(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1補助層と前記第2補助層とが、いずれも前記第2電極上の前記第1領域に配置され、このとき、前記第1補助層物質と前記高屈折物質とが混合されて1層を形成することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
前記第2電極は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)またはインジウム酸化物(In2O3)を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
前記第1補助層と前記第2補助層とがいずれも前記第2電極上に配置され、このとき、前記第1補助層物質と前記高屈折物質とが混合されて1層を形成することを特徴とする請求項18に記載の有機発光表示装置。
前記第2補助層を形成する段階は、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するパターンの開口を有するマスクを利用して、前記第2電極上に、高屈折物質を蒸着することを特徴とする請求項28に記載の有機発光表示装置の製造方法。
前記第1補助層及び前記第2補助層を形成する段階は、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するパターンの開口を有するマスクを利用して、前記第2電極上に、高屈折物質及び第1補助層物質を共蒸着することを特徴とする請求項28に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのものであり、共通電極の配線抵抗を低め、共通電極を保護し、光特性の低下を防止する有機発光表示装置及びその製造方法を提供するところにその課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するためになされた本発明による有機発光表示装置は、基板と、前記基板上に具備された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記薄膜トランジスタと電気的に連結された第1電極と、前記第1電極を覆うように、前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1電極の一部を露出させる開口を有する第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜上の一部上、及び前記第1電極上に形成された有機発光層と、前記第2絶縁膜及び有機発光層上に形成された第2電極と、前記第2電極上の第1領
域に形成され、第1エッジを有する
第1補助層(キャッピング層)と、前記第2電極上の前記第1領域以外の領域である第2領
域に形成され、前記第1補助層の第1エッジの側面と、その側面が互いに当接した第2エッジを有する第3電極と、少なくとも前記第1領
域に形成され、前記第1補助層より屈折率が高い
第2補助層(高屈折層)と、を
有し、前記第1領域は、1つのピクセル(画素)で発光が起きる面積より広い領域であり、前記第1領域全体に前記第1補助層及び第2補助層が形成され、前記第1領域のエッジは、前記第1補助層の第1エッジと同じ位置になり、前記第2領域は、前記第1領域以外の領域であり、前記第2領域全体に前記第3電極が形成され、前記第2領域のエッジは、前記第3電極の第2エッジと同じ位置になり、前記第1補助層は、8−キノリノラトリチウム、及び2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールのうち少なくとも1つの第1補助層物質を含み、前記第2補助層は、N4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニル−4,4’−ジアミン、及びN(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンのうち少なくとも1つの高屈折物質を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層は、前記第2電極上の前記第1領域に配置され、前記キャッピング層が前記高屈折層を覆う。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層は、前記キャッピング層上の前記第1領域に配置される。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層は、前記第3電極上の前記第2領域まで配置される。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、前記キャッピング及び前記高屈折層、がいずれも前記第2電極上の前記第1領域に配置され、このとき、前記キャッピング物質及び前記高屈折物質が混合し、1層を形成する。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層は、光透過自在に具備される。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層の厚みは、前記キャッピング層の厚みより厚い。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層は、緑色光の波長に対して、屈折率が1.8以上2.0以下である。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層は、青色光の波長に対して、屈折率が1.9以上2.5以下である。
【0017】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、光透過自在に具備されたことを特徴にする。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、銀(Ag)を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)またはインジウム酸化物(In
2O
3)を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、前記第3電極の厚みは、前記第2電極の厚みより厚いことを特徴とする。
【0021】
前記第1領域に、外光が透過可能な透過領域と、前記透過領域に隣接して発光が行われるピクセル領域
とが配置され、前記第1電極は、ピクセル領域と重畳し、前記第1電極は、前記薄膜トランジスタを覆い隠すように位置すること
が好ましい。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記キャッピング層は、光透過自在に具備される。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、前記第3電極と前記キャッピング層との接着力は、前記第3電極と前記第2電極との接着力より弱いことを特徴とする。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、前記第3電極は、Mgを含む。
【0025】
また、上記課題を達成するためになされた本発明による有機発光表示装置は、複数のピクセルと、前記各ピクセルに位置する複数の薄膜トランジスタと、前記各ピクセルに位置し、前記各薄膜トランジスタと電気的に連結された複数の第1電極と、前記複数のピクセルを覆う第2電極と、前記各第1電極と前記第2電極との間に介在された有機発光層と、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するように位置する複数の
第1補助層(キャッピング層)と、前記各ピクセル間に位置し、前記各第1補助層に隣接し、前記第2電極と電気的に連結された第3電極と、少なくとも前記第1補助層に積層され、前記第1補助層より屈折率が高い
第2補助層(高屈折層)と、を
有し、前記第1補助層は、8−キノリノラトリチウム、及び2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールのうち少なくとも1つの第1補助層物質を含み、前記第2補助層は、N4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニル−4,4’−ジアミン、及びN(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンのうち少なくとも1つの高屈折物質を含むことを特徴とする。
【0026】
上記課題を達成するためになされた本発明による有機発光表示装置の製造方法は、基板上の複数のピクセルにそれぞれ位置する複数の薄膜トランジスタを形成する段階と、前記各薄膜トランジスタと電気的に連結され、前記複数のピクセルにそれぞれ位置し、第1電極
、有機発光層
、及び第2電極を含む複数の有機発光素子を形成する段階と、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するように位置する複数の第1補助層
(キャッピング層)を形成する段階と、
前記複数のピクセル間に金属を蒸着し、前記各第1補助層に隣接し、前記第2電極と電気的に連結された第3電極を形成する段階と、を
有し、前記第1補助層に積層され、前記第1補助層より屈折率が高い
第2補助層(高屈折層)を形成する段階をさらに
有し、前記第1補助層は、8−キノリノラトリチウム、及び2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールのうち少なくとも1つの第1補助層物質を含み、前記第2補助層は、N4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニル−4,4’−ジアミン、及びN(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンのうち少なくとも1つの高屈折物質を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層を形成する段階は、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するパターンの開口を有するマスクを利用して、前記第2電極上に高屈折物質を蒸着することを特徴とする。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、前記高屈折層を形成する段階は、前記キャッピング層と前記補助電極とを覆うように、前記高屈折物質を基板全面に蒸着することを特徴とする。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、前記キャッピング層及び前記高屈折層を形成する段階は、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するパターンの開口を有するマスクを利用して、前記第2電極上に、高屈折物質及びキャッピング層物質を共蒸着することを特徴とする。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、前記キャッピング層を形成する段階は、前記キャッピング層に対応するパターンの開口を有するマスクを利用して成り立つことを特徴とする。
【0031】
本発明の他の特徴によれば、前記キャッピング層を形成する段階は、前記キャッピング層に対応するドナーフィルムを利用したレーザ転写方法を利用して行われることを特徴とする。
【0032】
本発明の他の特徴によれば、前記第3電極を形成する段階は、前記キャッピング層上、及び前記キャッピング層に隣接した領域に前記金属を蒸着する段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
【0034】
第一に、第3電極のパターニング工程を別途に設定する必要なく、第1補助層によって自然にパターニング可能に形成される。従って、第3電極をパターニングすることによる第2電極の損傷などの危険を防止することができる。
【0035】
第二に、第3電極によって第2電極の電圧降下を防止することができる。
【0036】
第三に、1第1補助層によって第2電極を保護することができる。
【0037】
第四に、第2補助層を形成し、第1補助層によって光特性が低下するという問題を解決する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照し、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明すれば、次の通りである。
【0040】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置(OLED)2を図示した断面図である。
【0041】
図1を参照すれば、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置2は、基板1上に形成された有機発光部21と、この有機発光部21を密封する密封基板23とを含む。
【0042】
前記密封基板23は、透明な部材によって形成され、有機発光部21からの画像を具現させ、有機発光部21に外気及び水気が浸透することを遮断する。
【0043】
前記基板1と前記密封基板23は、そのエッジが密封材24によって結合され、前記基板1と密封基板23との間の空間25が密封される。前記空間25には、吸湿剤や充填剤などが位置する。
【0044】
前記密封基板23の代わりに、
図2から分かるように、薄膜の密封フィルム26を有機発光部21上に形成することにより、有機発光部21を外気から保護することができる。例えば、密封フィルム26は、シリコン酸化物またはシリコン窒化物のような無機物からなる膜と、エポキシ、ポリイミドのような有機物からなる膜とが相互に成膜された構造を取ることができる。他の例として、密封フィルム26は、スズ酸化物(SnO)のような低融点ガラス(low melting glass)を含む膜構造を取ることができる。一方、それらは例示的なものに過ぎず、必ずしもそれらに限定されるものではなく、透明な薄膜上の密封構造であるならば、いかなるものでも適用可能である。
【0045】
図3は、前記
図1及び
図2に図示された有機発光部21の一実施形態を図示した断面図である。
図3には、前記有機発光部21の1ピクセルを示し、前記有機発光部21は、このようなピクセルが複数個具備されている。
【0046】
図3による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板1の第1面上に、バッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に、薄膜トランジスタTRが形成される。
【0047】
図3には、1つの薄膜トランジスタTRだけが図示されているが、前記ピクセルは、それ以外にも、他の少なくとも1つの薄膜トランジスタと、キャパシタとを具備し、ピクセル回路を構成することができる。
【0048】
前記バッファ膜211上には、半導体活性層212が形成される。
【0049】
前記バッファ膜211は、不純元素の浸透を防止し、表面を平坦化する役割を行うものであり、このような役割を行うことができる多様な物質から形成される。一例として、前記バッファ膜211は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、チタン酸化物またはチタン窒化物などの無機物や、ポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物、またはそれらの積層体から形成されてよい。前記バッファ膜211は、必須構成要素ではなく、必要によっては、具備されないこともある。
【0050】
前記半導体活性層212は、多結晶シリコンから形成されてよいが、必ずしもそれに限定されるものではなく、酸化物半導体から形成されてもよい。例えば、G−I−Z−O層[(In
2O
3)
a(Ga
2O
3)
b(ZnO)
c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満足させる実数)であってもよい。
【0051】
前記半導体活性層212を覆うように、ゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上に、ゲート電極214が形成される。
【0052】
ゲート電極214を覆うように、ゲート絶縁膜213上に層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上に、ソース電極216とドレイン電極217とが形成され、それぞれ半導体活性層212とコンタクト正孔を介してコンタクトされる。
【0053】
前記のような薄膜トランジスタTRの構造は、必ずしもそれに限定されるものではなく、多様な形態の薄膜トランジスタの構造が適用可能であるということは、言うまでもない。例えば、前記薄膜トランジスタTRは、トップゲート(top gate)構造によって形成されたものであるが、ゲート電極214が、半導体活性層212の下部に配置されたボトムゲート(bottom gate)構造によって形成されてもよい。それ以外にも、適用可能な全ての薄膜トランジスタの構造が適用されるということは、言うまでもない。
【0054】
前記薄膜トランジスタTRと共に、キャパシタを含むピクセル回路(図示せず)が形成されてもよい。
【0055】
このような薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路を覆うように、第1絶縁膜218が形成される。前記第1絶縁膜218は、上面が平坦化された単一層または複数層の絶縁膜であってよい。この第1絶縁膜218は、無機物及び/または有機物から形成されてよい。
【0056】
前記第1絶縁膜218上には、
図3から分かるように、薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路と電気的に連結された第1電極221が形成される。前記第1電極221は、各ピクセルごとに互いに独立したアイランド状に形成される。
【0057】
前記第1絶縁膜218上には、前記第1電極221のエッジを覆うように、第2絶縁膜219が形成される。前記第2絶縁膜219には、開口219aが形成され、第1電極221のエッジを除いた中央部を露出させる。
【0058】
開口219aを介して露出された第1電極221上には、有機膜220が形成され、前記有機膜220を覆うように、第2電極222が形成され、有機発光素子(OLED)を形成する。
【0059】
前記有機膜220としては、低分子または高分子の有機膜が使用される。低分子有機膜を使う場合、正孔注入層(HIL:hole injection layer)、正孔輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)などが単一あるいは複合の構造に積層されて形成される。それら低分子有機膜は、真空蒸着の方法によって形成されてよい。このとき、前記発光層は、赤色、緑色、青色のピクセルごとに独立して形成され、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)などは、共通層として、赤色、緑色、青色のピクセルに共通して適用される。
【0060】
前記正孔注入層(HIL)は、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、またはスターバースト(starburst)型アミン類である4,4’,4”−トリ(N−カバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルアミノ)フェノキシベンゼン(m−MTDAPB)などから形成することができる。
【0061】
前記正孔輸送層(HTL)はN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)などから形成されもする。
【0062】
前記電子注入層(EIL)は、LiF、NaCl、CsF、Li
2O、BaO、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq:8−hydroxyquinolinolato−lithium)などの物質を利用して形成することができる。
【0063】
前記電子輸送層(ETL)は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を利用して形成することができる。
【0064】
前記発光層(EML)は、ホスト物質とドーパント物質とを含んでもよい。
【0065】
前記ホスト物質としては、Alq3、9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(AND)、3−tert−ブチル9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(DPVBi)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(p−DMDPVBi)、tert(9,9−ジアリールフルオレン)s(TDAF)、2−(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(BSDF)、2,7−ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(TSDF)、ビス(9,9−ジアリールフルオレン)s(BDAF)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジ−(tert−ブチル)フェニル(p−TDPVBi)、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(tCP)、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TcTa)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(CBDP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(DMFL−CBP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン(FL−4CBP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジ−トリル−フルオレン(DPFL−CBP)、9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン(FL−2CBP)などが使用されてよい。
【0066】
前記ドーパント物質としては、4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(AND)、3−tert−ブチル9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)などが使用されてよい。
【0067】
前記第1電極221は、アノード電極の機能を行い、前記第2電極222は、カソード電極の機能が行うことができるが、それら第1電極221と第2電極222との極性は、互いに反対になってもよいということは、言うまでもない。
【0068】
前記第1電極221がアノード電極の機能を行う場合、前記第1電極221は、仕事関数が大きいITO、IZO、ZnOまたはIn
2O
3などを含んで具備されてよい。もし
図3で、基板1の反対方向に画像が具現される前面発光型である場合、前記第1電極221は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、YbまたはCaなどから形成された反射膜をさらに含んでもよい。
【0069】
前記第2電極222がカソード電極の機能を行う場合、前記第2電極222は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、LiまたはCaの金属から形成されてよい。もし
図3で、前面発光型である場合、前記第2電極222は、光透過自在に具備されなければならない。そのために、前記第2電極222は、透明な金属酸化物であるITO、IZO、ZnOまたはIn
2O
3などを含んで具備されてよい。または、前記第2電極222は、Al、Ag及び/またはMgを利用して薄膜として形成することができる。例えば、Mg:Ag及び/またはAgが、単一構造または積層構造に形成されてよい。前記第2電極222は、第1電極221と異なり、全てのピクセルにわたって共通した電圧が印加されるように形成されるが、そのために、ピクセルごとにパターニングされていない共通電極として形成される。共通電極である前記第2電極222を、発光領域に対応する領域以外の領域が除去されたメッシュ(mesh)形態にパターニングすることも可能であるということは、言うまでもない。
【0070】
前述の前面発光型である場合、前記第2電極222が透明な金属酸化物または薄膜の金属を含むので、第2電極222が共通電極として形成される場合、第2電極222の面抵抗が大きくなり、電圧降下現象が発生してしまう。本発明は、このような問題を解決するために、前記第2電極222と電気的に連結されるように、補助電極である第3電極223をさらに形成した。
【0071】
そして、第2電極222の上面が、密封基板23(
図1)によって損傷される恐れがある。それだけではなく、
図2のように密封フィルム26を形成する場合にも、密封フィルム26の形成時に、第2電極222が損傷されやすい。本発明は、このような問題を解決するために、前記第2電極222上に、キャッピング層(capping layer)である第1補助層224を形成した。
【0072】
ところで、後述するが、第3電極223のパターニングを容易にするために、第1補助層224を形成する物質は、第3電極223をなす物質との接着力が良好ではない物質に限定されなければならない。このように限定された第1補助層224の形成物質は、屈折率(reflective index)が低いものである。前面発光型である場合、光を放出する側に形成された第1補助層224の屈折率が低い場合、有機発光層から放出される光の抽出能が低下し、有機発光表示装置の光特性が低下する。本発明は、このような問題を解決するために、少なくとも発光が起こる領域に、第1補助層224と積層されるように、高屈折層(high−reflective layer)である第2補助層225を追加して形成した。
【0073】
まず、第2補助層225は、第2電極222上の第1領域R1に形成され、第2エッジ225aを有する。
【0074】
前記第1補助層224は、第2補助層225を覆うように、第2補助層225上の第1領域R1上に形成され、第1エッジ224aを有する。
【0075】
前記第3電極223は、前記第2電極222上の第2領域R2上に形成され、第3エッジ223aを有する。前記第3電極223は、前記第1補助層224と、水平の状態で互いに接するように配置される。
【0076】
前記第1領域R1は、少なくとも1つのピクセルで発光が起きる面積より広く、前記1つのピクセルで発光が起きる領域を覆う領域に該当する。前記第1領域R1全体に、第1補助層224及び第2補助層225が形成され、第1領域R1のエッジは、第1補助層224の第1エッジ224aになる。ここで、第1エッジ224aは、第2補助層225の第2エッジ225aと同一であってもよいということは、言うまでもない。そして、前記第2領域R2は、前記第2電極222のうち、第1領域R1以外の領域に該当するが、前記第2領域R2全体に第3電極223が形成され、第2領域R2のエッジは、第3電極223の第3エッジ223aになる。前記第2領域R2は、発光が起きる領域を除いた領域になる。
【0077】
前記第1補助層224の第1エッジ224aの側面と、前記第3電極223の第3エッジ223aの側面は、互いに当接した状態になる。また、第2補助層225の第2エッジ225aの側面と、前記第3電極223の第3エッジ223aの側面も、互いに当接した状態になる。
【0078】
前記第3電極223は、第2電極222の面抵抗を減らすように、前記第2電極222の厚みより厚く形成することが望ましい。
【0079】
一方、第2補助層225は、有機発光表示装置の光特性を向上させるように、第1補助層224の厚みより厚く形成することが望ましい。
【0080】
そして、第2補助層225及び第1補助層224は、ピクセルで発光が起きる領域を覆うものであるので、光透過自在に形成されることが望ましい。前記第1補助層224は、前記第3電極223より薄い薄膜に形成され、第2補助層225は、第1補助層224よりは厚いが、第3電極223よりは薄く形成されてよいが、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0081】
一方、本発明の一実施形態において、前記第3電極223と前記第1補助層224との接着力は、前記第3電極223と前記第2電極222との接着力より弱くなるように物質を選択する。
【0082】
そのために、前記第1補助層224は、8−キノリノラトリチウム(Liq)を含むように形成されもする。しかし、第1補助層は、そこに限定されるものではなく、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾール(LG201)を含む物質から形成されてもよい。
【0083】
そして、前記第3電極223は、Mgから形成されてよい。
【0084】
第3電極223になるMgは、第2電極222とは同じ金属であるので、接着性が良好である。しかし、Mgは、前述の第1補助層224の物質とは接着が良好に行われない。従って、このような第3電極223と第1補助層224との接着力特性を利用して、第3電極223を簡単にパターニングすることができる。
【0085】
前述のように第3電極223は、第2領域R2にだけ形成されるようにパターニングされなければならない。ところで、有機発光素子(OLED)の有機膜220を形成した後には、通常の金属膜のパターニング方法で多用されるフォトリソグラフィのような湿式工程を利用して、前記第3電極223をパターニングすることができない。それは、湿式工程で有機膜220に水気及び/または酸素が浸透されれば、有機発光素子(OLED)の寿命が急激に低下するからである。
【0086】
そのために、実際の工程では、前記第3電極223のパターニングが非常に困難になる。
【0087】
本発明は、第3電極223と第1補助層224との接着力特性を利用して、第3電極223を簡単にパターニングすることができる。
【0088】
一方、第3電極223を簡単にパターニングするために選択した第1補助層224の形成物質は、前述のように、有機発光層の光特性を低下させる問題がある。従って、このような問題を解決するために、高い屈折率を有する物質を使用して、第2補助層225を形成することができる。
【0089】
ここで、第2補助層225は、緑色光の波長に対して、屈折率が約1.8以上2.0以下であり、青色光の波長に対して、屈折率が約1.9以上2.5以下である物質を使用して形成することができる。ここで、緑色光の波長は、約500nmないし570nm、望ましくは、550nmであり、青色光の波長は、約400nmないし500nm、望ましくは、450nmである。
【0090】
例えば、このような屈折率値を満足する物質は、N4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニル−4,4’−ジアミン、またはN(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンがあるが、それらに限定されるものではない。一方、第2補助層225に含まれた物質が緑色光の波長に対して、屈折率が1.8未満であったり、青色光の波長に対して、屈折率が1.9未満である場合、屈折率が光特性を向上させるほど大きくなく、第1補助層224と共に使用するには適していない。一方、第2補助層225に含まれた物質が緑色光の波長に対して、屈折率が2.0超過であったり、青色光の波長に対して、屈折率が2.5超過である有機物は見出されない。
【0091】
以下では、
図3に図示された有機発光部の製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0092】
まず、
図4から分かるように、第2電極222まで形成した後、そこで、
図5から分かるように、マスク3を利用して、第2補助層225を形成する。前記第2補助層225は、前述の有機物から形成されるので、マスク3を利用した熱蒸着(thermal evaporation)方法で形成することができる。前記マスク3には、第2補助層225のパターンに対応するように開口31が形成されており、この開口31を介して、第2補助層225を形成する物質M2が蒸着され、第2補助層225を形成する。
【0093】
次に、
図6から分かるように、
図5と同一に、マスク3を利用して、第1補助層224を形成する。前記第1補助層224は、前述の有機物から形成されるので、マスク3を利用した熱蒸着法で形成することができる。一方、本発明は、それに限定されるものではなく、熱蒸着法以外にも、ドナーフィルムを利用したレーザ転写方法を利用して、第1補助層224を形成することもできる。前記マスク3には、第1補助層224のパターンに対応するように、開口31が形成されており、この開口31を介して、第1補助層224を形成する物質M1が蒸着され、第1補助層224を形成する。
図5及び
図6を参照するとき、第1補助層224と第2補助層225は、同一のパターンを有することができる。
【0094】
次に、
図7から分かるように、第3電極223の形成用物質M3を、全体的に成膜する。このときには、図面には図示されていないが、全てのピクセルに対して開放されたオープンマスクを利用して、前記物質M3を成膜したり、あるいはマスクなしに、物質M3を成膜することができる。
【0095】
その場合、第3電極223の形成用物質M3は、第1補助層224との接着力が良好ではないので、第1補助層224上には成膜されず、相対的に接着力が良好である第2電極222上にのみ成膜される。
【0096】
従って、第3電極223は、別途のマスクやパターニング工程なしも、自然にパターニングされる。
【0097】
前記第1補助層224は、
図8から分かるように、1つのピクセルPごとに一つずつ存在するアイランド状に具備されてよい。
図8には、第1補助層224が1つのピクセルP全体を覆う面積になっているが、必ずしもそれに限定されるものではなく、前述のように、1つのピクセルPの発光が起きる面積を覆うようにすればよい。
【0098】
その場合、第3電極223は、各ピクセルP間で格子パターンをなすようになる。
【0099】
前記第1補助層224は、
図9から分かるように、複数のピクセルPあたり一つずつ存在するアイランド状に具備されてもよい。その場合、第3電極223は、複数ピクセルP間を通過する格子パターンをなすようになる。
【0100】
前記第1補助層224は、
図10から分かるように、一列に配置された複数のピクセルPを覆うことができるように、ストライプ状に具備されてもよい。その場合、第3電極223は、各ピクセル列間を通過するストライプパターンをなす。
【0101】
図10の変形例として、図示していないとしても、前記第1補助層224が、横方向に複数のピクセルPをさらに覆うように、ストライプ状に具備されてもよい。その場合、第3電極223は、各ピクセル行間を通過するストライプパターンをなすようになる。
【0102】
一方、
図7のように、第3電極223の形成用物質M3を蒸着する場合、前記第3電極223は、第1補助層224以外の領域にのみ成膜されるだけではなく、
図11から分かるように、第1補助層224上にも、第1補助層224以外の領域に形成された第3電極223の第1厚t1より薄い第2厚t2を有する薄膜223’が形成されもする。それは、第3電極223の形成用物質M3が、第1補助層224と接着力が良好ではないために、理論的には、第1補助層224上には成膜されず、相対的に接着力が良好な第2電極222上にのみ成膜されるとしても、
図7のような工程は、別途のパターニングマスクを利用せずに、オープンマスクを利用して蒸着するものであるので、前記第1補助層224上に、第2厚t2を有する薄膜223’が薄く物理的に載せられて形成されるのである。
【0103】
前記第2厚t2は、第1厚t1より薄いので、第1領域R1で、有機発光素子(OLED)の輝度に大きい影響を及ぼさない。
【0104】
図12は、本発明の望ましい他の一実施形態による有機発光表示装置の有機発光部21の断面図である。
【0105】
図12から分かるように、本発明の望ましいさらに他の一実施形態によれば、第2補助層225は、第1補助層224上に形成される。それ以外の構成要素は、前述の実施形態の対応する構成要素とその機能が同一であるか、あるいは類似しているので、それらに係わる具体的な説明は、省略する。
【0106】
まず、
図13から分かるように、第2電極222まで形成した後、ここで、
図14から分かるように、マスク3を利用して、第1補助層224を形成する。前記第1補助層224は、前述の有機物から形成されもするから、マスク3を利用した熱蒸着法で形成することができる。一方、本発明は、それに限定されるものではなく、熱蒸着法以外にも、ドナーフィルムを利用したレーザ転写方法を利用して、第1補助層224を形成することもできる。前記マスク3には、第1補助層224のパターンに対応するように、開口31が形成されており、この開口31を介して、第1補助層224を形成する物質M1が蒸着され、第1補助層224を形成する。
【0107】
次に、
図15から分かるように、第3電極223の形成用物質M3を全体的に成膜する。このとき、図面には図示されていないが、全てのピクセルに対して開放されたオープンマスクを利用して、前記物質M3を成膜したり、あるいはマスクなしに、物質M3を成膜することができる。
【0108】
その場合、第3電極223の形成用物質M3は、第1補助層224と接着力が良好ではないので、第1補助層224上には成膜されず、相対的に接着力が良好な第2電極222上にだけ成膜される。
【0109】
従って、第3電極223は、別途のマスクやパターニング工程なしでも、自然にパターニングされる。
【0110】
次に、
図16から分かるように、第2補助層225の形成物質M2を全体的に成膜する。このときには、図面には図示されていないが、全てのピクセルに対して開放されたオープンマスクを利用して、前記第2補助層225の形成物質M2を成膜したり、あるいはマスクなしに、第2補助層225の形成物質M2を成膜することができる。第2補助層225の形成物質M2は、有機物である第1補助層224以外に、第3電極223上にも形成されもする。
【0111】
ここで、第2補助層225の形成物質M2が、第3電極223と接着力が良好ではないとしても、
図16のような工程は、別途のパターニングマスクを利用せずに、オープンマスクを利用して蒸着するものであるので、前記第1補助層224上に形成される第2補助層224の厚みより薄い厚みに、第2電極223上に物理的に載せられて形成されもする。
【0112】
一方、
図15のように、第3電極223の形成用物質M3を蒸着する場合、前記第3電極223は、第1補助層224以外の領域にだけ成膜されるものではなく、
図17から分かるように、第1補助層224上にも、第1補助層224以外の領域に形成された第3電極223の第1厚t1より薄い第2厚t2を有する薄膜223’が形成されもする。一方、その場合にも、第2補助層225は、
図16のような工程を介して形成されるので、第1厚t1を有する第3電極223の上、及び第2厚t2を有する薄膜223’の上にいずれも形成されもする。
【0113】
一方、図示されていないが、本発明の他の実施形態として、
図12及び
図3の実施形態を結合し、まず、
図3のように、第2電極222上の第1領域R1に、第2補助層225を形成し、第2補助層225上に、第1補助層224を積層し、第1補助層224を利用して、第3電極223をパターニングした後、
図12のように、全面的に第2補助層225をさらに形成した構造を採用することもできる。
【0114】
図18は、本発明の望ましいさらに他の一実施形態による有機発光表示装置の有機発光部21の断面図である。
【0115】
図18から分かるように、本発明の望ましいさらに他の一実施形態によれば、第2補助層225の形成物質M2と、第1補助層224の形成物質M1とを共蒸着方法で形成した混合層226が、第2電極222上の第1領域R1に形成される。
【0116】
まず、
図13と同一に、第2電極222まで形成した後、
図14と類似して、マスク3を利用して、混合層226を形成する。前記マスク3には、混合層226のパターンに対応するように、開口31が形成されており、この開口31を介して、第1補助層224の形成物質M1、及び第2補助層225の形成物質M2を共蒸着して混合層226を形成する。
【0117】
混合層226は、第1補助層224の形成物質M1が含まれ、第3電極223の形成用物質M3は、第1補助層224と接着力が良好ではないので、
図15と類似して、第3電極223の形成用物質M3は、混合層226上には成膜されず、相対的に接着力が良好な第2電極222上にだけ成膜される。
【0118】
従って、
図18のように、第3電極223は、別途のマスクやパターニング工程なしでも、自然にパターニングされ、第3電極223の第3エッジ223aの側面は、混合層226の第4エッジ226aの側面と当接するように形成される。
図18によれば、共蒸着方法を取るので、別途の2層が存在せず、第1補助層及び第2補助層の混合層226が存在する。
【0119】
図19は、本発明の望ましいさらに他の一実施形態による有機発光表示装置の有機発光部21の平面図であり、
図20は、
図19の1ピクセルを図示した断面図である。
【0120】
図19及び
図20から分かるように、本発明の望ましいさらに他の一実施形態によれば、前記有機発光部21は、外光が透過されるように具備された透過領域TAと、この透過領域TAを挟んで互いに離隔された複数のピクセル領域PAとに区画される。
【0121】
図19から分かるように、各ピクセル領域PA内には、ピクセル回路部PCが位置し、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVのような複数の導電ラインが、このピクセル回路部PCに電気的に連結される。図面には図示されていないが、前記ピクセル回路部PCの構成によって、前記スキャンラインS、データラインD及び駆動電源であるVddラインV以外にも、さらに多様な導電ラインが具備されてよい。
【0122】
図19から分かるように、前記ピクセル回路部PCは、スキャンラインSとデータラインDとに連結された第1薄膜トランジスタT1;第1薄膜トランジスタT1とVddラインVとに連結された第2薄膜トランジスタT2;及び第1薄膜トランジスタT1と第2薄膜トランジスタT2とに連結されたキャパシタCst;を含む。このとき、第1薄膜トランジスタT1は、スイッチング・トランジスタになり、第2薄膜トランジスタT2は、駆動トランジスタになる。前記第2薄膜トランジスタT2は、第1電極221と電気的に連結されている。
図19で、第1薄膜トランジスタT1と第2薄膜トランジスタT2は、P型に形成されもするが、必ずしもそれに限定されるものではなく、少なくとも一つがN型に形成されてもよい。前記のような薄膜トランジスタ及びキャパシタの個数は、必ずしも図示された実施形態に限定されるものではなく、ピクセル回路部PCによって、2以上の薄膜トランジスタ、1以上のキャパシタが組み合わされてよい。
【0123】
図19によれば、スキャンラインSが、第1電極221と重畳するように配置される。しかし、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではなく、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含んだ複数の導電ラインのうち、少なくともいずれか1本が前記第1電極221と重畳するように配置させることができ、場合によっては、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含んだ複数の導電ラインがいずれも、第1電極221と重畳するか、あるいは第1電極221の横に配置させることができる。
【0124】
本実施形態は、このように、ピクセル領域PAと透過領域TAとの分離によって、透過領域TAを介して外部を観察するとき、外部光がピクセル回路部PC内の素子のパターンと係わって散乱することによって発生する外部イメージ歪曲現象を防止することができる。
【0125】
このようなピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積に対する透過領域TAの面積の比率が5%ないし90%の範囲に属するように、ピクセル領域PAと透過領域TAとが形成される。
【0126】
ピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積に対する透過領域TAの面積の比率が5%より小さければ、有機発光部21を透過することができる光が少なく、ユーザが反対側に位置した事物またはイメージを見ることが難しい。すなわち、有機発光部21が透明であると表現し難い。しかし、透過領域TAの面積が、ピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積対比で5%ほどであるとしても、実際には、外部光の強度が強ければ、ユーザがディスプレイを透過して反対側に位置した事物またはイメージを十分に認識することができるので、ユーザは、透明ディスプレイとして認識することが可能になる。そして、後述するように、ピクセル回路部PCに具備される薄膜トランジスタを、酸化物半導体のように、透明薄膜トランジスタとして形成し、有機発光素子も、透明素子として形成する場合には、さらに透明ディスプレイとしての認識がはっきりするのである。
【0127】
ピクセル領域PAと透明領域TAとの全体面積に対する透明領域TAの面積の比率が90%より大きければ、有機発光部21のピクセル集積度が過度に低くなり、ピクセル領域PAでの発光を介して安定した画像を具現し難い。すなわち、ピクセル領域PAの面積が小さくなるほど、画像を具現するためには、有機膜220から発光する光の輝度が高くならなければならない。このように、有機発光素子を高輝度状態で作動させれば、寿命が急激に低下するという問題点が生ずる。
【0128】
前記ピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積に対する透過領域TAの面積の比率は、20%ないし70%の範囲に属するようにすることが望ましい。
【0129】
20%未満では、透過領域TAに比べて、前記ピクセル領域PAの面積が過度に大きいので、ユーザが、透過領域TAを介して外部イメージを観察するのに限界がある。70%を超える場合、ピクセル領域PA内に配置するピクセル回路部PCの設計に多くの制約が伴うことになる。
【0130】
前記ピクセル領域PAには、ピクセル回路部PCと電気的に連結された第1電極221が具備され、前記ピクセル回路部PCは、前記第1電極221に覆い隠されるように、前記第1電極221と重畳する。そして、前述のスキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む導電ラインのうち少なくとも1本が、この第1電極221を通過するように配置される。それら導電ラインは、ピクセル回路部PCに比べて透過率を阻害する比率が低いために、設計条件によっては、いずれも第1電極221に隣接するように配置させることができる。
【0131】
前述のように、もし第1電極221が、光反射が可能な導電性金属からなる反射膜を含む場合、第1電極221がピクセル回路部PCを覆い隠し、ピクセル領域PAでのピクセル回路部PCによる外部イメージ歪曲などを遮断する。
【0132】
図20から分かるように、第1領域R1内に、ピクセル領域PAと透過領域TAとが位置する。
【0133】
このとき、第2補助層224及び第1補助層224は、第1領域R1内に位置するので、ピクセル領域PAと透過領域TAとをいずれも覆う。そして、前記第3電極223は、第1領域R1外側の第2領域R2に具備される。
【0134】
このような実施形態において、第2補助層225及び第1補助層224は、前述のように、透明な有機物を使用するので、透過領域TAでの光透過度に影響を及ぼさない。第2補助層225、第1補助層224及び第3電極223の材質及びそれらの形成方法などは、前述の実施形態と同一である。
【0135】
一方、たとえ図面には図示されていないにしても、前記透過領域TAには、少なくとも第2電極222の一部が除去された透過ウィンドーが形成され、透過領域TAでの光透過度をさらに高めることができる。このとき、透過ウィンドーは、必ずしも第2電極222だけの除去ではなく、第2絶縁膜219、第1絶縁膜218、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも1つの膜にさらに形成されもする。
【0136】
一方、
図20で、第2電極222上に、第2補助層225及び第1補助層224の順序で積層されているが、本発明の実施形態は、それに限定されるものではなく、
図12にように、第1補助層224上に、第2補助層225及び第3電極223を覆うように、第2補助層225を形成することもでき、
図18のように、第1補助層224を形成するとき、第2補助層225の形成物質M2を共蒸着して混合層226を形成することもできる。
【0137】
図21は、
図19及び
図20を参照して説明した透明型有機発光表示装置のさらに他の一実施形態を図示したのである。
【0138】
図21の実施形態は、赤色、緑色、青色の3つのサブピクセルによって、1つのピクセルが具現されて白色光を出すことができる場合を示している。赤色、緑色、青色以外にも、他の色相によって白色光を出す場合を含むということは、言うまでもない。
【0139】
その場合、3つのサブピクセルの第1電極221a,221b,221c当たり1つの透過領域TAが形成される。第1データラインD1ないし第3データラインD3は、それぞれ前記3つのサブピクセルの第1電極221a,221b,221cに電気的に連結される。そして、第1VddラインV1は、最初の第1電極221a及び2番目の第1電極221bに電気的に連結され、第2VddラインV2は、3番目の第1電極221cに電気的に連結される。
【0140】
このような構造の場合、複数のサブピクセルに対して、1つの大きい透過領域TAを具備しているので、全体ディスプレイの透過率をさらに高めることができ、光散乱によるイメージ歪曲効果もさらに低減させることができる。
【0141】
図21には図示されていないが、前記透過領域TAにも、前述のように、少なくとも第2電極の一部が除去された1つの大きい透過ウィンドーが形成されてよい。このとき、透過ウィンドーは、必ずしも第2電極だけの除去ではなく、第2絶縁膜、第1絶縁膜、層間絶縁膜、ゲート絶縁膜及びバッファ膜のうち少なくとも1つの膜にさらに形成されもする。
【0142】
図19ないし
図21による実施形態でも、
図11及び
図17のように、第1領域R1の第2補助層225上及び第1補助層224上にも、第3電極の形成用物質M3からなるさらに薄い厚みの薄膜が形成されてもよい。その場合にも、前述のように、前記薄膜の厚みが非常に薄いので、透過領域TAでの光透過率などに大きい影響を及ぼさない。
【0143】
図22は、本発明によって第3電極223を形成した場合の第2電極の最大電圧降下量を示したものである。各例で、第2電極222は、Mg:Ag/Agであり、面抵抗が20ohm/sqになるように形成した。
【0144】
実験例Iは、19インチサイズのディスプレイで、
図3及び
図7のような形態で、第1補助層224及び第3電極223を形成したものである。このときの第3電極223は、Mg 3,500Åを蒸着したものである。
【0145】
実験例IIは、40インチサイズのディスプレイで、
図3及び
図7のような形態で、第1補助層224及び第3電極223を形成したものである。このときの第3電極223は、Mg 3,500Åを蒸着したものである。
【0146】
比較例IIIは、19インチサイズのディスプレイで、第1補助層224及び第3電極223を形成していないものである。
【0147】
比較例IVは、40インチサイズのディスプレイで、第1補助層224及び第3電極223を形成していないものである。
【0148】
図22から分かるように、本発明による実験例I及びIIの第2電極電圧の降下量が、比較例III及びIVの第2電極電圧降下量に比べて、格段に低いということが分かる。
【0149】
下記表1は、有機発光部に、第1補助層224以外に、第2補助層225をさらに形成した場合、光特性が改善する効果を示したものである。
【0150】
下記表1で、CE/y値は、青色有機発光素子で、光効率(cd/A)を色座標(CIE y)で除算した値であり、視感特性に係わらない純粋な光抽出効率を意味する。また、下記表1で、比較例1を基準にした効率比は、%単位を有し、その値が100に近いほど、第1補助層及び/または第2補助層による光損失が少ないということを意味する。
【0152】
比較例1は、第2電極上の第1領域に、第2補助層のみ660Å厚に形成した場合であり、比較例2は、第2電極上の第1領域に、第1補助層のみ820Å厚に形成した場合である。
【0153】
実験例1は、本発明の一実施形態による
図3のように、第2電極上の第1領域に、600Å厚の第2補助層と、100Å厚の第1補助層とを順次に形成したものであり、実験例2は、本発明の他の実施形態による
図12のように、第2電極上の第1領域に、100Å厚の第1補助層と、580Å厚の第2補助層とを順次に形成したものである。
【0154】
表1に示されているように、実験例1及び実験例2の場合、比較例2と異なり、CE/y値が大きく、効率比の低下もないということを確認することができる。それにより、第2補助層によって光抽出効率が向上し、光特性が改善したということを確認することができる。
【0155】
以上、前面発光型を中心に説明したが、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではなく、基板1の方向に画像が具現される背面発光型、及び両方向に画像が具現される両面発光型にも、同様に適用可能である。
【0156】
本発明は、図面に図示された一実施形態を参照にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当分野で当業者であるならば、それらから多様な変形及び実施形態の変形が可能であるという点を理解するであろう。