特許第6289922号(P6289922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289922
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   H01L21/304 642Z
   H01L21/304 643Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-15201(P2014-15201)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-142070(P2015-142070A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】大田垣 崇
(72)【発明者】
【氏名】林 航之介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将文
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】出村 健介
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−5695(JP,A)
【文献】 特開2000−254605(JP,A)
【文献】 特開平4−353750(JP,A)
【文献】 特開2004−241568(JP,A)
【文献】 特開2002−9041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸部を有する基板を処理する基板処理装置であって、
前記凹凸部が設けられている側が突出するように前記基板を変形させる基板変形部と、
前記変形した基板の前記凹凸部に洗浄液を接触させる洗浄部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記基板変形部は、前記基板の前記凹凸部が設けられている側とは反対側に加わる圧力を増加させる加圧部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板変形部は、前記基板の前記凹凸部が設けられている側に加わる圧力を減少させる減圧部を有する請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板変形部は、前記基板の前記凹凸部が設けられている側とは反対側を押圧する押圧部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板変形部は、
前記基板を保持する保持部と、
前記保持部を移動させる移動部と、
を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板変形部は、前記基板の前記凹凸部が設けられている側を加熱する加熱部を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板変形部は、前記基板の前記凹凸部が設けられている側とは反対側を冷却する冷却部を有する請求項1または6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
表面に凹凸部を有する基板を処理する基板処理方法であって、
前記凹凸部が設けられている側が突出するように前記基板を変形させる工程と、
前記変形した基板の前記凹凸部に洗浄液を接触させる工程と、
を備えた基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に洗浄液を供給し、基板の表面に付着している付着物を除去する基板処理装置がある。(例えば、特許文献1を参照)
ここで、基板の表面には、凹凸部が形成されている場合がある。
例えば、半導体ウェーハの表面には、回路パターン(凹凸部)が形成されている。
また、インプリント法に用いられるテンプレートの表面には、転写されるパターン(凹凸部)が形成されている。
そして、付着物が凹凸部の内部に入り込んだ場合には、基板の表面に洗浄液を供給しただけでは付着物を除去することができない場合が生じ得る。
そのため、表面に凹凸部を有する基板であっても、付着物を効果的に除去することができる基板処理装置および基板処理方法の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−124298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、付着物を効果的に除去することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る基板処理装置は、表面に凹凸部を有する基板を処理する基板処理装置である。この基板処理装置は、前記凹凸部が設けられている側が突出するように前記基板を変形させる基板変形部と、前記変形した基板の前記凹凸部に洗浄液を接触させる洗浄部と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、付着物を効果的に除去することができる基板処理装置および基板処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するためのレイアウト図である。
図2】移載部3および基板変形部4を例示するための模式断面図である。
図3】洗浄部5を例示するための模式断面図である。
図4】(a)〜(c)は、移載部3から基板変形部4に処理前の基板100が受け渡される様子を例示するための模式図である。
図5】処理前の基板100の変形を例示するための模式図である。
図6】(a)、(b)は、他の実施形態に係る基板変形部40について例示をするための模式図である。
図7】他の実施形態に係る基板変形部41について例示をするための模式図である。
図8】他の実施形態に係る基板変形部43について例示をするための模式図である。
図9】他の実施形態に係る基板変形部42および洗浄部50について例示をするための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するためのレイアウト図である。
図2は、移載部3および基板変形部4を例示するための模式断面図である。
なお、図2は、図1におけるA−A線断面図である。
図3は、洗浄部5を例示するための模式断面図である。
なお、図3は、図1におけるB−B線断面図である。
【0009】
図1に示すように、基板処理装置1には、筐体2、移載部3、基板変形部4、洗浄部5、乾燥部6、搬送部7、収納部8、および制御部9が設けられている。
また、図2に示すように、基板100には、基部101と凹凸部102が設けられている。基部101は、板状を呈している。凹凸部102は、基部101の表面に設けられている。
基板100は、例えば、半導体ウェーハとすることができる。この場合、凹凸部102は回路パターンなどとすることができる。
また、基板100は、例えば、インプリント法に用いられるテンプレートとすることができる。この場合、凹凸部102は転写されるパターンなどとすることができる。
【0010】
また、図1に示すように、筐体2は、箱状を呈し、移載部3、基板変形部4、洗浄部5、乾燥部6、および搬送部7が内部に設けられている。
筐体2は、外部からのパーティクルの侵入を防ぐことができる程度の気密構造を有している。
なお、空気などのガス供給装置を設け、筐体2の内部の圧力が筐体2の外部の圧力より高くなるようにすることもできる。筐体2の内部の圧力が筐体2の外部の圧力より高くなるようにすれば、外部からのパーティクルの侵入を防ぐことが容易となる。
【0011】
また、図2に示すように、移載部3には、支持部3aおよび移動部3bが設けられている。
また、基板変形部4には、受け部4a、押さえ部4b、アーム部4c、移動部4d、ガス供給部4e、ガス制御部4fおよびアーム部4gが設けられている。
支持部3aは、柱状を呈している。支持部3aの一方の端部は、受け部4aの側に向けて延びている。支持部3aは、移動部3bに接続されている。
支持部3aは、基板100を支持する。支持部3aの数には特に限定はないが、支持部3aの数を3つ以上とすれば、支持された基板100の姿勢を安定させることができる。 移動部3bは、受け部4aに近づく方向または受け部4aから離れる方向に支持部3aを移動させる。移動部3bは、例えば、サーボモータなどの制御モータを備えたものとすることができる。
【0012】
本実施の形態においては、基板変形部4に設けられた押さえ部4bとガス供給部4eが、基板100の凹凸部102が設けられている側とは反対側に加わる圧力を増加させる加圧部となる。
受け部4aは、環状を呈している。受け部4aは、凹部4a1を有している。凹部4a1の底面4a3には基板100が載置される。この際、基板100の凹凸部102側が凹部4a1の底面4a3に載置される。
凹部4a1の底面4a3には、孔部4a2が設けられている。支持部3aは、孔部4a2を通って受け部4aから突出することができる。凹部4a1の側面4a4と底面4a3の間には、斜面4a5が設けられている。そのため、載置された基板100の位置決めを行うことができる。
【0013】
押さえ部4bは、板状を呈している。押さえ部4bの受け部4a側の面には凹部4b1が設けられている。凹部4b1は、基板100の凹凸部102が設けられている領域に対峙して設けられている。
凹部4b1の周縁を囲むようにOリング(オーリング)などの封止部材4b2が設けられている。封止部材4b2は、基板100と接触することで、凹部4b1を封止する。
【0014】
アーム部4cの一端は、押さえ部4bの凹部4b1が設けられている側とは反対側の面に接続されている。
アーム部4cの他端は、移動部4dに接続されている。
アーム部4gは、受け部4aの凹部4a1が設けられている側とは反対側の面に設けられている。
アーム部4gの他端は、移動部4dに接続されている。
【0015】
移動部4dは、アーム部4cおよびアーム部4gの少なくともいずれかを互いに近接する方向または互いに離れる方向に移動させる。すなわち、移動部4dは、基板100の保持と基板100の保持の解除を行う。
また、移動部4dは、アーム部4cおよびアーム部4gを移載部3の位置または洗浄部5の位置に移動させる。すなわち、移動部4dは、移載部3と洗浄部5との間における基板100の搬送を行う。
また、移動部4dは、アーム部4cおよびアーム部4gを洗浄部5の容器5aに近づける方向または容器5aから離す方向に移動させる。すなわち、移動部4dは、容器5aに収納された洗浄液5fに基板100を接触させる。または、移動部4dは、洗浄液5fから基板100を取り出す。
移動部4dは、例えば、サーボモータなどの制御モータを備えたものとすることができる。
後述する基板100の凹凸部102が容器5a内の洗浄液5fに接触して洗浄される場合には、アーム部4c、アーム部4g、および移動部4dは、容器5aと接触しないような形状および配置を有している。
【0016】
ガス供給部4eは、ガス制御部4fを介して凹部4b1の内部にガスを供給する。ガスの種類には特に限定はないが、例えば、空気や窒素ガスなどとすることができる。
ガス制御部4fは、ガス供給部4eから供給されるガスの圧力や流量を制御する。
基板100が保持されているときに、凹部4b1の内部にガスが供給されると凹部4b1の内圧が高くなるので、基板100を凸状に変形させることができる。この際、凹凸部102が設けられている側が突出するように変形するので、凸部同士の間が拡げられる。
すなわち、ガス制御部4fは基板100を弾性変形させることができる。
また、基板100の変形量、ひいては凸部同士の間の寸法は、ガス制御部4fによりガスの圧力や流量を制御することで変化させることができる。
なお、基板100の変形に関する詳細は後述する。
【0017】
図1および図3に示すように、洗浄部5には、容器5a、洗浄液収納部5b、洗浄液供給部5c、排出バルブ5d、および振動発生部5eが設けられている。
洗浄部5は、変形した基板100の凹凸部102に洗浄液5fを接触させる。
容器5aは、箱状を呈し、一方の端部が開口している。容器5aの内部には洗浄液5fが収納されている。そのため、容器5aの開口を介して、基板変形部4に保持された基板100を洗浄液5fに接触させることができる。なお、基板100の全体を洗浄液5fの中に入れる必要はなく、少なくとも凹凸部102が洗浄液5fに接触すればよい。
【0018】
洗浄液収納部5bは、洗浄液供給部5cを介して容器5aに接続されている。
洗浄液収納部5bは、洗浄液5fを収納する。
洗浄液5fは、基板100に付着している付着物110の材質などに応じて適宜選択することができる。
例えば、洗浄液5fは、純水とすることができる。
有機物を含む付着物110の場合には、洗浄液5fは、酸化性物質を含む溶液とすることができる。酸化性物質を含む溶液は、例えば、オゾン水、SPM(Sulfuric Acid Peroxide Mixture)溶液、アンモニア過酸化水素水(SC1洗浄に用いる溶液)などとすることができる。なお、SPM溶液は、硫酸と過酸化水素水の混合液である。アンモニア過酸化水素水は、アンモニア水と過酸化水素水と水の混合液である。
金属を含む付着物110の場合には、洗浄液5fは、塩酸過酸化水素水(SC2洗浄に用いる溶液)などとすることができる。なお、塩酸過酸化水素水は、塩酸と過酸化水素水と水の混合液である。
【0019】
洗浄液供給部5cは、洗浄液収納部5bに収納されている洗浄液5fを容器5aに供給する。
洗浄液供給部5cは、洗浄液5fに対する耐性を有するポンプなどとすることができる。洗浄液供給部5cは、例えば、ケミカルポンプなどとすることができる。
ただし、洗浄液供給部5cは、ポンプに限定されるわけではない。例えば、洗浄液供給部5cは、洗浄液収納部5bの内部にガスを供給し、洗浄液収納部5bの内部に収納された洗浄液5fを圧送するものとすることもできる。
【0020】
排出バルブ5dは、容器5aに接続されている。排出バルブ5dは、容器5aに収納されている洗浄液5fと除去された付着物110を排出する。排出バルブ5dは、例えば、開閉弁などとすることができる。排出バルブ5dは、配管を介して図示しない工場配管や回収装置などと接続することもできる。
【0021】
振動発生部5eは、容器5aに設けられている。振動発生部5eは、振動を発生する。振動発生部5eは、例えば、超音波振動発生装置などとすることができる。
なお、振動発生部5eは、容器5aおよび基板変形部4の少なくともいずれかに設けるようにすることができる。すなわち、振動発生部5eにより発生した振動が、洗浄液5fおよび基板100の少なくともいずれかに伝わるようにすればよい。
振動発生部5eは、必ずしも必要ではないが、振動発生部5eを設ければ、付着物110をより効果的に除去することができる。
【0022】
乾燥部6には、載置部6a、ノズル6b、移動部6c、ガス供給部6d、およびガス制御部6eが設けられている。
載置部6aには、基板100が載置される。この際、基板100の凹凸部102側がノズル6bの側に向くようにして載置される。また、載置部6aには回転機構が内蔵されており、載置された基板100を回転させる。載置部6aには、ヒータなどの加熱装置や、静電チャックなどの保持装置を内蔵させることもできる。
【0023】
ノズル6bは、載置部6aに載置された基板100に向けてガスを噴射する。
移動部6cは、ノズル6bの位置を変化させる。例えば、ガスを噴射させる際には、移動部6cは、ノズル6bが基板100の上方に位置するように移動させる。ガスの噴射が終了した際には、移動部6cは、ノズル6bが基板100の上方から退避するように移動させる。
ガス供給部6dは、ガス制御部6eを介してノズル6bにガスを供給する。ガスの種類には特に限定はないが、例えば、空気や窒素ガスなどとすることができる。
ガス制御部6eは、ガス供給部6dから供給されるガスの圧力や流量を制御する。
【0024】
搬送部7には、本体部7a、アーム部7b、および移動部7cが設けられている。
搬送部7は、収納部8と移載部3との間、基板変形部4と乾燥部6との間、および乾燥部6と収納部8との間における基板100の搬送を行う。
本体部7aは、移動部7cの上に設けられている。本体部7aの上にはアーム部7bが設けられている。本体部7aには回転機構が内蔵されており、アーム部7bの向きを変化させることができるようになっている。
【0025】
アーム部7bの一端には、保持装置が設けられており基板100を保持する。アーム部7bの他端は、本体部7aに設けられている。アーム部7bは、本体部7aから突出する方向または本体部7a側に戻る方向に移動する。すなわち、アーム部7bは、保持した基板100を収納部8側などに受け渡すことができるようになっている。また、アーム部7bは、収納部8側などから基板100を取り出すことができるようになっている。
移動部7cは、基板100の受け渡しのために本体部7aの位置、ひいては、アーム部7bの位置を移動させる。
【0026】
収納部8は、基板100を収納する。収納部8は、筐体2の側壁面に設けられた開口を覆うように取り付けられている。
収納部8は、複数の基板100を積層状(多段状)に収納可能なキャリアなどとすることができる。収納部8は、例えば、FOUP(Front-Opening Unified Pod)などとすることができる。FOUPは、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われている基板100の搬送、保管を目的とした正面開口式キャリアである。
【0027】
制御部9は、基板処理装置1に設けられている各要素の動作を制御する。
制御部9は、移動部3bを制御して、受け部4aに近づく方向または受け部4aから離れる方向に支持部3aを移動させる。
制御部9は、移動部4dを制御して、アーム部4cおよびアーム部4gの少なくともいずれかを互いに近接する方向または互いに離れる方向に移動させる。
制御部9は、移動部4dを制御して、アーム部4cおよびアーム部4gを移載部3の位置または洗浄部5の位置に移動させる。
【0028】
制御部9は、ガス供給部4eを制御して、凹部4b1の内部にガスを供給し、基板100を変形させる。
制御部9は、ガス制御部4fを制御して、基板100の変形量、ひいては凸部同士の間の寸法を制御する。
制御部9は、洗浄液供給部5cを制御して、洗浄液収納部5bに収納されている洗浄液5fを容器5aに供給する。
制御部9は、排出バルブ5dを制御して、容器5aに収納されている洗浄液5fと除去された付着物110を排出する。
制御部9は、振動発生部5eを制御して、洗浄液5fなどに振動を加える。
【0029】
制御部9は、ガス供給部6dを制御して、ノズル6bからガスを噴射させる。
制御部9は、ガス制御部6eを制御して、ノズル6bから噴射されるガスの流量や圧力などを変化させる。
制御部9は、移動部6cを制御して、ノズル6bの位置を変化させる。
制御部9は、載置部6aを制御して、載置部6aに載置されている基板100を回転させる。
【0030】
制御部9は、本体部7aを制御して、アーム部7bの向きを変化させる。
制御部9は、アーム部7bを制御して、アーム部7bを本体部7aから突出する方向または本体部7a側に戻る方向に移動する。
制御部9は、移動部7cを制御して、本体部7aの位置、ひいては、アーム部7bの位置を移動させる。
【0031】
次に、基板処理装置1の作用とともに、本実施の形態に係る基板処理方法について例示をする。
まず、搬送部7により、処理前の基板100が収納部8から取り出される。
次に、搬送部7により、処理前の基板100が移載部3の支持部3aに受け渡される。 次に、移載部3から基板変形部4に処理前の基板100が受け渡される。
【0032】
図4(a)〜(c)は、移載部3から基板変形部4に処理前の基板100が受け渡される様子を例示するための模式図である。
図5は、処理前の基板100の変形を例示するための模式図である。
【0033】
まず、図4(a)に示すように、移動部3bにより支持部3aを移動させて、支持部3aの端部を受け部4aから突出させる。
続いて、搬送部7から支持部3aの端部に処理前の基板100を受け渡す。
この際、凹凸部102側が受け部4aの側になるように処理前の基板100を受け渡す。
続いて、図4(b)に示すように、移動部3bにより支持部3aを移動させて、支持部3aを受け部4aから離す。
【0034】
続いて、図4(c)に示すように、移動部4dにより、アーム部4cおよびアーム部4gの少なくともいずれかを互いに近接する方向に移動させて、処理前の基板100を保持する。
この際、封止部材4b2が、処理前の基板100と接触することで、凹部4b1が封止される。
【0035】
次に、移動部4dにより、アーム部4cおよびアーム部4gを洗浄部5の位置に移動させる。
続いて、移動部4dにより、アーム部4cおよびアーム部4gを洗浄部5の容器5aに近づける方向に移動させて、処理前の基板100を洗浄液5fに接触させる。
次に、ガス供給部4eから凹部4b1の内部にガスを供給する。
凹部4b1の内部にガスが供給されると凹部4b1の内圧が高くなる。
【0036】
そのため、図5に示すように、処理前の基板100は、凹凸部102が設けられている側が突出するように変形する。
【0037】
すると、凸部同士の間が拡げられるので、凸部同士の間にある付着物110の除去が容易となる。
なお、ガス制御部4fにより、ガスの圧力や流量を制御することで、処理前の基板100の変形量、ひいては凸部同士の間の寸法を制御することもできる。
また、基板100の変形は、基板100を洗浄液5fに接触させる前に行ってもよい。例えば、基板100の変形は、基板100を保持することで凹部4b1が封止された後すぐに行ってもよい。
また、振動発生部5eにより、洗浄液5fおよび処理前の基板100の少なくともいずれかに振動を加える。
振動を加えるようにすれば、付着物110の除去がさらに容易となる。
【0038】
次に、移動部4dにより、アーム部4cおよびアーム部4gを洗浄部5の容器5aから離れる方向に移動させて、処理済みの基板100を洗浄液5fから取り出す。
この際、基板100の変形を解除した後、処理済みの基板100を洗浄液5fから取り出すこともできる。
例えば、押さえ部4bを基板100から一旦離れる方向に移動させることによって凹部4b1内の圧力を基板100の変形前に戻し、基板100の変形を解除する。その後、処理済みの基板100を洗浄液5fから取り出す。
続いて、移動部4dにより、アーム部4cおよびアーム部4gを移載部3の位置に移動させる。
次に、前述した手順とは逆の手順により、処理済みの基板100を搬送部7に受け渡す。
続いて、搬送部7により、処理済みの基板100が乾燥部6に受け渡される。
この際、図示しない反転装置により、処理済みの基板100を反転させ、凹凸部102が設けられている側がノズル6bの側に向くようにすることができる。
【0039】
次に、ガス供給部6dにより、ノズル6bから処理済みの基板100に向けてガスを噴射させる。
ガスを噴射させる際には、移動部6cにより、ノズル6bを基板100の上方に移動させる。
また、載置部6aにより、処理済みの基板100を回転させたり、載置部6aに内蔵されたヒータなどにより処理済みの基板100を加熱したりすることができる。
続いて、ガス供給部6dにより、ガスの噴射を停止させる。
また、移動部6cにより、ノズル6bを基板100の上方から退避させる。
【0040】
次に、搬送部7により、乾燥済みの基板100を乾燥部6から取り出す。
続いて、搬送部7により、乾燥済みの基板100を収納部8の内部に収納する。
以後、前述した手順を繰り返すことで、付着物110が付着した基板100を連続的に処理することができる。
【0041】
以上に説明したように、本実施の形態に係る基板処理方法は、凹凸部102が設けられている側が突出するように基板100を変形させる工程と、変形した基板100の凹凸部102に洗浄液5fを接触させる工程と、を備えている。
【0042】
次に、他の実施形態に係る基板変形部について例示をする。
図6(a)、(b)は、他の実施形態に係る基板変形部40について例示をするための模式図である。図6(a)は、基板100を変形させる前の状態、図6(b)は、基板100を変形させた後の状態を表している。
図6(a)、(b)に示すように、基板変形部40には、押圧部40a、支持部40b、および緩衝部40cが設けられている。
押圧部40aは、基板100の凹凸部102が設けられている側とは反対側の面を押す。
押圧部40aは、例えば、エアシリンダなどとすることができる。
図6(a)に示すように、押圧部40aが基板100を押す前は、基板100はほぼ平板状であるが、図6(b)に示すように、押圧部40aが基板100を押すことで、基板100は凹凸部102が設けられている側が突出するように変形する。
【0043】
支持部40bは、環状を呈し、基板100の周縁部分を支持する。
緩衝部40cは、支持部40bに設けられ、基板100の周縁部分に接触する。緩衝部40cは、ゴムなどの軟質材料から形成され、基板100に加えられた力により、基板100が損傷するのを抑制する。
また、押圧部40aおよび支持部40bのいずれかの位置を移動させて、基板100を押す位置を変化させる図示しない移動部を設けることもできる。
【0044】
図7は、他の実施形態に係る基板変形部41について例示をするための模式図である。 図7に示すように、基板変形部41には保持部41a、および移動部41bが設けられている。
保持部41aには、バキュームチャックなどの保持装置が設けられている。
保持部41aは、基板100の周縁部分を保持する。
移動部41bは、保持部41aの向きや位置を移動させる。
そして、移動部41bにより、保持部41aの向きや位置を移動させて、凹凸部102が設けられている側が突出するように基板100を変形させる。
【0045】
図8は、他の実施形態に係る基板変形部43について例示をするための模式図である。 図2図6図7に例示をした基板変形部は、基板100に外力を加えて、基板100を変形させる。
これに対して、基板変形部43は、基板100の両面間の熱膨張差を利用して基板100を変形させる。
【0046】
図8に示すように、基板変形部43には、加熱部43aおよび冷却部43bが設けられている。
加熱部43aは、基板100の凹凸部102が設けられている側を加熱する。
加熱部43aは、例えば、基板100の凹凸部102が設けられている側に、遠赤外線を照射するヒータなどとすることができる。
冷却部43bは、基板100の凹凸部102が設けられている側とは反対側を冷却する。
冷却部43bは、例えば、基板100の凹凸部102が設けられている側とは反対側に、冷却された媒体(例えば、ガスや液体)を噴射するものとすることができる。
【0047】
なお、加熱部43aおよび冷却部43bは、例示をしたものに限定されるわけではなく、基板100の温度を変化させることができるものであればよい。
例えば、加熱部43aは、加熱炉などであってもよい。
また、加熱温度および冷却温度の少なくともいずれかを制御することで、基板100の変形量、ひいては凸部同士の間の寸法を制御することができる。
加熱温度および冷却温度は、基板100の材料などに応じて適宜変更することができる。
例えば、基板100がインプリント法に用いられるテンプレートの場合には、基板100の材料は石英などとなる。
基板100の材料が石英の場合には、加熱温度は1000℃〜1200℃程度とすることができる。
また、加熱部43aおよび冷却部43bの少なくともいずれかが設けられるようにすればよい。
【0048】
図9は、他の実施形態に係る基板変形部42および洗浄部50について例示をするための模式図である。
図9に示すように、基板変形部42には、筐体42a、加圧部42b、および排出部42cが設けられている。
筐体42aは、箱状を呈し、気密構造を有している。
筐体42aの内部には仕切り部42a1が設けられている。
仕切り部42a1には、孔42a2が設けられている。
【0049】
孔42a2の周縁には、封止部材42dが設けられている。
封止部材42dは、例えば、Oリング(オーリング)などとすることができる。
基板100は、孔42a2を覆うように載置される。
この際、基板100の凹凸部102が、孔42a2により露出する。
また、基板100は、封止部材42dを介して載置されるので、基板100に損傷が生じるのを抑制することができる。
【0050】
基板100と仕切り部42a1により、基板100の凹凸部102が露出する側の空間42eと、基板100が載置される側の空間42fとが仕切られる。
【0051】
加圧部42bは、空間42fに接続されている。
加圧部42bは、空間42fにガスを供給することで、空間42fの圧力を増加させる。
すなわち、加圧部42bは、基板100の凹凸部102が設けられている側とは反対側に加わる圧力を増加させる。
排出部42cは、空間42eに接続されている。
排出部42cは、空間42eの排気を行う。
本実施の形態においては、排出部42cが、基板100の凹凸部102が設けられている側に加わる圧力を減少させる減圧部となる。
また、排出部42cは、噴射された洗浄液5fと除去された付着物110の排出をも行う。
【0052】
加圧部42bによる加圧と、排出部42cによる排気により、空間42fと空間42eの間に圧力差が生じる。
そのため、この圧力差により、凹凸部102が設けられている側が突出するように基板100が変形する。
【0053】
また、図9に示すように、洗浄部50には、ノズル50a、洗浄液収納部50b、および洗浄液供給部50cが設けられている。
洗浄部50は、変形した基板100の凹凸部102に洗浄液5fを接触させる。
ノズル50aは、基板100の凹凸部102が設けられている領域に向けて洗浄液5fを噴射する。
洗浄液収納部50bは、洗浄液5fを収納する。
洗浄液供給部50cは、洗浄液収納部50bに収納されている洗浄液5fをノズル50aに向けて供給する。洗浄液供給部50cは、例えば、ケミカルポンプなどとすることができる。ただし、洗浄液供給部50cは、ポンプに限定されるわけではない。例えば、洗浄液供給部50cは、洗浄液収納部50bの内部にガスを供給し、洗浄液収納部50bの内部に収納された洗浄液5fを圧送するものとすることもできる。
【0054】
基板100の凹凸部102が設けられている領域に向けて洗浄液5fを噴射することで、付着物110を除去することができる。この際、凸部同士の間が拡げられているので、凸部同士の間にある付着物110の除去が容易となる。
噴射された洗浄液5fと、除去された付着物110は、排出部42cにより排出される。
【0055】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、基板処理装置1などに設けられた各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、上記の実施例においては基板100の凹凸面を下に向けていたが、上に向けてもよい。この場合、基板100の反転を省略し、アーム部4cおよびアーム部4gの位置関係を逆転させることで、基板100の凹凸面を上に向けて凸状に変形させることができる。
また、基板100の凹凸部が基板100の両面に形成されている場合、両面の洗浄を行うようにしてもよい。この場合、基板100の一方の凹凸部の洗浄を行った後、基板100を反転させて、他方の凹凸部の洗浄を行うようにすることができる。
また、基板100の変形を繰り返しながら洗浄することもできる。
例えば、図2に例示をした基板変形部4の場合には、ガス制御部4fにより凹部4b1の内部に供給するガスの圧力を制御して、凹部4b1の内部の圧力の加圧と減圧を繰り返すことで、基板100の変形を繰り返しながら洗浄する。
なお、凹部4b1の内部のガスを吸引する吸引部をさらに設け、吸引部による凹部4b1の内部の圧力の減圧と、ガス供給部4eによる凹部4b1の内部の圧力の加圧とを繰り返すことで、基板100の変形を繰り返しながら洗浄することもできる。
また、図6(a)、(b)、図7に例示をした基板100に外力を加えて基板100を変形させる場合には、外力の印加と解除を繰り返すことで、基板100の変形を繰り返しながら洗浄することができる。
また、図8に例示をした基板100の両面間の熱膨張差を利用して基板100を変形させる場合には、加熱と冷却を繰り返すことで、基板100の変形を繰り返しながら洗浄することができる。
また、図9に例示をした基板100の表面側と裏面側との圧力差を利用して基板100を変形させる場合には、圧力差の拡大と縮小を繰り返すことで、基板100の変形を繰り返しながら洗浄することができる。
基板100の変形を繰り返しながら洗浄すれば、付着物110の除去効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 基板処理装置、2 筐体、3 移載部、4 基板変形部、4a 受け部、4b 押さえ部、4c アーム部、4d 移動部、4e ガス供給部、4fガス制御部、4g アーム部、5 洗浄部、5a 容器、5b 洗浄液収納部、5c 洗浄液供給部、5d 排出バルブ、5e 振動発生部、6 乾燥部、7 搬送部、8 収納部、9 制御部、40a 押圧部、41a 保持部、41b 移動部、42b 加圧部、42c 排出部、43a 加熱部、43b 冷却部、100 基板、101 基部、102 凹凸部、110 付着物
図1
図2
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図4
図5
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図7
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図9