【実施例】
【0034】
以下、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳述するが、本発明がこれらの例に限定されることはない。
[実施例1]緑茶種子抽出物の製造
緑茶種子2kgにヘキサン6lを入れ、常温で3回攪拌抽出して脱脂させた後、脱脂された緑茶種子1kgに50%のエタノール4lを入れ、3回還流抽出した後、15℃で1日間浸漬させた。次いで、ろ過布を用いたろ過及び遠心分離を行って残渣及びろ液を分離し、分離されたろ液を減圧濃縮して得たエキスを水に懸濁した後、エーテル1lで5回抽出して色素を除去し、水層を1−ブタノール500mlで3回抽出した。これから得られた全体の1−ブタノール層を減圧濃縮して1−ブタノールエキスを得、これを少量のメタノールに溶かした後、大量のエチルアセテートに追加して、生成された沈殿物を乾燥させて、緑茶種子抽出物(サポニン粗抽出物)300gを得た。
【0035】
[実施例2]酸加水分解方法による21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[2−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1N HCl−50%メタノール溶液(v/v)を加えて、80℃の水浴槽において8時間加熱還流させて、緑茶種子粗サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌させた後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1〜3:1)で分離して、0.55gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0036】
[2−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M H
2SO
4−30%水溶液(v/v)を加えて、90℃の水浴槽において8時間加熱還流させて、緑茶種子粗サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1〜3:1)で分離して、0.59gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0037】
[2−3]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M HNO
3−10%水溶液(v/v)を加えて、90℃の水浴槽において8時間加熱還流させて、緑茶種子粗サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1〜3:1)で分離して、0.39gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0038】
[実施例3]塩基加水分解方法による21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[3−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを乾燥ピリジン(500ml)に溶かし、ここにナトリウムメトキシド(sodium methoxide)粉末10gを加えて油浴上において8時間還流反応させて、緑茶種子サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、精製水で3回洗浄した後にろ過を用いてろ過物を得、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.35gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0039】
[3−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M NaOH−20%水溶液(v/v)を加えて80℃で8時間還流反応させて、緑茶種子サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、精製水で3回洗浄した後にろ過を用いてろ過物を得、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.31gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0040】
[3−3]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gに20倍(v/w)の1M KOH−20%水溶液(v/v)を加えて80℃で8時間還流反応させて、緑茶種子サポニンに結合された糖を加水分解した。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、精製水で3回洗浄した後にろ過を用いてろ過物を得、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿した塩をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.25gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0041】
[実施例4]酵素分解方法による21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[4−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlの0.1Mの酢酸緩衝溶液(pH4.5)に溶解させ、ここに酵素2.5g(ヘスペリジナーゼ0.5g、ナリンギナーゼ0.5g、セルラーゼ0.5g、β−グルクロニダーゼ0.2g、β−ガラクトシダーゼ0.5g、アミログルコシダーゼ0.3g;シグマ社製)を添加して37℃の水浴上において48時間攪拌させながら、薄層クロマトグラフィーで定期的に確認して、緑茶サポニンが消失すると、熱水(80〜100℃)中において10分間加熱して反応を終えた。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、1.02gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0042】
[4−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlの0.1Mの酢酸緩衝溶液(pH6.5)に溶解させ、ここに酵素3.5g(グルコシダーゼ1g、アラビノシダーゼ0.5g、ラムノシダーゼ1g、キシロシダーゼ0.5g、ペクチナーゼ0.5g)を添加して27℃の水浴上において48時間攪拌させながら、薄層クロマトグラフィーで定期的に確認して、緑茶サポニンが消失すると、熱水(80〜100℃)中において10分間加熱して反応を終えた。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、残渣にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、1.53gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0043】
[実施例5]微生物を活用した21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の製造
[5−1]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して30℃まで冷却した後に、予め培養されたアスペルギルスニガー(Aspergillus niger)KCCM 11885を液体量に対して5〜10%接種して30℃で5日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.72gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0044】
[5−2]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養された リゾプスオリーゼ(rhizopus oryzae)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で5日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.92gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0045】
[5−3]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたバチルスサブティリス(bacillus subtilis)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.72gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0046】
[5−4]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたリューコノストックメゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.52gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0047】
[5−5]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.52gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0048】
[5−6]前記実施例1において得た緑茶種子抽出物10gを100mlのイオン水に溶解させ、121℃で30分間滅菌して27℃まで冷却した後、予め培養されたラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)を液体量に対して5〜10%接種して27℃で2日間培養した後、薄層クロマトグラフィーで基質の消去率を確認して基質が完全に消失したことを確認し、培養液を5,000〜10,000rpmにて遠心分離して回収した沈殿物を蒸留水で3回洗浄した後に、遠心分離して沈殿物を得た。この沈殿物にエタノール(200ml)を加えて3回攪拌した後、沈殿物をろ過を用いて除去した。ろ過されたろ液を減圧濃縮して粗生成物を得た後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=8:1〜4:1)で分離して、0.42gの21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を得た。
【0049】
[試験例1]コラーゲン生合成促進効果の測定
前記実施例2〜5から得た21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3のコラーゲン生合成促進効果を、トコフェロール及びEGCGと比較して測定した。
【0050】
まず、ヒト線維芽細胞(fibroblast)(プロモセル社製、ドイツ)を24ウェル(well)に1ウェル当たりに10
5個ずつ播種(seeding)して約90%生長するまで培養した。これを24時間無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において培養した後、無血清培地に溶かされた実施例2〜5の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3、トコフェロール及びEGCGをそれぞれ10
−4モルの濃度で処理し、24時間CO
2培養器において培養した。これらの上澄液をすくい上げ、プロコラーゲン型(I)ELISAキットを用いてプロコラーゲン(procollagen)の増減有無を調べ、その結果を下記表1に示す。ここで、合成能とは、非処理群を100にして対比したものである。
【0051】
【表1】
【0052】
前記表1から明らかなように、前記実施例2〜5において得られた21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3がコラーゲンの生合成を効果的に増加させることが確認される。
【0053】
[試験例2]コラゲナーゼ発現抑制効能の測定
前記実施例2〜5において得られた21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3のコラゲナーゼ発現抑制効能(生成阻害能)をトコフェロール及びEGCGと比較して下記のようにコラゲナーゼの発現度で測定した。
【0054】
まず、2.5%の牛胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Dulbecco’s Modified Eagle’s Media)入り96ウェル平板培養器(96−well microtiter plate)に人間の線維芽細胞を5,000細胞/ウェル(well)になるように入れ、約90%生長するまで培養した。次いで、無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において24時間培養した後、試験物質として無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に溶かされた前記実施例2〜5の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3、トコフェロール及びEGCG(陽性対照群)を10
−4モルの濃度で24時間処理した後、細胞培養液を採取した。
【0055】
次いで、採取した細胞培養液を商業的に利用可能なコラゲナーゼ測定器具(米国のアマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いてコラゲナーゼの生成程度を測定した。
【0056】
まず、1次コラゲナーゼ抗体が均一に塗布された96ウェル平板(96−well plate)に採取した細胞培養液を入れ、3時間抗原−抗体反応を恒温槽において行った。3時間後に発色団が結合された2次コラーゲン抗体を96−ウェル平板(96−well plate)に入れ、更に15分間反応させた。15分後に発色誘発物質を入れて室温で15分間発色を誘発させ、更に1Mの硫酸を入れて反応(発色)を止めると、反応液の色相は黄色を帯び、反応の進行度により黄色度が異なってくる。
【0057】
黄色を帯びる96ウェル平板(96−well plate)の吸光度を吸光計を用いて405nmにおいて測定し、下記の数式1によりコラゲナーゼの発現度を計算した。このとき、前記試験物質を処理しなかった群から採取した細胞培養液の反応吸光度を対照群の吸光度にした。コラゲナーゼの発現度は下記表2に示し、これは、非処理群のコラゲナーゼの発現度を100にして対比したものである。
【0058】
[数式1]
コラゲナーゼの発現度(%)=A/B×100
A:前記試験物質処理細胞群の吸光度
B:対照群の吸光度
【0059】
【表2】
【0060】
前記表2から明らかなように、前記実施例2〜5において得られた21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を処理した場合、コラゲナーゼの発現度は、コラゲナーゼの発現を抑えると知られているトコフェロールよりも低く、EGCGと同じレベルのコラゲナーゼの発現度を示す。このため、このことから、21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3は、コラゲナーゼの発現を効果的に抑えることが分かる。
【0061】
[試験例3]エラスターゼ発現抑制効能の測定
前記実施例2〜5において得られた21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3のエラスターゼ発現抑制効能(生成阻害能)をトコフェロール及びEGCGと比較して下記のようにエラスターゼの発現度で測定した。
【0062】
まず、試験は、2.5%の牛胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Dulbecco’s Modified Eagle’s Media)入り96ウェル平板培養器(96−well microtiter plate)に人間の線維芽細胞を5,000細胞/ウェル(well)になるように入れ、約90%生長するまで培養した。次いで、無血清培地において24時間培養し、試験物質として無血清培地に溶かされた前記実施例2〜5の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3、トコフェロール及びEGCG(陽性対照群)を10
−4モルの濃度で24時間処理した後、細胞培養液を採取した。
【0063】
次いで、採取した細胞培養液を商業的に利用可能なエラスターゼ測定器具(米国のアマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いてエラスターゼの生成程度を測定した。
【0064】
まず、1次エラスターゼ抗体が均一に塗布された96ウェル平板(96−well plate)に採取した細胞培養液を入れ、3時間抗原−抗体反応を恒温槽において行った。3時間後に発色団が結合された2次エラスチン抗体を96ウェル平板(96−well plate)に入れ、更に15分間反応させた。15分後に発色誘発物質を入れて室温で15分間発色を誘発させ、更に1Mの硫酸を入れて反応(発色)を止めると、反応液の色相は黄色を帯び、反応の進行度により黄色度が異なってくる。
【0065】
黄色を帯びる96ウェル平板(96−well plate)の吸光度を吸光計を用いて405nmにおいて測定し、下記の数式2によりエラスターゼの発現度を計算した。このとき、前記試験物質を処理しなかった群から採取した細胞培養液の反応吸光度を対照群の吸光度にした。エラスターゼの発現度は下記表3に示し、これは、非処理群のエラスターゼの発現度を100にして対比したものである。
【0066】
[数式2]
エラスターゼの発現度(%)=A/B×100
A:前記試験物質処理細胞群の吸光度
B:対照群の吸光度
【0067】
【表3】
【0068】
前記表3から明らかなように、前記実施例2〜5において得られた21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を処理した場合、エラスターゼの発現度は、エラスターゼの発現を抑えると知られているトコフェロールやEGCGよりも低く、このことから、21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3は、エラスターゼの発現を効果的に抑えることが分かる。
【0069】
[試験例4]皮膚弾力向上効能の確認
21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3の皮膚弾力向上効能を確認するために、下記表4の成分及び含量を有するように化粧料組成物を用いて剤形例1及び比較例1の化粧水を製造した。
【0070】
【表4】
【0071】
前記剤形例1及び比較例1の化粧水について皮膚弾力向上効果を比較するために、30〜40代の女性20名を対象として皮膚弾力向上度を測定した。実験方法は、下記の通りである。
【0072】
まず、被検者に剤形例1及び比較例1の化粧水を提供し、毎日1回ずつ12週間に亘って目尻に一定量を塗布させた。このとき、被検者の左側の目尻には前記剤形例1の化粧水を、右側の目尻には比較例1の化粧水を塗布させた。前記化粧水の塗布を始める前及び塗布を終えてから12週後に皮膚弾力を測定するキュートメーター(cutometer;SEM474、カレッジ・アンド・カザカ・エレクトロニック社製、ドイツ)を用いて被検者の皮膚弾力を測定し、その平均を求めた。その実験結果を下記表5に示す。
【0073】
【表5】
【0074】
前記表5から明らかなように、21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を含む剤形例1の化粧料組成物を用いた場合の皮膚弾力向上度は、比較例1の組成物を用いた場合に比べて3倍以上高いことが確認された。したがって、本発明の21−O−アンゲロイルテアサポゲノールE3を含む化粧料組成物は、皮膚弾力向上に非常に効果的であることが確認された。