特許第6289964号(P6289964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289964
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】水素ステーション
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20180226BHJP
   H01M 8/06 20160101ALI20180226BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20180226BHJP
【FI】
   F17C5/06
   H01M8/06
   H01M8/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-66921(P2014-66921)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-190521(P2015-190521A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】JXTGエネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100162123
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】岡 崎 順 二
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−32053(JP,A)
【文献】 特開2005−24061(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/123349(WO,A1)
【文献】 特開2005−273811(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0079891(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0193045(US,A1)
【文献】 特開2008−240983(JP,A)
【文献】 特開2008−64160(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0138575(KR,A)
【文献】 特開2010−86771(JP,A)
【文献】 特開2002−250500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00 − 13/12
H01M 8/00
H01M 8/04
H01M 8/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を燃料として使用する車両に、水素を供給する水素ステーションであって、
水素を蓄圧する複数の蓄圧器と、
前記複数の蓄圧器から放出された水素を冷却する冷却機と、
前記車両に、前記冷却機が冷却した水素を供給する水素供給手段と、
水素を貯蔵する貯蔵容器と、
前記貯蔵容器に貯蔵された水素を昇圧して、前記複数の蓄圧器に充填する圧縮機と、
を備え、
前記複数の蓄圧器は、鉛直方向に隣接するように並んで配置されており、
鉛直方向に並べられた前記複数の蓄圧器のうち、他の蓄圧器で上下に挟まれた第1の蓄圧器から順番に、水素を放出させて、前記冷却機を介して、前記車両に水素を供給するものであり、前記第1の蓄圧器から水素を放出させた後、前記第1の蓄圧器の下方に位置する第2の蓄圧器から水素を放出させ、前記第2の蓄圧器から水素を放出させた後に前記第1の蓄圧器の上方に位置する第3の蓄圧器から水素を放出させ、
前記貯蔵容器に貯蔵された水素を前記圧縮機により昇圧して、鉛直方向に並べられた前記複数の蓄圧器のうち、上方に位置する蓄圧器から順番に、水素を充填させる
水素ステーション。
【請求項2】
前記複数の蓄圧器は、水平方向にも隣接するように並んで配置されており、
平方向に並んだすべての前記第1の蓄圧器から水素を放出させた後、前第1の蓄圧器の下方に位置する前記第2の蓄圧器から水素を放出させる
請求項に記載の水素ステーション。
【請求項3】
水平方向に並んだすべての前記第1の蓄圧器に水素を充填させた後、その下方に位置する前記第2の蓄圧器に水素を充填させる
請求項1または2に記載の水素ステーション。
【請求項4】
前記複数の蓄圧器は、それぞれ長手方向に延在するチューブ状の形状を有し、
前記複数の蓄圧器は、前記複数の蓄圧器の長手方向が鉛直方向と直交するように、鉛直方向に並んで配置されている
請求項1からのいずれか一項に記載の水素ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水素ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
水素を燃焼として使用する燃料電池自動車FCVの開発が進められている。
【0003】
このような燃料電池自動車の普及を図るためには、燃料電池や車両自体の性能向上とともに、インフラの面においても、水素を燃料電池自動車へ供給可能な水素ステーションを多くの場所に設置することが望まれる。
【0004】
水素ステーションでは、圧縮機で圧縮された水素が蓄圧器に充填される。蓄圧器内の圧力を燃料電池自動車の燃料タンクの圧力よりも高くすることで、蓄圧器から燃料タンクへ差圧で水素を供給することができる。
【0005】
例えば、蓄圧器内の圧力が規定の圧力(例えば、80MPa)に到達すると、蓄圧器から水素が放出され、蓄圧器から放出された水素が冷却機で冷却され、ディスペンサを介して冷却された水素が燃料電池自動車へ供給される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この冷却機は、水素を車両へ急速充填する際に水素温度が高くなるため、充填前に水素を予め冷却して水素温度を低くするための設備である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−33070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、水素を車両へ急速充填するために冷却機は水素を−40℃程度に冷やす。この冷却に要するエネルギー消費が大きいため、水素供給コストが高いという問題があった。
【0009】
また、蓄圧器への水素充填時には、蓄圧器内の圧力が上がって水素温度が上昇するため、水素温度が規定の温度(例えば、40℃)を超えないように、ゆっくりと時間をかけて水素を充填する必要があった。
【0010】
このため、蓄圧器内の圧力が規定の圧力(例えば、80MPa)に到達するまでに要する水素充填時間が長くなる。したがって、車両に水素の供給を開始するまでに要する時間が長くなっていた。
【0011】
特に、複数の車両へ水素を連続して充填する連続充填の際に、1台目の車両へ水素を充填した後に、蓄圧器内の圧力を規定の圧力(例えば、80MPa)に回復させるまでに時間を要していた。
【0012】
その結果、前の車両への水素充填を完了した時から次の車両へ水素を充填し始める時までの時間が長くなる。このため、連続充填の際に2台目以降の車両について水素充填の待ち時間が長くなるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、水素供給コストを低減し、且つ連続充填の際の2台目以降の水素充填の待ち時間を短縮することを可能とする水素ステーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る水素ステーションは、水素を燃料として使用する車両に、水素を供給する水素ステーションであって、
水素を蓄圧する複数の蓄圧器と、
前記複数の蓄圧器から放出された水素を冷却する冷却機と、
前記車両に、前記冷却機が冷却した水素を供給する水素供給手段と、
を備え、
前記複数の蓄圧器は、鉛直方向に隣接するように並んで配置されており、
鉛直方向に並べられた前記複数の蓄圧器のうち、中間に位置する蓄圧器から順番に、水素を放出させて、前記冷却機を介して、前記車両に水素を供給する。
【0015】
前記水素ステーションにおいて、
前記中間に位置する前記蓄圧器から水素を放出させた後、前記中間に位置する前記蓄圧器の下方に位置する蓄圧器から水素を放出させるようにしてもよい。
【0016】
前記水素ステーションにおいて、
前記下方に位置する前記蓄圧器から水素を放出させた後、前記中間に位置する前記蓄圧器の上方に位置する蓄圧器から水素を放出させるようにしてもよい。
【0017】
前記水素ステーションにおいて、
前記複数の蓄圧器は、水平方向にも隣接するように並んで配置されており、
前記中間に位置し水平方向に並んだすべての前記蓄圧器から水素を放出させた後、前記中間に位置する前記蓄圧器の下方に位置する蓄圧器から水素を放出させるようにしてもよい。
【0018】
前記水素ステーションにおいて、
水素を貯蔵する貯蔵容器と、
前記貯蔵容器に貯蔵された水素を昇圧して、前記複数の蓄圧器に充填する圧縮機と、をさらに備えるようにしてもよい。
【0019】
前記水素ステーションにおいて、
前記貯蔵容器に貯蔵された水素を前記圧縮機により昇圧して、鉛直方向に並べられた前記複数の蓄圧器のうち、上方に位置する蓄圧器から順番に、水素を充填させるようにしてもよい。
【0020】
前記水素ステーションにおいて、
水平方向に並んだすべての前記蓄圧器に水素を充填させた後、その下方に位置する蓄圧器に水素を充填させるようにしてもよい。
【0021】
前記水素ステーションにおいて、
前記蓄圧器は、長手方向に延在するチューブ状の形状を有し、
前記複数の蓄圧器は、前記複数の蓄圧器の長手方向が鉛直方向と直交するように、鉛直方向に並んで配置されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る水素ステーションは、蓄圧器の冷却効果を高めることができる。すなわち、蓄圧器への水素充填時における水素の温度を低く抑えることができる。
【0023】
その結果、冷却機に供給される水素の温度が下げられるので、冷却機で冷却に要するエネルギー消費量を減らすことができる。これにより、水素供給コストを低減することができる。
【0024】
このため、水素充填速度を上げても水素温度が規定の温度を超えないようにすることができるので、蓄圧器内の圧力が規定の圧力に到達するまでに要する水素充填時間を短縮することができる。
【0025】
これにより、車両に水素の供給を開始するまでに要する時間を短縮することができる。したがって、複数の車両へ水素を連続して充填する連続充填の際に、1台目の車両へ水素を充填した後に、蓄圧器内の圧力を規定の圧力に回復させるまでの時間を短縮することができる。
【0026】
すなわち、前の車両への水素充填を完了した時から次の車両へ水素を充填し始める時までの時間を短縮され、連続充填の際の2台目以降の水素充填の待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一態様である実施形態に係る水素ステーション1の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示す蓄圧器ユニット4を紙面に水平方向から見た図である。
図3図3は、図1に示す水素ステーション1において、複数の蓄圧器から水素を放出させる動作の一例を示すフロー図である。
図4図4は、図1に示す水素ステーション1において、複数の蓄圧器に水素を充填させる動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明の一態様である実施形態に係る水素ステーション1の構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示す蓄圧器ユニット4を紙面に水平方向から見た図である。
【0030】
図1に示すように、水素ステーション1は、水素を燃料として使用する車両(例えば、燃料電池自動車FCV)7に、水素を供給するようになっている。
【0031】
図1に示すように、水素ステーション1は、水素を貯蔵する貯蔵容器2を備える。ここで、貯蔵容器2は、鋼などで製作された容器である。水素は、貯蔵容器2の内圧を抑えるために、液化された状態または液体成分が支配的な状態で貯蔵されている。
【0032】
さらに、水素ステーション1は、貯蔵容器2と配管を介して接続された圧縮機3と、この圧縮機3と配管を介して接続された蓄圧器ユニット4とを備える。
【0033】
圧縮機3は、貯蔵容器2に貯蔵された水素を昇圧する。この圧縮機3で昇圧された水素は、複数の蓄圧器41〜48へ送られる。すなわち、圧縮機3は、貯蔵容器2に貯蔵された水素を昇圧して、複数の蓄圧器41〜48に充填する。
【0034】
また、蓄圧器ユニット4は、複数の蓄圧器41〜48が配置されている。この蓄圧器ユニット4の容量は、1台の車両7に、または2台の車両7に連続して水素を供給する程度の容量を有する。この蓄圧器ユニット4は、蓄圧器41〜48からの水素の放出、および蓄圧器41〜48への水素の充填を制御する制御部4aを有する。なお、この制御部4aは、蓄圧器ユニット4の外部に設けられていてもよい。また、制御部4aを省略して、手動により、蓄圧器への水素の充填、蓄圧器からの水素の放出を制御するようにしてもよい。
【0035】
複数の蓄圧器41〜48は、長手方向に延在するチューブ状の形状(細長い形状)を有する。例えば、複数の蓄圧器41〜48は、例えば、内容量100L以下である。
【0036】
複数の蓄圧器41〜48は、鉛直方向に隣接するように並んで配置されている(図1)。より具体的には、複数の蓄圧器41〜48は、複数の蓄圧器41〜48の長手方向が鉛直方向と直交するように、鉛直方向に並んで配置されている。
【0037】
例えば、図1図2に示すように、上から、蓄圧器41、42の組、蓄圧器43、44の組、蓄圧器45、46の組、蓄圧器47、48の組の順に鉛直方向に並んで配置されている。
【0038】
また、複数の蓄圧器41〜48は、水平方向にも隣接するように並んで配置されている(図2)。例えば、図1図2に示すように、蓄圧器41、42が水平方向に隣接し、蓄圧器43、44が水平方向に隣接し、蓄圧器45、46が水平方向に隣接し、蓄圧器47、48の組が水平方向に隣接している。
【0039】
なお、蓄圧器41〜48の圧力は、車両7の燃料タンク(図示せず)よりも高圧である。例えば、車両の燃料タンクの圧力が70MPaの場合、複数の蓄圧器41〜48の圧力は80MPa程度である。
【0040】
さらに、水素ステーション1は、蓄圧器41〜48と配管で接続された冷却機5と、この冷却機5と配管を介して接続されたディスペンサ(水素供給手段)6とを備える。
【0041】
ここで、冷却機5は、水素を車両7へ急速充填する際に水素温度が高くなるため、充填前に水素を予め冷却して水素温度を低くしておくための設備である。
【0042】
この冷却機5は、複数の蓄圧器41〜48から放出された水素を冷却する。例えば、冷却機5は、蓄圧器41〜48から放出された水素を設定温度(例えば、−40℃)に冷却し、冷却後の水素をディスペンサ6へ供給する。
【0043】
ディスペンサ6は、冷却機5が冷却した水素を、水素を燃料として使用する車両7に供給する。蓄圧器41〜48内の圧力(例えば、80MPa)の方が、車両の燃料タンク(不図示)の圧力(例えば、70MPa)よりも高いので、この差圧で、ディスペンサ6から水素が車両7に供給される。
【0044】
ここで、以上のような構成を有する水素ステーション1の動作の一例について説明する。 始めに、複数の蓄圧器41〜48から水素を放出させて、冷却機5を介して、車両7に水素を供給する場合について説明する。図3は、図1に示す水素ステーション1において、複数の蓄圧器から水素を放出させる動作の一例を示すフロー図である。
【0045】
先ず、図3に示すように、制御部4aは、鉛直方向に並べられた複数の蓄圧器41〜48のうち、中間に位置する蓄圧器43、44から水素を放出させて、冷却機5を介して、車両7に水素を供給する(ステップS1)。
【0046】
次に、制御部4aは、中間に位置する蓄圧器43、44から水素を放出させた後、中間に位置する蓄圧器の下方に位置する蓄圧器45、46から水素を放出させて、冷却機5を介して、車両7に水素を供給する(ステップS2)。
【0047】
さらに、制御部4aは、蓄圧器45、46から水素を放出させた後、蓄圧器45、46の下方に位置する蓄圧器47、48から水素を放出させて、冷却機5を介して、車両7に水素を供給する(ステップS2)。
【0048】
このように、鉛直方向に並べられた複数の蓄圧器41〜48のうち、中間に位置する蓄圧器43、44から順番に、水素を放出させて、冷却機5を介して、車両7に水素を供給する。特に、中間に位置し水平方向に並んだすべての蓄圧器43、44から水素を放出させた後、中間に位置する蓄圧器43、44の下方に位置する蓄圧器45、46から水素を放出させる。
【0049】
そして、制御部4aは、下方に位置する蓄圧器45〜48から水素を放出させた後、中間に位置する蓄圧器43、44の上方に位置する蓄圧器41、42から水素を放出させて、冷却機5を介して、車両7に水素を供給する(ステップS3)。
【0050】
既述のように、各蓄圧器43、44から水素が放出されると、蓄圧器41〜48内の圧力が低下するとともに、蓄圧器の温度(水素の温度)が低下する。この蓄圧器43、44の温度低下による冷気は、下方に向かって下降するので、その下方に位置する蓄圧器45〜48を冷却する。しかし、上方に位置する蓄圧器41、42も少なからず冷却されることとなる。
【0051】
なお、最後は、車両の燃料タンクの圧力がある程度上昇しているため、圧力の変動が少なく、上方に位置する蓄圧器41、42から少し暖かい水素の充填になっても問題無い。
【0052】
このように、蓄圧器41〜48の水素の温度を低く抑えることができる。
【0053】
次に、複数の蓄圧器41〜48に水素を充填する場合について説明する。図4は、図1に示す水素ステーション1において、複数の蓄圧器に水素を充填させる動作の一例を示すフロー図である。
【0054】
圧縮機3は、貯蔵容器2から供給された水素を昇圧し、蓄圧器41〜48に充填する。
【0055】
例えば、貯蔵容器2に貯蔵された水素を圧縮機3により昇圧する。
【0056】
そして、図4に示すように、制御部4aは、鉛直方向に並べられた複数の蓄圧器41〜48のうち、上方に位置する蓄圧器41、42から順番に、昇圧された水素を充填させる。
【0057】
より具体的には、制御部4aは、上方に位置し水平方向に並んだすべての蓄圧器41、42に水素を充填させる(ステップS11)。
【0058】
そして、制御部4aは、水平方向に並んだすべての蓄圧器41、42に水素を充填させた後、その下方(中間)に位置する蓄圧器43、44に昇圧された水素を充填させる(ステップS12)。
【0059】
そして、制御部4aは、水平方向に並んだすべての蓄圧器43、44に水素を充填させた後、その下方に位置する蓄圧器45、46に昇圧された水素を充填させる(ステップS13)。
【0060】
そして、制御部4aは、水平方向に並んだすべての蓄圧器45、46に水素を充填させた後、その下方に位置する蓄圧器47、48に昇圧された水素を充填させる(ステップS13)。
【0061】
ここで、圧縮機3から蓄圧器に水素が充填されると、蓄圧器内の圧力が上昇するとともに、蓄圧器内の水素温度が上昇する。この蓄圧器の熱気は、上方に移動するので、上述のように、上方に位置する蓄圧器41、42から順番に、水素を充填させる。
【0062】
なお、蓄圧器の温度は、規定温度(例えば、40℃)以下に管理されているため、水素の充填後に、下の蓄圧器の放熱で、上の蓄圧器が規定温度を超えることは無い。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る水素ステーション1は、蓄圧器41〜48の冷却効果を高めることができる。すなわち、蓄圧器41〜48への水素充填時における水素の温度を低く抑えることができる。
【0064】
その結果、冷却機5に供給される水素の温度を下げることができるので、冷却機5で冷却に要するエネルギー消費量を減らすことができる。これにより、水素供給コストを低減することができる。
【0065】
さらに、蓄圧器41〜48内の圧力が規定の圧力に到達するまでに要する水素の充填時間を短縮することができる。
【0066】
これにより、車両に水素の供給を開始するまでに要する時間を短縮することができるため、複数の車両へ水素を連続して充填する連続充填の際に、1台目の車両へ水素を充填した後に、蓄圧器41〜48内の圧力を規定の圧力に回復させるまでの時間を短縮することができる。
【0067】
その結果、前の車両への水素充填を完了した時から次の車両へ水素を充填し始める時までの時間を短縮することができるため、連続充填の際の2台目以降の水素充填の待ち時間を短縮することができる。
【0068】
なお、本実施形態に係る水素ステーション1は、蓄圧器ユニット4に蓄圧器を8本備えたが、これに限らず、7本以下であっても、9本以上であってもよい。
【0069】
また、本実施形態に係る水素ステーション1が備える構成は、トレーラに設置されていてもよい。
【0070】
また、水素ステーション1は、蓄圧器41〜48よりも低い圧力(例えば、45MPa程度)で水素が充填されている低圧蓄圧器(図示せず)を更に備えてもよい。この場合、低圧蓄圧器で蓄積された水素は圧縮機3で昇圧され、蓄圧器41〜48へ送られる。
【0071】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0072】
1 水素ステーション
2 貯蔵容器
3 圧縮機
4 蓄圧器ユニット
4a 制御部
41、42、43、44、45、46 蓄圧器
5 冷却機
6 ディスペンサ(水素供給手段)
7 車両
図1
図2
図3
図4