(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による射出成形機を示す図である。射出成形機2は、例えば
図1に示すように、型締装置10、射出装置50、エジェクタ装置60、および制御装置70(
図2参照)を有する。型締装置10は、型閉工程、型締工程、型開工程を行う。型閉工程は金型装置30を閉じる工程、型締工程は金型装置30を締め付ける工程、型開工程は金型装置30を開く工程である。射出装置50は、充填工程、保圧工程、計量工程を行う。充填工程は金型装置30内のキャビティ空間34に液状の成形材料を充填する工程、保圧工程はキャビティ空間34内の成形材料に圧力をかける工程、計量工程は次のショットのための成形材料を計量する工程である。エジェクタ装置60は、突き出し工程を行う。突き出し工程は、型開後の金型装置30から成形品を突き出す工程である。
【0011】
射出成形機2は、例えば型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、計量工程、冷却工程、型開工程、および突き出し工程を自動的に繰り返し行うことにより、成形品を自動的に繰り返し製造する。冷却工程は、キャビティ空間34内の成形材料を固化させる工程である。成形サイクルの短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。1回のショットは、例えば型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、計量工程、冷却工程、型開工程、および突き出し工程を含む。
【0012】
次に、型締装置10について説明する。型締装置10の説明では、型閉時の可動プラテン13の移動方向(
図1中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン13の移動方向(
図1中左方向)を後方として説明する。
【0013】
型締装置10は、例えば
図1に示すように、フレーム11、固定プラテン12、可動プラテン13、リヤプラテン15、タイバー16、トグル機構20、および型締モータ26を有する。
【0014】
固定プラテン12は、フレーム11に固定される。固定プラテン12における可動プラテン13との対向面に固定金型32が取り付けられる。
【0015】
可動プラテン13は、フレーム11上に敷設されるガイド(例えばガイドレール)17に沿って移動自在とされ、固定プラテン12に対して進退自在とされる。可動プラテン13における固定プラテン12との対向面に可動金型33が取り付けられる。
【0016】
固定プラテン12に対して可動プラテン13を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型32と可動金型33とで金型装置30が構成される。
【0017】
リヤプラテン15は、複数本(例えば4本)のタイバー16を介して固定プラテン12と連結され、フレーム11上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、リヤプラテン15は、フレーム11上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。リヤプラテン15のガイドは、可動プラテン13のガイド17と共通のものでよい。
【0018】
尚、本実施形態では、固定プラテン12がフレーム11に固定され、リヤプラテン15がフレーム11に対して型開閉方向に移動自在とされるが、リヤプラテン15がフレーム11に固定され、固定プラテン12がフレーム11に対して型開閉方向に移動自在とされてもよい。
【0019】
タイバー16は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー16には歪みセンサ18が設けられる。歪みセンサ18は、タイバー16の歪みを検出することによって型締力の実績値を検出し、その実績値を示す信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、型締力の実績値と設定値との偏差がゼロとなるようにフィードバック制御を行う。
【0020】
尚、型締力を検出する型締力センサは、歪みセンサ18に限定されない。例えば、型締力センサとして、ロードセルが用いられてもよい。
【0021】
トグル機構20は、可動プラテン13とリヤプラテン15との間に配設され、可動プラテン13およびリヤプラテン15にそれぞれ取り付けられる。トグル機構20が型開閉方向に伸縮することにより、リヤプラテン15に対して可動プラテン13が進退する。
【0022】
型締モータ26は、トグル機構20を駆動させることにより、可動プラテン13を駆動させる駆動部である。型締モータ26とトグル機構20との間には、型締モータ26の回転運動を直線運動に変換してトグル機構20に伝達する運動変換部としてのボールねじ機構が設けられる。
【0023】
型締モータ26はエンコーダ26aを有する。エンコーダ26aは、型締モータ26の出力軸の回転角の実績値を検出し、その実績値を示す信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、回転角の実績値と設定値の偏差がゼロとなるようにフィードバック制御を行う。
【0024】
次に、型締装置10の動作を説明する。型締装置10の動作は、制御装置70によって制御される。制御装置70は、メモリなどの記憶部およびCPUを有し、記憶部に記憶される制御プログラムをCPUに実行させることにより型締装置10の動作を制御する。
【0025】
型閉工程では、型締モータ26を駆動してトグル機構20を作動させ、可動プラテン13を前進させる。可動金型33が固定金型32に対して接近する。
【0026】
型締工程では、可動金型33と固定金型32とが接触した状態で型締モータ26を駆動し、型締モータ26による推進力にトグル倍率を乗じた型締力を発生させる。型締状態の固定金型32と可動金型33との間にキャビティ空間34が形成される。型締工程中に、充填工程、保圧工程、冷却工程、計量工程が行われてよい。
【0027】
型開工程では、型締モータ26を駆動してトグル機構20を作動させ、可動プラテン13を後退させる。その後、突き出し工程が行われてよい。
【0028】
尚、型締装置10は、可動プラテン13の駆動部として、型締モータ26の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置10は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。電磁石の吸着力によって型締力を発生させる場合、型締力センサとして、電磁石周辺の磁場の強さを検出する磁気センサが用いられてもよい。
【0029】
図2は、
図1の型締装置10の制御装置および制御対象を示す図である。制御装置70は、例えば型締力パターン発生部71、回転角設定部72、制御演算部73、PWM変調部74、およびインバータ75を有する。型締力パターン発生部71は、型締力の設定値のパターンを示す信号を回転角設定部72に出力する。回転角設定部72は、型締力の実績値と設定値との偏差がゼロとなるように型締モータ26の回転角の設定値を算出する。型締モータ26の回転角に応じた型締力が発生する。回転角の設定値の算出には、例えばPI演算、PID演算などが用いられる。回転角設定部72は、回転角の設定値を示す信号を制御演算部73に出力する。制御演算部73は、回転角の実績値と設定値との偏差がゼロとなるように制御信号を生成する。制御信号の生成には、例えばPI演算、PID演算などが用いられる。制御演算部73は、制御信号をPWM変調部74に出力する。PWM変調部74は、制御信号をPWM変調し、PWM信号を生成する。インバータ75は、PWM信号に従って交流電源の電力を電力変換して型締モータ26へ供給する。
【0030】
制御装置70は、型締工程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出する。型締工程において、可動部は可動プラテン13、制御量は可動プラテン13と固定プラテン12との間に作用する型締力、駆動部は型締モータ26、操作量は型締モータ26の回転角であってよい。回転角の設定値の算出に積分演算が用いられる場合、型締力の実績値と設定値との偏差に対して積分ゲインを乗じた値の時間積分値と、初期設定値との和が回転角の設定値として算出される。射出成形機2の自動運転開始時における初期設定値は、ゼロでもよいし、予め定められた値でもよい。
【0031】
制御装置70は、型締工程において、過去のショットにおける操作量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出する。例えば、制御装置70は、自動運転開始後、n回目のショットの型締工程終了時の操作量の設定値を記憶しておき、記憶した設定値を、n+1回目のショットの型締工程において操作量の初期設定値として用いる。ここで、nは1以上の自然数である。過去のショットによって、型締力の実績値と設定値とが略同じとなる型締モータ26の回転角の設定値が予め分かる。従って、過去のショットにおける設定値を、現在のショットにおける初期設定値として利用することにより、型締力の実績値が設定値に短時間で到達しやすい。型締工程以外の工程において同様である。
【0032】
制御装置70が記憶する設定値は、型締工程終了時の設定値でなくてもよく、型締工程開始からある程度時間が経過した時の設定値であればよい。また、制御装置70が記憶する設定値は、直前のショットにおける設定値でなくてもよく、例えば前々回のショットにおける設定値でもよい。また、制御装置70が記憶する設定値は、過去の自動運転時の設定値、過去の手動運転時の設定値でもよい。型締工程以外の工程において同様である。
【0033】
制御装置70は、型締工程において、過去の複数回のショットにおける操作量の設定値の平均値に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してもよい。ノイズが吸収できる。型締工程以外の工程において同様である。
【0034】
1つの工程(例えば型締工程)において制御量の設定値が時間の経過と共に段階的に変化する場合、制御装置70は、制御量の設定値毎に1つの工程を複数の工程に分割し、分割された工程毎に操作量の設定値を算出してよい。この場合、制御装置70は、分割された工程毎に、過去のショットにおける操作量の設定値を記憶し、現在のショットにおける操作量の初期設定値として利用してよい。あるいは、制御装置70は、分割された複数の工程のうちの一部の工程についてのみ過去のショットにおける操作量の設定値を記憶し、記憶した操作量の設定値をオフセットした値を、残りの工程における操作量の初期設定値として利用してよい。
【0035】
また、制御装置70は、型閉工程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出してよい。型閉工程において、可動部は可動プラテン13、制御量は可動プラテン13の移動量を表す固定金型32と可動金型33とのギャップ、駆動部は型締モータ26、操作量は型締モータ26の回転角であってよい。固定金型32と可動金型33とのギャップは、金型ギャップセンサ31などによって検出できる。金型ギャップセンサ31は、ギャップの実績値を示す信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、ギャップの実績値と設定値との偏差がゼロになるようにフィードバック制御を行う。固定金型32と可動金型33との間に所定のギャップを形成した状態で金型装置30内への成形材料の充填を開始する場合(所謂口開け成形の場合)に、ギャップの変動が抑制できる。
【0036】
制御装置70は、型閉工程において、過去のショットにおける操作量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してよい。ギャップの実績値が設定値に短時間で到達しやすい。
【0037】
次に、
図1を再度参照して、射出装置50について説明する。射出装置50の説明では、型締装置10の説明と異なり、充填時のスクリュ52の移動方向(
図1中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ52の移動方向(
図1中右方向)を後方として説明する。
【0038】
射出装置50は、シリンダ51、スクリュ52、計量モータ53、射出モータ54、および圧力センサ55を有する。
【0039】
シリンダ51は供給口51aから供給された成形材料を加熱する。供給口51aはシリンダ51の後部に形成される。シリンダ51の外周には、ヒータなどの加熱源が設けられる。シリンダ51の前端にはノズル56が設けられる。
【0040】
スクリュ52は、シリンダ51内において回転自在に且つ進退自在に配設される。
【0041】
計量モータ53は、スクリュ52を回転させる駆動部である。計量モータ53はエンコーダ53aを有してよい。エンコーダ53aは、計量モータ53の出力軸の回転数の実績値を検出し、その実績値を示す信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、計量工程において、回転数の実績値と設定値との偏差がゼロになるようにフィードバック制御を行ってよい。
【0042】
射出モータ54は、スクリュ52を進退させる駆動部である。スクリュ52と射出モータ54との間には、射出モータ54の回転運動をスクリュ52の直線運動に変換する運動変換部が設けられる。射出モータ54はエンコーダ54aを有してよい。エンコーダ54aは、射出モータ54の出力軸の回転数の実績値を検出することによりスクリュ52の前進速度の実績値を検出し、その実績値を示す信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、充填工程において、スクリュ52の前進速度の実績値と設定値との偏差がゼロになるようにフィードバック制御を行ってよい。
【0043】
圧力センサ55は、スクリュ52の背圧の実績値を検出し、その実績値を示す信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、保圧工程において、スクリュ52の背圧の実績値と設定値との偏差がゼロになるようにフィードバック制御を行ってよい。
【0044】
充填工程では、射出モータ54を駆動してスクリュ52を前進させ、スクリュ52の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置30のキャビティ空間34に充填させる。スクリュ52の前進速度の設定値は、一定でもよいし、スクリュ位置または経過時間に応じて変更されてもよい。スクリュ52が所定位置(所謂V/P切換位置)まで前進すると、保圧工程が開始される。尚、充填工程開始からの経過時間が所定時間に達すると、保圧工程が開始されてもよい。
【0045】
保圧工程では、射出モータ54を駆動してスクリュ52を前方に押し、キャビティ空間34内の成形材料に圧力をかける。成形材料の冷却による体積収縮分の成形材料が補充できる。スクリュ52の背圧の設定値は、一定でもよいし、経過時間などに応じて段階的に変更されてもよい。キャビティ空間34の入口(所謂ゲート)がシールされ、キャビティ空間34からの成形材料の逆流が防止された後、冷却工程が開始される。冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0046】
計量工程では、計量モータ53を駆動してスクリュ52を回転させ、スクリュ52に形成される螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ52の前方に送られシリンダ51の前部に蓄積されるに従って、スクリュ52が後退させられる。スクリュ52の回転数の設定値は、一定でもよいし、スクリュ位置または経過時間に応じて変更されてもよい。
【0047】
計量工程では、スクリュ52の急激な後退を制限すべく、射出モータ54を駆動してスクリュ52に対して所定の背圧を加えてよい。スクリュ52が所定位置まで後退し、スクリュ52の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が終了する。
【0048】
制御装置70は、保圧工程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出してよい。保圧工程において、可動部はスクリュ52、制御量はスクリュ52の背圧、駆動部は射出モータ54、操作量は射出モータ54への供給電流であってよい。射出モータ54への供給電流は、射出モータ54に接続される電流センサによって検出できる。
【0049】
制御装置70は、保圧工程において、過去のショットにおける制御量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してよい。スクリュ52の背圧の実績値が設定値に短時間で到達しやすい。
【0050】
同様に、制御装置70は、計量工程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出してよい。計量工程において、可動部はスクリュ52、制御量はスクリュ52の背圧、駆動部は射出モータ54、操作量は射出モータ54への供給電流であってよい。制御装置70は、計量工程において、過去のショットにおける制御量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してよい。スクリュ52の背圧の実績値が設定値に短時間で到達しやすい。
【0051】
また、制御装置70は、充填工程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出してよい。充填工程において、可動部はスクリュ52、制御量はスクリュ52の前進速度、駆動部は射出モータ54、操作量は射出モータ54の回転数であってよい。この場合、スクリュ52の前進速度は、射出モータ54のエンコーダ54aではなく、射出モータ54の外部に設けられる速度センサによって検出されてよい。速度センサは、スクリュ52と共に進退する部材の前進速度を検出してよい。制御装置70は、計量工程において、過去のショットにおける制御量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してよい。スクリュ52の前進速度の実績値が設定値に短時間で到達しやすい。
【0052】
尚、本実施形態の射出装置は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式でもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
【0053】
次に、エジェクタ装置60について説明する。エジェクタ装置60の説明では、型締装置10の説明と同様に、型閉時の可動プラテン13の移動方向(
図1中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン13の移動方向(
図1中左方向)を後方として説明する。
【0054】
エジェクタ装置60は、例えば
図1に示すように、エジェクタロッド61、およびエジェクタモータ62を有する。
【0055】
エジェクタロッド61は、可動プラテン13の貫通孔に挿通され、可動プラテン13に対して進退自在とされる。エジェクタロッド61の進退に伴って、可動金型33内に配設される突き出し部材35が進退され、突き出し部材35が可動金型33から成形品を突き出す。
【0056】
可動プラテン13にはエジェクタギャップセンサ65が取り付けられてよい。エジェクタギャップセンサ65は、可動プラテン13と突き出し部材35とのギャップの実績値を検出し、その実績値を示す信号を制御装置70に出力してよい。制御装置70は、ギャップの実績値と設定値との偏差がゼロになるようにフィードバック制御を行ってよい。
【0057】
エジェクタモータ62は、エジェクタロッド61を駆動させる駆動部である。エジェクタモータ62とエジェクタロッド61との間には、エジェクタモータ62の回転運動をエジェクタロッド61の直線運動に変換する運動変換部63が設けられる。運動変換部63は、例えばボールねじ機構などで構成される。
【0058】
エジェクタモータ62は、エンコーダ62aを有してよい。エンコーダ62aは、エジェクタモータ62の出力軸の回転角の実績値を検出し、その実績値を示す信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、回転角の実績値と設定値との偏差がゼロになるようにフィードバック制御を行ってよい。
【0059】
突き出し工程では、エジェクタモータ62を駆動して、エジェクタロッド61を可動プラテン13から前方に突き出させる。突き出し部材35が可動金型33から成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ62を駆動して、エジェクタロッド61を元の位置まで後退させる。
【0060】
制御装置70は、突き出し工程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出してよい。突き出し工程において、可動部はエジェクタロッド61、制御量はエジェクタロッド61の移動量を表す可動プラテン13と突き出し部材35とのギャップ、駆動部はエジェクタモータ62、操作量はエジェクタモータ62の回転角であってよい。
【0061】
制御装置70は、突き出し工程において、過去のショットにおける制御量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してよい。可動プラテン13と突き出し部材35とのギャップの実績値が設定値に短時間で到達しやすい。
【0062】
尚、本実施形態の突き出し工程において、制御量は可動プラテン13と突き出し部材35とのギャップであり、操作量はエジェクタモータ62の回転角であるが、制御量の種類および操作量の種類は特に限定されない。例えば、制御量は突き出し力であり、操作量はエジェクタモータ62への供給電流でもよい。
【0063】
尚、本実施形態のエジェクタ装置60は、電動式であるが、油圧式、ハイブリッド式でもよく、エジェクタモータ62に代えてまたはエジェクタモータ62に加えて油圧シリンダを有してもよい。また、エジェクタ装置60はエジェクタモータ62による推進力を増幅するトグル機構を有してもよく、エジェクタ装置60の構成は特に限定されない。
【0064】
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0065】
例えば、制御装置70は、ノズル56を金型装置30に押し付けるノズルタッチ工程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出してよい。ノズルタッチ工程において、可動部はノズル56、制御量はノズル56のタッチ圧、駆動部はノズル56を移動させるモータ、操作量はノズル56を移動させるモータの回転角であってよい。モータとノズル56との間には、モータの回転運動をノズル56の直線運動に変換する運動変換部が設けられてよい。尚、駆動部は油圧シリンダでもよい。制御装置70は、ノズルタッチ工程において、過去のショットにおける制御量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してよい。
【0066】
また、制御装置70は、金型装置30内に配設される圧縮コアを移動させることによりキャビティ空間34内の成形材料を圧縮する圧縮行程において、可動部の制御量の実績値と設定値との偏差に基づいて、駆動部の操作量の設定値を算出してよい。圧縮行程において、可動部は圧縮コア、制御量は圧縮コアの移動量、駆動部は圧縮コアを移動させるモータ、操作量は圧縮コアを移動させるモータの回転角であってよい。モータと圧縮コアとの間には、モータの回転運動を圧縮コアの直線運動に変換する運動変換部が設けられてよい。尚、駆動部は油圧シリンダでもよい。制御装置70は、圧縮行程において、過去のショットにおける制御量の設定値の算出結果に基づいて、現在のショットにおける操作量の設定値を算出してよい。
【0067】
また、各工程の制御量は、上記実施形態のものに限定されず、例えば力、位置のいずれでもよい。例えば、型締工程の制御量は、上記実施形態では型締力であるが、可動プラテンの位置でもよい。同様に、各工程の操作量は、上記実施形態のものに限定されない。