(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベースマシンと、前記ベースマシンの前部に基端が起伏可能に装着され、伸縮シリンダにより長さが伸縮される伸縮ブームと、前記伸縮ブームの先端から垂下した昇降ロープに吊るして保持されるケリーバと、を有するアースドリル機において、
前記ベースマシンの後部にガントリを設けると共に、前記ベースマシンに起伏ロープを巻回した起伏ウインチを設け、前記起伏ウインチから巻き出した前記起伏ロープを、前記ガントリ先端のガントリシーブ集合体を介して前記伸縮ブームに連結するペンダントロープに固定されたミドルシーブ集合体に連結したこと、
前記起伏ロープの張力、又は、前記ペンダントロープの張力を計測するための張力計測手段を有すること、
前記ガントリを倒した状態で、前記起伏ロープにより前記伸縮ブームを立ち上げようとしたときに、前記張力計測手段が計測した張力が所定張力以上になったときに、前記起伏ウインチの駆動を停止し、前記伸縮ブームの立ち上げを中止する起伏ウインチ停止手段を有すること、
を特徴とするアースドリル機。
ベースマシンと、前記ベースマシンの前部に基端が起伏可能に装着され、伸縮シリンダにより長さが伸縮される伸縮ブームと、前記伸縮ブームの先端から垂下した昇降ロープに吊るして保持されるケリーバと、を有するアースドリル機において、
前記ベースマシンの後部にガントリを設けると共に、前記ベースマシンに起伏ロープを巻回した起伏ウインチを設け、前記起伏ウインチから巻き出した前記起伏ロープを、前記ガントリ先端のガントリシーブ集合体を介して前記伸縮ブームに連結するペンダントロープに固定されたミドルシーブ集合体に連結したこと、
前記起伏ロープの張力、又は、前記ペンダントロープの張力を計測するための張力計測手段を有すること、
前記張力計測手段が計測した張力が所定張力以上になったときに、前記起伏ウインチの駆動を停止する起伏ウインチ停止手段を有すること、
前記起伏ウインチ停止手段は、前記起伏ウインチが停止された後、前記ガントリが立ち上げられて、再駆動したときに、前記張力計測手段が計測した張力が所定張力未満となり、前記起伏ウインチを駆動させること、
を特徴とするアースドリル機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のアースドリル機には次のような問題があった。すなわち、ベースマシンの後部に伸縮ブームの基端が配置され、ベースマシンの前部に起伏ジャッキが配置されるため、大型のアースドリル機が必要とする大型の昇降ウインチを設置するスペースを確保することが困難であるという問題があった。
この問題を解決するために、本出願人は、特願2013−038481号出願、特願2013−038483号出願等により、ベースマシンの前部に伸縮ブームの基端を配置し、ベースマシンの後部にガントリを配置し、起伏ウインチから巻き出された起伏ロープを、ガントリを介して伸縮ブームに連結するアースドリル機を提案している。このアースドリル機によれば、ベースマシンの前部に伸縮ブームの基端を配置できるため、大型の昇降ウインチを設置するスペースを確保できる効果を奏する。
【0005】
しかしながら、特願2013―038481号出願等の発明には、次のような問題があった。
すなわち、アースドリル機は送電線などの高さ制限がある場所ではガントリを倒した状態で自走させることになる。しかし、ガントリが倒れた状態でアースドリル機を自走させると起伏ロープにかかる張力が過大となる恐れがある。
ガントリを立てた状態の時には、起伏ロープに掛かる張力は、例えば、約300kN程度であるが、ガントリを倒した状態の時には、起伏ロープに掛かる張力は、例えば、約600kN程度となる。もし、伸縮ブームが少しでも伸びた状態にあった場合では、さらに大きな張力を必要とする。
さらに、自走させる場合には衝撃等があるため起伏ロープにかかる張力がさらに大きくなるため問題となる。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、電線などの高さ制限のある場所でガントリを倒した状態で自走させた場合に起伏ロープにかかる荷重が過大になる恐れがないアースドリル機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のアースドリル機は、次の構成を有し、作用効果を奏する。
(1)ベースマシンと、前記ベースマシンの前部に基端が起伏可能に装着され、伸縮シリンダにより長さが伸縮される伸縮ブームと、前記伸縮ブームの先端から垂下した昇降ロープに吊るして保持されるケリーバと、を有するアースドリル機において、前記ベースマシンの後部にガントリを設けると共に、前記ベースマシンに起伏ロープを巻回した起伏ウインチを設け、前記起伏ウインチから巻き出した前記起伏ロープを、前記ガントリ先端のガントリシーブ集合体を介して前記伸縮ブームに連結するペンダントロープに固定されたミドルシーブ集合体に連結したこと、前記起伏ロープの張力、又は、前記ペンダントロープの張力を計測するための張力計測手段を有すること、前記張力計測手段が計測した張力が所定張力以上になったときに、前記起伏ウインチの駆動を停止する起伏ウインチ停止手段を有すること、を特徴とする。
【0008】
起伏ロープの張力を計測するための張力計測手段を有すること、張力計測手段が計測した張力が所定張力以上になったときに、起伏ウインチの駆動を停止する起伏ウインチ停止手段を有すること、を特徴とするので、ガントリを倒した状態でアースドリル機を自走させた場合でも、ペンダントロープが破断することはない。
【0009】
(2)(1)に記載するアースドリル機において、クレーンとして使用するための補巻ウインチにより巻き上げられる補巻ロープに取り付けられ、クレーンに吊り下げられた搬送物の荷重を測定するロードセルを有すること、前記ロードセルが計測した荷重が所定荷重以上あるときに前記補巻ウインチによる前記補巻ロープの補巻上げを停止する補巻ウインチ停止手段を有すること、前記張力計測手段は、前記ロードセルを兼用すること、が好ましい。
【0010】
従来から設けられているロードセルを張力計測手段として兼用することができるため、コストアップの要因がない。
【0011】
(3)(1)または(2)に記載するアースドリル機において、前記起伏ウインチ停止手段は、前記起伏ウインチが停止された後、前記ガントリが立ち上げられて、再駆動したときに、前記張力計測手段が計測した張力が所定張力未満となり、前記起伏ウインチを駆動させること、を特徴とする。
【0012】
起伏ウインチ停止手段が、起伏ウインチを停止させたときに、作業者が、トレーラーの上でガントリを起き上がらせる一連の作業を行えば、張力は減少するため、起伏ウインチを再駆動した時に、張力計測手段が計測する張力は減少し、起伏ウインチを駆動することに何ら問題はない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガントリを倒した状態でアースドリル機を自走させた場合に、起伏ロープにかかる張力が過大となることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のアースドリル機の一実施の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
〈アースドリル機の全体構造〉
図1に、アースドリル機11の全体図を示す。
図2に、伸縮ブーム16の上面図を示す。
図3に、伸縮ブーム16の起伏機構図を示す。
図1に示すように、本形態例に示すアースドリル機11におけるベースマシン12は、クローラ13aを備える走行体13の上部に、旋回ベアリング14を介して上部旋回体15が回転可能に保持されている。上部旋回体15の前部には、伸縮ブーム16が固設軸160を軸に起伏可能に設けられている。上部旋回体15の後部には、折りたたみ可能なガントリ17が設けられている。
伸縮ブーム16とガントリ17との間の上部旋回体15の幅方向中央部には、前方から、吊り上げ用の昇降ロープである主巻ロープ18を巻回した主巻ウインチ19及び補巻ロープ20を巻回した補巻ウインチ21と、ブーム起伏用の起伏ロープ22を巻回した起伏ウインチ23が配置されている。
【0016】
伸縮ブーム16は、箱型断面を有する三段式のテレスコピック型であって、基端部に起伏可能に装着されるロアブーム16aと、該ロアブーム16a内に伸縮可能に挿入されたセカンドブーム16bと、該セカンドブーム16b内に伸縮可能に挿入されたアッパーブーム16cとで形成されている。
【0017】
また、周知の伸縮ブームと同様に、ロアブーム16aとセカンドブーム16bとの間には、ロアブーム16aに対してセカンドブーム16bを伸縮させる第1伸縮シリンダ71が設けられており、セカンドブーム16bとアッパーブーム16cとの間には、セカンドブーム16bに対してアッパーブーム16cを伸縮される第2伸縮シリンダ72が設けられている。請求項中の伸縮シリンダは、第1伸縮シリンダ71を指す。
【0018】
さらに、
図3に示すように、アッパーブーム16cの先端には、吊り上げ用の主巻ロープ18が掛け回される第1トップシーブ27a及び補巻ロープ20が掛け回される第2トップシーブ27bが設けられている。
図1に示すように、ロアブーム16aには、ケリードライブ28を支持するためのフロントフレーム29、複数のフレームシリンダ30、保持シリンダ31が取り付けられている。
【0019】
図3に示すように、一対のペンダントロープ221の一端221bはセカンドブーム16bの取付部116に取り付けられている。また、ペンダントロープ221の他端221aは、ミドルシーブ42が複数取り付けられている連結部48に取り付けられている。本実施形態ではミドルシーブ42は、第1ミドルシーブ421乃至第9ミドルシーブ429の合計9個の滑車であり、連結部48に対して取り付けられているものである。ミドルシーブ集合体40は、ミドルシーブ42及び連結部48を合わせたものを指す。
また、ガントリシーブ集合体41は、第1ガントリシーブ411乃至第8ガントリシーブ418の合計8個の滑車が取り付けられているものである。
起伏ウインチ23に巻き回された起伏ロープ22は、ハイガントリシーブ49を介し第1ミドルシーブ421と巻回される。起伏ロープ22は、第1ミドルシーブ421を介し、第1ガントリシーブ411、第2ミドルシーブ422、第2ガントリシーブ412、第3ミドルシーブ423、第3ガントリシーブ413・・・第8ガントリシーブ418、第9ミドルシーブ429と巻回される。第9ミドルシーブ429を介した起伏ロープ22は、ロープ留め具430に固定される。
【0020】
図1に示すように、ロードセルである張力計測手段69が取り付けられている。
張力計測手段69は、ガントリ17に巻回されている起伏ロープ22の張力KRを計測するものである。
また、張力計測手段69は、搬送物の荷重を計測するロードセルと兼用として使用される。ロードセル(張力計測手段69)は、直接補巻ロープ20の張力を測定するものではない。補巻ロープ20で吊り下げる荷重が増加すると伸縮ブーム16にかかるモーメントが増加する。それにより、起伏ロープ22の張力が増加する。したがって、起伏ロープ22の張力の増加をロードセルで計測することにより、別途計測する伸縮ブーム16の角度を用いて吊り下げ荷重を算出することができる。また、従来から設けられているロードセルを張力計測手段69として兼用することができるため、コストアップの要因がない。
【0021】
図1に示すように、ベースマシン12は制御部90を有する。
図10に制御部90を含む制御装置の全体構成図を示す。
図10に示すように制御部90は、起伏ウインチ停止手段65、補巻ウインチ停止手段66を有する。また、制御部90には、補巻ウインチ21、起伏ウインチ23、警告ランプ68、及び張力計測手段69が接続している。
【0022】
伸縮ブーム16の起伏回路について説明する。
図8に伸縮ブーム16の起伏油圧回路図(通常時)を示し、
図9に伸縮ブーム16の起伏油圧回路図(停止時)を示す。
図8に示すように、起伏ウインチ23の油圧モータの配管によりコントロールバルブ85と接続している。また、コントロールバルブ85は、ブーム起伏レバー80と配管により接続している。ブーム起伏レバー80は、ブーム起レバー81とブーム伏レバー82を有する。また、コントロールバルブ85とブーム起伏レバー80の間には、起伏ウインチ停止手段65が接続している。
【0023】
[計測方法]
制御部90の動作について説明する。制御部90は、ペンダントロープ221の張力PRと起伏ロープ22の張力KRを求める。
ペンダントロープ221の張力PRと起伏ロープ22の張力KRの算出対象は以下のものである。
図4は、ペンダントロープ221の張力PRと起伏ロープ22の張力KRを計測する際の算出対象を示す。
張力PRと張力KRは、重量単位のkN(キロニュートン)で表す。
支点Xは、
図4に示すように、固設軸160の中心である。
重心Yは、伸縮ブーム16の重心である。
重心Zは、フロント部の重心である。フロント部の重心は、ケリードライブ28を支持するためのフロントフレーム29、複数のフレームシリンダ30、保持シリンダ31等の総重量の中心である。フロント部の総重量には、フロントフレーム29にケリードライブ28等が取り付けられた場合には、フロントフレーム29に取り付けられたものの重量を含む。
重量Bは、伸縮ブーム16の重量である。
重量Cは、フロント部の重量である。フロント部の重量は、ケリードライブ28を支持するためのフロントフレーム29、複数のフレームシリンダ30、保持シリンダ31等の総重量である。フロント部の総重量には、フロントフレーム29にケリードライブ28等が取り付けられた場合には、フロントフレーム29に取り付けられたものの重量を含む。
距離Dは、支点Xから重心Yまでの距離である。
距離Eは、支点Xから重心Zまでの距離である。
距離Fは、起伏ロープ22と支点Xまでの距離である。
【0024】
ペンダントロープ221の張力PRは、以下の式を用いることにより算出される。
[式1]
ペンダントロープの張力PR = (B×D+C×E)÷F
すなわち、Bに対してDを乗算する。Cに対してEを乗算する。それぞれ乗算したものを足してFで割り算をすることにより、ペンダントロープの張力PRが算出される。
【0025】
起伏ロープ22の張力KRは、以下の式を用いることにより算出される。
[式2]
起伏ロープの張力KR = PR÷掛本数
すなわち、式1で求めたペンダントロープの張力PRをミドルシーブ42とガントリシーブ集合体41との間に掛けられた本数で割り算をすることにより起伏ロープの張力KRが算出される。例えば、本実施形態においては、第1ミドルシーブ421乃至第9ミドルシーブ429の合計9個の滑車と第1ガントリシーブ411乃至第8ガントリシーブ418の合計8個の滑車との間に18本掛されているため、18本で割り算をすることにより
【0026】
〈アースドリルの作用・効果〉
アースドリル機11は電線などの高さ制限がある場所では、
図4に示すように、ガントリ17を倒した状態で自走させることがある。しかし、ガントリ17が倒れた状態でアースドリル機11を自走させると起伏ロープ22にかかる張力が過大になる恐れがある。
さらに、自走させる場合には衝撃等があるため起伏ロープ22にかかる張力がさらに大きくなるため問題となる。
【0027】
例えば、
図4に示すガントリ17が伏した状態の場合、
図5に示すようにガントリ17が起立した状態の場合、
図6に示すようにガントリ17が伏した状態でさらに伸縮ブーム16が伸びた状態の場合、
図7に示すようにガントリ17が伏した状態でさらに伸縮ブーム16にケリードライブ28が取り付けられた状態の場合がある。
【0028】
本実施形態においては、制御部90の張力計測手段69は、ペンダントロープ221の張力PRが所定張力以上にならないように、上述した計測方法により起伏ロープ22の張力KRを計測する。
ペンダントロープ221の張力PRが所定張力以下である場合には、
図8に示すように、起伏ウインチ停止手段65はON状態にある。そのため、ブーム起伏レバー80の指示は、起伏ウインチ停止手段65を介してコントロールバルブ85、起伏ウインチ23へとつながり起伏ウインチ23は作動する状態にある。
【0029】
さらに、本実施形態においてはペンダントロープ221の張力PRの数値が所定張力以上となった時、起伏ウインチ停止手段65がペンダントロープ221の張力PRが危険であると判断し起伏ウインチ23を停止される。例えば、ペンダントロープ221は破断荷重が300kNであるため安全率を加えて、例えば100kN以上の所定張力となった時に起伏ウインチ23を停止させる。起伏ウインチ停止手段65がペンダントロープ221の張力PRが危険であると判断し起伏ウインチ23を停止することができることにより、ペンダントロープ221の張力PRの数値が所定張力以上となり起伏ロープが破断することはない。
具体的には、
図9に示すように、ペンダントロープ221の張力PRの数値が所定張力例えば100kN以上になると起伏ウインチ停止手段65はOFF状態となる。そのため、ブーム起伏レバー80の指示は、起伏ウインチ停止手段65によりコントロールバルブ85へとつながらない。そのため、コントロールバルブ85が移動し起伏ウインチ23は非接続状態となり動作をしなくなる。
【0030】
張力計測手段69が計測した張力により以下のように制御が行われる。
[第1ケース]
図4を用いて第1ケースを説明する。
図4に示す状態においては、伸縮ブーム16は伸長していない状態にある。例えばブーム16は11kNであるためBは11kNである。また、例えばフロント部の重量は4kNであるためCは4kNである。さらに、例えばAからBまでの距離は4000mmであるためDは4000mmである。さらに、例えばAからCまでの距離は5500mmであるためEは5500mmである。さらに、
図4においては、ガントリ17は伏せた状態にあるため、起伏ロープ22と固定軸160までの長さは短く例えば1000mmとなる。
【0031】
式1を用いて
図4に示す状態のペンダントロープ221の張力PRを計算すると以下のようになる。以下の数字は具体例であり一実施例である。
11kN(B)に対して4000mm(D)を乗算すると、44000が算出される。
4kN(C)に対して5500mm(E)を乗算すると、22000が算出される。
44000と22000を足すと66000が算出される。
66000を1000mm(F)で割り算することにより66kNが求められる。
【0032】
式2を用いて
図4に示す状態の起伏ロープ22の張力KRを計算すると以下のようになる。
本実施形態においては掛本数は18本である。
66kN(張力PR)を18(掛本数)で割り算すると、3.7kNが算出される。
【0033】
図4に示す状態においては、張力計測手段69により実測した値は約3.7kNであり理論値が正しいことが証明されている。ペンダントロープ221の張力PRが66kNであり、本発明においては張力計測手段69が実測した張力に基づいて張力PRを算出している。算出した張力PRが、所定張力100kN以下であるため、
図8に示すように、起伏ウインチ停止手段65はON状態にある。そのため、ブーム起伏レバー80の指示は、起伏ウインチ停止手段65を介してコントロールバルブ85、起伏ウインチ23へとつながり起伏ウインチ23は作動する状態にある。
【0034】
[第2ケース]
第2ケースを
図5を用いて説明する。
図5に示す状態においては、伸縮ブーム16は伸長していない状態にある。例えばブーム16は11kNであるためBは11kNである。また、例えばフロント部の重量は4kNであるためCは4kNである。さらに、例えばAからBまでの距離は4000mmであるためDは4000mmである。さらに、例えばAからCまでの距離は5500mmであるためEは5500mmである。さらに、
図5においては、ガントリ17は起きた状態にあるため、起伏ロープ22と固定軸160までの長さは長く例えば2500mmとなる。
【0035】
式1を用いて
図5に示す状態のペンダントロープ221の張力PRを計算すると以下のようになる。
11kN(B)に対して4000mm(D)を乗算すると、44000が算出される。
4kN(C)に対して5500mm(E)を乗算すると、22000が算出される。
44000と22000を足すと66000が算出される。
66000を2500mm(F)で割り算することにより26.4kNが求められる。
【0036】
式2を用いて
図5に示す状態の起伏ロープ22の張力KRを計算すると以下のようになる。
本実施形態においては掛本数は18本である。
26.4kN(張力PR)を18(掛本数)で割り算すると、1.47kNが算出される。
【0037】
図5に示す状態においては、張力計測手段69により実測した値は約1.5kNであり理論値が正しいことが証明されている。ペンダントロープ221の張力PRが26.4kNであり、本発明においては張力計測手段69が実測した張力に基づいて張力PRを算出している。算出した張力PRが、所定張力100kN以下であるため、
図8に示すように、起伏ウインチ停止手段65はON状態にある。そのため、ブーム起伏レバー80の指示は、起伏ウインチ停止手段65を介してコントロールバルブ85、起伏ウインチ23へとつながり起伏ウインチ23は作動する状態にある。
【0038】
[第3ケース]
第3ケースを
図6を用いて説明する。
図6に示す状態においては、伸縮ブーム16は伸長している状態にある。例えばブーム16は11kNであるためBは11kNである。また、例えばフロント部の重量は4kNであるためCは4kNである。さらに、例えばAからBまでの距離は9000mmであるためDは9000mmである。Bの位置は、伸縮ブーム16が伸長することにより長くなる。さらに、例えばAからCまでの距離は5500mmであるためEは5500mmである。さらに、
図5においては、ガントリ17は伏した状態にあるため、起伏ロープ22と固定軸160までの長さは短く例えば1000mmとなる。
【0039】
式1を用いて
図6に示す状態のペンダントロープ221の張力PRを計算すると以下のようになる。
11kN(B)に対して9000mm(D)を乗算すると、99000が算出される。
4kN(C)に対して5500mm(E)を乗算すると、22000が算出される。
44000と22000を足すと66000が算出される。
121000を1000mm(F)で割り算することにより121kNが求められる。
【0040】
式2を用いて
図6に示す状態の起伏ロープ22の張力KRを計算すると以下のようになる。
本実施形態においては掛本数は18本である。
121kN(張力PR)を18(掛本数)で割り算すると、6.72kNが算出される。
【0041】
図6に示す状態においては、張力計測手段69により実測した値は約6.7kNであり理論値が正しいことが証明されている。ペンダントロープ221の張力PRが121kNであり、本発明においては張力計測手段69が実測した張力に基づいて張力PRを算出している。算出した張力PRが、所定張力100kN以上である。そのため、
図9に示すように、ペンダントロープ221張力PRが100kN以上となった時に起伏ウインチ停止手段65はOFF状態となる。したがって、ブーム起伏レバー80の指示は、起伏ウインチ停止手段65によりコントロールバルブ85へとつながらない。そのため、コントロールバルブ85が移動し起伏ウインチ23は非接続状態となり動作をしなくなる。
【0042】
本実施形態においては、起伏ロープの張力KRを計測するための張力計測手段を有し、起伏ウインチ23を駆動して、伸縮ブーム16を立ち上げているときに、張力計測手段69が計測した張力が所定張力以上になったときに、起伏ウインチ23の駆動を停止する起伏ウインチ停止手段65を有する。そのため、ガントリ17を倒した状態で起伏ウインチ23を駆動した場合でも、ペンダントロープ221が破断することはない。
【0043】
図6において、起伏ウインチ停止手段65により起伏ウインチ23の駆動が停止した場合には、続いてガントリ17を起き上がらせる。ガントリ17を起き上がらせることにより、起伏ロープ22と固設軸160までの距離であるFが長くなる。そのため、ペンダントロープ221の張力PRの値が小さくなりペンダントロープ221の張力PRが所定張力以下となる。ガントリ17をペンダントロープ221の張力PRが所定張力以下となるまで起き上がらせる。起伏ウインチ停止手段65は起伏ウインチ23が停止された後、ガントリ17が立ち上げられ、ペンダントロープ221の張力PRが所定張力未満となった場合に起伏ウインチ23を駆動させることができる。
【0044】
[第4ケース]
第4ケースを
図7を用いて説明する。
図7に示す状態においては、伸縮ブーム16にはケリードライブ28が固定された状態にある。例えばブーム16は11kNであるためBは11kNである。また、例えばフロント部の重量は11kNであるためCは11kNである。フロント部には、ケリードライブ28が固定されているため重量が大きくなる。さらに、例えばAからBまでの距離は4000mmであるためDは4000mmである。さらに、例えばAからCまでの距離は5500mmであるためEは5500mmである。さらに、
図7においては、ガントリ17は伏した状態にあるため、起伏ロープ22と固定軸160までの長さは短く例えば1000mmとなる。
【0045】
式1を用いて
図7に示す状態のペンダントロープ221の張力PRを計算すると以下のようになる。
11kN(B)に対して4000mm(D)を乗算すると、44000が算出される。
11kN(C)に対して5500mm(E)を乗算すると、60500が算出される。
44000と60500を足すと104500が算出される。
104500を1000mm(F)で割り算することにより104.5kNが求められる。
【0046】
式2を用いて
図7に示す状態の起伏ロープ22の張力KRを計算すると以下のようになる。
本実施形態においては掛本数は18本である。
104.5kN(張力PR)を18(掛本数)で割り算すると、5.81kNが算出される。
【0047】
図7に示す状態においては、張力計測手段69により実測した値は約5.8kNであり理論値が正しいことが証明されている。ペンダントロープ221の張力PRが104.5kNであり、本発明においては張力計測手段69が実測した張力に基づいて張力PRを算出している。算出した張力PRが、所定張力100kN以上である。そのため、
図9に示すように、ペンダントロープ221張力PRが100kN以上となった時に起伏ウインチ停止手段65はOFF状態となる。したがって、ブーム起伏レバー80の指示は、起伏ウインチ停止手段65によりコントロールバルブ85へとつながらない。そのため、コントロールバルブ85が移動し起伏ウインチ23は非接続状態となり動作をしなくなる。
【0048】
図7において、起伏ウインチ停止手段65により起伏ウインチ23の駆動が停止した場合には、続いてガントリ17を起き上がらせる。ガントリ17を起き上がらせることにより、起伏ロープ22と固設軸160までの距離であるFが長くなる。そのため、ペンダントロープ221の張力PRの値が小さくなりペンダントロープ221の張力PRが所定張力以下となる。ガントリ17をペンダントロープ221の張力PRが所定張力以下となるまで起き上がらせる。起伏ウインチ停止手段65は起伏ウインチ23が停止された後、ガントリ17が立ち上げられ、ペンダントロープ221の張力PRが所定張力未満となった場合に起伏ウインチ23を駆動させることができる。
【0049】
本実施形態においては、起伏ロープの張力KRを計測するための張力計測手段69を有し、起伏ウインチ23を駆動して、伸縮ブーム16を立ち上げているときに、張力計測手段69が計測した張力が所定張力以上になったときに、起伏ウインチ23の駆動を停止する起伏ウインチ停止手段65を有する。そのため、ガントリ17を倒した状態で起伏ウインチ23を駆動した場合でも、ペンダントロープ221が破断することはない。
【0050】
以上説明したように、本発明のアースドリル機は以下の作用効果を奏する。
起伏ロープ22の張力KRを計測するための張力計測手段69を有すること、起伏ウインチ23を駆動して、伸縮ブーム16を立ち上げているときに、張力計測手段69が計測した張力が所定張力以上になったときに、起伏ウインチ23の駆動を停止する起伏ウインチ停止手段65を有すること、を特徴とするので、ガントリ17を倒した状態で起伏ウインチ23を駆動した場合でも、ペンダントロープ221が破断することはない。
【0051】
起伏ウインチ停止手段65が、起伏ウインチ23を停止させたときが、ガントリ17が倒された状態にあること、起伏ウインチ停止手段65は、起伏ウインチ23が停止された後、ガントリ17が立ち上げられて、再駆動したときに、張力計測手段69が計測した張力が所定張力未満となり、起伏ウインチ23を駆動させること、を特徴とする。そのため、起伏ウインチ停止手段65が、起伏ウインチ23を停止させたときに、作業者が、ガントリ17を起き上がらせる一連の作業を行えば、伸縮ブーム16を起き上がらせるのに必要な張力は半減する。そのため、起伏ウインチ23を再駆動した時に、張力計測手段69が計測する張力は半減し、起伏ウインチを駆動することに何ら問題はない。
【0052】
以上本発明の具体的な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、起伏ロープ22の張力KRを張力計測手段69により計測し、所定張力以上となる前にガントリ17を起き上がらせる。所定張力に近づいたとき、警告ランプ68により、ペンダントロープ221の張力が危険であることを知らせることができる。作業者は、警告ランプ68により警告されることで、ガントリ17を起き上がらせる。ガントリ17が起き上がることで、張力が小さくなりペンダントロープ221の張力PRが所定張力以下となるためペンダントロープ221の破断を防止することができる。
また、警告ランプ68を有することにより、起伏ウインチ23を停止することなくスムーズに起伏作業を行うことができる。
【0053】
例えば、本実施形態においては張力計測手段69が起伏ロープ22の張力を測定したがペンダントロープ221の張力を直接計測することもできる。
また、本実施形態においてはペンダントロープ221の張力が所定張力以上となった場合に起伏ウインチ停止手段65により停止したが、起伏ロープ22の張力が所定張力以上となった場合に起伏インチ停止手段65が停止することもできる。