(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1のポリエステル樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂との、2層からなる樹脂フィルムであって、前記ポリエステル樹脂層の厚みが全樹脂層厚みの1/2以上であることを特徴とする金属板積層用樹脂フィルム。
前記ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリトリメチレンテレフタレート樹脂をブレンドした樹脂であって、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂含有率が20〜80質量%であることを特徴とする請求項2に記載の金属板積層用樹脂フィルム。
順に、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂/請求項1のポリエステル樹脂/ポリエチレンテレフタレート樹脂を積層した3層からなる樹脂フィルムであって、前記ポリエステル樹脂層の厚みが全樹脂層厚みの1/2以上であることを特徴とする金属板積層用樹脂
フィルム。
順に、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂/請求項1のポリエステル樹脂/共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を積層した3層からなる樹脂フィルムであって、前記ポリエステル樹脂層の厚みが全樹脂層厚みの1/2以上であることを特徴とする金属板積層用樹脂フィルム。
前記ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリトリメチレンテレフタレート樹脂をブレンドした樹脂であって、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂含有率が20〜80質量%であることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属板積層用樹脂フィルム。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料缶などのような容器においては、容器壁厚の減少による缶の軽量化や内容積の拡大を目的として、厳しい加工が施される絞り加工、絞りしごき加工、薄肉化絞り加工、さらには、薄肉化絞り加工後しごき加工を施して成形したものが広く用いられている。
これらの容器においては、内容物に対する耐食性の確保や、塗装コストの削減、塗装工程における溶剤の飛散による環境汚染の排除などを目的として、予め樹脂フィルムを積層した金属板が、上記のような厳しい加工が施される容器用として適用されている。
上記の厳しい加工用途に使用される樹脂積層金属板においては、一般に熱可塑性のポリエステル樹脂を2軸方向に延伸した後、熱固定した2軸配向フィルムが熱融着法を用いて金属板に積層されている。
これら2軸配向フィルムを金属板に積層される以前の状態で、引張り試験機(テンシロン)を用いてその機械的特性を測定すると、一般的に降伏強度が大きく、伸び(破断伸び)が小さいという特性が得られる。
このような2軸配向フィルムを、その2軸配向をくずさないために、熱融着法を用いず接着剤を用いて金属板に積層して、上記のような厳しい加工を施すと、伸びが小さいために強加工部では樹脂フィルムが破断したり、フィルムに無数のクラックが生じる。
また接着力が不良であると、加工時に樹脂フィルムが剥離する。
このため、上記の厳しい加工用途に使用される樹脂積層金属板においては、熱融着法を用いて2軸配向フィルムを金属板に積層することにより、積層される以前にフィルムが有していた2軸配向を、フィルムが金属板に熱融着される際の加熱によりその一部、もしくは全てを消失せしめて、金属板に積層された後のフィルムの降伏強度を低下させ、伸びを向上させて、加工時のフィルム剥離、フィルム破断、およびフィルムクラックの発生を防止している。
しかし、配向性が失われた樹脂フィルムは透過性が大きく、内容物が樹脂フィルムを透過して金属基材を腐食したり、さらに配向が失われたフィルムは、内容物を表示する印刷工程で加熱されると粗大結晶が生成し、容器が落下したり容器同士が衝突した際にフィルムに亀裂を生じやすくなる、といった欠点を有している。
そのため、上記のような厳しい加工用途に適用される樹脂積層金属板として、耐衝撃性などに優れたポリトリメチレンテレフタレート系(PTT)フィルムを金属板に積層するが提案されている。
【0003】
例えば、特許第3849826号公報(特許文献1)には、低結晶化度でかつ無配向のポリトリメチレンテレフタレート系フィルムを金属板に被覆することによって、耐衝撃性を改善した樹脂被覆金属成形体が得られるフィルム被覆金属板について記載されており、金属板の少なくとも片面に、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とする融点が190〜230℃、示差走査型熱量計(DSC)で求めた結晶化度が90%以下で低結晶化度でかつ無配向であるポリエステルフィルムが被覆された構成となっている。
また、特許第3709869号公報(特許文献2)には、機械的特性や金属板との貼り合わせを改善し、フィルムを融点付近または融点以上に熱処理しても白化しないポリエステルフィルムについて記載され、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル(A)10〜90重量%と、該ポリエステル(A)とは異なる結晶性ポリエステル(B)90〜10重量%とをブレンドして得られ、示差走査熱量計(DSC)における降温時の再結晶化ピークの半値幅が0.25以下であるポリエステルフィルムを構成としている。
なお、前記結晶性ポリエステル(B)は、PBT系ポリエステル、PEN系ポリエステル、PTT系ポリエステル、PHT系ポリエステル、PPT系ポリエステルのいずれかから選ばれるポリエステルが好ましいとされている。
さらに、特許第4288576号公報(特許文献3)には、溶融押出時のネックインを小さくし得られた溶融樹脂膜への異物発生を抑え、金属缶のフレーバー性や、内容物を充填後の温水殺菌処理での金属缶外面の外観不良(樹脂膜の白化)の発生を抑制した樹脂被覆金属板の製造方法について記載され、Tダイを用いて両端部にオレフィン系ポリマーが合流された状態で得た溶融樹脂膜を冷却固化後に両端部を切断除去して樹脂膜(A)と樹脂膜(B)を得る方法と、樹脂膜(A)および樹脂膜(B)を加熱された金属板にラミネートする方法とを構成としている。
ここで、樹脂膜(A)はポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステルとオレフィン系ポリマーが70:30〜100:0(重量%)よりなるものであり、樹脂膜(B)はポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステルよりなるものとしている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1の単層樹脂フィルム>
実施形態1にかかる樹脂フィルムにおいては、その機械的特性において、45℃で測定する1.0の真歪みが得られる真応力が13〜40MPaであるポリエステル樹脂からなることを特徴とする。
真応力が13MPa未満の場合は、樹脂フィルムを積層した樹脂積層金属板を缶に成形加工をした際に、しわ抑え工具、ポンチなどの成形工具との摩擦係数が高くなりすぎて均一な加工が行われなくなり、樹脂フィルムおよび金属板に著しい肌荒れを生じるようになる。また、樹脂フィルムのバリヤー性も著しく低下し、缶に成形し、内容物を充填して経時変化をさせた場合に、金属板が腐食することがあり、好ましくない。
一方、真応力が40MPaを超える場合は、薄肉化絞り加工、さらに薄肉化絞り加工後しごき加工が施されるような、厳しい加工を施した際に樹脂フィルムが剥離したり、樹脂フィルムに無数のクラックが生じ、金属板を完全に積層することが不可能となる。
【0011】
よって、樹脂フィルムの機械的特性を、45℃で測定する1.0の真歪みが得られる真応力が13〜40MPaとすることにより、樹脂フィルムを積層した樹脂積層金属板を缶に成形加工をする際に、しわ抑え工具、ポンチなどの成形工具との摩擦係数を低く抑えて均一な加工を行うことができ、樹脂フィルムおよび金属板に著しい肌荒れを生じさせない。
また、樹脂フィルムのバリヤー性も低下させずに缶に成形することができ、内容物を充填して経時変化をさせた場合に、金属板を腐食させることもない。
さらに、厳しい加工を施した際に樹脂フィルムを剥離させることもなく、樹脂フィルムにクラックを発生させず、金属板を完全に積層することが可能となる。
【0012】
<フィルムの厚み>
上記のポリエステル樹脂フィルムの厚さは、5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。5μm未満の場合は、金属板に融着する際にしわが生じやすく、安定して積層することが極めて困難となる。一方、50μmを越えると必要とされる特性は満足できるが、経済的に有利ではなくなる。
なお、ポリエステル樹脂フィルムとして、フィルムを製造する際に溶融したポリエステル樹脂に着色顔料等を添加して製膜して得られる着色フィルムを用いても差し支えない。
【0013】
<真応力の測定方法>
以下に、樹脂フィルムの真歪み、および真応力の測定方法について説明する。
ポリエステル樹脂フィルムを、幅5mm、長さ50〜60mmの引張試験片を切り出す。この引張試験片を、測定環境が45℃に保持された引張り試験機(テンシロン)を用いてクロスヘッド間隔20mm、引張速度200mm/分で公称応力−伸度曲線を測定し、公称応力σ
0と伸度Elを求める。伸度Elは下記の式から求めることができる。
El=100×(L−L
0)/L
0 ここで
L
0:引張前の試料の長さ
L:引張後の試料の長さ
真歪みεa、および真応力σaはそれぞれ下記の式から求めることができる。
εa=ln(1+ε) σa=σ
0(1+ε)
ここで ε:歪み ε=El/100
上記のようにして得られた真歪み、および真応力をプロットし、真歪み−真応力曲線を作成し、真歪みが1.0の真応力の値を読みとることができる。
缶加工時においては、成形歪みが1以上となるため、真歪み1.0を基準としてその真応力の値を読みとることとした。
例えば、
図1はPBT樹脂にPTT樹脂を50:50の割合でブレンドしたときの真歪みεa−真応力σa曲線である。
図1に示すように、PBT樹脂にPTT樹脂を50:50の割合でブレンドしたときは、真歪みが1.0の真応力の値は13MPaであることが読み取れる。
このような真歪みεa−真応力σa曲線は、本発明の実施形態の樹脂フィルムにおいて測定することができ、45℃で測定する真歪みが1.0での真応力の値が13〜40MPaの範囲内とすることにより、良好な加工性を維持することができる。
【0014】
<実施形態2の単層樹脂フィルム>
実施形態2の樹脂フィルムは、実施形態1におけるポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)であって、
これにポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドしたものである。PTT樹脂含有率は20〜80質量%である。<
PTT樹脂含有率を20〜80質量%とする理由>
図2は、PBT樹脂にPTT樹脂をブレンドした場合の真応力の変化を示すグラフである。
実施形態2の樹脂フィルムにおいては、PBT樹脂とPTT樹脂とをブレンドした樹脂が、PTT樹脂含有率を20〜80質量%の範囲とした。
また、好ましいPTT樹脂含有率としては30〜70質量%とする。さらに好ましい範囲は40〜60質量%である。
すなわち、
図2に示すように、PTT樹脂の含有率が20〜80質量%においては、45℃(ガラス転移温度Tg付近)における真応力が極小値を示す範囲があり、Tg付近での加工性が良好になるからである。
この結果、PBT樹脂にPTT樹脂をブレンドした樹脂において、PTT樹脂含有率を最適化することにより、Tg近傍の温度域においても真応力を低くすることができ、加工性が良好な樹脂層を得ることができるのである。
【0015】
一般に、製缶業界では、厳しい成形加工を実施する際には、樹脂フィルムの加工性を高めるため、樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度で成形加工が実施されている。
実施形態2の樹脂フィルムにおいては、
図2より、PTT樹脂をブレンドしないPBT樹脂単独(PTT樹脂の割合=0)では、
真応力が、加工温度45℃で55MPaであるが、加工温度65℃で44MPaと低くなっている。
しかしながら、PBT樹脂、PTT樹脂ともにTg(ガラス転移温度)は45℃近傍であるが、
PBT樹脂にブレンドするPTT樹脂の割合を増やしていくと(横軸で右方向)、加工温度45℃でも65℃でも次第に真応力の値が下がっていく。
例えば、PBT/PTTのブレンド比
が50:50では、真応力=13MPaである。
図2の結果から、PBT/PTTのブレンド比
が、
PTT樹脂含有率20〜80質量%の領域においては、加工温度を45℃とした場合における真応力は、65℃での真応力よりも低くなる極小領域を有することが分かった。すなわち、Tg近傍45℃では、
PTT樹脂含有率が20〜80質量%の領域において、Tg以上における応力値よりも小さい応力で加工できることが分かる。
したがって、
図2に示す結果から、Tg付近での加工性は、PTT樹脂含有率を20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%とすると良好になることがわかった。
一般的に、Tgより高温域において成形加工を行う場合、工具等への付着や樹脂層表面荒れなどが生じる問題が起こりやすくなるが、加工性を確保するためには加工温度を上げて真応力を下げる必要があるため、そのバランスを取るように温度設定することが不可欠であった。
そのため、上述のように、PBT樹脂にPTT樹脂をブレンドして、PTT樹脂含有率を最適化することにより、Tg近傍の温度域においても真応力を低くすることを可能とし、その結果、加工性が良好な樹脂フィルムを得ることが可能となったのである。
【0016】
また、このようなPBT/PTTブレンド樹脂による加工性向上の効果は、当該ブレンド樹脂単層のフィルムだけでなく、複層構成の樹脂フィルムの少なくともいずれか一つの層に設けることによっても十分得られることがわかった。このメカニズムの詳細については未だ明らかになっているとは言い難いが、真応力の低い層を設けることにより、加工時の応力分散の効果が得られるために被膜全体の加工性が向上することにつながっていると推測される。
【0017】
<実施形態3の2層樹脂フィルム>
実施形態3の樹脂フィルムは、実施形態1のポリエステル樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)との、2層樹脂フィルムであって、前記ポリエステル樹脂層の厚みが全樹脂層厚みの1/2以上である。
これによって、表面特性を維持した2層樹脂フィルムとすることができる。
前記ポリエステル樹脂層の厚みが全樹脂層厚みの1/2未満のときは、厳しい加工を施した際に、樹脂フィルムが剥離したり、樹脂フィルムにクラックが発生したりして、金属板を完全に積層することができなくなるおそれがあり好ましくない。
【0018】
<実施形態4の2層樹脂フィルム>
実施形態4の樹脂フィルムは、実施形態3の樹脂フィルムのポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)に
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドしたものである。PTT樹脂含有率は20〜80質量%である。 2層樹脂のポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドすることにより、樹脂フィルムが上記の加工性を良好にする効果があり、積層するポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)と相俟って缶や缶蓋用の素材に適している。
【0019】
<実施形態5の2層樹脂フィルム>
実施形態5の樹脂フィルムは、実施形態3又は4の樹脂フィルムのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)が、酸成分としてイソフタル酸を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)からなるものである。
共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂とすることにより、基材(金属板)との接着性を向上させることができ、厳しい加工時においても、樹脂フィルムが剥離することがなく、樹脂フィルムが破断したり、フィルムにクラックが生じることを防止できる。
【0020】
<実施形態6の3層樹脂フィルム>
実施形態6の樹脂フィルムは、順に、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)/実施形態1のポリエステル樹脂/ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を積層した3層からなる樹脂フィルムであって、ポリエステル樹脂層の厚みが全樹脂層厚みの1/2以上である。
中間のポリエステル樹脂からなる樹脂フィルムが上記の加工性を良好にする効果があり、積層する共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)と相俟って缶や缶蓋用の素材に適している。
【0021】
<実施形態7の3層樹脂フィルム>
実施形態7の樹脂フィルムは、順に、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)/実施形態1のポリエステル樹脂/共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)を積層した3層からなるものであって、ポリエステル樹脂層の厚みが全樹脂層厚みの1/2以上である。
中間のポリエステル樹脂からなる樹脂フィルムが上記の加工性を良好にする効果があり、積層する共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と相俟って缶や缶蓋用の素材に適している。
【0022】
<実施形態8の3層樹脂フィルム>
実施形態8の樹脂フィルムは、実施形態6又は7のポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)に
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドしたものである。PTT樹脂含有率は20〜80質量%である。 中間のポリエステル樹脂からなる樹脂フィルムが、
すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドしたものが上記の加工性を良好にする効果があり、積層するポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)(共重合を含む)の表面特性や樹脂フィルムの密着性と相俟って缶や缶蓋用の素材に適している。
【0023】
<フィルムの製造方法>
実施形態1〜8の樹脂フィルムの製造においては、樹脂フィルムを構成する樹脂組成物を混合・溶融混練したものが使用される。
混合・溶融混練は通常使用される溶融混錬機が使用できるが、二軸押出機を使用するのが混練りしながら樹脂フィルムにできるので好ましい。
あるいは二軸押出機で混練り・ストランド状に押出し、ペレット化して、使用することもできる。
【0024】
押出機によって得られた樹脂フィルムは、一般的に公知の方法で積層することができる。例えば、第1層と第2層を接着剤でドライラミネートして積層することもできる。
また、第1層の樹脂フィルム上に第2層を押し出しながら積層樹脂フィルムとする押出ラミネート法も採用できる。
また、3台以上の押出機で同時に押出し、フィードブロックや口金内で積層する共押出方法でも生産できる。この中では共押出法が1回の押出で生産でき効率も高いので最も好ましい。共押出法は、T−ダイ法でもサーキュラーダイ法でも使用できる。
なお、積層樹脂フィルムは押出製膜後に延伸されたフィルムでも構わないが、その場合、延伸工程において生じるフィルムの配向を、熱融着によって金属板に積層する際に低下させて、請求項1に記した機械特性範囲となるように調製しなければならない。
【0025】
<実施形態9の樹脂積層金属板>
次に、実施形態9の樹脂積層金属板について説明する。
実施形態9の樹脂積層金属板は、上記実施形態1又は2の樹脂フィルムを、金属板の片面又は両面に、接着剤を介して又は介さずに積層したものである。
実施形態9の樹脂積層金属板は、絞り加工、絞りしごき加工、薄肉化絞り加工、さらには、
薄肉化絞り加工後しごき加工などの厳しい加工が施される容器に成形する場合においても、基材である金属板との密着性に優れ、加工時においても樹脂フィルムの層間剥離や基材との剥離がなく、品質の優れた缶や缶蓋に成形加工することができる。
【0026】
<金属板の説明>
次に、実施形態9の樹脂積層金属板に用いられる金属板について説明する。
樹脂フィルムを積層する基材となる金属板としては、帯状の表面処理を施した鋼板またはアルミニウム合金板が用いられる。鋼板を用いる場合は、前述した厳しい成形加工が可能であれば特に鋼の化学成分を限定することはないが、板厚が0.15〜0.30mmの低炭素冷延鋼板が好ましく、さらに、積層される樹脂フィルムとの優れた加工密着性を確保するために、表面にクロム水和酸化物皮膜を有する鋼板、特に、下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物の二層構造の皮膜を有する鋼板、いわゆるティンフリースチール(TFS)が好ましく、さらに鋼板表面に錫、ニッケル、アルミニウムなどの1種または2種以上の複層めっき、合金めっきを施し、その上層に上記の二層構造の皮膜を形成させた鋼板も適用可能である。
また、アルミニウム合金板の場合は、鋼板と同様に厳しい成形加工が可能なアルミニウム合金板であれば、化学成分を特に限定することはないが、コスト、成形加工性の点から3000系、5000系のアルミニウム合金板が好ましく、電解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理、リン酸クロム酸処理、アルカリ溶液、酸溶液によるエッチング処理、陽極酸化処理など公知の方法で表面処理されたアルミニウム合金板がより好ましい。
特に、鋼板、またはアルミニウム合金板に、上記の下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物からなる二層皮膜を形成させる場合は、積層されるポリエステル樹脂フィルムの加工密着性の点からクロム水和酸化物の量はクロムとして3〜50mg/m
2の範囲が好ましく、7〜25mg/m
2の範囲がより好ましい。
また、金属クロム量は特に限定する必要はないが、加工後の耐食性、積層される樹脂フィルムの加工密着性の観点から、10〜200mg/m
2の範囲が好ましく、30〜100mg/m
2の範囲がより好ましい。
【0027】
<金属板積層方法>
次に、実施形態9の樹脂積層金属板の製造方法について説明する。
金属板供給手段から連続的に送り出された金属板を、加熱手段を用いて樹脂フィルムの融点以上の温度に加熱し、その片面または両面に、フィルム供給手段から送り出された樹脂フィルムを接触させ、1対のラミネートロールの間で重ね合わせ、挟みつけて圧着して積層した後直ちに急冷する。
そして冷却速度は、金属板の温度、ラミネートロールの温度、および樹脂が積層された金属板がラミネートロールと接している時間、すなわち金属板の送り出し速度、およびラミネートロールと積層金属板が接触する部分(ニップ:ラミネートロール径、およびロールの弾性率で定まる)の長さで定まる。
また、本発明においては上記の樹脂フィルムを金属板に積層する際や、樹脂フィルムどうしを積層する際に、下記のような接着剤を樹脂フィルムと金属板の間に介在させても差し支えない。
【0028】
<接着剤>
樹脂フィルム同士や樹脂フィルムを金属板に積層するために用いる接着剤としては、一般的な接着剤、例えば、ポリエステル系、アクリル系、酢酸ビニル樹脂系、エチレン−ビニルアセテート樹脂系、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系等のエマルジョン型接着剤が、火気に対して安全で、臭気もなく、価格的にも安価なため好ましく用いられる。
その他、ポリエステルウレタン樹脂系などのエマルジョン型接着剤や、エポキシ−フェノール樹脂系などの熱硬化型接着剤、ポリエステルウレタン樹脂系接着剤なども用いることもできる。
なお、接着剤は、これら例示されたものに限定されるものではない。
【0029】
<実施形態10の樹脂積層金属板>
次に、実施形態10の樹脂積層金属板について説明する。
図3は、上記実施形態3〜5の2層の樹脂フィルムを金属板に積層した樹脂積層金属板の構成を示す説明図である。
実施形態10の樹脂積層金属板は、実施形態3〜5のいずれかの2層樹脂フィルムを、ポリエステル樹脂が金属板に接するように積層したものである。
【0030】
図3(a)は、実施形態3の金属板積層用樹脂フィルムを金属板に積層した状態を示す説明図である。
図3(a)に示すように、樹脂フィルムのポリエステル樹脂が金属板と接合している。
図3(b)は、実施形態4の金属板積層用樹脂フィルムを金属板に積層した状態を示す説明図である。
図3(b)に示すように、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドした樹脂が金属板と接合している。
図3(c)は、実施形態5の金属板積層用樹脂フィルムを金属板に積層した状態を示す説明図である。
図3(c)に示すように、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドした樹脂が金属板と接合している。
いずれも、加工性や表面特性を有した樹脂フィルムを積層しているので、加工時においてフィルムの剥離や割れなどのない優れた缶や缶蓋とすることができる。
【0031】
<実施形態11の樹脂積層金属板>
次に、実施形態11の樹脂積層金属板について説明する。
図4は、上記実施形態6〜8の3層の樹脂フィルムを金属板に積層した樹脂積層金属板の構成を示す説明図である。
実施形態11の樹脂積層金属板は、実施形態6〜8のいずれかの3層樹脂フィルムを、いずれかの共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が金属板に接するように積層したものである。
【0032】
図4(a)は、実施形態6の金属板積層用樹脂フィルムを金属板に積層した状態を示す説明図である。
図4(a)に示すように、樹脂フィルムの共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が金属板と接合している。
図4(b)は、実施形態7の金属板積層用樹脂フィルムを金属板に積層した状態を示す説明図である。
図4(b)に示すように、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が金属板と接合している。
図4(c)は、実施形態8の金属板積層用樹脂フィルムを金属板に積層した状態を示す説明図である。
図4(c)に示すように、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドした樹脂を、中間層に挟み、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が金属板と接合している。
いずれも、加工性や表面特性を有した樹脂フィルムを積層しているので、加工時においてフィルムの剥離や割れなどのない優れた缶や缶蓋とすることができる。
【0033】
<実施形態12の容器>
実施形態12の容器は、実施形態9〜11のいずれかの樹脂積層金属板を、積層した樹脂フィルムが容器内側になるように加工したものである。
容器としては、一般にシームレス缶(ツーピース缶)が挙げられ、ポリエステル樹脂の被覆面が缶内面側となるように、絞り・再
絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工或いは絞り・しごき加工等の従来公知の手段に付すことによって製造される。
また、缶としては、ネック成形後蓋を巻き締めて使用するツーピース缶であっても良いし、多段ネック加工・ネジ加工後、キャッピングを行って使用するボトルタイプの缶であっても良い。
ボトルタイプの缶の場合には、底部にシェル蓋が巻き締められ、缶上部にキャッピングが行われているスリーピースタイプの缶であっても良い。
シームレス缶の好適な製造法では、樹脂積層金属板を円形にせん断し、これを絞りダイスと絞りポンチの組み合わせを用いて、絞り加工により浅絞りカップを作り、ついで同一金型中で絞りながらしごきを行う同時絞りしごき加工を複数回繰り返して径が小さくハイトの大きいカップに成形する。
この成形法では、薄肉化のための変形が、缶軸方向(高さ方向)の荷重による変形(曲げ伸ばし)と缶厚み方向の荷重による変形(しごき)との組み合わせでしかもこの順序に行われ、これにより、缶軸方向への分子配向が有効に付与されるという利点がある。
その後、ドーミング成形、加工により生じる被覆樹脂の残留歪みの除去を目的とした熱処理、続いて開口端部のトリミング加工、曲面印刷、ネックイン加工、フランジ加工を行って缶とする。
【0034】
<実施形態13の容器蓋>
実施形態13の容器蓋は、実施形態9〜11のいずれかの樹脂積層金属板を、樹脂フィルムが容器内側になるようにして、樹脂積層金属板からプレス成形などの公知の成形法によって缶蓋を成形する。
容器蓋(缶蓋)としては、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン缶蓋やいわゆるフルオープンタイプのイージーオープン缶蓋が挙げられるが、その製造法としては、従来公知の任意の製蓋法によるものでよいが、適用することができる。
フルオープンタイプのイージーオープン缶蓋は、缶胴側面内面に嵌合されるべき環状リム部(カウンターシンク)を介して外周側に密封用溝を備えており、この環状リム部の内側には開口すべき部分を区画する全周にわたり形成されたスコアが設けられている。
この開口すべき部分の内部には、大略中央部を押入して形成した略半円状の凹部パネルと凹部パネルの周囲に蓋材を突出させて形成したディンプルと蓋材を缶蓋外面側に突出させて形成したリベットとが形成され、開口用タブがこのリベットのリベット打ちにより固定されている。
開口用タブは、一端に押し裂きによる開口用先端及び他端に保持用リングを有している。リベットの近傍において、スコアと反対側には、スコアとは不連続に並設された破断開始用スコアが形成されている。
そして、開口に際しては、開口用タブのリングを保持して、これを上方に持上げるようにする。
これにより破断開始用スコアが破断されて、開口用タブの開口用先端が比較的大きく下方に押込まれ、スコアの一部が剪断開始される。
次いで、リングを上方に引張ることにより、スコアの残留部が全周にわたり破断されて開口が容易に行われるようになる。
イージーオープン缶蓋の製造方法としては、樹脂積層金属板をプレス成形工程で円形に打抜くと共に缶蓋の形状にし、密封用溝へのコンパウンドのライニング及び乾燥によるライニング工程を経て、スコア刻設工程で蓋の外面側から金属素材の途中に達するようにスコアの刻設を行い、ついでリベット形成、リベットにタブを取付け後、リベットを鋲打することによるタブ取付けを行い、イージーオープン缶蓋とする。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドした樹脂(PTT樹脂含有率:80質量%)を、押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、厚さ50μmの単層樹脂フィルムとした。
この樹脂フィルムを、接着剤を介して基材(ティンフリースチール(TFS))の両面に積層して樹脂積層金属板とした。
次いで、この樹脂積層金属板をブランクに打ち抜き、加工温度45℃で絞りしごき加工を行ったところ、樹脂フィルムの剥離がない良好な缶を得ることができ、容器としての使用可能性を確認できた。
容器としては、絞りしごき加工法を用いて、以下のようにして有底円筒状の缶に成形加工した。
樹脂積層金属板を直径:150mmのブランクに打ち抜いた後、ポリエステル樹脂フィルム被覆面が缶の内面となるようにして、缶底径:100mmの絞り缶とした。
次いで、再絞り加工により、缶底径:80mmの再絞り缶とした。
さらに、この再絞り缶を複合加工により、ストレッチ加工と同時にしごき加工を行い、缶底径:65mmの絞りしごき缶とした。
この複合加工は、缶の上端部となる再絞り加工部としごき加工部の間隔は20mm、再絞りダイスの肩アールは板厚の1.5倍、再絞りダイスとポンチのクリアランスは板厚の1.0倍、しごき加工部のクリアランスは元板厚の40%となる条件で実施した。
次いで、公知の方法で缶上部をトリミングし、ネックイン加工、フランジ加工を施した。
また、容器蓋用として、基材をTFSからアルミに変更して、アルミの片面に容器用と同じ樹脂フィルムを積層した樹脂積層金属板を製造した。
その後、この樹脂積層金属板からプレス成形法によって、樹脂フィルムが容器内側になるようにして、200径のSOT蓋(缶蓋)を成形し、容器蓋としての使用可能性を確認できた。
【0036】
<実施例2>
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)をブレンドした樹脂(PTT樹脂含有率:20質量%)を、押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、厚さ25μmの単層樹脂フィルムとした。
この樹脂フィルムを、接着剤を介さずに基材(TFS)の両面に積層した。
次いで、実施例1と同様にして、加工温度45℃で絞りしごき加工を行い、同様の結果を得た。
【0037】
<実施例3>
その機械的特性において、45℃で測定する1.0の真歪みが得られる真応力が13MPaであるポリエステル樹脂と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)とを、共押出しにより押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、厚み:15μmのポリエステル樹脂と、厚み:15μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)との、2層樹脂フィルムを製造した(ポリエステル樹脂層の厚みを全樹脂層厚みの1/2)。
この2層樹脂フィルムのポリエステル樹脂が基材と接するようにして、接着剤を介して基材(TFS)の両面に積層した。
次いで、実施例1と同様にして、加工温度45℃で絞りしごき加工を行い、同様の結果を得た。
【0038】
<実施例4>
実施例3のポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)
をブレンドした樹脂(PTT樹脂含有率:50質量%)を準備した。 これと、酸成分としてイソフタル酸を15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/IA)樹脂とを、共押出しにより押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、
厚み:15μmのポリエステル樹脂フィルムと、
厚み:10μmの共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)との、
2層樹脂フィルムを製造した(ポリエステル樹脂層の厚みを全樹脂層厚みの1/2以上)。
この樹脂フィルムの、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が基材と接するようにして、接着剤を介さずに基材(TFS)の両面に積層した。
次いで、実施例1と同様にして、加工温度45℃で絞りしごき加工を行い、同様の結果を得た。
【0039】
<実施例5>
実施例4と同様に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)として、酸成分としてイソフタル酸を15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)を準備し、別途、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)
をブレンドした樹脂(PTT樹脂含有率:50質量%)を準備した。 共押出しにより押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、厚み:10μmの共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、
厚み:10μmのPBT−PTTブレンド樹脂との、
2層樹脂フィルムを製造した(PBT−PTTブレンド樹脂層の厚みを全樹脂層厚みの1/2)。
この樹脂フィルムの、PBT−PTTブレンド樹脂が基材と接するようにして、接着剤を介して基材(TFS)の両面に積層した。
次いで、実施例1と同様にして、加工温度45℃で絞りしごき加工を行い、同様の結果を得た。
【0040】
<実施例6>
酸成分としてイソフタル酸を15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/IA)樹脂と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)
をブレンドした樹脂(PTT樹脂含有率:50質量%)と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)と、を準備し、共押出しにより押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、
順に、
厚み:10μmの共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、
厚み:20μmのポリエステル樹脂と、
厚み:10μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)との、
3層樹脂フィルムを製造した(中間のポリエステル樹脂層の厚み/全樹脂層厚み=20/40)。
この樹脂フィルムの、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が基材(TFS)に接するようにして、接着剤を介さずに両面に積層した。
次いで、実施例1と同様にして、加工温度45℃で絞りしごき加工を行い、同様の結果を得た。
【0041】
<実施例7>
酸成分としてイソフタル酸を10mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)
をブレンドした樹脂(PTT樹脂含有率:50質量%)と、酸成分としてイソフタル酸を15mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、を準備し、
共押出しにより押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、
順に、
厚み:5μmの10mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、
厚み:20μmのポリエステル樹脂と、
厚み:5μmの15mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)との、
3層樹脂フィルムを製造した(中間のポリエステル樹脂層の厚み/全樹脂層厚み=20/30)。
この樹脂フィルムの、15mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が基材(TFS)に接するようにして、接着剤を介さずに両面に積層した。
次いで、実施例1と同様にして、加工温度45℃で絞りしごき加工を行い、同様の結果を得た。
【0042】
<実施例8>
酸成分としてイソフタル酸を5mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)にポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)
をブレンドした樹脂(PTT樹脂含有率:50質量%)と、酸成分としてイソフタル酸を20mol%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、を準備し、
共押出しにより押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して、
順に、
厚み:5μmの5mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)と、厚み:15μmのPBT−PTTブレンド樹脂と、
厚み:5μmの20mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)との、
3層樹脂フィルムを製造した(中間のPBT−PTTブレンド樹脂層の厚み/全樹脂層厚み=15/25)。
この樹脂フィルムの、20mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET/IA)が基材(アルミ)に接するようにして接着剤を介さずに両面に積層した。
次いで、実施例1と同様にして、加工温度45℃で絞りしごき加工を行い、同様の結果を得た。
【0043】
上記実施例1〜8に記載の樹脂積層金属板の概略図を
図5に示す。