特許第6290140号(P6290140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6290140注意喚起用保安部品及び注意喚起用保安部品が取り付けられた道路防護施設
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290140
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】注意喚起用保安部品及び注意喚起用保安部品が取り付けられた道路防護施設
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/60 20160101AFI20180226BHJP
   E01F 9/654 20160101ALI20180226BHJP
   E01F 13/00 20060101ALI20180226BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20180226BHJP
   E01F 15/06 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   E01F9/60
   E01F9/654
   E01F13/00 301
   E01F15/04 A
   E01F15/04 B
   E01F15/06 A
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-130418(P2015-130418)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-14747(P2017-14747A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2015年12月21日
【審判番号】不服2016-15202(P2016-15202/J1)
【審判請求日】2016年10月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028155
【氏名又は名称】株式会社山辰組
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 和三
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 健
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 剛
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 西田 秀彦
【審判官】 前川 慎喜
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−144689
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F9/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガードレール、ガードパイプ、バリケード又は鋼管で作製された防護柵等の略水平方向に設置されている道路防護施設に取り付けて注意喚起を行う注意喚起用保安部品において、
前記注意喚起用保安部品は、中空の本体からなり、円錐、角錐、円柱又は多角柱若しくは人間、動物、自然物又は人工物を象った立体看板であり、
かつ外周又は側面部の一部に切り込み状に略垂直方向に形成され、上方側の末端又は途中に略円形、長孔、楕円形又は多角形に切り欠かれた開口部が設けられており、前記道路防護施設の一部を挿入して開口部に配置し嵌め込むことで、閉じることができる道路防護施設等に取り付けるための複数の道路防護施設用挿入溝が設けられた本体を有していることを特徴とする注意喚起用保安部品。
【請求項2】
請求項1に記載の注意喚起用保安部品において、
前記注意喚起用保安部品は、さらに前記本体の下端部に台座を備えていることを特徴とする注意喚起用保安部品。
【請求項3】
前記台座は、道路防護施設用挿入溝を備えていることを特徴とする請求項2に記載の注意喚起用保安部品。
【請求項4】
前記台座は、着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の注意喚起用保安部品。
【請求項5】
前記道路防護施設用挿入溝の端部には回動用蝶番が備えられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の注意喚起用保安部品。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の注意喚起用保安部品において、
さらに、道路防護施設に取り付けた後に、前記注意喚起用保安部品の形状を支持する外周支持部材を備えていることを特徴とする注意喚起用保安部品。
【請求項7】
前記注意喚起用保安部品は、反射材又は照明器具を備えている、又は照明器具取付部を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の注意喚起用保安部品。
【請求項8】
前記注意喚起用保安部品に設けられた前記道路防護施設用挿入溝が開くことを防止するための挿入溝固定部材を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の注意喚起用保安部品。
【請求項9】
前記注意喚起用保安部品の内側又は外側又はその両方の道路防護施設に注意喚起用保安部品の移動を防止する移動防止部材を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の注意喚起用保安部品。
【請求項10】
前記注意喚起用保安部品の表面には、文字、記号、画像のいずれか又はその組合せによる表現が掲載されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の注意喚起用保安部品。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の注意喚起用保安部品が取り付けられた道路防護施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意喚起用保安部品及び注意喚起用保安部品が取り付けられた道路防護施設に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故を軽減するため、様々の道路保安用の注意喚起用保安部品が提案されてきた。仮設タイプの注意喚起保安部品は、道路に直接脚部を広げて自立させるタイプや、いわゆるコーンのように、全体として円錐状に形成されて、そのまま路面に自立するタイプのものがある。この自立タイプの注意喚起用保安部品は、人や車に接触することで倒れたり、風で倒れたりするという問題点があった。そのため、風の強い場所や人や車に接触する可能性のある場所では、歩車道境界ブロック、ガードレール、ガードパイプ又は転落防止柵などの防護施設に取付金具などを用いて固定する必要があった。このため、これら固定するタイプの注意喚起用保安部品は取付金具と共に運搬・収納するため嵩張り、取付け作業も長い時間を要していた。
【0003】
また、路面設置型のコーンタイプの注意喚起保安部品を設置する場合には、歩道と車道がある道路で工事を行う際に、例えば、車道を切削して舗装を施工するような場合、歩道は開放して歩行者を通行させなければならない。反対の場合も車道は一般車両を通行させなければならない。このような場合には歩車道境界ブロックを固定している基礎コンクリート部(通称エプロンと称す)に歩車道境界ブロックを跨ぐようにA型バリケードなどを設置して、作業員と一般歩行者双方に注意喚起のための保安施設を設けて作業を行う。
施工箇所が車道の場合はフィニッシャーやローラーなどの重機が稼働しているため、作業員は危険防止のため車道には入らず歩車道境界ブロックの基礎コンクリート部の上を移動しながら作業を行う。そのため保安施設のバリケードが作業の邪魔になるので作業している箇所のバリケードを外して移動しながら作業を行うこととなるが、バリケードをその度毎に移動しながらの作業は面倒な作業が増えることとなる。そこで、軽量なコーンを使用しようとするが、歩車道境界ブロックの上は安定が悪く設置に向かない。また、歩車道境界ブロックの横では幅をとりすぎるため、歩道側は歩行者の邪魔になり、車道側は作業員の邪魔になる課題が解決できなかった。そこで、軽量なコーンを歩行者にも作業員にも邪魔にならないように設置できるコーンを考案し課題を解決した。
【0004】
また、歩車道境界ブロック、ガードレール、ガードパイプ、転落防止柵、鋼管などの道路防護施設には反射板やデリネータなどが取り付けられて、保安施設と併せて夜間における路側や交差点の表示を明確にしようとしている。また、道路防護施設等が設置していない道路の路肩には、デリネータが単独で設置されているが支柱が細く視認性が低い。道路防護施設等に設置してある反射板やデリネータが道路防護施設に比べて小さいうえ、昼間は反射板やデリネータなどは反射しないため道路防護施設の視認性が悪く交差点や路肩の位置がわかりにくい状態となっていた。また夜間においても道路防護施設の視界内の割合に比べて反射板やデリネータなどの割合が小さいため、路側や交差点の確認には十分ではなかった。そこで、従来の反射板やデリネータの形状を大きくして形状も工夫した反射板やデリネータが開発されたがあまりにも高価なものであった。そこで反射材やデリネータよりはるかに大きく軽量で安価なコーンを保安施設に取付けることでドライバーからの夜間のみならず昼間においても路側や交差点の視認性を高める効果が得られるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2006−214363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、歩車道境界ブロック、ガードレール、ガードパイプ、バリケード又は鋼管等の道路防護施設に取り付けて、ドライバーや歩行者に注意を喚起することができる注意喚起用保安部品を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明にかかる注意喚起用保安部品は、デリネータ、カーブミラー、車止め、道路標識、歩車道境界ブロック、ガードレール、ガードパイプ、バリケード又は鋼管等(以下、「道路防護施設等」と称する)に取り付けて注意喚起を行う注意喚起用保安部品において、
外周又は側面部に道路防護施設等に取り付けるための道路防護施設用挿入溝が設けられた本体を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる注意喚起用保安部品は、道路防護施設等に取り付けるための道路防護施設用挿入溝が外周面に1ヶ所又は複数ヶ所設けられおり、道路防護施設等を道路防護施設用挿入溝に嵌め込むだけで迅速かつ容易に道路防護施設等に設置することができる。道路防護施設用挿入溝が1カ所の注意喚起用保安部品は、道路防護施設用挿入溝の末端の開口部が水平方向に設けられており、主として鉛直方向に立て込んである道路防護施設等の支柱等の一部を注意喚起用保安部品の道路防護施設用挿入溝から嵌め込んで取付ける使用方法をとる。また、複数ヶ所の道路防護施設用挿入溝が設けられた注意喚起用保安部品は主に水平方向に設置されている道路防護施設等に取り付けて注意喚起を行う。それぞれ設置された注意喚起用保安部品は、道路防護施設等を正面及び斜めから見た場合、視界内に占める割合が非常に少ない反射材やデリネータ単体とは異なり、視界内に注意喚起用保安部品の占める割合が圧倒的に増大した。これにより昼間において反射材やデリネータが反射しなくても交差点や路肩の視認性が高まる効果が大きくなる。また地面ではなく、道路防護施設等の上方側や中間部などの比較的高い位置に設置することができるため、歩行者には目線に近い位置となり、運転手にとっては注意喚起用保安部品に近づいても車内からの視界に隠れない高さであるため目立ちやすい位置となるため、視認性を高めて設置できる保安部品とすることができる。また、設置する場所が道路防護施設等の上方及び中間部で道路上に設置するものではないため、注意喚起用保安部品に「この先交差点」、「この先一旦停止」、「〇〇商店」などと文字を記載しても、視線に近いため読みやすい。また、直接地面に接地するものではないため、通行者や道路工事等の作業者の邪魔になることを防止することができる。
【0010】
また、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記道路防護施設用挿入溝は、末端に円形、楕円形又は多角形等に切り抜かれた開口部が設けられていることを特徴とするものであってもよい。末端に開口部を設けることによって、道路防護施設等の一部をこの位置に配置することで、道路防護施設用挿入溝を閉じることができるので、道路防護施設等に取り付けた注意喚起用保安部品が落下したり、外れたりする可能性を低減することができる。
【0011】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記注意喚起用保安部品は、さらに前記本体の下端部に道路防護施設用挿入溝を備えた台座を備えていることを特徴とするものであってもよい。また台座を備えることによって、注意喚起用保安部品の下端の形態を保持しやすくなり、下方側が潰れたりすることを低減することができる。また、
台座を備えることによって、路面にも直接設置することが可能となるため、ロードコーンやパイロンとして使用することもできるようになる。
【0012】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記本体台座は、着脱可能に設けられていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、
通常はロードコーンやパイロンとして使用することができ、道路防護施設等の注意喚起用保安部品として使用する場合には、適宜台座部を取り付けたり、取り外したりして使用することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかる注意換気用保安部品において、前記台座は、道路防護施設用挿入溝が設けられていないことを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、道路防護施設等の注意喚起用保安部品として使用する場合には台座部を外して使用し、ロードコーンとして使用する場合には、台座を取り付けて使用することによって、台座部の下端の形態が安定するので、安定したロードコーンとすることができる。
【0014】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記道路防護施設用挿入溝の端部には回動用蝶番が備えられていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、道路防護施設用挿入溝を開くことができるようになるので、道路防護施設等に取り付けやすくすることができる。
【0015】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記注意喚起用保安部品は、円錐、角錐、円柱又は多角柱に作製されていることを特徴とするものであってもよい。既に市販されているロードコーン又はパイロンを利用して本発明にかかる注意喚起用保安部品を作製することもできる。
【0016】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、道路防護施設等に取り付けた後に、前記注意喚起用保安部品の形状を支持する外周支持部材を備えていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、注意喚起用保安部品の形態の安定性を保つことができ、かつ道路防護施設等に強固に固定することができ、注意喚起用保安部品が衝撃や風によって落下したり、外れたりする可能性を低減することができる。
【0017】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記本体は、板形に作製されていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、標識又は看板としての機能をも付加することができる。
【0018】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記注意喚起用保安部品は、反射材又は照明器具を備えているか、又は照明器具取付け部を備えていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、夜間等により目立ちやすい注意喚起用保安部品とすることができる。
【0019】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記注意喚起用保安部品に設けられた道路防護施設用挿入溝の口が開くことを防止するための挿入溝固定部材を備えていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、注意喚起用保安部品が衝撃や風によって落下したり、外れたりする可能性を低減することができる。
【0020】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、前記注意喚起用保安部品の本体部は、人間、動物、その他自然物、人工物等を象ったものであることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、立体看板としての機能を付与することができる。
【0021】
さらに、本発明にかかる注意喚起用保安部品において、注意喚起用保安部品の内側又は外側又はその両方の道路防護施設等に注意喚起用保安部品の移動を防止する移動防止部材を有することを特徴とするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100を道路防護施設等に取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の道路防護施設用挿入溝11のバリエーションを示す模式図である。
図4図4は、第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の道路防護施設用挿入溝11のさらなるバリエーションを示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の本体に台座50を設けた変形例を示す斜視図である。
図6図6は、第2実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の斜視図である。
図7図7は、第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の斜視図である。
図8図8は、第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の変形例を示す斜視図である。
図9図9は、第4実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の注意喚起用保安部品及び注意喚起用保安部品が取り付けられた道路防護施設等について、図面に基づいて、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。
【0024】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100が図1に示されている。図1は、第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の構成の概略を示す斜視図である。
【0025】
第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、下方が開放された略円錐形の中空の本体10からなる。本体10の外周面には1ヶ所又は複数個所の道路防護施設用挿入溝11が略垂直方向に形成されており、道路防護施設等200の一部を道路防護施設用挿入溝11に嵌め込むだけで迅速かつ容易に道路防護施設等に設置することができる。道路防護施設用挿入溝11が1カ所の注意喚起用保安部品100は防護施設用挿入溝の末端の開口部12が略水平方向に設けられており、主として鉛直方向に立て込んである道路防護施設等200の支柱等の一部を道路防護施設用挿入溝から嵌め込んで取付ける使用方法をとる。また、複数ヶ所の道路防護施設用挿入溝11が設けられた注意喚起用保安部品100は(反対側の道路防護施設用挿入溝11は図示しない。)主に略水平方向に設置されている道路防護施設等200に取り付けて注意喚起を行う。本実施形態にかかる道路防護施設用挿入溝11は、その上方側の末端及び途中に略円形に切り抜かれた水平方向又は外周面に沿って開口部12を有している。なお、第1実施形態では、この開口部12は、鋼管に取り付けるために略円形に形成されているが、取り付ける道路防護施設等200(図2参照)の形態に合わせて随時変更することができる。また、本体10の側面には、車両の運転手や歩行者に注意を喚起するために反射材20が貼り付けてある。注意喚起手段としては、反射材20を貼り付ける他に、反射剤を塗布したり、又は自光型の発光装置を取り付けたりしてもよい。
【0026】
注意喚起用保安部品100を作製するには、注意喚起用保安部品専用の型を使用して作製してもよいが、既知のいわゆる円錐形ロードコーンを作製するための金型を利用して、中子型等を取り付けて製作してもよい。また、完成したロードコーンを切断して作製してもよい。
【0027】
以上のようにして作製された注意喚起用保安部品100は、図2に示すように、道路防護施設用挿入溝11を挟みこむようにして、道路防護施設等200(第1実施形態においては、鋼管で作製された防護柵に取り付けた状態を示している。)に取り付けることによって、道路防護施設等200の上方や中間部などに注意喚起用の表示を設置することができる。これにより、地面より高い位置で、昼間においても歩行者や運転手に道路防護施設等200が存在することを認知させる視認性を高めることができる。
【0028】
道路防護施設等200に取り付けられた注意喚起用保安部品100は、開口部12に道路防護施設等200の一部(本実施形態では防護柵の鋼管)が配置されることによって、上下方向の位置決めがなされて、上下方向への移動が防止される。一方、道路防護施設等に対して垂直方向かつ水平方向(図2の矢印方向)には、道路防護施設用挿入溝11で位置決めされるので、この方向への移動も防止される。したがって、道路防護施設等200に取り付けられた注意喚起用保安部品100は、上下左右のいずれの方向にも位置決めされることになる。そのため、取り付けた状態で堅固に固定され、外れたり、落下したりする可能性を低減することができる。一方で、前後方向には、容易に移動可能であり、前後方向の取付け位置は容易に調整することができる。調整した後には、図1に示すように道路防護施設等に注意喚起用保安部品100の移動を防止する移動防止部材60を設けることで、注意喚起用保安部品100の前後方向、すなわち、道路防護施設等200上を水平方向にスライド移動することを防止することができる。
【0029】
さらに、注意喚起用保安部品100の道路防護施設等200へ確実に固定するために、図2に示すように、道路防護施設用挿入溝11の下方で溝の両側を固定する挿入溝固定部材30を設けるとよい。挿入溝固定部材30は特に限定するものではなく種々のものを使用することができる。挿入溝固定部材30によって、道路防護施設用挿入溝11が隔開することが防止されることで、落下のおそれを低減することができる。
【0030】
さらに、図2に示すように、輪状又はC形状の形態をした外周固定部材30aを側面方向から取り付けても良い。このような外周固定部材30aを取り付けることによって、注意喚起用保安部品100の水平断面の形態が変形されることが防止され、外周支持部材として機能し、注意喚起用保安部品100の形態が安定し道路防護施設等200から外れることを防止することができる。また、この外周固定部材30aはC形状をしたものを表したが、ベルト状、バンド状、輪ゴム状など側面方向や上下方向の何れの方向から取付けることができるのであれば良い。
【0031】
このように第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100によれば、道路防護施設等200に挟みこむように取り付けるだけで、昼間においても視覚上で注意喚起用保安部品100の占める割合が大きく増大し視認性が高まる。また、大きな反射面積を有する注意喚起用保安部品100を道路防護施設等200に設置することができるため夜間に於ける視認性も大幅に増大するため、本実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、大きな反射面積を有するので、車両の運転者及び歩行者に対して、高い視認性を有し注意喚起能力を発揮する道路防護施設等200とすることができる。
【0032】
さらに、道路防護施設等200に直接取り付けるので、従来の路面設置型タイプのように路面を妨げることがなく、歩行者や作業者にとって邪魔になることもなく風に飛ばされる割合が極端に減少した。これにより工事現場などにおいて風でとばされ散乱した注意喚起用保安部品に通行車両が接触したり、踏み潰したりといった事例がなくなった。
【0033】
なお、前述した注意喚起用保安部品100は、この形態に限定するものではなく、種々変形して使用することができる。以下その変形例について述べる。
【0034】
上述した注意喚起用保安部品100は、全体形状が略円錐形の形態のものを使用したが、勿論これに限定するものではなく、多角錐形であってもよいし、円柱状又は角柱状であってもよい。また、人間、動物、その他自然物、人工物等を象ったものであってもよい。
【0035】
また、注意喚起用保安部品の表面には、文字、記号、画像のいずれか又はその組合せによる表現が掲載されているものであってもよい。
【0036】
上述した道路防護施設用挿入溝11の形態は、上述した形態に限定するものではなく、種々の形態を採用することができる。例えば、図3Aに示すように、直線の切込み部又は切欠き部の末端にのみ1つの円形の開口部12を設けても良いし、図3Bのように、複数個以上の開口部12を設けてもよい。また、必ずしも円形である必要はなく、図3Cのように長孔からなる開口部12を設けても良い。その他の様々な形態、例えば多角形(図示しない。)等であってもよい。また、鉛直方向に建て込まれた支柱などに嵌め込む場合は、図3Dに示すように、道路防護施設用挿入溝11は1カ所で注意喚起用保安部品100の下から最頂部に至り設けてあり、最頂部で開口部12を水平方向に設けると良い。例えば図4Aに示すように鉛直方向に建て込まれたデリネータ(道路防護施設等200)の支柱に嵌め込むことができる。この際に、取り付け位置を調整可能なように注意喚起用保安部品の内径に引っ掛かる大きさの移動防止部材60を道路防護施設等に設けることによって、任意の高さの位置に固定することができるようになる。さらに、取り付けられる道路防護施設等200に合わせてその断面形状を作製してもよい。例えば、図4Bに示すように、道路防護施設等200としてガードレール201に取り付ける場合には、ガードレール201の断面形態に合わせて道路防護施設用挿入溝11を作製してもよい。
【0037】
また、上述した本体10には、図5に示すように外周固定部材31又は台座50を設けてもよい。この外周固定部材31又は台座50を設けることによって、本体10の下端部の形態を保持しやすくなり、下端部が潰れたりする可能性を低減することができる。下端部の形態を保てるようにすることで、注意喚起用保安部品100の開口部12が道路防護施設等200から外れる可能性を低減することができる。また、台座50を設けることによって、道路に直接配置するロードコーンやパイロンとして使用することもできる。この台座50は、着脱自在に設けても良い。着脱自在に設けることによって、道路防護施設等の注意喚起用保安部品100として使用する場合には、台座50を取り外して使用し、ロードコーンとして使用する場合には台座50を取り付けて下方側が変形しないようにして使用することができる。
【0038】
(第2実施形態)
図6には、第2実施形態にかかる注意喚起用保安部品100が図示されている。第2実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、歩車道境界ブロック202に取り付けるタイプのものである。この第2実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、図6に示すように、歩車道境界ブロック202の垂直断面の形態に合わせて下端が略四角形に大きく切り欠かれた道路防護施設用挿入溝11が形成されている。このような道路防護施設用挿入溝11を形成することによって、歩車道境界ブロック202の上方から跨ぐように載置することで、周辺断面を侵すことなく通行者の邪魔にならず歩車道の境界を明示し視認性を高めて設置することができる。
【0039】
道路防護施設用挿入溝11には、歩車道境界ブロック202の上面を支持するため、上端から水平に延設する支持片16が設けられている。この支持片16を設けることによって、注意喚起用保安部品15が前後方向に可倒することを防止することができる。また、この支持片16の下方部分に接着剤、ボルト等固定部材を使用して歩車道境界ブロック202に固定することもできる。また、歩車道境界ブロックの車道と反対側の歩道側などに花壇や植樹帯が設けられている場合などは、歩車道境界ブロックの天端まで盛土が施工されている場合が多い。この場合は略四角形に大きく切り欠かれた道路防護施設用挿入溝11の車道側だけ残した挿入溝として(図示しない)支持片16の下方部分に接着剤などを塗布し歩車道境界ブロック202に固定することもできる。
【0040】
なお、注意喚起用保安部品100をより確実に歩車道境界ブロック202に固定するために、第1実施形態と同様に輪状の形態をした錘41を設けてもよいし、図6に示すように、歩車道境界ブロック202に水平に設けられた排水用の孔201aを利用して道路防護施設用挿入溝11の両側にある本体を固定することができる固定部材31の挿入孔31aに固定部材31を挿入して固定してもよい。
【0041】
こうして作製された第2実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、歩車道境界ブロック202の上方に通行者の邪魔にならない位置で通行者に注意を喚起可能な表示として配置することができる。
【0042】
(第3実施形態)
第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100が図7に示されている。この第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、板状に形成されている点が第1実施形態又は第2実施形態と異なる。
【0043】
第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、本体が板状の看板で作製されており、この板状の看板の一部に道路防護施設用挿入溝11が形成されている。したがって、この道路防護施設用挿入溝11に道路防護施設等200を嵌め込むことによって、注意喚起用保安部品100を道路防護施設等200に取り付けることができる。
【0044】
第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、図7に示すように、任意に、背面に注意喚起用保安部品100が可倒するのを防止するため、背面側に脚部材からなる可倒防止部材70を設けてもよい。
【0045】
このように、第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100によれば、板状の看板タイプの注意喚起用保安部品100を道路防護施設等に取り付けることができるので、よりメッセージ性の高い注意喚起を行なう保安部品とすることができる。
【0046】
なお、第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100において、図8に示すように、人間を模した形態をした注意喚起用保安部品のように、人間、動物、その他自然物、人工物等を象ったものであってもよい。
【0047】
(第4実施形態)
第4実施形態にかかる注意喚起用保安部品100が図9に示されている。第4実施形態にかかる注意喚起用保安部品100は、道路防護施設用挿入溝11の端部に回動用蝶番90が備えられている点が第1実施形態又は第3実施形態と異なる。図9Aが第1実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の円錐形の頂点に回動用蝶番90を設けたものであり、図9B及び図9Cが第3実施形態にかかる注意喚起用保安部品100の上端部分に回動用蝶番90を設けたものと、道路防護施設用挿入溝11の端部に回動用蝶番90を設けたものである。道路防護施設用挿入溝11を固定するための挿入溝固定部材30を設けることで取付けが安定する。
【0048】
第1実施形態から第3実施形態における注意喚起用保安部品100の道路防護施設用挿入溝11は、力づくで強引に溝を広げるといった場合以外は、基本的に道路防護施設用挿入溝11の溝の幅は変化しない。そのため、溝の幅が取り付けられる道路防護施設等200より狭い場合には、取り付ける場合に注意喚起用保安部品100の道路防護施設用挿入溝11の幅以上に広げる労力が必要となる可能性がある。
【0049】
この第4実施形態では、図9に示すように、回動用蝶番90が設けられているので、道路防護施設用挿入溝11の幅を変更することができ、容易に道路防護施設等200へ取り付けることができる。取り付けた後は、挿入溝固定部材30によって固定することにより、道路防護施設用挿入溝11の溝の幅を固定することができる。
【0050】
なお、本発明は上述した第1実施形態から第4実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上述した実施の形態で示すように、道路防護施設等の注意喚起用の保安部品として利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…本体、11…道路防護施設用挿入溝、12…開口部、15…注意喚起用保安部品、16…支持片、20…反射材、30…挿入溝固定部材、30a…C形状の外周固定部材、31…外周固定部材、41…錘、50…台座、60…移動防止部材、70…可倒防止部材、90…回動用蝶番、100…注意喚起用保安部品、200…道路防護施設等、201…ガードレール、201a…孔、202…歩車道境界ブロック
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9