特許第6289826号(P6289826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6289826合成開口MRIセンサを有するカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289826
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】合成開口MRIセンサを有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   A61B5/05 350
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-137842(P2013-137842)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2014-8412(P2014-8412A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】13/539,524
(32)【優先日】2012年7月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】イツハック・シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロン・エフラス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
【審査官】 関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−239572(JP,A)
【文献】 特開2011−036670(JP,A)
【文献】 特表2012−515037(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/003211(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0040185(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0263169(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0293586(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0222433(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0076476(US,A1)
【文献】 米国特許第04682112(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブシステムであって、
体腔に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記遠位端内に位置付けられた空間的に分離されたコイルのアレイと、
前記体腔内の組織の磁気共鳴に応答して前記コイルによって生成されるそれぞれの信号を処理し、かつ、前記組織を撮像するために、前記コイル間の分離に対応する位相遅延を加えながら前記信号を処理するように構成されたプロセッサと、を備える、医療用プローブシステム
【請求項2】
前記コイルが平面的であり、前記コイルのそれぞれの平面が共通平面を含む、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項3】
前記コイルによって生成される前記信号が最大値であるように、前記コイルの受信方向が前記位相遅延によって配向される、請求項に記載の医療用プローブシステム
【請求項4】
前記プロセッサが、前記遠位端に対する前記組織の方向に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項5】
前記プロセッサが、前記遠位端に対する前記組織の位置に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項6】
前記遠位端内に位置決めされる位置センサを備え、前記プロセッサが、前記位置センサからの位置信号に応答して前記遠位端の場所を決定し、かつ前記場所に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項7】
前記コイルのうちの少なくとも1つが、前記遠位端のための位置信号を提供するように構成され、前記プロセッサが、前記位置信号に応答して前記遠位端の場所を決定し、かつ前記場所に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項8】
前記空間的に分離されたコイルが、直線上に位置付けられる、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項9】
前記空間的に分離されたコイルが、曲線上に位置付けられる、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項10】
前記コイルが、等距離離間される、請求項1に記載の医療用プローブシステム
【請求項11】
医療用プローブシステムであって、
体腔に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記遠位端内に位置付けられた空間的に分離された第1の平面コイルの第1のアレイであって、該第1の平面コイルのそれぞれの平面は、第1の平面に対して平行である、空間的に分離された第1の平面コイルの第1のアレイと、
前記遠位端内に位置付けられた空間的に分離された第2の平面コイルの第2のアレイであって、該第2の平面コイルのそれぞれの平面は、前記第1の平面に対して直角である第2の平面に対して平行である、空間的に分離された第2の平面コイルの第2のアレイと、
前記体腔内の組織の磁気共鳴に応答して前記第1及び第2の平面コイルによって生成されるそれぞれの第1及び第2の信号を処理し、前記組織を撮像するために、前記第1のコイル間の第1の分離に対応する第1の位相遅延を加えながら前記第1の信号を処理し、かつ、前記第2のコイル間の第2の分離に対応する第2の位相遅延を加えながら前記第2の信号を処理するように構成された、プロセッサと、を備える、医療用プローブシステム
【請求項12】
少なくとも1つの第1の平面コイル及び少なくとも1つの第2の平面コイルが、共通中心を有する、請求項11に記載の医療用プローブシステム
【請求項13】
前記第1の平面コイルの前記それぞれの平面が、前記第1の平面に共通している、請求項11に記載の医療用プローブシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者の磁気共鳴映像法に関し、特に、患者に挿入されたプローブを用いて画像を増強することに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴映像法(MRI)は、患者の組織、特に軟組織を可視化するための、極めて強力な技術である。この技術は、原子核、典型的には水素原子核をそれらの平衡状態から励起することと、原子核が平衡状態に緩和するときに原子核により放出される共鳴高周波信号を測定することとに依存する。今日のMRIシステムは良好な画像を提供することができるが、画像を増強するための任意のシステムは有利であろう。
【0003】
参照により本特許出願に組み込まれる文書は、いずれかの用語が、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗黙的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、
体腔に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
遠位端内に位置付けられた空間的に分離されたコイルのアレイと、
体腔内の組織の磁気共鳴に応答してコイルによって生成されるそれぞれの信号を処理し、かつ、組織を撮像するために、コイル間の分離に対応する位相遅延を加えながら信号を処理するように構成されたプロセッサと、を備える医療用プローブを提供する。
【0005】
典型的には、コイルは平面的であり、コイルのそれぞれの平面は共通平面を画定する。一実施形態では、コイルによって生成される信号が最大値であるように、組織は共通平面内に位置する。
【0006】
開示の実施形態では、プロセッサは、遠位端に対する組織の方向に対応する位相遅延を決定するように構成される。
【0007】
更なる開示の実施形態では、プロセッサは、遠位端に対する組織の位置に対応する位相遅延を決定するように構成される。
【0008】
更なる開示の実施形態では、プローブは、遠位端内に位置決めされる位置センサを備え、プロセッサは、位置センサからの位置信号に応答して遠位端の場所を決定し、かつその場所に対応する位相遅延を決定するように構成される。
【0009】
代替実施形態では、コイルのうちの少なくとも1つは、遠位端のための位置信号を提供するように構成され、プロセッサは、位置信号に応答して遠位端の場所を決定し、かつその場所に対応する位相遅延を決定するように構成される。
【0010】
更なる代替実施形態では、空間的に分離されたコイルは、直線上に位置付けられる。あるいは、空間的に分離されたコイルは、曲線上に位置付けられる。
【0011】
更なる代替実施形態では、コイルは等距離離間される。
【0012】
別の代替実施形態では、プローブは、磁気共鳴映像法(MRI)環境に適合し、かつ可撓性挿入管を体腔にロボット的に挿入するように構成されたロボット駆動装置を備える。
【0013】
本発明の更なる開示の実施形態によると、
体腔に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
遠位端内に位置付けられた空間的に分離された第1の平面コイルの第1のアレイであって、その第1の平面コイルのそれぞれの平面は、第1の平面に対して平行である、空間的に分離された第1の平面コイルの第1のアレイと、
遠位端内に位置付けられた空間的に分離された第2の平面コイルの第2のアレイであって、その第2の平面コイルのそれぞれの平面は、第1の平面に対して直角である第2の平面に対して平行である、空間的に分離された第2の平面コイルの第2のアレイと、
体腔内の組織の磁気共鳴に応答して第1及び第2の平面コイルによって生成されるそれぞれの第1及び第2の信号を処理し、組織を撮像するために、第1のコイル間の第1の分離に対応する第1の位相遅延を加えながら第1の信号を処理し、かつ、第2のコイル間の第2の分離に対応する第2の位相遅延を加えながら第2の信号を処理するように構成された、プロセッサと、を備える医療用プローブもまた提供される。
【0014】
典型的には、少なくとも1つの第1の平面コイル及び少なくとも1つの第2の平面コイルは、共通中心を有する。一実施形態では、第1の平面コイルのそれぞれの平面は、第1の平面に共通している。
【0015】
本発明の更なる実施形態によると、
可撓性挿入管と遠位端とを有するプローブを体腔に挿入することと、
空間的に分離されたコイルのアレイを、前記遠位端内に位置付けることと、
体腔内の組織を撮像するために、コイル間の分離に対応する位相遅延を加えながら、組織の磁気共鳴に応答してコイルによって生成されるそれぞれの信号を処理することと、を含む、磁気共鳴撮像方法もまた提供される。
【0016】
いくつかの実施形態では、この方法は、磁気共鳴映像法(MRI)環境に適合するロボット駆動装置を使用して、プローブを体腔にロボット的に挿入することを含む。
【0017】
本発明の代替実施形態によると、
可撓性挿入管と遠位端とを有するプローブを体腔に挿入することと、
第1の平面コイルのそれぞれの平面が第1の平面に対して平行になるように、空間的に分離された第1の平面コイルの第1のアレイを、遠位端内に位置付けることと、
第2の平面コイルのそれぞれの平面が、第1の平面に対して直角である第2の平面に対して平行になるように、空間的に分離された第2の平面コイルの第2のアレイを、遠位端内に位置付けることと、
体腔内の組織を撮像するために、第1のコイル間の第1の分離に対応する第1の信号に第1の位相遅延を加えながら、かつ第2のコイル間の第2の分離に対応する第2の信号に第2の位相遅延を加えながら、組織の磁気共鳴に応答して第1及び第2の平面コイルによって生成されるそれぞれの第1及び第2の信号を処理することと、を含む、磁気共鳴撮像方法もまた提供される。
【0018】
本発明は、以下の実施形態の詳細な説明を、それら図面と総合すれば、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による、増強磁気共鳴映像法(MRI)のためのシステムの概略描写図。
図2】本発明の一実施形態によるプローブの遠位端を断面で示す概要図。
図3】本発明の代替実施形態による遠位端を断面で示す概要図。
図4】本発明の一実施形態によるプローブの代替遠位端を示す概要図。
図5】本発明の一実施形態によるプローブの更なる代替遠位端を示す概要図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概論
本発明の一実施形態において、医療用プローブ(典型的にはカテーテル)は、患者の体腔に挿入するための遠位端を有する可撓管を含む。プローブは、患者に行われる磁気共鳴映像法(MRI)を用いた処置の間に使用されるように構成される。空間的に分離されたコイルのアレイが遠位端内に位置付けられ、そのコイルは、典型的には、各コイルの面が全てのコイル面に共通である単一面内に位置決めされるように、遠位端内で配向される。典型的には、必須ではないが、コイルは、互いに等距離に離間配置される。
【0021】
処置の間、原子核(典型的には水素原子核)がそれらの平衡状態から励起され、磁気共鳴を起こし、平衡状態に緩和するときに高周波(RF)信号を放出する。信号は、処置の間に使用されるMRIスキャナの中のコイル(患者の外部)によって検出され、患者を撮像するために使用される。更に、プロセッサは、遠位端内のコイルをアンテナのフェーズドアレイとして動作させ、遠位端に対して及び遠位端に近接して測定した場合に、特定の方向又は特定の位置からの信号を最大化するために、コイルに異なる位相遅延を加える。プロセッサは、特定の方向に又は特定の位置から組織を撮像するために、信号を分析することができる。
【0022】
典型的には、プロセッサは、遠位端のコイルのフェーズドアレイからの信号を使用して、MRIスキャナの受信コイルによって形成される、遠位端の周囲領域の画像を増強する。増強は、高い解像度、撮像時間の高速化、及び/又は画像の改善された物理的若しくは化学的な組織の差別化という形をとり得る。このような増強は、処置を行う操作者の、処置の進行状態を判定する能力を改善する。例えば、心臓のアブレーション処置の間にMRIが適用される場合、増強MRI画像は、増強されていないMRI画像と比べて、焼灼されている組織の温度のより正確な測定を提供し得る。
【0023】
詳細な説明
ここで、本発明の一実施形態による、増強磁気共鳴映像法(MRI)のためのシステム20の概略描写図である図1を参照する。システム20は、MRIスキャナ22と、カテーテルなどのプローブ24と、制御コンソール26とを備える。以下に記載されるように、プローブ24は、典型的には患者32の体腔内に含まれる組織の増強MRI画像を提供するように構成されるが、これは典型的には、プローブの唯一の機能ではない。例えば、プローブ24は、プローブの遠位端34内の電極35を使用して、患者32の心臓28の特定の心腔内の電位をマッピングするためにも使用され得る。いくつかの実施形態では、プローブ24は、心臓焼灼を行うなど、追加の目的のために使用され得る。更に別の方法としては、プローブ24は、変更すべきところは変更して、心臓又はその他の身体器官において、その他の治療及び/又は診断目的のために使用され得る。
【0024】
心臓専門医などの操作者30は、プローブの遠位端34が体腔に入るように、患者32の血管系を通してプローブ24を挿入する(本明細書では、撮像されるのは心腔であると仮定する)。遠位端34については、図2を参照してより詳細に例示及び説明する。コンソール26は、磁気位置検知を用いて、心臓28内部の遠位端34の配向及び位置座標を決定する。その検知では、コンソール26は駆動回路36を動作させ、この駆動回路36は、既知の位置、例えば、患者の胴体の下方に設置された、典型的にはコイルを含む磁場発生器38を駆動する。位置センサとしての機能を果たし、本明細書では位置センサとも呼ばれる磁場トランスデューサ37が、遠位端34に取り付けられる。位置センサ37は、コイルからの磁場に応答して電気信号を生成し、それによりコンソール26は、場所(即ち、発生器38及び患者32に対する心腔内の遠位端34の配向及び位置)を決定することができる。
【0025】
本発明の例では、システム20は、磁気に基づくセンサを使用して遠位端34の場所(即ち、配向及び位置)を測定するが、位置座標を測定するために他の位置追跡技術(例えば、インピーダンスに基づく技術)を用いてもよい。磁気位置追跡技術については、例えば、その開示内容を参照により本明細書に援用する米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,177,792号に述べられている。インピーダンスに基づく位置追跡技術については、例えば、その開示内容を参照により本明細書に援用する米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、及び同第5,944,022号に述べられている。
【0026】
MRIスキャナ22は、一緒になって空間的に異なる磁場B(x、y、z)を生成する、傾斜磁場コイルなどの磁場コイル29を備える。空間的に異なる磁場は、スキャナ内で生成される高周波(RF)信号の空間位置確認を提供する。更に、スキャナは、送信/受信コイル31を備える。送信モードにおいて、コイル31は、患者32に対してRFエネルギーを放射し、このRFエネルギーは患者の組織の核スピンと相互作用し、それによって原子核の磁気モーメントを、それらの平衡位置から離れて再整列させる。受信モードにおいて、コイル31は、組織の原子核がそれらの平衡状態に緩和するときに患者の組織から受け取るRF信号を検出する。所与の領域内の原子核の緩和によって生成される信号の周波数(ラーモア周波数)は、その領域の磁場と正比例の関係であり、比例定数は原子の磁気回転比γで与えられる。したがって、水素原子核に関して下記式(1):
【数1】
(式中、f(x、y、z)は、緩和水素原子核によって点(x、y、z)から放射される周波数であり、
B(x、y、z)は、この点の磁場であり、
【数2】
は、約42.6MHz・T−1に等しい)を適用する。
【0027】
プロセッサ40は、コイル29を制御する(必要な傾斜磁場を形成することを含む)電気回路、並びに送信/受信コイル31を動作させる他の電気回路を使用して、スキャナ22を動作させる。プロセッサ40は、コイル31が受け取る信号を用いて、患者の心臓28、又は少なくとも撮像されるべき心腔のMRIデータを取得する。これに加えて、プロセッサは、位相モジュール50を使用して、遠位端34内の受信コイル48で生成された信号から、追加MRIデータを取得する。受信コイル48、及びモジュール50を使用する追加MRIデータの取得に関しては、以下に記載される。組み合わされたMRIデータは、典型的には、(必ずしもそうではないが)多くの場合に少なくとも1回の心臓周期に亘る、心臓28の心臓周期の多数の段階において収集される。このデータを使用して、プロセッサ40は、心臓28の画像44をディスプレイ42上で操作者30に表示する。いくつかの実施形態では、操作者30は、1つ以上の入力デバイス46を使用して、画像44を操作することができる。
【0028】
典型的には、プロセッサ40は汎用コンピュータで構成され、コンピュータには、本明細書に記載されている機能を実行するソフトウェアがプログラムされている。そのソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサ40にダウンロードされてもよく、あるいは、光学的、磁気的又は電子的記憶媒体などの有形の持続的な媒体上で提供されてもよい。あるいは、プロセッサ40のいくつかの又は全ての機能は、専用の若しくはプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素により、又はハードウエアとソフトウェア要素との組み合わせを使用して実行されることができる。
【0029】
f(x、y、z)の値を含む受信信号を用いるプロセッサ40に加えて、平衡状態に緩和する原子核の減衰速度、並びに原子核をそれらの平衡状態に励起する送信されたRF磁場のパラメータなどの他の因子が、患者の画像を生成する際にプロセッサによって用いられる。かかる因子は、磁気共鳴映像法の分野の当業者には明らかであろう。
【0030】
典型的なMRIシステムは、約0.5T〜約3Tの磁場を生成する主磁石を有するが、これらの値の範囲外の磁場も可能である。上述のように、空間的勾配を主磁場に適用して、生成されたRF信号の空間位置確認を提供する。説明を明瞭にするために、本明細書の説明では、主磁場は2Tであると仮定し、当業者は、変更すべきところは変更して、本説明を2T以外の主磁場に適応させることができるであろう。2Tの磁場における水素原子核のラーモア周波数は約85MHzであり、本説明では、この値は、水素原子核がそれらの平衡状態に緩和するときの水素原子核、及び緩和核によって放射される高周波エネルギーの歳差運動周波数であると仮定する。システム20において、放射エネルギーはコイル31及びコイル48によって検出される。
【0031】
自由空間中で、周波数85MHzの電磁波は、約3.5mの波長を有する。しかしながら、患者が主に水から形成されていると仮定すれば、患者環境内の波長は、水の比誘電率により低減される。70に等しい比誘電率(正常体温の患者及びここで考慮される周波数における水の概略値)では、85MHzの電磁波の波長は約42cmである。
【0032】
システム20は、本明細書に記載する処置を実行するように好適に変更された、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)から入手可能なCARTO XP EP Navigation and Ablation Systemとして実現されてもよい。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態による遠位端34を断面で示す概要図である。以下の説明を明確かつ簡単にするために、遠位端34は、一組のxyz直交軸に関して描かれており、紙面はyz面に対応する。遠位端は略円筒形であるものと仮定し、例として、z軸に平行な対称軸60を有するものと仮定する。当業者は、本明細書の説明を、断面が円形でない場合がある遠位端、及び/又はBiosense Webster,Inc.製の「ラッソー」カテーテルなどの曲線形状を有し得る遠位端に適応することができるであろう。
【0034】
遠位端34は、電極35とトランスデューサ37とを備え、かつ概ね類似した平面的受信コイル48のアレイを更に備え、その受信コイル48は、必要に応じて、識別数字48の添え字として付け加えられる文字を有することによって差異化される。コイル48のアレイは、2つ以上の任意の都合の良い整数のコイルを備えてもよく、3つのかかるコイルが図2に示されている。本明細書に記載される実施形態では、コイル48は、互いに距離dだけ離されて、等距離に離間配置されるものと仮定する。加えて、各コイルは、各コイルの面がyz面に平行な共通平面を画定し、かつコイルの中心が遠位端34の軸60上に位置するように整列されるものと仮定する。各コイルは、対応のケーブル配線66によって位相モジュール50に接続され、このモジュールはプロセッサ40によって操作される。
【0035】
遠位端34は、典型的には、約2又は3ミリメートルの直径を有し、それにより、コイル48は、典型的には、これより小さい寸法を有する、即ち、コイル48は約1〜2mmの寸法を有する。プロセッサ40は、ケーブル配線66及び位相モジュール50を介して、MRI処置中に緩和する水素原子核からの放射電磁エネルギーのための受信アンテナとして、コイルを操作する。上述のように、放射エネルギーの波長は約42cmであるので、コイル48は、それらの寸法に起因して、電磁放射線の磁場に応答する小型ループアンテナとしての機能を果たす。したがって、コイル48は、コイルの平面、即ち、コイルの共通yz面内に最大利得を有し、その理由は、この平面内に位置する組織の原子核により放出される放射線は、この平面に対して直角の磁場成分を有し得るからである。x軸上の組織に位置する原子核は、コイルの平面に対して平行な磁場成分を有する放射線を放出するので、コイル48は、コイルに対して直角に、即ち、x方向に最小(理論的にゼロ)利得を有する。
【0036】
本発明の実施形態では、プロセッサ40は、コイル48を受信アンテナのフェーズドアレイとして作動させるために位相モジュール50を使用するので、アレイは合成開口を有する。図2に示される第1の実施形態では、波長λを有し、軸60と角度θをなすコイルへの入射は、実質的に平行になるように遠位端34から十分に遠くで生成されるものと仮定する。この場合、コイル48Aに衝突する平面波面64は、コイル48Bに衝突するときの波面から
【数3】
だけ位相が先行する。同様に、コイル48Bに衝突する波面は、コイル48Cに衝突する波面から
【数4】
だけ先行する。入射の検出を最大にするために、位相モジュール50は、コイル48Aにおいて受信される信号に
【数5】
の位相遅延を、かつコイル48Bにおいて受信される信号に
【数6】
の位相遅延を加え、これら位相遅延はコイル48Cにおける信号と比較して測定される。したがって、隣接するコイル間には式(2)で与えられる位相遅延φが存在する。
【数7】
【0037】
広くは、距離dだけ離間したN個のコイル48のアレイでは(Nは2以上の整数である)、モジュール50は、軸60と角度θをなす放射線を検出するために、コイルのそれぞれに
【数8】
と等しい(N−1)位相遅延を加える。加えられた位相遅延は、単一コイルの利得に比べて、コイル48のアレイの利得を、角度θによって画定される方向にN倍増加させる。更に、加えられた位相遅延は、アレイに、軸60に対する角度θと異なる角度をなす波長λの放射線を除去させる。事実上、Nが増加するにつれて、アレイの「受信ローブ」は狭まり、角度θによって画定される方向に長さが増加する。
【0038】
(z軸に対して平行な)遠位端軸60と一致する(θ=0)放射線を検出するために、モジュール50は、式(2)を用いて、隣接するコイル間に
【数9】
の等しい位相遅延を加える。上で与えられたλの例示的な値である42cmを用い、遠位端におけるコイル48の物理的分離であるdの値を1cmと仮定すると、モジュール50は、遠位端軸への放射線を検出するために、隣接するコイル間に
【数10】
の位相遅延を加える。
【0039】
再度式(2)を考慮すると、θ=90°の、即ち、z軸に対して直角の放射線を検出するため、モジュール50は、隣接するコイル間に等しい位相遅延0を加える。換言すれば、モジュール50は、全てのコイルを同じ位相で受信するように構成する。
【0040】
したがって、隣接するコイル間に加える位相遅延の値を選択することにより、モジュール50は、実質的に平行であると考えることができる任意の入射に対して、コイルの受信方向を配向させることができる。
【0041】
上の説明は、コイル48が直線に沿って配置され、かつ等間隔であると仮定した。当業者は、変更すべきところは変更して、等間隔でない及び/又は湾曲線分上に配置されたコイルのアレイに入射する実質的に平行な放射線に、本説明を適応させることができるであろう。かかる実施形態は全て、本発明の範囲内であると想定される。
【0042】
コイル48の任意の所与の受信方向に対し、組織の緩和核は、式(1)で示すように、コイル29(図1)によって加えられる空間的に異なる磁場のせいで、異なる周波数を放出する。式(1)及び(2)の組み合わせを用いることにより、プロセッサ40は、受信方向に沿った特有の位置からの信号を分離するために、選択された受信方向を有するように構成されたコイル48の信号を用いることができる。各位置(x、y、z)における組織内の原子核は、対応する波長λ(x、y、z)を有する周波数f(x、y、z)を放出する。2つの式を用いることで、コイル48の受信方向のみを考慮する場合に生じ得る組織位置のあらゆるエイリアシングを防止する。
【0043】
上記説明は、遠位端34に対して測定される特有の位置からの信号を、プロセッサ40がどのように分離することができるかを説明している。同様に上述されるように、プロセッサ40は、トランスデューサ37を使用して、患者32に対する遠位端34の位置及び配向を測定することができる。プロセッサ40は、2組の測定を組み合わせて、患者32に対する、コイル48の信号を生成している特有の位置を参照する。
【0044】
プロセッサ40は、特有の位置の増強画像を得るために、特有の位置からの信号を分離するように上記のように処理されたコイル48のアレイからの信号を、受信コイル49からの信号と組み合わせる。特有の位置は遠位先端48の領域内にあり、画像の増強は、高い解像度、撮像時間の高速化、及び/又は特有の位置の領域内の改善された組織の差別化を含み得る。改善された差別化は、組織密度の相違及び/又は組織の化学組成の相違など、その領域の組織の物理的及び/又は化学的相違を含み得る。あるいは又はこれに加えて、物理的相違は、組織の相対温度及び/又は絶対温度の推定を含み得る。
【0045】
一実施形態において、患者32に行われる医療処置中、上述の画像増強は、操作者30が処置を実施するのを容易にする。例えば、処置が心臓組織の焼灼を含む場合、増強は、焼灼された組織の温度の改善された測定を含み得る。焼灼されている際の組織の温度のかかる測定は、操作者30が焼灼の進行具合を判断できるようにする。
【0046】
図3は、本発明の代替実施形態による遠位端34を断面で示す概要図である。以下に記載される違いを除き、この代替実施形態における遠位端34の動作は、図2を参照して上述された構造の遠位端の動作と概ね同様であり、両方の図において同じ参照番号で示される要素の構造及び動作は、概ね同様である。
【0047】
図2を参照して記載された遠位端34の動作では、コイルのアレイは、コイルによって受信されるとき及びコイルに対して測定されるときに実質的に平行である放射線を検出するように構成される。それに対して、以下の説明では、プロセッサ40は、コイル48の動作を、非平行放射線を検出するように構成する。
【0048】
説明を明瞭にするために、yz面内の場所Pは、原子核がそれらの平衡状態に緩和するときにラーモア周波数の放射線を放出する組織の原子核を示すものと仮定する。簡略化のため、場所Pは、コイル48Aと同じz値を有し、コイルから距離L(dでも示される)であると仮定する。
【0049】
この図に示されるように、場所Pから放出される球状波面70は、第2のコイル48Bに到達する場合の波面より、下記式(3)で与えられる距離dだけ先行する。
【数11】
【0050】
したがって、第1のコイル48Aにおける位相と比較すると、第2及び第3のコイル48B、48Cにおいて、下記式(4):
【数12】
(式中、λ(P)は、点Pの組織原子核により放出される放射線の波長である)によって与えられる位相差δ、δが存在する。
【0051】
広くは、コイル48のアレイ中のq番目のコイルに関し、第1のコイルと比較した位相差は、下記式(5)によって与えられる。
【数13】
【0052】
プロセッサ40は、場所Pから受け取る信号を最大にするために、式(4)及び(5)の結果を用いて、1、2、...、N個のコイル48のアレイ(第1のコイルはコイル48Aであると仮定する)に対し、下記式(6)に従って対応の位相遅延φ、φ、φ、...φを加えてもよい。
【数14】
【0053】
式(6)から明らかのように、コイルへの入射が非平行である場合、プロセッサ40はコイル48に等しくない位相遅延を加える。
【0054】
当業者は、変更すべきところは変更して、遠位端34の領域内の任意の場所P、並びに等間隔でない及び/又は直線上に配置されていないコイル48のアレイに、上記分析を適応させることができるであろう。平行入射に関して上述したように(図2)、非平行入射の場合には、プロセッサ40は、エイリアシングを克服するために式(1)を適用し、遠位端に近接した特定領域を一意に識別してもよい。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態による遠位端134を断面で示す概要図である。以下に記載される違いを除き、遠位端134の動作は、遠位端34(図2及び図3)のものと概ね同様であり、両方の実施形態において同じ参照番号によって示される要素は、概ね同様の構成及び動作を有する。
【0056】
遠位端134において、概ね同様の平面受信コイル148の第2のアレイが、遠位端内に位置付けられる。コイル148は、必要に応じて、数字148に付け加えられた文字を有することによって差異化される。コイル148は、各コイルの平面がxz平面に対して平行な共通平面を画定するように配向される。これは、yz面に対して平行に配向されるコイル48と対照的である。
【0057】
一実施形態において、第2のアレイ中のコイル148の数は、コイル48の数と同じであり、コイル148の中心は、コイル48の中心と一致するように配置される。しかしながら、例えば、2つのアレイ中に異なる数のコイルを有する、及び/又は第1のアレイのコイル48とは異なって離間配置された若しくは位置付けられた第2のアレイのコイルを有するなど、コイル148の他の配置が可能であり、かかる配置は全て本発明の範囲に包含される。
【0058】
プロセッサ40は、実質的にコイル48(図2及び図3)に関して上述した通りにコイル148を動作させ、遠位端134に近接した選択位置から、又はその端部に対する選択方向からの信号を最大化するために、コイル148によって受け取られる信号に位相遅延を加える。コイル148はxz平面内に位置するように配向されるので、コイルを含むxz平面内の組織の原子核は、コイルにおいて最大信号を生成する。したがって、プロセッサは、コイルの2つのアレイ(コイル48及びコイル148)に特定の位相遅延を加えることにより、遠位先端134を囲む完全な3次元領域からの信号を選択及び受信することが可能になる。上述のように、プロセッサ40は、いかなるエイリアシングを克服するために式(1)を適用し、遠位端134に近接した特定領域を一意に識別してもよい。
【0059】
図5は、本発明の一実施形態による遠位端234を断面で示す概要図である。以下に記載される違いを除き、遠位端234の動作は、遠位端134及び34(図2図3、及び図4)のものと概ね同様であり、3つの実施形態において同じ参照番号によって示される要素は、概ね同様の構成及び動作を有する。
【0060】
遠位端234において、概ね同様の平面受信コイル248の第3のアレイが、遠位端内に位置付けられる。コイル248は、必要に応じて、数字148に付け加えられた文字を有することによって差異化される。コイル248は、各コイルのそれぞれの平面がxy平面に対して平行となるように配向され、コイルは、全てのコイル248に共通するxy平面が存在しないように位置決めされる。典型的には、コイル48、148、及び248のアレイは、図のように、直交する3つのコイルの複数の組として遠位端内に配置され、3つのコイルの各組は、共通のコイル中心を有する。
【0061】
コイル248は、対応のxy平面内に最大利得を(及び軸60に沿って理論的にゼロ利得を)有する。共通のxy平面を有さないコイル248にもかかわらず、実質的にコイル48及び148に関して上記したように、プロセッサ40は、軸60以外の方向から、並びに軸上にない位置から発する信号を最大化するために、コイル248によって受け取られる信号を選択し、その信号に異なる位相遅延を加えるように構成され得ることが、当業者には明らかであろう。
【0062】
したがって、プロセッサは、コイルの3つのアレイ(コイル48、コイル148、及びコイル248)に特定の位相遅延を加えることにより、遠位先端234を囲む完全な3次元領域からの信号を選択及び受信することが可能になる。上述のように、プロセッサ40は、エイリアシングを克服するために式(1)を適用し、遠位端234付近の特定領域を一意に識別してもよい。
【0063】
上述の実施形態は、磁場トランスデューサ37が別個の構成要素としてプローブ24の遠位端内に取り付けられて、遠位端の配向及び位置を決定するように作動されると仮定した。本発明のいくつかの実施形態では、コイル34、134、及び/又はコイル234の少なくともいくつかは、上述のコイル機能に加えて、トランスデューサ37としても機能するように構成される。これら実施形態では、遠位端内において別個のトランスデューサ37を必要としない場合がある。
【0064】
上の説明は、操作者30によってプローブ24が患者32の体腔に手動で挿入されると仮定した。本発明の代替実施形態では、プローブは、ロボット的に患者の体腔に挿入されてもよい。プローブ用のロボット駆動装置は、Govariらに付与された「Robotic Drive for Catheter」と題する米国特許出願第2011/0040150号に記載されており、その特許出願は参照により本明細書に組み込まれる。当業者は、変更すべきところは変更して、プローブ24用のロボット駆動装置がMRI環境での操作に適合するようにこれを実施するために、その出願の説明を適応させることができるであろう。かかる適応としては、例えば、先述の出願に記載される駆動装置又はモジュールの強磁性元素を、ポリイミドベースの材料などの非磁性体で置き換えることが挙げられる。あるいは又はこれに加えて、適応は、磁場を用いる要素を、MRI適合性の等価要素で置き換えることが挙げられる。例えば、インダクション又はステッピングモーターを、非磁性部品を有する空気駆動モータで交換することができる。
【0065】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びにそれらの変形形態及び修正形態が含まれ、これらは、上述の説明を読めば当業者には思いつくものであり、先行技術では開示されていないものである。
【0066】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
体腔に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記遠位端内に位置付けられた空間的に分離されたコイルのアレイと、
前記体腔内の組織の磁気共鳴に応答して前記コイルによって生成されるそれぞれの信号を処理し、かつ、前記組織を撮像するために、前記コイル間の分離に対応する位相遅延を加えながら前記信号を処理するように構成されたプロセッサと、を備える、医療用プローブ。
(2) 前記コイルが平面的であり、前記コイルのそれぞれの平面が共通平面を含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記コイルによって生成される前記信号が最大値であるように、前記組織が前記共通平面内に位置する、実施態様2に記載の医療用プローブ。
(4) 前記プロセッサが、前記遠位端に対する前記組織の方向に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記プロセッサが、前記遠位端に対する前記組織の位置に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0067】
(6) 前記遠位端内に位置決めされる位置センサを備え、前記プロセッサが、前記位置センサからの位置信号に応答して前記遠位端の場所を決定し、かつ前記場所に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(7) 前記コイルのうちの少なくとも1つが、前記遠位端のための位置信号を提供するように構成され、前記プロセッサが、前記位置信号に応答して前記遠位端の場所を決定し、かつ前記場所に対応する前記位相遅延を決定するように構成される、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(8) 前記空間的に分離されたコイルが、直線上に位置付けられる、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 前記空間的に分離されたコイルが、曲線上に位置付けられる、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(10) 前記コイルが、等距離離間される、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0068】
(11) 磁気共鳴映像法(MRI)環境に適合し、かつ前記可撓性挿入管を前記体腔にロボット的に挿入するように構成されたロボット駆動装置を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(12) 医療用プローブであって、
体腔に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記遠位端内に位置付けられた空間的に分離された第1の平面コイルの第1のアレイであって、該第1の平面コイルのそれぞれの平面は、第1の平面に対して平行である、空間的に分離された第1の平面コイルの第1のアレイと、
前記遠位端内に位置付けられた空間的に分離された第2の平面コイルの第2のアレイであって、該第2の平面コイルのそれぞれの平面は、前記第1の平面に対して直角である第2の平面に対して平行である、空間的に分離された第2の平面コイルの第2のアレイと、
前記体腔内の組織の磁気共鳴に応答して前記第1及び第2の平面コイルによって生成されるそれぞれの第1及び第2の信号を処理し、前記組織を撮像するために、前記第1のコイル間の第1の分離に対応する第1の位相遅延を加えながら前記第1の信号を処理し、かつ、前記第2のコイル間の第2の分離に対応する第2の位相遅延を加えながら前記第2の信号を処理するように構成された、プロセッサと、を備える、医療用プローブ。
(13) 少なくとも1つの第1の平面コイル及び少なくとも1つの第2の平面コイルが、共通中心を有する、実施態様12に記載の医療用プローブ。
(14) 前記第1の平面コイルの前記それぞれの平面が、前記第1の平面に共通している、実施態様12に記載の医療用プローブ。
(15) 磁気共鳴撮像方法であって、
可撓性挿入管と遠位端とを有するプローブを体腔に挿入することと、
空間的に分離されたコイルのアレイを、前記遠位端内に位置付けることと、
前記体腔内の組織を撮像するために、前記コイル間の分離に対応する位相遅延を加えながら、前記組織の磁気共鳴に応答して前記コイルによって生成されるそれぞれの信号を処理することと、を含む、方法。
【0069】
(16) 前記コイルが平面的であり、前記コイルのそれぞれの平面が共通平面を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記コイルによって生成される前記信号が最大値であるように、前記組織が前記共通平面内に位置する、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記遠位端に対する前記組織の方向に対応する前記位相遅延を決定することを含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記遠位端に対する前記組織の位置に対応する前記位相遅延を決定することを含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記遠位端内に位置センサを位置決めすることと、前記位置センサからの位置信号に応答して前記遠位端の場所を決定することと、前記場所に対応する前記位相遅延を決定することと、を含む、実施態様15に記載の方法。
【0070】
(21) 前記コイルのうちの少なくとも1つが、前記遠位端のための位置信号を提供するように構成され、前記方法が、前記位置信号に応答して前記遠位端の場所を決定することと、前記場所に対応する前記位相遅延を決定することと、を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(22) 前記空間的に分離されたコイルが、直線上に位置付けられる、実施態様15に記載の方法。
(23) 前記空間的に分離されたコイルが、曲線上に位置付けられる、実施態様15に記載の方法。
(24) 前記コイルが、等距離離間される、実施態様15に記載の方法。
(25) 磁気共鳴映像法(MRI)環境に適合するロボット駆動装置を使用して、前記プローブを前記体腔にロボット的に挿入することを含む、実施態様15に記載の方法。
【0071】
(26) 磁気共鳴撮像方法であって、
可撓性挿入管と遠位端とを有するプローブを体腔に挿入することと、
第1の平面コイルのそれぞれの平面が第1の平面に対して平行になるように、空間的に分離された該第1の平面コイルの第1のアレイを、前記遠位端内に位置付けることと、
第2の平面コイルのそれぞれの平面が、前記第1の平面に対して直角である第2の平面に対して平行になるように、空間的に分離された該第2の平面コイルの第2のアレイを、前記遠位端内に位置付けることと、
前記体腔内の組織を撮像するために、前記第1のコイル間の第1の分離に対応する第1の信号に第1の位相遅延を加えながら、かつ前記第2のコイル間の第2の分離に対応する第2の信号に第2の位相遅延を加えながら、前記組織の磁気共鳴に応答して前記第1及び第2の平面コイルによって生成されるそれぞれの前記第1及び第2の信号を処理することと、を含む、方法。
(27) 少なくとも1つの第1の平面コイル及び少なくとも1つの第2の平面コイルが、共通中心を有する、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記第1の平面コイルの前記それぞれの平面が、前記第1の平面に共通している、実施態様26に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5