特許第6290101号(P6290101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290101
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】ワセリン代替物としての混合エーテル
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/33 20060101AFI20180226BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20180226BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180226BHJP
   C07C 41/09 20060101ALI20180226BHJP
   C07C 43/04 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   A61K8/33
   A61K9/06
   A61K47/08
   A61Q19/00
   C07C41/09
   C07C43/04 Z
【請求項の数】10
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-556991(P2014-556991)
(86)(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公表番号】特表2015-506994(P2015-506994A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2013052425
(87)【国際公開番号】WO2013120758
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2014年10月14日
【審判番号】不服2016-14291(P2016-14291/J1)
【審判請求日】2016年9月26日
(31)【優先権主張番号】61/599,966
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12155966.0
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510015257
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ディーアカー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ケンパース
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・カヴァ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ブリューニング
(72)【発明者】
【氏名】ヤドランカ・ミラルドビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト・ベッケダール
(72)【発明者】
【氏名】アイケ・ウルフ・マーンケ
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ−ヨーゼフ・クリュッペル
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 須藤 康洋
【審判官】 安川 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−289865(JP,A)
【文献】 特表2006−516029(JP,A)
【文献】 特表2006−504649(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/016642(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/48
A61Q1/00-90/00
C07C1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)25〜50重量%の非分岐C12〜18脂肪アルコール、
b)25〜50重量%のイソステアリルアルコール、および
c)15〜35重量%のC20および/またはC22脂肪アルコール
の縮合生成物としての、−25℃〜+70℃の間に示差走査熱量測定により測定した融点範囲を有する混合エーテルであって、融点範囲の幅が少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値が35±10℃であり、成分a)は、下記鎖長分布:
48〜58重量%のC12、
18〜24重量%のC14、
8〜12重量%のC16、
11〜15重量%のC18
を有する非分岐飽和脂肪アルコールからなる、混合エーテル。
【請求項2】
a)25〜50重量%の非分岐C12〜18脂肪アルコール、
b)25〜50重量%のイソステアリルアルコール、
c)15〜35重量%のC20および/またはC22脂肪アルコール、および
d)10〜25重量%のCおよび/またはC10脂肪アルコール
の縮合生成物としての、−25℃〜+70℃の間に示差走査熱量測定により測定した融点範囲を有する混合エーテルであって、融点範囲の幅が少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値が35±10℃であり、成分a)は、下記鎖長分布:
48〜58重量%のC12、
18〜24重量%のC14、
8〜12重量%のC16、
11〜15重量%のC18
を有する非分岐飽和脂肪アルコールからなる、混合エーテル。
【請求項3】
a)25〜35重量%の非分岐C12〜18脂肪アルコール、
b)33〜50重量%のイソステアリルアルコール、および
c)25〜35重量%のC20および/またはC22脂肪アルコール
の縮合生成物としての、−25℃〜+70℃の間に示差走査熱量測定により測定した融点範囲を有する混合エーテルであって、融点範囲の幅が少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値が35±10℃であり、成分a)は、下記鎖長分布:
48〜58重量%のC12、
18〜24重量%のC14、
8〜12重量%のC16、
11〜15重量%のC18
を有する非分岐飽和脂肪アルコールからなる、混合エーテル。
【請求項4】
−22℃〜+55℃の間に融点範囲を有する請求項1〜3のいずれかに記載の混合エーテルであって、融点範囲の幅が少なくとも50℃であり、融点範囲の極大値が35±10℃である、混合エーテル。
【請求項5】
成分c)はn−ドコサノールである、請求項1〜4のいずれかに記載の混合エーテル。
【請求項6】
混合エーテルの原料であるアルコールを200〜250℃の温度で縮合反応させることを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の混合エーテルの製造方法。
【請求項7】
スルホン酸および/またはメタンスルホン酸を使用して、混合エーテルの原料であるアルコールを縮合反応させることを含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
リン酸と組み合わせてスルホン酸および/またはメタンスルホン酸を使用して、混合エーテルの原料であるアルコールを縮合反応させることを含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の混合エーテルを含んでなる、化粧品および/または医薬品。
【請求項10】
化粧品または医薬品においてワセリンの代替とするための、請求項1〜5のいずれかに記載の混合エーテルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合エーテル、化粧品および/または医薬品におけるワセリン代替物としてのその使用、並びにそのような混合エーテルを含んでなる化粧品および/または医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
ワセリンは、多くの局所塗布用化粧品および/または医薬品の基剤として実績ある成分である。ワセリンは、リーブオンおよびリンスオフ製剤において、クリームおよび軟膏の基剤として、極めて広く使用されており、例えば、シャワーバスにおいても使用されている。
【0003】
ワセリンは、炭化水素ゲルに属しており、n−およびイソパラフィン並びにオレフィン炭化水素、例えばセテン、ヘプタデセンおよびオクタデセンの液相70〜90%、および固相10〜30%を有する二相系である。固相は、主要な微晶質イソパラフィン、並びに少量の脂環式化合物および結晶質n−パラフィンからなる。ワセリンのゲル構造は、より長鎖の固体パラフィンにより形成される骨格の形成の結果生じる。長鎖パラフィンの末端は、房状ミセルから不規則に突出しており、別のミセルの形成に部分的に寄与するので、長鎖パラフィン自体の位置は、互いに平行にファンデルワールス−ロンドン力により保たれており、いわゆる房状ミセルを形成している。これにより、平行な長鎖パラフィンの結合した多数の島によって三次元骨格が形成され、その中に液状炭化水素が介在する。結晶質、微晶質領域の対応する組成物および液状炭化水素が、このゲル構造の形成、従って、ワセリン特有のレオロジー特性(可塑性、延性)を決定する。
【0004】
ワセリンは、非常に広い融点範囲を特徴としており、化学的にはほぼ中性である。
【0005】
主に天然由来のワセリンが、化粧品および医薬品に使用されている。そのようなワセリンは、石油精製の際に残留物として生成され、濃硫酸および漂白土および/または活性炭による処理によって精製される、n−パラフィン、イソパラフィンおよびヒドロ芳香族炭化水素の混合物である。様々なグレードのワセリンが、精製のタイプに応じて製造される。一方、液状パラフィンにパラフィンおよびセレシンを溶解することにより得られる合成由来のワセリンも存在する。
【0006】
しかしながら、パラフィンは、その鎖長に応じて、肝臓、リンパ節および腎臓に蓄積し得ることが知られている。難分解性脂肪である鉱油が、どのように体内に蓄積し、毛穴閉塞の結果として皮膚の呼吸を妨げたり座瘡の発生を促進したりするのか、幾度も検討されている。従って、鉱油含有リップケアスティックもまた既に批判されている。
【0007】
パラフィンの良好な局所適合性が知られているにもかかわらず、代替原料からの製造を特徴とする軟膏基剤を含んでなる製剤に、引き続き関心が持たれている。特性については、ワセリンと同等でなければならない。これまでのワセリン代替用基剤は比較的狭い融点範囲しか有しておらず、従って、同程度に広い融点範囲を有する可能な代替基剤が研究されている。
【0008】
数年前でさえ、蜜蝋および植物油の混合物がワセリン代替物として使用されていた。しかしながら、蜜蝋は天然由来品であって、短期間に大量生産することはできない。
【0009】
WO 2007/107966は、ワセリン代替物としての硬化ヒマシ油を含んでなり、ヒマ種子油、液状脂肪アルコールおよび植物油により粘度が低下された消臭組成物を開示している。硬化ヒマシ油のより高い極性の故に、そのような化粧品基剤には、ワセリン系組成物と比べてより長時間香りが残ると考えられる。
【0010】
アルコールからのエーテルの合成は、化学工業において、かなり以前から確立されている方法である。溶媒として、短鎖エーテルを使用することができる。第一級アルコールの縮合は、例えば酸または塩基により触媒され、反応生成物として、エーテルが生じる。
【0011】
例えば、化粧品市場で市販されている様々なエーテルが存在し、その例は、BASF Personal Care and Nutrition GmbH製Cetiol OE(登録商標)である。
【0012】
Sasolは、様々なCosmacol(登録商標)エーテルを市販しており["Sasol Raw Materials for Cosmetics", Sasol Olefins & Surfactants GmbH, Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg, Germany]、その例は、COSMACOL(登録商標)OE(ジオクチルエーテル)、COSMACOL(登録商標)Ether 10(ジデシルエーテル)、COSMACOL(登録商標)Ether 12(ジラウリルエーテル)、COSMACOL(登録商標)Ether 14(ジミリスチルエーテル)、COSMACOL(登録商標)Ether 16(ジヘキサデシルエーテル)およびCOSMACOL(登録商標)SE(ジステアリルエーテル)["Sasol Raw Materials for Cosmetics", Sasol Olefins & Surfactants GmbH, Anckelmannsplatz 1, 20537 Hamburg, Germany]である。
【0013】
ジイソノニルエーテルは、日光ケミカルズから市販されている(Nikkol DINE)。
【0014】
これらのエーテルの共通する特徴は、規定された融解挙動を示す純化合物しか存在しないことである。
【0015】
一部の短鎖エーテルは、室温で液体である。そのようなエーテルは、例えば化粧品用エモリエントとして使用することができる。より長鎖のC18エーテルは固体であり、45℃〜50℃より高い範囲に高い融点を有する。高融点化合物は一般に、明らかに規定された融点を有し、従って、ワセリン代替物としては適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO 2007/107966
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
官能特性および適用性に関してワセリンと同程度であるエーテル混合物を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
エーテル混合物の製品特性は、脂肪アルコール組成の最適化、脂肪アルコール鎖長の選択、および縮合反応の実施により、目的に応じて調節することができるので、混合物は、ワセリンと同程度の適用性および官能特性を有し、同様の極大値を伴った同程度の融点範囲を有する。
【0019】
文献によると、ワセリンの融点範囲は35〜60℃である。この融点範囲は、結晶質領域の割合に応じて変動する。
【0020】
一方で、示差走査熱量測定(DSC)による熱分析は、比較的低温であっても溶融の開始を測定するために使用することができる。
【0021】
ワセリンの融点範囲の極大値が皮膚温度域にあって、ワセリンが−20℃±5℃から70℃±5℃までの緩やかな増加を伴った比較的広い融点範囲を特徴とすることは、ワセリン特有の官能特性にかなり影響を及ぼしている。
【0022】
従って、ワセリンに相当する溶融挙動を示す混合エーテル組成物を選択した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
融点範囲の特性評価:
示差走査熱量測定(DSC)は、試料物質の物理的および化学的構造の温度および時間依存性変化の故に生じる熱流量の変化を測定する。DSCにより、一定の加熱速度で試料を溶融する際の、試料物質の熱吸収が確定される。
【0024】
熱量変化は、様々な方法によって測定することができる。現在のDSC(示差走査熱量測定)は、熱流束型示差走査熱量測定と入力補償型示差走査熱量測定に分類される。
【0025】
熱流束型示差走査熱量測定に従った測定(表1aおよび1b)のために、TA Instruments(Waters GmbH)製の熱流束型DSC Q100を使用した。
【0026】
それぞれの場合において、小さいアルミニウム製皿に5〜10mgの試料物質を秤量し、気密カプセル化した(低温封止)。これらの皿を、5K/分の加熱速度で−80℃から+100℃の温度プログラムに付し、溶融挙動および/または結晶化挙動を分析した。結果は、再現性良く測定された。
【0027】
得られた線図から値を読み取る通常の視覚的手段を用いた、(混合物の熱容量の温度依存性の故に)一定ではないベースラインと非常に広い融点範囲とを有する試料の評価は、かなり変動するので、温度値は、エンタルピー値を参考に確定した。
【0028】
−60℃から(+40℃〜+80℃の間にある)溶融終点まで、線形ピーク解析を行った。このように計算したエンタルピーを、百分率で示した。従って、融点範囲は、範囲の出発点として全溶融エンタルピーの5%での温度を選択し、範囲の終点として全溶融エンタルピーの99%での温度を選択することによって示された(表1a)。これらの選択した値は、線図から大体目視で確認した値と一致していた。
【0029】
測定された温度極大値は、極大ピークとして発現した温度値であった。これは、線図から十分正確に読み取ることができた(表1b−右側欄)。
【0030】
【表1a】
【0031】
【表1b】
【0032】
本発明は、−25℃〜+70℃の間に示差走査熱量測定(DSC)により測定した融点範囲を有する混合エーテルであって、融点範囲の幅が少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値が35±10℃である、混合エーテルを提供する。
【0033】
ワセリン組成の変動、特に結晶質領域の異なる割合の結果、正確なDSC法を用いたとしても測定した値は変動するので、本発明の混合エーテルについて測定した融点範囲は、−25℃〜+70℃、好ましくは−22℃〜+55℃、特に好ましくは−20℃〜+55℃の間の温度範囲に存在する。
【0034】
これに関して、融点範囲は、幅全体に及ばなくてもよいが、−25℃〜+70℃の間の温度範囲、好ましくは−22℃〜+55℃の間の温度範囲、特に好ましくは−20℃〜+55℃の間の温度範囲において少なくとも30℃の範囲をカバーしなくてはならず、融点範囲の幅は、好ましくは少なくとも50℃、特に好ましくは少なくとも60℃でなければならない。本発明において、融点範囲の極大値は、35±10℃、好ましくは35±5℃、従って、ほぼ皮膚温度の範囲内である。
【0035】
好ましい混合エーテルは、−22℃〜+55℃の間の融点範囲、少なくとも50℃の融点範囲幅、および35±10℃に極大値を有する。
【0036】
特に好ましい混合エーテルは、−20℃〜+55℃の間の融点範囲、少なくとも60℃の融点範囲幅、および35±10℃に極大値を有し、とりわけ好ましい混合エーテルは、−20℃〜+55℃の間の融点範囲、少なくとも60℃の融点範囲幅、および35±5℃に極大値を有する。
【0037】
意外なことに、−25℃〜+70℃の間に示差走査熱量測定(DSC)により測定した融点範囲を有する混合エーテルであって、融点範囲の幅が少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値が35±10℃である混合エーテルは、
a)25〜90重量%の非分岐C12〜18脂肪アルコール、
b)5〜50重量%のイソステアリルアルコール、
c)0〜35重量%のC20および/またはC22脂肪アルコール、および
d)0〜25重量%のCおよび/またはC10脂肪アルコール
の縮合反応により得られることが見出された。
【0038】
好ましい混合エーテルは、
a)25〜70重量%の非分岐C12〜18脂肪アルコール、
b)5〜50重量%のイソステアリルアルコール、
c)1〜35重量%のC20および/またはC22脂肪アルコール、および
d)0〜25重量%のCおよび/またはC10脂肪アルコール
の縮合反応により得られ、−25℃〜+70℃の間の示差走査熱量測定(DSC)により測定した融点範囲を特徴としており、融点範囲の幅は少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値は35±10℃である。特に好ましくは、融点範囲は−22℃〜+55℃の間にあり、融点範囲の幅は少なくとも50℃であり、融点範囲の極大値は35±10℃である。
【0039】
より好ましい混合エーテルは、
a)25〜50重量%の非分岐C12〜18脂肪アルコール、
b)25〜50重量%のイソステアリルアルコール、
c)15〜35重量%のC20および/またはC22脂肪アルコール、および
d)場合により10〜25重量%のCおよび/またはC10脂肪アルコール
の縮合反応により得られ、この混合エーテルは、−25℃〜+70℃の間に示差走査熱量測定(DSC)により測定した融点範囲を有しており、融点範囲の幅は少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値は35±10℃である。好ましくは、融点範囲は−22℃〜+55℃の間にあり、融点範囲の幅は少なくとも50℃であり、融点範囲の極大値は35±10℃である。
【0040】
特に好ましい混合エーテルは、
a)25〜35重量%の非分岐C12〜18脂肪アルコール、
b)33〜50重量%のイソステアリルアルコール、
c)25〜35重量%のC20および/またはC22脂肪アルコール
の縮合反応により得られ、この混合エーテルは、−25℃〜+70℃の間に示差走査熱量測定(DSC)により測定した融点範囲を有しており、融点範囲の幅は少なくとも30℃であり、融点範囲の極大値は35±10℃である。好ましくは、融点範囲は−22℃〜+55℃の間にあり、融点範囲の幅は少なくとも50℃であり、融点範囲の極大値は35±10℃である。特に好ましくは、融点範囲は−22℃〜+55℃の間にあり、融点範囲の幅は少なくとも60℃であり、融点範囲の極大値は35±10℃である。
【0041】
成分a)として、12〜18個の炭素原子を有する非分岐飽和脂肪アルコールを使用する。ワセリンの性質に可能な限り一致させるために、特に有用であることがわかった非分岐脂肪アルコールの鎖長分布は、
48〜58%のC12アルコール、
18〜24%のC14アルコール、
8〜12%のC16アルコール、
11〜15%のC18アルコール
である。
この組成物は、Lorol(登録商標)(「Lorol technical-grade」)の商品名で市販されており、18〜23℃の凝固点範囲を有する。
【0042】
成分b)としてのイソステアリルアルコール(Prisorine 3515)、別名イソオクタデカノールまたはイソオクタデシルアルコールは、化粧品において、良好な展着能を有するエモリエントとして使用されている。このアルコールは、その良好な適合性の故に、特定の界面活性剤の合成においても使用されている。このアルコールは、下記商品名で市販されている:Aldo 66;Emery 3389;Emery H 3600;FOC 1800;Fine Oxocol 180;Jarcol I 18EX;OHV 20;Prisorine 3515;Prisorine ISOH 3515;Risonol 18SP;Speziol C 18 ISOC;Speziol C 18 Iso;Witcohol 66。
【0043】
成分c)は主に、22個の炭素原子の鎖長を有する脂肪アルコールからなる。この脂肪アルコールは、飽和、不飽和、分岐または直鎖であってよい。少なくとも42%、好ましくは少なくとも65%、特に好ましくは少なくとも70%のC22脂肪アルコールを含んでなる、ベヘニルアルコール(別名:n−ドコサノール)を使用することが好ましい。このタイプの脂肪アルコール組成物は、Stenol(登録商標)1822の商品名で市販されている。
【0044】
場合により使用される成分d)としてのC脂肪アルコールおよびC10脂肪アルコールは、飽和、不飽和、分岐または直鎖であってよい。しかしながら、C脂肪アルコールとしてn−オクタノール(オクチルアルコール)を使用することが好ましく、C8の割合が少なくとも95%である鎖長分布を有するグレードが特に好ましい。使用されるC10脂肪アルコールは好ましくはn−デカノール(デシルアルコール)であり、C10の割合が少なくとも90%である鎖長分布を有するものが特に好ましい。
【0045】
本発明の混合エーテルは、ワセリンと同程度の融点範囲を有するだけでなく、ワセリンと同程度の官能特性を示すが、界面活性剤含有系において、混合エーテルを含有する場合のフォーム量は、ワセリンを含有する場合のフォーム量より多いので、混合エーテルは、ワセリンと比べて改善された適用性を有する。
【0046】
以下の3つの選択された組成物が、−10〜50℃の間にワセリンと非常に類似した融点範囲を有するので、化粧品および医薬品におけるワセリン代替物としての使用に非常に適している。
【0047】
1つ目の組成物は、成分a)、b)およびc)を等量で反応させることにより得られる。ベヘニルアルコール、C12〜C18脂肪アルコール混合物(Lorol(登録商標)technical grade)およびイソステアリルアルコールを、33.3:33.3:33.3の比で反応させることにより得られる組成物が特に好ましい。
【0048】
別の組成物は、成分a)、b)およびc)を25:25:50の比で反応させることにより得られる。この場合は特に、25:25:50の比のC12〜C18脂肪アルコール(Lorol(登録商標)technical grade)、ベヘニルアルコールおよびイソステアリルアルコールの組成物が、所望の融点範囲を有する。
【0049】
高い吸蔵性を特徴とする3つ目の組成物は、成分a)、b)、c)およびd)を25:25:25:25の比で反応させることにより得られる。その際、C8脂肪アルコールとC10脂肪アルコールは等量で使用する。特に、25:25:25:12.5:12.5の比のLorol(登録商標)technical grade、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、C8脂肪アルコールおよびC10脂肪アルコールの組成物は、ワセリンと同程度の官能特性を特徴とする。
【0050】
縮合反応のための合成条件:
好ましい反応条件:
酸触媒の作用下で反応する脂肪アルコールから、エーテル化を開始する。本発明において適当な酸は特に、ルイス酸およびブレンステッド酸として反応する強酸、または2種以上の酸の組み合わせである。その例は、スルホン酸、メタンスルホン酸、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸、およびそれらとリン酸、特に次亜リン酸との組み合わせであり、特に好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸と次亜リン酸との組み合わせである。
【0051】
反応温度は、150℃超、好ましくは200〜250℃、特に220℃±5℃である。
【0052】
反応には、直鎖、分岐、飽和または不飽和のC6〜C36の鎖長を有するアルコールを使用することができる。8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールが主に使用され、飽和および直鎖の脂肪アルコールが好ましい。ワセリンと同程度の性質を有するという目的に応じて生成アルコール混合物の性質を調整するためには、混合物の選択は不可欠である。室温で半固体であり、広い融点範囲を有する物質が対象とされる。
【0053】
2〜36個の炭素原子を有する多価アルコール、好ましくはゲルベアルコールおよびジオール、特に好ましくは6個、16個または36個の炭素原子を有するジオールは、アルコールの更なる架橋をもたらすので、架橋のためにも使用される。
【0054】
色を改善するために、漂白してもよく、生じた副生物を留去してもよい。このとき、生成物自体は、沸点が高いため留去されない。蒸留前に酸性触媒を中和することができ、一般的には必要とされる。このためには、アルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物溶液が適している。
【0055】
混合エーテルは、その物理的性質、化学的性質、特にレオロジー特性の故に、化粧品または医薬品においてワセリンに代えて使用される。
【0056】
化粧品
本発明の組成物は、局所塗布のための全医薬品並びにボディケアおよび洗浄のための全化粧品、例えば、ボディーオイル、ベビーオイル、ボディミルク、クリーム、ローション、噴霧可能なエマルション、日焼け防止組成物および制汗剤における基剤として適している。本発明の組成物は特に、界面活性剤含有組成物、例えば、液体石鹸、固形石鹸、フォームバスおよびシャワーバス、ヘアシャンプーおよびヘアリンスにおいて使用される。また、衛生およびケア分野において広く使用されているティシュー、紙材、ワイプ、不織製品、スポンジ、パフ、絆創膏および包帯(乳幼児衛生およびベビーケアのためのウェットワイプ、クレンジングワイプ、フェイスクレンジングワイプ、スキンケアワイプ、皮膚の老化を防止するための活性成分を含むケアワイプ、日焼け防止組成物および虫除け剤を含むワイプ、装飾用化粧品のためのワイプ、日焼け後の手入れのためのワイプ、トイレ用ウェットワイプ、制汗用ワイプ、オムツ、ポケットティシュー、ウェットワイプ、衛生用品、セルフタニングワイプ)におけるケア成分として使用することもできる。本発明の組成物はまた、とりわけ、毛髪の手入れ、洗浄またはカラーリングのための組成物においても使用される。更に、本発明の組成物は、装飾用化粧品、例えば、口紅、リップグロス、メーキャップ、ファンデーション、粉おしろい、アイシャドウ、マスカラなどの組成物においても使用される。
【0057】
それぞれの組成物および製剤における使用濃度は、ワセリンの使用濃度と同程度である。本発明の混合エーテルを含んでなる医薬品および化粧品もまた、本発明によって提供される。
【0058】
本発明の混合エーテルは、特に界面活性剤含有組成物において、同等のワセリン含有系より多量のフォームを生じるという、ワセリンを使用した場合に対する利点を有するので、本発明の混合エーテルおよび界面活性物質を含んでなる化粧品および/または医薬品もまた、本発明によって提供される。
【0059】
適用する目的に応じて、化粧品は、一連の更なる助剤および添加剤、例えば、界面活性剤、更なる油体、乳化剤、真珠光沢ワックス、粘稠度調節剤、増粘剤、過脂化剤、安定剤、ポリマー、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、生物起源活性成分、紫外線保護因子、酸化防止剤、消臭剤、制汗剤、フケ防止剤、フィルム形成剤、膨潤剤、虫除け剤、セルフタニング剤、チロシナーゼ阻害剤(脱色素剤)、充填剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、鉱油、染料などを含有しており、その例を以下に挙げる。
【0060】
適当な界面活性物質は基本的に、水相と非水相の間の界面張力を低下する全ての物質である。界面活性物質は、乳化剤および界面活性剤を包含する。
【0061】
本発明の1つの態様では、本発明の組成物は、2種以上の界面活性物質を含んでなる。当業者は、それ以外の成分に応じて、通常の系(例えば、乳化剤および共乳化剤)を使用する。
【0062】
適当な乳化剤は基本的に、全ての界面活性物質であるが、特に、グリフィンスケールに従った1〜20のHLB値を有する物質である。各乳化剤は、良好に水溶性であるかまたは油溶性であるかを示す、いわゆるHLB値(1〜20の無次元値、グリフィンスケール)を有する。9未満の数は、優先的に油溶性疎水性である乳化剤を示しており、11超の数は、水溶性親水性である乳化剤を示している。HLB値は、乳化剤の親水性基および親油性基の大きさおよび強さの平衡のようなものをいう。
【0063】
実際は、2つの相における乳化剤の溶解性が、エマルションのタイプを決定する。乳化剤がより水に溶解性であるならば、O/Wエマルションが得られる。一方、乳化剤がより良好な溶解性を油相において有するならば、それ以外は同一の調製条件下で、W/Oエマルションが生じる。
【0064】
非イオン性乳化剤
非イオン性乳化剤の群は、例えば以下を包含する:
(1)8〜40個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール、12〜40個の炭素原子を有する脂肪酸およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜50molおよび/またはプロピレンオキシド1〜20molの付加生成物。
(2)グリセロールへのエチレンオキシド1〜50molの付加生成物の、C12〜C18脂肪酸モノエステルおよびジエステル。
(3)6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸のスルビタンモノエステルおよびジエステル、並びにそれらのエチレンオキシド付加生成物。
(4)アルキル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルモノグリコシドおよびアルキルオリゴグリコシド、並びにそれらのエトキシル化類似体。
(5)ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油へのエチレンオキシド7〜60mol付加生成物。
(6)ポリオールエステル、特にポリグリセロールエステル、例えば、ポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレート、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリグリセリル−4 ラウレート、ポリグリセロールジイソステアレートまたはポリグリセロールジメレート。同様に適しているものは、これら物質類の2種以上の化合物の混合物、例えばポリグリセリル−4 ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケートである。
(7)ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油へのエチレンオキシド2〜15molの付加生成物。
(8)直鎖、分岐、不飽和または飽和C〜C22脂肪酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)に基づく部分エステル、または混合エステル、およびスクロースポリステアレート(Emulgade(登録商標)SUCRO(Cognis GmbH)として市販)。
(9)ポリシロキサン−ポリアルキルポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体。
(10)ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステル、および/またはC6〜22脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールの混合エステル。
【0065】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、グリセロールモノエステルおよびジエステル、並びに脂肪酸のソルビタンモノエステルおよびジエステル、またはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物が、既知の市販製品である。それらは、平均アルコキシル化度が、付加反応を実施するエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと基質との定量的量の比に相当する、同族体混合物である。エトキシル化度に依存して、それらはW/O乳化剤またはO/W乳化剤である。グリセロールへのエチレンオキシド付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルが、化粧品のための脂肪回復剤として知られている。
【0066】
本発明の特に適当で穏やかな乳化剤は、ポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレートおよびそれらの混合物であり、例えばCognis Deutschland GmbHによってDehymuls(登録商標)PGPH(W/O乳化剤)またはEumulgin(登録商標)VL 75(重量比1:1でココグルコシドを含有する混合物、O/W乳化剤)またはDehymuls(登録商標)SBL(W/O乳化剤)の商品名で市販されている。これに関連して、EP 766 661 B1を特に参照することができる。これら乳化剤のポリオール成分は、少なくとも2個、好ましくは3〜12個、特に3〜8個のヒドロキシル基および2〜12個の炭素原子を有する物質から誘導することができる。
【0067】
適当な親油性W/O乳化剤は基本的に、1〜8のHLB値を有する乳化剤であるが、それらは多数の表にまとめられており、当業者に知られている。エトキシル化生成物について、HLB値は下記式:
【数1】
[式中、Lは、エチレンオキシド付加生成物における、親油基(すなわち脂肪アルキル基または脂肪アシル基)の重量分率(重量%)である。]
に従って計算することもできる。
【0068】
W/O乳化剤の群の中で、ポリオール(特にC〜Cポリオール)の部分エステルが特に有利であり、その例は、ペンタエリスリトールの部分エステル、または糖エステル、例として、スクロースジステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタートレート、ソルビタンセスキタートレート、ソルビタンジタートレート、ソルビタントリタートレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエート、およびそれらの工業銘柄混合物である。適当な乳化剤はまた、上記したソルビタンエステルへの1〜30mol、好ましくは5〜10molエチレンオキシド付加生成物である。
【0069】
製剤によって、非イオン性W/O乳化剤(HLB値:8〜18)および/または可溶化剤の群からの少なくとも1種の乳化剤を付加的に使用することが有利な場合もある。これらは例えば、先に既に記載した、相応に高いエトキシル化度(例として、O/W乳化剤については10〜20のエチレンオキシド単位、およびいわゆる可溶化剤については20〜40のエチレンオキシド単位)を有するエチレンオキシド付加生成物である。本発明の特に有利なO/W乳化剤は、セテアレス−12、セテアレス−20およびPEG-20 ステアレートである。好ましい適当な可溶化剤は、Eumulgin(登録商標)HRE 40(INCI:PEG-40 硬化ヒマシ油)、Eumulgin(登録商標)HRE 60(INCI:PEG-60 硬化ヒマシ油)、Eumulgin(登録商標)L(INCI:PPG-1-PEG-9 ラウリルグリコールエーテル)、およびEumulgin(登録商標)SML 20(INCI:ポリソルベート−20)である。
【0070】
アルキルオリゴグリコシドの群からの非イオン性乳化剤は、特に肌に優しく、従って、O/W乳化剤として好適である。C〜C22アルキルモノグリコシドおよびオリゴグリコシド、それらの製造方法およびそれらの使用は、先行技術から知られている。それらの製造方法は特に、グルコースまたはオリゴ糖類と6〜24個、好ましくは8〜22個の炭素原子を有する第一級アルコールとの反応によって実施する。グリコシド基に関しては、1つの環状糖基が脂肪アルコールにグリコシド結合しているモノグリコシド、或いは好ましくは約8までのオリゴマー化度を有するオリゴグリコシドのいずれも適している。本発明におけるオリゴマー化度は、そのような工業銘柄品に一般的な同族体分布に基づく統計的平均値である。Plantacare(登録商標)またはPlantaren(登録商標)の商品名で入手可能な製品は、オリゴグルコシド基にグルコシド結合C〜C16アルキル基を含有し、その平均オリゴマー化度は1〜2である。グルカミンから誘導されたアシルグルカミドもまた、非イオン性乳化剤として適している。本発明では、Cognis Deutschland GmbHによってEmulgade(登録商標)PL 68/50の商品名で市販されており、アルキルポリグルコシドと脂肪アルコールとの1:1混合物である製品が好ましい。本発明では、Eumulgin(登録商標)VL 75の商品名で市販されている、ラウリルグルコシド、ポリグリセリル−2−ジポリヒドロキシステアレート、グリセロールおよび水の混合物を有利に使用することもできる。
【0071】
適当な乳化剤はまた、レシチンおよびリン脂質のような物質である。挙げることのできる天然レシチンの例はケファリンであり、これは、ホスファチジン酸とも称され、1,2−ジアシル−sn−グリセロール−3−リン酸の誘導体である。一方、リン脂質は通常、リン酸とグリセロールのモノエステル、好ましくはジエステル(グリセロールホスフェート)を意味すると理解され、一般に脂肪に分類される。加えて、スフィンゴシンおよび/またはスフィンゴ脂質も適している。
【0072】
乳化剤として、例えばシリコーン乳化剤が存在してもよい。シリコーン乳化剤は例えば、アルキルメチコンコポリオールおよび/またはアルキルジメチコンコポリオールの群から、特に下記化学構造:
【化1】
[式中、XおよびYは相互に独立に、基H(水素)、1〜24個の炭素原子を有する分岐および非分岐のアルキル基、アシル基およびアルコキシ基から選択され、pは0〜200の数であり、qは1〜40の数であり、rは1〜100の数である]
を特徴とする化合物の群から選択することができる。
【0073】
本発明の目的に特に有利に使用されるシリコーン乳化剤の1つの例は、ジメチコンコポリオールであり、それらは、Evonik Goldschmidtによって、AXIL(登録商標)B 8842、ABIL(登録商標)B 8843、ABIL(登録商標)B 8847、ABIL(登録商標)B 8851、ABIL(登録商標)B 8852、ABIL(登録商標)B 8863、ABIL(登録商標)B 8873およびABIL(登録商標)B 88183の商品名で市販されている。
【0074】
本発明の目的に特に有利に使用される界面活性物質の別の例は、セチル PEG/PPG-10/1 ジメチコン(セチルジメチコンコポリオール)であり、これは、Evonik GoldschmidtによってABIL(登録商標)EM 90の商品名で市販されている。
【0075】
本発明の目的に特に有利に使用される界面活性物質の更なる例は、シクロメチコンジメチコンコポリオールであり、これは、Evonik GoldschmidtによってABIL(登録商標)EM 97およびABIL(登録商標)WE 09の商品名で市販されている。
【0076】
更に、乳化剤ラウリル PEG/PPG-18/18 メチコン(ラウリルメチコンコポリオール)は、非常に有利であることが知られており、Dow Corning LtdからDow Corning(登録商標)5200 Formulation Aidの商品名で市販されている。INCI名シクロペンタシロキサンおよびPEG/PG-18-18ジメチコンを有するシリコーン乳化剤も有利であり、これは、例えばDow Corning(登録商標)5225 C Formulation Aidの商品名で市販されている。
【0077】
別の有利なシリコーン乳化剤は、Wacker社のオクチルジメチコンエトキシグルコシドである。本発明のシリコーン油中水型エマルションには、このタイプのエマルションに使用される既知の乳化剤の全てを使用することができる。本発明の特に好ましいシリコーン中水型乳化剤は、セチル PEG/PPG-10/1 ジメチコンおよびラウリル PEG/PPG-18/18 メチコン[例えば、ABIL(登録商標)EM 90(Evonik Goldschmidt)、DC5200 Formulation Aid(Dow Corning)]およびこれら2つの乳化剤の所望の混合物である。
【0078】
適当なアニオン性O/W乳化剤は、例えばINCI名ジナトリウムセテアリルスルホスクシネートで入手可能な製品(商品名Eumulgin(登録商標)Prisma、Cognis GmbH)である。
【0079】
界面活性剤
本発明の1つの態様では、本発明の製剤は、界面活性化合物として少なくとも1種の界面活性剤を含有する。存在してよい界面活性物質は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤或いは双性イオン性界面活性剤である。界面活性剤含有化粧品、例えば、シャワージェル、フォームバス、シャンプーなどでは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が好ましくは存在する。
【0080】
非イオン性界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは混合ホルマール、場合により部分的に酸化されていてよいアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸 N−アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に小麦系植物性生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有するならば、それらは、通常の同族体分布を有することができるが、狭い同族体分布を有することが好ましい。
【0081】
双性イオン性界面活性剤は、分子内に少なくとも1つの第四級アンモニウム基および少なくとも1つの−COO(−)基または−SO(−)基を含有する界面活性化合物を表すために使用する用語である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタインであり、例えば、アルキル基またはアシル基に8〜18個の炭素原子をそれぞれ含有する、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例としてココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例としてココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2−アルキル−3−カルボキシルメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン;並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られている脂肪酸アミド誘導体である。
【0082】
両性界面活性剤もまた、特に共界面活性剤として、適している。両性界面活性剤は、分子内にC〜C18アルキル基またはアシル基以外に、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOH基または−SOH基を含有し、内部塩を形成できる界面活性化合物を意味するものと理解される。適当な両性界面活性剤の例は、アルキル基に約8〜18個の炭素原子をそれぞれ含有する、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸(例えばDehyton(登録商標)DCの商品名で市販)、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12〜18アシルサルコシンである。N−アルキルイミノジプロピオン酸の誘導体、例えばN−ラウリル−β−イミノプロピオネート(Deriphat(登録商標)160 Cの商品名で市販)もまた適している。アンフォアセテート、例えばココアンフォアセテート(例としてDehyton(登録商標)MC)またはココアンフォジアセテート(例としてDehyton(登録商標)DC)も適している。
【0083】
アニオン性界面活性剤は、水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基、シトレート基またはホスフェート基)および親油性基を特徴とする。皮膚適合性アニオン性界面活性剤は、多数の関連テキストブックから当業者に知られており、市販されている。それらは特に、12〜18個の炭素原子を有する直鎖アルキルまたはアシル基を含有する、アルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアンモニウム塩としてのアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、アシルタウリン;並びにアルカリ金属塩またはアンモニウム塩としてのスルホスクシネートおよびアシルグルタメートである。特に適当なアニオン性界面活性剤は、グリセリルステアレートシトレート化合物(例えば、Imwitor(登録商標)370、Imwitor(登録商標)372P、Axol(登録商標)C 62またはDracorin(登録商標)CE 614035の商品名で市販)またはグリセリルステアレートラクテート化合物である。適当なアルキルスルフェートの例は、ナトリウムセテアリルスルフェート(商品名Lanette(登録商標)E)であり、適当なホスフェートの例は、カリウムセチルホスフェート(商品名Amphisol(登録商標)K)である。適当なアシルグルタメートの例は、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム(例えば、商品名Eumulgin(登録商標)SG)である。適当なアニオン性界面活性剤の別の例は、ナトリウムラウリルグルコースカルボキシレート(商品名Plantapon(登録商標)LGC)である。
【0084】
使用できるカチオン性界面活性剤は特に、第四級アンモニウム化合物である。好ましいものは、ハロゲン化アンモニウム、特に塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウム、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例として、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよびトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。適当な擬似カチオン性界面活性剤は、例えば、ステアリルアミノプロピルジメチルアミン(商品名Dehyquart(登録商標)S18またはIncromine(登録商標)SBまたはTegoAmide(登録商標)S18で市販)である。更に、極めて易生物分解性である第四級エステル化合物、例えば、商品名Stepantex(登録商標)および対応するDehyquart(登録商標)シリーズの製品として市販されているジアルキルアンモニウムメトスルフェートおよびメチルヒドロキシアルキルジアルコキシルオキシアルキルアンモニウムメトスルフェートを、カチオン性界面活性剤として使用することができる。用語「エステルクォート」は一般に、四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩を意味すると理解される。エステルクォートは、本発明の組成物に特に柔らかい感覚をもたらすことができる。エステルクォートは、有機化学の関連方法によって調製される既知の物質である。本発明に従って使用することができる別のカチオン性界面活性剤は、四級化タンパク質加水分解物である。適当なカチオン性界面活性剤は、例えば、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート(商品名Dehyquart(登録商標)C4046)、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート(商品名Dehyquart(登録商標)F75)、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート(商品名Dehyquart(登録商標)L80)、ベヘントリモニウムクロリド(商品名Varisoft(登録商標)BT)、ジステアリルジモニウムクロリド(商品名Varisoft(登録商標)TA 100)、パルミトアミドプロピルトリモニウムクロリド(商品名Varisoft(登録商標)PATC)である。
【0085】
ワックス成分b−2)
本発明の1つの態様では、本発明の製剤は、少なくとも1種のワックス成分を含有する。本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、0〜40重量%、特に0〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、とりわけ0.1〜10重量%の量でワックス成分を含有する。
【0086】
用語「ワックス」は通常、以下の性質を有する天然のまたは人工的に得られる物質および物質混合物の全てを意味すると理解される:固体または脆くて硬いコンシステンシー、粗晶質または微晶質、透明または不透明、および分解を伴わない30℃より高温での溶融。僅かでも融点を超えると、ワックスは、低粘性となり、糸引きせず、温度に強く依存したコンシステンシーおよび溶解性を示す。本発明では、30℃以上で溶融する、1つのワックス成分またはワックス成分混合物を使用することができる。
【0087】
本発明では、ワックス様コンシステンシーを有する脂肪および脂肪様物質もまた、要求される融点を有するならば、ワックスとして使用できる。それらはとりわけ、脂肪(トリグリセリド)、モノグリセリドおよびジグリセリド、天然ワックスおよび合成ワックス、脂肪アルコールおよびワックスアルコール、脂肪酸、脂肪アルコールと脂肪酸のエステル、脂肪酸アミド、またはこれら物質の所望の混合物を包含する。
【0088】
脂肪は、トリアシルグリセロール、すなわち、脂肪酸とグリセロールとのトリプルエステルを意味すると理解される。それらは好ましくは、飽和、不飽和および非置換脂肪酸基を含有する。それらは混合エステル、すなわち、グリセロールと種々の脂肪酸とのトリプルエステルであってもよい。本発明で使用でき、コンシステンシー調整剤として特に適している物質は、部分硬化によって得られる、いわゆる硬化脂肪および硬化油である。植物性の硬化脂肪および硬化油が好ましく、それらの例は、硬化された、ヒマシ油、落花生油、大豆油、菜種油、セイヨウアブラナ油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、亜麻仁油、アーモンド油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、ココアバター、シアバターおよびヤシ脂肪である。
【0089】
とりわけ適しているものは、グリセロールとC12〜C60脂肪酸(特にC12〜C36脂肪酸)とのトリプルエステルである。これらは、硬化ヒマシ油、グリセロールとヒドロキシステアリン酸とのトリプルエステルを包含し、例えば、Cutina HRの商品名で市販されている。同様に適しているものは、ワックス成分または混合物の融点が30℃以上であるならば、グリセロールトリステアレート、グリセロールトリベヘネート(例えばSyncrowax HRC)、グリセロールトリパルミテート、またはSyncrowax HGLCの商品名で知られているトリグリセリド混合物である。
【0090】
本発明に従って使用できるワックス成分はとりわけ、モノグリセリド、ジグリセリド、またはこれら部分グリセリドの混合物である。本発明に従って使用できるグリセリド混合物は、Cognis Deutschland GmbH & Co. KG.によって市販されている製品である、Novata ABおよびNovata B(C12〜C18モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの混合物)およびCutina(登録商標)HVG(硬化植物性グリセリド)またはCutina(登録商標)GMS(ステアリン酸グリセリル)を包含する。
【0091】
ワックス成分として本発明に従って使用できる脂肪アルコールは、C12〜C50脂肪アルコールを包含する。脂肪アルコールは、天然の脂肪、油およびワックスから得ることができ、その例は、ミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコールまたはミリシルアルコールである。本発明では、飽和、非分岐脂肪アルコールが好ましい。しかしながら、要求される融点を有するならば、不飽和、分岐または非分岐脂肪アルコールを、ワックス成分として本発明に従って使用することもできる。本発明では、天然に存在する脂肪および油(例えば、牛脂、落花生油、セイヨウアブラナ油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム核油、亜麻仁油、ヒマシ油、コーン油、菜種油、ゴマ油、ココアバターおよびヤシ脂肪)の還元の際に調製される脂肪アルコールカットを使用することもできる。しかしながら、合成アルコール、例えば、チーグラー合成の偶数個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール(alfols(登録商標))またはオキソ合成の部分分岐アルコール(dobanols(登録商標))を使用することもできる。本発明において特に適しているものはC14〜C22脂肪アルコールであり、それらは、例えばCognis Deutschland GmbHによってLanette 16(C16−アルコール)、Lanette 14(C14−アルコール)、Lanette O(C16/C18−アルコール)およびLanette 22(C18/C22−アルコール)の商品名で市販されている。脂肪アルコールは、トリグリセリドより乾いた皮膚感覚を組成物にもたらすので、トリグリセリドより好ましい。
【0092】
使用できるワックス成分はまた、C14〜C40脂肪酸またはそれらの混合物である。それらは例えば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸およびエレオステアリン酸、および置換脂肪酸、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、および脂肪酸のアミドまたはモノエタノールアミドを包含する。このリストは例示であって特性を限定するものではない。
【0093】
本発明では、例えば、天然植物性ワックス、例として、カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、木蝋、エスパルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマワックス、米胚芽ワックス、サトウキビワックス、オウリカリーワックス、モンタン蝋、ヒマワリワックス、フルーツワックス、例えば、オレンジワックス、レモンワックス、グレープフルーツワックス、ヤマモモワックス、および、動物性ワックス、例えば、密蝋、セラック蝋、鯨蝋、羊毛蝋および尾羽脂を使用するができる。本発明において、硬化ワックスを使用することが有利であり得る。本発明で使用できる天然ワックスは、鉱蝋、例えばセレシンおよびオゾケライト、または石油化学ワックス、例えば、ペトロラタム、パラフィンワックスおよびマイクロワックスも包含する。ワックス成分として、化学変性ワックス、特に硬質ワックス、例えば、モンタンエステルワックス、サソールワックスおよび硬化ホホバワックスを使用することもできる。本発明に従って使用できる合成ワックスは、例えば、ワックス様ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスを包含する。本発明では、植物性ワックスが好ましい。
【0094】
ワックス成分はまた、飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸と飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールとのワックスエステルの群から、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸)と飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝アルコールとのエステルの群から、並びに長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチドの群から選択することができる。そのようなエステルの例は、C16〜C40アルキルステアレート、C20〜C40アルキルステアレート(例えば、Kesterwachs K82H)、ダイマー酸のC20〜C40ジアルキルエステル、C18〜C38アルキルヒドロキシステアロイルステアレートまたはC20〜40アルキルエルケートである。また、C30〜C50アルキル密蝋、クエン酸トリステアリル、クエン酸トリイソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、クエン酸トリラウリル、ジパルミチン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、エチレングリコールジ(12−ヒドロキシステアレート)、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、ベヘン酸ステアリル、セチルエステル、ベヘン酸セテアリルおよびベヘン酸ベヘニルを使用することもできる。
【0095】
ポリマーb−3)
本発明の1つの態様では、本発明の製剤は、少なくとも1種のポリマーを含有する。本発明の製剤は、製剤の総重量に基づいて、0〜20重量%、好ましくは0.05〜18重量%、好適には0.05〜15重量%、特に好ましくは0.05〜10重量%、とりわけ0.1〜1重量%の量でポリマーを含有する。本発明の好ましい態様では、本発明の製剤は、製剤の総重量に基づいて、0.1〜5重量%、特に0.1〜3重量%、とりわけ0.1〜2重量%の量でポリマーを含有する。
【0096】
適当なカチオン性ポリマーは、例えば以下である:カチオン性セルロール誘導体、例えばAmercholからPolymer JR 400(登録商標)の商品名で入手可能な四級化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとのコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンとの縮合生成物、四級化コラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Gruenau)、四級化小麦ポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとのコポリマー(Cartaretine(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(Merquat(登録商標)550/Chemviron)、ポリアミノポリアミド、カチオン性キチン誘導体、例えば場合により微晶質分布であってよい四級化キトサン、ジハロアルキレン(例えばジブロモブタン)とビスジアルキルアミン(例えばビスジメチルアミノ−1,3−プロパン)との縮合生成物、カチオン性グアーガム、例えば、Celanese社製のJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)C-16、並びに四級化アンモニウム塩ポリマー、例えば、Miranol社製のMirapol(登録商標)A-15、Mirapol(登録商標)AD-1、Mirapol(登録商標)AZ-1。
【0097】
適当なアニオン性、双性イオン性、両性および非イオン性のポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/イソボルニルアクリレートコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそれらのエステル、未架橋ポリアクリル酸およびポリオール架橋ポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/tert−ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマー、並びに任意に誘導体化されていてよいセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0098】
特に適当なアニオン性ポリマーは、INCI名Carbomerを有するアニオン性ポリマー、例えば、Carbopol grade 980、980、981、1382、2984、5984、並びにRheocare(登録商標)C plusおよびRheocare(登録商標)400の商品名で入手可能な製品である。別の適当なアニオン性ポリマーは、アクリレート/C10−30アルキルアクリレート架橋ポリマー(商品名:例えば、Pemulen(登録商標)TR、Pemulen(登録商標)TR 2、Carbopol(登録商標)Ultrez)、アクリレートコポリマー(商品名:例えば、Rheocare TTA、TTN、TTN-2)、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー(商品名:例えばCosmedia(登録商標)ATC)、ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:例えば、Cosmedia(登録商標)ATH、Cosmedia(登録商標)SP)、ポリアクリルアミド(商品名:例えば、Sepigel(登録商標)305またはSepigel(登録商標)501)のINCI名を有するアニオン性ポリマーである。好ましいアニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸ホモポリマーおよびポリアクリル酸コポリマーである。
【0099】
別の適当なポリマーは、シリコーンエラストマーガム、例えばシリコーンエラストマー混合物、例として、INCI名シクロペンタシロキサン(および)ジメチコノール(および)ジメチコン架橋ポリマーの混合物(商品名Dow Corning(登録商標)DC 9027)、INCI名イソデシルネオペンタノエート(および)ジメチコン/ビス−イソブチル PPG-20 架橋ポリマーの混合物(商品名Dow Corning(登録商標)DC EL 8051 IN)、INCI名ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマー(および)C12〜14 パレス−12の混合物(商品名Dow Corning(登録商標)DC 9509)、並びにINCI名ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマー(および)シリカ(商品名Dow Corning(登録商標)DC 9701 Cosmetic Powder)の混合物である。
【0100】
同様に適当なポリマーは、多糖類、特に、キサンタンガム、グアールガム、寒天、アルギネートおよびチロース、並びにタラガム、カラゲーニン、スクレロチウムガムおよび天然セルロースである。
【0101】
別の油体b−4)
例えばクリーム、ボディオイル、ローションおよびミルクのようなボディケア組成物は通常、官能特性の更なる最適化に寄与する、一連の別の油体およびエモリエントを含有する。油体(本発明の組成物および更なる油体)は、通常0.1〜80重量%、特に0.5〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、とりわけ1〜50重量%、特に1〜40重量%、好適には5〜25重量%、とりわけ5〜15重量%の総量で存在する。別の油体は、通常0.1〜40重量%の量で存在する。
【0102】
適当な別の油体は、例えば以下である:6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、および以下に示すエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケート。また、適しているものは、以下である:C18〜C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐C〜C22脂肪アルコールとのエステル、特にジオクチルマレート、直鎖および/または分岐脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)とのエステル、C〜C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C〜C18脂肪酸に基づく液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C〜C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C〜C12ジカルボン酸と2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物性油、分岐第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分岐C〜C22脂肪アルコールカーボネート、例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐C〜C22アルコールとのエステル(例えばFinsolv(登録商標)TN)、アルキル基1つあたり6〜22個の炭素原子を有する直鎖または分岐、対称または非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、ポリオールによるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、および炭化水素、またはそれらの混合物。例えばCetiol(登録商標)SenSoft(Cognis GmbH)の商品名で市販されているような、2−プロピルヘプタノールとn−オクタン酸とのエステルも適している。例えばウンデカンおよびトリデカンのような炭化水素も適している。アルカン、例えばINCI名ヤシ/パーム/パーム核油アルカンを有する混合物(Biosynthesis社の商品名Vegelight 1214)もまた適している。
【0103】
意外なことに、本発明の組成物が、油溶性結晶質紫外線保護フィルターを可溶化するのに特に適していることが見出された。
【0104】
本発明の1つの対象は、請求項1に記載の少なくとも1種の組成物および少なくとも1種の紫外線保護フィルター(好ましくは油溶性紫外線保護フィルター)を含んでなる組成物に関する。
【0105】
本発明によれば、適当な紫外線保護フィルターは、紫外線を吸収して、吸収したエネルギーをより長波長の放射線(例えば熱)として再び放出できる、室温で液体状または結晶性の有機物質(光保護フィルター)である。UVフィルターは、油溶性または水溶性であってよい。典型的な油溶性UV−Bフィルターまたは広域スペクトルUV A/Bフィルターの例を以下に挙げる:
【0106】
・3−ベンジリデンカンファーまたは3−ベンジリデンノルカンファー(Mexoryl SDS 20)およびその誘導体、例えばEP 0693471 B1に記載されているような3−(4−メチルベンジリデン)カンファー;
・3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート(Mexoryl SO);
・3,3’−(1,4−フェニレンジメチン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸)およびその塩(Mexoryl SX);
・3−(4’−スルホ)−ベンジリデンボルナン−2−オンおよびその塩(Mexoryl SL);
・N−{(2および4)−[2−オキソボルン−3−イリデン)メチル}ベンジル]アクリルアミドのポリマー(Mexoryl SW);
・2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(Mexoryl SL);
・4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、2−エチルヘキシル 4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−オクチル 4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、およびアミル 4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;
・桂皮酸エステル、好ましくは、2−エチルヘキシル 4−メトキシシンナメート、プロピル 4−メトキシシンナメート、イソアミル 4−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−フェニルシンナメート(オクトクリレン);
・サリチル酸エステル、好ましくは、2−エチルヘキシルサリチレート、4−イソプロピルベンジルサリチレート、ホモメンチルサリチレート;
・ベンゾフェノン誘導体、好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;
・ベンザルマロン酸エステル、好ましくはジ−2−エチルヘキシル 4−メトキシベンズマロネート;
・トリアジン誘導体、例えば、2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびEP 0818450 A1に記載されているような2,4,6−トリス[p−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)−アニリノ]−1,3,5−トリアジン(Uvinul T 150)、またはビス(2−エチルヘキシル)4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ベンゾエート(Uvasorb(登録商標)HEB);
・2,2−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(Tinosorb M);
・2,4−ビス[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb S);
・プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン;
・EP 0694521 B1に記載されているようなケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体;
・ジメチコジエチルベンザルマロネート(Parsol SLX)。
【0107】
適当な水溶性UVフィルターは以下である:
・2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム塩;
・2,2−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、モノナトリウム塩)(Neo Heliopan AP);
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩;
・3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)−ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸およびそれらの塩。
【0108】
本発明の好ましい態様では、製剤は、少なくとも1種の油溶性紫外線保護フィルターおよび少なくとも1種の水溶性紫外線保護フィルターを含有する。
【0109】
適当な典型的なUV−Aフィルターは特に、ベンゾイルメタン誘導体、例えば1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)、1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン、およびDE 19712033 A1(BASF)に記載されているようなエナミン化合物、並びに安息香酸 2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A plus)である。
【0110】
UV−AフィルターおよびUV−Bフィルターはもちろん、混合物として用いてもよい。特に好適な組み合わせは、桂皮酸エステル、好ましくは2−エチルヘキシル 4−メトキシシンナメートおよび/またはプロピル 4−メトキシシンナメートおよび/またはイソアミル 4−メトキシシンナメートと組み合わせた、ベンゾイルメタン誘導体、例えば4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)および2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−フェニルシンナメート(オクトクリレン)からなる。このタイプの組み合わせは有利には、水溶性フィルター、例えば、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム塩と組み合わせる。
【0111】
本発明の製剤は、不溶性光保護顔料、すなわち、微分散した金属酸化物および/または塩を含有することもできる。適当な金属酸化物の例は特に、酸化亜鉛および二酸化チタン、並びに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウム、セリウムの酸化物、およびそれらの混合物である。使用できる塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。スキンケアエマルションおよび皮膚保護エマルション並びに装飾用化粧品のための顔料として、酸化物および塩を使用する。その粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を有さなければならない。それらは球形を有してよいが、楕円形、または球形から幾分逸脱した形状を有する粒子を使用することもできる。顔料は、表面処理された状態、すなわち親水化状態または疎水化状態で存在することもできる。その典型例は、被覆された二酸化チタン、例えば、二酸化チタンT 805(Degussa)またはEusolex(登録商標)T、Eusolex(登録商標)T-2000、Eusolex(登録商標)T-Aqua、Eusolex(登録商標)AVO、Eusolex(登録商標)T-ECO、Eusolex(登録商標)T-OLEOおよびEusolex(登録商標)T-S(Merck)である。その典型例は、酸化亜鉛、例えば、酸化亜鉛neutral、酸化亜鉛NDM(Symrise)またはZ-Cote(登録商標)(BASF)またはSUNZnO-ASおよびSUNZnO-NAS(Sunjun Chemical Co. Ltd.)である。本発明における適当な疎水性被覆剤は、第一にシリコーン、具体的にはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンである。日焼け止め組成物では、いわゆるミクロ顔料またはナノ顔料を用いることが好ましい。微粉化された酸化亜鉛を使用することが好ましい。
【0112】
一次光保護物質の上記した2つの群に加えて、紫外線が皮膚に侵入した際に誘発される光化学反応連鎖を遮断する、酸化防止剤型の二次光保護剤を使用することも可能である。その典型例は以下である:非常に少ない許容量(例えばpmol〜mol/kg)での、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびそれらの誘導体、ペプチド、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えば、−カロテン、−カロテン、リコペン)およびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびそれらの誘導体、リポ酸およびそれらの誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、並びにそれらのグリコシルエステル、N−アセチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、アミルエステル、ブチルエステルおよびラウリルエステル、パルミトイルエステル、オレイルエステル、リノレイルエステル、コレステリルエステルおよびグリセリルエステル)並びにそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、並びにスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−チオニンスルホキシミン;そして、(金属)キレート剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびそれらの誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよびそれらの誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよびその誘導体(ビタミンAパルミテート)、およびベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびそれらの誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク酸、ノルジヒドログアヤレト酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、酸化スチルベン、トランス−酸化スチルベン)、並びに本発明に適したこれら特定の活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)。
【0113】
本発明の好ましい態様では、製剤は、4−メチルベンジリデンカンファー、ベンゾフェノン−3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、エチルヘキシルトリアゾンおよびジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート、3,3’−(1,4−フェニレンジメチン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸)およびその塩、3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オンおよびその塩、N−{(2および4)−[2−オキソボルン−3−イリデン)メチル}ベンジル]アクリルアミドのポリマー、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール、ジメチコジエチルベンザルマロネート、およびそれらの混合物からなる群から選択される紫外線保護フィルターの少なくとも1種を含有する。
【0114】
これらの紫外線保護フィルターは、例えば以下の商品名で市販されている:NeoHeliopan(登録商標)MBC(INCI:4−メチルベンジリデンカンファー、製造業者:Symrise);NeoHeliopan(登録商標)BB(INCI:ベンゾフェノン−3、製造業者:Symrise);Parsol(登録商標)1789(INCI:ブチルメトキシジベンゾイルメタン、製造業者:Hoffmann-La Roche(Givaudan));Tinosorb(登録商標)S(INCI:ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン);Tinosorb(登録商標)M(INCI:メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、製造業者:Ciba Specialty Chemicals Corporation);Uvasorb(登録商標)HEB(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、製造業者:3V Inc.);Uvinul(登録商標)T 150(INCI:エチルヘキシルトリアゾン、製造業者:BASF AG);Uvinul(登録商標)A plus(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、製造業者:BASF AG);Mexoryl(登録商標)SO(3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート、INCI:カンファーベンザルコニウムメトスルフェート);Mexoryl(登録商標)SX(3,3’−(1,4−フェニレンジメチン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸))、CTFA(INCI:テレフタリリデンジカンファースルホン酸);Mexoryl(登録商標)SL(3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オン、INCI:ベンジリデンカンファースルホン酸);Mexoryl(登録商標)SW(N−{(2および4)−[2−オキソボルン−3−イリデン)メチル}ベンジル]アクリルアミドのポリマー、INCI:ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー);Mexoryl(登録商標)SL(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール、INCI:ドロメトリゾールトリシロキサン);Parsol(登録商標)SLX(ジメチコジエチルベンザルマロネート、INCI:ポリシリコーン−15)。
【0115】
本発明の製剤は、製剤に基づいて、0.5〜30重量%、好ましくは2.5〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の量で紫外線保護フィルターを含有することができる。
【0116】
更なる成分
適当な増粘剤は、例えば、Aerosilグレード(親水性シリカ)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびベントナイト、例えばBentone(登録商標)Gel VS 5PC(Rheox)である。適当な増粘剤は例えば、Cosmedia(登録商標)Gel CCの商品名で入手可能な、INCI名ジカプリリルカーボネート、ステアラルコニウムヘクトライトおよびプロピレンカーボネートを有する製品である。
【0117】
生物起源活性物質は、例えば、トコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェロールパルミテート、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β−グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、疑似セラミド、精油、植物抽出物、例えば、プルーン抽出物、バンバラナッツ抽出物およびビタミン複合体を意味すると理解される。
【0118】
消臭活性成分/制汗剤は、体臭を中和するか、マスクするかまたは消す。体臭は、離出分泌発汗時に皮膚バクテリアが作用して、不快な臭いのする分解生成物が生成されることによって生じる。従って、抗菌剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気マスク剤がとりわけ消臭活性成分として適している。
【0119】
適当な虫除け剤は、例えば、N,N−ジメチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオール、またはMerck KGaAによってInsect Repellent(登録商標)3535の商品名で市販されている3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオン酸エチル、およびブチルアセチルアミノプロピオネートである。
【0120】
適当なセルフタンニング剤は、ジヒドロキシアセトンまたはエリトルロースである。メラミンの生成を防ぎ、かつ脱色組成物において使用される適当なチロシン阻害剤は、例えば、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマリン酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0121】
適当な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオール、クロルフェネシン、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセロールまたはソルビン酸、およびSurfacine(登録商標)の商品名で知られている銀複合体、並びにCosmetics OrdinanceのパートAおよびBの付録6に挙げられている別の物質類である。
【0122】
挙げることのできる香油は、天然および合成の香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針状葉および枝、樹枝およびバルサムからの抽出物である。更に、動物性原料、例えばシベットおよびカストリウム、並びにエステル型、エーテル型、アルデヒド型、ケトン型、アルコール型および炭化水素型の合成香料化合物も適している。
【0123】
特に界面活性剤含有組成物に使用するための、適当な真珠光沢ワックスまたは真珠光沢化合物は、例えば以下である:アルキレングリコールエステル、特にジステアリン酸エチレングリコール;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;任意にヒドロキシ置換されていてよい多塩基性カルボン酸とC6〜22脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;脂肪物質、例えば、合計で少なくとも24個の炭素原子を有する、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;ステアリルシトレート、シクロデキストリン、脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;C12〜22脂肪アルコールおよび/または2〜10個のヒドロキシル基を含有するC2〜15ポリオールによるC12〜22オレフィンエポキシドの開環生成物、並びにそれらの混合物。
【0124】
使用できる過脂化剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、ポリエトキシル化またはアシル化されたラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドのような物質であり、脂肪酸アルカノールアミドは、同時にフォーム安定剤として作用する。適当な過脂化剤は、例えば、ココグルコシドおよびオレイン酸グリセリルの混合物(Cognis GmbHからLamesoft(登録商標)PO65として市販)である。
【0125】
適当な充填剤は、例えば製剤の官能特性または化粧品特性を向上し、例えば滑らかさまたはすべすべした感覚を生じるかまたは増強する物質(いわゆる皮膚感覚改質剤)である。適当な充填剤は、デンプンおよびデンプン誘導体(例えば、タピオカデンプン、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、ナトリウムオクテニルスクシネート、リン酸二デンプン)、主としてUVフィルターまたは染料として作用しない顔料(例えば窒化ホウ素)および/またはAerosil(登録商標)(CAS No. 7631-86-9)、および/またはタルク、並びに例としてポリメチルメタクリレート(例えばCosmedia(登録商標)PMMA V8/V12)、シリカ(例えばCosmedia(登録商標)SILC)、ステアラルコニウムヘクトライト(市販製品Cosmedia(登録商標)Gel CCとして存在)、およびHDI/トリメチロールヘキシルラクトン架橋ポリマー(市販製品Cosmedia(登録商標)CUSHIONとして存在)である。
【0126】
使用できる安定剤は、脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸またはリシノール酸のマグネシウム塩、アルミニウム塩および/または亜鉛塩である。
【0127】
流動挙動を改善するために、ヒドロトロープを使用することもでき、その例は、エタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールである。本発明において適当なポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子と少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する。ポリオールは、更なる官能基、特にアミノ基を含有してもよいし、および/または窒素で変性されていてもよい。
【0128】
本発明の製剤および請求項1に記載の組成物は、身体を清浄にするためおよび/またはボディケアのために使用される汎用ワイプおよび衛生ワイプの湿潤または含浸または被覆のための、化粧品および/または医薬品に特に適している。
【0129】
例として挙げることのできる汎用ワイプおよび衛生ワイプは、衛生分野およびケア分野において使用される、ティシュー、紙材、ワイプ、不織製品、スポンジ、パフ、絆創膏および包帯である。これらは、乳幼児衛生およびベビーケアのためのウェットワイプ、清浄用ワイプ、フェイスクレンジングワイプ、スキンケアワイプ、皮膚老化に対抗する活性成分を含むケアワイプ、日焼け止め剤および虫除け剤を含むワイプ、装飾用化粧品のためのワイプ、日焼け後の手入れのためのワイプ、トイレ用ウェットワイプ、制汗用ワイプ、オムツ、ポケットティシュー、ウェットワイプ、衛生用品およびセルフタンニングワイプであってよい。
【実施例】
【0130】
(1)製造例
実験室における混合エーテルの合成
以下の規格品/市販品を用いて、合成を実施した。
Lorol(登録商標):「Lorol technical-grade」、下記鎖長分布を有するC12〜18脂肪アルコール:
C12 48〜58%
C14 18〜24%
C16 8〜12%
C18 11〜15%。
Lorol C8:1−オクタノール、少なくとも95%のC8脂肪アルコール
Lorol C10:1−デカノール、少なくとも94%のC10脂肪アルコール
ベヘニルアルコール(Stenol(登録商標)1822)、少なくとも42%のC22脂肪アルコールを含むn−ドコサノール。
イソステアリルアルコール(Prisorine(登録商標)3515)
使用した装置:
撹拌器、窒素導入口、水分離器を備えた1L容の四ッ口装置
【0131】
A)混合エーテル−C12〜C18脂肪アルコール/イソステアリルアルコール
バッチ:A(75/25)
I 225.0g Lorol(登録商標)technical grade(C12-C18脂肪アルコール)
II 75.0g Prisorine(登録商標)3515;Unichema(イソステアリルアルコール、C18-OH)
III 0.6g CF3SO3H(50%濃度)=2mmol(IおよびIIに基づいて0.1%AS)
IV 1.5g H3PO2(50%濃度)=11.4mmol
V 2.0g NaOH(50%濃度)=25mmol
【0132】
手順:
出発物質I〜IVを導入し、窒素を流通させ、220℃で1.5時間撹拌した。次いで、得られた反応生成物を、80℃で水酸化ナトリウム溶液(V)を用いて中和した。生じたオレフィンおよび未反応脂肪アルコールを除去するために、反応混合物を蒸留装置において200℃の塔底温度および0.1mbar未満の圧力で蒸留した。
続いて、精製および触媒塩除去のために、この中間体を、2%のTonsil Standard(6.0g;濾過助剤)と一緒に90℃で2時間撹拌し、ガラス製吸引濾過器によって、熱いうちに吸引濾過した。
【0133】
B)混合エーテル−C12〜C18脂肪アルコール/イソステアリルアルコール
バッチ:B(90/10)
I 450.0g Lorol(登録商標)technical grade(C12-C18脂肪アルコール)
II 50.0g Prisorine(登録商標)3515;Unichema(イソステアリルアルコール、C18-OH)
III 0.5g CF3SO3H(50%濃度)=1.7mmol
IV 2.5g H3PO2(50%濃度)=18.9mmol
V 3.17g NaOH(50%濃度)=39.6mmol
【0134】
手順:
出発物質I〜IVを導入し、窒素を流通させ、220℃で4時間撹拌した。得られた反応生成物を、50℃で水酸化ナトリウム溶液(V)を用いて中和し、混合物を200℃の塔底温度および0.1mbar未満の圧力で蒸留した。
続いて、精製のために、この中間体を、2%のTonsil Standard(10.0g)と一緒に90℃で2時間撹拌し、ガラス製吸引濾過器によって、熱いうちに吸引濾過した。
【0135】
C)混合エーテル−C12〜C18脂肪アルコール/ベヘニルアルコール/イソステアリルアルコール
バッチ:C(33.3/33.3/33.3)
I 160.0g Lorol(登録商標)technical grade(C12-C18脂肪アルコール)
II 160.0g Stenol(登録商標)1822 SR(ベヘニルアルコール)
III 160.0g Prisorine(登録商標)3515;Unichema(イソステアリルアルコール、C18-OH)
IV 0.48g CF3SO3H(50%濃度)=1.6mmol
V 2.4g H3PO2(50%濃度)=21.2mmol
VI 3.04g NaOH(50%濃度)=38mmol
【0136】
手順:
出発物質I〜Vを導入し、窒素を流通させ、220℃で4時間撹拌した。得られた反応生成物を、80℃で水酸化ナトリウム溶液(VI)を用いて中和し、混合物を200℃の塔底温度および0.1mbar未満の圧力で蒸留した。
続いて、精製のために、この中間体を、2%のTonsil Standard(9.6g)と一緒に90℃で2時間撹拌し、ガラス製吸引濾過器によって、熱いうちに吸引濾過した。
【0137】
D)混合エーテル−C12〜C18脂肪アルコール/ベヘニルアルコール/イソステアリルアルコール
バッチ:D(25/25/50)
I 125.0g Lorol(登録商標)technical grade(C12-C18脂肪アルコール)
II 125.0g Stenol(登録商標)1822 SR(ベヘニルアルコール)
III 250.0g Prisorine(登録商標)3515;Unichema(イソステアリルアルコール、C18-OH)
IV 0.50g CF3SO3H(50%濃度)=1.7mmol(I、IIおよびIIIに基づいて0.05%)
V 2.5g H3PO2(50%濃度)=18.9mmol
VI 3.16g NaOH(50%濃度)=39.5mmol
【0138】
手順:
出発物質I〜Vを導入し、窒素を流通させ、220℃で4時間撹拌した。得られた反応生成物を、80℃で水酸化ナトリウム溶液(VI)を用いて中和し、混合物を200℃の塔底温度および0.1mbar未満の圧力で蒸留した。
20.1gを留去し、461.0gの中間体を得た。
続いて、精製のために、この中間体を、2%のTonsil Standard(10.0g)と一緒に90℃で2時間撹拌し、ガラス製吸引濾過器によって、熱いうちに吸引濾過した。
反応生成物の分析により、約96%GC(CT−CP)の純分含量を有することが分かった。
【0139】
E)混合エーテル−C12〜C18脂肪アルコール/ベヘニルアルコール/イソステアリルアルコール
バッチ:E(50/16.7/33.3)
I 225.0g Lorol(登録商標)technical grade(C12-C18脂肪アルコール)
II 75.0g Stenol(登録商標)1822 SR(ベヘニルアルコール)
III 150.0g Prisorine(登録商標)3515;Unichema(イソステアリルアルコール、C18-OH)
IV 0.45g CF3SO3H(50%濃度)=1.5mmol
V 2.25g H3PO2(50%濃度)=17mmol
VI 2.85g NaOH(50%濃度)=35.6mmol
【0140】
手順:
出発物質I〜Vを導入し、窒素を流通させ、220℃で4時間撹拌した。得られた反応生成物を、80℃で水酸化ナトリウム溶液(VI)を用いて中和し、混合物を200℃の塔底温度および0.1mbar未満の圧力で蒸留した。
続いて、精製のために、この中間体を、2%のTonsil Standard(9.0g)と一緒に90℃で2時間撹拌し、ガラス製吸引濾過器によって、熱いうちに吸引濾過した。
【0141】
F)混合エーテル−C12〜C18脂肪アルコール/ベヘニルアルコール/イソステアリルアルコール
バッチ:F(70/5/25)
I 280.0g Lorol(登録商標)technical grade(C12-C18脂肪アルコール)
II 20.0g Stenol(登録商標)1822 SR(ベヘニルアルコール)
III 100.0g Prisorine(登録商標)3515;Unichema(イソステアリルアルコール、C18-OH)
IV 0.4g CF3SO3H(50%濃度)=0.05mmol
V 2.0g H3PO2(50%濃度)=15.2mmol
VI 2.52g NaOH(50%濃度)=31.6mmol
【0142】
手順:
出発物質I〜Vを導入し、窒素を流通させ、220℃で4時間撹拌した。得られた反応生成物を、80℃で水酸化ナトリウム溶液(VI)を用いて中和し、混合物を200℃の塔底温度および0.1mbar未満の圧力で蒸留した。
続いて、精製のために、この中間体を、2%のTonsil Standard(8.0g)と一緒に90℃で2時間撹拌し、ガラス製吸引濾過器によって、熱いうちに吸引濾過した。
【0143】
G)混合エーテル−C12〜C18、C8、C10脂肪アルコール/ベヘニルアルコール/イソステアリルアルコール
バッチ:G(25/25/25/12.5/12.5)
I 50.0g Lorol(登録商標)C8(1-オクタノール)
II 50.0g Lorol(登録商標)C10(1-デカノール)
III 100.0g Lorol(登録商標)technical grade(C12-C18脂肪アルコール)
IV 100.0g Stenol(登録商標)1822 SR(ベヘニルアルコール)
V 100.0g イソ-C18-OH(Prisorine(登録商標)3515;Unichema)イソステアリルアルコール
VI 0.4g CF3SO3H(50%濃度)=1.3mmol
VII 2.0g H3PO2(50%濃度)=15.2mmol
VIII 2.52g NaOH(50%濃度)=31.6mmol
【0144】
手順:
出発物質I〜VIIIを導入し、窒素を流通させ、220℃で4時間撹拌した。得られた反応生成物を、80℃で水酸化ナトリウム溶液(VIII)を用いて中和し、混合物を150℃の塔底温度、94℃の蒸気温度(生成留出物の均一な値)および0.1mbar未満の圧力で蒸留した。11.8gを留去し、365.5gの中間体を得た。
続いて、精製のために、この中間体を、2%のTonsil Standard(8.0g)と一緒に90℃で2時間撹拌し、ガラス製吸引濾過器によって、熱いうちに吸引濾過した。
反応生成物の分析により、約96.5%GC(CT−CP)の純分含量を有することが分かった。
【0145】
(2)組成物および官能試験
混合エーテルの適用性を、1%のCosmedia(登録商標)SP(ポリアクリル酸ナトリウム)、10%のCetiol(登録商標)LC(ココカプリレート/カプレート)および3%のグリセロールを含有する化粧品において調べた。混合エーテルおよび/またはワセリンの使用濃度は、それぞれの場合において6%であった。
【0146】
【表2.1】
【0147】
化粧品においてワセリンと比較した官能試験:
5人の被験者が、所定の基準に従って、組成物の官能特性を評価した。ワセリン含有組成物を比較の標準品とした(+は、1人の被験者の評価を示す)。
バッチDの混合エーテルを含有する試料(組成物F−D)は、ワセリン含有組成物と同程度の官能特性を示した。特に、標準品と比べて、組成物F−Dは、有意により迅速に皮膚に吸収され、幾分より乾いた感覚が認められた。
【0148】
【表2.2】
【0149】
(3)界面活性剤含有系における使用
混合エーテルの適用性を、16.1%のTexapon(登録商標)N70(ラウレス硫酸ナトリウム2EO)、11.1%のDehyton(登録商標)PK45(コカミドプロピルベタイン)、2.15%のComperlan(登録商標)CMEA(コカミドMEA)、4%のヒマワリ油、4%のEdenor(登録商標)C12(ラウリン酸)、0.2%のDehyquart(登録商標)GUAR N(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、0.2%のEDTA BD、0.5%のグリセロール、0.5%の安息香酸ナトリウムおよび1.2%のクエン酸を含んでなる界面活性剤含有組成物において調べた。混合エーテルおよび/またはワセリンの使用濃度は、それぞれの場合において4%であった。
【0150】
【表3.1】
【0151】
発泡特性
30℃および15°のドイツ硬度で、1%濃度溶液において、Sita Rotorfoam測定装置を用いて、発泡特性を測定した。2種の混合エーテル含有組成物の30秒後の初期発泡特性は、ワセリン含有組成物と同程度であった。後続過程において、混合エーテル含有組成物のフォーム量はやや増加したが、ワセリン含有組成物のフォーム量は一定のままであった。
【0152】
【表3.2】
【0153】
(4)吸蔵性
TEWL(経皮水分喪失量)を測定することによって、混合エーテルの吸蔵性を調べた。
蒸気圧計法を用いて、皮膚の水分蒸散率の低下を介して吸蔵効果を調べた。このため、温湿度制御環境中で、2つの測定用プローブを用いて、油状物で処理した前腕皮膚または油状物で処理していない前腕皮膚の上方の水蒸気勾配を測定し、これから皮膚の水分蒸散率を調べた。
【0154】
陽性標準品としてワセリンを使用し、陰性標準品としてIPMを使用した。試料は、吸蔵性に関して以下のように分類された。
1.ワセリン − 明らかにまたは強力に吸蔵
2.混合エーテルバッチD − 中程度にまたは強力に吸蔵
3.混合エーテルバッチG − 中程度にまたは強力に吸蔵
4.IPM−CE92010016 − 明らかにまたは僅かに吸蔵
調べた混合エーテルはいずれも、強力な吸蔵性を示した。従って、ワセリン代替物として非常に適当であることが分かった。