(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289838
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】車両ブレーキ設備の液圧集成装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/34 20060101AFI20180226BHJP
F04B 23/04 20060101ALI20180226BHJP
B60T 17/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
B60T8/34
F04B23/04
B60T17/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-176174(P2013-176174)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-46915(P2014-46915A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】10 2012 215 573.2
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・フェルメート
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・シュラー
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−049743(JP,A)
【文献】
特開平09−290724(JP,A)
【文献】
特開平10−203330(JP,A)
【文献】
特表2006−520437(JP,A)
【文献】
特開2001−271739(JP,A)
【文献】
特開平02−120111(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0074206(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0176484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/1769
B60T 8/32−8/96
B60T 17/02
F04B 23/00−23/14
53/00−53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブレーキ回路(12)に付属する第1のポンプ部材(44)と、第2のブレーキ回路(14)に付属する第2のポンプ部材(52)とを有する、車両ブレーキ設備(10)の液圧集成装置(28)において、
前記第2のポンプ部材(52)は前記第1のポンプ部材(44)とは異なる送出能力を有していて、
前記第1のポンプ部材(44)は第1のブレーキ回路(12)としてのフロントアクスルブレーキ回路に付属するとともに、前記第2のポンプ部材(52)は第2のブレーキ回路(14)としてのリヤアクスルブレーキ回路に付属しており、前記第2のポンプ部材(52)は前記第1のポンプ部材(44)よりも低い送出能力を有していて、
それぞれ異なる高さの送出能力を有する複数の第1のポンプ部材(44,48,50)が設けられており、および/またはそれぞれ異なる高さの送出能力を有する複数の第2のポンプ部材(52,54,56)が設けられていて、
前記ポンプ部材(44,48,50,52,54,56)は駆動モータ(38)により片側で駆動される駆動シャフト(40)に軸方向で連続するように配置されており、
前記駆動モータ(38)の近くに位置するポンプ部材(44,52)の送出能力は、前記駆動モータ(38)から遠くに離れたポンプ部材(48,54,50,56)の送出能力よりも高く、
前記第1のブレーキ回路(12)には3つの第1のポンプ部材(44,48,50)が付属しており、前記第2のブレーキ回路には3つの第2のポンプ部材(52,54,56)が付属していて、
前記駆動シャフト(40)を含む平面に対して、一方の側に3つの前記第1のポンプ部材(44,48,50)が、他方の側に3つの前記第2のポンプ部材(52,54,56)が配置されており、
3つの前記第1のポンプ部材(44,48,50)のうち2つの前記第1のポンプ部材(44,50)が互いに平行に配置され、残りの1つの前記第1のポンプ部材(48)が前記シャフトの軸方向において前記2つの平行な第1のポンプ部材(44,50)の間でかつ前記2つの平行な第1のポンプ部材(44,50)に対して平行でなく配置され、
前記第1のポンプ部材(44,48,50)は第2のポンプ部材(52,54,56)に半径方向で向かい合って駆動シャフトに配置されている液圧集成装置。
【請求項2】
前記ポンプ部材(44,48,50,52,54,56)は、前記駆動モータ(38)と反対を向いている端部領域で転がり軸受により支持された、駆動モータ(38)により片側で駆動される駆動シャフト(40)に配置されている、請求項1に記載の液圧集成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液圧集成装置(28)の利用法において、車両ブレーキ設備(10)における利用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のブレーキ回路に付属する第1のポンプ部材と、第2のブレーキ回路に付属する第2のポンプ部材とを有する、車両ブレーキ設備の液圧集成装置に関する。さらに本発明は、車両ブレーキ設備におけるこのような液圧集成装置の利用法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ブレーキ設備では、付属のブレーキ回路でコントロールされたブレーキ圧を提供できるようにするために、液圧集成装置が利用される。ブレーキ圧をコントロールするために、液圧集成装置は、特に少なくとも1つのポンプ部材を含んでおり、ポンプ部材のポンプピストンが、ポンプシリンダの中でスライド可能である。さらにポンプピストンは、ポンプシリンダに入るブレーキ液の流入領域でポンプハウジングの中を通っており、ポンプピストンのための偏心駆動装置もポンプハウジングの中にある。偏心駆動装置は、ポンプモータにより駆動される駆動シャフトによって具体化される。
【0003】
従来、個々の液圧集成装置に複数のポンプ部材が配置されており、これらがいわゆる多重ピストンシステムを形成する。これらのポンプ部材は、通常、液圧集成装置の穴の中に配置されている。液圧集成装置は、ブレーキ液のための付属の配管によってマスタブレーキシリンダに接続されており、それにより、液圧集成装置とマスタブレーキシリンダとの間で比較的堅固な接続部が形成される。このような接続により、ポンプ送出時に生成される圧力脈動が付属のブレーキペダルに伝達される。さらに脈動は、共振体として作用するスプラッシュボードを介して増幅されて、付属の車室内へと伝達される。このときに発生する騒音や振動は、好ましくないものとして知覚される。
【発明の概要】
【0004】
本発明では、第1のブレーキ回路に付属する第1のポンプ部材と、第2のブレーキ回路に付属する第2のポンプ部材とを有する、車両ブレーキ設備の液圧集成装置が提供される。このとき第2のポンプ部材は、第1のポンプ部材とは異なる送出能力を有している。
【0005】
本発明の背景にある知見は、車両ブレーキ設備では、しばしば第1のブレーキ回路は、他方の第2のブレーキ回路に比べて異なる長さおよび/または異なる容積を有しているというものである。本発明ではこのことが考慮され、付属のポンプ部材の送出能力を、その都度のブレーキ回路容積に合わせて適合化可能である。このとき送出能力が高いほうのポンプ部材は、容積が大きいほうのブレーキ回路に付属しており、能力が低いほうのポンプ部材は、小さいほうのブレーキ回路容積に付属している。このように必要性に即して付属するそれぞれのポンプ部材は、作動中、単位時間あたり少なくとも近似的に等しい容積または異なる大きさの容積のブレーキ液を、第1および第2のブレーキ回路を通るように送出することができる。このとき両方のポンプ部材は、特定の回転数を有する共通のポンプモータないしモータにより、偏心シャフトを介して駆動されるのが好ましい。作動のために必要な回転数ないしモータ回転数が、公知の車両ブレーキ設備に比べて低くなるという利点がある。従来は、各々のブレーキ回路についての異なるブレーキ回路容積にもかかわらず、送出能力の等しいポンプ部材が用いられており、モータ回転数は、大きいほうのブレーキ回路容積に合わせて適合化されている。
【0006】
それに対して、本発明により低減されるモータ回転数は、特に、ブレーキペダルに対して特別に振動を緩和するように作用し、これに加えて、全体的に振動と騒音を緩和するように車両に対して作用する。追加の緩衝部材は必要なくなる。そのうえ、コンポーネントとコストを削減しながら、いっそう小型および/またはいっそう軽量のモータを、付属の制御装置の相応に小型および/または軽量な構成で採用することができる。さらに、モータを駆動するために少ないエネルギーしか必要ない。
【0007】
さらに、第1のポンプ部材が第1のブレーキ回路としてのフロントアクスルブレーキ回路に付属するとともに、第2のポンプ部材が第2のブレーキ回路としてのリヤアクスルブレーキ回路に付属する液圧集成装置が提供されるのが好ましい。このとき第2のポンプ部材は、第1のポンプ部材よりも低い送出能力を有している。このような低い送出能力により、第2のポンプ部材は、リヤアクスルブレーキ回路に合わせて必要性に即して適合化されている。リヤアクスルブレーキ回路は、フロントアクスルブレーキ回路よりも低い弾性を有しており、それに伴って少ないブレーキ回路容積を有している。第1のポンプ部材はその高い送出能力により、フロントアクスルブレーキ回路に合わせて適合化される。このように、特に容積需要が非常に高いときに、確実なブレーキ作用を非常に短い時間で実現することができる、特別に必要性に即したポンプ装備が具体化される。
【0008】
さらに、等しい高さの第1の送出能力を有する複数の第1のポンプ部材が設けられた、および/または等しい高さの第2の送出能力を有する複数の第2のポンプ部材が設けられた、液圧集成装置が提供されるのが好ましい。ブレーキ回路ごとの能力の等しい複数のポンプ部材により、ブレーキ回路ごとにブレーキ液が特別に均等に送出される。このようにして成立する多重ピストンユニットの作動中の特別に均等な送出は、すでに説明した本発明による解決法の改良された作用を強化する。特に、それによって少なくとも1つの多重ピストンユニットを有する、特別に振動と騒音の少ない液圧集成装置が提供される。
【0009】
別案として、それぞれ異なる高さの送出能力を有する複数の第1のポンプ部材が設けられた、および/またはそれぞれ異なる高さの送出能力を有する複数の第2のポンプ部材が設けられた、液圧集成装置が提供されるのが好ましい。ブレーキ回路ごとに、それぞれ異なる高さの送出能力をもつ複数のポンプ部材が設けられる。それにより、需要に応じて必要となる特別にフレキシブルなブレーキ回路ごとの送出能力の構成、およびこれに伴う液圧集成装置全体としての構成を、具体化可能であるという利点がある。
【0010】
駆動モータにより片側で駆動される駆動シャフトに軸方向で連続するように各ポンプ部材が配置された、液圧集成装置が提供されるのが特別に好ましい。このとき、駆動モータに近いほうに位置するポンプ部材の送出能力は、駆動モータから遠く離れているポンプ部材の送出能力よりも高い。能力のそれぞれ異なる複数のポンプ部材が、偏心シャフトとしての役目をする駆動シャフトに沿って、駆動モータないしモータの方向に送出能力を増しながら配置される。もっとも能力の高いポンプ部材はモータのもっとも近くにあり、そこで特別に安定的にモータによって支持される。このことが利点である理由は、もっとも能力の高いポンプ部材はもっとも大型であり、および/またはもっとも重量があるからである。したがってポンプピストンの運動中、もっとも大きいせん断力が駆動シャフトに及ぼされるが、本発明の位置決めによって、このようなせん断力が特別に良好に受け止められる。もっとも能力の低いポンプ部材は、モータからもっとも遠く離れたところで駆動シャフトに配置され、そのようにして、もっとも低いせん断力を駆動シャフトに対して及ぼす。このような配置により、駆動シャフトが曲がる危険が従来式の液圧集成装置に比べて減り、このことは、少ないコンポーネント摩耗と特別に均一な作動を保証する。
【0011】
さらに、駆動モータと反対を向いている端部領域で転がり軸受により支持された、駆動モータにより片側で駆動される駆動シャフトに、ポンプ部材が配置されている液圧集成装置が提供されるのが好ましい。転がり軸受により、駆動シャフトが曲がるという上述の危険がいっそう低減され、特に、大きさの等しい各ポンプ部材を採用する場合に特別に好ましい。
【0012】
さらに、第1のブレーキ回路に特に3つの第1のポンプ部材が付属するとともに、第2のブレーキ回路に3つの第2のポンプ部材が付属する液圧集成装置が提供される。それにより、ブレーキ回路ごとにそれぞれ3つのポンプ部材だけで、省スペースな多重ピストンユニットが成立し、しかも、この多重ピストンユニットは特別に均一な動作を保証する。
【0013】
第1のポンプ部材は第2のポンプ部材に半径方向で向かい合って駆動シャフトに配置されるのが好ましく、それにより、駆動シャフトで発生するせん断力が少なくとも部分的に相互に相殺される。
【0014】
本発明は、このような本発明の液圧集成装置の車両ブレーキ設備での利用法も相応に対象としている。すでに説明したとおり、それによってブレーキペダルでの振動が減り、このことは車両操縦者にとって改善されたブレーキペダル感覚をもたらす。さらに、上述した低いモータ回転数により、車両のNVH挙動が減るという利点がある。NVHはNoise Vibration Harshness(騒音・振動・ハーシュネス)を意味し、騒音として聞こえる、あるいは振動として感じられる、車両内での望ましくない振動を表している。
【0015】
次に、本発明による解決法の2つの実施例について、添付の模式的な図面を参照しながら詳しく説明する。図面は次のものを示している:
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術に基づく車両ブレーキ設備を示す大幅に簡略化した模式図である。
【
図2】本発明による液圧集成装置の第1の実施例を示す簡略化した斜視図である。
【
図4】本発明による液圧集成装置の第2の実施例を示す詳細な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、第1のブレーキ回路12と第2のブレーキ回路14とを含む、従来式の車両ブレーキ設備10の大幅に簡略化した模式図を示している。第1のブレーキ回路12は、フロントアクスル20にあるフロントホイール16および18を制動する役目を果たし、したがって、フロントアクスルブレーキ回路である。第2のブレーキ回路14は、リヤアクスル26にあるリヤホイール22および24を制動する役目を果たし、リヤアクスルブレーキ回路である。第1のブレーキ回路12と第2のブレーキ回路14では、いずれもブレーキ液が液圧集成装置28によってコントロールされたブレーキ圧で提供される。
【0018】
そのために液圧集成装置28は液圧ブロック30(
図2から
図4)を含んでおり、その中に、第1のブレーキ回路12および第2のブレーキ回路14のための詳しくは図示しない配管やバルブが配置されている。これらのバルブは、本例では液圧ブロック30の裏面34に取り付けられた制御装置32によってコントロールされる。これと向かい合う液圧ブロック30の表面36には、作動中に駆動シャフト40を駆動する駆動モータ38が取り付けられている。
【0019】
駆動シャフト40は、ポンプシリンダ42の中で往復するようにスライド可能に案内された、詳しくは図示しないポンプピストンのための偏心駆動装置である。ポンプピストンとポンプシリンダ42は、付属のポンプハウジングとしての液圧ブロック30で付属の穴46の中で位置決めされる、個々のポンプ部材44の構成要素である。
【0020】
本発明によると、個々のポンプ部材44は第1のポンプ部材である。第1のポンプ部材44に加えて、本例では2つの別の第1のポンプ部材48および50が、付属の2つの別の穴52および54とともに設けられている。これらの第1のポンプ部材44,48および50は、第1のブレーキ回路12に付属している。さらに、3つの第2のポンプ部材52,54および56が、詳しくは図示しない3つの穴の中で、第2のブレーキ回路14に設けられている。すべてのポンプ部材44,48,50,52,54および56は駆動シャフト40に配置されており、ただ1つの駆動モータ38によって作動する。
【0021】
図2および
図3に示す第1の実施例では、3つの第1のポンプ部材44,48および50は等しい大きさであり、それぞれ等しい第1の送出能力を有している。3つの第2のポンプ部材52,54および56は同じくそれぞれ等しい大きさと等しい能力であるが、第1の送出能力とは相違する第2の送出能力を有している。このようにして、ブレーキ回路ごとに必要な送出能力が特別に均等に、個々のブレーキ回路に付属する各ポンプ部材へと分配される。
【0022】
図4に示す第2の実施例では、3つの第1のポンプ部材44,48および50はそれぞれの送出能力に関して高さが異なっている。ポンプ部材44はもっとも高い送出能力を有しており、駆動モータ38のもっとも近くで駆動シャフト40に取り付けられている。駆動モータ40からの間隔が増すにつれて、ポンプ部材44,48および50の送出能力の大きさは低下していく。同様の配置は、3つの第2のポンプ部材52,54および56についても当てはまり、そのうちではポンプ部材52がもっとも高い送出能力を有しており、ポンプ部材56がもっとも低い送出能力を有している。もっとも能力の高いポンプ部材44および52によって、これよりも能力の低いポンプ部材48,54,50および56により及ぼされるせん断力よりも強いせん断力が、作動中に駆動シャフト40に作用する。このようなもっとも強いせん断力は、駆動モータ38の近傍で特別に良好に支持される。駆動シャフト40はそこで高い曲げ荷重を受け止めることができるからである。軸方向で駆動モータ38からの距離が増すにつれてせん断力は低下していき、それに伴って駆動シャフト40に作用する荷重も低下していくので、駆動シャフト40が曲がる危険も少なくなる。したがって、全体として特別に摩耗の少ない液圧集成装置28が提供される。
【0023】
図示しない別案では、駆動シャフト40を追加的に支持する転がり軸受が、駆動モータ38と向かい合うように駆動シャフト40に取り付けられる。
【0024】
両方の実施例(
図2から
図4)において、第1のブレーキ回路12の第1のポンプ部材44,48および50の全体の送出能力ないし能力は、本発明によると、第2のブレーキ回路14のポンプ部材52,54および56の全体の能力よりも高い。第1のブレーキ回路12は、約44mm
3/バールの弾性を有するフロントアクスルブレーキ回路として、約30mm
3/バールの弾性を有するリヤアクスルブレーキ回路としての第2のブレーキ回路14よりも大きいブレーキ回路容積を有している。すなわち第1のブレーキ回路12は、同じ時間に第2のブレーキ回路14よりも多い容積のブレーキ液を必要とする。このように相違する単位時間あたりの容積は、本発明に基づいて適合化されたそれぞれのポンプ部材の能力で、付属のブレーキ回路へ特別に好ましく送出される。ブレーキ回路ごとの各ポンプ部材の必要性に即した能力により、駆動のために必要な駆動モータ38の回転数が、従来式の液圧集成装置に比べて低くなるという利点がある。こうした低いモータ回転数は、付属のブレーキペダルで、およびこれに伴って車両そのもので、決定的な振動緩和と騒音緩和を惹起する。さらに、能力の低い、および/または小型のモータおよび制御装置の採用が追加的に可能となる。それにより、車両で少ない設計スペースしか費やされることがなく、作動中に少ないエネルギーしか必要なくなる。このようにして、いっそう低コストな電気回路を車両に敷設できるという利点がある。これに加えて、相応に能力の低いコンポーネントの製造コストが削減される。
【符号の説明】
【0025】
10 車両ブレーキ設備
12 第1のブレーキ回路
14 第2のブレーキ回路
28 液圧集成装置
38 駆動モータ
40 駆動シャフト
44,48,50 第1のポンプ部材
52,54,56 第2のポンプ部材