特許第6289874号(P6289874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6289874-建物の壁構造 図000002
  • 特許6289874-建物の壁構造 図000003
  • 特許6289874-建物の壁構造 図000004
  • 特許6289874-建物の壁構造 図000005
  • 特許6289874-建物の壁構造 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289874
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】建物の壁構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20180226BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20180226BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   E06B1/60
   E04B2/56 622C
   E04F13/08 101A
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-234619(P2013-234619)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-94145(P2015-94145A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝也
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3026394(JP,U)
【文献】 特開平08−035373(JP,A)
【文献】 特開平05−311847(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0245025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/56−1/60
E04B 2/56
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱を挟んで対向する一対の壁面材と、それら壁面材の間に設けられた壁下地とを有する壁部に、壁開口部が設けられている建物の壁構造であって、
前記壁開口部には、縦枠部及び横枠部を有する開口枠が設けられており、
前記壁下地は、
前記一対の壁面材のうち一方である内壁面材と前記柱との間において前記縦枠部に沿って延びた状態で設けられた開口沿いスタッドを有しており、
前記開口沿いスタッドには、前記内壁面材及び前記縦枠部の両方が固定されており、
前記縦枠部は、その側面が前記開口沿いスタッドの側面に重ねられた状態で当該開口沿いスタッドに固定されており、
前記開口沿いスタッドは、連結部材を介して前記柱に連結されており、
前記連結部材は、前記開口沿いスタッドに固定されたスタッド側固定部と、前記柱に固定された柱側固定部とを有していることを特徴とする建物の壁構造。
【請求項2】
前記スタッド側固定部は、前記壁部の壁幅方向及び壁厚み方向のうち一方に沿って延びた状態で、前記開口沿いスタッドの周面に重ねられており、
前記柱側固定部は、前記壁幅方向及び前記壁厚み方向のうち前記スタッド側固定部とは異なる方に沿って延びた状態で、前記柱の周面に重ねられていることを特徴とする請求項1に記載の建物の壁構造。
【請求項3】
前記連結部材は、前記柱と前記内壁面材との間において、前記壁幅方向に沿って前記開口沿いスタッドに横並びに設けられており、
前記側固定部は、前記柱における前記壁幅方向に沿って延びた面に重ねられており、
前記スタッド側固定部は、前記開口沿いスタッドにおける前記壁厚み方向に沿って延びた面に重ねられていることを特徴とする請求項2に記載の建物の壁構造。
【請求項4】
前記スタッド側固定部には、当該スタッド側固定部を前記開口沿いスタッドに固定するためのスタッド側孔が形成されており、
前記柱側固定部には、当該柱側固定部を前記柱に固定するための柱側孔が形成されており、
前記スタッド側孔及び前記柱側孔の少なくとも一方は、孔幅方向に沿って延びた長孔とされていることを特徴とする請求項2又は3に記載の建物の壁構造。
【請求項5】
前記壁下地は、前記壁部の壁幅方向において前記柱を挟んで前記開口枠とは反対側に柱沿いスタッドを有しており、
前記連結部材は、前記壁幅方向において前記柱から前記開口枠とは反対側に突出した突出部分を有しており、
前記突出部分は、前記柱沿いスタッドに当接していることで該柱沿いスタッドの設置位置を前記壁幅方向について設定するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建物の壁構造。
【請求項6】
前記壁下地は、前記壁幅方向において隣り合う前記柱の間に設けられ、前記内壁面材に沿って所定間隔で配置された複数の内壁スタッドを有しており、
前記柱沿いスタッドは、前記内壁スタッドに含まれていることを特徴とする請求項5に記載の建物の壁構造。
【請求項7】
前記壁下地は、
前記複数の内壁スタッドを挟んで上下に配置された一対の内壁ランナと、
前記開口沿いスタッドを挟んで上下に配置された一対の開口沿いランナと、
を有していることを特徴とする請求項6に記載の建物の壁構造。
【請求項8】
前記壁下地は、
前記内壁スタッドとして、前記開口枠の上方又は下方に設けられた短尺スタッドと、
前記開口枠の前記横枠部に沿って延び、前記一対の内壁ランナのうち一方に前記短尺スタッドを挟んで対向する中間ランナと、
を有しており、
前記開口沿いランナは、前記柱と前記内壁面材との間において、前記壁部の壁高さ方向において前記中間ランナを挟んで前記短尺スタッドの反対側に配置され、該中間ランナに固定されていることを特徴とする請求項7に記載の建物の壁構造。
【請求項9】
前記壁開口部には、サッシ戸が開閉可能に取り付けられたサッシ枠が、前記開口枠の屋外側に設けられており、
前記開口枠には、前記サッシ戸の屋内側に配置された障子戸が開閉可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の建物の壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物において、外壁等の壁部に窓部等の壁開口部が形成されている場合、その壁開口部に設けられた開口枠は柱や大梁等の建物躯体に対して固定されている。例えば、開口枠が柱に対して固定されている場合、開口枠の縦枠部が柱に横並びに配置され、縦枠部の側面と柱の側面とが重なった状態で、その縦枠部が柱にビス等により固定されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−320853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、開口枠が柱から離間した位置に配置された場合、縦枠部の側面は柱の側面から離間することになり、縦枠部を柱に直接固定することはできない。そこで、縦枠部の柱側にスタッドを設け、そのスタッドを介して開口枠の縦枠部を柱に固定することが考えられる。また、このスタッドは、石膏ボード等の壁面材が固定されることで、開口枠に加えて壁面材も支持する役割を果たすことになる。
【0005】
しかしながら、柱と壁面材との間にスタッドが配置された構成において、壁厚み方向において柱と壁面材との離間距離がスタッドの厚み寸法よりも大きい場合、スタッドは柱及び壁面材の少なくとも一方から離間してしまうため、スタッドを柱及び壁面材の両方に直接固定するには、スタッドの厚み寸法を柱と壁面材との離間距離と同じ幅寸法に設定する必要がある。この場合、複数種類のスタッドを用意しておき、柱と壁面材との離間距離に応じてスタッドを使い分ける方法が考えられるが、この方法では、コスト負担や作業負担が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、開口枠及び内壁面材の両方を柱に好適に固定することができる壁構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
第1の発明の建物の壁構造は、柱(柱13)を挟んで対向する一対の壁面材(外壁面材34、内壁面材41)と、それら壁面材の間に設けられた壁下地(内壁下地42)とを有する壁部に、壁開口部(窓部12)が設けられている建物の壁構造であって、前記壁開口部には、縦枠部(縦枠部52a)及び横枠部(上枠部52b、下枠部52c)を有する開口枠(窓枠52)が設けられており、前記壁下地は、前記一対の壁面材のうち一方である内壁面材(内壁面材41)と前記柱との間において前記縦枠部に沿って延びた状態で設けられ、前記内壁面材及び前記縦枠部の両方が固定された開口沿いスタッド(窓沿いスタッド58)を有しており、前記開口沿いスタッドは、連結部材(連結部材61)を介して前記柱に連結されており、前記連結部材は、前記開口沿いスタッドに固定されたスタッド側固定部(スタッド側固定部62)と、前記柱に固定された柱側固定部(柱側固定部63)とを有していることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、開口枠に固定された開口沿いスタッドが柱と壁面材との間に配置された構成において、この開口沿いスタッドが連結部材を介して柱に固定されているため、開口沿いスタッドを柱から内壁面材側に離間した位置に配置できる。この場合、開口沿いスタッドを壁面材の背面に重なる位置に配置することが可能となるため、その開口沿いスタッドを壁面材及び柱の両方に固定することができる。つまり、内壁面材を開口沿いスタッドを介して柱に適正な状態で固定することができる。また、開口沿いスタッドの厚み寸法が柱と内壁面材との離間距離より小さくてもよいため、汎用品を開口沿いスタッドとして使用することが可能になり、開口沿いスタッドについてのコスト負担や作業負担を低減することができる。以上により、開口枠及び内壁面材の両方を柱に好適に固定することができる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記スタッド側固定部は、前記壁部の壁幅方向及び壁厚み方向のうち一方に沿って延びた状態で、前記開口沿いスタッドの周面に重ねられており、前記柱側固定部は、前記壁幅方向及び前記壁厚み方向のうち前記スタッド側固定部とは異なる方に沿って延びた状態で、前記柱の周面に重ねられている。
【0011】
第2の発明によれば、壁幅方向及び壁厚み方向のうち一方に沿ってスタッド側固定部が延びており、他方に沿って柱側固定部が延びているため、連結部材を開口沿いスタッドの周面及び柱の周面に沿って変位させることで、柱に対する開口沿いスタッドの位置調整を壁幅方向及び壁厚み方向の両方について実施することができる。したがって、柱に対する開口沿いスタッドの位置合わせ作業を容易化できる。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、前記連結部材は、前記柱と前記内壁面材との間において、前記壁幅方向に沿って前記開口沿いスタッドに横並びに設けられており、前記スタッド側固定部は、前記柱における前記壁幅方向に沿って延びた面に重ねられており、前記柱側固定部は、前記開口沿いスタッドにおける前記壁厚み方向に沿って延びた面に重ねられている。
【0013】
第3の発明によれば、柱と内壁面材との間に連結部材及び開口沿いスタッドの両方が配置されているため、柱に対する柱側固定部の固定作業、及びスタッド側固定部に対する開口沿いスタッドの固定作業のいずれも、内壁面材側から実施することができる。
【0014】
第4の発明では、第2又は3の発明において、前記スタッド側固定部には、当該スタッド側固定部を前記開口沿いスタッドに固定するためのスタッド側孔(スタッド側孔62a)が形成されており、前記柱側固定部には、当該柱側固定部を前記柱に固定するための柱側孔(柱側孔63a)が形成されており、前記スタッド側孔及び前記柱側孔の少なくとも一方は、孔幅方向に沿って延びた長孔とされている。
【0015】
第4の発明によれば、ビス等の固定具がスタッド側孔や柱側孔を通じて開口沿いスタッドや柱に打ち込まれることで、これら開口沿いスタッドや柱に連結部材が固定された構成において、固定具をスタッド側孔や柱側孔に沿って連結部材に対して相対的に移動させることが可能であるため、開口沿いスタッドや柱に対する固定部の打ち込み位置を変更することなく、開口沿いスタッドや柱に対して連結部材を変位させることができる。このため、柱に対する開口沿いスタッドの位置調整を容易に行うことができる。
【0016】
第5の発明では、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記壁下地は、前記壁部の壁幅方向において前記柱を挟んで前記開口枠とは反対側に柱沿いスタッド(柱沿いスタッド57A)を有しており、前記連結部材は、前記壁幅方向において前記柱から前記開口枠とは反対側に突出した突出部分(突出部分68)を有しており、前記突出部分は、前記柱沿いスタッドに当接していることで該柱沿いスタッドの設置位置を前記壁幅方向について設定するものである。
【0017】
第5の発明によれば、柱沿いスタッドを連結部材の突出部分に当接させるという容易な作業により、壁幅方向についての柱沿いスタッドの位置決めを行うことができる。つまり、連結部材を利用することで柱沿いスタッドの設置作業の容易化を図ることができる。
【0018】
第6の発明では、第5の発明において、前記壁下地は、前記壁幅方向において隣り合う前記柱の間に設けられ、前記内壁面材に沿って所定間隔で配置された複数の内壁スタッド(内壁スタッド57)を有しており、前記柱沿いスタッドは、前記内壁スタッドに含まれている。
【0019】
第6の発明によれば、連結部材により柱沿いスタッドの位置決めを容易に行うことができるため、柱沿いスタッドを基準として複数の内壁スタッドを順番に並べる作業の容易化を実現できる。
【0020】
第7の発明では、第6の発明において、前記壁下地は、前記複数の内壁スタッドを挟んで上下に配置された一対の内壁ランナ(内壁ランナ43,44)と、前記開口沿いスタッドを挟んで上下に配置された一対の開口沿いランナ(窓沿いランナ47,48)と、を有している。
【0021】
第7の発明によれば、内壁ランナとは別に開口沿いランナが設けられているため、開口沿いスタッドを開口沿いランナに適正な状態で固定することができる。このため、開口沿いスタッドにより開口枠の支持強度を高めることができる。
【0022】
第8の発明では、第7の発明において、前記壁下地は、前記内壁スタッドとして、前記開口枠の上方又は下方に設けられた短尺スタッド(短尺スタッド57B)と、前記開口枠の前記横枠部に沿って延び、前記一対の内壁ランナのうち一方に前記短尺スタッドを挟んで対向する中間ランナ(中間ランナ45,46)と、を有しており、前記開口沿いランナは、前記柱と前記内壁面材との間において、前記壁部の壁高さ方向において前記中間ランナを挟んで前記短尺スタッドの反対側に配置され、該中間ランナに固定されている。
【0023】
第8の発明によれば、開口沿いランナを柱及び中間ランナの両方に固定することが可能であるため、開口沿いスタッドを柱や中間ランナといった複数の部材に対して固定することができる。しかも、短尺スタッドと開口沿いスタッドとが中間ランナ及び開口沿いスタッドを挟んで上下に配置されているため、開口沿いスタッドの位置に関係なく短尺スタッドの設置位置を設定することができる。したがって、開口枠の上方及び下方において、短尺スタッドが内壁面材を適正に支持した構成を実現できる。
【0024】
第9の発明では、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記壁開口部には、サッシ戸(サッシ戸54)が開閉可能に取り付けられたサッシ枠(サッシ枠51)が、前記開口枠の屋外側に設けられており、前記開口枠には、前記サッシ戸の屋内側に配置された障子戸(障子戸56)が開閉可能に取り付けられている。
【0025】
第9の発明によれば、内壁面材が柱から離間した位置に配置されていることで、壁厚み方向において障子戸の設置可能な範囲が十分に確保されているため、サッシ戸の施錠装置に干渉しない位置に障子戸を配置することができる。これにより、サッシ戸の施錠装置が存在することで障子戸の開閉に支障が生じるということや、障子戸の存在によりサッシ戸の施錠装置の操作に支障が生じるということを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】外壁部の正面図
図2図1のA−A線断面図
図3図1のB−B線断面図
図4】連結部材の構成を示す図
図5】別の外壁部の横断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の壁構造を建物の外壁部において具体化している。図1は外壁部11の正面図、図2図1のA−A線断面図、図3図1のB−B線断面図である。なお、図1は、外壁部11を屋内側から見た図であり、外壁部11の内部構造を部分的に示す破断図になっている。
【0028】
図1図3に示すように、建物の外壁部11には、壁開口部としての窓部12が設けられている。建物においては、複数の柱13が外壁部11に沿って所定間隔で設けられており、窓部12は、隣り合う柱13の間に配置されている。各柱13は、屋内空間の床部15と天井部16とに掛け渡された状態になっている。なお、外壁部11が壁部に相当する。また、建物は居住空間を複数有しており、外壁部11により区画され且つ窓部12を有している居住空間は例えば和室とされている。
【0029】
天井部16は、天井下地材としての野縁21と、野縁21に取り付けられた天井面材22とを有している。天井面材22は、石膏ボード等により形成されており、野縁21の下側に配置されている。野縁21の上側には、野縁21を支持する野縁受け23が設けられている。野縁受け23は、隣り合う柱13に掛け渡された状態になっており、それら柱13の上端部分の側面に固定されている。なお、野縁21は、金具24を介して野縁受け23に連結されている。金具24は、野縁21及び野縁受け23のそれぞれに対してビス等により固定されている。
【0030】
外壁部11は、屋外側に設けられた外壁パネル31と、屋内側に設けられた内壁パネル32とを有している。外壁パネル31は、軽量コンクリート等の外装材により板状に形成された外壁面材34と、外壁面材34を支持する下地部材35とを有している。外壁面材34は、上下に開放された中空部34aを有しており、中空部34aは、外壁面材34の幅方向に沿って所定間隔で複数配置されている。下地部材35は、鋼材により形成されており、梁材などの建物躯体にボルト等により固定されている。この場合、外壁面材34は、下地部材35により建物躯体に連結されていることになる。
【0031】
内壁パネル32は、石膏ボード等の内装材により形成された内壁面材41と、内壁面材41を支持する内壁下地42とを有している。内壁面材41は、内壁下地42の屋内側に配置されている。内壁下地42は、外壁部11の幅方向に延びる下地横材としてのランナ43〜48と、外壁部11の高さ方向に延びる下地縦材としてのスタッド57,58とを有している。これらランナ43〜48及びスタッド57,58の屋内側面に対して内壁面材41が取り付けられている。
【0032】
外壁部11においては、外壁面材34と内壁面材41とが互いに対向する一対の壁面材となっており、これら外壁面材34と内壁面材41との間おいて、複数の柱13が壁幅方向に沿って並べられている。外壁部11は、外壁面材34と内壁面材41との間に設けられた壁断熱部49を有している。壁断熱部49は、発泡系断熱材により板状に形成されており、外壁面材34の屋内側面に沿って延びた状態で設けられている。柱13は、壁断熱部49により屋外側から覆われた状態になっている。なお、壁断熱部49は内壁面材41から屋内側に離間しており、その離間部分に内壁下地42が設けられている。壁断熱部49と内壁面材41との離間部分を壁内空間と称することもできる。
【0033】
窓部12には、サッシ戸やガラス戸が取り付けられたサッシ枠51と、そのサッシ枠51の屋内側に配置された窓枠52とが設けられている。この場合、サッシ枠51を屋外側枠と称し、窓枠52を屋内側枠と称することもできる。サッシ枠51は、矩形枠状に形成されており、枠下地53を介して建物下地に固定されている。枠下地53は、上下方向に延びるL字状のアングル部材を有しており、そのアングル部材が、窓部12の上下に配置された梁材に掛け渡された状態で固定されている。サッシ枠51は、壁高さ方向に延びる一対の縦枠部51aと、それら縦枠部51aの上端部同士を連結する上枠部51bと、下端部同士を連結する下枠部51cとを有している。
【0034】
サッシ枠51には、開閉可能なサッシ戸54が取り付けられている。サッシ戸54は、引き違い式で複数設けられており、施錠装置としてのクレセント錠55を有している。クレセント錠55は、住人等のユーザにより操作される操作部55aを有しており、操作部55aは、クレセント錠55を施錠する施錠状態と、解錠する解錠状態とに移行可能になっている。操作部55aは、回動軸を中心に回動可能に設けられ、施錠状態にある場合に、回動軸から上方に向けて壁高さ方向に延びており、回動先端側が上端に配置された状態になっている。操作部55aは、回動先端側が屋内側に移動する向きで下方に回動することで、解錠状態に移行することが可能になっている。操作部55aが回動した場合、操作部55aの回動先端部は、移動軌跡Nに沿って移動することになる。なお、サッシ戸54を屋外側戸と称することもできる。
【0035】
窓枠52は、サッシ枠51と同様に矩形枠状に形成されており、壁厚み方向においてサッシ枠51に重ねられた状態で内壁下地42に固定されている。窓枠52は、サッシ枠51と同様に、壁高さ方向に延びる一対の縦枠部52aと、それら縦枠部52aの上端部同士を連結する上枠部52bと、下端部同士を連結する下枠部52cとを有している。窓枠52は、壁幅方向において柱13に横並びに配置されている。窓枠52の幅寸法は、その窓枠52を挟んで隣り合う柱13の離間距離よりも小さくされており、それら柱13と窓枠52との間には隙間が確保されている。なお、窓枠52が開口枠に相当し、上枠部52b及び下枠部52cが横枠部に相当する。
【0036】
窓枠52には、開閉可能な障子戸56が取り付けられている。障子戸56は、引き違い式で複数設けられており、サッシ戸54の屋内側に配置されている。障子戸56は、壁厚み方向において、クレセント錠55の操作部55aの移動軌跡Nに重複しない位置に配置されている。これにより、クレセント錠55の操作部55aが障子戸56に接触してその操作部55aを回動させることができないということや、障子戸56が操作部55aに接触してその障子戸56を開閉することができないということを回避できる。
【0037】
ランナ43〜48のうち、天井部16に沿って延びている上側内壁ランナ43と、床部15に沿って延びている下側内壁ランナ44とは、上下に配置された一対の内壁ランナ43,44になっている。内壁ランナ43,44は、断面コ字状の軽量溝形鋼により形成されている。上側内壁ランナ43は、溝部を下方に向けた状態で、野縁21の下面に対して固定されている。この場合、上側内壁ランナ43は、野縁受け23に沿って延びており、野縁21を介して野縁受け23に固定されていることになる。下側内壁ランナ44は、溝部を上方に向けた状態で、床部15の上面に対して固定されている。この場合、上側内壁ランナ43の溝部と下側内壁ランナ44の溝部とは互いに向かい合っている。
【0038】
窓部12は、上側内壁ランナ43と下側内壁ランナ44との間に配置されており、ランナ43〜48のうち、上側内壁ランナ43と下側内壁ランナ44との間に配置された中間ランナ45,46は、窓枠52に沿って延びている。中間ランナ45,46は、ランナ43,44と同様に、断面コ字状の軽量溝形鋼により形成されている。内壁ランナ43,44及び中間ランナ45,46は、窓枠52よりも側方に突出している。
【0039】
中間ランナ45,46のうち、窓枠52の上側に配置された上側中間ランナ45は、窓枠52の上枠部52bに沿って延びている。上側中間ランナ45は、溝部を上方に向けた状態で設けられており、上枠部52bは、上側中間ランナ45の下面に固定されている。この場合、上側中間ランナ45の溝部と上側内壁ランナ43の溝部とは互いに向かい合っている。
【0040】
中間ランナ45,46のうち、窓枠52の下側に配置された下側中間ランナ46は、窓枠52の下枠部52cに沿って延びている。下側中間ランナ46は、溝部を下方に向けた状態で設けられており、下枠部52cは、下側中間ランナ46の上面に固定されている。この場合、下側中間ランナ46の溝部と下側内壁ランナ44の溝部とは互いに向かい合っている。
【0041】
内壁ランナ43,44及び中間ランナ45,46は、隣り合う柱13の間に設けられている。これらランナ43〜46は、いずれも柱13よりも屋内側に突出しており、柱13の屋内側面を壁厚み方向に跨いだ状態で配置されている。
【0042】
スタッド57,58は、断面矩形状の軽量角形鋼により形成されており、中空部を有する筒状部材になっている。スタッド57,58のうち、内壁面材41を支持している内壁スタッド57は、壁幅方向に沿って所定間隔で複数並べて設けられており、いずれも隣り合う柱13の間に配置されている。各内壁スタッド57は、柱13よりも屋内側に突出しており、内壁ランナ43,44及び中間ランナ45,46と同様に、柱13の屋内側面を壁厚み方向に跨いだ状態で配置されている。なお、内壁スタッド57は、断面長方形状に形成されており、その長辺が壁厚み方向に沿って延びる向きで設置されている。
【0043】
内壁スタッド57には、柱13に沿って延びている柱沿いスタッド57Aと、窓部12に上下に並ぶ位置に設けられた短尺スタッド57Bとが含まれている。柱沿いスタッド57Aは、壁幅方向において柱13を挟んで窓枠52の反対側に配置されている。柱沿いスタッド58は、一対の内壁ランナ43,44に掛け渡されており、それら内壁ランナ43,44の各溝部に入り込んだ状態で、それら内壁ランナ43,44にビス等により固定されている。
【0044】
短尺スタッド57Bは、窓部12の上方及び下方のそれぞれにおいて複数設けられている。窓部12の上方に設けられた短尺スタッド57Bは、上側内壁ランナ43と上側中間ランナ45とに掛け渡されており、それら上側内壁ランナ43及び上側中間ランナ45の各溝部に入り込んだ状態で、それらランナ43,45にビス等により固定されている。一方、窓部12の下方に設けられた短尺スタッド57Bは、下側内壁ランナ44と下側中間ランナ46とに掛け渡されており、それら下側内壁ランナ44と下側中間ランナ46の各溝部に入り込んだ状態で、それらランナ44,46にビス等により固定されている。
【0045】
壁厚み方向において、内壁スタッド57の厚み寸法は、内壁ランナ43,44及び中間ランナ45,46の溝幅寸法(一対のフランジの離間距離)とほぼ同じにされており、内壁スタッド57は、これらランナ43〜46の溝部内に嵌合されている。
【0046】
スタッド57,58のうち、窓枠52の縦枠部52aに沿って延びている窓沿いスタッド58は、柱13と内壁面材41との間に配置されている。窓沿いスタッド58は、断面長方形状に形成されており、その長辺が壁幅方向に沿って延びる向きで設置されている。窓沿いスタッド58の屋内側面は、内壁スタッド57の屋内側面と直線上に配置されており、それら屋内側面に内壁面材41が掛け渡された状態になっている。壁厚み方向において、窓沿いスタッド58の厚み寸法D1(例えば45mm)は、柱13と内壁面材41との離間距離D2よりも小さくされており、窓沿いスタッド58は、柱13から内壁面材41側に離間している。また、内壁スタッド57の厚み寸法D3(例えば90mm)は、窓沿いスタッド58の厚み寸法D1より大きくされている。
【0047】
窓枠52は、内壁下地42に固定されている。窓枠52の縦枠部52aは、その側面が窓沿いスタッド58の側面に重ねられた状態でその窓沿いスタッド58にビス等により固定されている。縦枠部52aは、柱13から壁幅方向に離間した位置に配置されており、窓沿いスタッド58は、壁幅方向において柱13よりも窓枠52側に突出した状態で配置されている。その一方で、窓沿いスタッド58は、壁厚み方向において柱13に重なった部分を有しており、柱13における窓枠52側の側面を壁幅方向に跨いだ状態になっている。この場合、窓沿いスタッド58の幅寸法W1(例えば65mm)は、柱13と窓枠52との離間距離W2よりも大きくされている。また、窓沿いスタッド58は、壁幅方向において柱沿いスタッド57Aから窓枠52側に離間した位置に配置されている。
【0048】
なお、窓枠52において、上枠部52bは、その上面が上側中間ランナ45の下面に重ねられた状態でその上側中間ランナ45にビス等により固定されている。下枠部52cは、その下面が下側中間ランナ46の上面に重ねられた状態でその下側中間ランナ46にビス等により固定されている。
【0049】
ランナ43〜48のうち、窓沿いスタッド58の上側に配置された上側窓沿いランナ47と、窓沿いスタッド58の下側に配置された下側窓沿いランナ48とは、上下に配置された一対の窓沿いランナ47,48とされており、これら窓沿いランナ47,48には、窓沿いスタッド58が固定されている。窓沿いランナ47,48は、断面コ字状の軽量溝形鋼により形成されている。上側窓沿いランナ47は、溝部を下方に向けた状態で、上側中間ランナ45の下面及び柱13の屋内側面に対して固定されている。下側窓沿いランナ48は、溝部を上方に向けた状態で、下側中間ランナ46の上面及び柱13の屋内側面に対して固定されている。
【0050】
窓沿いスタッド58は、一対の窓沿いランナ47,48に掛け渡されており、それら窓沿いランナ47,48の各溝部に入り込んだ状態で、それら窓沿いランナ47、48にビス等により固定されている。壁高さ方向において、窓沿いスタッド58の長さ寸法は、窓枠52の高さ寸法とほぼ同じにされている。壁厚み方向において、窓沿いスタッド58の厚み寸法は、窓沿いランナ47,48の溝幅寸法とほぼ同じにされており、窓沿いスタッド58は、これら窓沿いランナ47,48の溝部内に嵌合されている。この場合、窓沿いスタッド58は、窓沿いランナ47,48において、ウェブを挟んで対向する一対のフランジのそれぞれに固定されていることになる。なお、窓沿いスタッド58は開口沿いスタッドに相当し、窓沿いランナ47,48は開口沿いランナに相当する。
【0051】
なお、短尺スタッド57Bのうち、最も柱13側に配置された短尺スタッド57Bは、壁幅方向において少なくとも一部が窓沿いスタッド58の上方に重なる位置に配置されている。
【0052】
窓沿いスタッド58は、連結部材61を介して柱13に連結されている。これにより、窓沿いスタッド58が柱13から屋内側に離間した位置に配置されていても、窓沿いスタッド58が柱13に対して固定された構成を実現できる。連結部材61は、柱13と内壁面材41との間において、窓沿いスタッド58を挟んで窓枠52の反対側に配置されている。この場合、連結部材61は、壁幅方向において窓沿いスタッド58と柱沿いスタッド57Aとの間に配置されている。
【0053】
連結部材61は、窓沿いスタッド58に固定されたスタッド側固定部62と、柱13に固定された柱側固定部63とを有している。スタッド側固定部62は、柱側固定部63から壁厚み方向に沿って延びており、窓沿いスタッド58における柱沿いスタッド57A側の面に重ねられた状態で、ビス等の第1固定具65により窓沿いスタッド58に固定されている。柱側固定部63は、スタッド側固定部62から壁幅方向に沿って延びており、柱13における内壁面材41側の面に重ねられた状態で、ビス等の第2固定具66により柱13に固定されている。
【0054】
連結部材61により連結された窓沿いスタッド58と柱13との連結構造について、図2図4を参照しつつ説明する。図4は連結部材61の構成を示す図であり、(a)に連結部材61の斜視図を示し、(b)に柱13と窓沿いスタッド58との連結構造の分解斜視図を示す。
【0055】
図4(a)に示すように、連結部材61は、互いに直交する一対の板部を有しており、それら板部のうち一方がスタッド側固定部62とされ、他方が柱側固定部63とされている。連結部材61は、短尺状のアングル材等の鋼材により形成されている。柱側固定部63には、第2固定具66のための柱側孔63aが設けられている。柱側孔63aは、丸孔になっており、柱側固定部63とスタッド側固定部62との境界部に沿って複数並べられている。
【0056】
スタッド側固定部62には、第1固定具65のためのスタッド側孔62aが設けられている。スタッド側孔62aは、柱側固定部63からのスタッド側固定部62の延出方向に沿って延びた長孔になっている。換言すれば、スタッド側孔62aは、孔幅方向に沿って延びた長孔になっている。スタッド側孔62aは、柱側固定部63とスタッド側固定部62との境界部が延びる方向に直交して延びており、前記境界部に沿って複数並べられている。この場合、スタッド側孔62aは、壁厚み方向に沿って水平方向に延びていることになる。なお、スタッド側固定部62のスタッド側孔62aが固定孔に相当する。
【0057】
図4(b)に示すように、連結部材61は、上下方向において所定間隔で複数並べて設けられている。連結部材61においては、第2固定具66が柱側固定部63の柱側孔63aを通じて柱13に羅着されており、それによって、連結部材61が柱13に固定されている。また、第1固定具65は、窓沿いスタッド58を貫通してスタッド側固定部62のスタッド側孔62aに羅着されており、それによって、連結部材61が窓沿いスタッド58に固定されている。
【0058】
図2に示すように、連結部材61において、スタッド側固定部62は、柱側固定部63から内壁面材41側に向けて窓沿いスタッド58に沿って延びているが、内壁面材41から柱13側に離間しており、窓沿いスタッド58より屋内側には突出していない。このため、窓沿いスタッド58及び柱沿いスタッド57Aに対する内壁面材41の取り付けに際して、連結部材61のスタッド側固定部62が支障になるということを回避できる。
【0059】
柱側固定部63は、スタッド側固定部62から柱沿いスタッド57A側に向けて柱13に沿って延びており、柱13より柱沿いスタッド57A側に突出している。この突出部分68の先端には、柱沿いスタッド57Aの柱13側の面が当接している。ここで、壁高さ方向に配置された各連結部材61において、柱側固定部63の突出部分68の突出寸法が均一にされており、それら突出部分68の先端は壁高さ方向(鉛直方向)に沿って延びる直線上に配置されている。
【0060】
次に、窓沿いスタッド58を柱13に固定する作業手順について簡単に説明する。
【0061】
柱13及び内壁ランナ43,44が設置された状態において、柱13の屋内側面に連結部材61の柱側固定部63を重ね、その状態で第2固定具66を柱側孔63aから柱13に打ち込むことで、連結部材61を柱13に固定する。ここでは、壁幅方向について、あらかじめ窓枠52、窓沿いスタッド58及び柱沿いスタッド57Aの設置位置を定めておき、スタッド側固定部62が窓沿いスタッド58の側面に当接し、且つ柱側固定部63の突出部分68が柱沿いスタッド57Aの側面に当接する位置を、柱13に対する連結部材61の固定位置として設定する。
【0062】
そして、スタッド側固定部62に当接する位置に窓沿いスタッド58を配置し、第1固定具65を窓沿いスタッド58側からスタッド側固定部62に向けて第1固定具65を打ち込む。ここでは、壁厚み方向において、あらかじめ内壁面材41の設置位置を定めておき、窓沿いスタッド58が内壁面材41の屋外側面に重なるように、連結部材61に対する窓沿いスタッド58の固定位置を壁厚み方向について設定する。この場合、スタッド側固定部62のスタッド側孔62aが壁厚み方向に沿って延びているため、第1固定具65を柱13に打ち込んだ後でも、第1固定具65の頭部がスタッド側固定部62を柱13に対して押し付けていなければ、スタッド側固定部62に対する窓沿いスタッド58の位置調整を行うことが可能になる。
【0063】
その後、窓沿いスタッド58や中間ランナ45,46に対して窓枠52を取り付ける。
【0064】
また、柱沿いスタッド57Aを、各連結部材61の柱側固定部63の突出部分68に当接する位置に配置し、内壁ランナ43,44に対して固定する。この場合、各突出部分68が鉛直方向に並べられているため、柱沿いスタッド57Aを容易に鉛直に立てることができる。また、柱沿いスタッド57Aを挟んで窓枠52とは反対側に配置する複数の内壁スタッド57については、柱沿いスタッド57Aを基準位置としてそれぞれの設置位置を容易に設定することができる。
【0065】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0066】
窓沿いスタッド58が連結部材61を介して柱13に連結されているため、窓沿いスタッド58を柱13から屋内側に離間した位置に配置できる。この場合、窓沿いスタッド58を内壁面材41の屋外側面に重ねる位置に配置することが可能となるため、その窓沿いスタッド58を内壁面材41及び柱13の両方に固定することができる。つまり、内壁面材41を窓沿いスタッド58を介して柱13に適正な状態で固定することができる。また、窓沿いスタッド58の厚み寸法が柱13と内壁面材41の離間距離より小さくてもよいため、汎用品を窓沿いスタッド58として使用することが可能となり、窓沿いスタッド58についてのコスト負担や作業負担を低減することができる。以上により、窓枠52及び内壁面材41の両方を柱13に好適に固定することができる。
【0067】
連結部材61においては、スタッド側固定部62が壁厚み方向に沿って延び、柱側固定部63が壁幅方向に沿って延びているため、連結部材61を柱13及び窓沿いスタッド58に沿って側方に移動させるという容易な作業により、柱13に対する窓沿いスタッド58の位置調整を壁厚み方向及び壁幅方向の両方について実施することができる。したがって、柱13に対する窓沿いスタッド58の位置合わせ作業を容易化できる。
【0068】
柱13の屋内側に窓沿いスタッド58及び連結部材61の両方が配置されているため、柱13に対する連結部材61の柱側固定部63の固定作業、連結部材61のスタッド側固定部62に対する窓沿いスタッド58の固定作業、及び窓沿いスタッド58に対する内壁面材41の固定作業を屋内側から容易に実施することができる。
【0069】
連結部材61のスタッド側孔62aが長孔とされているため、窓沿いスタッド58に対する第1固定具65の打ち込み位置を変更せず、その第1固定具65が窓沿いスタッド58に打ち込まれた状態のまま、壁厚み方向において窓沿いスタッド58に対する連結部材61の位置調整を行うことが可能となる。このため、柱13に対する窓沿いスタッド58の位置調整の容易化を実現できる。
【0070】
連結部材61の突出部分68により柱沿いスタッド57Aの位置決めがなされているため、柱13を挟んで窓枠52とは反対側において、柱沿いスタッド57Aを含めた内壁スタッド57を設置する場合に、柱沿いスタッド57Aを基準とすることができる。これにより、柱13側から壁幅方向に沿って順に複数の内壁スタッド57を設置する場合に、その作業負担を低減できる。
【0071】
窓沿いスタッド58を固定するための専用の窓沿いランナ47,48が設けられているため、窓沿いスタッド58を内壁ランナ43,44や中間ランナ45,46に固定する必要がない。ここで、窓沿いスタッド58の厚み寸法が内壁スタッド57の厚み寸法より小さいため、窓沿いスタッド58が内壁ランナ43,44や中間ランナ45,46に固定された場合には、窓沿いスタッド58がランナ43〜46の一対のフランジのうち一方にしか固定することができないことになる。これに対して、本実施形態では、窓沿いランナ47,48が設けられているため、窓沿いスタッド58を窓沿いランナ47,48の一対のフランジの両方に固定することができる。つまり、窓沿いランナ47,48に対して窓沿いスタッド58を適正な状態で固定することができる。
【0072】
窓沿いランナ47,48が中間ランナ45,46及び柱13に固定されているため、窓沿いスタッド58が窓沿いランナ47,48を介して中間ランナ45,46及び柱13という複数の部材に固定することができる。しかも、窓沿いスタッド58は、窓枠52の上方に配置された短尺スタッド57Bと、窓枠52の下方に配置された短尺スタッド57Bとの間に配置されているため、窓沿いスタッド58の位置に関係なく短尺スタッド57Bの設置位置を設定することができる。したがって、窓枠52の上方及び下方において、短尺スタッド57Bにより内壁面材41が適正な状態で支持された構成を実現できる。
【0073】
柱13と内壁面材41との間に窓沿いスタッド58が設けられ、さらに、柱13と内壁面材41との離間距離が窓沿いスタッド58の厚み寸法より大きくされているため、壁厚み方向において柱13に対する窓枠52の位置を極力屋内側に設定することができる。つまり、障子戸56の位置を極力屋内側に設定することができる。これにより、障子戸56を、壁厚み方向においてクレセント錠55の操作部55aの移動軌跡Nに重複しない位置に配置することが可能となる。
【0074】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0075】
(1)上記実施形態では、柱沿いスタッド57Aの屋内側面と窓沿いスタッド58の屋内側面とが直線上に並べられていたが、柱沿いスタッド57Aの屋内側面が、窓沿いスタッド58の屋内側面よりも屋外側に配置されていてもよい。例えば、図5に示すように、柱沿いスタッド57Aが、その長辺が壁幅方向に沿って延びる向きで設置された構成とする。この場合、壁厚み方向において、柱沿いスタッド57Aの厚み寸法は、窓沿いスタッド58の厚み寸法より小さくされており、柱沿いスタッド57Aを挟んで柱13とは反対側に配置された複数の内壁スタッド57も、柱沿いスタッド57Aと同じ厚み寸法を有している。この場合、柱沿いスタッド57Aに取り付けられた内壁面材41aは、窓沿いスタッド58に取り付けられた内壁面材41bに比べて屋外側に配置されている。
【0076】
これら内壁面材41a,41bの間には、外壁部11から屋内側に向けて延びた間仕切壁71が設けられている。間仕切壁71は、屋内空間を複数の居住空間に仕切るものであり、間仕切壁71の窓部12側の居住空間が例えば和室とされ、間仕切壁71を挟んで窓部12とは反対側の居住空間が例えば洋室とされている。
【0077】
間仕切壁71は、互いに対向する一対の間仕切壁面材72と、それら間仕切壁面材72の間に設けられた間仕切壁下地73とを有している。間仕切壁下地73は、窓沿いスタッド58に固定されている。例えば、間仕切壁下地73は間仕切スタッドを有しており、この間仕切スタッドが窓沿いスタッド58に沿って延びた状態で窓沿いスタッド58に固定されている。
【0078】
柱13は、ラチス柱を構成する柱とされている。ラチス柱は、壁幅方向において所定間隔で配置された一対の柱13と、それら柱13を連結するラチス77とを有している。外壁部11の内部にラチス77が設けられている構成においては、柱側断熱部48bが、柱13の屋外側だけでなくラチス77の屋外側にも設けられている。また、内壁下地42はラチス77の屋内側に設けられており、その内壁下地42の厚み寸法は、上記実施形態の内壁下地42の厚み寸法に比べて小さくされている。
【0079】
(2)上記実施形態では、連結部材61が柱13と内壁面材41との間に設けられていたが、連結部材61は、柱13と窓枠52との間に設けられていてもよい。つまり、柱13及び窓沿いスタッド58において、連結部材61は、上記実施形態とは異なる周面に固定されていてもよい。例えば、連結部材61において、柱側固定部63が柱13における窓枠52側の面に重ねられた状態で固定され、スタッド側固定部62が窓沿いスタッド58の屋外側面に重ねられた状態で固定された構成とする。この構成でも、柱13に対する窓沿いスタッド58の位置を、壁厚み方向及び壁幅方向の両方について調整することができる。この場合、上記実施形態とは異なり、柱13に対する柱側固定部63の位置を変更することで、スタッド側固定部62を壁厚み方向に変位させることができ、窓沿いスタッド58に対するスタッド側固定部62の位置を変更することで、スタッド側固定部62を壁幅方向に変位させることができる。
【0080】
(3)上記実施形態では、連結部材61においてスタッド側固定部62と柱側固定部63とが互いに直交する方向に延びていたが、これらスタッド側固定部62と柱側固定部63とは同じ方向に沿って延びていてもよい。例えば、スタッド側固定部62及び柱側固定部63がいずれも壁幅方向に沿って延びた構成とする。この構成では、柱13及び窓沿いスタッド58における窓枠52とは反対側の各面が、壁厚み方向に直線上に並べて配置されており、連結部材61がそれら面に掛け渡された状態で設けられている。この場合、連結部材61は平板状に形成されており、その平板の一端側がスタッド側固定部62とされ、他端側が柱側固定部63とされている。
【0081】
(4)連結部材61は、柱13及び窓沿いスタッド58に沿って上下方向に延びていてもよい。例えば、連結部材61が、窓沿いスタッド58とほぼ同じ長さ寸法を有し、上側内壁ランナ43と下側内壁ランナ44とに掛け渡され状態になっている構成とする。
【0082】
(5)上記実施形態では、連結部材61において、スタッド側孔62aが孔幅方向に沿って延びた長孔とされていたが、スタッド側孔62aに代えて又は加えて、柱側孔63aが孔幅方向に沿って延びた長孔とされていてもよい。この場合、柱13に対する第2固定具66の打ち込み位置を変更せず、その第2固定具66が柱13に打ち込まれた状態のまま、壁幅方向において柱13に対する連結部材61の位置調整を行うことが可能となる。このため、柱13に対する窓沿いスタッド58の位置調整の更なる容易化を実現できる。
【0083】
(6)上記実施形態では、窓沿いスタッド58の長さ寸法が窓枠52の高さ寸法とほぼ同じにされていたが、窓沿いスタッド58の長さ寸法は、柱沿いスタッド57Aとほぼ同じにされていてもよい。例えば、窓沿いランナ47,48が中間ランナ45,46に固定されているのではなく、内壁ランナ43,44に固定された構成とする。この構成では、上側窓沿いランナ47が上側内壁ランナ43と同じ高さ位置に配置され、野縁21に固定されており、下側窓沿いランナ48が下側内壁ランナ44と同じ高さに配置され、床部15の上に設置されている。また、壁幅方向において、窓沿いスタッド58は、柱13から窓枠52側に向けて突出しているため、短尺スタッド57Bが窓沿いスタッド58を挟んで柱沿いスタッド57Aとは反対側に配置されている。
【0084】
(7)窓部12が壁開口部とされているのではなく、玄関口等の出入口が壁開口部とされていてもよい。この場合でも、出入口に出入口枠等の開口枠が取り付けられていることで、その開口枠の縦枠部と柱との間に開口沿いスタッドを設けた構成を実現できる。
【0085】
(8)壁部としては、外壁部11に加えて、屋内空間を仕切る間仕切壁部も挙げられる。間仕切壁部においても、間仕切壁部の壁開口部に開口枠が取り付けられていることで、その開口枠の縦枠部と柱との間に開口沿いスタッドを設けた構成を実現できる。
【符号の説明】
【0086】
11…壁部としての外壁部、12…壁開口部としての窓部、13…柱、34…壁面材としての外壁面材、41…壁面材としての内壁面材、42…内壁下地、43…内壁ランナとしての上側内壁ランナ、44…内壁ランナとしての下側内壁ランナ、45…中間ランナとしての上側中間ランナ、46…中間ランナとしての下側中間ランナ、47…開口沿いランナとしての上側窓沿いランナ、48…開口沿いランナとしての下側窓沿いランナ、51…サッシ枠、52…開口枠としての窓枠、52a…縦枠部、52b…横枠部としての上枠部、52c…横枠部としての下枠部、57…内壁スタッド、57A…内壁スタッドとしての柱沿いスタッド、57B…内壁スタッドとしての短尺スタッド、58…開口沿いスタッドとしての窓沿いスタッド、61…連結部材、62…スタッド側固定部、62a…スタッド側孔、63…柱側固定部、63a…柱側孔、68…突出部分。
図1
図2
図3
図4
図5