特許第6289809号(P6289809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6289809車両における回転モジュールの回転角度を検出するためのセンサ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289809
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】車両における回転モジュールの回転角度を検出するためのセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/22 20060101AFI20180226BHJP
   B62D 1/16 20060101ALI20180226BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   G01B21/22
   B62D1/16
   G01B7/30 B
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-30917(P2013-30917)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2013-171051(P2013-171051A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】10 2012 202 632.0
(32)【優先日】2012年2月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】レミギウス ハース
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ヘンリチ
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−339207(JP,A)
【文献】 特開2009−002827(JP,A)
【文献】 特開2003−194510(JP,A)
【文献】 特開平10−047912(JP,A)
【文献】 特開2007−261508(JP,A)
【文献】 特開2006−300831(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0174499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00−21/32
7/00− 7/34
11/00−11/30
17/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのセンサ(28,28a,28b)と協働して、回転モジュール(10)の回転角度を表す信号を形成する測定値発生器(26)と接続されている、車両における回転モジュールの回転角度を検出するためのセンサ装置において、
前記測定値発生器(26)は前記回転モジュール(10)と共に運動変換器(20)として構成されており、該運動変換器(20)は、前記回転モジュール(10)の回転(12)を、該回転モジュール(10)に関する前記測定値発生器(26)の軸方向の並進運動(22)に変換し、
前記測定値発生器(26)は、固定端部(26.2)と測定端部(26.3)とを備えているばね弾性基体(26.1)を有しており、
前記測定端部(26.3)は前記回転モジュール(10)に案内されており、
前記少なくとも一つのセンサ(28,28a,28b)は、前記回転モジュール(10)の回転角度を表す、前記測定値発生器(26)の前記測定端部(26.3)が進んだストロークを求めるために、第1の基準点に配置された第1のセンサ(28a)と第2の基準点に配置された第2のセンサ(28b)とを含む間隔センサとして構成されており、
前記第1のセンサ(28a)は、前記測定値発生器(26)の前記測定端部(26.3)の一方の面(26.4)から前記第1の基準点までの第1の間隔(29a)を求め、
前記第2のセンサ(28b)は、前記測定値発生器(26)の前記測定端部(26.3)の他方の面(26.5)から前記第2の基準点までの第2の間隔(29b)を求め、
前記間隔センサは、前記第1の間隔(29a)及び前記第2の間隔(29b)から前記ストロークを求めることにより、前記回転モジュールの回転角度を検出する、
ことを特徴とする、センサ装置。
【請求項2】
前記回転モジュール(10)はねじ山状案内部(24.1)を有しており、該ねじ山状案内部(24.1)に前記測定値発生器(26)の前記測定端部(26.3)が案内されている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記ねじ山状案内部(24.1)を備えているスリーブ(24)は前記回転モジュール(10)と接続されており、
前記測定端部(26.3)は前記スリーブ(24)の前記ねじ山状案内部(24.1)内に案内されている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記ねじ山状案内部(24.1)を備えているスリーブ(24)は軸方向において前記回転モジュール(10)に被せ嵌められており、且つ、相対回動不能に前記回転モジュール(10)と接続されている、請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記ねじ山状案内部(24.1)を備えているスリーブ(24)は変速歯車装置を介して前記回転モジュール(10)と接続されている、請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記回転モジュール(10)の求められた前記回転角度の分解能は、前記回転モジュール(10)又は前記スリーブ(24)における前記ねじ山状案内部(24.1)のピッチを介して、及び/又は、歯車比を介して設定されている、請求項乃至5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記ばね弾性基体(26.1)はS字の形状を有しており、該ばね弾性基体(26.1)の剛性は前記測定端部(26.3)の水平方向の移動が阻止されているように設定されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記ばね弾性基体(26.1)の前記固定端部(26.2)は固定手段(26.7)を介して支持体プレート(26.6)上に固定されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念に記載されている、車両における回転モジュールの回転角度を検出するためのセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のステアリング角度センサでは、ステアリングホイールの回転数を検出するためのカウンタホイールが非接触式に磁界センサを用いてサンプリングされる。その種のシステムは、点弧装置の遮断時にステアリングホイールの回転を識別できるようにするためには、その点弧装置の遮断時に待機電流を供給しなければならないという欠点を有している。これによって、車両が継続的に使用されない場合には、車両バッテリが不所望に空になる。その種の待機電流が供給されなければ、点弧装置の遮断時又はバッテリの切断時にステアリングホイールの回転が行なわれると、ステアリング角度をもはや一義的に検出することはできなくなる。
【0003】
特許文献1には、例えば、回転角度又は線形のストロークを非接触式に検出するための測定装置並びにその種の測定装置を備えているペダルモジュールが開示されている。検出された回転角度又は検出された線形のストロークは、出発状態においては複数のばね手段によって相互にプレテンションが掛けられている少なくとも二つのボディ間の相対運動に基づき生じる。それらのばね手段は導電性材料から成る巻線を有しており、また、ボディの相対運動はばね手段の長さ変化を惹起する。ばね手段の巻線の少なくとも一部が磁気コイルによって包囲されており、この磁気コイルは少なくとも一つのコンデンサと共に発振回路によって包囲されている。更には、評価回路が設けられており、この評価回路は、ボディの相対運動によって惹起されたばね手段の長さ変化に起因する発振回路の共振周波数の変化に依存して、相対運動を識別及び算出するために評価できるように信号を制御する。受け台に対するアクセルペダルレバーの回転運動を、測定原理に関してより簡単な線形の運動に変換するために、ばね素子を、受け台に形成されている支持面の一方の端部と、揺動軸に関してアクセルペダルレバーと受け台との間における他方の端部とを用いて、アクセルペダルレバーのレバーアームを形成する支持アームを支持することができる。
【0004】
特許文献2には、例えば、回転角度を検出するための装置が開示されている。この刊行物に開示されている装置は信号発生器及びセンサを備えており、それらは、回転モジュールの回転角度変化に依存して、信号発生器によって形成される、物理的なパラメータの変化をディジタル式に評価できる信号として検出する。回転モジュールは、その円周に接続されており、且つ、自身の回転によって回転する、より小さい円周を有している、有利には角度センサを備えた衛星歯車を有しており、この衛星歯車は軸方向に連結されているハイポサイクロイド減速機を介して、同様に回転するハイポサイクロイドディスク又はハイポサイクロイド歯車を駆動させ、その回転速度がハイポサイクロイド減速機によって支援されており、これにより、ステアリングシャフトの複数回の回転にわたる回転モジュールの回転数及び絶対的なステアリング角度を、回転センサシステムを用いて求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2007 052 162 A1
【特許文献2】DE 10 2008 011 448 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、点弧装置の遮断時又はバッテリの切断時にステアリングホイールの回転が行なわれた場合でも、ステアリング角度を一義的に検出することができるセンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、測定値発生器が回転モジュールと共に運動変換器として構成されており、運動変換器が、回転モジュールの回転を、回転モジュールに関する測定値発生器の軸方向の並進運動に変換し、測定値発生器が、固定端部と測定端部とを備えているばね弾性基体を有しており、測定端部が回転モジュールに案内されており、少なくとも一つのセンサが、回転モジュールの回転角度を表す、測定値発生器の測定端部が進んだストロークを求めることによって解決される。
【発明の効果】
【0008】
これに対して、独立請求項1の特徴部分に記載されている構成を備えている車両用の本発明によるセンサユニットは、回転運動を機械的なストローク変化に変換することによって、回転モジュールが複数回回転する場合であっても常に一義的な回転位置を実現することができるという利点を有している。有利には、電子機器が故障した場合にも、回転運動は機械的に変化するストローク位置において維持されたままである。機械的なストローク変化に基づいて、点弧装置の遮断時又はバッテリの切断時においても、正確で絶対的な回転角度が提供され、それと同時に非常に安全な動作又は、回転角度の非常に確実な識別を間隔検出によって実現することができる。更なる利点は機械的な簡略化を表すことができることであり、これによってコストを削減することができる。有利には、本発明によるセンサ装置を車両のステアリング角度の検出に使用することができる。回転モジュールは有利には車両のステアリングコラムとして構成されているか、又は、回転に対して耐性があるようにステアリングコラムと接続されているスリーブとして構成されている。本発明の実施の形態は、ステアリングの運動をストローク変化に変換し、このストローク変化を間隔測定によって非接触式に検出し、ステアリング角度に換算することができる。
【0009】
本発明の実施の形態は、車両における回転モジュールの回転角度を検出するためのセンサ装置を提供する。回転モジュールは測定値発生器と接続されており、この測定値発生器は、少なくとも一つのセンサと協働して、回転モジュールの回転角度を表す信号を形成する。本発明によれば、測定値発生器は回転モジュールと共に運動変換器として構成されており、この運動変換器は、回転モジュールの回転を、この回転モジュールに関する測定値発生器の軸方向の並進運動に変換する。測定値発生器は、固定端部と測定端部とを備えているばね弾性基体を有している。測定端部は回転モジュールに案内されている。少なくとも一つのセンサは、測定値発生器の測定端部が進んだストロークを求め、このストロークは回転モジュールの回転角度を表す。
【0010】
従属請求項に記載されている措置及び構成によって、独立請求項1に記載されている、車両における回転モジュールの回転角度を検出するためのセンサ装置の有利な改善形態が実現される。
【0011】
特に有利には、回転モジュールはねじ山状案内部を有しており、このねじ山状案内部に測定値発生器の測定端部が案内されている。回転モジュールに雄のねじ山を直接切削することによって、回転運動を直線状の運動に変換するために必要とされるコンポーネントの数を有利には低減することができ、これによってコストを削減することができる。択一的に、ねじ山状案内部を備えているスリーブを回転モジュールと接続することができ、この場合には測定端部がスリーブのねじ山状案内部内に案内されている。スリーブによって、有利には、測定値発生器の寸法を回転モジュール又はステアリングコラムに適合させることができる。ねじ山状案内部を備えているスリーブを例えば軸方向において回転モジュールに被せ嵌め、相対回動不能に回転モジュールに接続することができる。択一的に、ねじ山状案内部を備えているスリーブを、変速歯車装置を介して回転モジュールと接続することができる。
【0012】
本発明によるセンサ装置の有利な実施の形態においては、回転モジュールの求められた回転角度の分解能を、回転モジュール又はスリーブにおけるねじ山状案内部のピッチを介して、及び/又は、歯車比を介して設定することができる。
【0013】
本発明によるセンサ装置の別の有利な実施の形態においては、ばね弾性基体がS字の形状を有しており、ばね弾性基体の剛性は測定端部の水平方向の移動が阻止されているように設定されている。
【0014】
本発明によるセンサ装置の別の有利な実施の形態においては、ばね弾性基体の固定端部が固定手段を介して支持プレートに固定されている。固定端部を例えばボルト結合又はリベット結合によって支持プレートに固定することができる。
【0015】
本発明によるセンサ装置の別の有利な実施の形態においては、少なくとも一つのセンサが、測定値発生器と基準点の間隔を求める間隔センサとして構成されており、少なくとも一つのセンサは測定値発生器及び/又は基準点に配置されている。有利には、測定値発生器の第1の端面及び/又は第2の端面から基準点までの間隔が測定される。少なくとも一つのセンサを、例えば、所属の磁界の変化を介して間隔を求める渦電流センサとして、及び/又は、電界の変化を介して間隔を求める容量性センサとして構成することができる。それらの実施の形態は間隔測定の廉価な実施を実現する。勿論、当業者には公知の別の間隔測定技術も実施することができる。
【0016】
本発明によるセンサ装置の別の有利な実施の形態においては、差動歯車装置間隔センサを形成する二つのセンサが設けられている。この実施の形態では、第1のセンサが測定値発生器から第1の基準点までの間隔を求め、第2のセンサが測定値発生器から第2の基準点までの間隔を求める。つまり例えば、第1の間隔センサが測定値発生器の第1の端面から第1の基準点までの間隔を測定し、第2の間隔センサが測定値発生器の第2の端面から第2の基準点までの間隔を測定することができる。これによって有利には、例えば温度等の妨害的な影響を補償することができる。
【0017】
本発明の実施例は図面に示されており、以下ではその実施例を詳細に説明する。図中、同じ参照番号は同じ機能又は類似の機能を担うコンポーネント又は要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によるセンサ装置の一つの実施例の概略的な斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面から見て取れるように、車両における回転モジュール10の回転角度を検出するための本発明によるセンサ装置1の実施の形態は、測定値発生器26と少なくとも一つのセンサ28,28a,28bとを含んでおり、センサの出力信号は評価及び制御ユニット30によって評価される。回転モジュール10は測定値発生器26と接続されており、この測定値発生器26は、少なくとも一つのセンサ28,28a,28bと協働して、回転モジュール10の回転角度を表す信号を形成し、その信号を評価及び制御ユニット30に出力する。
【0020】
本発明によれば、測定値発生器26は回転モジュール10と共に、この回転モジュール10の回転12を回転モジュール10に関する測定値発生器26の軸方向の並進運動22に変換する運動変換器20として構成されている。測定値発生器26は、固定端部26.2と測定端部26.3とを備えているばね弾性基体26.1を有している。測定端部26.3は回転モジュール10へと案内されている。少なくとも一つのセンサ28,28a,28bは、測定値発生器26の測定端部26.3が進んだストロークを求め、このストロークは回転モジュール10の回転角度を表す。
【0021】
本発明によるセンサ装置1の実施の形態を、例えば車両のステアリング角度を検出するためのステアリング角度センサとして使用することができる。回転モジュール10は例えば車両のステアリングコラムとして構成されている。
【0022】
更に図面から見て取れるように、本発明によるセンサ装置1の図示されている実施例においては、ねじ山状案内部24.1を備えているスリーブ24が軸方向において、ステアリングコラムとして構成されている回転モジュール10に被せ嵌めされており、且つ、相対回動不能に回転モジュール10と接続されている。図示していない代替的な実施の形態においては、ねじ山状案内部を回転モジュール10に直接切削することもできる。回転モジュール10の求められた回転角度の分解能を、回転モジュール10又はスリーブ24におけるねじ山状案内部24.1のピッチを介して設定することができる。図示していない別の代替的な実施の形態においては、ねじ山状案内部24.1を備えているスリーブ24を、変速歯車装置を介して回転モジュール10と連結することができる。変速歯車装置は例えば、スリーブに形成されているリングギヤと回転モジュール10に連結されているピニオンとを介して変速を行なうことができる。更には、回転モジュール10の求められた回転角度の分解能を、スリーブ24におけるねじ山状案内部24.1のピッチを介して、及び/又は、歯車比を介して設定することができる。
【0023】
更に図面から見て取れるように、ばね弾性基体26.1はS字の形状を有している。ばね弾性基体26.1の剛性は、測定端部26.3がねじ山状案内部24.1のねじ山のピッチに押し付けられており、且つ、測定端部26.3の水平方向の運動が阻止されているように設定されている。更には、ばね弾性基体26.1の固定端部26.2は、例えばボルト、リベット等として構成されている固定手段26.7を介して支持プレート26.6に固定されている。回転モジュール10の回転12又は回転運動によって、測定端部26.3はねじ山状案内部24.1における案内によって、軸方向22において上方又は下方に移動する。測定端部26.3の水平方向の移動は、ばね弾性基体26.1の剛性に基づいて阻止されている。これによって、回転モジュール10の回転12を測定値発生器26の測定端部26.3の高さ変化に変換することができる。測定値発生器26の測定端部26.3のこの高さ変化を少なくとも一つのセンサ28,28a,28bによって検出し、評価及び制御ユニット30によって評価することができる。
【0024】
回転12乃至ステアリングの運動を機械的な並進運動22に変換し、この並進運動22を間隔測定によって求めることによって、ステアリングホイールが数回回転したとしても一義的な回転位置又は一義的なステアリング角度を常に実現することができる。同様に、電子機器が故障した場合にも、回転運動は機械的に変化する高さ位置において維持されたままである。機械的な並進運動22に基づいて、点弧装置の遮断時又はバッテリの切断時においても、正確で絶対的な回転角度乃至ステアリング角度が提供され、それと同時に非常に安全な動作又は、回転角度若しくはステアリング角度の非常に確実な識別を間隔検出によって実現することができる。
【0025】
更に図面から見て取れるように、少なくとも一つのセンサ28,28a,28bが間隔センサとして構成されており、この間隔センサは測定値発生器26の測定端部26.3から基準点までの間隔29,29a,29bを求める。少なくとも一つのセンサ28,28a,28bを測定値発生器26の測定端部26.3及び/又は基準点に配置することができる。図示されている実施例においては、少なくとも一つのセンサ28,28a,28bが基準点に固定されて配置されている。有利には、間隔測定を廉価に実現することができるという理由から、少なくとも一つのセンサ28,28a,28bは渦電流センサ及び/又は容量性センサとして構成されている。勿論、測定値発生器26の測定端部26.3が進んだストロークを求めるための、当業者には公知の別の間隔測定方法も実施することができる。
【0026】
測定値発生器26の測定端部26.3の一方の面26.4,26.5から間隔を空けて配置されている間隔センサ28は、この間隔センサ28から、測定値発生器26の測定端部26.3の対応する面26.4,26.5までの間隔を非接触式に検出し、相応の出力信号を評価及び制御ユニット30に出力することができる。評価及び制御ユニット30は間隔センサ28の出力信号を評価し、回転モジュール10の回転角度を推定することができる。
【0027】
図示されている実施例においては、二つの間隔センサ28a,28bそれぞれが評価及び制御ユニット30と共に一つの差動歯車装置間隔センサを形成している。第1の間隔センサ28aは測定値発生器26の測定端部26.3の上方に配置されており、測定値発生器26の測定端部26.3の上面26.4から第1の基準点までの第1の間隔29aを求める。第2の間隔センサ28bは測定値発生器26の測定端部26.3の下方に配置されており、測定値発生器26の測定端部26.3の下面26.5から第2の基準点までの第2の間隔29bを求める。回転モジュール10の回転12の図示されている回転方向によって、測定値発生器26の測定端部26.3の上面26.4と、測定値発生器26の上方に配置されている第1の間隔センサ28aとの間の第1の間隔29aが縮小され、他方では、測定値発生器26の測定端部26.3の下面26.5と、測定値発生器26の下方に配置されている第2の間隔センサ28bとの間の第2の間隔29bが拡大される。この差動歯車装置間隔センサは、有利には、温度等の妨害的な影響を補償することができる。
【0028】
少なくとも一つの間隔センサ28は、マイクロメカニカル方法でもってシリコン内に形成することができるか、又は、直接的に基板上に実現することができる(基板上のコイル)。基板上への直接的な配置はコストに関して更なる利点を有することができる。この場合には、例えば円形又は矩形のような種々のコイル形状を実現することができるが、より複雑な形状のコイルも有利であることが考えられる。
【0029】
本発明の実施の形態は、回転運動を機械的なストローク変化に変換することによって、回転モジュールが複数回回転する場合であっても常に一義的な回転位置を提供する、車両における回転モジュールの回転角度を検出するためのセンサ装置を提供する。有利には、電子機器が故障した場合でも、回転運動は機械的に変化するストローク位置において維持されたままである。機械的なストローク変化に基づいて、点弧装置の遮断時又はバッテリの切断時においても、正確で絶対的な回転角度が提供され、それと同時に非常に安全な動作又は、回転角度の非常に確実な識別を間隔検出によって実現することができる。
図1