(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記SCR触媒が配置された基板は、長手方向に延伸する壁によって境界を示され画定されて形成された複数の長手方向に延伸する通路を有するウオールフローフィルタを備え、前記通路は、開いた流入端および閉じた流出端を有する流入通路と、閉じた流入端および開いた流出端を有する流出通路とを備え、前記ウオールフローフィルタは、軸方向長さの10%〜100%の範囲で前記SCR触媒によって被覆されている、請求項1に記載の排出処理システム。
前記フィルタは、上流端から60〜40%の範囲の軸方向長さに沿って前記SCR触媒で、かつ下流端から40〜60%の範囲の軸方向長さに沿って酸化触媒で、被覆されている、請求項3に記載の排出処理システム。
前記希薄NOxトラップ(LNT)触媒材料は、前記SCR触媒が配置された基板から上流側のフロースルーモノリス基板に配置されている、請求項1に記載の排出処理システム。
前記希薄NOxトラップ(LNT)触媒材料は、基板と、少なくとも1種の貴金属と、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジム、およびそれらの組み合わせの酸化物から成る群から選択される少なくとも1つのNOx吸着媒とを含むアンダーコートウォッシュコート層を含み、前記アンダーコートウォッシュコート層は、前記基板上にあり、
トップウォッシュコート層は、基板と、少なくとも1種の貴金属と、微粒子の形態のセリアとを含み、前記トップウォッシュコート層は、実質的にアルカリ土類成分を含まない、請求項5に記載の排出処理システム。
(a)前記排気ガス流からのNOxを吸着するために、希薄期間にNOxを含む前記排気ガス流を、LNTである前記希薄NOxトラップ(LNT)触媒材料に接触させる工程と、
(b)濃密期間に濃密ガス流を提供するために、前記排気流の空気/燃料比率を周期的に変える工程と、
(c)前記吸着されたNOxの一部をNH3に還元するために、前記濃密ガス流を前記LNTに接触させ、前記SCR触媒にNH3を吸着させることと、
(d)次いで、前記SCR触媒に吸着されたNH3と前記排気ガス内のNOxを前記SCR触媒を用いて反応させることと、を含む、請求項8に記載の方法。
前記希薄NOxトラップ(LNT)触媒材料が、プラチナ、パラジウム及びロジウムから選択される1つ以上の白金族金属成分である請求項1に記載の排出処理システム。
前記アンダーコートウォッシュコート層が、ガンマアルミナ基板上のプラチナ、及びセリア、BaO及びジルコニアの少なくとも1つを含む請求項7に記載の排出処理システム。
【背景技術】
【0002】
希薄燃焼エンジン、例えばディーゼルエンジンおよび希薄燃焼(リーンバーン)ガソリンエンジンの動作は、使用者に対し優れた燃費を提供し、燃料希薄条件における高い空気/燃料比率でのその作動のために、気相炭化水素および一酸化炭素の排出が非常に低い。さらに、ディーゼルエンジンは、特に、その耐久性に関する、ガソリンエンジンよりも大きな利点、および低速におけるその高トルクの生成能力をもたらす。高いNOx転換率は、典型的には還元剤が多い条件を必要とするため、希薄燃焼エンジンからのNOxの効果的な削減を達成することは難しい。排気流の無害成分へのNOx成分の転換は、概して、燃料希薄条件における作動のために特化したNOx削減戦略を必要とする。
【0003】
希薄燃焼エンジンからの排気流内のNOx削減のためのかかる一戦略は、当該技術において「希薄NOxトラップ(LNT)」としても公知のNOx吸蔵還元(NSR)触媒を使用する。NSR触媒は、触媒に酸化および還元機能を提供するために、希薄条件での窒素酸化物および白金族金属成分の吸収または「トラップ」を可能にするNOx吸着媒材料を含む。作動時において、NSR触媒は、式1〜5において以下に示される一連の初期ステップを促進する。酸化環境において、NOは酸化してNO
2となるが(式1)、これは、NOx吸蔵の重要なステップである。低温において、この反応は、典型的には、白金族金属成分、例えばプラチナ成分によって触媒される。酸化プロセスは、ここで終わるわけではない。原子状酸素との結合による、硝酸塩へのNO
2のさらなる酸化も、触媒反応でもある(式2)。NO
2がNOx源として使用される場合であっても、白金族金属成分が存在しない場合には、硝酸塩の形成はほとんど生じない。白金族金属成分は、酸化および還元の二重の機能を有する。その還元の役割のために、白金族金属成分は、まず、還元剤、例えばCO(一酸化炭素)またはHC(炭化水素)(式3)を排気へ導入する際に、NOxの放出を触媒する。このステップはNOx吸蔵部位を回収するが、NOx種の放出を誘発する。次いで、放出されたNOxは、濃密環境(式4および5)で、気体状N
2へさらに還元される。NOxの放出は、最終的な(net)酸化環境において還元剤によって誘発することもできる。しかしながら、COによる放出NOxの効率的な還元には、濃密条件を必要とする。高温になるほど金属硝酸塩の安定性はより低くなるため、温度上昇がNOx放出の引き金となる可能性もある。NOxトラップ触媒作用は循環的作用である。金属化合物に対し、希薄/濃密作動時において、主要パスとして、炭酸塩/硝酸塩転換が行われると考えられる。
NOのNO
2への酸化
NO+I/2O
2 → NO
2 (1)
硝酸塩としてのNOx吸蔵
2NO
2 +MCO
3 +1/2O
2 → M(NO
3)
2 +CO
2 (2)
NOx放出
M(NO
3)
2 +2CO → MCO
3 +NO
2 +NO+CO
2 (3)
NOxのN
2への還元
NO
2 +CO → NO+CO
2 (4)
2NO+2CO → N
2 +2CO
2 (5)
【0004】
式2および3において、Mは、二価金属カチオンを示す。Mは、一価または三価金属化合物にすることもできる(この場合、式を再び等しくする必要がある)。
【0005】
濃密期間においてNSR触媒が存在する場合に、NOおよびNO
2のN
2への還元が生じるが、NSR触媒の濃密パルス生成の副生成物としてアンモニア(NH
3)も形成できることが確認されている。例えば、COおよびH
2OによるNOの還元を、以下のように式(6)に示す。
NOのNH
3への還元
CO + H
2O → H
2 + CO
2 (6a)
2NO + 3H
2 + 2CO → 2NH
3 + 2CO
2 (6b)
【0006】
NSR触媒のこの特性により、それ自体が有害な成分であるNH
3を、今度は、さらに、排気の大気放出前に無害種(innocuous species)に転換しなければならないことが必然となる。
【0007】
モバイルアプリケーションの開発におけるNOx削減のための代替の戦略(希薄燃焼エンジンからの排気の処理を含む)は、選択接触還元(SCR)触媒技術を使用する。戦略は、固定汚染源、例えば排煙の処理への応用として効果的であることが実証されている。この戦略において、NOxは、典型的には卑金属で構成されるSCR触媒において、還元剤、例えばNH
3により、窒素(N
2)へ還元される。この技術では、90%を超えるNOx還元が可能であり、このため、これは、積極的なNOx還元目標を達成するための最適なアプローチのうちの1つを示している。
【0008】
アンモニアは、SCR技術を使用した希薄条件でのNOxについて最も効果的な還元剤の1つである。ディーゼルエンジン(大部分は大型ディーゼル車)内のNOxの除去のために調査されているアプローチの1つでは、還元剤として尿素を利用する。加水分解時においてアンモニアを生じさせる尿素が、200〜600℃の温度範囲で、SCR触媒の前方の排気に注入される。この技術の主要な欠点の1つは、車両(vehicle)に尿素を投入するための非常に大きな貯蔵容器が必要であるということである。別の大きな問題は、必要に応じて貯蔵容器を尿素で満たすための、これらの車両の操作者の労力、および尿素を操作者に供給するためのインフラストラクチャの必要性である。したがって、それほど面倒でない代替的な排気ガスのSCR処理用の還元剤NH
3の供給源が望ましい。
【0009】
NH
3またはNH
3前駆物質の外部貯蔵容器の代わりに、NH
3を生成するための、排気内のNOxの触媒による還元を利用する排出処理システムが記載されているが、これらのシステムには制限がある。かかるシステムにおいて、排気のNOx成分の一部が、かかるシステム内のNH
3前駆物質として使用される。例えば、米国特許第6,176,079号は、希薄および濃密条件で交互に作動する燃焼システムからの排気ガスを処理するための方法を開示する。本方法において、窒素酸化物は、希薄作動時に中間的に吸蔵され、吸蔵されたNH
3を形成するために、濃密作動時に放出される。吸蔵されたNH
3は放出でき、これにより、以降の希薄作動時において窒素酸化物を削減する。
【0010】
欧州特許公開番号第773 354号は、(NH
3−AO)触媒を吸収および酸化するNH
3に接続された三元触媒を有するエンジンの排気ガスを浄化するためのデバイスを記載する。エンジンは、交互に行われる濃密および希薄期間で作動する。濃密作動時に、三元触媒は流入排気ガス内のNOxからNH
3を合成し、NH
3は、次いで、NH
3−AO触媒に吸収される。希薄作動時において、NOxは、三元触媒を通過し、吸収されたNH
3が脱着され、流入NOxを削減する。
【0011】
国際公開特許出願WO97/17532号は、エンジンからの排気ガスの浄化のための方法およびデバイスを開示し、特に、排気ガス内のNOxを浄化するための方法およびデバイスについて説明する。一実施形態において、本文書は、触媒を閉塞および還元するNOxと同一の担体の、および同一の担体上の上流に三元触媒を有するデバイスについて記載する。(NOx−OR)触媒を閉鎖および還元するNOxの下流に、NH
3吸収および酸化(NH
3−AO)触媒がある。NH
3貫通を防ぐために、デバイスには、NH
3−AO触媒の下流の触媒を浄化するNH
3も備えられている。エンジンのシリンダの空気/燃料比率は、交互におよび繰り返し、希薄および濃密にされ、それにより、排気ガス空気/燃料比率が、交互におよび繰り返し、濃密および希薄となる。
【0012】
WO97/17532公開で、このデバイスのために記載されている方法では、排気ガスの空気/燃料比率が希薄である場合、NOxは三元触媒を通過し、NOxはNOx−OR触媒に閉塞される。NOx−OR触媒を通過するいずれかのNOxが以下のNH
3−AO触媒内で生成されることが記載されている。排気ガスの空気/燃料比率が希薄である場合にNH
3がNH
3−AO触媒から脱着され、脱着されたNH
3はNOxを還元する。
【0013】
排気ガスの空気/燃料比率が濃密である場合に、排気ガス内のNOxの一部が三元触媒内のNH
3に転換される。次いで、NH
3は、NOx−OR触媒に移行し、ここで、NOxが流入NH
3によって放出、還元および浄化される。NOx還元によって消費されないNOx−OR触媒を通過するいずれのNH
3も、NH
3−AO触媒上で吸収される、またはNH
3浄化触媒内のさらなる下流で浄化される。
【0014】
NH
3前駆物質として排気ガス内のNOxの一部を利用する方法に関する問題に、作動条件により、濃密作動期間において生成されたNH
3が、多くの場合、希薄期間(つまり排気ガス組成がλ>>1の場合)においてNOxを処理するには不十分であるということがある。この不足は、NOxが他の排出処理システムによって効率的に処理できる作動条件の範囲を制限しかねない。
【0015】
排出処理システムが作動する条件は、希薄燃焼エンジンによって出力される異なる車両によって異なるため、NOx削減のより厳しい要件を達成するために、排出処理システムの設計について柔軟性のあるアプローチが必要とされている。特に、NSR触媒組成を変更する希薄および濃密作動期間におけるNOx吸蔵およびNH
3形成の影響を考慮するアプローチは、この目標を達成するためのより信頼性があり実用的な道をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、未燃気体状炭化水素、一酸化炭素、微粒子物質(例えばディーゼル排気内)および特に、NOxを含む、希薄燃焼エンジンからの排気ガス成分の処理に効果的な排出処理システムに関する。システムは、二元触媒による機能を有する希薄NOxトラップ等の上流アンモニア生成触媒および下流SCR触媒を有し、希薄および濃密排気ガスを交互に行って作動する。LNT触媒は、式(1)および(2)に従う希薄作動期間(λ>>1.0)および濃密期間(λ<1.0)にNOx吸蔵を促進し、吸蔵されたNOxのN
2への還元(式5)のみでなく、NH
3の形成(式6)も触媒する。出願人は、LNT触媒の成分および希薄/濃密作動条件の選択によって、排気ガスが濃密になる場合に適正な量のNH
3を生成できることを認識している。
【0024】
SCR触媒について、希薄排気内のNOxを効率的に処理することが以前に実証されている公知のSCR触媒の全てが、LNT触媒の下流での使用に適しているわけではない。
例えば、卑金属(例えば銅、鉄)交換ゼオライト組成(例えばCu−YおよびFe−ベータ)またはバナジウム含有ベースの組成(例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2/SiO
2)は、所望のNH
3転換を提供するために不十分である。これらのSCR触媒は、希薄および濃密LNT作動の間に十分な熱安定性を有しないか、LNTからの生成されたNH
3を捕獲するためには低いNH3吸蔵を呈示する。このため、当該技術は、LNTとの組み合わせにおいて効率的に使用可能なSCR触媒を模索し続けている。良好な熱安定性を提供する
銅−SSZ−13またはCu/SAPO−34等の適したSCR触媒成分の選択は、LNT触媒の再生成および/または微粒子フィルタのバーンオフに関連付けられた高温および濃密条件となる可能性のあるLNT触媒の近くに、SCR触媒を配置することを可能にする。さらに、濃密条件において、
銅−SSZ−13ベースのSCR触媒が炭化水素(HC)スリップを還元できることがわかっている。したがって、こうしたSCR触媒は、NOxおよびNH
3の観点からだけでなくHCの観点から、LNT触媒ベースのシステムに利益をもたらす。さらに、LNTの背後に配置されたCu−CHA SCRまたは
Cu/SAPO SCRを含む触媒システムは、循環作用(濃密遷移の間にLNTによって大量のNH
3が生成される)の間、大量のNH
3貫流(アンモニア増加)を実質的に還元および/または効率的に排除することができることがわかっている。
【0025】
本明細書に記載されているアプローチは、ディーゼルエンジンおよび希薄燃焼ガソリンエンジンを含む、種々の希薄燃焼エンジンから排出される排気ガスを取り込むことのできる排出処理システムを設計するための、柔軟、効率的および予測可能な方法を提供する。
【0026】
以下の用語は、本出願の目的において、以下に記載されるそれぞれの意味を有するものとする。
【0027】
希薄排気流を含む「希薄ガス状流」は、λ>1.0である気体流を意味する。
【0028】
「希薄期間」は、排気ガス組成が希薄である、つまりλ>1.0である、排気処理期間を指す。
【0029】
「白金族金属成分」は、白金族金属またはその酸化物のうちの1つを指す。
【0030】
「希土類金属成分」は、ランタン、セリウム、プラセオジミウムおよびネオジムを含む元素周期表において定義されるランタン系の1つ以上の酸化物を指す。
【0031】
濃密排気流を含む「濃密ガス流」は、λ<1.0を有する気体流を意味する。
【0032】
「濃密期間」は、排気ガス組成が濃密である、つまりλ<1.0である排気処理の期間を指す。
【0033】
「ウォッシュコート」は、気体流の通過処理を可能にするために、十分な多孔質である、ハニカムフロースルーモノリス基板またはフィルタ基板等の耐火基板(refractory substrate)に応用された触媒または他の材料の薄い接着被膜の当該技術におけるその通常の意味を有する。
【0034】
「アンモニア生成成分」の参照は、エンジンの作動によって駆動されるその設計および構成の結果として、アンモニア(NH
3)を供給する排気システムの一部を意味する。かかる成分は、気体線量(dosing)または他のNH
3の外部供給源を除外する。アンモニア生成成分の例は、NOx吸蔵還元(NSR)触媒、希薄NOxトラップ(LNT)触媒を含む。
【0035】
図1Aを参照すると、気体状汚染物質(例えば未燃炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物)および微粒子物質を含む排気ガス流は、ライン6を介して、希薄燃焼エンジン4から任意の酸化触媒(DOC)触媒8へ運搬される。次に、排気流は、希薄期間にNOxを吸収するNOxトラップ12へ、ライン10を介して運搬され、濃密期間においてNOxをN
2に還元し、NOxを脱着し、NH
3を生成する。希薄期間におけるNOxの一部は吸収されないままである可能性があり、こうしてNOxスリップが生じる。NOxスリップまたはNH
3を含む排気流は、条件に応じ、ライン14を介して、SCR触媒16へ経路指定される。NH
3は、SCRに吸収される。希薄期間において、NOxトラップからのいずれのNOxスリップも、SCR内のNH
3によってN
2へ還元することができる。任意で、ライン18を介して排気流を受けるディーゼル微粒子フィルタ(DPF)(煤煙フィルタとも称される)20は、SCR16の下流に提供される。微粒子フィルタは、再生成のために、煤煙燃焼触媒によって触媒することができる。ライン22は、排気管へと通じ、システムから出る。
【0036】
図1Bにおいて、排出処理システム30は、ライン36を介して排気流を受ける任意のDOC触媒38へ、ライン36を介して排気を運搬するディーゼルエンジン34を含む。ライン40は、排気流をNOxトラップ42へ通過させ、これは、次に、ライン44を通って、SCR/DPF組み合わせへと排気を提供する。SCR/DPFの組み合わせにおいて、SCR触媒は、前面ゾーンのDPFへ、またはDPFの全体長さに沿って、被膜できる。
【0037】
図2に示される代替の実施形態において、LNT52およびSCR54の触媒は、同一の基板50の個別のゾーンに配置されてもよく、ここで、LNT触媒は基板の上流セグメントに配置され、SCR触媒は、下流セグメントに配置される。
【0038】
図1Aおよび1Bに示されるように、排出処理システムは、任意で、NOxトラップ触媒12および42の上流の酸化(DOC)触媒8および38を含むことができる。DOC組成は当該技術において公知であり、触媒による薬剤として白金族金属および任意で卑金属(例えばセリア)を含んでもよい。上流位置(つまり12および42として)において、DOCは、いくつかの有利な機能を提供する。触媒は、未燃気体状および非揮発性炭化水素(つまりディーゼル微粒子物質の可溶性有機比率)ならびに一酸化炭素を、二酸化炭素および水に酸化させる役割がある。DOC触媒を使用したSOFの多くの部分の除去は、特に、NOxトラップおよびSCR触媒上の微粒子物質の多すぎる堆積を防ぐのに役立つ。別の機能において、DOCは、NOxトラップ触媒の有効寿命を保護および延長できる。
【0039】
あるいは(図示せず)、DOCはSCR触媒の下流に配置でき、ここで、DOCは、上記のように未燃炭化水素およびCOを燃焼するために役立つだけではなく、特に白金族金属成分を含むDOC組成によって、いずれの未反応のNH
3も大気に放出しないように、アンモニアスリップ酸化触媒として役立つ。
【0040】
本発明の特定の実施形態において、DOCは、煤煙フィルタ、例えば、排気流内の微粒子材料、および特に微粒子材料の煤煙部分(または炭素質部分)の除去に役立つように、ウオールフローフィルタ上で被膜される。DOCは、上記の他の酸化機能の他に、煤煙部分がCO
2およびH
2Oに酸化する温度を低下させる。煤煙がフィルタに蓄積すると、触媒被膜は、フィルタの再生成に役立つ。煤煙フィルタはSCR触媒の下流に配置されてもよいが、触媒される煤煙フィルタは、微粒子材料に、NOxトラップ触媒およびSCR触媒が下流で付着するのを最小限にするまたは防ぐように、NOxトラップ触媒の上流に配置されることが望ましい。
基板
【0041】
好適には、LNTおよびSCR触媒組成のそれぞれは、基板に配置される。基板は、触媒の作成に典型的に使用されるこれらの材料のいずれかにしてもよく、好適には、セラミックまたは金属ハニカム構造を含む。通路が、そこを通る流体流れ(基板を通るハニカム流と称される)に対して開くように、基板の流入または流出面からそこを通って延伸する微細な並行の気体流路を有する種類のモノリシック基板等の、いずれかの適した基板を使用してもよい。その流体流入からその流体流出へ本質的にまっすぐな通路である通路は、通路を通過する気体が触媒材料と接触するように、ウォッシュコートとして触媒材料が被膜される壁によって画定される。モノリシック基板の流路は、台形、長方形、正方形、正弦曲線、六角形、楕円形、円形等のいずれかの適した断面の形およびサイズにすることができる、薄壁に囲まれたチャネルである。かかる構造は、断面の1平方インチ当たり約60〜約600以上の気体流入開口部(つまり細胞)を含んでもよい。
【0042】
図3および4は、複数の交互にブロックされるチャネル52を有し、DPFとして機能できる、ウオールフローフィルタ基板50を示す。通路は、チューブ状に、フィルタ基板の内部壁53によって包囲される。基板は、流入端54および流出端56を有する。交互の通路は、流入54および流出56においてチェス盤模様の反対を形成するように、流入プラグ58によって流入端で、および流出プラグ60によって流出端でプラグ接続される。気体流62は、プラグ接続されていないチャネル流入64を通過して入り、流出プラグ60によって止められ、(多孔質である)チャネル壁53を通って、流出側66へと拡散する。気体は、流入プラグ58のために壁の流入側へ再び戻ることができない。かかる基板が利用される場合、生成されたシステムは、気体状汚染物質と共に、微粒子物質を除去することができない。このため、適したウオールフローフィルタは、縦方向に延伸する壁によって境界を示され規定されて形成された複数の縦方向に延伸する通路を有するハニカム基板であり、通路は、開いた流入端および閉じた流出端を有する流入通路を含み、流出通路は閉じた流入端および開いた流出端を有する。ハニカムウオールフローフィルタ以外の他の適したフィルタは、巻かれたまたは充填されたファイバーフィルタ、開いた細胞フォーム、焼結した金属フィルタ等を含むが、これらに制限されない。
【0043】
ウオールフローフィルタ基板は、コージライト、α−アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、リシア輝石、アルミナ−シリカ−マグネシアまたはケイ酸ジルコニウム等セラミック様の材料の、または多孔質耐火基板で構成できる。壁流基板は、さらに、セラミック繊維混合物材料で形成されてもよい。特定の壁流基板は、コージライト、炭化ケイ素、およびチタン酸アルミニウムから形成される。かかる材料は、環境、特に、排気流の処理において生じる高温に耐えることができる。
【0044】
本発明のシステムで使用するための壁流基板は、逆圧または物体通過圧力の高すぎる増加を生じさせずに流体流が通過する薄い多孔質壁で囲まれたハニカム(モノリス)を含むことができる。システムで使用されるセラミック壁流基板は、少なくとも5ミクロン(例えば5〜30ミクロン)の平均孔径を有する少なくとも50%(例えば50〜75%)の多孔率を有する材料で形成できる。特定の実施形態では、基板は、少なくとも59%の多孔率を有することができ、10〜20ミクロンの平均孔径を有することができる。これらの多孔率およびこれらの平均孔径を有する基板を後述の技術で被膜する場合、所望の触媒組成の適正なレベルを、基板に積載できる。これらの基板は、触媒積載(load)にもかかわらず、適正な排気流特性、つまり許容可能な逆圧を保持できる。米国特許第4,329,162号は、適した壁流基板の開示に関して参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0045】
多孔質ウオールフローフィルタは、元素の壁が、1つ以上の触媒材料をその上に有するまたはその中に含む場合に、触媒できる。触媒材料は、元素壁の流入側のみ、流出側のみ、流入および流出側に存在してもよい、または、壁自体が、触媒材料の全てまたは一部を構成してもよい。本発明は、触媒材料の1つ以上のウォッシュコートおよび、元素の流入および/または流出壁における触媒材料の1つ以上のウォッシュコートの組み合わせの使用を含む。
【0046】
本発明の触媒に有用な基板は、本質的に金属であってもよく、1つ以上の金属または金属合金から構成されてもよい。金属基板は、波型シートまたは一体形等の種々の形態で用いられていてもよい。好適な金属支持体は、チタンおよびステンレススチール、さらに鉄が大部分または主要な成分である他の合金等の耐熱金属および金属合金を含む。かかる合金は、ニッケル、クロミウムおよび/またはアルミニウムのうちの1つ以上を含んでもよく、これらの金属の全体量は、有利には、少なくとも15重量%の合金、例えば10〜25重量%のクロミウム、3〜8重量%のアルミニウムおよび最大で20重量%のニッケルを含んでもよい。合金は、さらに、マンガン、銅、バナジウム、チタン等の少量または微量の1つ以上の他の金属を含有してもよい。代表的な市販の金属基板はEmitecによって製造される。しかしながら、本発明は、特定の基板タイプ、材料、または形状に制限されないことが理解される。表面または金属基板は、基板の表面に酸化物層を形成することにより、合金の腐食に対する耐性を向上させるために、高温、例えば1000℃以上で酸化してもよい。かかる高温で誘導された酸化は、耐火金属酸化物支持体および基板への触媒促進金属成分の密着力(adherence)を向上してもよい。
【0047】
代替の実施形態では、LNTまたはSCR触媒組成のうちの一方または両方を、開いた細胞フォーム(cell foam)基板に堆積してもよい。かかる基板は当該技術において公知であり、典型的には耐火セラミックまたは金属材料の形態である。
【0048】
本明細書に記載されるLNT触媒の使用は、希薄燃焼エンジンの排出処理システムの設計について大きな利点を提供する。LNT触媒は、希薄作動期間におけるNOx吸蔵機能および濃密作動期間におけるNH
3生成機能を有するため、これらの2つの機能を実行するために個別の触媒基板を含むことは不要である。そのため、個別の触媒基板の作成および収容の手間が不要である。さらに、NOx吸蔵を促進する触媒およびNH
3形成を促進する触媒は、共に、概して、その組成の白金族金属成分を有するため、全体的な白金族金属利用は二元機能LNT触媒によって低下する。したがって、NOx吸蔵およびNH
3形成のための個別の触媒の代わりに単一のLNT触媒を有する排出処理システムは、システム設計者に対し、大きなコスト削減をもたらすことができる。
【0049】
排気ガス組成の空気/燃料比率は、当業者に公知の多数の方法によって、濃密ガス流を提供するように変更してもよい。濃密モードで希薄燃焼エンジンを周期的に作動する、または排気流の空気/燃料比率をより直接変えるコントローラを使用できる。例えば、空気/燃料比率は、公知のエンジン管理制御を使用して、濃密モードでエンジンを周期的に作動することにより、濃密にできる。あるいは、排気ガス流は、NSR触媒の上流の炭化水素還元剤(例えばディーゼル燃料)を周期的に計測することにより、濃密にしてもよい。
【0050】
濃密期間中に生成されるNH
3の量は、濃密ガス流を生成するための濃密パルス使用の長さおよび強度の両方に依存する。濃密期間における本発明の排出処理システムの作動の目的のために、濃密ガス流は、概して0.80〜0.995のλを有する。好適には、濃密ガス流は、0.90〜0.95のλを有する。希薄期間において、希薄ガス状流は、好適には、1よりも大幅に大きいλ、例えば1.5〜1.8以上の範囲を有する。濃密期間の長さは、概して、希薄期間の1〜10%である。かかる作動パラメータにより、確実に、適正なレベルのNH
3が最小燃料ペナルティで生成される。
【0051】
NSR触媒を通る本発明の排出処理システムによるNOxの処理のための空間速度は、10,000〜200,000h
-1である。より好適には、排気ガスの空間速度は10,000〜100,000h
-1である。SCR触媒を通る排気ガスの空間速度は、好適には10,000〜300,000h
-1、より好適には、15,000〜150,000h
-1である。
【0052】
LNT触媒組成
本発明のシステムで使用されるLNT触媒組成は、NOx吸着媒および耐火金属酸化物支持体において拡散した白金族金属成分を含む。さらに、LNT触媒組成は、濃密作動期間の間に形成されたNH
3の量に大きく影響する、酸素吸蔵成分等の他の成分を任意で含む。
【0053】
LNT触媒は、自立型粒子(例えばタブレット、ビーズ)または触媒組成で形成された固形ハニカムモノリス等のいずれの形態を取ってもよい。しかしながら、LNT触媒組成は、好適には、セラミックまたは金属基板上のウォッシュコートまたはウォッシュコートの組み合わせ(層構造の触媒合成物を形成するための)として配置される。本発明の好適な実施形態において、LNT触媒は、単一層、または基板に接着される底部層および底部層に重ねられる上部層を有する二層触媒合成物の形態である。
【0054】
LNT触媒組成は、少なくともNOxトラップ成分(例えばBa、Mg等)および支持体を含む。支持体は、少なくとも、アルミナ、チタニア、ジルコニア;チタニア、ジルコニア、およびセリアのうちの1つ以上とのアルミナ混合物;アルミナで被膜されたセリア、またはアルミナで被膜されたチタニア等の、高表面積の耐火金属酸化物で構成される。耐火金属酸化物は、非結晶質または結晶質、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミア、アルミナ−セリア等であってもよい、シリカ−アルミナ、ケイ酸アルミノ等の酸化物または混合酸化物を含んでもよい。好適な耐火金属酸化物は、ガンマアルミナ、アルミナで被膜されたセリアおよびアルミナで被膜されたチタニアである。好適な支持体は拡散されたアルカリ土類元素(例えばバリウム)を含んでもよく、触媒は、さらに、微粒子の形態のセリアを含んでもよいことが、有利である。
【0055】
典型的には、耐火金属酸化物は、約50〜約300m
2/gの特定の表面積を有する。支持体は、典型的には、約1.5〜約7.0g/in
3の量で存在し、この量は、2つ以上の触媒層を有する実施形態の合計の量である。2つの層が存在する本発明の実施形態では、底部層のために選択された支持体は、上部層のために選択されたものと同じである必要はないが、そうであると便利である。さらに、底部層の支持体の量は、底部および上部層内の支持体の量が所望の性能を提供するために十分である限り、上部層にあるものと同一である必要はない。
【0056】
1つ以上の白金族金属成分、例えばプラチナ、パラジウム、ロジウムおよびその混合物が、支持体に拡散される。LNT触媒のこれらの成分は、窒素種の酸化および還元を促進する。白金族金属成分の積載の量は約10〜約250g/ft
3の範囲となり、好適には、量は、50〜200g/ft
3の範囲となり、これらの量は、2つ以上の触媒層を有する実施形態における合計量である。ここで再び、二層触媒合成物が使用される本発明の実施形態において、底部層に選択された白金族金属成分は、上部層で選択されたものと同一である必要はないが、そうであると便利である。さらに、底部層における白金族金属成分の量は、底部および上部層の白金族金属成分の量が上記の範囲内である限り、上部層のものと同一である必要はない。
【0057】
本発明の目的のために、LNT触媒はさらに、適正なNOx吸蔵能力を確実にするために、少なくとも1つのNOx吸着媒成分を含む。さらに、濃密作動期間におけるNH
3の形成は、一部、吸蔵されたNOx(つまり金属硝酸塩として)の供給によって制限されるため、NOx吸蔵能力は、NH
3を形成するLNTの触媒能力に大きく影響する。典型的には、NOx吸着媒成分は、適正なNOx吸蔵を確実にするために、0.1〜4.0g/in
3等の少なくとも0.1g/in
3の量で存在する。より好適には、少なくとも約0.2g/in
3のNOx吸着媒が存在し、より好適には、組成において少なくとも0.3g/in
3のNOx吸着媒が存在する。適したNOx吸着媒成分は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムおよびその混合物から選択されたアルカリ土類元素の塩基性(basic)本酸化化合物、およびセリウムから成る希土類元素の酸化化合物を含む。セリウムは、不純物として、ランタン、ネオジムおよびプラセオジミウムをさらに含んでもよい。
【0058】
NOx吸蔵およびNH
3形成に影響するLNT触媒組成の成分はセリアである。セリア成分は、より低温においてNOxトラップ能力を改善するが、あまりに高い成分濃度は、通常の希薄および濃密作動の間に形成可能なNH
3の量を制限することがある。出願者は、多すぎるセリア成分量の存在が、濃密遷移の期間において多くの還元剤を消費すると考える。そのため、燃料ペナルティを増加させる、適正な量のNH
3の形成を誘発するために、さらなる量の還元剤が必要である。
【0059】
セリア成分は、例えば、耐火金属酸化物支持体上に可溶性前駆物質(例えば硝酸セリウム)を拡散することにより、超合金酸化物支持体に拡散されてもよい。あるいは、成分は、組成において微粒子の形態として提供される。微粒子の形態によって、組成物が、卑金属ウォッシュコート内の溶液に拡散されるものに対し、固形の、好適には直径が1〜15ミクロン以下のできる限り小さい微粒子であることが意図される。他の希土類元素は、不純物として、セリア内に存在してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、セリア成分は、市販で入手可能、または当業者には容易に明らかである等、共形成された(co−formed)希土類金属−ジルコニア合成物(例えばセリア−ジルコニア合成物)のバルク微粒子材料で構成されてもよい。例えば、共形成された合成物が、米国特許第5,057,483号に記載されている。これらの粒子は、安定化アルミナウォッシュコートと反応せず、長期間、900℃にさらされても、40m
2/gを越えるBET表面積を維持できる。
【0061】
LNT組成に追加されてもよい他の成分は、ジルコニウム等の他の遷移金属を含む。使用される場合には、かかる遷移金属成分は、典型的には、約0.01〜約0.5g/in
3の量で存在する。
【0062】
LNT触媒合成物は、先行技術で公知のプロセスによって容易に作成されてもよい。
【0063】
特定の所望のLNT組成は、参照することにより本明細書に組み込まれる、2008年6月27日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第61/076,560号(Wan)に開示されているものと類似している。かかるLNT組成は、100〜600℃の排気温度、より詳細には、150〜450℃の温度で良好なNOx吸蔵/NOx還元活性を呈する。さらに、かかるLNT触媒組成は、中間条件において硫化化合物を除去する非常に優れた熱安定性および能力を呈する。興味深いことに、白金族金属が存在する場合の微粒子の形態のLNT内のセリアは、最終的な希薄条件においてより低い温度(特に250℃未満)でのNOxトラップを向上させるだけではなく、同一の低温における最終的な濃密条件において、吸収された窒素酸化物の転換を活性化できる。
【0064】
LNT触媒組成は、トップウォッシュコート層およびアンダーコートウォッシュコート層を含むことができる。トップウォッシュコート層は、NOxトラップ成分として少なくとも1つの支持された貴金属触媒およびセリアを含む。トップウォッシュコート層は、低温(典型的には<250°C)の最終的な濃密条件において貴金属成分上に吸収された窒素酸化物の転換を妨げると考えられる、いずれかのアルカリ土類成分を実質的に含まない。トップウォッシュコート組成は、200°C未満の温度でNOxを酸化できる。さらに、トップウォッシュコート層は、200°C未満の温度で未燃一酸化炭素を効率的に還元できる。アンダーコート層は、排気ガス排出の処理のために少なくとも1つの支持された貴金属触媒と密接に接触する少なくとも1つのNOxトラップ成分を含む。好適には、アンダーコート層は、NOxトラップ成分として少なくとも1つのアルカリ土類元素および/または希土類元素を含む。
【0065】
一実施形態において、希薄NOxトラップ/触媒は、一つの層(例えばトップウォッシュコート層)の上にもう一方の(例えばアンダーコートウォッシュコート層)が載った、単一の基板または担体部材に被膜された2つの別個のウォッシュコート層を含む、トラップ/触媒組成を含んでもよい。この実施形態では、基板(例えばフロースルーモノリス)の全体的な軸方向長さにおいて、アンダーコートウォッシュコート層が被膜され、アンダーコートウォッシュコート層の全体的な軸方向長さにおいて、トップウォッシュコート層が被膜される。本発明に従い、トップウォッシュコート層は、排気ガス排出の処理のために少なくとも1つの支持された貴金属を含み、任意でジルコニアを含んでもよいが、いずれのアルカリまたはアルカリ土類成分も含まれていない。アンダーコート層は、より高い作動温度で排気ガス流からの窒素酸化物を選択的に吸収および転換する、少なくとも1つのNOxトラップ成分またはNOx吸収媒を含んでもよい。アンダーコートウォッシュコート層はさらに、排気ガス排出処理のために少なくとも1種の貴金属触媒を含んでもよい。希薄燃焼条件において、本発明のウォッシュコート層は、窒素酸化物(NOx)を同時に吸蔵することができ、排気ガス流内の炭化水素および一酸化炭素の転換を触媒することができる。適正な濃密再生成条件において、吸蔵されたNOxは、トップおよびアンダーコートウォッシュコート層の両方に含まれる触媒によって変換されてもよい。
【0066】
LNT触媒合成物は、モノリシックハニカム基板上の層において容易に作成することができる。底部層について、ガンマアルミナおよび他の触媒成分等の高表面積の耐火金属酸化物の細分割化粒子は、適切な媒体、例えば水に懸濁される。次いで、基板は、かかる懸濁液に一度以上滴下されてもよい、または、懸濁液は、金属酸化物の所望の積載、例えば約1.5〜約6.0g/in
3、基板に堆積されるように、基板(例えばハニカムフロースルー基板)上に被膜されてもよい。白金族金属、遷移金属酸化物、安定剤、プロモーターおよびNOx吸着媒成分等の成分は、水溶性または水で分散可能な化合物または合成物の混合物として懸濁液に組み込まれてもよい。その後、被膜された基板は、例えば400〜600℃で、1〜3時間加熱することで焼成される。
【0067】
典型的には、白金族金属成分、例えばプラチナ成分は、白金族金属塩または合成物(または白金族金属前駆物質)を用いて、耐火金属酸化物、例えば活性化アルミナに拡散される。本発明の目的において、「白金族金属前駆物質」という用語は、その焼成または使用時において、通常、金属または金属酸化物を分解するまたは触媒活性の形態へ転換するいずれかの化合物、合成物等を意味する。金属成分を耐火金属酸化物支持体粒子に浸透または堆積させるために使用される液体媒質が、触媒組成に存在してもよい、および加熱および/または真空の印加時における気化または分解によって、金属成分から除去することができる、金属またはその化合物あるいはその合成物または他の成分と不利に反応しない限り、水溶性化合物または水分散可能化合物あるいは金属成分の合成物を使用してもよい。いくつかの場合において、液体の除去の完了は、触媒が使用され、作動時に生じる高温が生じるまで、行われなくてもよい。概して、経済および環境的な面の観点の両方から、可溶性化合物の水溶液または白銀族金属の合成物が好適である。例えば、適した合成物は、ヘキサクロロ白金酸、アミン−可溶化水酸化プラチナ、硝酸パラジウムまたは塩化パラジウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、塩化ヘキサミンロジウム等である。焼成ステップにおいて、または少なくとも合成物の使用の初期段階において、かかる化合物は、その金属または化合物の触媒活性の形態に転換される。
【0068】
本発明の層構造の触媒合成物の底部層を形成する好適な方法は、白金族金属前駆物質および少なくとも1つの細分化された、高表面積、耐火金属酸化物支持体、例えば、懸濁液を形成するために溶液の実質的に全てを吸収するために十分に乾燥されたガンマアルミナの溶液の混合物を調製することである。好適には、懸濁液は、約3〜7未満のpHを有する酸性である。懸濁液のpHは、塩酸または硝酸、好適には酢酸等の少量の無機または有機酸の懸濁液への添加によって低下してもよい。その後、NOx吸着媒成分、および任意の遷移金属成分、安定剤および/またはプロモーターを、懸濁液に添加してもよい。
【0069】
特に好適な実施形態では、懸濁液は、実質的に全ての固形が平均の直径が20ミクロン未満、つまり1〜15ミクロンの粒径を有するように、その後、細分化される。粉砕はボールミルまたは他の同様の装置で行われてもよく、懸濁液の固形容量は、例えば20〜60重量%、好適には25〜45重量%にしてもよい。
【0070】
上部層は、その後、上記のものと同様に、焼成された合成物の底部層において作成および堆積される。全ての被膜作用が完了後、次いで、合成物は再び例えば400〜600℃で1〜3時間加熱することにより、焼成される。
【0071】
SCR触媒
希薄排気において効率的にNOxを処理することが実証された公知のSCR触媒の全てが、LNT触媒の下流での使用に適しているわけではない。例えば、卑金属(例えば銅、鉄)交換されたゼオライト組成(例えばCu−YおよびFe−ベータ)またはバナジウム含有ベースの組成(例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2/SiO
2)は、所望のNH
3転換を提供するためには不十分である。これらのSCR触媒は、希薄および濃密LNT作動の間、十分な熱安定性を有していない、または、LNTから生成されたNH
3をトラップするために、低いNH
3吸蔵を呈する。このため、当該技術は、LNTとの組み合わせにおいて効率的に使用可能なSCR触媒を模索し続けている。
【0072】
排出処理システムの特定の実施形態において、SCR触媒は、卑金属交換ゼオライト材料で形成される。かかるSCR触媒組成は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0202107号(Boorse)に記載される。Boorseにおいて開示される組成は、Cu交換菱沸石分子篩を含む。好適な実施形態では、ゼオライトは、銅成分を含む。特に特定の実施形態では、Cu/CHAは、銅−SSZ−13である。SAPO等の菱沸石に類似した構造を呈する分子篩も、効果的であることがわかっている。このため、特定の実施形態では、Cu/SAPOは
Cu/SAPO−34である。
【0073】
ハニカムモノリス基板上に堆積する場合、かかるSCR触媒組成は、所望のNH
3還元が達成されるのを確実にするために、および長期間の使用における、触媒の適正な耐久性を安全にするために、少なくとも0.5g/in
3の濃度で堆積する。ある好適な実施形態は、SCR触媒が0.5〜2.5g/in
3(または0.5〜2.0g/in
3、または0.5〜1.5g/in
3)の範囲の量で担体へ積載することを条件とする。特定の実施形態では、SCR組成は、壁流モノリスに配置される(例えばDPF)。
【0074】
本発明の1つ以上の実施形態に従う別の特に有用な触媒は、CHA結晶構造を有する分子篩を含む。CHA結晶構造を有する分子篩は、非ゼオライト系分子篩(例えばSAPO)を含むことができる。CHA結晶構造を有する分子篩はさらに、ゼオライトを含む。
【0075】
1つ以上の実施形態では、CHA構造を有する金属を積載されたゼオライト系分子篩のウォッシュコートは、バインダを使用して作成できる。1つ以上の実施形態に従い、酢酸ジルコニウム等の適した前駆物質または硝酸ジルコニウム等のいずれかの他の適したジルコニウム前駆物質から導出されたZrO
2バインダの使用。一実施形態において、酢酸ジルコニウムバインダは、熱劣化後に、例えば、触媒が少なくとも約600℃、例えば、約800℃以上の高温、および約10%以上の高い水蒸気環境にさらされる場合に、均質的および無傷である触媒による被膜を提供する。ルースまたはフリー被膜は、CSFがSCR被膜を含む場合に、CSF自体をプラグすることができる、またはフロースルーSCR触媒がCSFの前面に配置する場合に、CSFの下流にプラグすることができ、これが逆圧を増加させるため、ウォッシュコートが無傷のままであることが、有益である。他の潜在的に適したバインダには、アルミナおよびシリカを含むがこれらに制限されない。アルミナバインダは、アルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物、およびアルミニウム酸水酸化物を含む。アルミニウム塩およびコロイドの形態のアルミナも使用してもよい。シリカバインダは、コロイドシリカを含むSiO
2の種々の形態を含む。さらに、バインダ組成は、ジルコニア、アルミナ、およびシリカのいずれの組み合わせを含んでもよい。
【0076】
CHA結晶構造を有する分子篩
本発明の一実施形態は、CHA結晶構造および約15を超えるシリカ対アルミナのモル比率、ならびに約0.25を超える銅対アルミニウムの原子比率を有するゼオライトを含む触媒に関する。特定の実施形態では、シリカ対アルミナのモル比率は約15〜約256であり、銅対アルミニウムの原子比率は、約0.25〜約0.50である。より特定の実施形態では、シリカ対アルミナのモル比率は約25〜約40である。またさらに特定の実施形態では、シリカ対アルミナのモル比率は約30である。ある特定の実施形態では、銅対アルミニウムの原子比率は約0.30〜約0.50である。特定の実施形態では、銅対アルミニウムの原子比率は約0.40である。特定の実施形態では、シリカ対アルミナのモル比率は、約25〜約40であり、銅対アルミニウムの原子比率は、約0.30〜約0.50である。別の特定の実施形態では、シリカ対アルミナは約30であり、銅対アルミナの原子比率は約0.40である。
【0077】
特定の実施形態では、触媒は、イオン交換銅、および触媒の熱水劣化後に窒素酸化物を含む排気ガス流内の触媒のNOx転換性能を維持するために十分な銅の量を含む。特定の実施形態では、触媒は、少なくとも約2.00重量パーセントの銅酸化物を含む。
【0078】
一実施形態において、触媒体(catalyst article)は、基板上に堆積するCHA結晶構造を有するゼオライトを有するハニカム基板を含み、ゼオライトは、約15を超えるシリカ対アルミナのモル比率および約0.25を超える銅対アルミニウムの原子比率を有し、イオン交換能力を超える銅の量を含む。特定の実施形態では、過剰な銅が、触媒の構造の熱水劣化を防ぐために十分な量、存在してもよい。触媒は、さらに、バインダを含んでもよい。
【0079】
本発明の一実施形態において、菱沸石等のCHA構造を有するゼオライトが提供される。1つ以上の実施形態では、CHA結晶構造および約15を超えるシリカ対アルミナのモル比率ならびに約0.25を超える銅対アルミニウムの原子比率を有するゼオライトが提供される。特定の実施形態では、シリカ対アルミナのモル比率は約30であり、銅対アルミニウムの原子比率は約0.40である。CHA構造を有する他のゼオライトは、SSZ−13、LZ−218、Linde D、Linde R、Phi、ZK−14、およびZYT−6を含むが、これらに制限されない。
【0080】
本発明の別の実施形態では、触媒体は、基板上に堆積したSAPO等のCHA結晶構造を有する非ゼオライト系分子篩を有するハニカム基板を含む。特定の実施形態では、触媒構造の熱水劣化を防ぎ、触媒の性能を保持するために十分な量の銅が存在する。触媒は、さらに、バインダを含んでもよい。
【0081】
CHA構造を有する分子篩の合成は、当該技術において公知の種々の技術に従って実行できる。例えば、典型的なSSZ−13合成において、シリカ源、アルミナ源、および有機指向剤を、アルカリ水溶性条件で混合する。典型的なシリカ源は、種々の種類のヒュームドシリカ、沈殿シリカ、およびコロイドシリカ、さらにシリコンアルコキシドを含む。典型的なアルミナ源は、ベーマイト、擬似ベーマイト、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム等のアルミニウム塩、およびアルミニウムアルコキシドを含む。水酸化ナトリウムは、典型的には反応混合物に添加されるが、必須というわけではない。この合成のための典型的な指向剤はアダマンチルトリメチルアンモニウム水酸化物であるが、他のアミンおよび/または第4アンモニウム塩を置き換える、または後の指向剤に添加することもできる。反応混合物を、結晶質のSSZ−13生成物を生じさせるために、攪拌しながら、圧力容器で加熱する。典型的な反応温度は、150および180°Cの範囲である。典型的な反応時間は、1日および5日の間である。
【0082】
反応の最後に、生成物は濾過され、水で洗浄される。あるいは、生成物を遠心分離機にかけてもよい。固形生成物の処理および分離に役立つように有機添加物を使用してもよい。噴霧乾燥は、生成物の処理における任意のステップである。固形生成物は、空気または窒素内で熱的に処理される。あるいは、各気体処理を種々のシーケンスに応用できる、または気体混合物を適用できる。典型的な焼成温度は、400°C〜700°Cの範囲である。
【0083】
本発明の1つ以上の実施形態に従うCuCHAゼオライト触媒および
Cu/SAPO分子篩触媒を、例えば約600℃を超える温度、例えば、約800℃を超える温度、および約10%水蒸気の存在下で、酸化および/または熱水条件を含む触媒によるプロセスで利用できる。より詳細には、本発明の実施形態に従って作成された触媒は、CuYおよびFeBetaゼオライトと比較して優れた熱水安定性を有することがわかっている。本発明の実施形態に従って作成されたCuCHAゼオライト触媒および
Cu/SAPO分子篩触媒は、触媒システムとしてLNTと組み合わせる場合に、特に、少なくとも約600℃、例えば、約800℃の高温、および約10%以上の高水蒸気環境での劣化後、全体のNOx還元活性を向上させることができ、アンモニアの大量の放出を実質的に削減または排除することができる。CuCHAおよび
Cu/SAPOは、より少量の触媒材料の使用を可能にする高い本質的な活性を有しており、これは、触媒のウォッシュコートで被膜されたハニカム基板の逆圧を低下させる。1つ以上の実施形態では、高温での熱水劣化は、約10%以上の高水蒸気環境での約800℃の温度に、少なくとも約1〜約24時間、触媒をさらすことを指す。
【0084】
実験は、本発明の実施形態に従うCuCHA触媒の改善した性能は、Cu積載に関連付けられることを示している。ゼオライト構造の交換部位に関連付けられたCuレベルを向上させるためにCuが交換できるが、例えば、ゼオライト触媒内のCuSO
4として、塩の形態でCuを非交換のままにすることが有利であることがわかっている。焼成時において、銅塩は、「遊離銅」または「移動(mobile)銅」と称されてもよい、CuOに分解する。1つ以上の実施形態では、この遊離Cuは、活性および選択的であり、そのため、窒素酸化物を含む気体流の処理において使用される場合に、低いN
2O形成が生じる。予期しなかったことに、この「遊離」Cuは、最大で約800°Cの温度の熱劣化を受けるCuCHA触媒において大きな安定性をもたらすことがわかっている。
【0085】
本発明の実施形態は特定の原理によって拘束されることは意図されていないが、CHA構造を有する分子篩の比較的小さいチャネル開口部により、ディーゼル燃料に典型的な高分子量炭化水素(HC)が、CHA構造内に流入および吸収できないようになっていると考えられる。BetaまたはZSM5のような他のゼオライトとは異なり、本発明の実施形態に従って作成されるCHA触媒は、これらの高分子量HC種を吸収するための比較的低い親和性を有する。これは、選択接触還元(SCR)触媒で使用するために有利な特性である。
【0086】
使用時において、排気ガス流は、本発明の実施形態に従って作成された触媒と接触できる。例えば、本発明の実施形態に従って作成されるCuCHAおよび
Cu/SAPO触媒は、ディーゼルエンジンを含むエンジンの排気処理に良く適している。
【0087】
いずれかの方法において本発明を制限することを意図せず、本発明の実施形態は、以下の例によってより完全に記載される。
【実施例】
【0088】
本明細書に記載された方法に従い、酸化触媒、トップコートウォッシュコート層と共に、アンダーコートウォッシュコート層を有するLNT触媒、および銅−SSZ−13(CuCHA)または
Cu/SAPO−34(
Cu/SAPO)を含むSCR触媒を作成することにより、排出システムを形成した。
【実施例1】
【0089】
50in
3(0.83L)の容量、1平方インチ当たり300細胞の細胞密度、およびおよそ125μmの壁の厚さを有するフロースルーモノリス基板に、酸化触媒を配置した。触媒は、40g/ft
3Ptおよび8g/ft
3Pdならびに0.5g/in
3H−ベータゼオライトを持つ2.5g/in
3活性化アルミナのウォッシュコートを有する。
【0090】
層構造のLNT触媒が、容量152in3(2.5L)、1平方インチ当たり400細胞の細胞密度、およびおよそ100μmの壁厚さを有するフロースルーモノリス基板上に配置された。アンダーコートは、10%セリアおよび18%BaOを含む3.84g/in3活性化アルミナ、1.1g/in3セリア(セリアの87%が微粒子の形態)、0.24g/in
3MgO、および0.096g/in3ZrO2のウォッシュコートを含んでいた。アンダーコートウォッシュコートは、34.3g/ft
3Ptおよび4.3g/ft
3Pdを含んでいた。トップコートは、21.7g/ft
3Ptおよび2.7g/ft
3Pdを含む0.7g/in
3活性化アルミナおよび7.0g/ft
3Rhを含む0.5g/in
3セリアのウォッシュコートを含んでおり、実質的なアルカリ土類成分は、トップコートウォッシュコートには存在しなかった。生成された層構造のLNT触媒は、合計で56g/ft
3Pt、7g/ft
3Pdおよび7g/ft
3Rhを含んでいた。
【0091】
CuCHASCR触媒が、容量91.5in
3(1.5L)、1平方インチ当たり400細胞の細胞密度、およびおよそ150μmの壁厚さを有するフロースルーモノリス基板に配置された。CHAゼオライトは、SSZ−13組成であった。ゼオライト上の銅積載は3.2重量%であり、モノリス上の合計ウォッシュコート積載は2.4g/inであった。
【0092】
Cu/SAPO SCR触媒が、容量91.5in
3(1.5L)、1平方インチ当たり400細胞の細胞密度、およびおよそ150μmの壁厚さを有するフロースルーモノリス基板上に配置された。SAPO分子篩は、シリカ対アルミナのモル比率が約0.67であるSAPO−34組成を呈した。分子篩の銅積載は2.2重量%であり、合計のウォッシュコート積載は2.0g/in
3であった。
【実施例2】
【0093】
比較
SCR触媒が全く存在しない、例1のLNT触媒を作成することにより、排出システムを形成した。
【実施例3】
【0094】
試験
例1で前述したフロースルー触媒のそれぞれから、コアサンプルを採取した。個別のコアサンプルのサイズは、DOCでは、0.75”(D)x0.42”(L)、LNTでは0.75”(D)x1.25”(L)、SCRでは0.75”(D)x0.75”(L)であった。システムサンプルの3セットを、個別の実験用リアクターに、それぞれ組み立てた。実験用リアクター内の各触媒元素の距離は、0.25”であった。この本発明(つまりDOC+LNT+Cu−CHAおよびDOC+LNT+
Cu/SAPO)の例1の排出システムおよび比較例2(つまり(DOC+LNTのみ)は、個別に劣化した。劣化過程は、2つのステップで構成される。第一に、触媒システムが、5時間、10%蒸気の流れ空気において、800℃で劣化された。次いで、触媒システムで、300℃の硫酸化モード(1gS/L積載)および700℃(LNT床温)の脱硫酸化モード(サイクル10秒希薄および15秒濃密(5分で(λ=0.9)の間)で構成される循環劣化プロトコルが行われた。循環劣化は、40サイクル行った。劣化後、触媒システムを、FTIR分析装置を有するリアクター試験リグで評価した。評価は、120秒の希薄ガスに暴露することを12サイクル行い、次いで、5秒の濃密ガス暴露を行った。希薄ガスは、200ppmNO、5%CO、2.5%H2O、10%O
2およびバランスN
2で構成される。濃密ガス(λ=0.95)は、2.36%CO、0.78%H
2、0.95%O
2、5%CO
2、5%H
2O
5、1500ppmC
3H
6バランスN
2を含んでいた。試験時の空間速度は、60,000時間
-1(LNT容量に基づく)で一定に保たれた。NH
3形成のパーセント劣化は、試験の間中監視され、試験内の全NOx入力に基づくサイクル平均数として報告された。システムのNOxトラップ能力は、12回目の濃密露出の終了後に計測され、80%サイクルNOx転換に達すると、システムから除去されたNOx量として表された。
【0095】
図5Aおよび
図5Bに示されるように、例1のLNTの背後に配置されたCu−CHA SCRまたは
Cu/SAPO SCR(
図5Aおよび5Bにおいて大きいまたは太いラインで示される)を含む触媒システムは、大量のNH
3が濃密遷移時においてLNTによって生成される循環作用において、大きなNH
3貫流(アンモニア増加)を実質的に削減、および/または効率的に除去した。図に示されるように、LNTの下流に配置されるCuCHA SCRまたは
Cu/SAPO SCRを含む実施形態に従い、濃密遷移作動時のアンモニア増加を実質的に削減および/または排除できる。本明細書で用いられているように、「実質的な削減」は、濃密遷移作動時に生成されたアンモニアにおける少なくとも約50%、60%、70%、80%および90%以上の還元を指す。アンモニア排出の増加の排除により、アンモニア排出のための調節制限を越える可能性を避けることができる。このため、適正なSCR触媒および触媒の量を選択することにより、アンモニア増加を所定の制限未満に抑えることができる。
図5Cおよび
図5Dにおいて示されるように、例1のLNTの背後に配置されたCu−CHAまたは
Cu/SAPOを含む触媒システムは、システム性能を大幅に増大させ、システムNOxトラップ能力を大幅に向上させた。
【実施例4】
【0096】
本明細書に記載された方法に従って作成することにより、排出システムが形成され、LNT触媒は、2層構造およびディーゼル微粒子フィルタ(DPF)上に銅−SSZ−13(CuCHA)を含む下流SCR触媒を有する。
【0097】
LNT触媒を、152in
3(2.5L)の容積、1平方インチ当たり400細胞の細胞密度、およびおよそ100μmの壁の厚さを有するフロースルーモノリス基板上に配置した。LNTの作成は、PGM積載を除き、例1に記載されるものと本質的に同一であった。アンダーコートは、63g/ft
3Ptおよび6.5g/ft
3Pdならびに活性化アルミナ上のトップコート孔40g/ft
3Ptおよび4g/ft
3Pdならびにセリア上の6.5g/ft
3を含んでいた。生成された層構造のLNT触媒は、全部で、103g/ft
3Pt、10.5g/ft
3Pdおよび6.5g/ft
3Rhを含んでいた。
【0098】
CuCHA SCR触媒を、152in
3(2.5L)の容量、1平方インチ当たり300細胞の細胞密度、およびおよそ300μmの壁の厚さを有する、ウオールフローフィルタ基板に配置された。フィルタ上のウォッシュコート積載は約1.5g/in
3であり、3重量%Cuを含んでいた。SCRは、DPFの長さの100%に沿って被膜していた。
【実施例5】
【0099】
比較
例4のLNT触媒を作成することにより、およびフィルタのSCR触媒の下流の効果を示すために、フィルタ上に下流SCR触媒が存在する場合に、排出システムが形成された。
【実施例6】
【0100】
テスト
実施例4の排出システムおよび比較のための実施例5が、新欧州ドライブサイクル(NEDC)条件の過渡エンジン試験セルで試験された。当該技術のエンジンの6−シリンダ状態が使用された。
図6は、エンジン試験中において蓄積されたNOx排出を示し、ここで、エンジン速度は最も底部のラインによって示され、NOx排出は、(a)エンジンアウト、(b)NOxトラップ後、および(c)SCRF後において計測される。
図6に示されるように、例4の組み合わせられたシステムの全NOx転換は約80%であり、これは、試験サイクルの終了時においてライン(c)上のおよそ2.67gからおよそ0.56gへ還元された蓄積されたNOx排出によって示され、一方で、比較例5のシステムは約68%であり、これは、試験サイクルの終了時においてライン(b)上のおよそ2.67gからおよそ0.86gへ還元される蓄積されたNOx排出によって示される。
【0101】
好適な実施形態を強調するように本発明が記載されているが、当業者には、好適なデバイスおよび方法の変形を使用してもよいこと、および、本明細書に特に記載されている方法とは別の方法で本発明を実施してもよいことが意図されていることが明らかであろう。したがって、本発明は、以降の特許請求の範囲によって定義されているように、本発明の精神および範囲内に含まれる全ての修正を含む。