(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピント調節部は、前記測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように前記レンズと近赤外線光源との距離を変更することで前記ガイド光照射部のピント調節し、その後に前記赤外線センサの位置を変更することで、前記赤外線センサと前記レンズとの距離を変更して前記赤外線測定部のピントを調節する、
請求項8に記載の温度測定装置。
前記ピント調節部は、前記測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように前記レンズと近赤外線光源との距離を変更することで前記ガイド光照射部のピント調節し、その後に、前記レンズの位置を変更することで、前記赤外線センサと前記レンズとの距離を変更して前記赤外線測定部のピントを調節する、
請求項8に記載の温度測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の基礎となった知見)
以下、本発明の基礎となった知見について説明する。
【0012】
図16は、従来の温度測定装置の構成を示す図である。
【0013】
図16に示す人体温度測定装置900は、特許文献2に記載された温度測定装置である。この人体温度測定装置900は、撮影部902、画像解析部903、赤外線量測定部904、可動部905、方向制御手段906、距離測定部907、温度照合部909、および、温度データベース910を有している。
【0014】
人体温度測定装置900は、撮影部902で撮影した画像を画像解析部903で解析する。撮影部902、赤外線量測定部904および距離測定部907は、可動部905に搭載されており、解析した画像に基づいて、人体の所望の部分を向くように方向制御手段906で制御される。距離測定部907は、赤外線量測定部904と測定すべき人体の所望の部分との距離を測定する。
【0015】
人体温度測定装置900は、赤外線量測定部904で測定された赤外線量と、距離測定部907で測定された距離情報とから、温度データベース910を介して人体の温度を測定する。
【0016】
ここで、距離測定部907で測定する距離情報で温度を補正するのは、赤外線量測定部904の視野が距離によって広がるからである。つまり、距離が大きくなると視野内に測定したい人体の一部だけではなく、人体の周囲に有る物体も入ってくるため、検出される温度は、視野内にある人体と人体の周囲にある物体との平均温度になってしまうからである。
【0017】
しかしながら、人体温度測定装置900のように、距離に関する情報だけを用いて温度データベースに基づき温度補正したとしても、測定対象の物体の温度を正確に測定することはできない。
【0018】
なぜなら、人体温度測定装置900は、視野内にある人体以外の物体の温度情報は予め判らないからである。例えば人体の測定対象部位の周囲が壁面で周囲温度と同じような場合もあれば、測定対象部位の周囲に体温よりも高温物質がある場合(例えば人が熱いカップを持っているときに手の温度を測るような場合)もある。そのため、視野内にある人体と人体以外の物体との温度情報を距離に関する情報だけで、温度データベースに基づき温度補正したとしても正確な温度情報を得ることはできない。
【0019】
このような課題を解決するために、本発明の一態様に係る温度測定装置は、物体の測定対象部位から輻射される赤外線を計測する赤外線測定部と、ガイド光を照射するガイド光照射部と、前記ガイド光照射部が照射するガイド光を反射または透過することで前記物体に向けて出射し、前記物体から輻射される赤外線を透過または反射することで前記赤外線測定部に入射する光合波部と、前記測定対象部位から前記赤外線測定部に入射する赤外線の光軸と、前記ガイド光照射部が照射するガイド光の光軸とのずれを所定の範囲内に含めたまま、前記ガイド光照射部が照射するガイド光を前記測定対象部位に照射させる位置調整を行う位置調整部と、前記赤外線測定部および前記ガイド光照射部のピントを調節するピント調節部と、を備え、前記ピント調節部は、前記ガイド光照射部のピント調節後に、前記赤外線測定部のピントを調節する。
【0020】
この構成により、赤外線測定部と、測定対象部位との距離に影響されにくい温度測定が可能となり、測定対象部位の温度を正確に測定することができるので、測定対象の物体の温度を正確に測定することが可能になる温度測定装置を実現できる。
【0021】
具体的には、光合波部を用いて、ガイド光照射部と赤外線測定部の光軸を合わせると共に、両者のピント合わせを行うことにより、物体の測定対象部位における赤外線測定部の視野を最小にすることができる。それにより、測定対象部位周辺の温度の影響を受けにくい温度測定が可能となる。
【0022】
また、光合波部を用いることにより、赤外線センサはガイド光である近赤外線の影響を受けないという特徴も有する。
【0023】
また、例えば、前記ピント調節部は、前記測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように調節することで前記ガイド光照射部のピントを調節し、前記ガイド光照射部のピント調節後に、前記ガイド光照射部のピント調節結果に基づいて、前記赤外線測定部のピントを調節するとしてもよい。
【0024】
また、例えば、前記位置調整部は、前記赤外線測定部、前記ガイド光照射部および前記光合波部をパン・チルト方向に回転させる回転駆動部を備え、前記位置調整部は、前記回転駆動部を制御して、前記赤外線測定部、前記ガイド光照射部および前記光合波部をパン・チルト方向に回転駆動させることで、前記位置調整を行うとしてもよい。
【0025】
ここで、例えば、前記温度測定装置は、さらに、前記物体を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像した画像を処理する画像処理部とを備え、前記位置調整部は、前記画像処理部の出力に応じて前記回転駆動部を制御して、前記赤外線測定部、前記ガイド光照射部および前記光合波部をパン・チルト方向に回転駆動させることで、前記ガイド光照射部が照射するガイド光を前記測定対象部位に照射する位置調整を行うとしてもよい。
【0026】
この構成により、ガイド光を照射させた物体を含む被写体を撮像部にて撮影し、撮像した画像を用いることができるので、測定対象部位とガイド光が照射される位置との位置を合わせることができる。よって測定対象部位の計測を精度よく行うことができる。
【0027】
さらに、例えば、前記ガイド光照射部は、前記撮像部が感度を有する近赤外光を照射するとしてもよい。
【0028】
また、例えば、前記赤外線測定部は、赤外線センサと、前記赤外線センサと同一の光軸上に配置される赤外線レンズとを有し、前記ガイド光照射部は、近赤外線光源と、前記近赤外線光源と同一の光軸上に配置される近赤外線レンズとを有し、前記ピント調節部は、近赤外線光源と前記近赤外線レンズとの距離を変更することで前記ガイド光照射部のピントを調節する第1ピント調節部と、前記第1ピント調節部が前記ガイド光照射部のピントを調節した後に、前記赤外線センサと前記赤外線レンズとの距離を変更することで前記赤外線測定部のピントを調節する第2ピント調節部と、を有するとしてもよい。
【0029】
ここで、例えば、前記第1ピント調節部は、前記測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように、前記近赤外線光源と前記近赤外線レンズとの距離を変更し、前記第2ピント調節部は、前記第1ピント調節部が変更した距離に応じて、前記赤外線センサと前記赤外線レンズとの距離を、変更するとしてもよい。
【0030】
さらに、例えば、前記赤外線レンズと、前記近赤外線レンズとは、それぞれ同一の焦点距離を有し、前記第2ピント調節部は、前記第1ピント調節部により変更された前記近赤外線光源と前記近赤外線レンズとの距離と同一の距離となるように、前記赤外線センサと前記赤外線レンズとの距離を変更するとしてもよい。
【0031】
また、例えば、前記温度測定装置は、さらに、前記光合波部と前記物体との間に配置され、かつ、前記赤外線センサと同一の光軸上に配置されるレンズを有し、前記赤外線測定部は、赤外線センサであり、前記ガイド光照射部は、近赤外線光源で構成され、近赤外線のガイド光を照射し、前記レンズは、前記光合波部から出射されるガイド光を透過させて前記物体に向けて出射し、前記物体から輻射される赤外線を透過させて前記光合波部に入射し、前記ピント調節部は、少なくとも前記レンズの位置を変更することで、前記ガイド光照射部および前記赤外線測定部のピントを調節するとしてもよい。
【0032】
ここで、例えば、前記ピント調節部は、前記測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように前記レンズと近赤外線光源との距離を変更することで前記ガイド光照射部のピント調節し、その後に前記赤外線センサの位置を変更することで、前記赤外線センサと前記レンズとの距離を変更して前記赤外線測定部のピントを調節するとしてもよい。
【0033】
また、例えば、前記ピント調節部は、前記測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように前記レンズと近赤外線光源との距離を変更することで前記ガイド光照射部のピント調節し、その後に、前記レンズの位置を変更することで、前記赤外線センサと前記レンズとの距離を変更して前記赤外線測定部のピントを調節するとしてもよい。
【0034】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0037】
(実施の形態1)
[温度測定装置の構成]
図1は、実施の形態1における温度測定装置の構成の一例を示す図である。
図2は実施の形態1における赤外線測定部の構成の一例を示す図であり、
図3は実施の形態1におけるガイド光照射部の構成の一例を示す図である。
図4は、実施の形態1における温度測定装置の構成の一実施例を示す図である。
【0038】
図1に示す温度測定装置100は、赤外線測定部10、ガイド光照射部11、光合波部12、位置調整部13およびピント調節部14を少なくとも備える。本実施の形態では、温度測定装置100は、
図4に示すように、赤外線測定部10、ガイド光照射部11、光合波部12、位置調整部13およびピント調節部14に加えて、撮像部15と演算処理部16とを備えるとして以下説明する。なお、これらの構成は必ずしも全てが必須ではなく、一または複数の構成が欠けていてもよいものとする。以下各構成について説明する。
【0039】
[赤外線測定部10の構成]
赤外線測定部10は、物体から輻射される赤外線を計測する。より具体的には、赤外線測定部10は、
図2に示すように、赤外線センサ101と赤外線レンズ102とを少なくとも備える。本実施の形態では、赤外線測定部10は、
図4に示すように、赤外線センサ101および赤外線レンズ102に加え、赤外線ピント調節機構14aを備える。
【0040】
赤外線センサ101は、主に波長2μm以上の赤外線に感度を有するセンサである。
【0041】
赤外線レンズ102は、赤外線センサ101と同一の光軸上に配置され、主に波長2μm以上の赤外線を透過するレンズである。ここで、赤外線レンズ102は、例えば近赤外線レンズ112と同一の焦点距離を有するとしてもよい。
【0042】
赤外線ピント調節機構14aは、ピント調節部14により制御され、赤外線センサ101と赤外線レンズ102との光軸方向の間隔を変化させることができる機構であり、赤外線測定部10のピントの調節を行うことができる。より具体的には、赤外線ピント調節機構14aは、ガイド光ピント調節機構14bがガイド光照射部11のピントを調節した後に、赤外線センサ101と赤外線レンズ102との距離を変更することで赤外線測定部10のピントを調節する。赤外線ピント調節機構14aは、ガイド光ピント調節機構14bが変更した近赤外線光源111と近赤外線レンズ112との距離に応じて、赤外線センサ101と赤外線レンズ102との距離を変更する。ここで、赤外線レンズ102と近赤外線レンズ112とがそれぞれ同一の焦点距離を有する場合、赤外線ピント調節機構14aは、ガイド光ピント調節機構14bにより変更された近赤外線光源111と近赤外線レンズ112との距離と同一の距離となるように、赤外線センサ101と赤外線レンズ102との距離を変更する。
【0043】
なお、赤外線ピント調節機構14aの配置や構造は、
図4に示されているものに限らず、赤外線レンズ102と赤外線センサ101との光軸方向の間隔を変化させることができるものであれば特に限定しない。赤外線ピント調節機構14aとして、例えばレンズの繰り出し機構などを用いるとしてもよい。
【0044】
[ガイド光照射部11の構成]
ガイド光照射部11は、ガイド光を照射する。ここで、ガイド光照射部11は、例えば、撮像部15が感度を有する近赤外光を照射する。より具体的には、ガイド光照射部11は、
図3に示すように、近赤外線光源111と近赤外線レンズ112とを少なくとも備える。本実施の形態では、ガイド光照射部11は、
図4に示すように、近赤外線光源111および近赤外線レンズ112に加え、ガイド光ピント調節機構14bを備える。
【0045】
近赤外線光源111は、レーザや発光ダイオードなどを用いて構成され、近赤外線をガイド光として照射する。
【0046】
近赤外線レンズ112は、近赤外線光源111と同一の光軸上に配置され、主に波長0.7〜2.0μmの赤外線(近赤外線)を透過する。近赤外線レンズ112は、近赤外線光源111が照射する近赤外線のガイド光を透過する。ここで、近赤外線レンズ112は、上述したように赤外線レンズ102と同一の焦点距離を有するとしてよい。
【0047】
ガイド光ピント調節機構14bは、ピント調節部14により制御され、近赤外線光源111と近赤外線レンズ112との光軸方向の間隔を変化させるができる機構であり、ガイド光照射部11のピントの調節を行うことができる。より具体的には、ガイド光ピント調節機構14bは、近赤外線光源111と近赤外線レンズ112との距離を変更することでガイド光照射部11のピントを調節する。ガイド光ピント調節機構14bは、測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように、近赤外線光源111と近赤外線レンズ112との距離を変更する。
【0048】
なお、ガイド光ピント調節機構14bとしては、
図4のように配置されているものに限らず、近赤外線レンズ112と近赤外線光源111との光軸方向の間隔を変化させることができるものであれば特に限定しない。ガイド光ピント調節機構14bとして、例えばレンズの繰り出し機構などを用いることができる。
【0049】
[光合波部12の構成]
光合波部12は、ガイド光照射部11が照射するガイド光を反射させることで測定対象物体50に向けて出射し、その測定対象物体50から輻射される赤外線を透過させることで赤外線測定部10に入射する。
【0050】
より具体的には、光合波部12は、波長選択性プリズム等を用いて構成され、近赤外光を反射し、波長2μm以上の赤外光を透過する。光合波部12は、
図4に示すように、ガイド光照射部11が照射する赤外線の光軸と、赤外線測定部10に入射する赤外線の光軸とが交わる位置に配置されている。光合波部12は、ガイド光照射部11が照射するガイド光を反射角90度で反射させて測定対象物体50に向けて出射し、その測定対象物体50から輻射される赤外線を透過させることで赤外線測定部10に入射する。
【0051】
なお、光合波部12は、ガイド光照射部11が照射するガイド光を透過させることで測定対象物体50に向けて出射し、その測定対象物体50から輻射される赤外線を反射させることで赤外線測定部10に入射してもよい。この場合、
図4に示す赤外線測定部10とガイド光照射部11との位置がそれぞれ入れ替わる構成となる。
【0052】
[位置調整部13の構成]
位置調整部13は、赤外線測定部10と赤外線レンズ102によって構成される光軸と、ガイド光照射部11が照射するガイド光の光軸とのずれを所定の範囲内に含めたまま、ガイド光照射部11から照射するガイド光を物体の測定対象部位に照射させる位置調整を行う。位置調整部13は、赤外線測定部10、ガイド光照射部11および光合波部12をパン・チルト方向に回転させる回転駆動部13aを備える。位置調整部13は、回転駆動部13aを制御して、赤外線測定部10、ガイド光照射部11および光合波部12をパン・チルト方向に回転駆動させることで、位置調整を行う。
【0053】
本実施の形態では、位置調整部13は、
図4に示すように、画像処理部161の出力に基づきガイド光の照射位置と測定対象部位とが一致するように回転駆動部13aを制御する。位置調整部13は、画像処理部161の出力に応じて回転駆動部13aを制御して、赤外線測定部10、ガイド光照射部11および光合波部12をパン・チルト方向に回転駆動させることで、ガイド光照射部11が照射するガイド光を測定対象物体50の測定対象部位に照射する位置調整を行う。
【0054】
ここで、赤外線測定部10とガイド光照射部11と光合波部12とは、
図4に示すように、回転駆動部13aに搭載されている。回転駆動部13aは、例えば、自由雲台等を用いて構成され、赤外線測定部10とガイド光照射部11と光合波部12とを水平・垂直(パン・チルト)方向に回転させることができる。
【0055】
回転駆動部13aに搭載される赤外線測定部10、ガイド光照射部11、および、光合波部12の相互の位置は、次の位置関係を満たすように配置されている。すなわち、回転駆動部13aの角度を適切に設定した場合において、(i)ガイド光照射部11から照射され光合波部12を反射した後の赤外線の光軸と、(ii)光合波部12を透過し赤外線測定部10に入射する赤外線の光軸とのずれを所定の範囲内に含む位置関係となるように赤外線測定部10、ガイド光照射部11、および、光合波部12のそれぞれ配置されている。
【0056】
ここで、上記の2つの光軸は、例えば
図4に示すように、一致させるとしてもよい。この場合、
図4に示すように、ガイド光照射部11が照射する赤外線の光軸と、赤外線測定部10に入射する赤外線の光軸とが、直角に交わるように赤外線測定部10、ガイド光照射部11、および、光合波部12のそれぞれが配置される。
【0057】
[撮像部15の構成]
撮像部15は、物体を撮像する。より具体的には、撮像部15は、
図4に示す測定対象物体50を含む被写体の画像を撮像する。
【0058】
撮像部15は、一般的な撮像機能を有するカメラであれば良く、特に限定しないが、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等を用いて構成できる。
【0059】
なお、撮像部15は、回転駆動部13aに搭載されるとしてもよい。この場合、撮像部15は、赤外線測定部10、ガイド光照射部11および光合波部12とともに、回転駆動部13aで回転駆動される。
【0060】
[演算処理部16の構成]
演算処理部16は、例えば一または複数のマイコン等であり、演算処理を行うものであれば特に限定しない。本実施の形態では、演算処理部16は、
図4に示すように、画像処理部161および温度演算部162を備える。なお、演算処理部16は、温度測定装置100とは別の装置に備えるとしてもよい。この場合、温度測定装置100は外部の別の装置と通信・接続するための通信手段や接続手段が備えればよい。
【0061】
画像処理部161は、撮像部15で撮像した画像を処理する。本実施の形態では、画像処理部161は、撮像部15で撮像した測定対象物体50を含む被写体の画像を処理し、測定対象物体50における所望の測定対象部位を抽出する。画像処理部161は、例えばパターンマッチング法や人体であれば肌色抽出法などを用いて所望の測定対象部位を抽出する。測定対象部位とは、例えば予めユーザが設定していた体の部位など赤外線測定部10で温度を測定したい物体の部位である。
【0062】
温度演算部162は、赤外線センサ101で計測された赤外線量から測定対象物体50の測定対象部位の温度を演算する。
【0063】
[ピント調節部14の構成]
ピント調節部14は、赤外線測定部10およびガイド光照射部11のピントを調節する。ピント調節部14は、ガイド光照射部11のピント調節後に、赤外線測定部10のピントを調節する。より具体的には、ピント調節部14は、測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるように調節することでガイド光照射部11のピントを調節し、ガイド光照射部11のピント調節後に、ガイド光照射部11のピント調節結果に基づいて、赤外線測定部10のピントを調節する。
【0064】
本実施の形態では、ピント調節部14は、撮像部15で撮影された測定対象物体50におけるガイド光のスポットの大きさが最小になるようにガイド光ピント調節機構14bを駆動する。また、ピント調節部14は、ガイド光ピント調節機構14bと連動してガイド光のピントが合う(ガイド光のスポットの大きさが最小になる)と赤外線測定部10のピントも合うように、赤外線ピント調節機構14aを駆動する。
【0065】
ここで、ガイド光のピントと赤外線測定部10のピントが連動し合うとしてもよい。この場合、赤外線レンズ102および近赤外線レンズ112にそれぞれ、同一の焦点距離を有するレンズを用いる。赤外線レンズ102および近赤外線レンズ112それぞれの焦点位置に赤外線センサ101と近赤外線光源111とを配置すると、どちらも無限遠にピントが合う状態にすることができる。この状態において、近赤外線レンズ112を動かして測定対象物体50上のガイド光のスポット径が最小になる時の近赤外線レンズ112の移動量を△xとすると、赤外線レンズ102も同じ△xだけ同じ向きに移動させれば共にピントが合うようにすることができる。
【0066】
[温度測定装置100の動作]
次に、以上のように構成された温度測定装置100の動作について
図4を参照しながら説明する。
【0067】
図5は、実施の形態1における温度測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、温度測定装置100は、ガイド光照射部11にガイド光を照射させる(S10)。そして、温度測定装置100は、ガイド光照射部11が照射するガイド光を反射させることで物体に向けて出射し、物体から輻射される赤外線を透過させることで赤外線測定部10に入射する。
【0069】
本実施の形態では、温度測定装置100は、近赤外線光源111に近赤外線のガイド光を照射させる。次いで、温度測定装置100は、近赤外線光源111が照射する近赤外線のガイド光を近赤外線レンズ112で透過させた後、光合波部12によって反射させて測定対象物体50に入射(照射)する。ここで、ガイド光は常時照射するようにしていてもよいし、一定間隔で照射するようにしてもよい。またユーザが指定した任意のタイミングで照射するようにしてもよい。
【0070】
ここで、撮像部15は、測定対象物体50を含む被写体を撮像し、取得した画像を画像処理部161へ出力している。撮像部15が撮像するタイミングは、ガイド光を照射するタイミング同様、常時撮像するようにしていてもよいし一定間隔で撮像するようにしてもよい。また、ユーザが指定した任意のタイミングで撮像するようにしてもよい。またガイド光照射のタイミングと連動して、撮像を開始するとしてもよい。
【0071】
画像処理部161は、撮像部15より得られた画像のうち所望の測定対象部位を抽出する。所望の測定対象部位とは、例えば予めユーザが設定していた体の部位などであり、本実施の形態では、人の顔としている。また、画像処理部161は、撮像部15より得られた画像のうち測定対象物体50上のガイド光が照射されている部位を抽出する。そして、画像処理部161は所望の測定対象部位と、ガイド光が照射されている部位と、に関する情報を位置調整部13に出力する。
【0072】
ここで、画像処理部161が所望の測定対象測部位を検出する方法の一例について説明する。
図6および
図7は、実施の形態1における画像処理部が測定対象測部位を検出する方法の一例を説明するための図である。
【0073】
図6には、撮像部15が取得した画像151において、画像処理部161の画像処理により体の部位として人の顔が検出される場合が示されている。
【0074】
すなわち、画像処理部161は、撮像部15が取得した画像から、測定対象物体50である人体の顔検出を行い画像中の顔の位置座標152を算出する。なお、顔検出の方法はいかなる方法を用いてもよい。また、画像処理部161は、ガイド光が照射されている測定対象物体50である人体の部位の位置座標153を検出する。そして、画像処理部161は、検出した位置座標152と位置座標153とを位置調整部13に出力する。
【0075】
次に、温度測定装置100は、測定対象部位から赤外線測定部10に入射する赤外線の光軸と、ガイド光照射部11が照射するガイド光の光軸とのずれを所定の範囲内に含めたまま、ガイド光照射部11が照射するガイド光を測定対象部位に照射させる位置調整を行う(S12)。
【0076】
本実施の形態では、位置調整部13は、画像処理部161から出力された情報に基づき、所望の測定対象部位にガイド光が照射されるように回転駆動部13aを制御する。
【0077】
図7は、位置調整部13が回転駆動部13aを制御した後の画像151aが示されている。つまり、
図6に示すように、ガイド光が照射されている位置座標153と、測定対象部位(顔)の位置座標153とが所定の範囲内にない場合には、位置調整部13は、画像処理部161から出力された情報(位置座標152と位置座標153)に基づき、回転駆動部13aを制御する。このようにして、位置調整部13は、
図7に示すように、ガイド光が照射されている位置座標153aを所望の測定対象部位である顔の部位(位置座標152)から所定の範囲内に含めることができる。
【0078】
次に、温度測定装置100は、ガイド光照射部11のピントを調整し(S14)、その調節後に赤外線測定部10のピントを調節する(S16)。
【0079】
本実施の形態では、ピント調節部14は、赤外線ピント調節機構14aおよびガイド光ピント調節機構14bを制御することで、ガイド光が所望の測定対象部位に照射されると、ガイド光照射部11のピント合わせおよび赤外線測定部10のピント合わせを連動して行う。
【0080】
より具体的には、まず、ピント調節部14は、撮像部15で撮影され画像処理部161により処理された画像に基づき、測定対象物体50に照射されているガイド光のスポット径が最小にするためのガイド光ピント調節機構14bのパラメータを算出する。次いで、ピント調節部14は、設定したパラメータに基づきガイド光ピント調節機構14bを制御することで、ガイド光ピント調節機構14bは近赤外線レンズ112と近赤外線光源111との光軸方向の間隔を調節する。
【0081】
ここで、赤外線レンズ102および近赤外線レンズ112はそれぞれ、同一の焦点距離を有するレンズを用いているとする。この場合、上述したように、近赤外線レンズ112と近赤外線光源111との光軸方向の間隔が決定すれば、赤外線レンズ102と赤外線センサ101との間隔も決定することができる。つまり、ピント調節部14は、ガイド光照射部11のピントを合わせる際に用いたパラメータに基づいて、赤外線測定部10のピント合わせに用いるパラメータを算出することができる。ピント調節部14は、算出したパラメータに基づき赤外線ピント調節機構14aを制御することで、赤外線レンズ102と赤外線センサ101との間隔を調節する。
【0082】
次に、温度測定装置100は、赤外線測定部10で物体の測定対象部位から輻射される赤外線を計測する(S18)。
【0083】
具体的には、温度測定装置100は、赤外線測定部10に物体の測定対象部位から輻射される赤外線を計測させる。そして、温度測定装置100は、温度演算部162に、赤外線センサ101で計測された赤外線量から測定対象部位の温度を演算させることにより、測定対象部位の温度を得ることができる。
【0084】
[効果]
以上のように、本実施の形態における温度測定装置100によれば、赤外線測定部10と測定対象部位との距離に影響されにくい温度測定が可能となり、測定対象部位の温度を正確に測定することができるので、測定対象の物体の温度を正確に測定することが可能になる。
【0085】
具体的には、光合波部12を用いて、ガイド光照射部11と赤外線測定部10との光軸を所定の範囲内に収めると共に、両者のピント合わせを連動させることにより、測定対象物体50の所望の測定対象部位に対する赤外線測定部10の視野を最小にすることができる。それにより、測定部位周辺の温度の影響を受けにくい温度測定が可能となる。
【0086】
また、本実施の形態の温度測定装置100が光合波部12を備えることにより、赤外線センサ101は、ガイド光である近赤外線の影響を受けないという効果も奏する。
【0087】
また、本実施の形態の温度測定装置100によれば、ガイド光を照射させた測定対象物体50を含む被写体を撮像部にて撮影し、撮像した画像を用いることで、所望の測定対象部位とガイド光が照射される位置とを合わせることができる。それにより、所望の測定対象部位の計測を精度よく行うことができる。
【0088】
なお、本実施の形態の温度測定装置100では、赤外線測定部10、ガイド光照射部11、および光合波部12が回転駆動部13aに搭載されているとして説明したがそれに限らない。赤外線測定部10、ガイド光照射部11、および光合波部12が回転駆動部13aに加えて、撮像部15が回転駆動部13aに搭載されるとしてもよい。
【0089】
また、本実施の形態において、ガイド光照射部11の光源として近赤外線光源を用いたが可視光源を用いても構わない。可視光源を用いることにより、本発明の温度測定装置100のユーザが直接、照射位置あわせを行うことが可能となる。この場合、撮像部15や画像処理部161、位置調整部13を省略することができるので、より安価な温度測定装置を提供することができる効果を奏する。
【0090】
(実施の形態2)
[温度測定装置の構成]
図8は、実施の形態2における温度測定装置の構成の一例を示す図である。
図9は実施の形態2における赤外線測定部の構成の一例を示す図であり、
図10は実施の形態2におけるガイド光照射部の構成の一例を示す図である。
図4は、実施の形態1における温度測定装置の構成の一実施例を示す図である。
図11は、実施の形態2における温度測定装置の構成の一実施例を示す図である。なお、
図1〜
図4と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0091】
図8に示す温度測定装置200は、赤外線測定部20、ガイド光照射部21、光合波部22、位置調整部23、ピント調節部24およびレンズ27を少なくとも備える。本実施の形態では、温度測定装置200は、
図11に示すように、赤外線測定部20、ガイド光照射部21、光合波部22、位置調整部23、ピント調節部24およびレンズ27に加えて、撮像部15と演算処理部16とを備えるとして以下説明する。
【0092】
本実施の形態における温度測定装置200は、
図1に示す温度測定装置100と比較して、レンズ27の構成が加えられている。より具体的には、赤外線測定部20とガイド光照射部21とは内部にレンズを有さず、レンズ27を共有している点で構成が異なる。
【0093】
[赤外線測定部20の構成]
赤外線測定部20は、
図9および
図11に示すように、赤外線センサ101を有し、物体から輻射される赤外線を計測する。つまり、本実施の形態における赤外線測定部20は、
図2に示す赤外線測定部10と比較して、赤外線レンズと赤外線ピント調節機構14aとを有しない点で構成が異なる。その他の構成は実施の形態1で説明した通りであるのでここでの説明は省略する。
【0094】
[ガイド光照射部21の構成]
ガイド光照射部21は、
図10および
図11に示すように、近赤外線光源111を有し、近赤外線のガイド光を照射する。ここで、ガイド光照射部21は、例えば、撮像部15が感度を有する近赤外光を照射する。つまり、本実施の形態におけるガイド光照射部21は、
図3に示すガイド光照射部11と比較して、近赤外線レンズとガイド光ピント調節機構14bとを有しない点で構成が異なる。その他の構成は実施の形態1で説明した通りであるのでここでの説明は省略する。
【0095】
[レンズ27の構成]
レンズ27は、
図11に示すように、光合波部22と測定対象物体50との間に配置され、かつ、赤外線センサ101(赤外線測定部20)と同一の光軸上に配置されるレンズである。レンズ27は、光合波部22から出射されるガイド光を透過させて測定対象物体50に向けて出射し、その測定対象物体50から輻射される赤外線を透過させて光合波部22に入射する。ここで、レンズ27は、1μm以上の波長の光、より好ましくは0.7μm以上の波長の光を透過する。レンズ27は、例えばシリコンやフッ化カルシウム、フッ化バリウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛等の材料で構成される。
【0096】
[光合波部22の構成]
光合波部22は、ガイド光照射部11が照射するガイド光を反射させてレンズ27に入射し、レンズ27から入射される測定対象物体50から輻射される赤外線を透過させることで赤外線測定部20に入射する。光合波部22の材料や配置については実施の形態1の光合波部12と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0097】
なお、
図4にて説明した温度測定装置200同様に、光合波部12は、ガイド光照射部11が照射するガイド光を透過させることで測定対象物体50に向けて出射し、その測定対象物体50から輻射される赤外線を反射させることで赤外線測定部10に入射してもよい。
【0098】
[位置調整部23の構成]
位置調整部23は、測定対象部位から赤外線測定部20に入射する赤外線の光軸と、ガイド光照射部21が照射するガイド光の光軸とのずれを所定の範囲内に含めたまま、ガイド光照射部21から照射するガイド光を物体の測定対象部位に照射させる位置調整を行う。位置調整部23は、赤外線測定部20、光合波部22およびレンズ27をパン・チルト方向に回転させる回転駆動部13cを備える。位置調整部23は、回転駆動部13cを制御して、ガイド光照射部21、光合波部22およびレンズ27をパン・チルト方向に回転駆動させることで、位置調整を行う。
【0099】
ここで、
図8に示すように、赤外線センサ101(赤外線測定部20)と、赤外線センサ101(赤外線測定部20)と光合波部22とレンズ27とは、回転駆動部13cに搭載されている。回転駆動部13cは、例えば、自由雲台等を用いて構成され、赤外線センサ101(赤外線測定部20)と、赤外線センサ101(赤外線測定部20)と光合波部22とレンズ27とを水平・垂直(パン・チルト)方向に回転させることができる。
【0100】
[ピント調節部24の構成]
ピント調節部24は、少なくともレンズ27の位置を変更することで、赤外線測定部20およびガイド光照射部21のピントを調節する。また、ピント調節部24は、ガイド光照射部21のピント調節後に、赤外線測定部20のピントを調節する。より具体的には、ピント調節部24は、測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるようにレンズ27と近赤外線光源111との距離を変更することでガイド光照射部21のピントを調節し、その後に赤外線センサ101の位置を変更することで、赤外線センサ101とレンズ27との距離を変更して赤外線測定部20のピントを調節する。
【0101】
本実施の形態では、ピント調節部14は、ピント調節機構24aを駆動することで、赤外線測定部20およびガイド光照射部21のピントを調節する。換言すると、ピント調節機構24aは、ピント調節部24により制御され、レンズ27と近赤外線光源111との光軸方向の距離を変更することができる機構であり、赤外線測定部20およびガイド光照射部21のピントを調節する。
【0102】
なお、ピント調節機構24aの配置や構造は図示されているものに限らず、赤外線センサ101とレンズ27の位置を変化させることができるものであれば特に限定しない。ピント調節機構24aとして、例えばレンズの繰り出し機構などを使うことができる。また、ピント調節機構24aがピントを合わせる対象としては、赤外線センサ101とレンズ27とに限らない。近赤外線光源111とレンズ27との間隔を変化させるとしてもよい。
【0103】
[温度測定装置200の動作]
次に、以上のように構成された温度測定装置200の動作について、
図5および
図11を参照しながら説明する。
【0104】
まず、S10とS12すなわち測定対象物体50の所望の測定対象部位にガイド光が照射されるように制御するのは実施の形態1で説明したとおりであるので説明を省略する。
【0105】
次に、温度測定装置200は、ガイド光照射部21のピントを調整し(S14)、その調節後に赤外線測定部20のピントを調節する(S16)。
【0106】
本実施の形態では、ピント調節部24は、画像処理部161により処理された画像に基づき、測定対象物体50に照射されているガイド光のスポット径を最小にするためのピント調節機構24aのパラメータを算出する。次いで、ピント調節部24は、設定したパラメータに基づき、ピント調節機構24aを制御し、レンズ27を光軸方向に位置移動させることによりレンズ27と近赤外線光源111との光軸方向の間隔を調節する。
【0107】
ここで、レンズ27の近赤外線光源111の波長に対する焦点距離をf、近赤外線光源111とレンズ27との間隔をa、レンズ27と測定対象物体50の測定対象部位との間隔をbとすると、衆知のレンズ公式により(1/a+1/b=1/f)が成り立つ。
【0108】
また、赤外線センサ101が感度を有する波長には幅があるため、近赤外線光源111(ガイド光照射部11)のピントが合ったとしても赤外線センサ101(赤外線測定部10)のピントが合っているとは限らないので、赤外線センサ101(赤外線測定部10)のピントを調整する。
【0109】
赤外線の中心波長を10μmとし、レンズ27の波長10μmでの焦点距離をf’とし、赤外線センサ101とレンズ27の間隔をa’とする。この場合において、1/a’+1/b=1/f’が成り立つようにピント調節機構24aを制御することで赤外線センサ101の位置を変化させると赤外線センサ101を備える赤外線測定部20のピントが所望の測定対象部位に合うようになる。1/a’=1/f’−1/f+1/aであり、f、f’は既知なので、aが判ればa’は計算で求めることができる。
【0110】
なお、近赤外線光源111の位置を変化させ、上記の式が成り立つように近赤外線光源111とレンズ27との間隔aを変化させてもよい。その際には、ピント調節機構24aは、近赤外線光源111とレンズ27との間隔を変化させる機構であればよい。
【0111】
次に、温度測定装置200は、赤外線測定部20で物体の測定対象部位から輻射される赤外線を計測する(S18)。なお、S18での動作は実施の形態1で説明したとおりであるので説明を省略する。
【0112】
[効果]
以上、本実施の形態における温度測定装置200によれば、測定対象の物体の温度を正確に測定することが可能になる。
【0113】
具体的には、実施の形態1に記載した効果に加え、レンズを共通化することで、小型で安価な構成で測定部位周辺の温度の影響を受けにくい温度測定が可能となる効果を奏する。
【0114】
これは、ガイド光のピントを合わせたときにレンズ27と近赤外線光源111との間隔がaとすると、赤外線センサ101とレンズ27の間隔をa’=1/f’−1/f+1/aになるように赤外線センサ101を移動させれば赤外線測定部20のピントが合うので、共通のレンズを使える。また、この時ガイド光のスポットはピントがあったままであるので、測定部位を確認しやすい。つまり、本実施の形態における温度測定装置200が有するレンズは一つだけで良いので、小型で安価な構成で測定部位周辺の温度の影響を受けにくい温度測定が可能となる。
【0115】
(実施の形態3)
[温度測定装置の構成]
実施の形態2では、赤外線測定部20およびガイド光照射部21のピントを調節するために、レンズ27の位置と近赤外線光源111の位置とを変更可能なピント調節機構24aを備える場合の例について説明したがそれに限らない。本実施の形態では、レンズ27の位置のみを変更可能なピント調節機構34aを備える場合の例について説明する。
【0116】
図12は、実施の形態3の温度測定装置の構成の一実施例を示す図である。
図12において、
図11と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。また、実施の形態3の温度測定装置の構成は、実施の形態2の
図8〜
図10で示した構成と同様となるため、説明を省略する。以下では、実施の形態2と異なるところを中心に説明する。
【0117】
図12に示す温度測定装置300は、
図11に示す温度測定装置200と比較して、ピント調節部34とピント調節機構34aとの構成が異なる。具体的には、
図12に示す温度測定装置300では、
図11に示す温度測定装置200と比較して、赤外線センサ101は移動されない点で構成が異なる。
【0118】
[ピント調節部34の構成]
温度測定装置300では、赤外線センサ101と近赤外線光源111とはレンズ27から等距離の位置に設けられている。
【0119】
ピント調節部34は、ピント調節機構34aを制御することよりレンズ27の位置のみを移動させることにより赤外線測定部20およびガイド光照射部21のピントを調節する。
【0120】
より具体的には、ピント調節部34は、測定対象部位に照射されるガイド光のスポット径が最小になるようにレンズ27と近赤外線光源111(ガイド光照射部21)との距離を変更することでガイド光照射部21のピントを調節する。その後に、ピント調節部34は、レンズ27の位置をさらに変更することで、赤外線センサ101(赤外線測定部20)とレンズ27との距離を変更して赤外線測定部20のピントを調節する。
【0121】
[温度測定装置300の動作]
次に、以上のように構成された温度測定装置300の動作について、
図5および
図12を参照しながら説明する。
【0122】
まず、S10とS12すなわち測定対象物体50の所望の測定対象部位にガイド光が照射されるように制御するのは実施の形態1で説明したとおりであるので説明を省略する。
【0123】
次に、温度測定装置200は、ガイド光照射部21のピントを調整し(S14)、その調節後に赤外線測定部20のピントを調節する(S16)。
【0124】
本実施の形態では、ピント調節部34は、画像処理部161により処理された画像に基づき、測定対象物体50に照射されているガイド光のスポット径を最小にするためのピント調節機構34aのパラメータを算出する。次いで、ピント調節部34は、設定したパラメータに基づき、ピント調節機構34aを制御し、レンズ27を光軸方向に位置移動させることによりレンズ27と近赤外線光源111との光軸方向の間隔を調節する。
【0125】
ここで、レンズ27の近赤外線光源111の波長に対する焦点距離をf、近赤外線光源111とレンズ27の間隔をa、レンズ27と測定対象物体50の測定対象部位との間隔をbとすると、衆知のレンズ公式により(1/a+1/b=1/f)が成り立つ。
【0126】
また、赤外線センサ101が感度を有する波長には幅があるため、近赤外線光源111(ガイド光照射部21)のピントが合ったとしても赤外線センサ101(赤外線測定部20)のピントが合っているとは限らないので、赤外線センサ101(赤外線測定部20)のピントを調整する。
【0127】
赤外線の中心波長を10μmとしてレンズ27の波長10μmでの焦点距離をf’とし、赤外線センサ101とレンズ27の間隔をa+△aとする。この場合において、1/(a+△a)+1/(b−△a)=1/f’が成り立つ△aが存在する。そのため、ガイド光のスポットのピント合わせ(ガイド光照射部21のピント調整)が完了した後、さらに△aだけレンズ27を移動させると、赤外線センサ101を備える赤外線測定部20のピントが所望の測定対象部位に合うようになる。
【0128】
次に、温度測定装置300は、赤外線測定部20で物体の測定対象部位から輻射される赤外線を計測する(S18)。なお、S18での動作は実施の形態1で説明したとおりであるので説明を省略する。
【0129】
[効果]
以上、本実施の形態における温度測定装置300によれば、測定対象の物体の温度を正確に測定することが可能になる。
【0130】
具体的には、ガイド光のスポットのピントを合わせた後、レンズ27を△aだけ移動させれば、赤外線測定部20のピントが合うので、レンズ27は一つだけで良く、小型で安価な構成で測定部位周辺の温度の影響を受けにくい温度測定が可能となる。
【0131】
また、本実施の形態における温度測定装置300によれば、ピント調整のために動かすのはレンズ27だけでよいので、駆動機構が少なく、また電子回路が接続されている赤外線センサ101を移動させる必要がないので駆動機構が簡素になるというメリットも得られる。
【0132】
なお、本実施の形態の説明において、光合波部22は波長選択性プリズムを用いて構成されると説明したが、それに限らず、波長選択性ミラーを代わりに用いるとしてもよい。
【0133】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1〜3における温度測定装置が実装される応用製品について説明する。
【0134】
図13は、実施の形態4における冷暖房装置が設置された室内の一例を示す図である。
図13中には、冷暖房装置400の設置された室内にいる人51が示されている。
【0135】
図13に示す冷暖房装置400は、温度測定装置401を備え、設定に応じて暖風、冷風を吹き出す。すなわち、冷暖房装置400は一般にエアコンとして知られている装置と同種の装置である。また、冷暖房装置400に設置される温度測定装置401は、上記実施の形態1から実施の形態3のいずれかの温度測定装置である。
【0136】
温度測定装置401は、測定対象物体の測定対象部位として人51の皮膚温度を測定する。人51の皮膚温度測定部位としては着衣から露出している顔や手などが好適である。
【0137】
温度測定装置401は、搭載された撮像部15により人51を撮影すると共に顔や手を抽出し、ガイド光を人の顔や手に向ける。ガイド光として、上述した近赤外光を用いることにより人51に意識させることなく、皮膚温度を測定することができる。
【0138】
ここで、人51が快適と感じているときの顔や手の皮膚温度を学習し、データベース化するとしてもよい。学説では一般的に平均皮膚温度が33〜34℃が快適であると言われているので、快適感と皮膚温度の関係の学習のためには、計測する皮膚温度が33〜34℃になるように冷暖房装置400の動作を制御すればよい。そして、人51が設定温度を上下させた場合には、その時の皮膚温を記憶することによって、人51の快適と感じる皮膚温度を学習することができる。
【0139】
このようにして、温度測定装置401を用いて人の皮膚温度を測定するだけで人51が温度設定しなくても快適な温度になるように冷暖房を行う、冷暖房装置400を実現することができる。
【0140】
なお、人51が複数いる場合でも各人を撮像部15で識別することができるので、各人の皮膚温度と快適感の関係をデータベース化することにより各人に応じた冷風、暖風の制御が可能となる。各人の識別には顔のパターンマッチングなどを用いることができる。
【0141】
(実施の形態5)
実施の形態4では、実施の形態1〜3における温度測定装置が冷暖房装置に搭載される例について説明したが、それに限らない。本実施の形態では、実施の形態1〜3における温度測定装置が車両のバックミラーやハンドルに搭載される場合の例について説明する。
【0142】
図14は、実施の形態5における車両に温度測定装置が搭載される場合の一例を示す図である。
図15Aは実施の形態5におけるバックミラーに温度測定装置が搭載される場合の例を示しており、
図15Bは実施の形態5におけるハンドルに温度測定装置が搭載される場合の例を示している。
【0143】
図14に示す車両500は、バックミラー501と、ハンドル502とを備える。
図14に示す車両500の室内には、ドライバーである人52と後部座席の人53が示されている。
【0144】
車両500に実施の形態1〜3における温度測定装置を搭載する場合、
図15Aに示すように、バックミラー501に搭載されるとしてもよいし、
図15Aに示すように、ハンドル502に搭載されるとしてもよい。
【0145】
図15Aに示すバックミラー501は、温度測定装置503とカメラ504とを備える。温度測定装置503は、上記実施の形態1から実施の形態3のいずれかの温度測定装置である。カメラ504は、実施の形態1から実施の形態3のいずれかの撮像部である。
【0146】
なお、温度測定装置503は上記実施の形態1から実施の形態3のいずれかの温度測定装置の一部構成であり、その他の構成はバックミラー501のミラー背後に搭載されるとしてもよい。
【0147】
このように搭載された温度測定装置503を用いて、カメラ504により人52または人53を撮影すると共に顔や手を抽出し、ガイド光を人の顔や手に向ける。ガイド光として、上述した近赤外光を用いることにより人52または人53に意識させることなく、皮膚温度を測定することができる。そして、温度測定装置503または505の測定結果を用いて、車両内の冷暖房装置を制御する。
【0148】
それにより、人52または人53が温度設定しなくても快適な温度になるように車両内の冷暖房装置の制御を行えることができる。
【0149】
なお、車両500内に人が複数いる場合でも各人をカメラ(撮像部15)で識別することで、各人に応じた冷風、暖風の制御が可能となる。
【0150】
また、
図15Bに示すハンドル502は、温度測定装置505とカメラ506とを備える。温度測定装置505は、上記実施の形態1から実施の形態3のいずれかの温度測定装置である。なお、温度測定装置505は上記実施の形態1から実施の形態3のいずれかの温度測定装置の一部構成であり、その他の構成は車両500のダッシュボードなどに搭載されるとしてもよい。カメラ506は、実施の形態1から実施の形態3のいずれかの撮像部である。
【0151】
このように搭載された温度測定装置505を用いて、カメラ506により人52を撮影すると共に顔や手を抽出し、ガイド光を人の顔や手に向ける。ガイド光として、上述した近赤外光を用いることにより人52に意識させることなく、皮膚温度を測定することができる。
【0152】
そして、温度測定装置505の測定結果(皮膚温度)に基づき、車両内の冷暖房装置を制御することもできる。つまり、本実施の形態によれば、人52が温度設定しなくても快適な温度になるように車両内の冷暖房装置を制御することができる。
【0153】
なお、温度測定装置505の測定結果(皮膚温度)に基づき、人52の体調を管理してもよい。この場合には、例えば、温度測定装置505の測定結果(皮膚温度)に基づき、人52の体調がわるいと判断したときには、車両500のエンジン始動をさせないように車両500を制御することで、人52の健康管理や安全を確保したりすることにも利用できる。
【0154】
なお、温度測定装置503を用いて、車両内の冷暖房装置を制御すると説明したが、それに限らない。温度測定装置503を用いて、人52だけでなく人53の健康管理を行うとしてもよい。
【0155】
[効果]
以上、本実施の形態によれば、赤外線測定部と測定対象部位との距離に影響されにくい温度測定が可能となり、測定対象部位の温度を正確に測定することができるので、測定対象の物体の温度を正確に測定することが可能になる。
【0156】
本実施の形態では、温度測定装置を用いて人の皮膚温度を測定するだけで車両500の運転手である人52や同乗者である人53が温度設定しなくても快適な温度になるように冷暖房を行うことができる。また、温度測定装置を用いて人の皮膚温度を測定するだけで運転手である人52や同乗者である人53の発熱などを把握でき、体調管理を行う事ができる。
【0157】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る物体の温度を測定するための温度測定装置および温度測定方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0158】
例えば、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。