特許第6289810号(P6289810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6289810-天井吊り金具及び天井下地材支持構造 図000002
  • 特許6289810-天井吊り金具及び天井下地材支持構造 図000003
  • 特許6289810-天井吊り金具及び天井下地材支持構造 図000004
  • 特許6289810-天井吊り金具及び天井下地材支持構造 図000005
  • 特許6289810-天井吊り金具及び天井下地材支持構造 図000006
  • 特許6289810-天井吊り金具及び天井下地材支持構造 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289810
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】天井吊り金具及び天井下地材支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20180226BHJP
   E04B 9/20 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   E04B9/18 B
   E04B9/20 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-41716(P2013-41716)
(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-169573(P2014-169573A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有明 辰一郎
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−128819(JP,U)
【文献】 実公昭36−006662(JP,Y1)
【文献】 実開昭61−124508(JP,U)
【文献】 特開平09−032887(JP,A)
【文献】 実公昭12−009621(JP,Y1)
【文献】 実開昭60−040614(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18−9/20
F16B 37/00−37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物構成部材に天井下地材を取り付けるための天井吊り金具であって、
前記天井下地材に取り付け可能な天井下地材取付部と、
該天井下地材取付部に、高さ不動で回転可能に連結され、前記建物構成部材に向かう軸線に沿って雌ねじが形成された回転部と、
雄ねじを有し、前記回転部に形成された前記雌ねじに一端側から挿入されて係合する軸部と、
該軸部の他端側に取り付けられ、前記建物構成部材に保持される上端取付部と、
前記軸部の前記雄ねじに係合する雌ねじを有し、回転操作によって前記上端取付部との間隔を可変とされているストッパ部材と、
を備え、
前記上端取付部は、上面部と、該上面部の幅方向の両端から下方に延びる延出部と、を備え、
前記上端取付部は、前記軸部に直交する方向に延在する位置と、前記軸部に沿う位置との間を回動可能に取り付けられており、
前記ストッパ部材は、軸部の軸線と交差するように延びる上面部と、該上面部の幅方向の両端から下方に延びる延出部と、を備える、天井吊り金具。
【請求項2】
前記回転部と前記ストッパ部材との間には、前記回転部の回転を規制するためのナット部が、前記軸部に移動可能に設けられており、前記ナット部は、蝶ナットである、請求項に記載の天井吊り金具。
【請求項3】
貫通孔を有する底壁を備える建物構成部材と、
該建物構成部材に天井吊り金具を介して吊り下げ支持する天井下地材とを備え、
前記天井吊り金具は、前記天井下地材に固定された天井下地材取付部と、
該天井下地材取付部に、高さ不動で回転可能に連結され、前記建物構成部材に向かう軸線に沿って雌ねじが形成された回転部と、
雄ねじを有し、前記回転部に形成された前記雌ねじに一端側から挿入されて係合する軸部と、
該軸部の他端側に取り付けられ、前建物構成部材に保持される上端取付部と、
前記軸部の前記雄ねじに係合する雌ねじを有し、回転操作によって前記上端取付部との間隔を可変とされているストッパ部材と、
を備え
前記上端取付部は、上面部と、該上面部の幅方向の両端から下方に延びる延出部と、を備え、
前記上端取付部は、前記軸部に直交する方向に延在する位置と、前記軸部に沿う位置との間を回動可能に取り付けられており、
前記ストッパ部材は、軸部の軸線と交差するように延びる上面部と、該上面部の幅方向の両端から下方に延びる延出部と、を備える、天井下地材支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室等の建物を構成する部材に天井パネル等の天井下地材を取り付けるための天井吊り金具及び天井下地材支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般的な居室等の建物を構成する部材として、例えば、柱、梁等の軒先を構成する部材(以下、建物構成部材という)に、天井を固定する部材として、例えば、天井パネル等の天井下地材を取り付けるために、天井吊り金具が用いられている(例えば、特開平09-250201号公報参照)。
【0003】
かかる天井吊り金具は、底壁を備える建物構成部材に天井下地材を取り付けるためのものであって、レールを有し、底壁の幅方向に延びるとともに、一端端に係止片を有するアウター部材と、底壁の幅方向にのみスライド可能かつアウター部材のレールに嵌合可能であり、アウター部材との間で建物構成部材の底壁を挟む庇部を一端側に有するインナー部材と、アウター部材及びインナー部材の側方から、アウター部材に高さ調節可能に垂下する軸部と、該軸部の下端に設けられ、天井下地材を取り付けるための天井下地材取付部と、を備える。
【0004】
また、この種の天井吊り金具は、アウター部材の係止片とインナー部材の庇部との間隔が狭まる方向へのインナー部材のスライドを許容し、係止片と庇部との間隔が広がる方向へのスライドを阻止するストッパ機構と、該ストッパ機構のスライド阻止機能を解除する解除機構と、を備える。
【0005】
かかる天井吊り金具を用いて、建物構成部材の底壁に天井下地材を取り付ける場合、まず、ストッパ機構のスライド阻止機能を解除機構によって解除し、アウター部材に対してインナー部材を離間する方向にスライドさせることで、係止片と庇部との間隔を広げる。次に、天井下地材取付部が天井下地材の桟に合うように天井吊り金具を位置決めする。
【0006】
そして、建物構成部材の底壁をアウター部材の係止片とインナー部材の庇部との間に挿入した状態で、アウター部材の係止片とインナー部材の他端側とを把持して、アウター部材に対してインナー部材を押し込み、係止片と庇部との間隔を狭める。そうすることで、建物構成部材の底壁が、係止片と庇部とで挟みこまれるようになる。
【0007】
次に、インナー部材がアウター部材に対してスライドできないようになってから、インナー部材の他端部を、別部材としてのハンマーなどで打撃することで、アウター部材に対してインナー部材を嵌合させる。そして、天井下地材取付部に天井下地材を宛がい、釘等によって天井下地材取付部に天井下地材を取り付け固定する。
【0008】
次に、アウター部材及びインナー部材に対して軸部を軸線方向に移動させて軸部の長さを適宜調整することで、天井下地材取付部に固定された天井下地材の高さを調整する。最後に、アウター部材の上方からねじ留めして天井吊り金具を固定することで、建物構成部材の底壁に天井下地材を取り付ける作業が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−250201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この種の天井吊り金具では、アウター部材及びインナー部材の側方から、軸部が、アウター部材に高さ調節可能に垂下するようになっている(すなわち、軸部の軸心方向と、アウター部材及びインナー部材による建物構成部材の底壁の挟み込み位置とが、同一軸線上にない)ため、天井吊り金具の天井下地材取付部を天井下地材に取り付ける場合、天井下地材に桟木等の別部材を追加して取り付ける必要があった。
【0011】
また、この種の天井吊り金具では、インナー部材の他端部をハンマーなどの別部材で打撃することで、アウター部材に対してインナー部材を嵌合させるとともに、アウター部材及びインナー部材に対して軸部を軸線方向に移動させ、軸部の長さを適宜調整することで、天井下地材取付部に固定された天井下地材の高さを調整し、アウター部材の上方からねじ留めして天井吊り金具を固定する必要があるため、作業が煩雑になるといった問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、別部材を必要とせず、建物構成部材に天井下地材を高さ調節可能に容易に取り付けることができる天井吊り金具及び天井下地材支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る天井吊り金具は、建物構成部材に天井下地材を取り付けるための天井吊り金具であって、天井下地材に取り付け可能な天井下地材取付部と、該天井下地材取付部上であって、建物構成部材に向く面に、高さ不動で回転可能に連結される回転部と、を備え、回転部は、建物構成部材に向かう軸線に沿って雌ねじが形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記構成の天井吊り金具によれば、例えば、回転部に形成された雌ねじに係合可能な雄ねじを有する軸部を、雌ねじに係合させながら、回転部を軸部に対して回転させるだけで、天井下地材取付部を軸部の軸線に沿って任意の位置に移動させることができ、回転部の回転操作といった簡単な操作のみで、天井下地材取付部に取り付けられた天井下地材の高さを、容易に調整することができ、作業性を向上させることができる。
【0015】
また、天井下地材取付部の建物構成部材に向く面と、回転部の建物構成部材に向かう軸線に沿って形成された雌ねじとが、同一軸線上にあるため、天井下地材取付部を天井下地材に取り付ける場合、天井下地材に桟木等の別部材を追加する必要がない。さらに、軸部の軸心方向と、アウター部材及びインナー部材による建物構成部材の底壁の挟み込み位置とが、同一軸線上にない場合に比し、天井吊り金具の強度を十分に確保することができる。
【0016】
本発明の一態様として、建物構成部材に天井下地材を取り付けるための天井吊り金具であって、天井下地材に取り付け可能な天井下地材取付部と、該天井下地材取付部に、高さ不動で回転可能に連結され、建物構成部材に向かう軸線に沿って雌ねじが形成された回転部と、雄ねじを有し、回転部に形成された雌ねじに一端側から挿入されて係合する軸部と、該軸部の他端側に取り付けられ、建物構成部材に保持される上端取付部と、軸部の雄ねじに係合する雌ねじを有し、回転操作によって上端取付部との間隔を可変とされているストッパ部材と、を備える。
【0017】
上記構成の天井吊り金具によれば、建物構成部材に天井下地材を取り付ける場合、上端取付部が建物構成部材に保持された状態で、軸部の雄ねじとストッパ部材の雌ねじとを係合させながら、ストッパ部材を軸部に対して回転させることで、ストッパ部材を上端取付部に当接させる位置に移動させることができ、建物構成部材に対して上端取付部を確実に固定することができる。
【0018】
また、回転部に形成された雌ねじに係合可能な雄ねじを有する軸部を、回転部の雌ねじに係合させながら、回転部を軸部に対して回転させるだけで、回転部に連結された天井下地材取付部を軸部の軸線に沿って任意の位置まで移動させることができる。そのため、回転部の回転操作といった簡単な操作のみで、天井下地材取付部に取り付けられた天井下地材の高さを、容易に調整することができ、作業性を向上させることができる。また、建物構成部材に天井下地材を取り付けた後でも、回転部の回転操作といった簡単な操作のみで、天井下地材取付部に取り付けられた天井下地材の高さを、容易に調整することができる。
【0019】
また、天井下地材取付部による天井下地材の取り付け位置と、回転部の建物構成部材に向かう軸線に沿って形成された雌ねじとが、同一軸線上にあるため、天井下地材取付部を天井下地材に取り付ける場合、天井下地材に桟木等の別部材を追加する必要がない。さらに、天井下地材取付部による天井下地材の取り付け位置と、回転部の建物構成部材に向かう軸線に沿って形成された雌ねじとが同一軸線上にない場合に比し、天井吊り金具の強度を十分に確保することができる。
【0020】
本発明の他態様として、回転部とストッパ部材との間には、回転部の回転を規制するためのナット部が、軸部に移動可能に設けられているのが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、軸部に対する回転部の回転を、軸部の軸線に沿って、任意の位置で止めて確実に固定することができる。また、作業者は、回転部の回転がナット部によって規制され、回転部の回転が、軸部の軸線に沿って、任意の位置で止めて確実に固定されていることを目視によって確認することができる。
【0022】
本発明の別態様として、上端取付部は、軸部に対して回動可能に取り付けられているのが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、上端取付部を軸部に対して回動させることで、軸部の軸線に対する上端取付部の角度を任意の角度に設定することができ、例えば、貫通孔を有する底壁を備えた建物構成部材に上端取付部を取り付ける場合、底壁の貫通孔に上端取付部を挿入しやすくなり、作業性を向上させることができる。
【0024】
本発明のさらに他の態様として、天井下地材支持構造は、貫通孔を有する底壁を備える建物構成部材と、該建物構成部材に天井吊り金具を介して吊り下げ支持する天井下地材とを備え、天井吊り金具は、天井下地材に固定された天井下地材取付部と、該天井下地材取付部に、高さ不動で回転可能に連結され、建物構成部材に向かう軸線に沿って雌ねじが形成された回転部と、雄ねじを有し、回転部に形成された雌ねじに一端側から挿入されて係合する軸部と、該軸部の他端側に取り付けられ、建物構成部材に保持される上端取付部と、軸部の雄ねじに係合する雌ねじを有し、回転操作によって上端取付部との間隔を可変とされているストッパ部材と、を備える。
【0025】
上記構成によれば、建物構成部材に天井下地材を取り付ける場合、上端取付部が建物構成部材に保持された状態で、軸部の雄ねじとストッパ部材の雌ねじとを係合させながら、ストッパ部材を軸部に対して回転させることで、ストッパ部材を上端取付部に当接させる位置に移動させることができ、建物構成部材に対して上端取付部を確実に固定することができる。
【0026】
また、回転部に形成された雌ねじに係合可能な雄ねじを有する軸部を、回転部の雌ねじに係合させながら、回転部を軸部に対して回転させるだけで、回転部に連結された天井下地材取付部を軸部の軸線に沿って任意の位置まで移動させることができる。そのため、回転部の回転操作といった簡単な操作のみで、天井下地材取付部に取り付けられた天井下地材の高さを、容易に調整することができ、作業性を向上させることができる。また、建物構成部材に天井下地材を取り付けた後でも、回転部の回転操作といった簡単な操作のみで、天井下地材取付部に取り付けられた天井下地材の高さを、容易に調整することができる。
【0027】
また、天井下地材取付部による天井下地材の取り付け位置と、回転部の建物構成部材に向かう軸線に沿って形成された雌ねじとが、同一軸線上にあるため、天井下地材取付部を天井下地材に取り付ける場合、天井下地材に桟木等の別部材を追加する必要がない。さらに、天井下地材取付部による天井下地材の取り付け位置と、回転部の建物構成部材に向かう軸線に沿って形成された雌ねじとが同一軸線上にない場合に比し、天井吊り金具の強度を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明の天井吊り金具によれば、別部材を必要とせず、建物構成部材に天井下地材を高さ調節可能に容易に取り付けることができる、といった優れた効果を奏し得る。また、本発明の天井吊り金具を用いて、別部材を必要とせず、建物構成部材に天井下地材を高さ調節可能に容易に取り付けた天井下地材支持構造を提供することができるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る天井吊り金具の概略構成を示す図であって、(a)は、正面図、(b)は、側面図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る天井吊り金具を用いて、建物構成部材に天井下地材を取り付ける作業手順を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態に係る天井吊り金具を用いて、建物構成部材に天井下地材を取り付ける作業手順を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係る天井吊り金具を用いて、建物構成部材に天井下地材を取り付ける作業手順を説明する図である。
図5】本発明の一実施形態に係る天井吊り金具を用いて、建物構成部材に天井下地材を取り付ける作業手順を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る天井吊り金具を用いて、建物構成部材に天井下地材を取り付ける作業手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る天井吊り金具について、添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1(a),(b)に示すように、天井吊り金具100は、天井を固定する部材としての天井下地材110に取り付け可能な天井下地材取付部10と、該天井下地材取付部10に、高さ不動で回転可能に連結され、居室や軒先等の建物を構成する部材としての建物構成部材120に向かう軸線に沿って雌ねじ21が形成された回転部20と、雄ねじ31を有し、回転部20に形成された雌ねじ21に一端側から挿入されて係合する軸部30と、該軸部30の他端側に取り付けられ、建物構成部材120に保持される上端取付部40と、軸部30の雄ねじ31に係合する雌ねじ51を有し、回転操作によって上端取付部40との間隔を可変とされているストッパ部材50と、を備える。
【0032】
天井下地材取付部10は、断面視においてL型状に形成されており(図1(a)参照)、上面部11と、該上面部11の一端側の幅方向両端から上面部11と交差する方向に間隔をあけて延びる延出部12,12と(図1(b)参照)、該延出部12,12を連結する連結部13と、を備える。すなわち、天井下地材取付部10は、図1(b)に示すように、側面視において下方に開口する略コ字形を呈するように形成されている。
【0033】
天井下地材取付部10の上面部11には、回転部20に形成された後述する孔部26に対応する孔部14が形成されている。
【0034】
天井下地材取付部10の延出部12,12のそれぞれには、複数の穴部12a・・・が建物構成部材120に向けて所定の間隔をあけて形成されている。天井下地材取付部10の延出部12,12のそれぞれに形成された複数の穴部12a・・・を用いて、例えば、ボルト、ナット及び釘等によって、天井下地材取付部10が天井下地材110に取り付け可能となっている。本実施形態においては、天井下地材取付部10の延出部12,12のそれぞれには、2個の穴部12a,12aが形成されている。
【0035】
回転部20は、略直方体状に形成され、上面部22、下面部23、及び上面部22と下面部23とを連結する側面部24・・・を有する。雌ねじ21は、回転部20の上面部22に形成されている。本実施形態においては、回転部20の一つの側面部には開口部25が形成されている。上述のように、回転部20の下面部23には孔部26が形成されており、本実施形態においては、天井下地材取付部10の上面部11に形成された孔部14と、回転部20の下面部23に形成された孔部26との位置を合わせ、回転部20が、天井下地材取付部10に、かしめピンPによって高さ不動で回転可能に連結されている。本実施形態においては、回転部20が、天井下地材取付部10に、かしめピンPによって回転可能に連結されているが、これに限定されるものではない。
【0036】
軸部30は、回転部20の雌ねじ21に挿入される少なくとも一端側の外周面に、回転部20の雌ねじ21と係合可能な雄ねじ31が形成されている。本実施形態においては、軸部30の外周面の全域に亘って雄ねじ31が形成されている。回転部20の雌ねじ21と、軸部30の雄ねじ31とが係合することで、回転部20が軸部30に対して回転することによって上下方向に移動可能となっている。軸部30は、他端側に、後述する上端取付部40の延出部42,42に形成された孔部43,43に対応する孔部32,32が形成されている。
【0037】
上端取付部40は、軸部30に対して回動可能に取り付けられている。上端取付部40は、軸部30の軸線と交差するように延びる上面部41と、該上面部41の幅方向の両端から下方に延びる延出部42,42と、を備える。
【0038】
上端取付部40の上面部41は略矩形を呈している。上端取付部40の延出部42,42は、断面視において略逆台形状に形成されている。上端取付部40の延出部42,42のそれぞれには、孔部43,43が形成されており、上端取付部40の孔部43,43のそれぞれと、軸部30の他端部に形成された孔部32,32のそれぞれとの位置を合わせることによって、上端取付部40が、ねじPを用いて軸部30に回動可能に連結されている。本実施形態においては、上端取付部40が、ねじPを用いて軸部30に連結されているが、これに限定されるものではない。
【0039】
ストッパ部材50は、軸部30の軸線と交差するように延びる上面部52と、該上面部52の幅方向の両端から下方に延びる延出部53,53と、を備える。上面部52は略矩形を呈している。ストッパ部材50の雌ねじ51は、上面部52に形成されている。延出部53,53の下端は、略円弧状となるように形成されている。ストッパ部材50の雌ねじ51と、軸部30の雄ねじ31とが係合することで、ストッパ部材50が、軸部30に対して高さ調整可能で回転可能となっている。
【0040】
また、天井吊り金具100において、回転部20とストッパ部材50との間には、回転部20の回転を規制するためのナット部60が、軸部30に移動可能に設けられている。本実施形態においては、ナット部60として、蝶ナットが使用されている。
【0041】
ナット部(蝶ナット)60は、本体部61と、該本体部61に連結されたつまみ部62,62と、を有する。本体部61の内周面には、軸部30の雄ねじ31と係合可能な雌ねじ63が形成されている。軸部30の雄ねじ31とナット部(蝶ナット)60の雌ねじ63とが係合することで、ナット部(蝶ナット)60が軸部30に対して高さ調整可能で回転可能となっている。
【0042】
本実施形態においては、天井下地材取り付け部10の上面部11に形成された孔部14の軸心方向、回転部20の下面23に形成された孔部26の軸心方向、軸部30の軸心方向、及びストッパ部材50の上面部52に形成された雌ねじ51の軸心方向が、一致するように形成されている。
【0043】
本実施形態に係る天井吊り金具100の構成についての説明は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る天井吊り金具100を用いて、建物構成部材120に天井下地材110を取り付ける作業について、図2図6を参照して説明する。
【0044】
まず、本実施形態の一実施形態に係る天井下地材支持構造200について、説明する(図6参照)。天井下地材支持構造200は、柱、梁等の軒先を構成する部材である建物構成部材120と、該建物構成部材120に本実施形態に係る天井吊り金具100を介して吊り下げ支持する天井パネル等の天井下地材110と、を備える。
【0045】
建物構成部材120は、本実施形態においては、例えば、家屋の屋根トラスに設けられるC型鋼120であって、貫通孔121を有する底壁122を備える。
【0046】
天井下地材110は、天井パネルフレーム(採番せず)と、該天井パネルフレームの下面に貼り付けられる天井パネル(採番せず)と、を備える。この種の天井パネルフレームでは、建物のモジュール寸法(例えば910mm)の半幅のグリッド間隔で木製の桟木を格子状に組んだものが多く使用されている。そのため、本実施形態に係る天井吊り金具100を用いて、屋根トラスのC型鋼120に天井パネルフレームを取り付ける作業について、先に説明する。なお、本実施形態においては、実施形態に係る天井吊り金具100を用いて、屋根トラスのC型鋼120に天井パネルフレームを取り付ける作業について、説明するが、これに限定されるものではなく、一般的な居室等の建物構成部材に天井パネルフレームを取り付ける場合においても、適用可能であることは言うまでもない。
【0047】
まず、図2に示すように、屋根トラスのC型鋼120の底壁121に対して、天井吊り金具100を位置決めする。この状態では、上端取付部40は、軸部30に対して回動可能のままとなっている。
【0048】
次に、図3に示すように、上端取付部40を、C型鋼120の底壁121に形成された貫通孔122に挿通させ、上端取付部40を、軸部30に対して回動させて、C型鋼120の底壁121に係止できるようにする。
【0049】
そして、この状態で、図4に示すように、軸部30の雄ねじ31とストッパ部材50の雌ねじ51とを係合させながら、ストッパ部材50を、軸部30に対して回転させて、ストッパ部材50の高さを調整し、C型鋼120の底壁121に当接するまで移動させる。ストッパ部材50が回転できなくなると、天井吊り金具100が、C型鋼120の底壁121に固定されるようになる。
【0050】
次に、図5に示すように、軸部30の雄ねじ31と回転部20の雌ねじ21とを係合させながら、回転部20を軸部30に対して回転させることで、C型鋼120の底壁121からの天井下地材取付部10の高さを、所望の高さになるまで適宜調整する。その後、軸部30の雄ねじ31とナット部(蝶ナット)60の雌ねじ63とを係合させながら、ナット部(蝶ナット)60を軸部30に対して適宜回転させて、本体部61が回転部20の上面部22に当接する高さまで移動させ、回転部20の回転を規制して留める。
【0051】
次に、図6に示すように、天井下地材取付部10に、ねじPを用いて、天井パネルフレームを取り付ける。そうすることで、本実施形態に係る天井吊り金具100を用いて、屋根トラスのC型鋼120に天井パネルフレームを取り付けることができる。その後、天井パネルフレームに天井パネルを取り付けることで、作業が完了する。なお、本実施形態においては、裏天井材取付部10に、ねじPを用いて、天井パネルフレームを取り付けるようにしているが、これに限定されるものではない。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る天井吊り金具100においては、建物構成部材(C型鋼)120に天井下地材110を取り付ける場合、建物構成部材(C型鋼)120の底壁121の貫通孔122に天井吊り金具100の上端取付部40を挿入して、上端取付部40を軸部30に対して回動させることで、建物構成部材(C型鋼)120の底壁に上端取付部40を係止させ、建物構成部材(C型鋼)120の底壁121に上端取付部40を保持することができる。
【0053】
また、上端取付部40が建物構成部材(C型鋼)120の底壁121に保持された状態で、軸部30の雄ねじ31とストッパ部材50の雌ねじ51とを係合させながら、ストッパ部材50を軸部30に対して回転させることで、ストッパ部材50を上端取付部40に当接させ、建物構成部材(C型鋼)120の底壁121に対して上端取付部40を確実に固定することができる。
【0054】
また、回転部20に形成された雌ねじ21に係合可能な雄ねじ31を有する軸部30を、回転部20の雌ねじ21に係合させながら、回転部20を軸部30に対して回転させるだけで、回転部20に連結された天井下地材取付部10を軸部30の軸線に沿って任意の高さに移動させることができ、回転部20の回転操作といった簡単な操作のみで、天井下地材取付部10に取り付けられた天井下地材110の高さを、容易に調整することができ、作業性を向上させることができる。
【0055】
また、天井下地材取付部10による天井下地材110の取り付け位置と、回転部20の建物構成部材(C型鋼)120に向かう軸線に沿って形成された雌ねじと21とが、同一軸線上にあるため、天井吊り金具100の天井下地材取付部10を天井下地材110に取り付ける場合、天井下地材110に桟木等の別部材を追加する必要がない。さらに、天井下地材取付部10による天井下地材110の取り付け位置と、回転部20の建物構成部材(C型鋼)120に向かう軸線に沿って形成された雌ねじ21とが同一軸線上にない場合に比し、天井吊り金具100の強度を十分に確保することができる。
【0056】
また、回転部20とストッパ部材50との間には、回転部20の回転を規制するためのナット部(蝶ナット)60が、軸部20に移動可能に設けられているため、軸部30の軸線に沿って、回転部20の回転を、任意の位置で止めて確実に固定することができる。また、作業者は、回転部20の回転がナット部(蝶ナット)60によって規制されていることを目視によって確認することができる。
【0057】
また、上端取付部40を軸部30に対して回動させることで、貫通孔122を有する底壁121を備えた軒先構成部(C型鋼)120に上端取付部40を取り付ける場合、上端取付部40を建物構成部材(C型鋼)120の底壁121の貫通孔122に挿入しやすくなり、作業性を向上させることができる。
【0058】
尚、本発明の天井吊り金具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは勿論のことである。
【0059】
上記実施形態において天井下地材取付部10は、断面視においてL型状に形成され、側面視において下方に開口する略コ字形を呈するように形成されているが、これに限定されるものではなく、天井下地材取付部10は、天井下地材110の形状や用途に応じて適宜変更可能である。
【0060】
上記実施形態において、回転部20は、略直方体状に形成され、上面22、下面23、及び上面22と下面23とを連結する側面24・・・を有するように形成されているが、これに限定されるものではなく、天井下地材取付部10に、高さ不動で回転可能に連結されるような構成であればよい。
【0061】
上記実施形態において、上端取付部40の延出部42,42は、断面視において略逆台形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、建物構成部材の底壁に形成された貫通孔に挿入しやすくかつ係止可能な形状であればよい。
【0062】
上記実施形態において、ストッパ部材50は、軸部30の軸線と交差するように延びる上面部52と、該上面部52の長手方向の両端から下方に延びる延出部53,53と、を備え、上面部52は略矩形を呈し、延出部53,53の下端は、略円弧状となるように形成されているが、これに限定されるものではなく、軸部30の雄ねじ31に係合する雌ねじ41を有し、回転操作によって上端取付部40との間隔を可変とされるような構成であればよい。
【0063】
上記実施形態において、ナット部60として、蝶ナットが使用されているが、これに限定されるものではなく、種々のナットが使用可能である。
【0064】
上記実施形態において、軸部30の軸心と、天井下地材取り付け部10の上面部11に形成された孔部14の軸心、回転部20の下面23に形成された孔部26の軸心、及びストッパ部材50の上面部52に形成された雌ねじ51の軸心とが、一致するように形成されているが、これに限定されるものではない。軸部30の軸心と、天井下地材取り付け部10の上面部11に形成された孔部14の軸心、回転部20の下面23に形成された孔部25の軸心、及びストッパ部材50の上面部52に形成された雌ねじ51の軸心とが、一致するように形成されていなくてもよい。
【0065】
上記実施形態において、天井下地材支持構造200は、建物構成部材(C型鋼)120と、該建物構成部材(C型鋼)120に本実施形態に係る天井吊り金具100を介して吊り下げ支持する天井パネル等の天井下地材110と、を備えるようにしたが、これに限定されるものではなく、種々の建物構成部材及び天井下地材を使用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の天井吊り金具は、建物構成部材に天井下地材を取り付ける場合において、有効に利用される。
【符号の説明】
【0067】
10 天井下地材取付部、20 回転部、21 雌ねじ、30 軸部、31 雄ねじ、40 上端取付部、50 ストッパ部材、51 雌ねじ、100 天井吊り金具、110 天井下地材、120 建物構成部材、200 天井下地材支持構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6