(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス等では部署ごとに照明や空調等のスイッチが割り当てられる場合がある。
図10には、オフィスフロアがA〜Gの照明エリアに区切られるとともに、当該オフィスフロアにグループ1,2の2つの部署がそれぞれ島状に配置された例が示されている。グループ1の島に近いスイッチパネル100Aには、グループ1の島を照明する照明エリアA,B,Cのスイッチ102A,102B,102Cが割り当てられる。また、グループ2の島に近いスイッチパネル100Bには、グループ2の島を照明する照明エリアE,F,Gのスイッチ102E,102F,102Gが割り当てられる。
【0003】
また、異動や組織変更等により、部署の規模や配置を変更する場合がある。例えば
図10の配置から、
図11に示すように、グループ1の島が照明エリアA,E内に配置変更され、グループ2の島が照明エリアB,C,F,Gに配置変更される。このような場合に、グループ1の島に近いスイッチパネル100Aに、照明エリアA,Eのスイッチ102A,102Eを割り当て、また、グループ2の島に近いスイッチパネル100Bに、照明エリアB,C,F,Gのスイッチ102B,102C,102F,102Gを割り当てるといった、スイッチの割付変更を行いたいとの要望がある。
【0004】
そこで特許文献1,2では、光源と点灯装置の間に制御装置を設けるとともに、この制御装置に照明エリアの設定情報を送信することで、部署グループに応じたスイッチの割付の変更や拡張を行っている。また、特許文献3では、スイッチ盤に被せるカバープレートおよびスイッチプレートが開示されており、スイッチプレートを、照明エリアの広さに対応する面積に形成するとともに、照明エリアのX−Y方向に対応する位置に設けている。また、特許文献4では、スイッチに受信機能を持たせるとともに、リモコンからの制御信号を受けて、当該スイッチに接続された照明の点灯/消灯を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、既設の配線系統に制御装置が設けられていない場合、制御装置を設置するには有資格者による電気工事を行う必要がある。また、制御装置を設けずに部署の島に対応したスイッチの割付変更を行うには照明配線の配索を変更する必要があり、これもまた、有資格者による電気工事を行う必要がある。このように従来は、部署のスタッフなど無資格者のみにてスイッチの割付を変更/拡張することが困難な場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、設置済みスイッチ用拡張装置に関する。当該装置は、設置済みのスイッチパネルに被せられるとともに表面にスイッチが形成された拡張プレートと、前記拡張プレートに収容され前記拡張プレートのスイッチの押圧に応じて駆動信号を出力する送信器と、前記拡張プレートに収容され、前記送信器からの駆動信号を受信して前記スイッチパネルのスイッチを押圧するアクチュエータと、を備える。
【0008】
また、上記発明において、前記拡張プレートのスイッチは、前記スイッチパネルのスイッチに対向するように形成されていることが好適である。
【0009】
また、上記発明において、前記拡張プレートに収容され、前記拡張プレートのスイッチの押圧に応じて移動させられて前記スイッチパネルのスイッチを押圧するピンを備えることが好適である。
【0010】
また、上記発明において、前記アクチュエータはソレノイドを備え、前記ソレノイドのプランジャーは、前記拡張プレートのスイッチに位置合わせされ、前記駆動信号の受信によるコイルの励磁、及び、前記拡張プレートのスイッチへの押圧に応じて、移動させられて前記スイッチパネルのスイッチを押圧することが好適である。
【0011】
また、上記発明において、前記拡張プレートには、前記スイッチパネルに被せられた際に当該スイッチパネルのスイッチから外れたところに形成されるとともに、前記送信器が取り付けられる拡張スイッチが形成されていることが好適である。
【0012】
また、上記発明において、前記拡張プレートに収容された際に前記スイッチパネル及び拡張プレートのスイッチに位置合わせされるとともに前記ピン、送信器、及びアクチュエータのそれぞれを着脱可能なスロットが形成された、ガイドプレートを備えることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に寄れば、部署のスタッフなど無資格者のみにてスイッチの割付を変更/拡張することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本実施形態に係る拡張装置10を例示する。拡張装置10は、拡張プレート12、ガイドプレート14、送信器16、及びアクチュエータ18を備える。
【0016】
拡張装置10は、オフィスの壁等に設置済みのスイッチパネル20に取り付けられる。スイッチパネル20のスイッチ22は、照明や空調等の電気設備のオン/オフ操作を行う。スイッチ22は押圧操作型のものであってよく、押しボタン式、タクタイル式、ピアノ操作式、リミットスイッチ式、フットスイッチ式、マットスイッチ式、パネルスイッチ式、キーボード式などのスイッチであってよい。また、スイッチ22は、2連スイッチであってもシングルスイッチであってもよいが、拡張装置10の構成を簡素にするために、シングルスイッチであることが好適である。
【0017】
拡張プレート12は、スイッチパネル20に被せられる、蓋箱形状の部材である。拡張プレート12の面のうち、スイッチパネル20を覆う表面には、スイッチ24が形成されている。スイッチ24は、スイッチパネル20のスイッチ22と同型の押圧操作型のスイッチであることが好適である。また、スイッチ24は、割り当てられた照明エリア等を示すネームプレートを備えていてもよい。
【0018】
拡張プレート12のスイッチ24は、拡張プレート12をスイッチパネル20に被せたときに、スイッチパネル20のスイッチ22に対向するように形成されていることが好適である。このような位置合わせを容易に行うために、例えば、拡張プレート12にはねじ穴26が形成される。ねじ穴26は、スイッチパネル20を壁に固定するためのねじ穴28と同径であってよい。拡張プレート12のねじ穴26とスイッチパネル20のねじ穴28を位置合わせして雄ねじを螺入することで、拡張プレート12がスイッチパネル20に対して固定される。この固定時にスイッチパネル20のスイッチ22に対向するように、拡張プレート12のスイッチ24を形成することが好適である。例えば、スイッチパネル20のねじ穴28とスイッチ22の位置関係と、拡張プレート12のねじ穴26とスイッチ24の位置関係を等しくすることが好適である。
【0019】
送信器16は、拡張プレート12のスイッチ24の押圧に応じて駆動信号を出力する。
図1の実施形態では送信器16は無線にて駆動信号を伝送するようにしているが、後述するように有線にて駆動信号を伝送するようにしてもよい。
【0020】
送信器16には押しボタン30が設けられており、送信器16が拡張プレート12に収容される際に、この押しボタン30が、拡張プレート12のスイッチ24の背面に位置合わせされる。スイッチ24を押圧することで間接的に押しボタン30が押され、これにより送信器16から駆動信号が出力される。
【0021】
送信器16の電源として、電池等の直流電源を送信器16の内部に備えるようにしてもよい。また、後述するように、ガイドプレート14の端子から電力を受けるようにしてもよい。
【0022】
アクチュエータ18は、送信器16からの駆動信号を受信してスイッチパネル20のスイッチ22を押圧する。アクチュエータ18は、受信器32及び
図2に示すソレノイド34を備える。アクチュエータ18が拡張プレート12に収容される際に、ソレノイド34のプランジャー36がスイッチパネル20のスイッチ22に対向するように位置合わせされる。受信器32が送信器16から駆動信号を受信するとソレノイド34のプランジャー36が駆動してスイッチパネル20のスイッチ22を押圧する。
【0023】
アクチュエータ18の電源として、電池等の電源を内部に備えてもよい。また、後述するように、ガイドプレート14の端子から電力を受けるようにしてもよい。
【0024】
図1に戻り、後述するガイドプレート14のスロット38への挿入を考慮して、アクチュエータ18の幅、高さ、奥行きは送信器16と略同一であることが好適である。
【0025】
送信器16とアクチュエータ18はペアの構成を採っている。つまり、送信器16が出力する駆動信号にはアクチュエータ18を特定する識別子が付されており、特定の送信器16からの駆動信号は特定のアクチュエータ18のみを駆動させるようになっている。
図1では、送信器16A及びアクチュエータ18A、16B及び18B、並びに16C及び18Cがそれぞれペアとなっている。
【0026】
図1に示す例では、拡張装置10を用いてスイッチの割付を変更する例が示されている。スイッチの割り付けは、下記表1のように設定される。
【0028】
上記表1の割り付けを行うために、送信器16A〜16C及びアクチュエータ18A〜18Cを以下のように配置する。拡張プレート12のスイッチ24Eに送信器16Aを配置するとともに、スイッチパネル20のスイッチ22Aにアクチュエータ18Aを配置する。拡張プレート12のスイッチ24Fに送信器16Bを配置するとともに、スイッチパネル20のスイッチ22Cにアクチュエータ18Bを配置する。同様にして、拡張プレート12のスイッチ24Dに送信器16Cを配置するとともに、スイッチパネル20のスイッチ22Dにアクチュエータ18Cを配置する。
【0029】
ガイドプレート14は、送信器16及びアクチュエータ18の位置合わせをサポートする板部材である。ガイドプレート14にはスロット38が形成されている。スロット38は、拡張プレート12に収容された際に、スイッチパネル20及び拡張プレート12のスイッチ22、24に位置合わせされるように形成されている。
【0030】
スロット38には、送信器16、アクチュエータ18、及び後述するピン40が着脱(挿入及び抜き取りが)可能となっている。
図3に示すように、スロット38は、送信器16の押しボタン30が拡張プレート12側に抜けるように、貫通孔39が形成されている。スロット38に送信器16及びアクチュエータ18を着座させることで、スイッチパネル20のスイッチ22及び拡張プレート12のスイッチ24と、送信器16及びアクチュエータ18との位置合わせを容易に行うことができる。
【0031】
また、ガイドプレート14は電池等の電源が設けられていてもよく、また、スイッチパネル20近傍のコンセントに接続可能なプラグが設けられていてもよい。さらに、スロット38には、送信器16及びアクチュエータ18に電力を送る電源端子が設けられていてもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る拡張装置10によれば、配線工事等、有資格者に限られる工事を行うことなく、スイッチパネル20に拡張装置10を取り付ける作業のみにて、スイッチの割り付け変更を行うことができる。
【0033】
なお、
図1に示す送信器16Cとアクチュエータ18Cのように、スイッチの割り付けによっては、スイッチパネル20のスイッチ22と、これに対応する拡張プレート12のスイッチ24が一直線上に並ぶような場合がある。このような場合、送信器16及びアクチュエータ18を用いた遠隔操作に代えて、ピンによるスイッチ操作を行うようにしてもよい。
【0034】
図4の拡張装置10では、スイッチパネル20のスイッチ22と拡張プレート12のスイッチ24とを繋ぐ器具として、送信器16及びアクチュエータ18の他に、ピン40が設けられている。ピン40は、拡張プレート12に収容され、拡張プレート12のスイッチ24の押圧に応じて移動させられるとともに、スイッチパネル20のスイッチ22を押圧する。ピン40は、ガイドプレート14のスロット38の貫通孔39に挿入されることで位置決めされる。
【0035】
また、
図4では、プランジャー36がピン40の機能を兼ねるソレノイド34’を備えるアクチュエータ18’が示されている。このアクチュエータ18’では、ソレノイド34’のプランジャー36が、拡張プレート12のスイッチ24に位置合わせされる。このようにすることで、駆動信号の受信によるソレノイドコイルの励磁に加えて、拡張プレート12のスイッチ24への押圧によっても、プランジャー36が移動させられる。このようにして2種類の方法のどちらかによってプランジャー36を移動させて、スイッチパネル20のスイッチ22を押圧する。このような構成を備えることで、2入力1出力のスイッチ系統を構築することが可能となる。
【0036】
図5には、
図4で示す拡張装置10を用いて、2台のスイッチパネル20A、20Bに亘るスイッチの割り付けを変更する例が示されている。なお、
図5では、簡略化のため、ガイドプレート14の図示を省略している。この例では、下記表2のようにスイッチの割り付けを行う。
【0038】
入力側スイッチ22と出力側スイッチ24が直線状に配置された、スイッチ24C→22C、スイッチ24D→22D、スイッチ24I→22I、スイッチ24K→22K、及びスイッチ24L→22Lに対しては、各スイッチ22、24間にピン40を配置する。
【0039】
次に、入力側スイッチ24と出力側スイッチ22がずれた位置関係にある、スイッチ24E→22J、24H→22Aに対しては、送信器16及びアクチュエータ18を配置する。具体的には、スイッチ24Eの背面(紙面奥行き方向の面)に送信器16Aを配置するとともにスイッチ22Jの前面(紙面手前側の面)にアクチュエータ18Aを配置する。同様にしてスイッチ24Hの背面に送信器16Bを配置するとともにスイッチ22Aの前面にアクチュエータ18Bを配置する。
【0040】
さらに、2入力1出力の形式をとり、一方の入力が出力と一直線上に並ぶ、スイッチ24F+24G→22Fについて、スイッチパネル20Aのスイッチ22Fと拡張プレート12Aのスイッチ24Fの間にアクチュエータ18’を配置する。さらに拡張プレート12Bのスイッチ24Gの背面に送信器16Cを設ける。
【0041】
上記のように、各スイッチパネル20A、20Bに拡張装置10A、10Bをそれぞれ取り付けることで、複数のスイッチパネルに亘ってスイッチの割り付けを変更することができる。
【0042】
また、上記の例ではスイッチパネル20に拡張装置10を取り付けていたが、この形態に限らない。例えばスイッチパネル20が設置されていない壁等の任意の箇所に拡張装置10を取り付けて、スイッチパネル20の操作を行うようにしてもよい。
【0043】
図6には、スイッチパネル20A、20Bにそれぞれ取り付けられる拡張装置10A、10Bに加えて、拡張装置10Cが示されている。拡張装置10Cは、壁に取り付けられてもよく、またオフィスの机上に取り付けるようにしてもよい。拡張装置10Cの取り付け先にはスイッチパネル20がないため、アクチュエータ18及びピン40は設けられず、拡張スイッチ42には、専ら送信器16のみが取り付けられる。
【0044】
さらに、拡張装置10Bの拡張プレート12にも、スイッチ24に加えて拡張スイッチ42が設けられている。拡張スイッチ42は、拡張プレート12がスイッチパネル20に被せられた際に、スイッチパネル20のスイッチ22から外れたところに形成される。拡張スイッチ42の取り付け先にはスイッチパネル20のスイッチ22がないことから、拡張装置10Cと同様にして、拡張スイッチ42には、アクチュエータ18及びピン40は設けられず、専ら送信器16が取り付けられる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、駆動信号を無線にて伝送していたが、この形態に限らない。
図7には、有線にて駆動信号を伝送する例が示されている。この例では、LANケーブル等のケーブルを用いて送信器16とアクチュエータ18、ひいてはスイッチパネル20のスイッチ22と拡張プレート12のスイッチ24とを接続する。送信器16は拡張プレート12のスイッチ24の背面に固定されており、さらにその先にはLANケーブルを差し込むポート44が設けられている。
【0046】
また、
図7の例では、ガイドプレート14に、スイッチパネル20のねじ穴28及び拡張プレート12のねじ穴26と同径の位置合わせ用ねじ穴45が形成されている。
【0047】
ガイドプレート14にはスロット38の他にポート44が設けられている。スロット38の脇のポート44にLANケーブルが挿入されると、当該スロット38に着座された送信器16またはアクチュエータ18がこのLANケーブルを介して通信可能となる。上述した2入力1出力を可能とするために、ひとつのスロット当たり2つのポート44が割り当てられていてもよい。
【0048】
さらに、拡張プレート12には、LANケーブルの噛み込みを防ぐために、切り欠き46または開口が設けられていてもよい。
【0049】
図8には、LANケーブル47によって送信器16及びアクチュエータ18を接続したときの例が示されている。この図では、配線状態を説明するために、送信器16及びアクチュエータ18の図示を省略している。このようにして有線にてスイッチパネル20のスイッチ22と、拡張プレート12のスイッチ24及び拡張スイッチ42とを接続することで、各スイッチ22、24、42の対応関係が明確になり、作業を簡易に行うことができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、ガイドプレート14を介してLANケーブルの接続を行っていたが、この形態に限らない。例えば送信器16やアクチュエータ18に直接ポート44を設けてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、駆動手段としてソレノイド34を用いていたが、この形態に限らない。例えば2入力1出力の形態を採らず、1入力1出力の形態のみにてスイッチの割り付けを行うのであれば、
図9に示すような回転式の駆動装置を用いてもよい。この駆動装置は、モータ48及びカムディスク50を備える。モータ48は、受信器32が駆動信号を受信した際に駆動される。カムディスク50はモータ48の駆動により回動させられる。カムディスク50は周方向に沿って半径が異なるように形成されており、回動に応じて相対的な突起部がスイッチ22に当接することでスイッチ22のオン/オフ操作が行われる。