特許第6290169号(P6290169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290169
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】独立半導体ウェハの形成方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/38 20060101AFI20180226BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20180226BHJP
   C30B 25/04 20060101ALI20180226BHJP
   C23C 16/01 20060101ALI20180226BHJP
   C23C 16/30 20060101ALI20180226BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   C30B29/38 D
   H01L21/205
   C30B25/04
   C23C16/01
   C23C16/30
   C23C16/34
【請求項の数】27
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-502473(P2015-502473)
(86)(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公表番号】特表2015-516359(P2015-516359A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】IB2013000565
(87)【国際公開番号】WO2013144709
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】61/617,818
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510207298
【氏名又は名称】サン‐ゴバン、クリストー、エ、デテクトゥール
【氏名又は名称原語表記】SAINT−GOBAIN CRISTAUX & DETECTEURS
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ピエール、フォーリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、ボーモン
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−059363(JP,A)
【文献】 特表2007−506635(JP,A)
【文献】 特開2003−165799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
C23C 16/00−16/56
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面および前記後面に対向する上面を有する半導体層を含んでなる半導体基板を提供する工程であって、
半導体基板の提供がベース基板を覆い、複数の膜を含むバッファ層の形成、および成長工程における半導体層の形成を含んでなり、前記半導体層が前記上面と後面の間に少なくとも1つの永続的欠陥を含んでなり、前記半導体層が、13−15族材料を含む、工程と、
前記半導体層の前記後面の一部および前記永続的欠陥を前記半導体層から除去する工程と、
前記後面の一部および前記永続的欠陥を除去した後に前記上面の一部を形成する工程と、を含み、
前記バッファ層が、前記ベース基板表面と直接的に接触し、シリコンを含む第1の膜と、前記第1の膜表面と直接的に接触し、13−15族材料を含む第2の膜とを含み、
成長工程の間、前記第1の膜が、熱解離により、前記ベース基板と前記半導体層との間の分離を促進することを特徴とする、独立半導体ウェハの形成方法。
【請求項2】
前記半導体基板が無機材料を含むベース基板を含んでなり、または前記ベース基板が酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、オキシ炭化物、オキシホウ化物、オキシ窒化物、およびその組み合わせからなる群から選択される材料を含んでなり、または前記ベース基板がアルミナを含んでなり、前記ベース基板がサファイアを含んでなり、または前記ベース基板が本質的にサファイアからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半導体基板が前記バッファ層を含んでなり、前記バッファ層が前記ベース基板の表面と直接的に接触することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バッファ層の形成が前記ベース基板の主表面を覆う材料の堆積を含んでなり、堆積が有機金属化学蒸着(MOCVD)を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バッファ層が複数の膜を含んでなり、または前記複数の膜の少なくとも1つの膜が13−15族材料を含んでなり、または前記複数の膜の前記少なくとも1つの膜が窒化物材料を含んでなり、または前記少なくとも1つの膜がガリウム、アルミニウム、インジウム、およびその組み合わせからなる群から選択される元素を含んでなり、または前記複数の膜の少なくとも1つの膜が結晶性材料を含んでなり、または前記複数の膜の少なくとも1つの膜がシリコンを含んでなることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体層の形成がエピタキシーを含んでなり、または前記半導体層の形成が堆積を含んでなり、または前記半導体層の形成がハイドライド気相成長(HVPE)を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体層が窒化物材料を含んでなり、または前記半導体層がガリウムを含んでなり、または前記半導体層が窒化ガリウムを含んでなり、または前記半導体層が本質的に窒化ガリウムからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記半導体層が少なくとも1mmの平均厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記半導体層が前記上面での測定で1×10転位/cm下の転位密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記上面と後面の間の前記少なくとも1つの永続的欠陥が永続的ピットの底面を画定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記永続的ピットが前記半導体層の前記上面に交差する上部開口部を含んでなることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記永続的欠陥が、結晶面の規則的配置におけるシフトを有する前記半導体層の領域を画定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記半導体層の前記後面の一部および前記永続的欠陥の前記半導体層からの除去が、同じ工程を用いて前記後面および前記永続的欠陥の除去を含んでなり、前記半導体層の前記後面の一部および前記永続的欠陥の除去は同時に行われ、前記半導体層の前記後面の一部および前記永続的欠陥の除去が、前記後面の一部および永続的欠陥の機械的除去を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
除去後の前記上面の一部の形成が前記半導体層の一部の再生を含んでなり、再生はエピタキシーを含んでなり、再生は半導体層の永続的ピットの一部により画定された開口部における半導体材料の融合を含んでなり、再生は3次元(3D)成長モードによるエピタキシャル成長の実施を含んでなり、再生は2次元(2D)成長モードによるエピタキシャル成長の実施を含んでなり、または再生はさらに前記半導体層の厚さの増加を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
後面および前記後面に対向する上面を有する半導体層を含んでなる半導体基板を提供する工程であって、
半導体基板の提供がベース基板を覆い、複数の膜を含むバッファ層の形成、および成長工程における半導体層の形成を含んでなり、前記半導体層が前記上面と後面の間に少なくとも1つの永続的ピットを含む永続的欠陥領域を有し、前記半導体層が、13−15族材料を含む、工程と、
前記半導体層の前記後面の一部および前記半導体層内の前記永続的ピットの一部を含む前記永続的欠陥領域を前記半導体層から除去する工程と、
前記後面の一部を除去した後に前記上面の一部を形成し、前記ピットを閉鎖する工程を含み、
前記バッファ層が、前記ベース基板表面と直接的に接触し、シリコンを含む第1の膜と、前記第1の膜表面と直接的に接触し、13−15族材料を含む第2の膜とを含み、
成長工程の間、前記第1の膜が、熱解離により、前記ベース基板と前記半導体層との間の分離を促進することを特徴とする、独立半導体ウェハの形成方法。
【請求項16】
前記上面の一部の形成が前記半導体層の一部の再生を含んでなり、再生はエピタキシーを含んでなり、再生は前記半導体層の前記永続的ピットの一部により画定された開口部における半導体材料の成長によるファセットの発展を含んでなり、再生は3次元(3D)成長モードによるエピタキシャル成長の実施を含んでなり、再生は2次元(2D)成長モードによるエピタキシャル成長の実施を含んでなり、または再生はさらに前記半導体層の厚さの増加を含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記永続的欠陥領域が前記永続的ピットの底面により画定され、前記底面が少なくとも1つの介在物、1つの多結晶粒、1つの単結晶粒、1つの反転分域、1つの永続的境界、またはその組み合わせを画定し、前記境界が、結晶面の規則的配置におけるシフトを有する前記半導体層の領域を画定することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体層は半導体基板を覆い、前記半導体層は後面、上面、および前記半導体層の上面から前記半導体層の中へ底面まで延びる前記永続的ピットを含んでなり、前記半導体基板が無機材料を含むベース基板を含んでなり、前記ベース基板が酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、オキシ炭化物、オキシホウ化物、オキシ窒化物、およびその組み合わせからなる群から選択される材料を含んでなり、前記ベース基板がアルミナを含んでなり、前記ベース基板がサファイアを含んでなり、または前記ベース基板が本質的にサファイアからなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記半導体基板がベース基板を覆うバッファ層の形成を含んでなり、バッファ層の形成が前記ベース基板の主表面を覆う材料の堆積を含んでなり、堆積が有機金属化学蒸着(MOCVD)を含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の膜が、シリコンを含み、前記第2の膜が、Ga、Al、Inまたはこれらの混合物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
エピタキシーによる前記半導体層の形成をさらに含んでなり、前記半導体層の形成が堆積を含んでなり、または前記半導体層の形成がハイドライド気相成長(HVPE)を含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記半導体層が窒化物材料を含んでなり、前記半導体層がガリウムを含んでなり、前記半導体層が窒化ガリウムを含んでなり、または前記半導体層が本質的に窒化ガリウムからなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
3次元成長モードによる前記半導体層の形成をさらに含んでなり、前記半導体層の形成が、半導体材料を含む島状の特徴の前記形成を含んでなる自発的形成工程を含んでなり、形成がさらに前記島状の特徴の連続的半導体層への融合を含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
続的欠陥領域の改変が、前記半導体層の前記後面の一部の除去を含んでなり、
前記永続的欠陥領域の除去が、前記半導体層の前記後面の一部および前記永続的欠陥領域の除去を含んでなり、前記永続的欠陥領域の除去が、前記半導体層の前記後面の一部および前記永続的ピットの底面の除去を含んでなり、除去が、前記後面の一部の機械的除去を含んでなり、除去が、前記半導体層の前記後面の一部の粉砕を含んでなり、除去が、前記永続的ピットの前記底面の少なくとも一部の化学的除去を含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
続的欠陥領域の改変が、前記後面の一部の除去および、改変前の前記半導体層の元の厚さの少なくとも5%の前記半導体層の厚さの減少を含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
続的欠陥領域の改変が、前記半導体層の前記上面の一部のマスクでのマスキングを含んでなり、前記永続的欠陥領域の改変が、前記永続的ピットの底面のマスキングを含んでなり、前記マスクが窒化ケイ素を含んでなり、前記マスクの少なくとも一部が、選択的除去後の前記永続的欠陥領域を覆い、前記永続的欠陥領域の改変後の前記半導体層の一部の形成が、選択的除去後の前記永続的欠陥領域を覆う前記マスク上への半導体層の形成を含み、選択的除去が前記マスクの一部のエッチングを含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
続的欠陥領域の改変が、前記半導体層の前記上面の一部のマスク部分での選択的マスキングを含んでなり、前記永続的欠陥領域の改変が、前記マスクの開口部により画定される前記半導体層の覆われていない部分を有しながらの前記永続的欠陥領域の選択的マスキングを含んでなり、前記マスクが窒化ケイ素を含んでなり、前記永続的欠陥領域の改変後の前記半導体層の一部の形成が、前記永続的欠陥領域を覆う前記マスク部分上への半導体層の形成を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、独立半導体ウェハの形成方法、より詳細には、13−15族材料を含んでなる独立半導体ウェハを対象とする。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)および窒化ガリウムアルミニウム(GaAlN)などの三元化合物、さらに四元化合物(AlGaInN)などの13−15族材料を含む半導体ベースの化合物は、直接バンドギャップ半導体である。そのような材料は短波長発光の大きな可能性を有すると認識されてきており、そのため、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、紫外線検出器、および高温電子機器の製造での使用に適している。
【0003】
しかしながら、そのような半導体材料の開発は、そのような材料の工程、詳細には、オプトエレクトロニクスにおいて短波長発光の製造に必要な材料の高品質な単結晶形の形成、を取り巻く困難性によって阻まれてきた。GaNは自然発生の化合物として見ることができず、そのため、ブール様シリコン、ガリウムヒ素、またはサファイアから融解し取り出すことができない、なぜなら、常圧でのその理論的融解温度がその解離温度を超えるためである。別の方法として、業界はエピタキシャル成長工程の使用によるバルクGaN結晶の形成に取り組んできた。しかしながら、依然として、適切な低欠陥密度バルクGaN材料の形成、および結晶性ボウを含む他の結晶形態的相違点の存在を含む、エピタキシャルアプローチに関する問題が残っている。
【0004】
拡張欠陥(貫通転位、積層欠陥、粒界および逆位相境界)の存在は、著しく劣化した性能の原因となり、結果として装置の動作寿命の短縮をもたらす。具体的には、転位は非放射中心としてふるまい、そのため、これらの材料からなる発光ダイオードおよびレーザダイオードの発光効率が低下する。さらに、結晶配向などの他の要因が、GaN材料に形成した装置の性能に悪影響を及ぼしうる。
【発明の概要】
【0005】
一態様によると、独立半導体ウェハの形成方法は、上面、後面、および半導体層を通じて上面から後面へ延びる開口部を有し、開口部が永続的ピットの一部を画定しファセットを含む、半導体層の形成、および半導体層の一部の成長および開口部の閉鎖を含む。
【0006】
さらに別の態様では、独立半導体ウェハの形成方法は、半導体層内の永続的ピットの一部を含む永続的欠陥領域の改変、および永続的欠陥領域の除去後の半導体層の一部の形成およびピットの閉鎖を含む。
【0007】
他の態様によると、独立半導体ウェハの形成方法は、後面、上面、および半導体層の上面から半導体層の中へ底面まで延びる永続的ピットを有する半導体層を含んでなる半導体基板の提供、永続的ピットの底面の除去、および永続的ピットの底面の除去後の上面の一部の形成を含む。
【0008】
なおさらに別の態様では、独立半導体ウェハの形成方法は、後面および後面に対向する上面を有する半導体層を含んでなり、半導体層が上面と後面の間に少なくとも1つの永続的欠陥を含んでなる、半導体基板の提供、半導体層の後面の一部および永続的欠陥の半導体層からの除去、および後面の一部および永続的欠陥の除去後の上面の一部の形成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面を参照することにより、本開示はよりよく理解され、その多くの特徴および利点は当業者に明らかとなりうる。
【0010】
図1図1は、実施形態による電子装置の形成に用いる半導体基板材料の形成方法を提供するフローチャートを含む。
図2A図2Aは、実施形態による形成中の半導体基板の断面図を含む。
図2B図2Bは、実施形態による形成中の半導体基板の一部の断面図を含む。
図2C図2Cは、実施形態による形成中の半導体基板の一部の断面図を含む。
図2D図2Dは、実施形態による形成中の半導体基板の一部の断面図を含む。
図2E図2Eは、実施形態による完成した独立ウェハの断面図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は、一般に、半導体材料、特に電子装置の製造に用いることができる半導体材料からなるウェハを対象とする。より詳細には、本明細書の実施形態の独立ウェハは、発光ダイオード(LED)またはレーザダイオード(LD)の形成に用いてもよい。実施形態の独立ウェハは、例えば窒化ガリウム(GaN)を含む13−15族材料を含みうる。当然のことながら、13−15族材料という表現は、元素周期表の13族の少なくとも1つの元素および元素周期表の15族の少なくとも1つの元素を有する化合物を含む。
【0012】
図1は、実施形態による、その上に電子装置を形成するのに適した半導体材料を含んでなる独立半導体ウェハの形成方法を図示するフローチャートを含む。図示のように、工程は、ベース基板の提供によりステップ101で開始されうる。ベース基板は、ヘテロエピタキシャル支持構造等の、その上に形成される複数の層を支持するのに適した構造でありうる。
【0013】
一実施形態において、ベース基板は無機材料でありうる。いくつかの適切な無機材料は、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、オキシ炭化物、オキシホウ化物、オキシ窒化物、およびその組み合わせを含みうる。場合によっては、ベース基板はアルミナを含みえ、より詳細には、単結晶アルミナ(すなわち、サファイア)を含んでもよい。一実施形態では、本質的にサファイアからなるベース基板を利用する。
【0014】
工程は、ベース基板を覆うバッファ層の形成によりステップ103で続きうる。一時的に図2Aを見ると、半導体基板200が実施形態に従い図示されている。特に、半導体基板200はベース基板201およびベース基板201を覆うバッファ層203を含みうる。とりわけ、バッファ層203はベース基板201の上部主表面を覆い、より詳細には、バッファ層203はベース基板201の上部主表面と直接的に接触しうる。
【0015】
バッファ層203の形成は堆積工程を含むことができる。例えば、基板を反応チャンバに入れ、反応チャンバ内を適切な環境とした後、バッファ層をベース基板201上に堆積することができる。一実施形態によると、適切な堆積技術は化学蒸着を含みうる。1つの特定の例において、堆積工程は有機金属化学蒸着(MOCVD)を含みうる。
【0016】
バッファ層203は複数の膜から形成されてもよい。例えば、図2Aに図示されるように、バッファ層203は、膜204および膜206を含みうる。実施形態によると、膜の少なくとも1つは結晶性材料を含みうる。より特定の例において、ベース基板201の表面に直接的に接触する膜204はシリコンを含みえ、本質的にシリコンからなってもよい。本明細書中に記載されるように、膜204は、ベース基板201と、膜204を覆う半導体層間の分離を促進してもよい。
【0017】
図2Aに図示されるように、膜206は膜204を覆い、より詳細には、膜204と直接的に接触しうる。膜206は、その上に形成される後続の層のエピタキシャル形成のための適切な結晶学的特徴を有しうる。特に、一実施形態において、膜204は半導体材料を含みうる。適切な半導体材料は、13−15族化合物材料を含みうる。1つの特定の例において、膜206は窒化物材料を含みうる。他の例において、膜206はガリウム、アルミニウム、インジウム、およびその組み合わせを含みうる。さらに、1つの特定の実施形態において、膜206は窒化アルミニウムを含んでなりえ、より詳細には、膜206は本質的に窒化アルミニウムからなりうる。
【0018】
例示的構造において、バッファ層203は、膜204がシリコンを含み、ベース基板201の主表面と直接的に接触するように形成されうる。さらに、膜206は、膜204の表面と直接的に接触し、13−15族材料を含みうる。
【0019】
ステップ103でバッファ層の形成後、工程は、バッファ層203を覆う半導体層205の形成によりステップ105で続きうる。一時的に図2Aを参照すると、半導体基板200はバッファ層203を覆う半導体層205を含みうる。とりわけ、半導体層205はバッファ層203の表面を覆うように形成されえ、より詳細には、半導体層205がバッファ層203の膜206と直接的に接触しうる。
【0020】
また当然のことながら、本明細書の実施形態による半導体基板の形成は必ずしもマスクを作る、または、溝切り、粗化、またはエッチング技術の利用により基板の表面を修正することなく達成してもよい。
【0021】
実施形態によると、バッファ層203を適切に形成するにあたり、例えばエピタキシャル成長工程を含むさらなる工程のため、ベース基板201およびバッファ層203を反応チャンバ内に配置してもよい。半導体層205は、ハイドライド気相成長(HVPE)のようなエピタキシャル成長工程を介して形成されうる。1つの特定の例において、半導体層205は13−15族材料からなりうる。いくつかの適切な13−15族材料は、窒化物材料を含みうる。さらに、半導体層205はガリウムを含んでもよい。一実施形態において、半導体層205は窒化ガリウム(GaN)を含んでもよく、より詳細には、本質的に窒化ガリウムからなってもよい。
【0022】
半導体層205を形成する特定の方法を行うことができる。例えば、半導体層205のエピタキシャル成長は様々な成長モードで行うことができる。一実施形態によると、半導体層205の第1の領域は第1のモードで成長し、半導体層205の第2の領域は第1のモードとは異なる第2のモードで成長しうる。例えば、より特定の例において、半導体層205は、3次元(3D)成長モードで成長するエピタキシャル層として初めに形成されうる。3D成長モードにおいて、成長面はピット、ファセットだけでなくテラスを有する、粗く非平面の3D形態を発展させる。半導体層205の成長はc軸に沿って、複数の結晶学的方向に沿った同時成長を経て進行する。3D成長条件下では、半導体層205の下方領域は、バッファ層203上の島状の特徴の自発的形成を経て初めに形成されうる。自発的に形成された島状の特徴はバッファ層203上に不規則に配置され、複数のファセットおよび谷を間に有する様々なメーサを定義している。不規則に配置された島状の特徴は、バッファ層103の上表面上で互いに間隔を介した個別の物体でありうる。
【0023】
あるいは、または加えて、半導体層205は2次元(2D)エピタキシャル成長モードを用いて形成されうる。2D成長モードにおいて、成長工程時、成長面は滑らかで本質的には平面でありうる。2D成長は、1つの結晶面における材料の優先的成長および他の結晶学的方向に沿った結晶材料の限定成長を特徴としうる層ごとの成長工程と考えられる。例えば、一実施形態において、GaNを含んでなる半導体層205の2D成長モードでの形成は、c−面(0001)におけるGaNの優先的成長を含みうる。
【0024】
前述の通り、半導体層205は3Dおよび2D成長モードの組み合わせを用いて形成されうる。例えば、半導体層205の第1の領域を3D成長モードで初めに形成してもよく、島状の特徴を材料の非連続層として、バッファ層203上に自発的に形成し不規則に配置する。しかしながら、3Dモード成長が続くと、層は連続的となりファセット面および実質的に不均一な厚みを示す。3D成長モードに続いて、成長パラメータを2D成長モードに変更するように変えることができ、沿面成長が有利となり、半導体層205全体にわたって厚みの均一性が高まりうる。特定の工程においては、半導体層205の上方領域は2D成長モードを介して形成されうる。3Dと2D成長モードの組み合わせは、半導体層205の転位密度の減少を促進しうる。
【0025】
当然のことながら、半導体層205の形成は、成長モードにおいて複数の変更を含みうる。例えば、一実施形態において、ベース層は初期3D成長モード、続いて2D成長モード、さらに3D成長モードでの成長により形成されうる。
【0026】
成長モード間の切り替えは、成長温度、成長速度、気相反応物および非反応物材料の圧力、反応雰囲気中の反応物および非反応物材料の比率、成長チャンバ圧力、およびその組み合わせを含む特定の成長パラメータの修正によって完了してもよい。反応物材料は、アンモニアなどの窒素含有材料を含みうる。他の反応物材料は、例えば塩化ガリウムなどの金属ハロゲン化物成分を含むハロゲン化物相成分を含みうる。非反応物材料は、例えば希ガス、不活性ガスなどを含むある種のガスを含みうる。特定の例において、非反応物材料は、窒素および/または水素のようなガスを含みうる。
【0027】
特定の工程に対し、3Dと2D成長モード間の変更を促進するために成長温度を変更してもよい。一実施形態において、成長温度の変更は3Dから2D成長モードに変更するための成長温度の上昇を含みうる。例えば、3Dから2D成長モードへの変更において、温度を少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、または、さらに少なくとも約40℃などの少なくとも約5℃で変更してもよい。さらに他の実施形態において、3Dから2D成長モードへの変更において、成長温度を約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、または、さらに約60℃以下などの約100℃以下で変更することができる。当然のことながら、成長温度における変更は、上記の最小および最大値のいずれかの間の範囲内でありうる。
【0028】
実施形態によると、半導体層205の形成工程は、少なくとも毎時50ミクロン(ミクロン/時)の成長速度で行うことができる。他の実施形態において、半導体層205の形成速度は、少なくとも約毎時75ミクロン、少なくとも約毎時100ミクロン、少なくとも約毎時150ミクロン、少なくとも約毎時200ミクロン、または、さらに少なくとも約毎時250ミクロンなど、より大きくありうる。他の実施形態において、半導体層205の形成工程は、毎時750ミクロン以下、毎時500ミクロン以下、または、さらに約毎時300ミクロン以下などの約毎時1mm以下の速度で行うことができる。当然のことながら、ベース層の形成工程は、上記の最小および最大値のいずれかを越えない範囲内の速度で構成されうる。
【0029】
特定の工程に対し、3Dと2D成長モード間の変更を促進するために成長速度を変更してもよい。例えば、3Dから2D成長モードへの変更において、成長速度を下げることができる。とりわけ、3Dから2D成長への変更は、少なくとも約毎時5ミクロン(すなわち、ミクロン/時)による成長速度の変化を含みうる。さらに他の実施形態において、3Dから2D成長モードへの変更において、成長速度を約毎時200ミクロン以下で変更することができる。当然のことながら、成長速度における変更は、上記の最小および最大値のいずれかの間の範囲内でありうる。当然のことながら、3Dから2D成長モードへ変更する際、成長速度における変更は成長速度の減少でありうる。
【0030】
他の実施形態によると、3Dから2D成長モードへの変更工程は、少なくとも2のファクターによる成長速度の変更により完了してもよい。例えば、3D成長モードから2D成長モードへの変更において、成長速度は少なくとも2のファクターにより変更(すなわち、減少)することができる。他の実施形態において、成長速度は少なくとも約3、少なくとも約4、または、さらに少なくとも約5のファクターにより減少することができる。特定の例において、成長速度の変更は、約8のファクター以下、約7のファクター以下、または、約6のファクター以下でありうる。
【0031】
当然のことながら、成長モードの変更において、上記に特定されたファクターの1つまたはそれ以上を変更することができる。例えば、成長速度を保ったまま成長温度を変更することができる。あるいは、成長温度を維持したまま成長速度を変更することができる。そしてさらに、他の実施形態において、成長モードの変更を完了するために成長速度と成長温度の両方を変更してもよい。
【0032】
半導体層205を適切に形成した後、半導体層205の平均厚さは、それ自身を支持するため、および特定の形成後成型工程の後、その上の電子装置の形成のために適切な基板表面を与えるため十分でありうる。例えば、半導体層205の平均厚さは、少なくとも約1mmでありうる。他の例において、半導体層205の平均厚さは、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、または、さらに少なくとも6mmなど、少なくとも約2mmでありうる。さらに、当然のことながら、半導体層205は、約15mm以下の平均厚さを有するように形成されうる。半導体層205は、上記の最小および最大値のいずれかの範囲内の平均厚さを有しうる。
【0033】
例えば、半導体層205を含む半導体層の形成工程の間、ベース基板201は半導体層205から分離してもよい。分離は、バッファ層203の一部、詳細には、バッファ層203内の膜の解離により促進されうる。実施形態において、バッファ層203はシリコンのような膜を含みえ、成長工程の間利用される高温で膜が熱的に解離される。熱解離は、ベース基板201と複数の半導体層の間の分離を促進する。したがって、成長工程の完了において、半導体層205は完全にベース基板201から除去されうる。
【0034】
ベース基板201を半導体層205から分離した後、未完成の独立ウェハが半導体層205の材料から得られうる。図2Bは、実施形態による未完成の独立ウェハの図を含む。図示のように、独立ウェハ240は、Ga面を表す上面244およびN面を表す後面246を有する半導体層205を含みうる。
【0035】
さらに図2Bに図示されるように、未完成の独立ウェハ240は、半導体層205中に欠陥247を含みうる。図示のように、欠陥247は、厚さ(ti)で定義されるように半導体層205の体積に及ぶピットの形をとりうる。実施形態によると、欠陥247は永続的ピットの形をとりうる。永続的ピットは、例えば、3D/2D成長モードの交替を含む従来の成長技術では除去できない欠陥でありうる。永続的ピットは、六角形または十二角形を表す微小ピットであってよい。永続的ピットは、逆錐形状を有してよい。永続的ピットは、ファセットにより画定される側面を含んでよい。そのようなファセットは、例えば、{11−22}面、{1−101}面、およびその組み合わせを含む半導体材料の特定の結晶面により画定されうる半極性ファセットであってよい。
【0036】
図2Bに図示されるように、欠陥247区分は、第1の側248および第2の側249を含みうる。第1の側248および第2の側249は同じ結晶族の面からの等価なファセットを画定してよい。特定の例において、{11−22}面および{1−101}面は永続的ピットの側面を形成する主要なファセットであり、半導体材料の他の半極性結晶面はピットの底面に最も近い面を画定するファセットでありうる。例えば、永続的ピットの底面、または永続的ピットの底面に近い面は、{11−2n}面または{1−10n}面、ここでn≧2、を含んでよい。
【0037】
さらに図示されるように、欠陥247は、永続的欠陥領域250を含みうる。場合によっては、永続的欠陥領域250は、欠陥247の底面を含みうる。特定の例において、永続的欠陥領域250は欠陥247の底面251により画定されうる。他の実施形態によると、底面251は、例えば、介在物、多結晶粒、単結晶粒、周囲の層205の半導体材料と共通のc軸の有無、反転分域、境界(例えば、逆位相境界、双晶境界、粒界)、およびその組み合わせを含む、特定の型の永続的欠陥を画定してもよい。
【0038】
境界は、結晶相の規則的配置におけるシフトを示す半導体層の領域を画定しうる。例えば、結晶構造のGa極面およびN極面などの極平面の配列における変化を含む結晶構造の転極は、例えば逆位相境界をもたらす。境界を形成する双晶関係を有する結晶面間のシフトは双晶境界と呼ばれる。さらに、欠陥領域における単結晶と周囲の半導体層205の半導体材料の結晶構造間の結晶方位におけるシフトは、粒界の形をした永続的欠陥を画定しうる。欠陥247は、さらなる成長により構造内を伝わり、連続成長技術によりすぐに除去されることのない半導体層205の結晶構造内の永続的不可逆領域を画定しうる。
【0039】
一実施形態によると、永続的欠陥領域250は、少なくとも1つの逆位相境界を含みうる。永続的欠陥領域250の逆位相境界は、半導体層205の上面244と後面246の間に位置しうる。
【0040】
さらに図示されるように、欠陥247は、半導体層205の第1の側248、第2の側249と上面244との交点により画定される上部開口部252を含みうる。さらに図示されるように、欠陥247は、底面251が上部開口部252の面積より小さい面積を画定するようにピットの形をとりうる。
【0041】
再び図1を参照すると、半導体層をベース基板から分離した後、工程は、半導体層の後面246の一部を除去することによりステップ109で続きうる。半導体層205の後面246の後部を除去する1つの適切な工程は、後面246の一部の機械的な除去を含みうる。例えば、工程は、半導体層205の後面246の粉砕または研磨を含みうる。特定の実施形態によると、半導体層205の後面246の一部を除去する工程は、さらに半導体層205内の永続的欠陥領域250の除去を含みうる。当然のことながら、永続的欠陥領域250の除去は、例えば、永続的欠陥領域250と関連しうる介在物、多結晶粒、単結晶粒、反転分域、境界、およびその組み合わせを含む、欠陥247の一部の除去を含みうる。
【0042】
場合によっては、半導体層205の後面246の一部および逆位相境界により画定される永続的欠陥領域250の除去工程は、同じ工程を利用することができる。すなわち、粉砕工程を半導体層205の後面246の一部および永続的欠陥領域250の除去の促進に用いてよい。さらに、半導体層205の後面246の一部および永続的欠陥領域250の除去工程は、同時に行うことができる。
【0043】
1つの特定の実施形態によると、後面246の一部の機械的除去工程は、一連の研磨工程を含みうる。例えば、除去工程は、半導体層205の後面246から材料の大部分を除去する第1の粉砕工程により開始されうる。第1の粉砕工程は、固定研磨、とりわけ自生作用ビトリファイドボンド研磨品を用いてよい。第1の粉砕工程の後に第2の除去工程が続いてもよい。第2の除去工程は、微粉砕工程、ラッピング工程、研磨工程、およびその組み合わせを含みうる。特定の微粉砕工程において、第1の粉砕工程で用いられる固定研磨に比較して微小な研磨グリットサイズを有する第2の固定研磨品(例えば、自生作用ビトリファイドボンド研磨)を用いてよい。あるいは、または加えて、第2の除去工程は、パッドおよび遊離研磨スラリーを用いるラッピング工程を含みうる。遊離研磨スラリーは、後面246の材料の化学的除去を促進しうる化学成分を含んでよい。あるいは、または加えて、第2の除去工程は、特に微小な研磨粒子サイズを有する遊離研磨スラリーの使用を含みうる研磨工程を含んでよい。
【0044】
図2Cは、半導体層205の後面246の一部および永続的欠陥領域250の除去工程を行った後の未完成の独立ウェハの図を含む。図示されるように、除去工程は、半導体層205の平均厚さにおける減少を含みうる。実施形態によると、除去工程は、除去工程前の半導体層205の元の厚さ(t)の少なくとも約5%の半導体層205の平均厚さの減少を含みうる。平均厚さ(Δt)における変化(例えば、減少)は、式((t−t)/t)、ここでtは初期厚さ、tは除去工程を行った後の半導体層205の厚さである、により評価することができる。他の実施形態において、除去工程により多量の材料を除去することができるため、半導体層205の平均厚さが高い割合で減少する。例えば、工程は、半導体層の平均厚さの少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約16%、少なくとも約18%、少なくとも約22%、少なくとも約26%、少なくとも約32%、少なくとも約36%、少なくとも約42%、または、さらに少なくとも約48%の減少を含みうる。さらに、一実施形態において、工程は、半導体層205の平均厚さを約80%以下で減少させることができる。当然のことながら、半導体層205の平均厚さにおける変化は、上記の最小および最大の割合のいずれかの間の範囲内でありうる。
【0045】
さらに図2Cに図示されるように、除去工程を行った後、開口部253が半導体層205内に画定される。開口部253は、除去工程を経て底面251を除去した後に、永続的ピットを含みうる欠陥247の一部を表しうる。場合によっては、欠陥247は、上面244から後面246へ半導体層205の全厚みに延びてもよい。図示されるように、開口部253は、半導体層205の全厚みに延びることができる。さらに、図示されるように、開口部253はテーパー形状により画定されえ、後面246側の開口部253の直径は、上面244側の開口部253の直径(D)よりも小さい直径(D)を有しうる。実施形態によると、上面での開口部253の直径は、後面での開口部の直径よりも著しく大きい。さらに、開口部253は、第1の側の面248を画定する少なくとも1つのファセットにより画定されうる。他の実施形態において、開口部253は、周辺に延び側面248および249を画定する複数のファセットにより画定されうる。例えば、開口部253は、ファセットとして{11−22}および{1−101}結晶面のような半極性結晶面を含んでなる六角形または十二角形の逆切頂錐形状を有しうる。
【0046】
他の実施形態において、除去工程は化学的工程により行いうる。例えば、半導体層205の後面246の一部を除去する工程は、後面246の一部の化学的除去を含みうる。化学的除去のある適切な例は、エッチングのような工程を含みうる。実施形態によると、エッチング工程は、半導体層205の材料を選択的に除去するために用いられる化学薬品であるエッチャントを用いて完了する。ある適切なエッチャントは酸化材料,ハロゲン含有材料、およびその組み合わせを含みうる。
【0047】
分かるように、後面246の一部の化学的除去はまた、本明細書の実施形態に記載されるように半導体層205から永続的欠陥領域250を除去する工程を含みうる。さらに、化学的除去工程は、本明細書の実施形態に記載されるように平均厚さにおける変化を含みうる。
【0048】
1つの他の実施形態において、除去工程は、マスキング工程と任意に置き換えてもよい。半導体層205の成長を十分な厚さまで行った後、マスキング工程を行ってもよく、材料の層(すなわち、マスク)を半導体層205の上面244全体を覆うように堆積させる。マスキングは、上面244、および開口部252、第1の側248、第2の側249、および底面251を含む欠陥247上への材料の堆積を含みうる。
【0049】
マスクは、酸化物、炭化物、窒化物、オキシ窒化物、オキシ炭化物、およびその組み合わせを含みうる。特定の実施形態において、マスクは窒化ケイ素を含んでなる。あるいは、マスクは、例えば、感光性材料を含む有機材料を含んでよい。
【0050】
少なくとも一実施形態に対し、マスクは、半導体層205の平均厚さよりも著しく小さい平均厚さを有しうる。例えば、マスクは、半導体層205の平均厚さの約8%以下、約5%以下、または、さらに約2%以下などの約10%以下の平均厚さを有しうる。1つの非限定的な実施形態において、マスクは、半導体層205の平均厚さの少なくとも0.01%の平均厚さを有しうる。1つの特定の実施形態において、マスクは、少なくとも約1nmの平均厚さを有しうる。マスキング工程は、永続的欠陥250を覆うのに、そして永続的欠陥250により画定された開口部252内のマスクの上部に成長した層への結晶欠陥の伝播を制限するのに十分である。
【0051】
半導体層205の上面244の少なくとも一部の上にマスクを形成した後、工程は、上面244の部分を覆うマスクの部分を選択的に除去することにより続きうる。特に、マスクは、欠陥247により特徴づけられていない上面244の部分から選択的に除去されてもよい。例えば、マスクは、後面246に平行な上面244の部分から除去されてもよいが、少なくともマスクの一部は保たれ、例えば、第1の側248、第2の側249、底面251、およびその組み合わせを覆うことを含むように、欠陥247の一部を覆っていてもよい。1つの特定の実施形態において、選択的除去の後、少なくともマスクの一部は保たれ、欠陥247の底面251と直接的に接触し、上面244の他の全ての面から除去されうる。マスクの一部を除去する適切な技術は、フォトリソグラフィ技術、選択的エッチング技術、およびその組み合わせを含みうる。
【0052】
さらにもう1つの代替工程において、マスクを形成する工程は、マスクが、共形層ではないが半導体層の覆われた部分と覆われていない部分を画定し、覆われていない部分がマスク内の開口部により画定されるように、選択的な方法で完了しうる。覆われた部分はマスク部分の下に位置する半導体層205の領域でありうる。開口部は、半導体層205の領域により画定されえ、マスク部分は存在せず、半導体層205の一部がむき出しとなる。マスクの選択的形成は、選択的堆積、フォトリソグラフィ、選択的エッチング、およびその組み合わせを含みうる。
【0053】
一実施形態によると、選択的マスクの形成工程は、例えば、第1の側248、第2の側249、底面251、およびその組み合わせを含む半導体層205の欠陥247の一部を覆う、そして特定の例においては直接的に接触させるためのマスクの選択的堆積を含みうる。さらに、選択的堆積工程は、欠陥247と関連しない半導体層205の上面244の部分にマスク材料を本質的に堆積しないことを含みうる。1つの特定の実施形態において、選択的堆積工程を経て形成されたマスク部分は、おおよそ約500nm未満、約200nm未満、または、さらに約100nm未満など、著しく薄い。そのようなマスク部分はナノマスク部分と考えられる。したがって、ナノマスク部分は保たれてもよく、マスク部分上の半導体層205を再生する工程を含みうる、継続する工程前に必ずしも除去する必要はない。
【0054】
マスキング工程は代替工程として記載してきたが、当然のことながら、そのような工程は、例えば、機械的除去工程を含む本明細書に記載された他の工程と組み合わせて用いてもよい。さらに、特にマスキングおよび/または機械的除去技術の言及をしてきたが、そのような技術は、より広く半導体層205の永続的欠陥の改変方法と称されてもよいと考えられる。
【0055】
再び図1を参照すると、半導体層205の後面246の一部を除去するなどの改変工程を行った後および/またはマスキング工程の後、方法は、半導体層205の上面244の一部を形成することによりステップ111で続きうる。実施形態によると、上面の一部を形成する工程は、後面の一部および半導体層205内の少なくとも1つの永続的欠陥領域を除去した後に行われうる。場合によっては、形成工程は成長工程を含みうる。例えば、上面244を画定する面を含む半導体層205の特定の面が再生工程を受けてもよい。1つの特定の実施形態によると、上面の一部を形成する工程は、エピタキシャル工程を含みえ、より詳細には、上面244上のGaNのHVPE成長を含んでもよい。
【0056】
さらに、半導体層205の上面244の一部を形成する工程に加え、工程は、さらに欠陥247の面での再生を含みうる。特に、欠陥を効果的に閉鎖し除去するため、形成工程は、欠陥247の半導体材料の再生および融合を含んでもよい。当然のことながら、そのような形成工程は、エピタキシャル3次元成長、エピタキシャル2次元成長、およびその組み合わせを含む、異なる成長モードの使用を含んでもよい。また分かるように、成長工程は除去工程後の半導体層205の厚さにおける増加を含みうる。
【0057】
図2Dは、形成工程を開始した後の未完成の独立ウェハの一部の断面図を含む。図示されるように、半導体層205の全厚みに延びる開口部253を前もって画定した欠陥247は、本明細書の実施形態に記載の再生工程により、サイズが小さくなりうる。形成工程は、開口部253の閉鎖および欠陥247の縮小を促進し、完全に消失するような方法で、半導体層205の半導体材料の成長を含みうる。例えば、一実施形態において、開口部253の閉鎖は、開口部253における半導体層205の横方向成長により完了してもよい。
【0058】
図2Eは、実施形態による形成工程を完了した後の完成した独立ウェハの断面図を含む。特に、独立ウェハ280は、半導体層205から形成されうる。本明細書に記載の工程を完了した後、半導体層205の上面244は、従来の工程を経て形成したウェハと比べると、著しく減少した数の欠陥を有しうる。場合によっては、完成した独立ウェハは本質的に永続的欠陥がないこともありうる。
【0059】
独立ウェハ本体を適切に形成した後、それ自身を支持するため、およびその上の電子装置の形成のために適切な基板表面を与えるため、本体を十分に厚くしてもよい。例えば、独立ウェハ本体の平均厚さは、少なくとも約1mmでありうる。他の例において、本体の平均厚さは、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、または、さらに少なくとも6mmなど、少なくとも約2mmでありうる。さらに、当然のことながら、本体は、約15mm以下の平均厚さを有するように形成されうる。本体は、上記の最小および最大値のいずれかの範囲内の平均厚さを有しうる。
【0060】
独立ウェハ本体は、特定の転位密度を有するように形成されうる。独立ウェハの転位密度は、半導体層205の上面244で画定されうる本体の上面で測定することができる。転位密度を測定する適切な方法は、室温で操作されるカソードルミネッセンス顕微鏡および電子ビーム10keV、スポットサイズ70でのモノクロメータなしの多色光検出、機械は日本電子株式会社から市販されているSEM JSM−5510、の使用を含む。約10cm−2の転位密度測定に対し、倍率は4000X、面積は概して700μmである。約10cm−2の転位密度測定に対し、倍率は概して500〜1000X、面積は概して0.1mmである。
【0061】
一実施形態によると、本体は、半導体層205の上面での測定で約1×10転位/cm以下の転位密度を有しうる。他の実施形態において、独立ウェハ本体の転位密度は、約1×10転位/cm以下、約8×10転位/cm以下、または、さらに約1×10転位/cm以下など、より小さくありうる。さらに、本体は、少なくとも2×10転位/cm、少なくとも3×10転位/cm、または、さらに少なくとも5×10転位/cmなど、少なくとも約1×10転位/cmの転位密度を有してもよい。当然のことながら、本体は、上記の最小および最大値のいずれかを越えない範囲内の転位密度を有しうる。
【0062】
本明細書の実施形態は最新式からの脱却を表すものである。あるバルクGaN基板を形成してきたが、そのような工程は概して、独立ウェハの面に伝播した欠陥を含みうる独立GaN基板の形成を含む。本願は、これに限定されるものではないが、独立ウェハの形成を促進する成長パラメータおよび工程、除去工程およびパラメータ、および再生工程およびパラメータを含む、工程の特徴の組み合わせを開示する。本明細書の実施形態のウェハは、これに限定されるものではないが、オフカット角、オフカット角変動、ボウ、結晶性ボウ、TTV、厚さ、直径、表面粗さ、結晶配向、欠陥密度、減少した永続的欠陥の伝播などを含む特徴の特定の組み合わせを有しうる。さらに、本明細書の実施形態の工程は、ウェハの製造ロットの形成において有用であると証明されてきた。
【0063】
上記において、特定の実施形態およびある構成要素の接続についての表現が例示されている。当然のことながら、本明細書中で論じた方法を実行すると分かるように、結合する、または接続する構成要素の表現は、前記構成要素間の直接的接続、あるいは1つ以上の介在する構成要素を介した間接的接続を開示することを意図している。したがって、上述の要旨は例示と考えられ、制限的ではなく、添付された請求項は、本発明の真の範囲内に含まれる全てのそのような変更、強調、および他の実施形態を網羅することを意図している。したがって、法律が許す最大限の範囲で、本発明の範囲は、以下の請求項およびその等価物の許容できる最も広い解釈によって決定され、上述の発明を実施するための形態により制限または限定されるべきものではない。
【0064】
本開示の要約は、特許法に適合するように提供され、請求項の範囲または意図を解釈または限定するように使用されないであろうという理解の下で提示されている。さらに、上述の発明を実施するための形態においては、本開示を合理化するという目的のために、様々な特徴がグループ化されていても、単一の実施形態において記載されていてもよい。この開示は、クレームされた実施形態が、各請求項において明確に列挙されているよりも多くの特徴を要求するという意図を反映するものとして解釈されない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の要旨は、開示された実施形態いずれかの全ての特徴に満たないものを対象としてもよい。したがって、以下の請求項は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各独立請求項はクレームされた主題を別個に規定している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E