特許第6290070号(P6290070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6290070ドライバ回路及びドライバ回路の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290070
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】ドライバ回路及びドライバ回路の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/22 20060101AFI20180226BHJP
   H03K 17/56 20060101ALI20180226BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20180226BHJP
   B62J 6/02 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H03K17/22 E
   H03K17/56 Z
   B60Q1/04 E
   B62J6/02 A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-239270(P2014-239270)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-100884(P2016-100884A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100153914
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 勝己
(72)【発明者】
【氏名】久保田 健一
(72)【発明者】
【氏名】成澤 博
(72)【発明者】
【氏名】松尾 祐一郎
【審査官】 石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−011970(JP,A)
【文献】 特開2014−040142(JP,A)
【文献】 米国特許第04940906(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00−17/98
B60Q 1/04
B62J 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動信号を出力するか否か切り替える起動制御回路と、
電源からメカニカルスイッチを介して電源電圧が供給される電源端子を有し、前記電源電圧が供給されると共に前記起動信号が入力されて起動し、負荷を駆動するドライバと
基準電源電位が供給される基準電源端子と、前記電源端子との間に接続されたスイッチ素子と、を備え、
前記起動制御回路は、前記電源端子の前記電源電圧が予め定められた起動可能電圧以上になった後で前記スイッチ素子を導通させ、前記スイッチ素子が導通している間に前記電源電圧が予め定められた動作停止電圧以下になった場合に、前記起動信号を出力せず、
前記起動制御回路は、間欠的に前記スイッチ素子を導通させ、
前記スイッチ素子が導通するオン期間は、前記電源電圧が前記起動可能電圧以上であり且つ前記スイッチ素子が非導通であるオフ期間より短く、
前記起動制御回路は、
前記電源電圧を監視する電圧監視回路と、
前記電圧監視回路の監視結果に基づいて、前記電源電圧が前記起動可能電圧以上になった時に計時を開始する第1のタイマと、
前記第1のタイマが前記オフ期間の計時を終えた時、前記オン期間のパルス幅を有するワンショットパルスを出力するワンショットパルス回路と、
前記ワンショットパルスと前記電圧監視回路の監視結果に基づいて前記起動信号を生成する起動信号生成回路と、を有し、
前記スイッチ素子は前記ワンショットパルスに対応して導通する、ことを特徴とするドライバ回路。
【請求項2】
前記起動制御回路は、前記スイッチ素子が導通している間に前記電源電圧が前記動作停止電圧以下にならない場合に、前記起動信号を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載のドライバ回路。
【請求項3】
前記動作停止電圧は、前記メカニカルスイッチが導通した時の前記電源電圧より低い、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドライバ回路。
【請求項4】
前記第1のタイマは、前記オフ期間の計時を終えた時に第1のレベルから第2のレベルに変化し、前記電源電圧が前記動作停止電圧以下の時に前記第1のレベルになる出力信号を出力し、
前記ワンショットパルス回路は、
前記第1のタイマが前記オフ期間の計時を終えた時に計時を開始し、前記オン期間の計時を終えた時に前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化し、前記電源電圧が前記動作停止電圧以下の時に前記第1のレベルになる出力信号を出力する第2のタイマと、
前記第2のタイマの出力信号を反転させるインバータと、
前記インバータの出力信号と前記第1のタイマの出力信号との論理積を前記ワンショットパルスとして出力する論理積回路と、を有し、
前記起動信号生成回路は、前記インバータの出力信号を反転させて前記起動信号を生成する、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のドライバ回路。
【請求項5】
前記動作停止電圧は前記起動可能電圧より低い、ことを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載のドライバ回路。
【請求項6】
前記負荷はLEDランプである、ことを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載のドライバ回路。
【請求項7】
電源からメカニカルスイッチを介して電源電圧が供給される電源端子を有し、前記電源電圧が供給されると共に起動信号が入力されて起動してから負荷を駆動するドライバと、基準電源電位が供給される基準電源端子と前記電源端子との間に接続されたスイッチ素子と、を備えるドライバ回路の制御方法であって、
前記電源端子の前記電源電圧が予め定められた起動可能電圧以上になった後で前記スイッチ素子を導通させ、
前記スイッチ素子が導通している間に前記電源電圧が予め定められた動作停止電圧以下になった場合に、前記ドライバを起動させないものであり、
前記スイッチ素子が導通するオン期間は、前記電源電圧が前記起動可能電圧以上であり且つ前記スイッチ素子が非導通であるオフ期間より短いものであり、
前記電源電圧を監視する電圧監視回路の監視結果に基づいて、第1のタイマにより前記電源電圧が前記起動可能電圧以上になった時に計時を開始し、
前記第1のタイマが前記オフ期間の計時を終えた時、ワンショットパルス回路により前記オン期間のパルス幅を有するワンショットパルスを出力し、
前記ワンショットパルスと前記電圧監視回路の監視結果に基づいて、起動信号生成回路により前記起動信号を生成し、
前記スイッチ素子は前記ワンショットパルスに対応して間欠的に導通する、ことを特徴とするドライバ回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源からメカニカルスイッチを介して電源電圧が供給されるドライバ回路及びドライバ回路の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリからメカニカルスイッチを介して電源電圧が供給され、この電源電圧に基づいて所定の出力電流を出力するドライバ回路と、出力電流が供給されて点灯する電球(バルブ)と、を備える照明装置が知られている。この照明装置では、使用者がメカニカルスイッチを導通(オン)又は非導通(オフ)に切り替えることにより、電球を点灯させるか否か切り替える。この照明装置は、二輪車等の車両のヘッドライト等に用いられる。
【0003】
ところで、メカニカルスイッチとして防水性能が低い廉価な部品が用いられると、メカニカルスイッチが濡れた場合には、メカニカルスイッチが非導通であっても水分を介してリーク電流が流れてしまう場合がある。これにより、リーク電流に応じた出力電流が電球に流れる。但し、リーク電流は電球を点灯させるために必要な電流より小さいため、電球は点灯せず、実用上は問題にならない。
【0004】
なお、メカニカルスイッチを用いた回路の一例として、特許文献1に記載の回路も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−246886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記照明装置において、電球に代えて、直列接続された複数のLED素子から構成されたLEDランプを用いることで、消費電力等の各種特性を改善することができる。しかしながら、LED素子の発光効率は電球に比して高いため、メカニカルスイッチの非導通時のリーク電流によってLEDランプが点灯してしまう場合がある。
【0007】
また、照明装置以外でも、メカニカルスイッチの非導通時のリーク電流によって負荷が動作してしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、メカニカルスイッチのリーク電流による負荷の動作を防止できるドライバ回路及びドライバ回路の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るドライバ回路は、
起動信号を出力するか否か切り替える起動制御回路と、
電源からメカニカルスイッチを介して電源電圧が供給される電源端子を有し、前記電源電圧が供給されると共に前記起動信号が出力されて起動し、負荷を駆動するドライバと、
基準電源電位が供給される基準電源端子と、前記電源端子との間に接続されたスイッチ素子と、を備え、
前記起動制御回路は、前記電源端子の前記電源電圧が予め定められた起動可能電圧以上になった後で前記スイッチ素子を導通させ、前記スイッチ素子が導通している間に前記電源電圧が予め定められた動作停止電圧以下になった場合に、前記起動信号を出力しない、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記ドライバ回路において、
前記起動制御回路は、前記スイッチ素子が導通している間に前記電源電圧が前記動作停止電圧以下にならない場合に、前記起動信号を出力してもよい。
【0011】
また、前記ドライバ回路において、
前記動作停止電圧は、前記メカニカルスイッチが導通した時の前記電源電圧より低くてもよい。
【0012】
また、前記ドライバ回路において、
前記起動制御回路は、間欠的に前記スイッチ素子を導通させてもよい。
【0013】
また、前記ドライバ回路において、
前記スイッチ素子が導通するオン期間は、前記電源電圧が前記起動可能電圧以上であり且つ前記スイッチ素子が非導通であるオフ期間より短くてもよい。
【0014】
また、前記ドライバ回路において、
前記起動制御回路は、
前記電源電圧を監視する電圧監視回路と、
前記電圧監視回路の監視結果に基づいて、前記電源電圧が前記起動可能電圧以上になった時に計時を開始する第1のタイマと、
前記第1のタイマが前記オフ期間の計時を終えた時、前記オン期間のパルス幅を有するワンショットパルスを出力するワンショットパルス回路と、
前記ワンショットパルスと前記電圧監視回路の監視結果に基づいて前記起動信号を生成する起動信号生成回路と、を有し、
前記スイッチ素子は前記ワンショットパルスに対応して導通してもよい。
【0015】
また、前記ドライバ回路において、
前記第1のタイマは、前記オフ期間の計時を終えた時に第1のレベルから第2のレベルに変化し、前記電源電圧が前記動作停止電圧以下の時に前記第1のレベルになる出力信号を出力し、
前記ワンショットパルス回路は、
前記第1のタイマが前記オフ期間の計時を終えた時に計時を開始し、前記オン期間の計時を終えた時に前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化し、前記電源電圧が前記動作停止電圧以下の時に前記第1のレベルになる出力信号を出力する第2のタイマと、
前記第2のタイマの出力信号を反転させるインバータと、
前記インバータの出力信号と前記第1のタイマの出力信号との論理積を前記ワンショットパルスとして出力する論理積回路と、を有し、
前記起動信号生成回路は、前記インバータの出力信号を反転させて前記起動信号を生成してもよい。
【0016】
また、前記ドライバ回路において、
前記動作停止電圧は前記起動可能電圧より低くてもよい。
【0017】
また、前記ドライバ回路において、
前記負荷はLEDランプであってもよい。
【0018】
本発明の一態様に係るドライバ回路の制御方法は、
電源からメカニカルスイッチを介して電源電圧が供給される電源端子を有し、起動してから負荷を駆動するドライバと、基準電源電位が供給される基準電源端子と前記電源端子との間に接続されたスイッチ素子と、を備えるドライバ回路の制御方法であって、
前記電源端子の前記電源電圧が予め定められた起動可能電圧以上になった後で前記スイッチ素子を導通させ、
前記スイッチ素子が導通している間に前記電源電圧が予め定められた動作停止電圧以下になった場合に、前記ドライバを起動させない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スイッチ素子が導通している間に電源電圧が動作停止電圧以下になった場合に、起動信号をドライバに供給しないようにしている。メカニカルスイッチは、非導通状態でリーク電流が流れている場合には、導通状態よりもインピーダンスが高い。そのため、メカニカルスイッチにリーク電流が流れている場合には、スイッチ素子が導通することにより、電源電圧は動作停止電圧以下に低下する。これにより、ドライバを起動しないようにできる。従って、メカニカルスイッチのリーク電流による負荷の動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係るLED照明装置の構成を示すブロック図である。
図2】第2の実施形態に係るLED照明装置の構成を示すブロック図である。
図3図2のLED照明装置における第1のタイマ及び第2のタイマの回路図である。
図4】メカニカルスイッチが非導通でリーク電流が流れている場合のタイミング図である。
図5】メカニカルスイッチが導通した場合のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。これらの実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るLED照明装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、LED照明装置は、メカニカルスイッチSW1と、LEDドライバ回路(ドライバ回路)10と、直列接続された複数のLED素子を有するLEDランプ(負荷)20と、を備える。このLED照明装置は、例えば、二輪車のヘッドライトに適用できる。
【0023】
メカニカルスイッチSW1は、電源P1とLEDドライバ回路10との間に接続されており、導通又は非導通に切り替えられる。メカニカルスイッチSW1は、防水性能が低い廉価なスイッチである。また、メカニカルスイッチSW1は、運転者が操作し易い位置に設けられるため、雨などにより濡れやすい。そのため、メカニカルスイッチSW1が濡れた場合には、メカニカルスイッチSW1が非導通であっても水分を介してリーク電流が流れてしまう場合がある。
【0024】
LEDドライバ回路10は、起動制御回路11と、LEDドライバ(ドライバ)12と、スイッチ素子TR1と、抵抗R1と、を備える。
【0025】
起動制御回路11は、電源P1からメカニカルスイッチSW1を介して電源電圧Vccが供給される電源端子11aと、基準電源電位(例えば、接地電位GND)が供給される基準電源端子11bと、信号Blを出力する端子11cと、を有する。起動制御回路11は、起動信号SAをLEDドライバ12に出力するか否か切り替える。
【0026】
LEDドライバ12は、電源P1からメカニカルスイッチSW1を介して電源電圧Vccが供給される電源端子12aを有する。LEDドライバ12は、電源電圧Vccが供給されると共に起動制御回路11から起動信号SAが出力されて起動し、LEDランプ20を駆動する。これにより、LEDランプ20は点灯する。
【0027】
一方、LEDドライバ12は、電源電圧Vccが供給されていても、起動制御回路11から起動信号SAが出力されていない場合には起動せず、LEDランプ20を駆動しない。例えば、起動信号SAが出力されている時、起動信号SAはハイレベルであり、起動信号SAが出力されていない時、起動信号SAはローレベルである。
【0028】
スイッチ素子TR1は、例えば、NPN型バイポーラトランジスタであり、一端(コレクタ)が抵抗R1を介して電源端子12aに接続され、他端(エミッタ)が起動制御回路11の基準電源端子11bに接続されている。つまり、スイッチ素子TR1は、基準電源端子11bと電源端子12aとの間に接続されている。
【0029】
抵抗R1は、電源端子12aとスイッチ素子TR1の一端との間に接続され、スイッチ素子TR1に流れる電流を制限する。
【0030】
起動制御回路11は、電源端子12aの電源電圧Vccが予め定められた起動可能電圧V1以上になった後で信号Blを出力し、スイッチ素子TR1を導通させる。そして、起動制御回路11は、スイッチ素子TR1が導通している間に電源電圧Vccが予め定められた動作停止電圧V2以下になった場合に、起動信号SAを出力しない。また、起動制御回路11は、スイッチ素子TR1が導通している間に電源電圧Vccが動作停止電圧V2以下にならない場合に、起動信号SAを出力する。
【0031】
動作停止電圧V2は、メカニカルスイッチSW1が導通した時の電源電圧Vccより低い。
【0032】
導通した時のメカニカルスイッチSW1のインピーダンスは、リーク時のメカニカルスイッチSW1のインピーダンスより十分に低い。そのため、メカニカルスイッチSW1が導通した時の電源電圧Vccは、電源P1の電圧とほぼ等しい。
【0033】
動作停止電圧V2は、起動可能電圧V1と等しくてもよいが、起動可能電圧V1より低いことが好ましい。これにより、誤動作を抑制できる。
【0034】
次に、このLED照明装置の動作を説明する。
(1)メカニカルスイッチSW1が非導通でリーク電流が流れている場合
この場合、メカニカルスイッチSW1は、等価的に抵抗Rleakで表すことができる。そのため、メカニカルスイッチSW1が非導通であっても、電源電圧Vccは起動可能電圧V1以上になる。これにより、スイッチ素子TR1が導通する。
【0035】
スイッチ素子TR1が導通すると、リーク電流より大きい電流I1がスイッチ素子TR1に流れる。これにより、電源電圧Vccは動作停止電圧V2以下に低下する。そのため、起動制御回路11は起動信号SAを出力しない。従って、LEDドライバ12は起動せず、LEDランプ20を駆動しない。よって、LEDランプ20は点灯しない。
【0036】
なお、メカニカルスイッチSW1の想定されるリーク電流の最大値を考慮して、スイッチ素子TR1に流れる電流I1を抵抗R1で設定する事で、あるリーク電流まではLEDドライバ12を起動しないように調整できる。つまり、抵抗R1を変更することで、LEDドライバ12を起動するか否かを決めるリーク電流のしきい値を変更できる。
【0037】
(2)メカニカルスイッチSW1が非導通でリーク電流が流れていない場合
この場合、電源端子12aはフローティング状態となり、電源電圧Vccは供給されないため、スイッチ素子TR1は導通せず、LEDドライバ12は起動しない。よって、LEDランプ20は点灯しない。
【0038】
(3)メカニカルスイッチSW1が導通した場合
この場合、電源電圧Vccは起動可能電圧V1以上になるため、スイッチ素子TR1が導通する。しかし、メカニカルスイッチSW1の導通時のインピーダンスは抵抗Rleakより低いので、スイッチ素子TR1が導通しても電源電圧Vccは動作停止電圧V2以下に低下しない。これにより、起動制御回路11は起動信号SAを出力する。従って、LEDドライバ12は起動し、LEDランプ20を駆動する。よって、LEDランプ20は点灯する。
【0039】
このように、本実施形態によれば、スイッチ素子TR1が導通している間に電源電圧Vccが動作停止電圧V2以下になった場合に、起動信号SAをLEDドライバ12に供給しないようにしている。メカニカルスイッチSW1は、非導通状態でリーク電流が流れている場合には、導通状態よりもインピーダンスが高い。そのため、メカニカルスイッチSW1にリーク電流が流れている場合には、スイッチ素子TR1が導通することにより、電源電圧Vccは動作停止電圧V2以下に低下する。これにより、LEDドライバ12を起動しないようにできる。
【0040】
従って、メカニカルスイッチSW1のリーク電流によるLEDランプ20の点灯を防止できる。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、スイッチ素子TR1を間欠的に導通させる。
【0042】
図2は、第2の実施形態に係るLED照明装置の構成を示すブロック図である。図2では、図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。図2に示すように、このLED照明装置は、起動制御回路11Aの構成が第1の実施形態と異なる。
【0043】
起動制御回路11Aは、間欠的にスイッチ素子TR1を導通させる。具体的には、スイッチ素子TR1が導通するオン期間T2は、電源電圧Vccが起動可能電圧V1以上であり且つスイッチ素子TR1が非導通であるオフ期間T1より短い。
【0044】
起動制御回路11Aは、電圧監視回路(UVLO回路)111と、第1のタイマ112と、ワンショットパルス回路113と、起動信号生成回路114と、バッファ115と、を有する。
【0045】
電圧監視回路111は、電源電圧Vccを監視する。
第1のタイマ112は、電圧監視回路111の監視結果に基づいて、電源電圧Vccが起動可能電圧V1以上になった時に計時を開始する。
【0046】
第1のタイマ112は、オフ期間T1の計時を終えた時にロー(第1のレベル)からハイ(第2のレベル)に変化し、電源電圧Vccが動作停止電圧V2以下の時にローになる出力信号TO1を出力する。
【0047】
ワンショットパルス回路113は、第1のタイマ112がオフ期間T1の計時を終えた時、オン期間T2のパルス幅を有するワンショットパルスP1を出力する。ワンショットパルスP1は、オン期間T2の間ハイになるパルスである。
【0048】
起動信号生成回路114は、ワンショットパルスP1と電圧監視回路111の監視結果に基づいて起動信号SAを生成する。具体的には、起動信号生成回路114は、ワンショットパルスP1が出力されている間に電源電圧Vccが動作停止電圧V2以下に低下しない場合に、起動信号SAを生成する。ここでは、起動信号生成回路114は、インバータINV1である。スイッチ素子TR1は、ワンショットパルスP1に対応して導通する。
【0049】
ワンショットパルス回路113は、第2のタイマ116と、インバータINV2と、論理積回路AN1と、を有する。
【0050】
第2のタイマ116は、第1のタイマ112がオフ期間T1の計時を終えた時に計時を開始する。第2のタイマ116は、オン期間T2の計時を終えた時にローからハイに変化し、電源電圧Vccが動作停止電圧V2以下の時にローになる出力信号TO2を出力する。
【0051】
インバータINV2は、第2のタイマ116の出力信号TO2を反転させ、出力信号S1を出力する。
【0052】
論理積回路AN1は、インバータINV2の出力信号S1と第1のタイマ112の出力信号TO1との論理積をワンショットパルスP1として出力する。つまり、出力信号S1及び出力信号TO1の両方がハイの期間に、ワンショットパルスP1が出力される。
【0053】
起動信号生成回路114は、インバータINV2の出力信号S1を反転させて起動信号SAを生成する。
【0054】
バッファ115は、ワンショットパルスP1に応じて、スイッチ素子TR1の制御端子(ベース)に信号Blを出力する。
【0055】
バッファ115は、N型MOSトランジスタNM1と、P型MOSトランジスタPM1と、抵抗R2,R3,R4と、を有する。
【0056】
N型MOSトランジスタNM1は、ゲートにワンショットパルスP1が供給され、ドレインは基準電源端子11bに接続されている。
【0057】
抵抗R2は、電源端子12aとN型MOSトランジスタNM1のドレインとの間に接続されている。
【0058】
P型MOSトランジスタPM1は、ゲートがN型MOSトランジスタNM1のドレインに接続され、ソースが電源端子12aに接続されている。
【0059】
抵抗R3と抵抗R4は、P型MOSトランジスタPM1のドレインと基準電源端子11bとの間に直列接続されている。抵抗R3と抵抗R4との接続点から、信号Blが出力される。
【0060】
図3は、図2のLED照明装置における第1のタイマ112及び第2のタイマ116の回路図である。第1のタイマ112及び第2のタイマ116のそれぞれは、インバータINV3,INV4,INV5と、N型MOSトランジスタNM2と、コンデンサC1と、電流源I10と、を有する。
【0061】
インバータINV3は、入力に入力信号INが供給され、出力がN型MOSトランジスタNM2のゲートに接続されている。入力信号INは、第1のタイマ112の場合、信号UVLOであり、第2のタイマ116の場合、出力信号TO1である。
【0062】
コンデンサC1は、N型MOSトランジスタNM2のソースとドレインの間に接続されている。N型MOSトランジスタNM2のソースは、接地されている。
【0063】
電流源I10は、電源電圧VccとN型MOSトランジスタNM2のドレインとの間に接続され、定電流を流す。
【0064】
インバータINV4は、N型MOSトランジスタNM2のドレインの信号を反転させ、インバータINV5に供給する。インバータINV5は、インバータINV4の出力信号を反転させ、出力信号OUTを出力する。出力信号OUTは、第1のタイマ112の場合、出力信号TO1であり、第2のタイマ116の場合、出力信号TO2である。
【0065】
入力信号INがローからハイになると、N型MOSトランジスタNM2は導通から非導通になる。これにより、電流源I10の定電流でコンデンサC1が充電され始める。充電が進み、コンデンサC1の電流源I10側の端子の電圧が所定値を超えると、出力信号OUTはローからハイになる。つまり、電流源I10の電流値とコンデンサC1の大きさにより、計時を行うオフ期間T1又はオン期間T2が決まる。
【0066】
一方、入力信号INがハイからローになると、N型MOSトランジスタNM2が導通するため、計時の途中であるか否かによらず、出力信号OUTはローになる。
【0067】
次に、LED照明装置の動作を説明する。
(1)メカニカルスイッチSW1が非導通でリーク電流が流れている場合
図4は、メカニカルスイッチSW1が非導通でリーク電流が流れている場合のタイミング図である。
【0068】
この場合、第1の実施形態と同様に、メカニカルスイッチSW1が非導通であっても、電源電圧Vccは起動可能電圧V1以上になる(時刻t1)。これにより、電圧監視回路111の出力信号UVLOはハイになり、第1のタイマ112は計時を開始する。
【0069】
第1のタイマ112は、オフ期間T1の計時を終了すると(時刻t2)、出力信号TO1をローからハイにする。ここで、出力信号S1はハイであるため、ローからハイになるワンショットパルスP1が出力される。これにより、スイッチ素子TR1が導通する。
【0070】
スイッチ素子TR1が導通することで、スイッチ素子TR1に電流I1が流れ、電源電圧Vccが動作停止電圧V2以下に低下する(時刻t3)。これにより、電圧監視回路111の出力がローになり、第1のタイマ112の出力信号TO1がローになる。従って、第2のタイマ116がオン期間T2の計時を終える前に、即ち、出力信号S1がローになる前に、ワンショットパルスP1が出力されないようになる。そのため、起動信号SAは出力されない。つまり、起動制御回路11Aは、スイッチ素子TR1が導通している間に電源電圧Vccが動作停止電圧V2以下になったため、起動信号SAを出力しない。従って、LEDドライバ12は起動せず、LEDランプ20を駆動しない。よって、LEDランプ20は点灯しない。
【0071】
出力信号P1がローになることでスイッチ素子TR1が非導通になるので、電源電圧Vccは再度上昇する。電源電圧Vccが起動可能電圧V1以上に立ち上がると(時刻t4)、第1のタイマ112は再度計時を開始する。以降の動作は、時刻t1以降の動作と同じである。
【0072】
このように、スイッチ素子TR1は間欠的に導通するため、スイッチ素子TR1の電流I1も間欠的に流れる。従って、消費電力を削減できる。特に、オフ期間T1を長くするほど、消費電力の削減効果が大きくなる。
【0073】
(2)メカニカルスイッチSW1が非導通でリーク電流が流れていない場合
この場合、電源端子12aはフローティング状態となり、電源電圧Vccは供給されないため、スイッチ素子TR1は導通せず、LEDドライバ12は起動しない。よって、LEDランプ20は点灯しない。
【0074】
(3)メカニカルスイッチSW1が導通した場合
図5は、メカニカルスイッチSW1が導通した場合のタイミング図である。
【0075】
図5の時刻t11からt12までの動作は、図4の時刻t1からt2までの動作と同じである。しかし、図4の場合と異なり、時刻t12以降にスイッチ素子TR1が導通しても電源電圧Vccは動作停止電圧V2以下に低下しない。これにより、第2のタイマ116がオン期間T2の計時を終え(時刻t13)、第1のタイマ112は再度計時を開始しないので、オン期間T2が終了するタイミング(時刻t13)で、起動制御回路11Aは起動信号SAを出力する。従って、LEDドライバ12は起動し、LEDランプ20を駆動する。よって、LEDランプ20は点灯する。
【0076】
つまり、起動制御回路11Aが起動信号SAを出力する条件は、第2のタイマ116がオン期間T2の計時を終えることであるとも言える。
【0077】
このように、第2の実施形態によれば、間欠的にスイッチ素子TR1を導通させるようにしているので、第1の実施形態よりも消費電力を低減できる。その上、メカニカルスイッチSW1のリーク電流によるLEDランプ20の点灯を防止できる。
【0078】
なお、第1及び第2の実施形態では一例としてLEDドライバ回路10及び10Aについて説明したが、これに限らず、メカニカルスイッチSW1の非導通時のリーク電流によって負荷が動作してしまうドライバ回路であってもよい。このようなドライバ回路においても、メカニカルスイッチSW1のリーク電流による負荷の動作を防止できる。
また、各信号の論理を反転させてもよい。
【0079】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0080】
SW1 メカニカルスイッチ
10,10A LEDドライバ回路(ドライバ回路)
11,11A 起動制御回路
12 LEDドライバ(ドライバ)
TR1 スイッチ素子
R1 抵抗
20 LEDランプ(負荷)
111 電圧監視回路(UVLO回路)
112 第1のタイマ
113 ワンショットパルス回路
114 起動信号生成回路
115 バッファ
116 第2のタイマ
INV1,INV2 インバータ
AN1 論理積回路
図1
図2
図3
図4
図5