特許第6289948号(P6289948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289948
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】遊技機の球流路構造
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   A63F7/02 324B
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-53372(P2014-53372)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-173868(P2015-173868A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】500077959
【氏名又は名称】株式会社MRD
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 雄城
【審査官】 柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−131630(JP,A)
【文献】 特開平09−084945(JP,A)
【文献】 特開2003−340068(JP,A)
【文献】 特開2000−140313(JP,A)
【文献】 特開平09−239117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に伸びる2条の球流路からなり、該2条の球流路をそれぞれ流下する遊技球における、該遊技球の流下方向に直交する方向の球中心間の幅が、遊技球の1球分以上の幅から、遊技球の半球分以上1球分未満の幅に絞られた第1球整流部と、
該第1球整流部の下流側端部において、略水平方向から上下方向に曲がった状態で形成されて、上記球中心間の幅が、遊技球の半球分以上1球分未満の幅に保たれた屈曲球流路部と、
該屈曲球流路部の下流側端部に繋がって上下方向に伸びる状態で形成されて、上記球中心間の幅がさらに絞られて、遊技球が1条の状態で流下する第2球整流部と、を備え
上記2条の球流路は、遊技球の流下方向に略平行な一対の側壁の間に設けられた仕切壁によって仕切られており、
上記第1球整流部は、上記仕切壁の高さが遊技球の半球分以上の高さに形成されて、上記球中心間の幅が、遊技球の1球分以上の幅に形成された上流側第1球整流部と、
該上流側第1球整流部の下流側端部に繋がって形成され、上記仕切壁の高さが遊技球の半球分未満の高さに変化した下流側第1球整流部と、によって構成されており、
該下流側第1球整流部は、一方の上記側壁の内壁面と他方の上記側壁の内壁面との間の側壁間隔が上流側から下流側に向けて傾斜状に絞られた第1絞り部と、
該第1絞り部の下流側端部に繋がって形成されて、上記側壁間隔が略一定である平行部と、
該平行部の下流側端部に繋がって形成されて、上記側壁間隔が上流側から下流側に向けて傾斜状にさらに絞られた第2絞り部と、によって構成されており、
上記平行部を構成する上記他方の側壁の内壁面は、上記球流路の底面に近づくほど上記側壁間隔が狭くなるよう傾斜しており、該他方の側壁の内壁面の傾斜角度は、上流側から下流側に向けて急勾配になるよう変化していることを特徴とする遊技機の球流路構造。
【請求項2】
上記2条の球流路は、上記一方の側壁と上記仕切壁との間に形成されて、上記一方の側壁に沿って直線状に遊技球を流下させるための主流路と、上記他方の側壁と上記仕切壁との間に形成されて、上記主流路を流下する遊技球の間に割り込ませて遊技球を流下させるための副流路と、によって構成されており、
上記第1絞り部及び上記第2絞り部においては、上記一方の側壁の内壁面に対して、上記他方の側壁の内壁面が接近することによって上記側壁間隔が絞られており、
遊技球の流下方向に直交する断面において、上記下流側第1球整流部を構成する上記主流路の底面の位置は、上記下流側第1球整流部を構成する上記副流路の底面の位置よりも低くなっており、
上記副流路における上記屈曲球流路部の形成開始位置は、上記主流路における上記屈曲球流路部の形成開始位置よりも上流側に位置していることを特徴とする請求項に記載の遊技機の球流路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を2条から1条に収斂して流下させる遊技機の球流路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機においては、遊技球を貯留する球タンクから、タンクレール等の球流路を経由させて球払出装置へ遊技球を流下させている。球流路においては、遊技球の流れを2条から1条に収斂することが行われている。
例えば、特許文献1のパチンコ機の球誘導樋においては、球タンクからパチンコ球を整列して球払出装置に導く供給通路に補助通路を併設することが開示されている。この球誘導樋においては、球詰まりの防止を目的として、供給通路を緩やかに下降傾斜する状態に形成する一方、補助通路を水平状態に形成している。そして、補助通路の底壁を供給通路側に傾斜させている。
【0003】
また、例えば、特許文献2のパチンコ機のパチンコ球整流装置においては、隔壁により区画する2条の球通路と、一方の球通路から他方の球通路へパチンコ球を流入案内する導通路と、導通路から下流側にパチンコ球が1条で一列に整列される送出路とを形成することが開示されている。このパチンコ球整流装置においては、上下方向に形成された2条の球通路において、一方の球通路のパチンコ球を、他方の球通路のパチンコ球へ1球おきに流入案内している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−233055号公報
【特許文献2】特開平9−239118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今の遊技機においては、遊技盤に形成される遊技領域の更なる拡大を目的として、遊技機の本体枠において、遊技盤の裏面側に配設される球流路の占めるスペースをできるだけ小さくすることが求められている。また、この要求を満たしつつ、遊技球の流れを2条から1条に、球詰まりを発生させることなく滑らかに収斂させる構造も求められる。
しかしながら、従来の球流路においては、特許文献1に示されるように、水平方向に遊技球を流下させる際に、遊技球の流れを2条から1条に収斂するか、特許文献2に示されるように、上下方向に遊技球を流下させる際に、遊技球の流れを2条から1条に収斂している。そのため、遊技球の流れを、球詰まりを発生させることなく2条から1条へ緩やかに絞ることが困難である。そして、球詰まりを防止しつつ、適切に2条から1条に収斂するためには、特に水平方向への球流下構造においては、水平方向に遊技球を流下させる球流路の部分の傾斜角度を大きくして、遊技球が流下する勢いを増加させる必要が生じる。その結果、遊技盤の裏面側において球流路が占める領域が大きくなってしまい、遊技盤を配置するための、遊技機における裏面側の開口領域を拡大することが難しくなる。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、遊技機における、遊技盤を配置するための裏面側の開口領域を拡大することができる遊技機の球流路構造を提供しようとして得られたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、略水平方向に伸びる2条の球流路からなり、該2条の球流路をそれぞれ流下する遊技球における、該遊技球の流下方向に直交する方向の球中心間の幅が、遊技球の1球分以上の幅から、遊技球の半球分以上1球分未満の幅に絞られた第1球整流部と、
該第1球整流部の下流側端部において、略水平方向から上下方向に曲がった状態で形成されて、上記球中心間の幅が、遊技球の半球分以上1球分未満の幅に保たれた屈曲球流路部と、
該屈曲球流路部の下流側端部に繋がって上下方向に伸びる状態で形成されて、上記球中心間の幅がさらに絞られて、遊技球が1条の状態で流下する第2球整流部と、を備え
上記2条の球流路は、遊技球の流下方向に略平行な一対の側壁の間に設けられた仕切壁によって仕切られており、
上記第1球整流部は、上記仕切壁の高さが遊技球の半球分以上の高さに形成されて、上記球中心間の幅が、遊技球の1球分以上の幅に形成された上流側第1球整流部と、
該上流側第1球整流部の下流側端部に繋がって形成され、上記仕切壁の高さが遊技球の半球分未満の高さに変化した下流側第1球整流部と、によって構成されており、
該下流側第1球整流部は、一方の上記側壁の内壁面と他方の上記側壁の内壁面との間の側壁間隔が上流側から下流側に向けて傾斜状に絞られた第1絞り部と、
該第1絞り部の下流側端部に繋がって形成されて、上記側壁間隔が略一定である平行部と、
該平行部の下流側端部に繋がって形成されて、上記側壁間隔が上流側から下流側に向けて傾斜状にさらに絞られた第2絞り部と、によって構成されており、
上記平行部を構成する上記他方の側壁の内壁面は、上記球流路の底面に近づくほど上記側壁間隔が狭くなるよう傾斜しており、該他方の側壁の内壁面の傾斜角度は、上流側から下流側に向けて急勾配になるよう変化していることを特徴とする遊技機の球流路構造にある。
【発明の効果】
【0008】
上記遊技機の球流路構造においては、遊技球の流れが略水平方向から上下方向に変化するコーナー部分(詳しくは角隅部の領域)を利用して、遊技球の流れを2条から1条に収斂している。
具体的には、略水平方向に伸びる第1球整流部と上下方向に伸びる第2球整流部とにおいて遊技球の流れを収斂する際に、第1球整流部において2条から1条への収斂における略半分の収斂を行い(前半収斂)、第2球整流部において残りの略半分の収斂を行っている(後半収斂)。
【0009】
第1球整流部においては、2条の球流路を流下する遊技球における、遊技球の流下方向に直交する方向の球中心間の幅が、遊技球の1球分以上の幅から、遊技球の半球分以上1球分未満の幅に絞られている。これにより、遊技球の流れが、2条の流下状態から1条の流下状態に近づくように緩やかに絞られた前半収斂が行われる。
また、第2球整流部においては、球中心間の幅がさらに絞られており、遊技球の流れが1条の流下状態になる。これにより、遊技球の流れが、さらに絞られて1条の流下状態になる後半収斂が行われる。そして、屈曲球流路部においては、前半収斂から後半収斂への中継としての収斂が行われる。
【0010】
こうして、球流路構造においては、遊技球の流れの2条から1条への収斂を、略水平方向に伸びる第1球整流部と、上下方向に伸びる第2球整流部とに分散させて行うことができる。また、第1球整流部と第2球整流部との間に形成された屈曲球流路部を、遊技球の流れの収斂に利用することができる。
そのため、略水平方向に伸びる第1球整流部の下降傾斜角度を、水平状態に近い角度にすることができる。その結果、第1球整流部が遊技機の上下方向に占有するスペースを極力小さくすることができる。
それ故、上記遊技機の球流路構造によれば、遊技機における、遊技盤を配置するための裏面側の開口領域を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例にかかる、球流路構造を上方から見た状態で示す断面説明図。
図2】実施例にかかる、球流路構造を後方から見た状態で示す断面説明図。
図3】実施例にかかる、球流路構造を側方から見た状態で示す断面説明図。
図4】実施例にかかる、球流路構造が設けられた裏機構部を、後方から見た状態で示す断面説明図。
図5】実施例にかかる、球流路構造が設けられた裏機構部を、上方から見た状態で示す説明図。
図6】実施例にかかる、球流路構造における平行部の上流側端部を側方から見た状態で示す図で、図2におけるX−X線断面説明図。
図7】実施例にかかる、球流路構造における平行部の下流側端部を側方から見た状態で示す図で、図2におけるY−Y線断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述した遊技機の球流路構造における好ましい実施の形態について説明する。
上記遊技機の球流路構造においては、上記2条の球流路は、遊技球の流下方向に略平行な一対の側壁の間に設けられた仕切壁によって仕切られており、上記第1球整流部は、上記仕切壁の高さが遊技球の半球分以上の高さに形成されて、上記球中心間の幅が、遊技球の1球分以上の幅に形成された上流側第1球整流部と、該上流側第1球整流部の下流側端部に繋がって形成され、上記仕切壁の高さが遊技球の半球分未満の高さに変化した下流側第1球整流部と、によって構成されており、該下流側第1球整流部は、一方の上記側壁の内壁面と他方の上記側壁の内壁面との間の側壁間隔が上流側から下流側に向けて傾斜状に絞られた第1絞り部と、該第1絞り部の下流側端部に繋がって形成されて、上記側壁間隔が略一定である平行部と、該平行部の下流側端部に繋がって形成されて、上記側壁間隔が上流側から下流側に向けて傾斜状にさらに絞られた第2絞り部と、によって構成されており、上記平行部を構成する上記他方の側壁の内壁面は、上記球流路の底面に近づくほど上記側壁間隔が狭くなるよう傾斜しており、該他方の側壁の内壁面の傾斜角度は、上流側から下流側に向けて急勾配になるよう変化してい
【0013】
1球整流部は、2条の球流路を仕切る仕切壁の高さが変化する部分によって、上流側第1球整流部と下流側第1球整流部とに分けられる。そして、下流側第1球整流部は、第1絞り部、平行部及び第2絞り部によって構成することにより、遊技球の流れが急激に絞られることを回避している。
ところで、球詰まりの発生を防止して遊技球の流れを2条から1条に合流させるためには、一方の側壁側の球流路において前後に流れる遊技球の間に、他方の側壁側の球流路において流れる遊技球が1球ずつ割り込むことが好ましい。
【0014】
そこで、まず、第1絞り部において遊技球の流れが一旦絞られて、一方の側壁側の球流路を流れる遊技球に対して、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球が接近する。次いで、平行部において、一方の側壁側の球流路における遊技球と、他方の側壁側の球流路における遊技球とが並行して流下する。これにより、一方の側壁側の球流路を流れる遊技球に対して、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球が急激に接近することを防止して、一方の側壁側の球流路を流れる遊技球の流下位置と、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球の流下位置とが流下方向の前後にずれやすくすることができる。そして、平行部における下流側に行くに連れて、一方の側壁側の球流路において前後に流れる遊技球の間のスペースに、他方の側壁側の球流路において流れる遊技球が1球ずつ配置される状態が形成される。
【0015】
その後、第2絞り部において遊技球の流れがさらに絞られて、一方の側壁側の球流路を流れる遊技球の流下位置と、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球の流下位置とが遊技球の流下方向において略半球分以上ずれる状態に変化する。
こうして、第1絞り部、平行部及び第2絞り部によって遊技球の流れを絞ることにより、球詰まりの発生を防止して、遊技球の流れを2条から1条に近くなる状態に収斂することができる。
【0016】
また、平行部を構成する他方の側壁の内壁面は、球流路の底面に近づくほど側壁間隔が狭くなるよう内側に傾斜している。この他方の側壁の内壁面の傾斜により、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球を一方の側壁側の球流路に近づけるとともに、球詰まりが生じそうになったときには、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球が上方へ逃げやすくすることができる。これにより、球詰まりが生じにくくすることができる。
【0017】
また、上記のごとく、平行部における下流側に行くに連れて、一方の側壁側の球流路を流れる遊技球と、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球とが略半球分ずつ交互に流れる状態が形成されていく。そこで、平行部を構成する他方の側壁の内壁面の傾斜角度は、上流側から下流側に向けて急勾配になるよう変化させている。これにより、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球が、下流側に行くに連れて上方へ逃げにくくなる。そのため、一方の側壁側の球流路を流れる遊技球と、他方の側壁側の球流路を流れる遊技球とが略半球分ずつずれながら交互に流れる状態が形成された後には、この遊技球の整流状態が崩れにくく、かつ球詰まりが生じにくくすることができる。
【0018】
また、仕切壁の高さが遊技球の半球分未満の高さに変化した下流側第1球整流部とは、仕切壁がなくなる場合(仕切壁の高さがゼロの場合)も含む。すなわち、上流側第1球整流部に設けられた仕切壁は、下流側第1球整流部において、なくなるように変化していてもよい。
【0019】
また、上記2条の球流路は、上記一方の側壁と上記仕切壁との間に形成されて、上記一方の側壁に沿って直線状に遊技球を流下させるための主流路と、上記他方の側壁と上記仕切壁との間に形成されて、上記主流路を流下する遊技球の間に割り込ませて遊技球を流下させるための副流路と、によって構成されており、上記第1絞り部及び上記第2絞り部においては、上記一方の側壁の内壁面に対して、上記他方の側壁の内壁面が接近することによって上記側壁間隔が絞られており、遊技球の流下方向に直交する断面において、上記下流側第1球整流部を構成する上記主流路の底面の位置は、上記下流側第1球整流部を構成する上記副流路の底面の位置よりも低くなっており、上記副流路における上記屈曲球流路部の形成開始位置は、上記主流路における上記屈曲球流路部の形成開始位置よりも上流側に位置していてもよい。
【0020】
この場合には、主流路における遊技球の流れの整流状態を基準として、副流路を流れる遊技球を、規則的に主流路を流れる遊技球の間に割り込ませることができる。
また、遊技球の流下方向に直交する断面において、下流側第1球整流部を構成する主流路の底面の位置を、下流側第1球整流部を構成する副流路の底面の位置よりも低くしている。これにより、他方の側壁側の球流路である副流路を流れる遊技球の高さ位置が、一方の側壁側の球流路である主流路を流れる遊技球の高さ位置よりも高くなる。そのため、副流路を流れる遊技球を、その自重を利用して、主流路を流れる遊技球に対する斜め上方から、主流路を前後に流れる遊技球の間に割り込みやすくすることができる。
【0021】
また、主流路を流れる遊技球は、一方の側壁に沿って直線状に流下するために、特に、屈曲球流路部においては、副流路を流れる遊技球に比べて速く下方へ向けて流下しようとする。そこで、副流路における屈曲球流路部の形成開始位置は、主流路における屈曲球流路部の形成開始位置よりも上流側に位置させている。これにより、屈曲球流路部において、副流路を流れる遊技球の下方への流下を、主流路を流れる遊技球に比べて先に開始させることができる。そのため、屈曲球流路部において、主流路における遊技球の下方への流下タイミングと、副流路における遊技球の下方への流下タイミングとのバランスを適切にして、主流路を前後に流れる遊技球の間への副流路からの遊技球の割り込みを円滑にすることができる。
【実施例】
【0022】
以下に、遊技機の球流路構造にかかる実施例について、図面を参照して説明する。
本例の遊技機の球流路構造1は、図1図2に示すように、第1球整流部2,3、屈曲球流路部4及び第2球整流部5を備えている。第1球整流部2,3は、略水平方向に伸びる2条の球流路11,12からなる。第1球整流部2,3においては、2条の球流路11,12をそれぞれ流下する遊技球Bにおける、遊技球Bの流下方向Lに直交する方向Wの球中心間の幅が、遊技球Bの1球分以上の幅W1から、遊技球Bの半球分以上1球分未満の幅W2に絞られている。
【0023】
屈曲球流路部4は、下流側第1球整流部3の下流側端部において、略水平方向から上下方向に曲がった状態で形成されている。屈曲球流路部4においては、球中心間の幅が、遊技球Bの半球分以上1球分未満の幅W2に保たれている。図2図3に示すように、第2球整流部5は、屈曲球流路部4の下流側端部に繋がって上下方向に伸びる状態で形成されている。第2球整流部5においては、球中心間の幅がさらに絞られて、遊技球Bが1条の状態で流下する。
【0024】
以下に、本例の遊技機の球流路構造1について、図1図7を参照して詳説する。
図4に示すように、本例の遊技機はパチンコ遊技機であり、球流路構造1は、遊技機における上方部の略中央位置から一方の側部まで形成されている。遊技機は、遊技盤が設けられた本体枠6と、本体枠6の裏側に設けられた裏機構部600とを有している。球流路構造1は、本体枠6の上枠部601において裏機構部600の一部として形成された球タンク7内の遊技球Bを、本体枠6の一方の側枠部602の下方位置において裏機構部600の一部として形成された球払出装置61まで流下させるよう構成されている。なお、同図は、本体枠6を後方(裏面側)から見た状態で示す。
【0025】
本体枠6には、遊技盤及び遊技盤に設けられた画像表示装置等の機能部品を配置するための開口領域60が形成されている。この開口領域60は、球タンク7等が設けられた上枠部601、一対の側枠部602,603、及び下枠部604によって囲まれて形成されている。球流下構造1は、上枠部601の略中央位置から一方の側枠部602にかけて設けられている。下枠部604には、制御装置等が設けられている。
【0026】
球流路構造1における第2球整流部5の下方には、遊技球Bを1条の状態で流下させる側部球流路53が繋がっている。球流路構造1は、第1球整流部2,3、屈曲球流路部4及び第2球整流部5において遊技球Bの流れを2条から1条に収斂し、側部球流路53において1条の状態で遊技球Bを流下させる。球払出装置61は、1条の状態で流下する遊技球Bを1球ずつ整流して払い出すよう構成されている。
【0027】
図1に示すように、第1球整流部2,3を構成する2条の球流路11,12は、遊技球Bの流下方向Lに略平行な一対の側壁111,121と、一対の側壁111,121の間に設けられた仕切壁13とによって2条に仕切られている。2条の球流路11,12は、一方の側壁111と仕切壁13との間に形成された主流路11と、他方の側壁121と仕切壁13との間に形成された副流路12とによって構成されている。主流路11は、一方の側壁111に沿って直線状に遊技球Bを流下させるよう構成されている。副流路12は、主流路11を流下する遊技球Bの間に割り込ませて遊技球Bを流下させるよう構成されている。
【0028】
図5に示すように、本例の主流路11は、裏機構部600の前後方向に並んで形成された2条の球流路11,12における後方側に配置されており、本例の副流路12は、主流路11の前方側に隣接して配置されている。球流路構造1は、遊技機を正面視した場合において、裏機構部600の左上部及び左側部であって裏機構部600の後端部分に設けられている。図1図5において、裏機構部600における前方を符号Fによって示す。
ここで、主流路11と副流路12とは、第1球整流部2,3から屈曲球流路部4を経由して第2球整流部5まで形成されている。そして、「2条の球流路11,12」とは、球流路が2条に独立して形成されている状態だけを意味するのではなく、球流路が2条から1条に収斂される過程の状態も含むことを意味する。
【0029】
球タンク7は、遊技機を正面視した場合において、裏機構部600の右上部付近に設けられており、球タンク7から球流路構造1までは、繋ぎ流路部73によって繋がっている。球タンク7は、右上部付近に設けられて、右側から左側へ遊技球Bを流下させるメインタンク部71と、メインタンク部71に左側から対向して、左側から右側へ遊技球Bを流下させるサブタンク部72とを有している。メインタンク部71及びサブタンク部72は、裏機構部600における球流路構造1の前後方向における配設位置よりも前方側に配置されている。サブタンク部72における遊技球Bは、左側から右側へ流下して繋ぎ流路部73へ流下した後には、繋ぎ流路部73において右側から左側へ折り返して流下する。
【0030】
図5に示すように、メインタンク部71を構成する後端側壁711は、繋ぎ流路部73を構成する後端側壁731に繋がっており、繋ぎ流路部73を構成する後端側壁731は、主流路11を構成する一方の側壁111に繋がっている。メインタンク部71及びサブタンク部72から繋ぎ流路部73へ流下する遊技球Bは、特に、流下する遊技球Bの数が少ないとき、又は遊技球Bがばらけて流下するときには、後端側壁711,731に沿って流下する。そして、遊技機は、通常、遊技場の島設備等に設置される際に、若干の後ろ勾配を形成する状態で設置される。そのため、メインタンク部71及びサブタンク部72における遊技球Bは、副流路12に比べて主流路11へ流れやすくなっている。
【0031】
図1図2に示すように、第1球整流部2,3は、上流側第1球整流部2と、その下流側端部に繋がって形成された下流側第1球整流部3とによって構成されている。上流側第1球整流部2における仕切壁13の高さは、遊技球Bの半球分以上の高さに形成されている。上流側第1球整流部2における幅方向Wの球中心間の幅は、遊技球Bの1球分以上の幅W1に形成されている。上流側第1球整流部2においては、主流路11を流れる遊技球Bと、副流路12を流れる遊技球Bとが完全に独立して流下する。
【0032】
下流側第1球整流部3においては、上流側第1球整流部2に設けられた仕切壁13がなくなっている。なお、仕切壁13は、下流側第1球整流部3において、遊技球Bの半球分未満の高さに変化して形成されていてもよい。下流側第1球整流部3における幅方向Wの球中心間の幅は、遊技球Bの半球分以上1球分未満の幅W2に形成されている。下流側第1球整流部3においては、主流路11を流れる遊技球Bと、副流路12を流れる遊技球Bとが幅方向Wに重なり合いながら流下する。
【0033】
図1図2に示すように、下流側第1球整流部3は、第1絞り部31と、第1絞り部31の下流側端部に繋がる平行部32と、平行部32の下流側端部に繋がる第2絞り部33とによって構成されている。第1絞り部31は、一方の側壁111の内壁面112と他方の側壁121の内壁面122との間の側壁間隔W3が、上流側から下流側に向けて傾斜状に絞られて形成されている。第1絞り部31の側壁間隔W3は、一方の側壁111の内壁面112に対して、他方の側壁121の内壁面122が傾斜状に接近することによって絞られている。
【0034】
平行部32における一方の側壁111と他方の側壁121とは互いに平行に形成されており、平行部32における、一方の側壁111の内壁面112と他方の側壁121の内壁面122との間の側壁間隔W3は略一定である。第2絞り部33は、一方の側壁111の内壁面112と他方の側壁121の内壁面122との間の側壁間隔W3が、上流側から下流側に向けて傾斜状にさらに絞られて形成されている。第2絞り部33の側壁間隔W3は、一方の側壁111の内壁面112に対して、他方の側壁121の内壁面122が傾斜状に接近することによって絞られている。
【0035】
図1に示すように、第1球整流部2,3は、2条の球流路11,12を仕切る仕切壁13の高さが変化する部分を境界にして、上流側第1球整流部2と下流側第1球整流部3とに分けられる。そして、第1絞り部31、平行部32及び第2絞り部33によって下流側第1球整流部3を構成することにより、遊技球Bの流れが急激に絞られることを回避している。
【0036】
ところで、球詰まりの発生を防止して遊技球Bの流れを2条から1条に合流させるためには、主流路11において前後に流れる遊技球Bの間に、副流路12において流れる遊技球Bが1球ずつ割り込むことが好ましい。
そこで、まず、第1絞り部31において遊技球Bの流れが一旦絞られて、主流路11を流れる遊技球Bに対して、副流路12を流れる遊技球Bが接近する。次いで、平行部32において、主流路11における遊技球Bと、副流路12における遊技球Bとが並行して流下する。これにより、主流路11を流れる遊技球Bに対して、副流路12を流れる遊技球Bが急激に接近することを防止して、主流路11を流れる遊技球Bの流下位置と、副流路12を流れる遊技球Bの流下位置とが、その遊技球の流下方向において前後にずれやすくすることができる。そして、平行部32の下流側に行くに連れて、主流路11において前後に流れる遊技球Bの間のスペースSに、副流路12において流れる遊技球Bが1球ずつ配置される状態が形成される。
【0037】
その後、図2に示すように、第2絞り部33において遊技球Bの流れがさらに絞られて、主流路11を流れる遊技球Bの流下位置と、副流路12を流れる遊技球Bの流下位置とが、その遊技球Bの流れの前後方向において略半球分以上ずれる状態に変化する。
こうして、第1絞り部31、平行部32及び第2絞り部33によって遊技球Bの流れを絞ることにより、球詰まりの発生を防止して、遊技球Bの流れを2条から1条に近くなる状態に収斂することができる(前半収斂)。
【0038】
図2図6図7に示すように、第1球整流部2,3、屈曲球流路部4及び第2球整流部5は、いずれも筒状に形成されている。第1球整流部2,3及び屈曲球流路部4は、一対の側壁111,121、底部14及び仕切壁13を形成する流路部材16の上に、天井部15を形成する蓋部材17を設けて構成されている。下流側整流部3における主流路11側の底面141は、上流側の段差部113、及び主流路11と副流路12との間の段差部114によって、上流側整流部2及び下流側整流部3における副流路12側の底面142から遊技球Bの略球半分未満の寸法分だけ陥没している。
【0039】
遊技球Bの流下方向Lに直交する断面において、下流側第1球整流部3を構成する主流路11の底面141の位置は、下流側第1球整流部3を構成する副流路12の底面142の位置よりも低くなっている。また、下流側第1球整流部3を構成する主流路11の底面141と、下流側第1球整流部3を構成する副流路12の底面142とは、互いに略平行な状態で形成されている。これにより、副流路12を流れる遊技球Bの高さ位置が、主流路11を流れる遊技球Bの高さ位置よりも高くなる。そのため、副流路12を流れる遊技球Bを、その自重を利用して、主流路11を流れる遊技球Bに対する斜め上方から、主流路11を流下方向の前後に流れる遊技球Bの間に割り込みやすくすることができる。
【0040】
また、下流側第1球整流部3の天井部15を構成する蓋部材17の部分には、主流路11の形成位置に対応して、下方へ陥没する陥没部171が形成されている。陥没部171の形成によって、遊技球Bの流下方向Lに直交する断面において、下流側第1球整流部3を構成する主流路11の天井面151の位置は、下流側第1球整流部3を構成する副流路12の天井面152の位置よりも低くなっている。また、陥没部171が形成されていることによって、主流路11と副流路12との境界部分の空間高さH1は、遊技球Bの1球分未満の高さになっている。
【0041】
そして、下流側第1球整流部3における主流路11と副流路12とを流下する遊技球Bは、幅方向Wに重なり合って流下しながらも、不要に主流路11と副流路12との間で混流しないようになっている。この混流とは、例えば、副流路12を流下する遊技球Bが、主流路11へと移動してしまうような流下現象のことをいう。そして、上記主流路11と副流路12との構成により、不必要に(必要以上には)遊技球Bが収斂されず、目的とする遊技球Bの収斂構造を適切に形成することができる。
なお、下流側第1球整流部3において、遊技球Bの半球分未満の高さの仕切壁131(図6図7において破線で示す。)が形成されている場合には、この仕切壁131と陥没部171とによって、主流路11と副流路12との境界部分の空間高さH1が遊技球Bの1球分未満の高さになっていてもよい。
【0042】
また、図6図7に示すように、平行部32を構成する他方の側壁121の内壁面122の下側部分は、副流路12の底面142に近づくほど側壁間隔W3が狭くなるよう内側へ傾斜している。そして、この内側へ傾斜する内壁面122の下側部分、及び上述した段差部114による主流路11の底面141と副流路12の底面142との高さ位置の段差構造によって、副流路12を流れる遊技球Bを、主流路11の側へ寄せて、主流路11を流れる遊技球Bと幅方向Wに重なりながら流下させることができる。また、平行部32において球詰まりが生じそうになったときには、副流路12を流れる遊技球Bが上方へ逃げやすくする(上昇移動しやすくする)ことができる。これにより、球詰まりが生じにくくすることができる。
【0043】
また、平行部32を構成する他方の側壁121の内壁面122の下側部分の傾斜角度θ1,θ2は、平行部32における上流側から下流側に向けて徐々に急勾配になるよう変化している。図6に示すように、平行部32の上流側端部における内壁面122の下側部分の傾斜角度θ1は、60°程度であり、図7に示すように、平行部32の下流側端部における内壁面122の下側部分の傾斜角度θ2は、80°程度である。上記傾斜角度θ1,θ2の変化があることにより、副流路12を流れる遊技球Bが、平行部32の下流側に行くに連れて上方へ逃げにくくなるとともに、副流路12における底面142の幅が、平行部32の下流側に行くに連れて徐々に広くなるように構成されている。
【0044】
そのため、平行部3における前半収斂を、2つの遊技球Bの合流構成を適切に形成、維持しつつ、主流路11を流れる遊技球Bと、副流路12を流れる遊技球Bとが、遊技球Bの流れの前後方向において略半球分ずつずれながら交互に流れる状態が形成された後には、この遊技球Bの整流状態が崩れにくく、かつ球詰まりが生じにくくすることができる。
なお、副流路12における平行部32の下流側端部を流れる遊技球Bは、副流路12における平行部32の上流側端部を流れる遊技球Bと比較して、若干主流路11側に収斂される。
【0045】
図2に示すように、屈曲球流路部4は、底面141,142が略90°分の円弧形状(R形状)に形成されている。屈曲球流路部4における、副流路12を形成する側の底面142の曲率半径は、屈曲球流路部4における、主流路11を形成する側の底面141の曲率半径よりも大きくなっている。そして、副流路12における屈曲球流路部4の形成開始位置X2(屈曲球流路部4における、副流路12を形成する側の円弧形状の底面142の形成開始位置)は、主流路11における屈曲球流路部4の形成開始位置X1(屈曲球流路部4における、主流路11を形成する側の円弧形状の底面141の形成開始位置)よりも上流側に位置している(図1参照)。
なお、本例においては、副流路12における屈曲球流路部4の形成開始位置X2は、第2絞り部33の流路領域内に形成されている。また、副流路12の側壁121の一部は、屈曲球流路部4の上流端部において、若干の収斂形状を有している。
【0046】
ところで、主流路11を流れる遊技球Bは、一方の側壁111に沿って直線状に流下するために、特に、屈曲球流路部4においては、副流路12を流れる遊技球Bに比べて速く流下しようとする。そこで、副流路12における屈曲球流路部4の形成開始位置X2が、主流路11における屈曲球流路部4の形成開始位置X1よりも上流側に位置していることにより、屈曲球流路部4において、副流路12を流れる遊技球Bの下方への流下を、主流路11を流れる遊技球Bに比べて先に開始させることができる。そのため、屈曲球流路部4において、主流路11における遊技球Bの下方への流下タイミングと、副流路12における遊技球Bの下方への流下タイミングとのバランスを適切にして、主流路11を前後に流れる遊技球Bの間へ、副流路12から遊技球Bが円滑に割り込むようにすることができる。
【0047】
図2に示すように、第1球整流部2,3及び屈曲球流路部4の一対の側壁111,121、底部14、仕切壁13を形成する流路部材16の下方位置(詳しくは底部14の直下の位置)には、裏機構部600内のメンテナンス等を行う際に、主流路11及び副流路12における遊技球Bの流下を停止させることができる球止め部材62が設けられている。球止め部材62は、流路部材16に対してL方向にスライド可能に設けられている。球止め部材62は、屈曲球流路部4の下流端部に形成された挿入穴161に挿入可能な挿入突起部621を有している。そして、球止め部材62をスライドさせて、挿入突起部621を挿入穴161に挿入するとともに、挿入突起部621を屈曲球流路部4の領域内へと突出させる。これにより、挿入突起部621を、遊技球Bの流下を停止させるストッパーとして機能させることができる。
【0048】
図3に示すように、第2球整流部5は、主流路11と副流路12とが合流する形状に形成されている。第2球整流部5においては、主流路11における遊技球Bと副流路12における遊技球Bとが、幅方向Wに重なり合って流下する状態から、主流路11から流下する遊技球Bと副流路12から流下する遊技球Bとが交互に並んで1条に整列して流下する状態に変化している(後半収斂)。第2球整流部5の上流側部分を形成する、主流路11側の側壁(後方側の側壁)51は、下流側に行くに連れて、第2球整流部5の上流側部分を形成する、副流路12側の側壁(前方側の側壁)52に近づくように湾曲した後、鉛直方向に沿って直線状に形成されている。また、第2球整流部5の上流側部分を形成する、副流路12側の側壁52は、下流側に行くに連れて、主流路11側の側壁51から離れる方向に傾斜した後、鉛直方向に沿って直線状に形成されている。
【0049】
主流路11における遊技球Bは、第2球整流部5の主流路11側の側壁51に形成された湾曲部分511に接触(当接)しながら、この湾曲部分511に沿って流下する。この湾曲部分511によって、主流路11から流下する遊技球Bの案内を行うことにより、第2球整流部5を流下する遊技球Bの流れを規則的にすることができる。そして、第2球整流部5において、主流路11から流下する遊技球Bと副流路12から流下する遊技球Bとが、規則的に並び、不規則に衝突しないようにすることができる。
また、第2球整流部5の副流路12側の側壁52に形成された傾斜部分521が、下流側に行くに連れて主流路11側の側壁51から離れる方向に傾斜していることにより、主流路11から流下する遊技球Bに作用する球圧の方向と、副流路12から流下する遊技球Bに作用する球圧の方向とを分散させることができる。これにより、第2球整流部5における球詰まりの発生が防止される。
【0050】
本例の遊技機の球流路構造1においては、遊技球Bの流れが略水平方向から上下方向に変化するコーナー部分である裏機構部600の上方角隅部を利用して、遊技球Bの流れを2条から1条に収斂している。
具体的には、略水平方向に伸びる第1球整流部2,3と上下方向に伸びる第2球整流部5とにおいて遊技球Bの流れを収斂する際に、第1球整流部2,3において2条から1条への収斂における略半分の収斂を行い(前半収斂)、第2球整流部5において残りの略半分の収斂を行っている(後半収斂)。
【0051】
第1球整流部2,3においては、2条の球流路11,12を流下する遊技球Bにおける、遊技球Bの流下方向に直交する方向Wの球中心間の幅が、遊技球Bの1球分以上の幅W1から、遊技球Bの半球分以上1球分未満の幅W2に絞られている。これにより、遊技球Bの流れが、2条の流下状態から1条の流下状態に近づくように緩やかに絞られた前半収斂が行われる。
また、第2球整流部5においては、球中心間の幅がさらに絞られており、遊技球Bの流れが1条の流下状態になる。これにより、遊技球Bの流れが、さらに絞られて1条の流下状態になる後半収斂が行われる。そして、屈曲球流路部4においては、前半収斂から後半収斂への中継としての収斂が行われる。
【0052】
こうして、球流路構造1においては、遊技球の流れの2条から1条への収斂を、略水平方向に伸びる第1球整流部2,3と、上下方向に伸びる第2球整流部5とに分散させて行うことができる。また、第1球整流部2,3と第2球整流部5との間に形成された屈曲球流路部4を、遊技球Bの流れの収斂に利用することができる。これにより、第1球整流部2,3及び第2球整流部5において形成される遊技球Bの収斂構造を緩やかに構成することができ、略水平方向に伸びる第1球整流部2,3の下降傾斜角度を、水平状態に近い角度にすることができる。
【0053】
従来は、この下降傾斜角度を10°前後に設定する必要があったが、本例においては、第1球整流部2,3の下降傾斜角度を4〜5°に設定している。その結果、第1球整流部2,3が遊技機の上下方向に占有するスペースを極力小さくすることができる。
それ故、本例の遊技機の球流路構造1によれば、遊技機における、遊技盤を配置するための裏面側の開口領域60を更に拡大することができる。
【0054】
なお、裏機構部600における主流路11と副流路12との配置関係は、主流路11が副流路12の前方側に隣接する配置関係とすることもできる。この場合、第2球整流部5における湾曲部分511及び傾斜部分521の幅方向Wにおける湾曲形状は、図3の場合と逆である、後方側に屈曲する形状にすることができる。また、裏機構部600における主流路11と副流路12との配置関係は上記実施例のままにして、第2球整流部5における湾曲部分511を副流路12側に形成し、傾斜部分521を主流路11側に形成することもできる。
また、副流路12における屈曲球流路部4の形成開始位置X2は、主流路11における屈曲球流路部4の形成開始位置X1よりも下流側に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 球流路構造
11 主流路
111 一方の側壁
12 副流路
121 他方の側壁
13 仕切壁
2 上流側第1球整流部
3 下流側第1球整流部
31 第1絞り部
32 平行部
33 第2絞り部
4 屈曲球流路部
5 第2球整流部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7