(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290014
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】展示具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/11 20060101AFI20180226BHJP
G09F 1/08 20060101ALI20180226BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
A47F5/11
G09F1/08 G
G09F1/08 K
F16B5/07 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-130382(P2014-130382)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-7430(P2016-7430A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100151024
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 幸嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明人
(72)【発明者】
【氏名】田邉 航平
(72)【発明者】
【氏名】田中 千春
【審査官】
横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−244532(JP,A)
【文献】
特開2012−139445(JP,A)
【文献】
実開昭57−014169(JP,U)
【文献】
特開2013−013593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/11
F16B 5/07
G09F 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル(1)の背面側に三角筒状の補強筒(2)を沿わせて、パネル(1)の撓みを防止する展示具において、前記補強筒(2)は、パネル(1)の背面側から順次延びる基柱板(23)、中柱板(24)及び先柱板(25)を巻き込むように折り曲げ、先柱板(25)をパネル(1)の背面側に沿わせ、中柱板(24)の先柱板(25)との境界側に係合切込(2a)を設けたものとし、パネル(1)の背面側にストッパ板(4)を設け、ストッパ板(4)の補強筒(2)側をパネル(1)の背面から離反する方向に弾性的に撓むようにし、このようにパネル(1)の背面から離反する方向に撓むストッパ板(4)の端部の先端に係合突起(4a)を設けておき、使用時には、補強筒(2)を三角筒状に組み立て、係合突起(4a)を係合切込(2a)に係合させて、補強筒(2)の組立形状を保持し、非使用時には、係合突起(4a)と係合切込(2a)の係合を解除し、補強筒(2)を偏平に折り畳んで、ストッパ板(4)でパネル(1)の背面側に沿うように押さえ、折畳状態に保持するようにしたことを特徴とする展示具。
【請求項2】
請求項1に記載の展示具において、パネル(1)の両側部に補強筒(2)を設け、ストッパ板(4)は、両側の補強筒(2)に亘るものとし、パネル(1)の幅方向中間部で、ストッパ板(4)とパネル(1)の背面の間に折重板(42)を介在させ、ストッパ板(4)の補強筒(2)に臨む両端部とパネル(1)の背面との間に形成された間隙部に、非使用時に偏平に折り畳んだ補助筒(2)が収納されるようにしたことを特徴とする展示具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の展示具において、パネル(1)の正面側にトレイ部(3)を設け、使用時には、トレイ部(3)の底板(35a)を固定して、トレイ部(3)を組立状態とし、非使用時には、トレイ部(3)の底板(35a)の固定を解除して、トレイ部(3)を折畳状態とすることにより、偏平状態に変形できるようにしたことを特徴とする展示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、店舗の売場での広告、商品展示等に使用する展示具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
店舗の売場に設置されるPOP広告を兼ねた商品の展示具として、
図7に示すようなものが下記特許文献1に記載されている。この展示具は、縦長のパネル51を備えており、その長さ方向の撓みを防止するため、パネル51の両側の延長部を背面側へ三角筒状に巻き込むように折り曲げて補強筒52を形成し、パネル51の背面に補強筒52の重なる部分を貼り付けて、補強筒52の組立形状を保持している。
【0003】
ところで、このような展示具では、店舗の売場での展示作業の負荷を軽減するため、製造に際して、パネル51に補強筒52を組立状態で予め貼り付けていることから、店舗への輸送時に嵩張るほか、補強筒52が押し潰されることもある。
【0004】
その対策として、下記特許文献2では、
図8に示すように、パネル61の両側の延長部を背面側へ巻き込んで三角筒状の補強筒62を形成する展示具において、補強筒62を組み立てる前の偏平な状態で店舗へ輸送し、店舗に到着した後、補強筒62を巻き込むように折り曲げ、商品吊下用のフック63の基部に形成されたL字状の脚部64を、パネル61と補強筒62の重合部に穿設された貫穴65に差し込んで、補強筒52の組立形状を保持するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−224075号公報
【特許文献2】特許第3751354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記引用文献2に記載されたような構成は、フックを使用して商品を吊り下げる展示具にのみ適用可能なものであり、パネルの正面側に設けたトレイ部に商品を収納して展示するような展示具には適用できないという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、付属具に依存することなく、偏平な状態で輸送して、店舗の売場で迅速にパネルの補強構造を形成できる展示具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するため、この発明は、パネルの背面側に三角筒状の補強筒を沿わせて、パネルの撓みを防止する展示具において、前記補強筒は、パネルの背面側から順次延びる基柱板、中柱板及び先柱板を巻き込むように折り曲げ、先柱板をパネルの背面側に沿わせ、中柱板の先柱板との境界側に係合切込を設けたものとし、パネルの背面側にストッパ板を設け、ストッパ板の補強筒側をパネルの背面から離反する方向に弾性的に撓むようにし、
このようにパネルの背面から離反する方向に撓むストッパ板の端部の先端に係合突起を設けておき、使用時には、補強筒を三角筒状に組み立て、係合突起を係合切込に係合させて、補強筒の組立形状を保持し、非使用時には、係合突起と係合切込の係合を解除し、補強筒を偏平に折り畳んで、ストッパ板でパネルの背面側に沿うように押さえ、折畳状態に保持するようにしたのである。
【0009】
また、前記パネルの両側部に補強筒を設け、ストッパ板は、両側の補強筒に亘るものとし、パネルの幅方向中間部で、ストッパ板とパネルの背面の間に折重板を介在させ、ストッパ板の補強筒に臨む両端部とパネルの背面との間に形成された間隙部に、非使用時に偏平に折り畳んだ補助筒が収納されるようにしたのである。
【0010】
また、パネルの正面側にトレイ部を設け、使用時には、トレイ部の底板を固定して、トレイ部を組立状態とし、非使用時には、トレイ部の底板の固定を解除して、トレイ部を折畳状態とすることにより、偏平状態に変形できるようにしたのである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る展示具では、非使用時において、補強筒がストッパ板で偏平に折り畳まれた状態に保持されるため、店舗への輸送に際し、嵩張ることがなく、補強筒が潰れることもない。そして、店舗の売場で使用する際には、補強筒をパネルの背面とストッパ板の間から引き出して三角筒状に組み立て、係合突起と係合切込とを係合させるだけで、補強筒の組立形状が保持されるので、展示作業を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の実施形態に係る展示具の組立状態を正面側から示す斜視図
【
図2】同上の展示具の組立状態を背面側から示す斜視図
【
図4】同上の展示具の補強筒の(a)折畳状態、(b)折畳状態と組立状態の中間状態、(c)組立状態をそれぞれ示す
図2のIII−III線に沿った横断平面図
【
図5】同上の展示具の各構成部材のブランクを示す図
【
図7】特許文献1に係る展示具を背面側から示す斜視図
【
図8】特許文献2に係る展示具を正面側から示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
この展示具は、
図1及び
図2に示すように、パネル1の背面の両側部に三角筒状の補強筒2を沿わせて、パネル1の撓みを防止し、パネル1の正面に設けた上下二段のトレイ部3にボトル入り洗剤等の商品を収納して展示するものであり、パネル1及びトレイ部3の表面には、広告の印刷が施される。なお、展示時には、正面側が前方へ向けられ、背面側が後方へ向けられるため、以下の説明において、各部材の方向はこの方向で示す。
【0015】
図5は、この展示具を構成する正面基材11、背面基材21、トレイ部材31、一対の側面補強板33a及び2個のストッパ部材41のブランクを示し、
図6は、これらの組立過程における分解状態を示している。
【0016】
正面基材11は、板紙を2枚貼り合わせた合紙から成り、そのブランクでは、縦長の正面パネル部12の下端に底板35dが連設されている。正面パネル部12には、凸型状の係止穴12aが2つ横に並べて設けられ、その上方に4個の紐穴5が縦横2個ずつ並べて設けられている。また、正面パネル部12の両側部には、後述するトレイ部材31の取付片34を貼り付ける際、位置決めするための目印が刻設されている。
【0017】
背面基材21は、板紙を3枚貼り合わせた合紙から成り、そのブランクでは、正面基材11の正面パネル部12に対応する縦長の背面パネル部22の両側に、補強筒2となる部分が連設されている。補強筒2には、背面パネル部22側から基柱板23、中柱板24及び先柱板25が順次連設され、中柱板24の先柱板25との境界側には、弧状の切目により係合切込2aが形成されている。
【0018】
背面パネル部22には、正面基材11の係止穴12aに対応して2個の窓穴22aが設けられ、その上方に、正面基材11の紐穴5に対応して4個の紐穴5が縦横2個ずつ並べて設けられている。背面パネル部22の上部には、幅方向の中央部に横長の紐穴6が設けられている。また、背面パネル部22には、後述するストッパ部材41の折重板42を貼り付ける際、位置決めするための目印が刻設されている。
【0019】
トレイ部材31は、板紙を2枚貼り合わせた合紙から成り、そのブランクでは、上段及び下段のトレイ部3の正面を形成する前面板32の両側に、それぞれのトレイ部3の側面を形成すると共に、これらを繋ぐように縦方向に延びる側面板33が連設され、側面板33の外側に取付片34が連設されている。
【0020】
上段及び下段のトレイ部3の前面板32の上端には、それぞれ内前板32a及び底板35aが順次連設されている。
【0021】
上段のトレイ部3となる部分において、底板35aの後端となる端辺には後当板36が連設され、底板35aの両側には、側当片33bが連設されている。後当板36には、正面基材11の係止穴12aと上下対称となるように、凹型状の係止穴36aが2つ横に並べて設けられている。前面板32の下端には、中前板32bが連設されている。
【0022】
下段のトレイ部3となる部分において、前面板32の下端には底板35bが、側面板33の下端には底板35cがそれぞれ連設されている。
【0023】
側面補強板33aは、板紙を2枚貼り合わせた合紙から成り、側面板33に対応する形状とされ、後端となる端辺を突き合わせた状態で、対称形状のものが一対同時に打ち抜かれて形成される。
【0024】
ストッパ部材41は、板紙を3枚貼り合わせた合紙から成り、そのブランクでは、横長のストッパ板4の両側の短辺に膨出弧状の端縁を有する係合突起4aが設けられ、ストッパ板4の一方の長辺中間部に2枚の折重板42が順次連設されている。ストッパ板4と折重板42の境界及び折重板42同士の境界は、繋部を除いて切断されている。
【0025】
上記ブランクから展示具を製造する際には、
図3に示す折畳状態とするため、トレイ部材31において、側面板33の裏面に側面補強板33aを貼り合わせ、前面板32の裏面側へ一方の側面板33を折り曲げ、他方の側面板33から取付片34を裏面側へ折り曲げて、取付片34を正面基材11の正面パネル部12の後面に貼り付ける。
【0026】
次に、正面基材11と背面基材21とを、正面パネル部12の後面に背面パネル部22の前面を貼り合わせて固着し、正面パネル部12と背面パネル部22からパネル1を形成する。この際、正面パネル部12と背面パネル部22の間に取付片34を挟み込む。
【0027】
また、背面基材21において、両側の補強筒2の基柱板23を後方内側へ折り曲げ、中柱板24から先柱板25を巻き込むように折り曲げて、背面パネル部22の後面に先柱板25を重ね、補強筒2を折畳状態とする。
【0028】
そして、ストッパ部材41において、ストッパ板4に2枚の折重板42を折り重ね、折重板42を背面パネル部22の後面に貼り付けることにより、ストッパ板4の補強筒2に臨む両端部とパネル1の背面との間に間隙部が形成された状態とする。
【0029】
その後、背面パネル部22とストッパ板4の間に挟み込んだ補強筒2をストッパ板4で押さえることにより、偏平な折畳状態に保持する(
図4(a)参照)。また、
図3に示すように、紐穴5,6には、吊下用の紐を挿通しておく。
【0030】
このように、展示具を折畳状態としておくと、補強筒2及びトレイ部3がパネル1に重なって偏平となっているので、展示具の店舗への輸送に際し、嵩張ることがなく、補強筒2が潰れることもない。
【0031】
一方、この展示具を店舗の売場で使用する際には、
図4(b)に示すように、補強筒2の中柱板24を内側から外側へ引っ張り、ストッパ板4を撓ませつつ、先柱板25を背面パネル部22に沿ってスライドさせ、背面パネル部22とストッパ板4の間から中柱板24を引き出し、これに伴い、補強筒2を三角筒状に形成し、
図4(c)に示すように、係合突起4aを係合切込2aに係合させて、補強筒2の組立形状を保持する。
【0032】
そして、
図1及び
図2に示すように、パネル1を起立させ、上段及び下段のトレイ部3を形成するため、パネル1から側面板33を前方へ迫り出させる。
【0033】
上段のトレイ部3の組み立てに際しては、前面板32の下端から中前板32bを前面板32の後面に沿うように上方へ折り曲げ、前面板32の上端から内前板32aを後下方へ折り曲げて、前面板32と内前板32aの間に中前板32bを挟み込む。
【0034】
また、底板35aを後方へ折り曲げ、側当片33bを上方へ折り曲げて側面補強板33aの内面に沿わせると共に、底板35aの後端から後当板36を上方へ折り曲げて、正面パネル部12の前面に沿わせ、係止穴12a,36aに対し、その内側の舌片状部分を互いに差し込んで、底板35aを水平状態に固定する。係止穴12a,36aと舌片状部分の係合状態は、窓穴22aを介して確認することができる。
【0035】
下段のトレイ部3の組み立てに際しては、底板35b,35c,35dをトレイ部3の底面を閉じる方向へ折り曲げて、これらを噛み合わせ、前面板32の上端から内前板32aを後下方へ折り曲げ、底板35aを後方へ折り曲げて底板35b,35c,35dに載せ、水平状態に固定する。
【0036】
このような展示具では、店舗の売場で使用する際、補強筒2をパネル1の背面とストッパ板4の間から引き出して三角筒状に組み立て、係合突起4aと係合切込2aとを係合させるだけで、補強筒2の組立形状が保持され、パネル1の撓みが防止される。そして、トレイ部3を組み立てることにより、展示作業を迅速に行うことができる。
【0037】
また、紐穴5,6に挿通した紐で吊り下げ、トレイ部3に重い商品を収納しても、展示具が剛性の高いものとなっているので、パネル1やトレイ部3が変形することがなく、安定した状態で、美観に優れた展示を行うことができる。
【0038】
そして、この展示具を使用しない場合には、係合突起4aと係合切込2aの係合を解除し、
図4(b)に示すように、背面パネル部22とストッパ板4の間に中柱板24を進入させ、
図4(a)に示すように、補強筒2を偏平に折り畳んでストッパ板4で押さえ、
図3に示すように、底板35aを跳ね上げて、トレイ部3を偏平に折り畳むことにより、組立前の状態に戻し、嵩張らない状態で保管しておくことができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、展示具として、パネル1に商品を収納するトレイ部3を設けたものを例示したが、上記のような補強筒2によるパネル1の補強構造は、パネル1に取り付けたフックに商品を吊り下げて展示する展示具や、キャラクター等を印刷したパネル1のみを立て掛けておく展示具に使用することもできる。
【0040】
また、パネル1が正面パネル部12と背面パネル部22の貼り合わせにより形成されるものを例示したが、パネル1を1枚の板材から形成し、その両側に補強筒2となる部分を連設した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 パネル
2 補強筒
2a 係合切込
3 トレイ部
4 ストッパ板
4a 係合突起
5,6 紐穴
11 正面基材
12 正面パネル部
12a 係止穴
21 背面基材
22 背面パネル部
22a 窓穴
23 基柱板
24 中柱板
25 先柱板
31 トレイ部材
32 前面板
32a 内前板
32b 中前板
33 側面板
33a 側面補強板
33b 側当片
34 取付片
35a,35b,35c,35d 底板
36 後当板
36a 係止穴
41 ストッパ部材
42 折重板