特許第6289958号(P6289958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289958
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】行列情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20180226BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20180226BHJP
【FI】
   G06Q30/02 320
   G06Q50/10
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-65031(P2014-65031)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-187800(P2015-187800A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】北川 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢沢 澄仁
(72)【発明者】
【氏名】工藤 敬
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 信
(72)【発明者】
【氏名】東 大介
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】大鹿 真由美
(72)【発明者】
【氏名】宇井 麻衣子
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−092463(JP,A)
【文献】 特開2010−123092(JP,A)
【文献】 特開平08−016658(JP,A)
【文献】 特開2011−048587(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0069763(US,A1)
【文献】 特開2002−279114(JP,A)
【文献】 特開2008−204099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に並んだ顧客の行列情報を管理するホストシステムと、前記ホストシステムへの顧客情報の登録時に割り当てられた顧客IDを保存した情報端末装置と、前記情報端末装置に所定のサービスを提供する外部システムと、を備え、前記ホストシステム、前記情報端末装置及び前記外部システムは互いにネットワーク経由で接続されている行列情報管理システムであって、
前記ホストシステムは、
行列に並び始めた顧客の情報端末装置から第1の入力装置に入力された顧客IDを該第1の入力装置から受信したとき、受信した顧客IDと顧客が行列に並び始めた開始日時とを対応付けて行列情報データベースに登録する手段と、
行列を並び終えた顧客の前記情報端末装置から第2の入力装置に入力された顧客IDを該第2の入力装置から受信したとき、受信した顧客IDと顧客が行列を並び終えた終了日時とを対応付けて前記行列情報データベースに登録する手段と、
前記第1の入力装置に顧客IDを入力した前記情報端末装置からネットワーク経由にてメニュー画面の要求を受信したとき、前記行列情報データベースに登録されている顧客の開始日時と終了日時を基に取得した現在の待ち状況を示す行列情報とともに前記外部システムが提供するサービスを示すサービス項目情報を表示するメニュー画面を前記情報端末装置に送信する手段と、を備え、
前記外部システムは、
前記情報端末装置からネットワーク経由にて前記メニュー画面から選択した所定のサービスの要求を受信したとき、要求されたサービスを前記情報端末装置に提供するための手段を備えることを特徴とする
行列情報管理システム。
【請求項2】
前記外部システムが、前記店舗情報を配信するサービスを提供する店舗情報配信システムである場合、前記店舗情報配信システムは、
前記情報端末装置から店舗情報配信サービスの要求を受信したことに応じて、前記情報端末装置に店舗情報を配信する手段を備えることを特徴とする
請求項1に記載の行列情報管理システム。
【請求項3】
前記ホストシステムは、
店舗にて支払いを終えた顧客の前記情報端末装置から第3の入力装置に入力された顧客IDを該第3の入力装置から受信したとき、受信した顧客IDと顧客が支払いを終えた精算日時とを対応付けて前記行列情報データベースに登録する手段と、
前記精算日時を登録したときは、完了通知を前記外部システムに通知する手段と、をさらに備え、
前記外部システムが、顧客にポイントを付与するために抽選を行うポイント抽選システムである場合、前記ポイント抽選システムは、
前記情報端末装置からポイント抽選サービスの要求を受信したことに応じて、予め設定された時間毎にネットワーク経由にて前記ホストシステムの前記行列情報データベースを参照することにより行列に並んでいる顧客IDを取得する手段と、
取得した顧客IDにより抽選を行い、前記情報端末装置に抽選結果を送信する手段と、
前記ホストシステムから前記完了通知を受信したことに応じて、顧客のポイントを追加させるべく前記抽選結果を別のポイント管理システムに送信する手段と、を備えたことを特徴とする
請求項1に記載の行列情報管理システム。
【請求項4】
前記外部システムが、複数の前記ホストシステムと接続されかつ顧客に割引券を配布する割引券配布システムの場合、前記割引券配布システムは、
前記情報端末装置から割引券配布サービスの要求を受信したことに応じて、当該要求に係る顧客IDを基に複数の前記ホストシステムの各々の行列情報データベースを参照することにより当該顧客が行列に並んだ各々の実績を合算し、所定の条件を満たしているか否かを判断する手段と、
所定の条件を満たしている場合には、前記情報端末装置に割引券を配布する手段と、を備えたことを特徴とする
請求項1に記載の行列情報管理システム。
【請求項5】
前記情報端末装置から前記第1、第2又は第3の入力装置への顧客IDの入力が近距離無線送受信手段により行われることを特徴とする
請求項1〜4のいずれかに記載の行列情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種施設、店舗の待ち行列における待ち時間、順番、人数などの待ち行列に関する情報を、当該行列に並んでいる顧客や他システムに対してネットワークを介して提供する行列情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食店等の店舗では店舗内が満員の場合、顧客に顧客情報をリストに記帳してもらい店内に空きができたらリストの順番に店員が呼び出して店内に入店してもらう方法か、店舗の外の行列に並んでもらい店舗内に空きができたら行列の先頭から順に入店してもらう方法がとられる。
【0003】
どちらの場合も顧客は、順番が来るまで待っている間、行動を制限されることとなり、苦痛や不快感を与えられ、店舗に対する不満が蓄積されることとなる。
【0004】
これに対して、待ち行列に並んでいた時間を計測し、それを単位時間あたり1ポイントとしてポイントに換算し顧客に提供する待ち時間管理システムが存在する(特許文献1等)。
【0005】
図14は、この待ち時間管理システムの概要を示すブロック構成図であり、顧客の行列への並び開始を入力する入力部1401、顧客の行列への並び終わりを入力する入力部1402、顧客の待ち時間の情報を格納する顧客情報格納部1404、待ち時間を測定する待ち時間測定部1405、待ち時間をポイントに変換するポイント変換部1406、全体を制御するデータ処理部1403、処理結果を出力する出力部1407から構成されている。
【0006】
このような待ち時間管理システムでは、入力部1401は行列に並び始める顧客の情報を取得し、データ処理部1403に入力する。データ処理部1403は、顧客情報を受信すると、現在時刻を開始時刻として取得し、それを顧客情報と共に顧客情報格納部1404に格納する。
【0007】
一方、入力部1402は並び終わる顧客の情報を取得し、データ処理部1403に入力する。データ処理部1403は現在時刻を終了時刻として取得し、また顧客情報格納部1404から開始時刻と顧客情報を取得し、これらを待ち時間測定部1405に入力する。待ち時間測定部1405は当該顧客が行列に並んでいた時間を計算し、その結果をポイント変換部1406に入力する。ポイント変換部1406は予め設定された1ポイントあたりの単位時間を用いてポイント数に変換する。出力部1407はポイント数を顧客に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−16658
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年は、携帯電話、スマートフォンなどの情報端末やインターネットの普及に伴い、顧客が待ち行列に並びながら手軽に暇つぶしをする手段を保持しており、待ち行列から与えられる苦痛や不快感が軽減される傾向が見られる。
【0010】
しかし、これらの顧客の行動は顧客自身による自衛策であり、顧客にとって待ち行列に並んでいる時間が無駄な時間であることには変わりなく、店舗にとっては顧客が自店舗のために費やしている時間を有効に活用できているとは言い難い。
【0011】
また上述した待ち時間管理システムの場合は、並んでいる時間がポイントとして還元されるため、顧客にとって時間の無駄さは軽減される可能性がある。
【0012】
しかし、このシステムも顧客にとって待ち行列自体が我慢の対象であることには変わりがなく、行列を敬遠する人や、遠方からの来店で再訪の可能性が低くポイント制度に魅力を感じない人をに対して効果を発揮することは難しい。
【0013】
本発明の目的は、待ち行列に並ぶ顧客と店舗を有機的に接続し、行列に並んでいる顧客の情報から各顧客に適した待ち時間の利用方法を顧客に提供する手段を提供することにより、従来顧客側にとっても店舗側にとっても無価値であった行列の待ち時間に価値を持たせることを可能にする行列情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の構成を提供する。
本発明の態様は、店舗に並んだ顧客の行列情報を管理するホストシステムと、前記ホストシステムへの顧客情報の登録時に割り当てられた顧客IDを保存した情報端末装置と、前記情報端末装置に所定のサービスを提供する外部システムと、を備え、
前記ホストシステムは、
前記情報端末装置及び前記外部システムは互いにネットワーク経由で接続されている行列情報管理システムであって、前記ホストシステムは、行列に並び始めた顧客の情報端末装置から第1の入力装置に入力された顧客IDを該第1の入力装置から受信したとき、受信した顧客IDと顧客が行列に並び始めた開始日時とを対応付けて行列情報データベースに登録する手段と、
行列を並び終えた顧客の前記情報端末装置から第2の入力装置に入力された顧客IDを該第2の入力装置から受信したとき、受信した顧客IDと顧客が行列を並び終えた終了日時とを対応付けて前記行列情報データベースに登録する手段と、
前記第1の入力装置に顧客IDを入力した前記情報端末装置からネットワーク経由にてメニュー画面の要求を受信したとき、前記行列情報データベースに登録されている顧客の開始日時と終了日時を基に取得した現在の待ち状況を示す行列情報とともに前記外部システムが提供するサービスを示すサービス項目情報を表示するメニュー画面を前記情報端末装置に送信する手段と、を備え、
前記外部システムは、
前記情報端末装置からネットワーク経由にて前記メニュー画面から選択した所定のサービスの要求を受信したとき、要求されたサービスを前記情報端末装置に提供するための手段を備えることを特徴とする。
【0015】
上記態様において、前記外部システムが、前記店舗情報を配信するサービスを提供する店舗情報配信システムである場合、前記店舗情報配信システムは、
前記情報端末装置から店舗情報配信サービスの要求を受信したことに応じて、前記情報端末装置に店舗情報を配信する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
上記態様において、前記ホストシステムは、
店舗にて支払いを終えた顧客の前記情報端末装置から第3の入力装置に入力された顧客IDを該第3の入力装置から受信したとき、受信した顧客IDと顧客が支払いを終えた精算日時とを対応付けて前記行列情報データベースに登録する手段と、
前記精算日時を登録したときは、完了通知を前記外部システムに通知する手段と、をさらに備え、
前記外部システムが、顧客にポイントを付与するために抽選を行うポイント抽選システムである場合、前記ポイント抽選システムは、
前記情報端末装置からポイント抽選サービスの要求を受信したことに応じて、予め設定された時間毎にネットワーク経由にて前記ホストシステムの前記行列情報データベースを参照することにより行列に並んでいる顧客IDを取得する手段と、
取得した顧客IDにより抽選を行い、前記情報端末装置に抽選結果を送信する手段と、
前記ホストシステムから前記完了通知を受信したことに応じて、顧客のポイントを追加させるべく前記抽選結果を別のポイント管理システムに送信する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記態様において、前記外部システムが、複数の前記ホストシステムと接続されかつ顧客に割引券を配布する割引券配布システムの場合、前記割引券配布システムは、
前記情報端末装置から割引券配布サービスの要求を受信したことに応じて、当該要求に係る顧客IDを基に複数の前記ホストシステムの各々の行列情報データベースを参照することにより当該顧客が行列に並んだ各々の実績を合算し、所定の条件を満たしているか否かを判断する手段と、
所定の条件を満たしている場合には、前記情報端末装置に割引券を配布する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
上記態様において、前記情報端末装置から前記第1、第2又は第3の入力装置への顧客IDの入力が近距離無線送受信手段により行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の行列情報管理システムの主な効果は次の通りである。
(1)ホストシステムが行列情報を外部システムに提供するため、行列に並んでいる顧客に限定して、店舗や店舗が提携する外部サービスが顧客に対して様々なサービスを提供することができる。
(2)入力装置への情報端末装置のタッチという簡易な操作のみで、顧客が行列に並んでいる時間や回数等の情報を取得でき、店舗は特定顧客の店舗利用状況の分析や、混雑状況の分析し、顧客へのサービス向上に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態の一例を示すシステム構成図である。
図2図2は、顧客情報データベースに格納されているデータの構成図である。
図3図3は、行列情報データベースに格納されているデータの構成図である。
図4図4は、本発明の実施の形態の一例の概要を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の入力装置からの入力処理の概要を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の入力装置からの入力処理の概要を示すフローチャートである。
図7図7は、第3の入力装置からの入力処理の概要を示すフローチャートである。
図8図8は、情報端末装置のシステム構成図である。
図9図9は、情報端末装置が入力装置との接続時の処理のを示すフローチャートである。
図10図10は、情報端末装置のメニュー画面の一例である。
図11図11は、ポイント抽選システム連携時の形態例を示すシステム構成図である。
図12図12は、店舗情報配信システム連携時の形態例を示すシステム構成図である。
図13図13は、割引券配布システム連携時の形態例を示すシステム構成図である。
図14図14は、従来の待ち時間管理システムの概略を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示すシステム構成図である。本行列情報管理システムは、行列情報データベース107を備えたホストシステム101と、このホストシステム101に接続されている入力装置103、104、105と、このホストシステム101に接続されている入力端末111と、入力装置103、104、105と近距離無線通信で接続される情報端末装置102a、102b、102cと、ホストシステム101とネットワーク109を介して接続される外部システム108から構成され、情報端末装置102a、102b、102cは無線回線によって基地局110と接続されている。基地局110はネットワーク109と接続されており、すなわち情報端末装置102a、102b、102cはネットワーク109を介して、ホストシステム101と外部システム108と接続されている。
【0022】
ホストシステム101は、サーバ機能を備えたコンピュータであり、本発明に関連する機能を実現する所定のプログラムを導入されている。コンピュータのCPUが所定のプログラムを内部メモリに読み込み実行することにより、本発明のホストシステム(ホスト装置)及び外部システム(外部装置)として機能する。外部システム108も、本発明に関連する機能に関して同様のものである。
【0023】
情報端末装置102a、102b、102cは、無線回線によって基地局110と接続されている。基地局110はネットワーク109と接続されている。すなわち情報端末装置102a、102b、102cは、ネットワーク109を介して、ホストシステム101及び外部システム108と接続されている。情報端末装置102a、102b、102cは、行列に並ぶ顧客が保持していることを想定し、例えばNFC(Near field communication)の機能を保有したスマートフォンに相当する。(なお、図1では情報端末装置102a、102b、102cがそれぞれ入力装置103、104、105に接続した状態を示しているが、各情報端末装置は、いずれの入力装置に対しても接続可能であり、通常は、順次、各入力装置と接続される。)
【0024】
入力装置103、104、105は、情報端末装置102a、102b、102cとの近距離無線送受信手段を有している。例えばこの近距離無線送受信手段をFeliCa(登録商標)とした場合、入力装置103、104、105は、FeliCa(登録商標)対応の読み取り機に相当する。顧客は情報端末装置102a、102b、102cを入力装置103、104、105にタッチして使用する。
【0025】
入力装置(「第1の入力装置」と称する場合がある)103は、行列に並び始めようとしている顧客が保有する情報端末装置102aによってタッチされ、これによってホストシステム101は入力装置103から顧客が行列に並び始めたという状況を検知する。
【0026】
入力装置(「第2の入力装置」と称する場合がある)104は、行列の先頭に到達し行列を並び終えた顧客が保有する情報端末装置によってタッチされ、これによってホストシステム101は入力装置104から顧客が行列を並び終えたという状況を検知する。
【0027】
入力装置(「第3の入力装置」と称する場合がある)105は、行列に並んでいた顧客が店舗内での要件を済ませ、レジで支払いを行った際にタッチされ、これによってホストシステム101は入力装置105から、顧客が支払いを済ませたことを検知する。
【0028】
基地局110は、情報端末装置102a、102b、102cの無線通信手段として、例えばスマートフォンを利用した場合は、移動電話事業者の基地局や、無線LAN(Local Area Network)通信のアクセスポイントに相当する。
【0029】
ホストシステム101は、顧客情報データベース106及び行列情報データベース107を保持している。
顧客情報データベース106には、顧客を識別するID、顧客の名前、メールアドレス等の顧客の情報が登録されている。
行列情報データベース107には、顧客を識別するID、顧客が行列に並び始めた時刻、顧客が行列を並び終えた時刻、顧客が店舗で支払いを行った時刻、ホストシステム101がその顧客に関する処理を完了した時刻が登録される。
【0030】
外部システム108は、行列に並んでいる顧客に対して、例えばゲーム、オンラインショッピング、店舗情報の提示等、顧客が行列に並んでいる時間を活用して利用できる情報を配信するサービスを提供する機能や、例えば行列に並んだ時間に応じたポイントや割引券の付与等、行列に並んだことによって得られる特典を顧客に付与するサービスを提供する機能を備える。それぞれ独自のサービス提供機能を備えた外部システム108が、複数存在する場合もある。外部システム108は、ネットワーク109を介してホストシステム101の行列情報データベース107を参照して登録されている情報を取得できる。また、外部システム108は、ネットワーク109を介して、行列に並んでいる顧客の情報端末装置102aに所定のサービスを提供することができる。
【0031】
入力端末111は、有線または無線のネットワークによってホストシステム101と接続しており、行列情報データベース107の内容を照会したり、情報を手動で更新することを可能とし、例えば店員が行列の先頭の顧客を呼び出すために利用したり、行列に並んでいた顧客が行列に並ぶのをやめた場合、店員が店舗の前の状況を目視で確認しそれを入力端末111で行列情報データベース107に登録する目的で利用する。
【0032】
ホストシステム101は、顧客情報データベース106及び行列情報データベース107の情報の検索処理を行うDB検索部101a、行列情報データベース107の更新処理を行うDB更新部101b、外部システム108との送受信処理を行う外部システム送受信部101c、情報端末装置102a、102b、102cとの送受信を行う情報端末送受信部101dを備えている。
【0033】
図2は、顧客情報データベース106に格納されているデータ構成図の例であり、顧客を識別するための顧客ID201と名前202やメールアドレス203といった顧客情報が登録される。顧客は、事前に情報端末装置102a、102b、102cを利用して会員登録を行い、その際に指定した名前やメールアドレス等の顧客情報が顧客情報データベース106に登録される。また顧客ID201は、顧客を識別するための重複しない文字列であり、顧客が会員登録を行った際に割り当てられる。顧客ID201は情報端末装置102a、102b、102cにも保存される。
【0034】
図3は、行列情報データベース107に格納されているデータの構成図であり、顧客ID301、行列に並び始めた日時を示す開始日時302、行列を並び終えた日時を示す終了日時303、顧客が支払いを終えた日時を示す清算日時304、ホストシステム101が行列に並んだ顧客に関する処理を終えた日時を示す完了日時305を登録する。
【0035】
顧客ID301には、顧客が行列に並び始めるタイミングで第1の入力装置103にタッチした際に、情報端末装置102aから送信される顧客IDを登録する。開始日時302には顧客が行列に並び始めるタイミングで第1の入力装置103にタッチした時の日時が登録される。
【0036】
終了日時303には、顧客が行列を並び終えるタイミングで第2の入力装置104にタッチした時の日時が登録される。清算日時304には顧客が支払いを終えたタイミングで第3の入力装置105にタッチした時の日時が登録される。
【0037】
完了日時305には、顧客が行列に並んだことによる特典を受ける権利を有するか否かが確定した日時が登録される。例えば外部システム108が支払いまで済ませた顧客を対象として行列に並んでいた時間に応じたポイントを付与するようなシステムであった場合に、ホストシステム101が外部システム108に対して顧客が支払いを済ませたことの通知を行い、その日時を完了日時305に登録することにより、この顧客に対する特典の付与が確定する。
【0038】
また、途中で行列から抜けた顧客や店舗に入店後何も購入しないで店舗を出た顧客に対しては、店員が入力端末111からその顧客の行列情報の完了日時305を登録すること、開始日時302から予め設定された時間内に終了日時303を登録されなかった場合にホストシステム110が完了日時305を登録すること、終了日時303から予め設定された時間内に清算日時304を登録されなかった場合にホストシステム110が完了日時305を登録することにより、清算日時304が未登録で完了日時305が登録済みのため、その顧客が特典を受ける権利を失ったことが確定する。また、これによりタッチを忘れた顧客も特典を受ける権利を失う。
【0039】
上記内容から、行列情報データベース107において、顧客ID301及び開始日時302のみが登録されている顧客は現在行列に並んでいることを示し、顧客ID301、開始日時302及び終了日時303のみが登録されている顧客は店舗内にいることを示し、顧客ID301、開始日時302及び完了日時303のみ登録されている顧客は行列を途中で抜けたことを示し、顧客ID301、開始日時302、終了日時303及び完了日時305のみが登録されている顧客は店舗には入ったが何も購入しないで店舗を出たことを示すこととなる。さらに、終了日時303から開始日時302を減算した値はその顧客が行列に並んでいた時間を示し、清算日時304から終了日時303を減算した値はその顧客が店舗内にいた時間を示す。
【0040】
例えば顧客ID「0500300132」を割り当てられている顧客が、行列情報管理システムを利用したポイント付与システムを導入しているレストランに来店し、「2014年02月18日10時12分20秒」から行列に並び始め、「2014年02月18日11時34分47秒」に店内に入店して空きテーブルに着席し、「2014年02月18日12時02分11秒」に食事を済ませて支払いを行い、「2014年02月18日12時02分12秒」にポイント付与システムへの通知が完了した場合、顧客ID301には「0500300132」、開始日時302には「2014年02月18日10時12分20秒」、終了日時303には「2014年02月18日11時34分47秒」、清算日時304には「2014年02月18日12時02分11秒」、完了日時305には「2014年02月18日12時02分12秒」が登録され、この顧客は行列に1時間22分27秒並んでおり、店舗内に28分24秒いたことを示す。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態の一例の概要を示すフローチャートである。来店した顧客は第1の入力端末103に自身が保有する情報端末装置102aをタッチし(ステップ401)、行列の最後に並ぶ(ステップ402)。このとき、情報端末装置102aはホストシステム101に対して、ネットワーク109を経由して現在の待ち状況を示す行列情報と、外部システム108が提供するサービスを示すサービス項目情報の取得要求を行う。この要求に応じて、情報端末装置102aには、ホストシステム101から取得した行列情報とサービス項目情報から作成した図10のようなメニュー画面が表示される(ステップ403)。外部システム108が提供するサービスを示すサービス項目情報は、予め外部システム108からホストシステム101に渡され、ホストシステム101が保存している。
【0042】
顧客は行列に並んでいる間、メニューから外部サービス108が提供するサービスを利用する(ステップ404)。顧客が行列の先頭に到達し店内に入る際に(ステップ405)、第2の入力端末104に情報端末装置102aをタッチする(ステップ406)。そして顧客は店内にて食事等の店舗が提供するサービスを利用し(ステップ407)、それを終えたら支払いを行う(ステップ408)。顧客は支払い後に第3の入力端末105にタッチし(ステップ409)、完了通知が外部システム108に送信されて処理が完了し、顧客に対する特典の付与が確定する。
【0043】
図5は、第1の入力装置103に情報端末装置102aがタッチされた際の処理概要を示すフローチャートである。第1の入力装置103はシステム起動後、情報端末装置102aとの接続待ちの状態となる(ステップ501)。第1の入力装置103に情報端末装置102aがタッチされると、第1の入力装置103は情報端末装置102aから顧客IDを受信し、ホストシステム101に送信する(ステップ502)。ホストシステム101は現在日時を取得し(ステップ503)、DB更新部101bが行列情報データベース107に、顧客ID301、開始日時302を登録する(ステップ504)。その後、第1の入力端末103は接続待ちの状態に戻る。
【0044】
図6は、第2の入力装置104に情報端末装置102bがタッチされた際の処理概要を示すフローチャートである。第2の入力装置104はシステム起動後、情報端末装置102bとの接続待ちの状態となる(ステップ601)。第2の入力装置104に情報端末装置102bがタッチされると、第2の入力装置104は情報端末装置102bから顧客IDを受信し、ホストシステム101に送信する(ステップ602)。ホストシステム101のDB検索部101aは受信した顧客IDで行列情報データベース107を検索し(ステップ603)、該当の顧客の情報が見つかった場合は開始日時302が登録済みかをチェックする(ステップ604)。開始日時302が登録されていない場合は何もしないで接続待ち状態に戻り、開始日時302が登録されている場合は、ホストシステム101は現在日時を取得し(ステップ605)、DB更新部101bが行列情報データベース107の該当情報の終了日時303を登録する(ステップ606)。その後、第2の入力端末104は接続待ちの状態に戻る。
【0045】
図7は、第3の入力装置105に情報端末装置102cがタッチされた際の処理概要を示すフローチャートである。第3の入力装置105はシステム起動後、情報端末装置102cとの接続待ちの状態となる(ステップ701)。第3の入力装置105に情報端末装置102cがタッチされると、第3の入力装置105は情報端末装置102cから顧客IDを受信し、ホストシステム101に送信する(ステップ702)。ホストシステム101のDB検索部101aは受信した顧客IDで行列情報データベース107を検索し(ステップ703)、該当の顧客の情報が見つかった場合は開始日時302と終了日時303が登録済みかをチェックする(ステップ704、ステップ705)。開始日時と終了日時が登録されていない場合は何もしないで接続待ち状態に戻り、開始日時と終了日時が登録されている場合は、ホストシステム101は現在日時を取得し(ステップ706)、DB更新部101bが行列情報データベース107の該当情報の清算日時304を登録する(ステップ707)。
【0046】
次に外部システム連携部101cが外部システム108に対して清算完了を通知し(ステップ708)、それが完了したらホストシステム101は現在時刻を取得して(ステップ709)、DB更新101bが顧客情報データベース107の該当情報の完了日時を登録する(ステップ710)。その後、入力端末105は接続待ち状態に戻る。
【0047】
図8は、情報端末装置102a、102b、102cのシステム構成図の一例であり、データ処理部801、近距離無線通信部802、インターネット通信部803、表示部804、入力部805から構成され、例えば情報処理端末102a、102b、102cがスマートフォンの場合は、表示部804、入力部805がタッチパネルとなる。データ処理部801は、近距離無線通信部802、インターネット通信部803、表示部804、入力部805の間でのデータの解析や受け渡しを行う。近距離無線通信部802は、入力装置103、104、105と接続し、入力装置103、104、105にデータ処理部801から渡された顧客IDを送信する。
【0048】
インターネット通信部は、インターネット通信を介してホストシステム101や外部システム108と接続し、ホストシステム101や外部システム108からデータを受信し、データ処理部801に渡す。表示部804は、インターネット通信を介してホストシステム101や画面システム108からインターネット通信部が受信したデータから作成した画面を表示する。入力部805は、顧客が選択したボタン等の入力情報をデータ処理部801に通知し、データ処理部801はインターネット通信部を解してホストシステム101や外部システム108に顧客の入力に対応した要求を発行する。
【0049】
図9は、情報端末装置102a、102b、102cが入力装置103、104、105と接続した時の処理のを示すフローチャートである。情報端末装置102a、102b、102cは、起動後、入力装置103、104、105との接続を待機する状態となる(ステップ901)。情報端末装置102a、102b、102cは、起動後、入力装置103、104、105との接続すると、データ処理部801は顧客IDを近距離通信部802を介して、入力装置103、104、105に送信する(ステップ902)。情報端末装置102a、102b、102cが接続した相手を判定し(ステップ903)、接続相手が第2または第3の入力装置104、105の場合は、再び接続待ちの状態に戻る。
【0050】
接続相手が第1の入力装置103の場合は、インターネット通信部802を介してホストシステム101にメニュー画面の画面データの受信を要求する(ステップ904)。データ処理部801は、インターネット通信部802からメニュー画面用のデータを受け取ると(ステップ905)、そのデータを解析し表示部804に図10のような画面を表示する(ステップ906)。ここまでの処理を完了すると、情報端末装置102a、102b、102cは再び接続待ちの状態に戻る。
【0051】
図10は、情報端末装置102a、102b、102cの表示部804に表示されるメニュー画面の一例を示す。この画面は、情報端末装置102a、102b、102cがホストシステム101からネットワーク109を経由して取得した、行列情報及び外部システムが提供するサービスの情報を基に作成される。順番や回数といった行列に関する情報は行列情報データベース107から取得した行列情報を使用し、メニュー画面にある「ポイント抽選」、「提携店舗割引券」、「店舗情報」といった項目は外部システムが提供するサービスを示す。1又は複数の外部システムが提供するサービスを示すサービス項目情報は、予め、各外部システムからホストシステムに渡され、ホストシステムが保存している。
【0052】
顧客が、表示されたメニュー画面のサービス項目から所望するサービスを選択する入力操作を行うと、情報端末装置102a、102b、102cから外部システム108に対して、選択されたサービスの要求が送信される。
【0053】
図11は、ホストシステム1101が外部システムとしてポイント抽選システム1108と接続した例のシステム構成図である。ポイント抽選システム1108は、予め設定された時間毎にネットワーク1110を介してホストシステム1101から行列に並んでいる顧客の顧客IDを取得し、取得した顧客IDの数と予め設定された当選確率から当選者の数を算出し、行列に並んでいる顧客の中から当選者を抽選する。抽選結果は、顧客が保有する情報端末装置1102aに送信され、ポイント抽選システム1108内に一時的に保存される。顧客が支払いを済ませたことが外部システム連携部1101cからポイント抽選システム1108に通知されると、ポイント抽選システム1108は抽選結果をポイント管理システム1109に送信し、ポイント管理システム1109はその顧客のポイントを追加する。
【0054】
図12は、ホストシステム1201が外部システムとして店舗情報配信システム1208と接続した例のシステム構成図である。店舗情報配信システム1208には店舗の店員によって入力された、メニュー、売り上げランキング、おすすめ商品、割引情報、店舗内の状況などの情報がリアルタイムに格納される。店舗情報配信システム1208は、これらの情報を行列に並んでいる顧客が保有する情報端末装置1102aに配信することにより、行列に並んでいる顧客のみがその情報を知り、活用することができる。
【0055】
図13は、ホストシステム1301が外部システムとして割引券配布システム1308と接続した例のシステム構成図である。割引券配布システム1308は、ホストシステム1301から行列に並んでいる顧客の顧客IDを取得し、その顧客が提携店舗で行列に並んだ情報を当該店舗のホストシステム1301や他の提携店舗のホストシステム1311から取得する。取得した情報に基づいて、顧客が各提携店舗で行列に並んだ実績を合算する。その結果、該当顧客が何れかの提携店舗の行列に規定時間以上並んだ回数が予め設定された回数に達した場合に、提携店舗で利用可能な割引券を、顧客が保有する情報端末装置1302aに配布する。
【0056】
以上のように、本実施の行列情報管理システムによれば、次のような効果がある。
(1)ホストシステムが行列情報を外部システムに提供するため、行列に並んでいる顧客に限定して、店舗や店舗が提携する外部サービスが顧客に対して様々な価値あるサービスを提供することができる。
(2)入力装置への情報端末装置のタッチという簡易な操作のみで、顧客が行列に並んでいる時間や回数等の情報を取得でき、店舗は特定顧客の店舗利用状況の分析や、混雑状況の分析し、顧客へのサービス向上に役立てることができる。
(3)ホストシステムが行列情報を外部サービスに提供することにより、複数の店舗間で共通するサービスを顧客に提供できる。
(4)ホストシステムは顧客が支払いを行った日時を行列情報に記録するため、特典目的の不正を排除することができる。
【符号の説明】
【0057】
101…ホストシステム、101a…DB検索部、101b…DB更新部、101c…外部システム連携部、101d…情報端末送受信部、102a,102b,102c…情報端末装置、103…行列開始日時検出用入力装置、104…行列終了日時検出用入力装置、105…清算日時検出用入力装置、106…顧客情報データベース、107…行列情報データベース、108…外部システム、109…ネットワーク、110…基地局、111…入力端末。
図1
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