(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
下記の略語をここに展開し、それらの少なくともいくつかを、下記の現況技術および本発明の説明の中で参照する。
CPE:Customer Premises Device(顧客宅内機器)
ISM:Intelligent Splitter Monitor(インテリジェントスプリッタモニタ)
NA:Network Analyzer(ネットワークアナライザ)
OLT:Optical Line Termination(光回線終端装置)
OMM:Optical Monitoring Module(光監視モジュール)
ONT:Optical Network Terminal(光ネットワーク終端装置)
ONU:Optical Network Unit(光ネットワークユニット)
PIC:Photonic Integrated Circuitry(フォトニック集積回路)
PLOAM:Physical Layer Operations,Administration,and Maintenance(物理層の操作、管理、および保守)
【0004】
多くの光通信ネットワークは、例えばPON(受動光ネットワーク)などのポイントツーマルチポイントのトポロジを使用する。一例では、PONはCO(中央局)内にあるOLT(光回線終端装置)を含み、このOLTはフィーダファイバを介して通常、COから遠隔の場所にある下り光スプリッタと接続する。光スプリッタは次に、ONU(光ネットワークユニット)などのいくつかのPONエンドデバイスと、対応する数のアクセスファイバを介して接続している。光スプリッタはまた、1つまたは複数の下りポートで、エンドデバイスではなく別の光スプリッタに接続して、カスケードトポロジを作ることもある。同様のトポロジは、例えばデータセンタなどの、他の実装における光ネットワークに使用されることもある。
【0005】
PONでは、OLTからの下り送信は1つまたは複数の光スプリッタを通してONUまたは他のエンドデバイスに送られる。ほとんどの場合、各エンドデバイスは同じ送信内容を受信し、そのデバイスに宛てられた部分を抽出する。PONではCPE(顧客宅内機器)と呼ばれることもある、エンドデバイスからの上り送信は下り送信と同じファイバおよびスプリッタの経路を使用する。
【0006】
ISM(インテリジェントスプリッタモニタ)が光ネットワークに設置されることもある。典型的な構成では、1つまたは複数の光スプリッタの下りポートを監視して、特定のポートに上り送信がいつ到着したか決定する。監視を円滑化するために、例えば、下り光スプリッタポートに接続するファイバまたは他の通信チャネル上でカップリングするタップが使用されることがある。下り送信も同様に監視されることがあるが、現在のところその必要はないと考えられている。
【0007】
既存または考え得るものとして本明細書に記載される技法または方式が本発明の背景として提示されているが、そのことによって、それらの技法または方式がこれまでに商品化されたか、または発明者以外の者に知られていると認めるわけではないことに留意されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
エネルギー効率を改善した光通信ネットワークを提供するという目標のもと、発明者はISM(インテリジェントスプリッタモニタ)をすでに開発しており、その一定の発明的態様およびその態様の動作を本明細書に開示する。ただし、これらの新発想の適用を通して効率の改善が期待されるとはいえ、特定の請求項に明示的に記載されない限り、特定の結果は本発明の要件ではないことに留意されたい。
【0009】
一態様では、ネットワーク監視の方法は、例えばPONなどの光ネットワーク内の少なくとも1つの光スプリッタに関連付けられたISMを提供すること、または、既存のISMを採用することを含む。ISMは、上りトラフィックについて、少なくとも1つの光スプリッタに関連付けられた下りポート、好ましくは全ての下りポートのセットを監視できるように構成されるべきである。各下りポートの監視は、例えば、スプリッタの下流の光チャネル上でタップカプラを使用することによって実現されてもよい。一般に、この方法は監視されるポートのマッピングに適用されるが、場合によっては排除のプロセスによって、監視されないポートがマッピングされることもある。
【0010】
この態様では、方法は光ネットワーク上でどのエンドデバイスが通信中か決定することを含むが、特定のスプリッタポートへのエンドデバイスのマッピングが知られていないときでも、通常動作の過程では、この決定を必ずしも行わないことが多い。テーブルまたは類似のデバイスが規定されるか、現在報告中の全てのエンドデバイスがポピュレートされ、知られている各スプリッタポートに各エンドデバイスを漸増的(incrementally)に関連付けるか関連を解除するためのプロビジョニングが行われる。場合によっては、監視対象または非監視対象としてのスプリッタポートの状態も決定され、記録される。この時点で特定のスプリッタポートまたはスプリッタポートのグループに関連付けられているか関連を解除されているエンドデバイスがある場合は、それもまた、この時点で記録されてもよい。
【0011】
この態様では、方法は複数のエンドデバイスを選択し、ネットワーク上で通信中のその他のエンドデバイスに対して、さらに指示があるまでの間、または一定期間もしくは計算可能な期間の間、上り通信を中止するように指示することを含む。次に、選択された複数のCPEに上り通信を開始するように命令してもよいが、多くの実装では、このプロセスは、さらなる命令のない標準的な上り通信に頼るだけでもよい。
【0012】
次に、下りスプリッタポートの活動が監視され、テーブルまたは類似のデバイス内で、選択されなかったエンドデバイスが、ISM装置が監視サイクル中にアクティブであると報告した監視対象のポートとの関連を解除される。監視がこのことが発生するのに十分長く続いた後には、送信を中止させられたCPEが通信再開を許可されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、次に、監視される(場合によっては監視されない)スプリッタポートに各エンドデバイスが一意に関連付けられているかに関する決定が行われてもよい。全ての(または全ての所望の)エンドデバイスがスプリッタポートに関連付けられている場合は、プロセスは終了してもよい。終了後、相関サイクルが、例えば、周期的に再実行されてもよいし、あるイベントの発生時に再始動されてもよい。
【0014】
これらの実施形態では、エンドデバイスのスプリッタポートへの関連付けが完了していないか、または許容レベルにないと決定された場合には、プロセスは続いてさらに複数のスプリッタポートを選択する。さらなる複数のエンドデバイスは、以前に選択された複数のエンドデバイスと同一構成であってはならない(このことは禁止されているわけではないが、監視の後に同じ関連付け結果が得られる可能性が高く、ほとんどの場合では非効率的である)。
【0015】
これらの実施形態では、さらなる複数のエンドデバイスが選択された後、残りのエンドデバイスは上り送信を中止するよう指示され、監視、報告、および関連付けまたは関連解除のステップが行われる。次に関連付けのレベルの決定が繰り返され、プロセスは終了するか、または続いて新しいさらなる複数のエンドデバイスを選択する。
【0016】
ほとんどの実装では、関連付けられるエンドデバイスの数は3または4よりも多くなり、監視のために選択される追加の複数デバイスの数は、エンドデバイスの数に応じて決まる。ただし、好ましいCPEの選択方法では、通常、監視サイクルの数を最小限に抑える。
【0017】
光スプリッタを介してネットワークノードと光通信状態にある複数の下流デバイスを有する光ネットワークを監視するための好ましい方法では、方法は、下流デバイスの複数のサブセットを選択することを含む。好ましい実施形態では、複数のサブセットの各サブセットは、その中に、集合監視用セットの中の2つ以上だが全ての下流デバイスより少ない下流デバイスを含む。そのセットは少なくとも複数の下流デバイスの一部および、セットのメンバー数を2
nにするために必要な場合はダミーの下流デバイスを含み、ここでnは正の整数である。この実施形態では、次に、各サイクルは複数のサブセットのうちの1つを適用して、複数回のポート監視サイクルが行われてもよい。この実施形態では、実行されるポート監視サイクルはそれぞれ、選択されなかった下流デバイスに上り送信を中止するように指示することおよび、下りスプリッタポートでの上り方向の活動を監視して、どのポートが上り送信を受け取っているか決定することを含む。この方法は、監視結果を報告することもさらに含む。報告は特定の実装の必要に応じて、各監視サイクルの最後、全監視サイクルの総括時、または他のなんらかの時点に行われる。
【0018】
この実施形態では、テーブルまたは類似のデバイスが報告結果によって更新されてもよく、選択されなかったエンドデバイスは、ISM装置が監視サイクル中にアクティブであると報告した監視対象のポートとの関連を解除されてもよい。監視がこのことが発生するのに十分長く続いた後には、送信を中止させられた下流デバイスが通信再開を許可されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、下流デバイスの複数のサブセットを選択することは、集合監視用セット内の下流デバイスの半数を含む1つのグループを有し、グループは、集合監視用セット内のデバイスの連続的リスト内で互いに隣接する1つまたは複数の下流デバイスである、第1のサブセットを選択することと、次に、前のサブセットのグループの半分のサイズのグループであって、それぞれが、その前に選択された各グループの半分またはその前に選択されなかった各グループの半分からなるグループをlog
2(n)個のサブセットが選択されるまで選択することによって、後続のサブセットを選択することとを含む。
【0020】
この方法のいくつかの実施形態では、相関サイクルを完了するために必要な場合は、メンバーとしてただ1つの下流デバイスを有する個別のサブセットを選択し、個別の監視サイクルを実行してもよい。
【0021】
別の態様では、フォトダイオードがアクティブ化されたことをマイクロコントローラによって報告できるように構成されたフォトダイオード配列およびマイクロコントローラをISMが含む。この目的で、マイクロコントローラは送信機を含むか、送信機に接続されていてもよい。光アクセスネットワーク内に設置されたとき、配列内のフォトダイオードはネットワーク光スプリッタのそれぞれのポートに動作可能に関連付けられ、かつそのフォトダイオードに関連付けられたポートに宛てられた下流デバイスからの上り信号によってそのフォトダイオードがアクティブ化されるようになされる。
【0022】
この態様では、マイクロコントローラはまた、例えばマイクロコントローラに宛てられた管理信号を受信するための受信機を含むか、またはその受信機に接続していてもよい。
【0023】
好ましい実施形態では、ISMは再充電可能なバッテリなどの電源を含む。遠隔動作では、受信した光信号を再充電可能バッテリに蓄えるための電力に変換するために、フォトセルが備わっていてもよい。フォトセルからバッテリ、または必要ならマイクロコントローラに電力を送るために電力コントローラが使用されてもよい。
【0024】
動作時、フォトダイオードは、光スプリッタと下流デバイスの間のそれぞれの光チャネルに光接続される。これらのチャネルが実際のファイバおよびファイバコネクタに実装されてもよいが、有利には、部分的または全体的に、PICなどの半導体チップに実装されることに留意されたい。
【0025】
どの下流デバイスがどのスプリッタポートに関連付けられているか識別するために、下流デバイスのいくつかは、他のデバイスが送信を命じられている間、選択的にオフに切り換えられるか、送信を中止させられる。この目的は標準的な測定操作で達成できる。ネットワークノードは、所与の監視サイクルでどのデバイスを監視するかを決定するための管理モジュールを含んでもよく、いくつかの監視サイクルが所与の相関サイクルで実行されてよい。ネットワークノードはまた、相関プロセスを円滑化するために、報告された監視結果を受信して相関テーブルを更新してもよい。ネットワークノードは、例えばOMM(光監視モジュール)、ネットワークアナライザ、またはその両方の組み合わせに実装されてもよい。
【0026】
本発明のさらなる態様が、一部は下記の詳細な説明、図面、およびいずれかの請求項に記載され、一部は詳細な説明から導かれ、または本発明の実践から学習されることができる。前述の概要説明および下記の詳細説明の両方は単に例示的かつ説明的であり、開示されるとおりに本発明を制限するものではないことが理解される。
【0027】
下記の詳細な説明を添付図面と共に参照することによって、本発明のさらに完全な理解が得られ得る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書には光ネットワーク監視の装置、システム、および方法の実施形態が記載され、ネットワーク内の下流デバイスをそれらが関連付けられている光スプリッタポートに相関させるように実装されたとき特に有利であると期待される。光ネットワークは、例えばPON(受動光ネットワーク)および類似のアクセスネットワークならびにデータセンタとして有用である。
【0030】
図1は、本発明の実施形態が有利に実装され得る例示的PON(受動光ネットワーク)100の選択された構成要素を示す簡略化ブロック線図である。PON100が追加の構成要素を含んでもよく、また多くの実装が追加の構成要素を含むこと、および
図1に示される構成は制限ではなく例示を意図することに留意されたい。
【0031】
図1の例では、ネットワーク100はOLT(光回線終端装置)110を含み、これは通常、CO(中央局)120に置かれる。OLT110は光源を使用して、光ファイバケーブル140などの光経路を介してONU(光ネットワークユニット)130a、130b、…、130nと通信する。OLT110からの下りデータはONU130のうち1つまたは複数に宛てられ、各ONUは、自身に宛てられたデータを認識するように構成されている。光ケーブル140はスプリッタ/コンバイナ150(便宜上、単に「スプリッタ」とも呼ばれる)に接続している。
【0032】
スプリッタ150はOLT110からの下り光信号を、例えばポート155a、155b、…、155nなどのいくつかの下りポートの間に分ける。スプリッタポートから、分割された信号がアクセスファイバ160a、160b、…、160nを介してONU130a、130b、…、130nへ搬送される。各ONU130はまた、上りデータをアクセスファイバ160a、160b、…、160nを介してOLT110へ送信する。各ONU130からの光信号がスプリッタ150によって結合され、スプリッタから光ケーブル140を介してOLT110に伝播される。
【0033】
本明細書で使用するとき、「ONU」は広義にはONT(光ネットワーク終端装置)および他のCPE(顧客宅内機器)を含むと解釈されることが意図される。いくつかのネットワーク(図示せず)では、例えば別の光スプリッタ/コンバイナなどの他の下流デバイスもまた、光経路に存在してもよい。認可された1つの下流デバイスにネットワーク内の全てのアクセスファイバが接続しているわけではないが、必要が生じれば概して利用可能になることに留意されたい。当然ながら、アイドル状態のアクセスファイバには上り送信が存在しないことが期待される。
【0034】
ONU(または他の下流デバイス)に接続されたアクセスファイバについて、サービスプロバイダは、例えばONU130のうち1つのエンドユーザがサービス中断を経験したときなどに、ある特定のONU130が通信している特定のポート155を識別することが必要になることがある。そのポートは、システム100が設置、保守、またはアップグレードされたときに生成される記録の中で識別できる場合もある。しかし、多くの場合、そのような記録は存在しないか不正確であり、スプリッタ150および/または影響を受けたONU130の場所もしくはそれに関連付けられた境界点(図示せず)に対するサービス技師による人的点検なしでは、影響を受けたONU130に関連付けられた特定のポート155を識別することはできない。
【0035】
しかし、ネットワークのサービス中に誤ったポートが接続解除されると、意図されたユーザ以外のユーザに対してサービスが中断されることがある。場合によっては、スプリッタ150は、CO120から数10km離れ、かつ影響されたONU130からある程度離れた外部設備125(例えば路上キャビネット)に置かれている。ONU130と所望のスプリッタポート160の識別との連係されたテストは、慣習的に、通常は2人チームで、例えば1人がスプリッタ150の場所におり、もう1人が問題のONU130の場所にいて行う必要がある(当然、各ONUは通常、複数の異なる顧客宅内にある)。このように、サービスは時間がかかり、高費用なことがある。
【0036】
図2は、ISM(インテリジェントスプリッタモニタ)の実施形態を実装するPON200の選択された構成要素を示す簡略化ブロック線図である。ここでも、PON200が追加の構成要素を含んでもよく、また多くの実装が追加の構成要素を含むこと、および
図2に示される構成は制限ではなく例示を意図することに留意されたい。
【0037】
図2の実装では、OLT210がCO220内にあり、フィーダファイバ240、光スプリッタ250、およびアクセスファイバ260a、260b、…、260nを介してONU230a、230b、…、230nと光通信状態にあり、アクセスファイバはそれぞれスプリッタポート255a、255b、…、255nのそれぞれ1つに関連付けられている。
【0038】
PON200内にISM(インテリジェントスプリッタモジュール)が実装され、光スプリッタ250に関連付けられている。この実施形態では、ISM270は、メモリデバイス274(任意選択)と通信状態にあるマイクロコントローラ272を含む。その両方は、好ましくはハードウェア、ハードウェア上で実行するソフトウェア命令、またはその両方の組み合わせに実装される。上りトラフィックを検出し、それが関連付けられている下りスプリッタポートを識別するために、タップカプラ276a、276b、…、276nおよびフォトダイオードアレイ278が使用される。
【0039】
この実施形態では、ISM270は、例えば中央局内のネットワークノードと通信するために、送信機280および受信機282もまた含む。この通信は通常、
図2に示されるように光送信によって行われるが、必ずしも光通信によって行われなくてもよい。
図2に示されるように、ISMは、好ましくは光ケーブル240を介してCO220と通信する。送信機280および受信機282によって、例えばISM270での命令の受信および監視結果の報告が円滑化される。
【0040】
ここでは、ISM270は好ましくはハードウェアに実装され、特に好ましい実施形態では、PICなどの単一チップに光スプリッタ/コンバイナ250と共に実装されることに留意されたい。そのように、実際の光ファイバケーブルと、チップ自体の上などの光通信経路の別の部分との間には境界またはポートが存在するはずであるが、分かりやすくするために、
図2からはこれらの詳細はほぼ省かれている。図面から光接続があることが明白であっても詳細に示されていない場合は、それらの接続は、実装では、現在またはその時点において当技術分野で知られているデバイスによって供給されてもよい。
【0041】
図2の実施形態では、ISM270はCO220から送信される光によって全体的、または部分的に給電される。この目的で、ISM270は、COからの光エネルギーを再充電可能バッテリ286に蓄えるための電気エネルギーに変換するために、フォトセル284を含む。電力コントローラ285がバッテリ286の再充電およびマイクロコントローラ272による電力の使用を制御する。いくつかの実装では、必要に応じて使用するためのセカンダリ電源(図示せず)が提供されてもよい。
【0042】
この実施形態ではISM270の動作はネットワークアナライザ245によって制御され、アナライザは通常、CO220内に置かれる。ほとんどの実装では、ネットワークアナライザ245は、他の機能もまた有する。本発明の場合には、ネットワークアナライザ245は、例えば特定のONUに上り送信を一時的に中止するなどしてトラフィックを制御するように、またISM270に給電するように、OLT210に指示する。この実施形態では、ネットワークアナライザ295はまた、OMM290と協調し、OMM290は受信機292および送信機294によりISM270と通信する。OMM290は、例えば、ISM270によって行われる監視サイクルを指示し、監視報告を受信してもよい。
【0043】
本明細書に記載されるPON200の構成要素の構成および機能は実装によって異なることがあり、例えば、本明細書で特定の1つの構成要素に割り当てられている機能が、ある場合には別の構成要素によって行われてもよいことに留意されたい。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態によるネットワークノード300の選択された構成要素を示す簡略化ブロック線図である。この実施形態では、ネットワークノードはネットワーク監視に関する管理機能を提供する。この実施形態では、ネットワークノード300はプロセッサ305およびメモリデバイス310を含む。プロセッサ305およびメモリデバイス310は、ハードウェア、ハードウェアプラットフォームで実行可能なソフトウェア命令、またはその両方に実装される。メモリデバイス310は、特定の実施形態で非一時的ではないと明記されない限り、全体として伝播信号内に具体化されるのではないという意味で、非一時的である。好ましい実施形態では、プロセッサ305はメモリデバイス310に記憶された命令およびデータを実行することによって管理機能を提供するように構成される。
【0045】
図3の実施形態では、ネットワークノードは、ネットワーク上で動作可能な下流デバイスを追跡するための相関テーブル315もまた含む。好ましくは、このテーブルを使用して、それらのデバイスの一部または全部の連続的なリストが作成され、ネットワークノードがそれを通して1つの(場合によっては複数の)下流デバイスと通信する下りスプリッタポートが(該当する場合は漸増的に)追跡されてもよい。下記に説明するように、漸増的追跡は、後続の監視サイクルが必要に応じて一意の(または少なくとも条件を満たす)関連付けを許可するときまで、テーブル内の各デバイスを複数のスプリッタポートに関連付けるか、関連を解除しておくことを伴ってもよい。
【0046】
図3の実施形態では、ネットワークノードは相関サイクルの動作を管理するための相関モジュール320もまた含み、下記にさらに詳細に説明するように、動作の管理は、光スプリッタに関連付けられたISMの動作を指示するため、およびISMから監視報告を受信して相関テーブル315を更新するために、選択された監視サイクルについて有効化および無効化されるデバイスのセットおよびサブセットを選択することを含む。相関テーブル315および相関モジュール320は、特定の実施形態でそうではないと明記されない限り、ハードウェア、ハードウェアプラットフォームで実行可能なソフトウェア命令、またはその両方に実装される。
【0047】
ネットワークノード300内に他の構成要素もまた存在してもよいし、存在する場合が多いことに留意されたい。さらに、構成要素のいくつかは、いくつかの実装では別々のモジュールに分けられてもよく、あるいは結合されてもよい。ネットワークノード300のモジュールは単一の物理的な場所にあってもよいし、2つ以上の場所、例えば
図2に示されるOMM290とネットワークアナライザ295の間で分散されてもよい。
【0048】
好ましい実施形態では、ネットワークノード300は、例えば下記で
図4および5を参照して説明する方法などの、本明細書に記載される1つまたは複数の方法を行うように構成される。
【0049】
図4は、本発明の一実施形態による光ネットワーク監視の方法400を示すフロー線図である。この実施形態は、便宜上、光スプリッタを介して中央局と光通信状態にある複数のONUを有するPONに関して説明されるが、本発明は他の光環境にもまた適用可能である。「開始」で、必要な構成要素が利用可能で、かつ、少なくともこの実施形態により動作可能であると仮定される。具体的には、ISM、例えば
図2に示されるISMが提供され、アクティブ化されていると仮定される。次にプロセスが開始して、複数の(ただし、全てではない)のONUを選択し(405)、選択されなかったONUにPON上での上り送信を中止するように指示する(410)。PONの場合には、そのような指示はPLOAM(物理層の操作、管理、保守)メッセージを使用して実現される。
【0050】
この実施形態では、選択されなかったONUに送信を中止させることに続いて、ISMは光スプリッタの下り(ONU方向)ポートの上り方向の活動を監視する(ステップ415)。ほとんどの実装では、各下りスプリッタポートに関連付けられた通信チャネルが監視されることに留意されたい。好ましくは、監視動作はできる限り素早く行われるが、選択されたONUに関連付けられた全てのアクティブポートを識別するための信頼性を確保するために十分な長さの期間である必要がある。次に監視の結果が報告され(ステップ420)、ほとんどの場合は
図2に示されるOMM290などのCO内の管理ネットワークノードに、ISMによって報告される。必要な場合は、次に、選択されなかったONUが、通常動作を再開するように指示される(ステップ425)。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「選択された」デバイスとは、監視サイクル中に完全に動作可能なままとなるデバイスのことを指し、「選択されなかった」デバイスとは、上り送信を一時的に中止するように指示されるデバイスのことを指す。実際の実施においては、当然ながら、完全に動作可能なままとなる「選択されたデバイス」は、送信を中止させられる他のデバイスを、本明細書および特許請求の範囲でその用語が使用されるとおりに「選択する」ことによって「選択され」てもよい。
【0052】
報告された結果を使用して、例えばOMM内にある、相関テーブルが更新される(ステップ430)。相関テーブルは通常、PON上で動作中であると識別された全てのONUおよび、各ONUを特定のポートに関連付けるか関連を解除する表示またはフラグを含む。前述の選択されたポートは、例えば、ステップ410から425の監視サイクル中にアクティブであったポートに関連付けられてもよいが、必ずしも関連付けられなくてもよい。選択されなかったONUは、当然ながら、これらのポートから関連を解除される。全てのONUを1回の監視サイクルで特定のポートに一意に相関させることができなくてもよく、また、ほとんどの実装では、それはできない。
【0053】
図4の実施形態では、次に、下り光スプリッタポートへの動作中のONUの相関が達成されたかについて決定が行われる(ステップ435)。ほとんどの場合、目標は、完全な相関、すなわち、ONUとスプリッタポートの一意の1対1対応(「全単射割り当て」と呼ばれることもある)を達成することであるが、いくつかの実装では、これは必須ではないこともある(例えば、特定の関心のある1つのONUについて決定を行ってもよい場合など)。この実施形態では、決定は、相関テーブルを調べることによって行われる。
【0054】
ステップ435で、満足な相関が達成されたと決定されると、例えば、相関の更新もしくは確認の必要が生じるまで、または、標準の監視スケジュールが規定されている場合は一定の時間が経過するまで、ISMに休止状態(sleep mode)に入ることを許可すること(別途には図示せず)によってプロセスが続行する。一方、ステップ435で、相関が達成されていないと決定されると、プロセスはステップ405に戻って別の複数のONUを選択し、選択されなかったONUに上り送信を中止するよう指示し(ステップ410)、下りスプリッタポートを監視し(ステップ415)、報告を行い(ステップ420)、相関テーブルを更新し(ステップ430)、相関が達成されたか決定する(ステップ435)ステップを繰り返す。当然ながら、必要なら、ONUはここでまた、通常動作に戻るように指示される(ステップ425)。
【0055】
明らかながら、相関が達成されていないとの決定の後のステップ405での選択プロセスでは、(この相関サイクルで)その前に選択されたものとは異なるONUサブセットを選択するべきであり、そうしなければ、ほとんど全ての場合で、監視結果は単に複製されるだけである。そのような選択を行うための好ましい方法論について、下記に説明する。
【0056】
図5は、本発明の一実施形態による光ネットワーク監視の方法500を示すフロー線図である。「開始」で、必要な構成要素が利用可能で、かつ、少なくともこの実施形態により動作可能であると仮定される。具体的には、ISM、例えば
図2に示されるISMが提供され、アクティブ化されていると仮定される。
【0057】
次に、この実施形態によるプロセスが開始して、ネットワーク上でアクティブなエンドデバイスの識別子を決定する(ステップ505)。PONなどの多くの光ネットワークの通常動作では、OLTなどのネットワークノードは、問題の光スプリッタの下流のアクセスファイバまたは他の光通信チャネルのうち1つに動作可能に接続されているエンドデバイス(ONUなど)のそれぞれと通信し(例えば
図1および
図2を参照)、なんらかの形の認可、認識、または範囲選定プロトコル(ranging protocol)を開始する。このプロセスの一部として、動作可能な各エンドデバイスの識別子が取得され、相関テーブルに格納されてもよい(ステップ510)。
【0058】
次に、この実施形態によるプロセスは、続いて集合監視用セットを定める(ステップ515)。集合監視用セットは、複数の下流デバイスの少なくとも一部、ならびにセットのメンバー数を2
nにするために必要なダミーの下流デバイスからなる。ここでnは正の整数である。集合監視用セットは、好ましくは、この相関サイクルで集合的に監視および相関されるべき下流デバイスを全て含む。この好ましい実施形態では、集合監視用セットは、個別に監視および相関されるエンドデバイスを含まない(下記で説明する)。また、このセットは、ポートの関連付けがなんらかの方法で知られているか、または、この時点では所望されないデバイスを除外してもよい。
【0059】
集合監視用セットは、例えば相関テーブル内で識別または格納されてもよい(別途には図示せず)。実際には、集合監視セットは2
n個のデバイスの連続的リストの形をとり、nは、特定の相関サイクルの集合監視において集合的に監視される下りデバイスの数mに等しいか、それより大きい整数である。
【0060】
図5の実施形態では、次に、プロセスは続いて、各サブセットが集合監視用セット内の2つ以上だが全ての下流デバイスより少ないエンドデバイスを有するようにして、集合監視用セットから複数のサブセットを選択する(ステップ520)。好ましい実施形態では、各サブセットは集合監視用セット内のエンドデバイスの半数を含む。次に、各サイクルが複数のサブセットのうち異なる1つを適用して、複数回のポート監視サイクルが行われる(ステップ525)。
【0061】
この実施形態では、各ポート監視サイクルは、それぞれのサブセットに選択されなかったエンドデバイスに上り送信を中止するよう指示することおよび、上りトラフィックを監視することを含む(別途には図示せず)。前述したように、監視は、特定のポート監視サイクル中にアクティブである、すなわちエンドデバイスから上り送信を受け取っている下りスプリッタポートを検出する、ISMによって行われてもよい。
【0062】
図5の実施形態では、次に、監視結果が報告される(ステップ530)。監視結果の報告が、各ポート測定サイクルの後、所望の監視が全て終了した相関サイクルの最後、またはその間の任意の時点で行われてもよいことに留意されたい。この実施形態では、選択されなかったエンドデバイスは限られた期間内、すなわち、監視を適切に行うために十分な長さの期間内にのみ上り送信を中止するように指示され、したがって通常の上り動作を再開するよう指示される必要はないと仮定されてもよい。あるいは、それらのデバイスは、各監視サイクルの後に動作を続行するように積極的に指示されてもよい(
図5に示さず)。当然ながら、エンドデバイスは、下り送信を行わないように指示するなんらかの理由のない限り、プロセス全体を通じて下り送信の受信を続行してもよい。
【0063】
ポート測定サイクルのためのサブセットが適切に選択されていれば、ポート測定サイクルの数を予想し得ることに留意されたい。下記に、集合監視用セットからサブセットを選択するための好ましいプロセスについて説明する。
【0064】
好ましい実施形態では、選択された第1のサブセットは、集合監視用セット内のエンドデバイスの最初の半数のみを含み、これを便宜上前述した連続的リスト内の「第1の半数」と呼ぶ。次に、第2のサブセットは、これらのうち第1の半数のみ、および、第1サブセット内にないデバイスのうち第1の半数を含む。後続のサブセットが同様にして選択され、その前のサブセットに選択された各グループの第1の半数および、選択されなかった各グループの第1の半数が選択される。この方法を使用するとき、n個のデバイスを完全に相関させるには、通常、log
2(n)個のサブセットが必要になる。n=8のときの例を下記に示す(エンドデバイスは連番で示される。実際のデバイスIDがテーブルに格納されてもよいが、ここには示されない)。
【0066】
説明では便宜上、サブセットは一定の順序で選択されるが、各サブセットがその相関サイクルで1回だけ使用される限り、どの測定サイクルで使用されてもよいことに留意されたい。また、サブセットの形成プロセスは、例えば前のグループの第1の半数ではなく第2の半数から選択するなど、上記の説明とはいくらか異なっていてもよいが、相関のために最小限の数のサブセットしか必要にならないことを保証するために、なんらかの一貫性が必要であることに留意されたい。
【0067】
別の好ましい実施形態では、サブセットの選択は、デバイスのリストにlog
2(n)ビットのバイナリの連番を割り当てることにより、異なる様式で説明されてもよい。次に最初のサブセットおよび後続のサブセットが、バイナリ連番のそれぞれの(第1、第2、など)列内の0値に関連付けられたデバイスを選択することによって形成される。上記と同じく、当然ながら、相関を行うときには、そのように形成されたサブセットはどのような順序で循環されてもよく、選択は、例えば0値ではなく1値に基づくこともできる。
【0069】
さらに別の好ましい実施形態では、このプロセスは下記のとおり、n個のデバイスの連続デバイス番号を参照して数学的に表現されてもよい。この場合は、上記と同じく、「グループ」は、連続リスト内で互いに直接隣接するデバイスを指す。最後に選択されるサブセットではグループサイズは必ず1、すなわち単一のデバイスであることに留意されたい。また、この目的で、(リスト全体またはいずれかのグループの)最初と最後のデバイスは互いに隣接すると見なされることにも留意されたい。
【0071】
どの場合でも、nがmより大きいときには、リスト内の「デバイス」のいくつかがダミーデバイスになることを承知の上で、前述のように選択が進行することに留意されたい。当然、ダミーデバイスは実際のデバイスではないので、ダミーデバイスに上り送信を中止または再開するよう指示する必要はない。m個のデバイスを全て含むための十分な大きさだが、それより大きくないnを選択することが最も効率のよい方法であることは明らかである。
【0072】
また、いくつかの場合では、所与の相関サイクルで集合的に監視されるアクティブな下りデバイスの数mは、光ネットワーク上のアクティブな下流デバイスを全て含まなくてもよいことに留意されたい。これは、例えば、ある下流デバイスと下りスプリッタポートの間に一意の相関がすでに作られている場合、または、別の方法を使用して1つまたは複数のデバイスを相関させるほうが効率的である場合に当てはまる。後者は、例えば、全てのアクティブな下流デバイスを含む連続リストに多数のダミーデバイスが含まれるときに発生することがある。
【0073】
nがアクティブな下流デバイスの総数を含まないときは、完全な相関を行うために、中止させられるデバイスがただ1つである測定サイクルが使用されてもよい。
図5の実施形態では、ポートサイクルの集合監視の後に、個別の監視サブセット(それぞれが1つのデバイスを含む)に対して、なんらかのポートサイクルが行われる(ステップ535)。次に、この監視の結果が報告される(ステップ540)。ただし、ここでも、報告のステップ(単数または複数)は所与の実装の要望に応じて行われてもよいことに留意されたい。
【0074】
ある相関サイクルのポートの相関は、その全体を個別の監視サブセットの使用(のみ)によって達成することもできるが、本明細書に記載される技法は、ほとんどの実装では、ほとんどの場合で、それよりも少ない監視サイクル数しか必要とせずに、はるかに効率的であると期待されることにも留意されたい。このことは、例えば、ISMおよび光スプリッタが、COから供給される以外の電力が利用可能でない外部設備にある場合(
図2を参照)に、非常に有益であり得る。
【0075】
この実施形態では、次に、例えば相関の更新もしくは確認の必要が生じるまで、または、標準の監視スケジュールが規定されている場合は一定の時間が経過するまで、ISMに休止状態に入ることを許可することによって、プロセスが続行する(別途には図示せず)。
【0076】
図4および5に示される一連の動作は例示的実施形態を表し、記載されるとおりの特許請求の範囲から逸脱することなく、なんらかの変型が可能であることに留意されたい。例えば、
図4および5に示される動作に追加動作が加えられてもよく、いくつかの実装では、図に示された動作の1つまたは複数が省略されてもよい。さらに、この方法の動作は、特定の実施形態に明確な順序が記載されない限り、論理的に一貫性のあるどのような順序で行われてもよい。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態について添付図面に示し、「発明を実施するための形態」で説明してきたが、本発明が開示されたそれらの実施形態に制限されず、下記の特許請求の範囲によって明記および規定されるとおりの発明から逸脱することなく、多くの再構成、修正、および置き換えが可能であることが理解されるべきである。