特許第6290156号(P6290156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290156
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】電気的接続構造と製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20180226BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20180226BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20180226BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H01L25/08 C
   H05K3/32 C
   H01L21/60 311Q
   B23K20/00 340
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-215577(P2015-215577)
(22)【出願日】2015年11月2日
(65)【公開番号】特開2016-96334(P2016-96334A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2015年11月2日
(31)【優先権主張番号】103138070
(32)【優先日】2014年11月3日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504455908
【氏名又は名称】国立成功大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 士剛
(72)【発明者】
【氏名】張 皓▲みょ▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲みぇ▼▲じゅん▼
(72)【発明者】
【氏名】卓 政梁
(72)【発明者】
【氏名】葉 哲瑜
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−166066(JP,A)
【文献】 特表2001−501256(JP,A)
【文献】 特開平01−220840(JP,A)
【文献】 特表2012−506628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447 − 21/449
H01L 21/60 − 21/607
H01L 23/12 − 23/15
H01L 25/00 − 25/18
H05K 3/32 − 3/34
B23K 20/00 − 20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的接続構造であって、
第1銅層と、
第2銅層と、
前記第1銅層と前記第2銅層の間に配置され、かつ固溶相の延性ニッケルリッチの面心立方構造を有する複合金属層と、を含み、
該第1銅層、該複合金属層及び該第2銅層は、該第1銅層、第1ニッケル層、ガリウム層、第2ニッケル層、該第2銅層により構成されるサンドイッチ構造に熱圧着されて、前記第1銅層は前記複合金属層と接合し且つ前記複合金属層は前記第2銅層と接合し、前記複合金属層は金属間化合物を有さず、
前記複合金属層は0.01重量%≦ガリウム≦20重量%であり、0.01重量%≦銅≦50重量%であり、30重量%≦ニッケル≦99.98重量%である、電気的接続構造。
【請求項2】
前記複合金属層は0.01〜10重量%のガリウム、0.01〜10重量%の銅と80〜99.98重量%のニッケルを含む、請求項1に記載の電気的接続構造。
【請求項3】
電気的接続構造の製造方法であって、
第1銅層と第2銅層を提供するステップ(1)と
前記第1銅層に第1ニッケル層を形成するステップ(2)と、
前記第2銅層に第2ニッケル層を形成するステップ(3)と、
前記第1ニッケル層にガリウム層を形成するステップ(4)と、
前記第2ニッケル層と前記ガリウム層を接触させて、熱圧着接合を行うことにより、請求項1に記載の電気的接続構造を形成するステップ(5)、を含む、電気的接続構造の製造方法。
【請求項4】
ステップ(2)の前のステップで、前記第1銅層に対して表面処理を行うステップ(1a)を含む、請求項3に記載の電気的接続構造の製造方法。
【請求項5】
ステップ(3)の前のステップで、前記第2銅層に対して表面処理を行うステップ(1b)を含む、請求項3に記載の電気的接続構造の製造方法。
【請求項6】
前記表面処理は、前記第1銅層または前記第2銅層を研磨、または酸性溶液と溶剤を用いて前記第1銅層または前記第2銅層を洗浄することである、請求項4または請求項5に記載の電気的接続構造の製造方法。
【請求項7】
ステップ(2)は、電気めっきまたは蒸着法を用いて前記第1ニッケル層を形成することである、請求項3に記載の電気的接続構造の製造方法。
【請求項8】
ステップ(3)は、電気めっきまたは蒸着法を用いて前記第2ニッケル層を形成することである、請求項3に記載の電気的接続構造の製造方法。
【請求項9】
ステップ(4)は、電気めっきまたは蒸着法を用いて前記ガリウム層を形成することである、請求項3に記載の電気的接続構造の製造方法。
【請求項10】
ステップ(5)の熱圧着接合における温度は300-400℃であり、圧力は4-8バールである、請求項3に記載の電気的接続構造の製造方法。
【請求項11】
前記第1ニッケル層、前記第2ニッケル層と前記ガリウム層の厚さの比は0.5〜20:0.5〜20:0.01〜5である、請求項3に記載の電気的接続構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気的接続構造と製造方法に関し、特に銅−銅の電気的接続構造と製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この数年間、電子半導体の発展に伴って、継続して小型化、高効率、低消耗と低コストが求められてきた。Si貫通電極(TSV、Through Silicon Via)はレーザを用いてウエハーまたはチップにホール(Via)を開けて、更に導電材料を該ホール内に充電して導電通路を形成し、これにより、同一チップの上下表面を垂直に接続して、複数のチップの積層を良くする技術であり、三次元集積回路(3D IC)と称する構造技術である。以前の複数チップのパッキングに比べて、立体構造技術は複数チップの積層により信号伝達チャンネルを短縮し、信号の伝達が早くなると同時に、パッキング体の占用空間を減少させる。3D ICは各半導体業者が互いに競争して発展するための技術であり、国内の集積回路の製造と封止試験産業が競争力を維持するためのコアとなる。
【0003】
台湾での各半導体の大手メーカー、例えば、台積電、日月光、シリコンプレシジョン(Siliconware Precision)、力成などは、ここ数年間、積極的に2.5Dと3D ICの封止試験性能を高めて来た。さらに、他の半導体の大手メーカー、例えば、サムスン、エルピーダ(Elpida)とインテルなどの会社も同じく3D ICの研究開発と生産に力を入れている。これにより、3D IC製品は次世代の主な電子商品となることが予想される。
【0004】
3D ICの構築技術では、シリコンチップは垂直に積層する方式により接続されるため、セルの体積を大幅に減少し、効率を高くし、エネルギーの消耗を低減し、性能を高めることができる。そのうち、TSVにおける貫通は3D ICのコア技術となり、その重要な製造プロセスは、ウエハーの薄膜化、Si貫通電極を直接貫通して銅−銅を接続するなどのプロセスを含む。銅−銅の接合は、直接拡散接合法とマイクロバンプ接合法により達成する。直接拡散接合法は、他の材料を導入しなくても、高純度の銅−銅の接合ポイントを形成することができる。しかし、銅原子の内部拡散を促進する場合、高温(通常は300℃または更に高い)と高圧(25bar以上)を必要とし、通常、銅基材表面の前処理など超過のプロセスを必要として、銅の接合表面を活性する。このような複雑なプロセスと前処理方式は直接拡散接合法は消費コストが非常に高く、更に製造プロセスが複雑な方法である。さらに、接合するときに必要な高圧は消費コストが高く、チップに形成された電子部品に損傷を与えるリスクが存在する。一方、マイクロバンプ接合法は溶接プロセスを含み、即ち、溶融状態のはんだは基板を湿潤し、更に固化されて、電気接続を形成するため、複雑な前処理と高いプロセス圧力を不要とする。しかし、通常、はんだはスズからなり、基材となる銅金属と反応し、接合ポイントではほとんどが脆性されかつ電力を阻止する金属間化合物(Intermetallic compound、IMC)を生成するため、接続ポイントの信頼性を大きく低減させてしまうことがある。
【0005】
そのため、銅−銅の接合構造に対する高信頼性を有して、従来技術に存在する問題を解決するための電気的接続構造と製造方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、電気的接続構造と製造方法を提供することにある。銅−銅に対する接続ポイントの間は純粋なガリウムとニッケルを導入し、従来の脆性金属化合物は溶接過程で形成されないため、金属化合物の生成により、銅−銅の接合の信頼性を低減させる問題を解決する。さらに、ガリウム金属の特有の低融点(29.7℃)と通常温度下での高い流動性を用いて、接合するとき、低い溶接温度と圧力のみで信頼性を有する銅−銅接続を形成することができる。
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の1実施例では電気的接続構造を提供し、該電気的接続構造は、第1銅層、第2銅層、該第1銅層と該第2銅層の間に配置される複合金属層を含む。該複合金属層は、0.01重量%≦ガリウム≦20重量%、0.01重量%≦銅≦50重量%、30重量%≦ニッケル≦99.98重量%を含む。
【0008】
本発明の1実施例では、該複合金属層は面心立方結晶構造を有する。
【0009】
本発明の1実施例では、該複合金属層は0.01〜10重量%のガリウム、0.01〜10重量%の銅、80〜99.98重量%のニッケルを含む。
【0010】
本発明の1実施例では電気的接続構造の製造方法を更に提供し、該電気的接続構造の製造方法は、第1銅層と第2銅層を提供するステップ(1)と、該第1銅層に第1ニッケル層を形成するステップ(2)と、該第2銅層に第2ニッケル層を形成するステップ(3)と、該第1ニッケル層にガリウム層を形成するステップ(4)と、該第2ニッケル層と該ガリウム層を接触して、熱圧着接合を行って、前記該電気的接続構造を形成するステップ(5)と、を含む。
【0011】
本発明の1実施例では、該ステップ(2)の前のステップで、該第1銅層に対して表面処理を行うステップ(1a)を含む。
【0012】
本発明の1実施例では、該ステップ(3)の前のステップで、該第2銅層に対して表面処理を行うステップ(1b)を含む。
【0013】
本発明の1実施例では、該表面処理は、該第1銅層または該第2銅層を研磨し、または酸性溶液と溶剤を用いて洗浄している。
【0014】
本発明の1実施例では、該ステップ(2)は、電気めっきまたは蒸着法を用いて該第1ニッケル層を形成している。
【0015】
本発明の1実施例では、該ステップ(3)は、電気めっきまたは蒸着法を用いて該第2ニッケル層を形成している。
【0016】
本発明の1実施例では、該ステップ(4)は、電気めっきまたは蒸着法を用いて該ガリウム層を形成している。
【0017】
本発明の1実施例では、該ステップ(5)における熱圧着接合の温度は300-400℃であり、圧力は4-8バール(bar)である。
【0018】
本発明の1実施例では、該第1ニッケル層、該第2ニッケル層と該ガリウム層の厚さの比は0.5〜20:0.5〜20:0.01〜5である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の1実施例の電気的接続構造を示す図である。
図2a-2d】図2a-2dは、本発明の1実施例の電気的接続構造の製造方法を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の1実施例の電気的接続構造に対して金属顕徽鏡(Metallographic Microscope)で観察した際の写真を示す。
図4図4は、本発明の1実施例の電気的接続構造をビッカース硬度計(Vickers Hardness Tester)で分析した後に、金属顕徽鏡で観察した際の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、特徴、利点を更に明確するために、以下では本発明の比較的好ましい実施例、図面を用いて詳細に説明する。さらに、本発明で用いる方向の用語、例えば、上、下、頂部、底部、前、後、左、右、内、外、側面、周囲、中央、水平、横方向、垂直、縦方向、軸方向、径方向、最上層または最下層などは、図面における方向を参照するためである。それ以外に、本発明における単数の形式"一"、"1"、"一つ"、"1つ"と"前記"は、上下文が他に規定されていなければ、複数の引用を含んでもよい。例えば、術語"一化合物"または"少なくとも1種の化合物"は複数の化合物を含み、その混合物を含んでもよい。本発明における「%」は特別な説明がなければ、「重量%(wt%)」を示している。数値範囲(例えば、10%〜11%のA)において、もし、特別な説明がなければ、上、下限値(即ち、10%≦A≦11%)を含み、もし、数値範囲が下限値(0.2%より低いB、または0.2%以下のB)を限定しない場合、その下限値は0(即ち、0%≦B≦0.2%)である。各成分「重量%」の比例関係も「重量部」の比例関係に代替することができる。前記方向と数値に関連する用語は、本発明を説明と理解するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0021】
図1に示すように、本発明の1実施例の電気的接続構造1は、主に第1銅層11、第2銅層12、複合金属層41を含む。該複合金属層41は該第1銅層11と該第2銅層12の間に配置され、0.01重量%≦ガリウム≦20重量%、0.01重量%≦銅≦50重量%、30重量%≦ニッケル≦99.98重量%を含む。好ましくは、該複合金属層は、0.01〜10重量%のガリウム、0.01〜10重量%の銅、80〜99.98重量%のニッケルを含み、例えば、0.8重量%のガリウム、1.1重量%の銅、98.1重量%のニッケルでもよいが、これに限定されない。さらに、該複合金属層41は面心立方(Face-Centered Cubic)結晶構造を有する。
【0022】
図2 a−図2dに示すように、本発明は1実施例の電気的接続構造1の製造方法を更に提供する、該製造方法は、第1銅層11と第2銅層12を提供するステップ(S1)と、該第1銅層11に第1ニッケル層21を形成するステップ(S2)と、該第2銅層12に第2ニッケル層22を形成するステップ(S3)と、該第1ニッケル層21にガリウム層31を形成するステップ(S4)と、該第2ニッケル層22と該ガリウム層31を接触させて、熱圧着接合を行うステップ(S5)と、を含む。本発明は下記で該実施例の前記各ステップの実施の詳細と原理を説明する。
【0023】
図2aに示すように、本発明の実施例の電気的接続構造1の製造方法は、まず、ステップ(S1)では、第1銅層11と第2銅層12を提供する。該第1銅層11と該第2銅層12は、例えば、Si貫通電極技術における異なるウエハー上の銅パッド(Copper pads)であり、銅パッドと銅パッドの間の電気的接合により、3D ICの集積回路の構築を完成することができる。
【0024】
図2bに示すように、本発明の実施例の電気的接続構造1の製造方法において、ステップ(S2)では、該第1銅層11に第1ニッケル層21を形成し、ステップ(S3)では、該第2銅層12に第2ニッケル層22を形成する。好ましくは、該ステップ(S2)の前ステップで、該第1銅層11に対して表面処理を行うステップ(S1a)を含む。同じく、該ステップ(S3)の前ステップで、該第2銅層12に対して表面処理を行うステップ(S1b)を含む。該ステップ(S1a)またはステップ(S1b)の表面処理は、研磨または酸性溶液を用いて溶剤と共に該第1銅層11または該第2銅層12を洗浄することである。該酸性溶液は、例えば、塩酸、硝酸または酢酸であってもよいが、これに限定されない。該溶剤は、例えば、アセトン、メタノールまたはエタノールであってもよいが、これに限定されない。さらに、該ステップ(S2)は電気めっきまたは蒸着法を用いて該第1ニッケル層21を形成する。該ステップ(S3)は電気めっきまたは蒸着法を用いて該第2ニッケル層22を形成する。好ましくは、該第1ニッケル層21と該第2ニッケル層22は同じ方法、即ち、電気めっきまたは蒸着法を用いて同時に形成されて、製造プロセスを簡素化することができる。例えば、該第1ニッケル層21と該第2ニッケル層22は電気めっき法を利用して形成されるとき、電気めっき溶液は標準のワットニッケル溶液(Watts' Nickel Solution)であり、該ワットニッケル溶液は300g/Lの硫酸ニッケル六水和物(NiSO4・6H2O)、45g/Lの塩化ニッケル六水和物(NiCl2・6H2O)、40g/Lのホウ酸(H3BO3)を含み、pH値が3.8、温度が50℃、電流密度が2アンペア/平方デシメートル(A/dm2)の条件で、純粋な銅を陰極にして電気めっきを行う。
【0025】
図2cに示すように、本発明の実施例の電気的接続構造1の製造方法は、ステップ(S4)では、該第1ニッケル層21にガリウム層31を形成する。本ステップで、該ガリウム層31は電気めっきまたは蒸着法を利用して該第1ニッケル層21に形成される。例えば、電気めっき法によりガリウム層31を形成し、例えば、白金電極を用いて補助電極にし、Hg|Hg2Cl2(Saturated Calomel Electrode,SCE)を用いて参照電極にし、電解質はガリウムイオン濃度が0.25Mで、かつ pH値が10より大きい0.5Mクエン酸ナトリウムを含み、電流密度10ミリアンペア/平方デシメートル(mA/cm2)で電圧を制御して、室温でガリウム層の電気めっきを行っている。
【0026】
図2dに示すように、本発明の実施例の電気的接続構造1の製造方法は、ステップ(S5)では、該第2ニッケル層22と該ガリウム層31を接触させて、熱圧着接合を行っている。本ステップでは、熱圧着接合の温度が300-400℃であり、例えば、300℃であってもよいが、これに限定されない。圧力は4〜8バール(bar)である。接合が完成すれば、前記電気的接続構造1を形成することができる。
【0027】
さらに、本発明の実施例の電気的接続構造1の製造方法において、該第1ニッケル層21、該第2ニッケル層22、該ガリウム層31の厚さ比は0.5〜20:0.5〜20:0.01〜5である。好ましくは、該第1ニッケル層21の厚さは0.5〜20ミクロン(μm)であり、例えば、0.5、5、10または15ミクロンであってもよいが、これに限定されない。好ましくは、該第2ニッケル層22の厚さは0.5〜20ミクロンであり、例えば、0.5、5、10または15ミクロンであってもよいが、これに限定されない。好ましくは、該ガリウム層31の厚さは0.01〜5ミクロン(μm)であり、例えば、0.5、1.5、3または4.5ミクロンであってもよいが、これに限定されない。
【0028】
本発明の電気的接続構造と製造方法を更に明確にするため、下記に記載された実際の製造プロセスを参照されたい。
【0029】
まず、純粋な銅(Cu)基材を準備して、炭化シリコン(SiC)のサンドペーパーを用いて研磨し、更に1μmの酸化アルミニウム粉を用いて研磨する。続いて、Cu基材に対して電気めっき方式により純粋ニッケル(Ni)をコーティングし、電気めっき浴は硫酸ニッケルの酸性溶液である。それから、ニッケルがめっきされた2つの銅基材の間に微量の純粋なガリウム金属(Ga)を入れ、その後、サンドイッチ構造を真空管状の炉内に入れて熱圧着接合を行い、その時間は少なくとも30分である。
【0030】
厚さが10μmのニッケル層を塗布するとき、300℃で接合した後、図3に示す構造が生成する。図3に示すように、2つの銅基材間は延性ニッケルリッチの面心立方(Ni-Face Centered Cubic、Ni-F.C.C.)固溶相のみを生成し、この結果により、ガリウムとニッケルがニッケルリッチの面心立方相内に溶解されたと推測できる。
【0031】
さらに、前記構造はビッカース硬度計によりその機械的性質を分析し、その分析した結果を図4に示す。図に示すように、同じく10gfの荷重により中央のNi-FCCに生成する切り込みは銅基材上の切り込みより小さい。さらに、構造における異なる位置で測定された硬度の平均値はそれぞれNi-FCC:2749.62MPa;Cu:715.62Mpaである。さらに、純粋なニッケル基材は同じ機器で硬度分析を行い、測定された硬度値は2121.26Mpaである。該硬度測定の結果により、本発明の実施例の電気的接続構造は優れた機械的性質を有することがわかる。一般的には、従来のはんだ接点は接続面のIMC厚さの増加に伴って、引張強度(tensile strength)と剥離強度(peel strength)は下降傾向を示している。本発明の実施例では、IMCが形成せず、FCCウエハー構造の固溶相のみが接点で形成するため、その機械的性能がいかなるIMCを含有する接合構造より優れると予測することができ、信頼性が優れている。以上の実験結果と分析により、本発明の提供する電気的接続構造と製造方法は銅−銅の接合中に金属間化合物が形成されて、高い延性を有するCu−Cuの接続ポイントを得ることができ、信頼性が高く、かつ幅広く応用されることができる。
【0032】
従来技術に比べて、本発明の提供する電気的接続構造と製造方法により、高延性を有する固容相の複合金属層を形成することができ、金属化合物が存在しないため、従来の銅−銅の接合の信頼性に対する問題を解決することができる。さらに、穏やかな製造温度と圧力は、銅−銅の接合に適用されることは、製造コストと材料の相溶性に関係し、量産と経済効果では、充分な発展潜在能力を有する。
【0033】
本発明は好ましい実施例を用いて説明したが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。本技術を熟知する者は、本発明の精神と範囲を逸脱しない範囲内で、いろんな変更と修正を行うことができるため、本発明の保護範囲は特許請求の範囲内に記載されているものを基準にするべきである。
【符号の説明】
【0034】
1 電気的接続構造
11 第1銅層
12 第2銅層
21 第1ニッケル層
22 第2ニッケル層
31 ガリウム層
41 複合金属層
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4