(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289895
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】窓ガラス等に貼着して使用する表示部材
(51)【国際特許分類】
G09F 7/00 20060101AFI20180226BHJP
G09F 15/00 20060101ALI20180226BHJP
A47G 1/06 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
G09F7/00 E
G09F15/00 E
A47G1/06 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-266393(P2013-266393)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-186304(P2014-186304A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-34308(P2013-34308)
(32)【優先日】2013年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392004945
【氏名又は名称】株式会社ナム
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸佳
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−033087(JP,U)
【文献】
実開昭64−010261(JP,U)
【文献】
特開2002−010892(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3146903(JP,U)
【文献】
特表平04−502130(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02641959(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/00
A47G 1/06
G09F 15/00
G09F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラス等に貼着して使用する表示部材であって、断熱材からなる枠形状部材と、該枠形状部材の窓ガラス等に貼着される側の面に形成された接着再剥離性を備えた粘着層と、前記枠形状部材の窓ガラス等に貼着される側と反対側の面に配設された合成樹脂板とからなり、合成樹脂板を枠形状部材に脱着可能に配設することにより、合成樹脂板、枠形状部材及び窓ガラス等によって囲われた空間に印刷物収容部を形成するようにし、さらに、前記枠形状部材の厚さ方向の中間位置に、前記空間を区画する中間合成樹脂板を配設するようにしたことを特徴とする窓ガラス等に貼着して使用する表示部材。
【請求項2】
前記枠形状部材の内法の大きさを、ISO216の寸法のいずれかに合わせて形成してなることを特徴とする請求項1記載の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス等に貼着して使用する表示部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、窓ガラスに室内又は室外に向けて写真、ポスター等の印刷物(以下、本明細書において、単に、「印刷物」という。)を表示する場合、通常、接着テープや粘着テープを用いて印刷物を窓ガラスに直接貼り付けるようにしていた。
【0003】
しかしながら、この表示方法は、接着テープや粘着テープが目立って、印刷物をきれいに表示することができなかったり、表示する印刷物の交換に手数を要したり、さらに、結露等によって印刷物が損傷を受けたり、窓ガラスに貼り付いて取れなくなるといった問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の印刷物の表示方法が有する問題点に鑑み、印刷物をきれいに表示することができるとともに、表示する印刷物の交換を簡単に行うことができ、さらに、結露等によって印刷物が損傷を受けたり、窓ガラス等に貼り付いて取れなくなることがない、窓ガラス等に貼着して使用する表示部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材は、窓ガラス等に貼着して使用する表示部材であって、断熱材からなる枠形状部材と、該枠形状部材の窓ガラス等に貼着される側の面に形成された接着再剥離性を備えた粘着層と、
前記枠形状部材の窓ガラス等に貼着される側と反対側の面に配設された合成樹脂板とからなり、合成樹脂板を枠形状部材に脱着可能に配設することにより、合成樹脂板、枠形状部材及び窓ガラス等によって囲われた空間に印刷物収容部を形成するようにし
、さらに、前記枠形状部材の厚さ方向の中間位置に、前記空間を区画する中間合成樹脂板を配設するようにしたことを特徴とする。
ここで、「窓ガラス等」とは、窓ガラスのほか、壁面等の印刷物を表示する表示面を有する部材を意味する。
また、「合成樹脂板」とは、板材のほか、シートやフィルムを含み、また、「接着再剥離性」とは、粘着再剥離性や吸着再剥離性を含むものとする。
【0007】
また、前記枠形状部材の内法の大きさを、ISO216の寸法のいずれかに合わせて形成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材によれば、合成樹脂板、枠形状部材及び窓ガラス等によって囲われた空間に形成した印刷物収容部に印刷物を挿入することにより、印刷物をきれいに表示することができるとともに、枠形状部材から合成樹脂板を脱着することにより、表示する印刷物の交換を簡単に行うことができ、さらに、印刷物収容部が断熱・閉鎖空間となることから、結露等によって印刷物が損傷を受けたり、窓ガラス等に貼り付いて取れなくなることを防止することができる。
また、印刷物収容部が断熱・閉鎖空間となることから、この貼着表示部材によって覆った部分の窓ガラス等の断熱性が向上し、室内の暖房や冷房の効果を高めることができるとともに、結露を防止することができる。
【0009】
また、前記枠形状部材の厚さ方向の中間位置に、前記空間を区画する中間合成樹脂板を配設するようにすることにより、中間合成樹脂板によって区画された空間を形成し、これらの空間を印刷物収容部や遮断空間とすることによって、印刷物収容部の断熱・閉鎖性を一層向上することができる。
【0010】
また、前記枠形状部材の内法の大きさを、ISO216の寸法のいずれかに合わせて形成することにより、ISO216の寸法の印刷物を隙間が生じることなくきれいに表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材の一実施例を示し、(a)は、同表示部材を窓ガラスに貼着した状態を示す斜視図、(b)は同断面図である。
【
図2】本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材の変形実施例を示す、表示部材を窓ガラスに貼着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材の実施の形態を、窓ガラスに貼着して使用する場合を例に挙げて、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に、本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材の一実施例を示す。
この窓ガラス等に貼着して使用する表示部材Fは、窓ガラス1に貼着して使用するもので、断熱材からなる枠形状部材2と、この枠形状部材の窓ガラス1に貼着される側の面に形成された接着再剥離性を備えた粘着層3と、反対側の面に配設された合成樹脂板4とからなり、合成樹脂板4を枠形状部材2に脱着可能に配設することにより、合成樹脂板4、枠形状部材2及び窓ガラス1によって囲われた空間に印刷物収容部5を形成するようにしている。
【0014】
この場合において、断熱材からなる枠形状部材2には、発泡したポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂や木材、さらには、これらを積層した複合材等の断熱性を備えた材料からなる、幅が数mm〜数十mm、好ましくは、5〜30mm程度、厚さが0.5mm〜10mm程度、好ましくは、1mm〜5mm程度の枠形状に一体成形したものや帯状の部材を組み合わせて形成したものを用いることができる。
なお、表示部材Fの用途が、引き違い戸の向かい合う窓ガラス1の面に貼付して使用するものの場合には、引き違い戸の開閉を支障なく行うことができるように、枠形状部材2を含む表示部材Fの全体の厚さを、5mm以下程度になるようにすることが好ましい。
また、この枠形状部材2は、白色等の任意の色に着色したもの、素材(木材)の色合いを生かしたもの、半透明又は透明のもの等を用いることができる。
【0015】
枠形状部材2の形状は、矩形のほか、角部にR(アール)やC(面取り)を付けた矩形、多角形、円形、楕円形等、任意の形状に形成することができ、また、必要に応じて、例えば、外縁形状を模様形状等の意匠性のある形状に形成することもできる。
この場合、枠形状部材2の内法の大きさを、ISO216の寸法(・・・A4、A5、A6・・・、・・・B4、B5、B6・・・)のいずれかに合わせて形成することにより、ISO216の寸法の印刷物6を隙間が生じることなくきれいに表示することができる。
【0016】
本実施例において、枠形状部材2は、印刷物収容部5が刳り貫かれた形状(枠のみの無底形状)に形成されている。これにより、必要に応じて、室内又は室外に向けて、さらには、室内及び室外の両方に向けて、印刷物6を表示することができる。
なお、枠形状部材2は、窓ガラス1に室内に向けて印刷物6を表示する用途の場合には、印刷物収容部5を形成した有底形状に形成することもできる。
また、印刷物収容部5内に収容した印刷物6が移動しないように、枠形状部材2と同様の断熱材で形成したバックアップ材(図示省略)を、印刷物6の背面に配設することもできる。
【0017】
接着再剥離性を備えた粘着層3には、アクリル系、シリコン系等の粘着剤(粘着テープを含む。)や吸着性を有する発泡樹脂シート片を用いることができる。
粘着層3には、無色透明のもののほか、着色したもの、半透明又は透明でないもの等を用いることができる。
【0018】
合成樹脂板4には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の材料からなる、厚さ0.1mm〜数mm程度、好ましくは、0.5mm〜1mm程度の硬質又は軟質の合成樹脂製の板材(シートやフィルムを含む。以下、同じ。)を用いることができる。
また、この合成樹脂板4には、無色透明のもののほか、印刷物6の表示方向や表示する印刷物6等に応じて、着色したもの、半透明(スモーク)又は透明でないもの、さらには、鏡面処理等の表面処理したもの、紫外線吸収剤等の機能性材料を付加したもの等を用いることができる。
【0019】
合成樹脂板4を枠形状部材2に脱着可能に配設する手段としては、アクリル系、シリコン系等の粘着剤(粘着テープを含む。)や吸着性を有する発泡樹脂シート片を用いて、合成樹脂板4を枠形状部材2に接着再剥離可能に配設する方法を好適に採用することができる。
この場合、印刷物収容部5に印刷物6を収容したり、印刷物6を交換するために、枠形状部材2に対して合成樹脂板4の全体を脱着するようにしたり、合成樹脂板4の一部のみを脱着するようにすることができる。そして、剛性が高い合成樹脂板4の場合には、合成樹脂板4の一部のみを脱着する際の操作を簡易に行うことができるように、合成樹脂板4の脱着する箇所の境界部に合成樹脂板4の肉厚を薄く形成する等による可撓部を形成することができる。
また、合成樹脂板4と枠形状部材2との接着強度を、粘着層3による枠形状部材2と窓ガラス1との接着強度よりも小さくなるようにすることが好ましい。
【0020】
なお、合成樹脂板4を枠形状部材2に脱着可能に配設する手段としては、接着再剥離可能に配設する方法のほか、磁石の吸着力を利用する方法、具体的には、枠形状部材2と合成樹脂板4の対応する面に、吸着し合う磁石(又は磁性体)を配設する方法等、任意の方法を採用することができる。
【0021】
この窓ガラス等に貼着して使用する表示部材Fによれば、合成樹脂板4、枠形状部材2及び窓ガラス1によって囲われた空間に形成した印刷物収容部5に印刷物6を挿入することにより、印刷物6をきれいに表示することができるとともに、枠形状部材2から合成樹脂板4を脱着することにより、表示する印刷物6の交換を簡単に行うことができ、さらに、印刷物収容部5が断熱・閉鎖空間となることから、結露等によって印刷物6が損傷を受けたり、窓ガラス1に貼り付いて取れなくなることを防止することができる。
また、印刷物収容部5が断熱・閉鎖空間となることから、この表示部材Fによって覆った部分(形状の大きな表示部材Fを使用したり、複数の表示部材Fを並設して使用したりすることにより、当該部分の面積を大きくすることができる。)の窓ガラス1の断熱性が向上し、室内の暖房や冷房の効果を高めることができるとともに、結露を防止することができる。
【0022】
ところで、上記実施例においては、合成樹脂板4、枠形状部材2及び窓ガラス1によって囲われた空間全体を印刷物収容部5としたが、
図2に示す本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材の変形実施例のように、枠形状部材2の厚さ方向の中間位置に、合成樹脂板4、枠形状部材2及び窓ガラス1によって囲われた空間を区画する中間合成樹脂板7を配設することにより、中間合成樹脂板7によって区画された2つの空間(又は中間合成樹脂板7を複数枚間隔を隔てて配設することにより3つ以上の空間)を形成し、これらの空間のうちのいずれか、例えば、室内側の空間を印刷物収容部5とし、室外側の空間を遮断空間8(この遮断空間8を印刷物収容部とすることもできる。)とすることができる。
この場合において、中間合成樹脂板7を配設するに当たっては、
図2(a)に示すように、枠形状部材2を、枠形状部材2aと枠形状部材2bとに分割して構成し、両枠形状部材2a、2b間に中間合成樹脂板7を配設して接着等によって一体化するようにしたり、
図2(b)に示すように、枠形状部材2に段部や溝を形成し、段部や溝に中間合成樹脂板7を嵌め込むように配設して接着等によって一体化するようにすることができる。
これにより、印刷物収容部5の断熱・閉鎖性を一層向上することができ、また、必要に応じて、中間合成樹脂板7に、着色したもの、半透明(スモーク)又は透明でないもの、さらには、鏡面処理等の表面処理したもの、紫外線吸収剤等の機能性材料を付加したもの等を用いることにより、意匠性を高めたり、表示している印刷物6の耐久性を高めたり、室内及び室外の両方に向けて印刷物6をそれぞれ表示することができる。
【0023】
以上、本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、また、表示部材Fを貼着する対象も、窓ガラスに限定されず、壁面等の印刷物を表示する表示面を有する部材に広く適用することができる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の窓ガラス等に貼着して使用する表示部材は、印刷物をきれいに表示することができるとともに、表示する印刷物の交換を簡単に行うことができ、さらに、結露等によって印刷物が損傷を受けたり、窓ガラスに貼り付いて取れなくなることがないという特性を有していることから、窓ガラスに室内又は室外に向けて印刷物を表示する用途に広く用いることができるほか、壁面等に印刷物を表示する用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
F 表示部材
1 窓ガラス
2 枠形状部材
2a 枠形状部材
2b 枠形状部材
3 粘着層
4 合成樹脂板
5 印刷物収容部
6 印刷物
7 中間合成樹脂板
8 遮断空間