(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
杭打機では、上部旋回体が下部走行体に対して旋回可能に搭載され、リーダが上部旋回体に対して起伏可能に取付けられている。大型の杭打機の場合、搬送し易くするために杭打機が上部旋回体と下部走行体とリーダとに分解され、長尺状のリーダは複数のリーダ部材に分解される。そして、分解された各部材はそれぞれトレーラ等で作業現場に搬送され、作業現場で組み立てられるようになっている。
【0003】
下記特許文献1には、リーダの組立作業が記載されている。リーダを組み立てる際、上部旋回体に取付けられているリーダ部材を水平方向に倒した状態で、そのリーダ部材に延長用のリーダ部材を順次連結する。具体的には、
図14に示すように、一方のリーダ部材130Aの端部に形成されたフランジ131aと他方のリーダ部材130Bの端部に形成されたフランジ131bとを、ボルト及びナットを用いて連結する。その後、ワイヤロープをリーダ130のトップシーブに架け渡し、バックステーの先端をリーダに中間部に連結し、油圧ホースを配置する等の作業が行われる。
【0004】
ところで、リーダを組み立てる際又はリーダを分解する際に、作業員がリーダ部材130A,130Bの上側に乗って地面から2m以上の高さで作業を行う場合がある。この場合、作業員が安全帯のフックを親綱100に掛けて、安全を確保しなければならない。そこで、下記特許文献1では、鉛直方向に延びる親綱ポール150が、梯子134に固定された固定部材135に取付けられている。そして、親綱100が親綱ポール150に固定された親綱受け151を通って、各親綱ポール150の間で架け渡されている。
【0005】
ここで、本出願人による従来の親綱ポールの取付構造について、
図15及び
図16を参照して説明する。
図15及び
図16に示すように、親綱ポール150を取付けるための固定部材170は、ネジ座171とブラケット172と中空パイプ173とで構成されている。ネジ座171は、リーダ部材130Cの側面130aに溶接によって固定されている。ブラケット172はボルト174を介してネジ座171に取付けられている。中空パイプ173はブラケット172に固定されていて、親綱ポール150の下端部150aを挿通している。そして、中空パイプ173と親綱ポール150の下端部150aに抜け止めピン175が装着されて、親綱ポール150が保持されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る杭打機の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の杭打機1を示した正面図である。
図1に示すように、杭打機1では、上部旋回体10が下部走行体20に対して旋回可能に搭載されている。そして、リーダ30は上部旋回体10の前側(
図1の左側)に設けられているフロントブラケット11に対して起伏可能に取付けられている。
図1では、リーダ30が水平方向に倒れている状態が示されている。この杭打機1は、リーダ30が鉛直方向に起立した状態で、オーガ40によって鋼管杭(図示省略)を回転させつつ地中に押し込むものである。
【0017】
上部旋回体10は、運転操作を行うための運転室を有すると共に、エンジン及び油圧ユニットを収納した機器室12を有している。そして、上部旋回体10には、リーダ30が起立した状態でリーダ30を後側(
図1の右側)から支持するバックステー13が設けられている。また、上部旋回体10の前後左右の下側には、杭打機1の姿勢を安定させるために、油圧ジャッキで構成されるアウトリガー14が設けられている。下部走行体20は、クローラ21によって走行するものであり、ベアリング22を介して上部旋回体10を回転可能に支持している。
【0018】
リーダ30は、直線状に長く延びていて、複数のリーダ部材30A,30B,30C,30Dが連結して形成されている。これら各リーダ部材30A〜30Dの端部には、フランジ31が形成されていて、隣り合うリーダ部材30A〜30Dのフランジ31同士が、ボルト及びナットを用いて連結されている。なお、
図1の最も左側に位置するリーダ部材30Eは、ブラケット15を介してリーダ部材30Aに回転可能に組付けられていて、図示しない油圧シリンダの収縮によってリーダ部材30Aに連結可能である。このリーダ30には、リーダ30と同一方向に延びるガイドパイプ32が固定されている。ガイドパイプ32は、各リーダ部材30A〜30Eの側面30a,30bに一対で固定されていて(
図3参照)、オーガ40の昇降装置41をリーダ30に沿って移動可能に組付けている。
【0019】
オーガ40は、リーダ30(リーダ部材30E)に組付けられている昇降装置41と、鋼管杭を回転駆動させる回転駆動装置42とを有している。昇降装置41は、リーダ30(各リーダ部材30A〜30E)に形成されているラックに噛合可能なピニオンギヤを有すると共に、ピニオンギヤを回転駆動させる油圧モータを有している。このため、油圧モータが回転駆動すると、ピニオンギヤが回転して、オーガ40がリーダ30に沿って移動(昇降)するようになっている。なお、オーガ40をリーダ30に沿って昇降させる機構は、上記したラックピニオン式に限られるものではない。例えば、昇降装置41に連結したチェーンをリーダ30に設けられているスプロケットに架け渡して、油圧モータでスプロケットを回転させることでオーガ40をリーダ30に沿って昇降させても良い。
【0020】
ところで、杭打機1を作業現場まで搬送する際には、上部旋回体10と下部走行体20とリーダ30とに分解し、長尺状のリーダ30を複数のリーダ部材30A〜30Dに分解する。そして、分解された各部材をそれぞれトレーラ等で作業現場に搬送し、作業現場で組み立てることになる。ここで、リーダ30を組み立てる際には、作業員が各リーダ部材30A〜30Dの上側に乗って、フランジ31同士をボルト及びナットで締結し、ワイヤロープをリーダ30のトップシーブ33に架け渡し、バックステー13の先端をリーダ部材30Aのブラケットに連結し、油圧ホースの配置等の作業を行う。
【0021】
このとき、作業員は、地面から2m以上の高さで作業を行うため、各親綱ポール50の間に架け渡された親綱100(
図14参照)に安全帯のフックを掛けて安全を確保している。このように、杭打機1では、リーダ30を組み立てる際又はリーダ30を分解する際に、リーダ30が倒れている状態で鉛直方向に延びる親綱ポール50を取付けるようになっている。しかし、発明が解決しようとする課題で説明したように、本出願人による従来の親綱ポールの取付構造では、ネジ座171(
図16参照)を溶接する等の改造工程が必要であるため、コストが上昇するという問題点があった。更に、親綱ポール50の取付け位置を変更又は増やしたい場合に、固定部材170を取付けるための改造工程が再び必要になり、柔軟な対応を図ることができなかった。
【0022】
そこで、本実施形態では、上記した問題点を解決することができるポール取付部材60が、親綱ポール50の下端部50aに取付けられている。ポール取付部材60は、リーダ30(リーダ部材30A,30C,30D)に予め固定されている梯子34に取付けられる。ここで、ポール取付部材60を説明する前に、梯子34について説明しておく。
図2は
図1のA部分を拡大した図であり、
図3は
図2のB−B線に沿った断面図である。
【0023】
梯子34は、
図3に示すように、リーダ部材30Cの側面30a,30bに水平状の取付板35を介して固定されている。梯子34は、リーダ30が起立している状態で作業員が昇降するためのものである。このため、作業員が梯子34を昇降することでオーガ40等の作業装置に対して保守点検ができるようになっている。この梯子34は、リーダ30が水平方向に倒れている状態で、鉛直方向に延びる円筒状の縦パイプ34aと、縦パイプ34aの上端部に連結する上側横パイプ34bと、縦パイプ34aの下端部に連結する下側横パイプ34cとを有している。この縦パイプ34bが本発明の「縦部材」に相当し、上側横パイプ34b及び下側横パイプ34cが本発明の「横部材」に相当する。
【0024】
図2に示すように、梯子34では、7つの縦パイプ34aが上側横パイプ34bと下側横パイプ34cの間で、リーダ30が延びる方向(
図2の左右方向)に離れて配置されている。そして、リーダ30が鉛直方向に起立した状態では、各縦パイプ34aが水平方向に延びて、作業員の手又は足が各縦パイプ34aに掛けられる。本実施形態では、ポール取付部材60が、
図2に示す7つの縦パイプ34aのうち真ん中の縦パイプ34aと下側横パイプ34cとを利用して取付けられている。ここで、
図4(A)は
図2のC−C線に沿った断面図であり、
図4(B)は
図2のD−D線に沿った断面図である。
【0025】
ポール取付部材60は、
図2〜
図4に示すように、水平方向に延びる上側プレート61及び下側プレート62と、鉛直方向に延びる二つの鉛直プレート63,63と、リングピン64とを備えて構成されている。上側プレート61は、
図4(A)に示すように、略U字状に形成されていて、親綱ポール50の下端部50aを挿通する挿通孔61aを有し、梯子34の縦パイプ34a側(
図4(A)の上側)に円弧状に窪んでいる凹部61bを有している。こうして、上側プレート61は、凹部61bが縦パイプ34aに係合している状態で、親綱ポール50の下端部50aの周りに組付けられている。そして、上側プレート61の下面には、平行である鉛直プレート63,63が取付けられている。
【0026】
下側プレート62は、上側プレート61と平行であって、
図4(B)に示すように、略ドーム状のドーム部62aと略矩形状の矩形部62bとを有し、親綱ポール50の下端部50aを挿通する挿通孔62cを有している。矩形部62bは、各鉛直プレート63に挟まれていて、梯子34の縦パイプ34a側(
図4(B)の上側)に円弧状に窪んでいる凹部62dを有している。こうして、下側プレート62は、凹部62dが縦パイプ34aに係合している状態で、親綱ポール50の下端部50aの周りに組付けられている。ここで、
図5(A)は
図1に示した親綱ポール50及びポール取付部材60の拡大図であり、
図5(B)は
図5(A)を右側から見た側面図である。
【0027】
二つの鉛直プレート63はそれぞれ同様の構成であるため、一方の鉛直プレート63の構成について説明する。鉛直プレート63は、
図5(B)に示すように、上下方向に長く形成されていて、下側に円弧状に窪んでいる凹部63aを有し、上側にリングピン64を挿通する挿通孔63bを有している。各鉛直プレート63は、上側プレート61及び下側プレート62に一体的に固定されていて、凹部63aが梯子34の下側横パイプ34cに係合することで、下側横パイプ34c周りに回転可能に組付けられる。この鉛直プレート63が、本発明の「横部材係合部」に相当する。
【0028】
リングピン64は、
図4(A)に示すように、各鉛直プレート63に取付けられるものであり、ピン部64aとリング部64bとを有している。ピン部64aは各鉛直プレート63の挿通孔63bに挿通されていて、リング部64bによって
図4(A)の左側の鉛直プレート63から
図4(A)の右側へ抜けないようになっている。また、ピン部64aの先端側には抜け止めピン65が組付けられていて、抜け止めピン65によってピン部64aが
図4(A)の右側の鉛直プレート63から
図4(A)の左側へ抜けないようになっている。そして、上側プレート61の凹部61bとリングピン64のピン部64aとが、梯子34の縦パイプ34aを挟み込んでいて、各鉛直プレート63が下側横パイプ34c周りに回転することが規制されている。このリングピン64と上側プレート61と下側プレート62が、本発明の「縦部材係合部」に相当する。
【0029】
親綱ポール50は、
図5(A)(B)に示すように、鉛直方向に延びていて、断面が円形状のパイプである。親綱ポール50の下端部50aには、上記したポール取付部材60の各部材が取付けられる。また、親綱ポール50の上端部50b及び中間部50cには、リング状の親綱受け51が取付けられている。こうして、親綱ポール50はポール取付部材60を介して梯子34に取付けられ、親綱100(
図14参照)が親綱受け51に通されて、各親綱ポール50の間で架け渡されるようになっている。以上、リーダ部材30Cに取付けられるポール取付部材60の構成について説明したが、その他のリーダ部材30A,30Dに取付けられるポール取付部材60(
図1参照)の構成も同様であるため、その説明を省略する。
【0030】
次に、親綱ポール50を梯子34に取付ける方法について、
図6を参照しながら説明する。先ず、ポール取付部材60を親綱ポール50の下端部50aに取付けておき、親綱ポール50とポール取付部材60とを予め一体的に構成しておく(
図5参照)。即ち、親綱ポール50の下端部50aを上側プレート61の挿通孔61aと下側プレート62の挿通孔62cに挿通しておく。次に、
図6(A)に示すように、各鉛直プレート63の凹部63aを梯子34の下側横パイプ34cに係合させる。
【0031】
続いて、
図6(B)に示すように、各鉛直プレート63を下側横パイプ34c周りに回転させて、上側プレート61の凹部61bを梯子34の縦パイプ34aに係合させると共に(
図4(A)参照)、下側プレート62の凹部62dを梯子34の縦パイプ34aに係合させる(
図4(B)参照)。これにより、親綱ポール50の
図4(A)(B)の左右方向の移動が規制される。最後に、リングピン64のピン部64aを各鉛直プレート63の挿通孔63bに挿通し、ピン部64aの先端側に抜け止めピン65を組付ける。これにより、親綱ポール50(各鉛直プレート63)の下側横パイプ34c周りの回転が規制される。こうして、親綱ポール50の梯子34に対する取付けが完了する。
【0032】
なお、親綱ポール50を梯子34から取り外す場合には、上記した手順を逆に行えば良い。即ち、リングピン64のピン部64aから抜け止めピン65を取り外し、リングピン64のピン部64aを各鉛直プレート63の挿通孔63bから抜き取る。そして、各鉛直プレート63の凹部63aと梯子34の下側横パイプ34cとの係合を解除すれば、親綱ポール50の梯子34に対する取り外しが完了する。このように、親綱ポール50の梯子34に対する取付け及び取り外しは、ポール取付部材60によって極めて容易に行うことができる。
【0033】
第1実施形態の作用効果について説明する。
第1実施形態の杭打機1によれば、上述したように、親綱ポール50の下端部50aを保持するポール取付部材60が、梯子34に着脱自在に取付けられる。このため、親綱ポール50をリーダ30に取付ける場合にのみ、ポール取付部材60を梯子34に取付ければ良くて、ポール取付部材60が梯子34に固定されたままではない。従って、親綱ポール50を取付けるための改造工程(溶接)が不要であり、コストを上昇させずに親綱ポール50をリーダ30(梯子34)に取付けることができる。また、ポール取付部材60は、梯子34のうち縦パイプ34a及び下側横パイプ34cがある場所に対して自由に着脱することができる。従って、親綱ポール50の取付け位置を変更又は増やしたい場合に、柔軟に対応することができる。
【0034】
また、第1実施形態のポール取付部材60によれば、各鉛直プレート63の凹部63aが梯子34の下側横パイプ34cに係合することで、下側横パイプ34c周りに回転可能に組付けられる。そして、上側プレート61の凹部61b及び下側プレート62の凹部62dが梯子34の縦パイプ34aに係合して、リングピン64が各鉛直プレート63の挿通孔63bに挿通されることで、ポール取付部材60による下側横パイプ34c周りの左右、上下、前後方向の移動及び回転が規制される。こうして、梯子34の縦パイプ34a及び下側横パイプ34cがT字状になっていることを利用して、ポール取付部材60を安定した状態で容易に取付けることができる。更に、ポール取付部材60は、主に上側プレート61と下側プレート62と二つの鉛直プレート63とリングピン64とで構成されているため、構成部材が少なくてシンプルである。従って、ポール取付部材60は、親綱ポール50を取付けるための部材として非常に実施し易いものである。
【0035】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の杭打機1Aと第1実施形態の杭打機1とでは、ポール取付部材の構成が異なっている。第2実施形態のポール取付部材70は、
図7に示すように、リーダ30に固定されたガイドパイプ32に取付けられている。ここで、
図8は、
図7のE−E線に沿った断面図である。また、
図9は
図8を右側から見た側面図であり、
図10は
図9のF−F線に沿った断面図である。
【0036】
ポール取付部材70は、
図8〜
図10に示すように、円筒パイプ71と、水平方向に延びる支持プレート72と、断面がL字状のL字プレート73及びL字取付片74と、ボルト75及びナット76と、円筒パイプ71に固定されている固定プレート77と、固定プレート77に回転可能に取付けられている回転プレート78とを備えて構成されている。ここで、
図11(A)は、
図8に示した円筒パイプ71と支持プレート72とL字プレート73とL字取付片74と固定プレート77の拡大図である。また、
図11(B)は
図11(A)を右側から見た側面図であり、
図11(C)は
図11(B)の平面図である。
【0037】
円筒パイプ71は、
図11(A)(B)(C)に示すように、親綱ポール50の下端部50aを挿通する挿通孔71aを有すると共に、径方向に貫通する取付孔71bを有している。取付孔71bは、抜け止めピン80を組付けるためのものである。ここで、
図12(A)は
図7に示した親綱ポール50Aの拡大図であり、
図12(B)は
図12(A)を右側から見た側面図である。親綱ポール50Aは、下端部50aに径方向に貫通する取付孔50a1を有すると共に、取付孔50a1の上側にフランジ52を有している。こうして、
図8及び
図9に示すように、親綱ポール50Aの下端部50aが円筒パイプ71の挿通孔71aに挿通されて、親綱ポール50Aのフランジ52が円筒パイプ71の上端に係止している。そして、抜け止めピン80が円筒パイプ71の取付孔71bと親綱ポール50Aの取付孔50a1に組付けられて、親綱ポール50Aの下端部50aが円筒パイプ71に保持されている。
【0038】
支持プレート72は、
図11(C)に示すように、矩形状になっていて、上側に円筒パイプ71を固定し、下側にL字プレート73及びL字取付片74を固定している。この支持プレート72のうち
図11(C)の上側の角部分には、取付孔72aが形成されていて、
図8に示すように、上下にナット76が固定されている。そして、支持プレートの取付孔72aと各ナット76のネジ孔とが連通している。これにより、ボルト75は支持プレートの取付孔72aと各ナット76のネジ孔に対して上下方向の位置調節ができるように取付けられている。
【0039】
L字プレート73は、支持プレート72の下面から下方に延びる鉛直部73aと、鉛直部73aの下端部から水平方向に曲がる屈曲部73bとを有している。L字取付片74は、L字プレート73に沿って平行に二つ取付けられている。ここで、
図8に示すように、ガイドパイプ32は、リーダ部材30Cの側面30a及び側面30bの上端にそれぞれ固定されている。そして、ガイドパイプ32は、断面が矩形状のパイプになっていて、上面32aと下面32bと左側面32cと右側面32dとを有している。
【0040】
L字プレート73では、鉛直部73aがガイドパイプ32の右側面32dに係合(面接触)し、屈曲部73bがガイドパイプ32の下面32bに係合している。そして、ボルト75の上下方向の位置が調節されて、ボルト75の頭部75aがガイドパイプ32の上面32aに係合している。この結果、ガイドパイプ32では、L字プレート73の屈曲部73bとボルト75の頭部75aとによって上下方向に挟み込まれている。これらL字プレート73とボルト75が、本発明の「縦方向係合部」に相当する。
【0041】
固定プレート77は、
図10に示すように、円筒パイプ71から径外方向(
図10の上側)に延びていて、平行に一対で設けられている。そして、
図11(A)に示すように、各固定プレート77は、回転プレート78を回転可能に取付けるための第1挿通孔77aを有し、第1挿通孔77aから水平方向に離れた位置に第2挿通孔77bを有し、第1挿通孔77aから上方に離れた位置に第3挿通孔77cを有している。回転プレート78は、
図10に示すように、各固定プレート77の間に挟まれている。ここで、
図13は、
図8に示した回転プレート78の拡大図である。回転プレート78は、
図13に示すように、略L字状に形成されていて、短辺部78aと長辺部78bとを有している。そして、短辺部78aの端に支持孔78cが形成され、支持孔78cより内側(
図14の左側)に固定孔78dが形成されている。
【0042】
この回転プレート78は、
図8に示すように、支持孔78cと各固定プレート77の第1挿通孔77aに支持ピン81が挿通されることで、各固定プレート77に回転可能に取付けられている。なお、支持ピン81の先端側には抜け止めピン(図示省略)が組付けられる。そして、回転プレート78の固定孔78dと各固定プレート77の第2挿通孔77bにリングピン82が挿通されることで、回転プレート78の回転が規制されて、回転プレート78の位置が固定されている。これにより、回転プレート78の長辺部78bは、リーダ部材30Cの側面30aに係合している。この結果、ガイドパイプ32では、回転プレート78の長辺部78bとL字プレート73の鉛直部73aとによって左右方向に挟み込まれている。これら回転プレート78とL字プレート73が、本発明の「横方向係合部」に相当する。
【0043】
リングピン82は、
図10に示すように、各固定プレート77及び回転プレート78に取付けられるものであり、ピン部82aとリング部82bとを有している。ピン部82aの先端側には抜け止めピン83が組付けられている。こうして、リングピン82は、抜け止めピン83とリング部82bとによって、各固定プレート77の第2挿通孔77bから抜け落ちないようになっている。ここで、回転プレート78を
図8の二点鎖線で示した位置で固定する場合には、先ずリングピン82を各固定プレート77の第2挿通孔77bと回転プレート78の固定孔78dから抜き取る。そして、回転プレート78を支持ピン81周りに時計方向に90度回転させて、各固定プレート77の第3挿通孔77cと回転プレート78の固定孔78dとにリングピン82を挿通する。こうして、回転プレート78の位置を
図8の二点鎖線で示した位置で固定することができ、ポール取付部材70がガイドパイプ32から取り外し易くなる。
【0044】
次に、親綱ポール50Aをガイドパイプ32に取付ける方法について説明する。先ず、親綱ポール50Aの下端部50aにポール取付部材70を取付けておき、親綱ポール50Aとポール取付部材70とを予め一体的に構成しておく。即ち、親綱ポール50Aの下端部50aを円筒パイプ71の挿通孔71aに挿通し、抜け止めピン80を円筒パイプ71の取付孔71bと親綱ポール50Aの取付孔50a1に組付ける。このとき、各固定プレート77の第3挿通孔77cと回転プレート78の固定孔78dとにリングピン82を挿通して、回転プレート78を
図8の二点鎖線で示した位置で固定しておく。
【0045】
続いて、L字プレート73の鉛直部73aをガイドパイプ32の右側面32dに係合させると共に、L字プレート73の屈曲部73bをガイドパイプ32の下面32bに係合させる。次に、ボルト75を下方に移動させて、ボルト75の頭部75aをガイドパイプ32の上面32aに押し付ける。こうして、ボルト75の頭部75aとL字プレート73の屈曲部73bとによって、ガイドパイプ32の上面32a及び下面32bを挟み込む。
【0046】
また、各固定プレート77の第3挿通孔77cと回転プレート78の固定孔78dとからリングピン82を取り外し、回転プレート78を
図8の実線で示した位置まで回転させる。そして、各固定プレート77の第2挿通孔77bと回転プレート78の固定孔78dとにリングピン82を挿通し直し、リングピン82のピン部82aに抜け止めピン83を組付ける。これにより、回転プレート78の長辺部78bを固定した状態でリーダ部材30Cの側面30aに係合させる。こうして、回転プレート78の長辺部78bとL字プレート73の鉛直部73aとによって、ガイドパイプ32の左側面32c及び右側面32dを挟み込む。このようにして、親綱ポール50Aのガイドパイプ32に対する取付けが完了する。
【0047】
なお、親綱ポール50Aをガイドパイプ32から取り外す場合には、上記した手順を逆に行えば良い。即ち、抜け止めピン83をリングピン82のピン部82aから取り外し、リングピン82を回転プレート78の固定孔78dと各固定プレート77の第2挿通孔77bから取り外す。これにより、回転プレート78の長辺部78bとリーダ部材30Cの側面30aとの係合を解除する。また、ボルト75を上方に移動させて、ボルト75の頭部75aとガイドパイプ32の上面32aとの係合を解除する。そして、L字プレート73の鉛直部73aとガイドパイプ32の右側面32dとの係合を解除すると共に、L字プレート73の屈曲部73bとガイドパイプ32の下面32bとの係合を解除すれば、親綱ポール50Aのガイドパイプ32に対する取り外しが完了する。
【0048】
第2実施形態の作用効果について説明する。
第2実施形態の杭打機1Aによれば、上述したように、親綱ポール50Aの下端部50aを保持するポール取付部材70が、ガイドパイプ32に着脱自在に取付けられる。このため、親綱ポール50Aをリーダ30に取付ける場合にのみ、ポール取付部材70をガイドパイプ32に取付ければ良い。従って、親綱ポール50Aを取付けるための改造工程(溶接)が不要であり、コストを上昇させずに親綱ポール50Aをリーダ30(ガイドパイプ32)に取付けることができる。また、ポール取付部材70は、ガイドパイプ32のうち長手方向の任意の位置で着脱することができる。従って、親綱ポール50Aの取付け位置を変更又は増やしたい場合に、柔軟に対応することができる。
【0049】
また、第2実施形態のポール取付部材70によれば、ガイドパイプ32の断面が矩形状であることを利用して、上述したように、ガイドパイプ32の上面32a及び下面32bを上下方向に挟み込むと共に、ガイドパイプ32の左側面32c及び右側面32dを左右方向に挟み込む。これにより、ポール取付部材70を安定した状態で取付けることができる。
【0050】
以上、本発明に係る杭打機の各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
第1実施形態のポール取付部材60は、梯子34の縦パイプ34aと下側横パイプ34cに取付けられるものであるが、ポール取付部材の構成は適宜変更可能である。例えばポール取付部材は、梯子34の縦パイプ34aと上側横パイプ34aに取付けられるものであっても良い。
また、リーダ30は5つの各リーダ部材30A〜30Eが連結して形成されるものであるが、リーダ30を形成する各リーダ部材の数は適宜変更可能である。