部が破損して吸収液が漏れるとしても下部貯水タンク(300)に一時的に貯蔵されて外部流出による被害を防止することができる。
【0028】
図5は除湿ユニットが上部カバーに装着されたとき、除湿ユニットの貯水部の床が下部貯水タンクによって支持される状態を示す図である。
【0029】
上部カバー(200)に除湿ユニット(100)が装着され、上部カバー(200)に下部貯水タンク(300)が結合された時に、除湿ユニット(100)の貯水部(120)の床は下部貯水タンク(300)によって支持される。 つまり、
図5に図示されたとおり、第2ハンガー(220)に第1掛け孔(111)が掛かった時、第1掛け孔(111)から貯水部(120)の床面までの距離である第2距離(L2)が、第2ハンガー(220)から下部貯水タンク(300)の内側の底までの距離である第1の距離(L1)より長く形成される。 これは上部カバー(200)に除湿ユニット(100)が装着されていた時、 貯水部(120)の床面が下部貯水タンク(300)の床面に接触するように構成される。
【0030】
図6は除湿ユニットの周囲の気流の流れを示した図で、
図7は、貯水部のフォールディングラインが広がって下部貯水タンクによって支持される状態を示す図である。
【0031】
図6を参照すれば、除湿バッグ(110)の除湿剤が吸収された水溶液が貯水部(120)に貯蔵されたことによって貯水部(120)の床面が拡張され、下部貯水タンク(300)の床面(310)と支持面とを形成する。これにより、第1掛け孔(
図2の111)が吸収液の荷重によって破損されることを防止することができる。吸収液によって増えている荷重は下部貯水タンク(300)の床面(310)で支持するために貯水部(120)の容量を大幅に増やすことが可能である。
【0032】
一方、除湿バッグ(110)で湿気の吸収が起きると、溶解熱が発生して除湿バッグ(110)の周りの空気は加熱される。除湿バッグ(110)の周りの空気が加熱されたことによって上昇気流が発生して、新しい空気が除湿バッグ(110)の周りに続いて流入されて、効率的な除湿が行われる。
【0033】
上側だけで空気と接触する従来のボックスタイプの除湿器と異なり、本発明の望ましい一実施形態による除湿器は除湿バッグ(110)が上下方向に吊り下げられた形で設置されて、 上昇気流により活発に空気と接触するように形成されて、効果的な除湿が行うことができる、反面、従来のボックスタイプの除湿器は空気との接触面積が小さいだけでなく、溶解熱がボックス全体に分散して効果的な除湿のための空気の対流がよく起きないようになる。このように、上下方向に吊り下げられた除湿バッグ(110)の構成は空気と除湿剤の接触面積を大きくして、除湿バッグ(110)の周りで上昇気流を誘発し、効果的な除湿のための対流を発生させる構成である。
【0034】
図7は、貯水部のフォールディングラインが広がって下部貯水タンクによって支持される状態を示す図である。
図7で図示されたとおり、貯水部(120)に吸収液が貯蔵されたことによって貯水部(120)の床面のフォールディングライン(122)が下向して広がったことで、下部貯水タンク(300)の床面(310)と支持面とを形成する。ここで貯水部(120)は上下方向(H)を基準に、その幅方向の断面積が下にますます増加するように形成されてより安定的に除湿ユニット(100)を支持することができる。
【0035】
図8は本発明の別の一実施形態による除湿器の斜視図である。
図8に図示されたとおり、上部カバー(200)上面には切開穴(230)が具備されている。この切開穴(230)を通じて第1掛け孔(111)が具備された除湿バッグ(110)の上段を上部カバー(200)外部に引き出して上部カバー(200)の一端に固定することができる。切開穴(230)から引き出された除湿バッグ(110)の上段の第1掛け孔(111)が対応して掛かる第2ハンガー(220)は、切開穴(230)を中心に上部カバー(200)の左右のどちらか一方に形成される。
【0036】
別の一実施形態に係る第2ハンガー(220)は切開穴(230)を中心に上部カバー(200)の左右両側に形成される場合、第1掛け孔(111)を左右の区分なしに便利に使うことができる。
【0037】
そして、一般的な大きさより小さな除湿ユニット(100)2個を除湿器に収納して除湿ユニット(100)の1つは左側に形成された第2ハンガー(220)に第1掛け孔(111)を対応して掛けて、除湿ユニット(100)の他の1つは右側に形成された第2ハンガー(220)に第1掛け孔(111)を、対応して掛けることも可能である。勿論、左右のどちらか一方に形成される第2ハンガー(220)の個数は第1掛け孔(111)に合致する個数で形成される。
【0038】
図9は本発明の別の一実施形態による除湿器の上部カバーから除湿バッグの上段を引き出した状態を示す斜視図で、
図10は本発明の別の一実施形態による除湿器の上部カバーから除湿バッグの上段を引き出した状態を示す側断面図である。
【0039】
図9、10に図示されたとおり、切開穴(230)は、上部カバー(200)中央の長さ方向に穿孔される。 切開穴(230)を通じて第1掛け孔(111)が具備された除湿バッグ(110)の上段の枠が引き出されるので切開穴(230)の幅は除湿バッグ(110)の上段の縁に合致する幅で形成される。
【0040】
貯水部(120)の床面(121)には幅方向にフォールディングライン(122)が開設されているため、底(121)はフォールディングライン(122)を中心に内向に畳まれた状態に除湿器内部に収納される。 以降、除湿バッグ(110)の吸収液が貯水部(120)に下降されると、吸収液の自重によってフォールディングライン(122)を中心に畳まれていた床面(121)が拡張され、左右で繰り広げられる。
【0041】
このように床面(121)は、できるだけ多くの量の吸収液を貯蔵できる仕組みである。つまり、床面(121)は、最初フォールディングライン(122)を中心に内向に畳まれて除湿器内部に最小限の空間を占めるように設置されていたが、吸収液が貯水部(120)に下降されると、最大限多くの量の吸収液を貯蔵できるように体積が左右に拡張される。
【0042】
図11は本発明の他の実施形態による除湿器の上部カバーから引き出した除湿バッグの上段の第1掛け孔が、第2ハンガーにかかった状態を示す斜視図で、
図12は、本発明の別の一実施形態による除湿器の上部カバーから引き出した除湿バッグの上段の枠の第1掛け孔が、第2ハンガーにかかった状態を示す側断面図である。
【0043】
図11、12に図示されたとおり、上部カバー(200)に形成された切開穴(230)を通じて第1掛け孔(111)が具備された除湿バッグ(110)の上段から引き出し、第1掛け孔(111)を上部カバー(200)上面に形成された第2ハンガー(220)に対応して結合する。除湿バッグ(110)の上段が切開穴(230)を通じて引き出されたことによって、除湿剤が充填された除湿バッグ(110)上部が上部カバー(200)の内面と余裕空間がなく緊密に密着される。 このように除湿バッグ(110)の内面の余裕空間であるデッド・スペース(dead space)なく密着されるために下部貯水タンク(300)の余裕空間を確保することができる。したがって、確保した空間ほど除湿バッグ(110)に除湿剤をもっと充填したり、貯水部(120)の容量を増やすことができる。
【0044】
また、
図12に図示されたとおり、除湿バッグ(110)の上段を切開穴(230)で引き出して第1掛け孔(111)を第2ハンガー(220)にかければ除湿バッグ(110)の上段が上部カバー(200)一面に密着して支持される。 このような除湿ユニット(100)の設置方式は
図6と一緒に上部カバー(200)の上面内側に形成された第2ハンガー(220)に単純に除湿バッグ(110)第1掛け孔(111)を掛ける方式に比べて、除湿バッグ(110)の上段の全体の面が上部カバー(200)の一面に密着されるため、除湿ユニット(100)をさらに安定した状態で支持することができる。
【0045】
一方、除湿バッグ(110)に入れて使用する塩化カルシウムのような除湿剤は一般的に一定の大きさの円形(ビズ)の粒子を使用する。 除湿バッグ(110)と貯水部(120)とは、ビニールと半透膜シートとを一定した幅に熱で融着した隔離部に分かれているが、隔離部の一部は小さな通路が開放されており、除湿バッグ(110)で吸収された水のような吸収液が貯水部(120)の下に通過するが、通路が狭くて塩化カルシウムで作られた一定の大きさの粒子は通過することができない。しかし、塩化カルシウム結晶や粒子は、壊れやすく、多くが小さな破片になったり、溶解が進み、大きさが徐々に縮小され、その一部は除湿バッグ(110)から水分を全て吸収できず、塩化カルシウム結晶または水分不飽和の状態で狭い通路(123)を通過し、下部の貯水部(120)にすぐ落下する。
【0046】
また、塩化カルシウムの化学的特性により、温度が29℃以下では水分子6個を吸収した6水和物(CaCl
2・6H
2O)の溶液が生成されるが、29℃〜45℃高温では水分子4つを吸収した4水和物(CaCl
2・4H
2O)が溶液で生成されて貯水部(120)にすぐに落下する。下部の貯水部(120)に移動した塩化カルシウムの破片や不飽和塩化カルシウムは外部の空気と遮断されて湿気を吸収することができなくて、継続的にと不飽和の状態で存在し、温度が29℃以下に下がれば、また塩化カルシウムの結晶に変わる析出現象が現れる。結果的に塩化カルシウムの破片と、29℃以上の高温で生成される4水和物塩化カルシウムが下部の貯水部(120)にそのまま落下すれば、除湿効率を低下させる。
【0047】
図13は塩化カルシウムの破片や4水和塩化カルシウムが貯水部で、そのまま落下し、再び結晶に変化した析出現象を確認することができる。このような問題点を解決するため、
図14の隔離部(124)に隔離突起(125)を形成する
図14に図示されたとおり、除湿バッグ(110)と貯水部(120)との間には隔離部(124)が形成される。隔離部(124)には除湿バッグ(110)と貯水部(120)を連結する連結通路(123)が具備される。隔離部(124)には塩化カルシウムなどのような除湿剤の破片を隔離する"U"のような隔離空間(126)が形成されるように複数の隔離突起(125)が隔離部(124)の上方に突き出して形成される。
【0048】
この隔離突起(125)の間の隔離空間(126)には塩化カルシウムの破片と不飽和塩化カルシウムとが一時的に貯蔵されている。無水塩化カルシウムの比重は2.15であり、6水和塩化カルシウム(CaCl
2・6H
2O)の比重は1.65に、軽くて優先的に隔離突起(125)を越えて貯水部(120)に落下されて、除湿バッグ(110)に残った塩化カルシウムの破片と不飽和塩化カルシウムは湿気の吸収を継続して、6水和塩化カルシウムになる。結果的に除湿効率を高めることになる。このように除湿剤の破片が連結通路(123)を通じてすぐに貯水部(120)に落下されないで、隔離空間(126)に残って湿気吸収を続けているため、除湿効果を高めることができる。
【0049】
隔離部(124)は5〜10mmの幅でビニールと半透膜シートを融着して形成して、連結通路(123)は8〜10mmの幅で開放されており、隔離突起(125)は隔離部(124)の表面から3〜10mmの高さで延長し、融着形成される。なお、塩化カルシウムの化学式はCaCl
2である。分子量は111.0、融点は772、比重は2.15である。塩化カルシウムの水分吸収量は理論的には自体重量の14倍まで吸収が可能であるが、これは空気中の湿度が90%以上の特殊な条件であり、実際の吸収量は塩化カルシウムの重さとほぼ同じである。このことは、例えば、塩化カルシウム100gが水分100gを吸収することであり、塩化カルシウム分子1個が吸収する水分子6つの分子量は108であるので、塩化カルシウムの分子量(111)とほぼ同じであるためである。
【0050】
実施形態によると、湿度60%及び温度25℃で塩化カルシウム分子1つは水分子6個と結合して液体化されて下部の貯水部に移動する。ところで、塩化カルシウムは液体に変化するのに必要な水分子の数が温度によって異なる。
【0051】
温度-54.9〜29℃ではCaCl
2・6H
2Oの6水和物が、29〜45℃ではCaCl
2・4H
2Oの4水和物が、45℃以上ではCaCl
2・2H
2Oの2水和物が、175℃ではCaCl
2・H
2Oの1水和物が、300℃では無水物CaCl
2が生じる。温度の変化によって塩化カルシウムの水溶液から結晶が再生成される"析出現象"が現れる。
【0052】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなかったものとして、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者ならば本発明の本質的な特性から脱していない範囲内で様々な修正、変更、及び置換が可能だろう。したがって、本発明に係る実施形態及び添付された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、これらの実施形態及び添付された図面により本発明の技術思想の範囲が限定されているのではない。本発明の保護の範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならないだろう。
【符号の説明】
【0053】
100:除湿ユニット
110:除湿バッグ
111:第1掛け孔
120:貯水部
121:床面(貯水部)
122:フォールディングライン
123:連結通路
124:隔離部
125:隔離突起
126:隔離空間
200:上部カバー
210:換気口
220:第2ハンガー
230:切開穴
300:下部貯水タンク