特許第6289969号(P6289969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6289969制御装置、水素ステーション、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6289969
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】制御装置、水素ステーション、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20180226BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20180226BHJP
   B60S 5/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   F17C13/02 301Z
   F17C5/06
   B60S5/02
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-69768(P2014-69768)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-190596(P2015-190596A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】JXTGエネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100162123
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】岡 崎 順 二
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−062514(JP,A)
【文献】 特開平07−215179(JP,A)
【文献】 特開平08−100888(JP,A)
【文献】 特開2011−033070(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0298256(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
B60S 5/02
F17C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定する決定部と、
前記決定部が決定した待ち時間、前記水素充填の開始時刻、または前記充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置を制御する表示制御部と、
を備え
前記決定部は、操作者の入力を受け付けることができる操作受付部が待機中の車両の台数を受け付けることで、または、車両の駐車スペース毎に設けられ且つ車両を検知することができる赤外線センサが車両を検知することで、前記水素の充填のために待機中の車両の台数を取得する制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、ディスペンサにより前記水素の充填を実行している車両の台数と、前記ディスペンサによる前記水素の充填のために待機中の車両の台数との合計台数を取得し、水素を蓄圧する蓄圧器内の圧力を取得し、取得した蓄圧器内の圧力に基づいて、規定時間内に水素充填可能な充填可能車両台数を決定し、前記充填可能車両台数と、前記合計台数と、貯留用容器に貯留された水素を用いて前記蓄圧器内が設定圧力になるまで前記蓄圧器に水素を充填するのに要する充填所要時間とを用いて、前記ディスペンサによる前記水素の充填のために待機を開始する車両の待ち時間を決定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記待ち時間は、前記車両の待機の開始から前記車両に水素への充填完了までに要する時間、または前記車両の待機の開始から前記車両への水素の充填開始までに要する時間である
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記合計台数と前記充填可能車両台数とを比較し、前記合計台数が前記充填可能車両台数より少ない場合、前記規定時間に前記合計台数を乗じた時間を、前記待ち時間に決定する
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記合計台数と前記充填可能車両台数とを比較し、前記合計台数が前記充填可能車両台数のi(iは自然数)倍以上、且つ前記充填可能車両台数の(i+1)倍未満の場合、前記規定時間に前記合計台数を乗じた時間に、前記充填所要時間のi倍を加算した時間を、前記待ち時間に決定する
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
水素が貯留されている貯留用容器と、
前記貯留用容器から供給された水素を圧縮する圧縮器と、
前記圧縮器が圧縮した水素を蓄圧する蓄圧器と、
情報を表示する表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置と、
操作者の入力を受け付けることができる操作受付部、または、車両の駐車スペース毎に設けられ且つ車両を検知することができる赤外線センサの少なくともいずれか一方と、
を備え、
前記制御装置は、
燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定する決定部と、
前記決定部が決定した待ち時間または水素充填の開始時刻を示す情報を表示するよう表示装置を制御する表示制御部と、
を備え
前記決定部は、前記操作受付部が待機中の車両の台数を受け付けることで、または、前記赤外線センサが車両を検知することで、前記水素の充填のために待機中の車両の台数を取得する水素ステーション。
【請求項7】
操作者から待機中の車両の台数を操作受付部が受け付けることで、または、車両の駐車スペース毎に設けられた赤外線センサが車両を検知することで、燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定し、
前記決定された待ち時間、前記水素充填の開始時刻、または前記充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置を制御する制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、
操作者から待機中の車両の台数を操作受付部が受け付けることで、または、車両の駐車スペース毎に設けられた赤外線センサが車両を検知することで、燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定する決定部、
前記決定部が決定した待ち時間、前記水素充填の開始時刻、または前記充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置を制御する表示制御部、 として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、水素ステーション、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素を燃料として使用する燃料電池自動車の開発が進められている。このような燃料電池自動車の普及を図るためには、燃料電池や車両自体の性能向上とともに、インフラの面においても、水素を燃料電池自動車へ供給可能な水素ステーション(例えば、特許文献1参照)を多くの場所に設置することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−33070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の水素ステーションは、一度に何台もの燃料電池自動車が来店することを想定していないため、水素の充填のための待ち時間が長くなることが予想される。
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水素の充填のために水素ステーションに来店した顧客の利便性を向上させることを可能とする制御装置、水素ステーション、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御装置は、
燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定する決定部と、
前記決定部が決定した待ち時間、前記水素充填の開始時刻、または前記充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置を制御する表示制御部と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る前記制御装置において、
前記決定部は、ディスペンサにより前記水素の充填を実行している車両の台数と、前記ディスペンサによる前記水素の充填のために待機中の車両の台数との合計台数を取得し、水素を蓄圧する蓄圧器内の圧力を取得し、取得した蓄圧器内の圧力に基づいて、規定時間内に水素充填可能な充填可能車両台数を決定し、前記充填可能車両台数と、前記合計台数と、貯留用容器に貯留された水素を用いて前記蓄圧器内が設定圧力になるまで前記蓄圧器に水素を充填するのに要する充填所要時間とを用いて、前記ディスペンサによる前記水素の充填のために待機を開始する車両の待ち時間を決定する。
【0008】
本発明の一態様に係る前記制御装置において、
前記待ち時間は、前記待機を開始する車両の待機の開始から前記待機を開始する車両に水素が充填完了されるまでに要する時間、または前記待機を開始する車両の待機の開始から前記待機を開始する車両に水素が充填開始されるまでに要する時間である。
【0009】
本発明の一態様に係る前記制御装置において、
前記決定部は、前記合計台数と前記充填可能車両台数とを比較し、前記合計台数が前記充填可能車両台数より少ない場合、前記規定時間に前記合計台数を乗じた時間を、前記待ち時間に決定する。
【0010】
本発明の一態様に係る前記制御装置において、
前記決定部は、前記合計台数と前記充填可能車両台数とを比較し、前記合計台数が前記充填可能車両台数のi(iは自然数)倍以上、且つ前記充填可能車両台数の(i+1)倍未満の場合、前記規定時間に前記合計台数を乗じた時間に、前記充填所要時間のi倍を加算した時間を、前記待ち時間に決定する。
【0011】
本発明の一態様に係る水素ステーションは、
水素が貯留されている貯留用容器と、
前記貯留用容器から供給された水素を圧縮する圧縮器と、
前記圧縮器が圧縮した水素を蓄圧する蓄圧器と、
情報を表示する表示装置と、
前記表示装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定する決定部と、
前記決定部が決定した待ち時間または水素充填の開始時刻を示す情報を表示するよう表示装置を制御する表示制御部と、
を備える。
【0012】
本発明の一態様に係る制御方法は、
燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定し、
前記決定された待ち時間、前記水素充填の開始時刻、または前記充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置を制御する。
【0013】
本発明の一態様に係るプログラムは、
コンピュータを、
燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、前記水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、前記待機開始車両の水素充填の開始時刻、または前記待機開始車両に充填可能な圧力を決定する決定部、
前記決定部が決定した待ち時間、前記水素充填の開始時刻、または前記充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置を制御する表示制御部、
として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明に係る制御装置は、待ち時間または水素充填の開始時刻を示す情報を表示装置に表示させることができるので、水素充填のために水素ステーションに来店した顧客は待ち時間を把握することができる。これにより、顧客は、待ち時間が許容できる場合、水素充填を待ったり、車両を水素ステーションに駐車して待ち時間の間に他の用事をすませて待ち時間が経過する前に戻って来たりすることができる。一方、顧客は、待ち時間が許容できない場合、別の日時に再度来店したり、他の水素ステーションに行ったりすることもできる。その結果、顧客の利便性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係る制御装置は、待機開始車両に充填可能な圧力を示す情報を表示装置に表示させることができるので、水素充填のために水素ステーションに来店した顧客は、当該顧客の車両に充填可能な圧力を把握することができる。これにより、顧客は、充填可能な圧力が許容できる場合、水素充填を待ち、一方、充填可能な圧力が許容できない場合、別の日時に再度来店したり、他の水素ステーションに行ったりすることもできる。その結果、顧客の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る水素ステーション1の構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る制御装置CDの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、図1を用いて本実施形態に係る水素ステーション1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る水素ステーション1の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る水素ステーション1は、水素がトレーラーなどで配送されるオフサイト型の水素ステーションである。
【0019】
図1に示すように、水素ステーション1は、貯留用容器RC、流入口が貯留用容器RCの排出口と配管で接続された圧縮器CP、及び流入口が圧縮器CPの排出口と配管で接続された蓄圧器RSを備える。更に、水素ステーション1は、流入口が蓄圧器RSの排出口と配管で接続されたディスペンサDP、及び蓄圧器RSの排出口と配管で接続された圧力計PMを備える。更に、水素ステーション1は、操作受付部OP、圧力計PMと配線で接続され且つ操作受付部OPと配線で接続された制御装置CD、及び制御装置CDと配線で接続された表示装置DISを備える。
【0020】
貯留用容器RCには、水素が貯留されている。貯留用容器RC内の圧力は、例えば、45MPaである。
【0021】
圧縮器CPは、貯留用容器RCから供給された水素を圧縮する。
【0022】
蓄圧器RSは、圧縮器が圧縮した水素を蓄圧する。蓄圧器RS内の圧力は、貯留用容器RC内の圧力よりも高い圧力(例えば、80MPa)である。
【0023】
ディスペンサDPは、蓄圧器RSから供給された水素を、水素を燃料として使用する車両FCVに供給する。ディスペンサDPから排出される際の圧力(例えば、80MPa)の方が、車両FCVの燃料タンク(不図示)の圧力(例えば、70MPa)よりも高いので、この差圧で、ディスペンサDPから水素が車両FCVに供給される。
【0024】
圧力計PMは、蓄圧器RS内の圧力を計測し、計測した圧力を示す圧力信号を制御部CDへ出力する。
【0025】
操作受付部OPは、操作者(例えば、水素ステーション1の店員)の入力を受け付ける。
【0026】
制御装置CDは、表示装置DISを制御する。
【0027】
表示装置DISは、制御装置CDの制御に従って、情報を表示する。
【0028】
続いて、本実施形態に係る水素ステーション1の動作について説明する。貯蓄用容器RCに貯留された水素が圧縮器CPへ排出される。圧縮器CPは、貯蓄用容器RCから流入した水素を圧縮し、圧縮した水素を蓄圧器RSへ排出する。蓄圧器RSは、圧縮器CPから流入した水素を蓄圧する。そして、ディスペンサDPが搭載する流量調節弁(図示せず)が開いた場合、蓄圧器RSから水素がディペンサDPを介して車両FCVへ供給される。
【0029】
圧力計PMは、蓄圧器RS内の圧力を計測し、計測した圧力を示す圧力信号を制御部CDへ出力する。
【0030】
操作受付部OPは、水素ステーション1において水素の充填のために待機中の車両の台数の入力を操作者から受け付け、受け付けた台数を示す台数信号を制御装置CDへ出力する。
【0031】
制御装置は、圧力計PMから入力された圧力信号と操作受付部OPから入力された台数信号を用いて、水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、この待機開始の水素充填の開始時刻、またはこの待機開始車両に充填可能な圧力を決定する。制御装置CDは、決定した待ち時間、水素充填の開始時刻、充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置DISを制御する。これにより、表示装置DISに、例えば、「ただいまの待ち時間10分」または「ただいまの充填可能な圧力60MPa」と表示される。
【0032】
続いて、図2を用いて本実施形態に係る制御装置CDの構成について説明する。図2は、本実施形態に係る制御装置CDの構成の一例を示す図である。図2に示すように、制御装置CDは、記憶部11、RAM(Random Access Memory)12、入力部13、出力部14、及びCPU15を備える。これらの制御装置CDの構成要素は、互いに内部バスによって接続されている。
【0033】
記憶部11には、CPU15が読み出して実行する各種のプログラムが記憶されている。
【0034】
RAM12は、データを一次記憶する揮発性のメモリである。
【0035】
入力部13は、圧力計PMから入力された圧力信号及び操作入力部Xから入力された台数信号をCPU15へ出力する。
【0036】
出力部14は、CPU15が決定した水素充填の待ち時間または水素充填の開始時刻を示す信号を表示装置DISへ出力する。これにより、表示装置DISは、水素充填の待ち時間または水素充填の開始時刻を示す情報を表示する。
【0037】
CPU15は、記憶部11に記憶されているプログラムをRAM12に読み出して実行することにより、決定部151及び表示制御部152として機能する。
【0038】
決定部151は、水素を燃料として使用する車両であって、水素の充填のために待機中の車両の台数を、入力部13を介して、操作受付部OPから取得する。決定部151は、取得した台数を用いて、水素の充填のために待機を開始する車両の待ち時間または水素充填の開始時刻を決定する。
【0039】
より具体的には、決定部151は、ディスペンサDPにより水素の充填を実行している車両の台数すなわち1台と、このディスペンサDPによる水素の充填のために待機中の車両の台数との合計台数を取得する。そして、決定部151は、水素を蓄圧する蓄圧器内の圧力を取得し、取得した蓄圧器内の圧力に基づいて、規定時間(例えば、5分)内に水素充填可能な充填可能車両台数を決定する。
【0040】
そして、決定部151は、決定した充填可能車両台数と、取得した合計台数と、貯留用容器に貯留された水素を用いて蓄圧器RS内が設定圧力になるまで蓄圧器RSに水素を充填するのに要する充填所要時間とを用いて、ディスペンサDPによる水素の充填のために待機を開始する車両の待ち時間を決定する。
【0041】
ここで、待ち時間は、車両FCVの待機の開始からこの車両FCVへの水素の充填完了までに要する時間、または車両FCVの待機の開始からこの車両FCVへの水素の充填開始までに要する時間である。
【0042】
続いて、車両FCVの待機の開始から車両FCVへの水素の充填開始までに要する時間Tの計算例について、以下説明する。
【0043】
ここで、水素の充填のために待機する車両(以下、待機車両という)の残圧は不明のため、全ての待機車両の水素充填(但し、作業、支払時間などを含む)に規定時間(例えば、5分)必要であるものとする。また、蓄圧器RSは1バンク構成とする。また、水素ステーション1への水素の配送は遅滞なく実行され、貯留用容器RCの残圧Pbは、常に貯留用容器RCの使用下限圧力PbL以上となっているものとする。
【0044】
また、蓄圧器RSの残圧が、規定時間(例えば、5分)水素を充填するために必要な蓄圧器RSの下限圧力PaLに下がった場合、貯留用容器RCから蓄圧器RSに水素を充填開始する。この貯留用容器RCから蓄圧器RSへの水素の充填は、蓄圧器RSが設定圧力(例えば、80MPa)になるまで継続する。ディスペンサDPに接続された供給ノズルは一つであり、同じディスペンサDPから、順次、車両に水素を充填する。
【0045】
規定時間をTd、蓄圧器RSの残圧をPa、水素充填中の車両の台数と水素の充填のために待機中の車両の台数との合計台数をSとする。また、蓄圧器RSの残圧Paが設定圧力(例えば、80MPa)のとき1台あたり規定時間Td(例えば、5分間)で水素を連続充填できる車両の台数をC、蓄圧器RSの残圧Paのときに1台あたり規定時間Tdで水素を連続充填可能な車両の台数(以下、充填可能車両台数)F(Pa)とする。但し、充填可能車両台数は、蓄圧器RSの残圧Paの関数であり、蓄圧器RSの残圧Paが80MPaのとき、関数F=Cで、蓄圧器RSの残圧Paが下限圧力PaL以下のとき、関数F=0である。また、蓄圧器RS内の圧力が設定圧力(例えば、80MPa)になるまで、貯留用容器RCに貯留された水素を用いて蓄圧器RS内が設定圧力(例えば、80MPa)になるまで蓄圧器RSに水素を充填するのに要する充填所要時間をTpとする。
【0046】
上述した前提において、車両FCVの待機の開始から車両FCVへの水素の充填開始までに要する時間Tは、次の式(1)または式(2)のように表される。
【0047】
(A)S<F(Pa)の場合
T=Td×S …(1)
(B)F(Pa)×i≦S<F(Pa)×(i+1)の場合(iは自然数)
T=Td×S+Tp×i …(2)
上記式(1)に示すように、決定部151は、合計台数Sと充填可能車両台数F(Pa)とを比較し、合計台数Sが充填可能車両台数F(Pa)より少ない場合(A)、規定時間Tdに合計台数Sを乗じた時間を、待ち時間に決定する。
【0048】
上記式(2)に示すように、決定部151は、合計台数Sと充填可能車両台数F(Pa)とを比較し、合計台数Sが充填可能車両台数F(Pa)のi倍以上、且つ充填可能車両台数F(Pa)の(i+1)倍未満の場合(B)、規定時間Tdに合計台数Sを乗じた時間に、充填所要時間Tpのi倍を加算した時間を、待ち時間に決定する。
【0049】
続いて、水素の充填のために待機を開始する待機開始車両に充填可能な圧力の計算例について、以下説明する。前提として、制御装置CDは、水素の圧力、容量、及びモル数の関係が規定されたテーブルが予め記憶されているものとする。その前提で、蓄圧器RSの圧力をPa、蓄圧器の容量をVaとすると、制御装置CDは、テーブルを参照して、蓄圧器内の水素のモル数Naを決定する。また、待機開始車両のタンク内の水素のモル数をNfと仮定する。よって、蓄圧器内の水素のモル数Naと待機開始車両のタンク内の水素のモル数の合計モル数は、(Na+Nf)である。また、待機開始車両のタンク容量Vfと仮定すると、蓄圧器の容量Vaと待機開始車両のタンク容量Vfの合計容量は、(Va+Vf)である。
【0050】
制御装置CDは、合計モル数(Na+Nf)と合計容量(Va+Vf)の組に対応する圧力Peを、上記テーブルから読み出す。この読み出した圧力Peは、蓄圧器RSと待機開始車両のタンクとをディスペンサDPを介して接続した後、平衡状態となったときの圧力である。
【0051】
例えば、規定時間Td(例えば、5分間)で待機開始車両のタンクに充填できる圧力は、読み出した圧力Peよりも、予め設定された圧力Pdだけ小さい圧力(Pe−Pd)である。よって、制御装置CDは、例えば、水素の充填のために待機を開始する待機開始車両に充填可能な圧力として、読み出した圧力Peよりも予め設定された圧力Pdだけ小さい圧力(Pe−Pd)を示す情報を表示装置DISに表示させる。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る制御装置CDは、燃料として使用する水素の充填のために待機中の車両の台数を取得し、取得した台数を用いて、水素の充填のために待機を開始する待機開始車両の待ち時間、待機開始の水素充填の開始時刻、または待機開始車両に充填可能な圧力を決定する決定部151と、決定部151が決定した待ち時間、水素充填の開始時刻、または充填可能な圧力を示す情報のうち少なくとも一つの情報を表示するよう表示装置DISを制御する表示制御部152と、を備える。
【0053】
したがって、本実施形態に係る制御装置CDは、待ち時間または水素充填の開始時刻を示す情報を表示装置DISに表示させることができるので、水素充填のために水素ステーション1に来店した顧客は待ち時間を把握することができる。これにより、顧客は、待ち時間が許容できる場合、水素充填を待ったり、車両FCVを水素ステーション1に駐車して待ち時間の間に他の用事をすませて待ち時間が経過する前に戻って来たりすることができる。一方、顧客は、待ち時間が許容できない場合、別の日時に再度来店したり、他の水素ステーションに行ったりすることもできる。
【0054】
また、本実施形態に係る制御装置CDは、待機開始車両に充填可能な圧力を示す情報を表示装置DISに表示させることができるので、水素充填のために水素ステーション1に来店した顧客は、当該顧客の車両に充填可能な圧力を把握することができる。これにより、顧客は、充填可能な圧力が許容できる場合、水素充填を待ち、一方、充填可能な圧力が許容できない場合、別の日時に再度来店したり、他の水素ステーションに行ったりすることもできる。その結果、顧客の利便性を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施形態の水素ステーション1は、オフサイトステーションについて説明したが、これに限らず、水素ステーション1で原料から水素を生成するオンサイトステーションである場合もある。その場合、水素ステーション1では、原料(例えば、天然ガス、液化石油ガス(LPG)など)は常に十分保持されているものとして、決定部151は、上記(1)または(2)に従って、待ち時間を決定してもよい。
【0056】
また、本実施形態の水素ステーション1は、操作受付部OPが待機中の車両の台数の入力を受け付けることで、決定部151が待機中の車両の台数を取得したが、これに限ったものではない。その代わりに、赤外線センサが水素ステーション内の駐車スペース毎に設けられ、赤外線センサが車両を検知した場合に、決定部151が待機中の車両の台数を1増加させることで、待機中の車両の台数を取得してもよい。
【0057】
なお、本実施形態において、決定部151及び表示制御部152は、CPU15に、記憶部11に予め記憶されたプログラムを読み出して実行することで実現したが、このプログラムを、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶し、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布し、このプログラムを制御装置CDに適宜インストールすることで実現してもよい。また、決定部151及び表示制御部152は、上記の制御装置CDに内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスクもしくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
【0058】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1 水素ステーション
RC 貯留用容器
CP 圧縮器
RS 蓄圧器
DP ディスペンサ
PM 圧力計
OP 操作受付部
CD 制御装置
DIS 表示装置
11 記憶部
12 RAM
13 入力部
14 出力部
15 CPU
151 決定部
152 表示制御部
図1
図2