特許第6290181号(P6290181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6290181内燃機関からの排ガスを浄化する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290181
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】内燃機関からの排ガスを浄化する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20180226BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20180226BHJP
   B01D 53/88 20060101ALI20180226BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20180226BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20180226BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20180226BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20180226BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20180226BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20180226BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   B01D53/86 222
   B01D46/42 B
   B01D53/88
   B01D53/90
   B01J29/76 A
   B01J29/85 A
   F01N3/023 A
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301C
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-507387(P2015-507387)
(86)(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公表番号】特表2015-516882(P2015-516882A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2012057795
(87)【国際公開番号】WO2013159825
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2015年3月24日
【審判番号】不服2016-17563(P2016-17563/J1)
【審判請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】マリン・マニュエル・モリネール
(72)【発明者】
【氏名】マルティ・クリスティーナ・フランチ
(72)【発明者】
【氏名】ヒメノ・アントニオ・エデゥアルド・パロマレス
(72)【発明者】
【氏名】カーニョス・アベリノ・コルマ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネストロム・ピーター・エヌ・エア
(72)【発明者】
【氏名】グリル・マリー
(72)【発明者】
【氏名】クストフ・アルカディ
(72)【発明者】
【氏名】トーゲスン・ヨアキム・レイメ
【合議体】
【審判長】 大橋 賢一
【審判官】 宮澤 尚之
【審判官】 瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−524677(JP,A)
【文献】 特表2010−522688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/73-53/96
B01D46/00-46/54
B01J21/00-38/74
F01N3/00-3/38
F01N9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関からの排ガスを浄化する方法であって、該方法が、
該ガスをフィルターに通すことによって、その排ガス中の煤の含有量を減少させる工程、
続いて、NH−SCRにおいて活性な触媒との接触において、アンモニア又はその前駆体の存在下で窒素酸化物の含有量を減少させる工程、
該フィルター中に捕捉された煤を燃焼させ、そしてそれによって排ガスの温度を最大850℃まで高めることによって、該フィルターを周期的に再生する工程、及び
該フィルターの再生の間、該フィルターからの排ガスをNH−SCRにおいて活性な触媒に通過させる工程であって、その際、該触媒が、AEI型骨格を有し、そして銅で促進された、熱水的に微小孔安定なアルミノシリケートゼオライトSSZ−39を含む、該工程、
を含む、上記の方法。
【請求項2】
前記アルミノシリケートゼオライトSSZ−39の銅とアルミニウムとの原子比が0.01〜1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルミノシリケートゼオライトSSZ−39について、ケイ素とアルミニウムとの原子比が5〜50である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記NH−SCRにおいて活性な触媒が、750℃の温度及び前記排ガス中の100%の水蒸気含有量に13時間曝された後に、300℃における窒素酸化物の初期の還元率の80%が維持される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
600℃のエージング後に初期の微小孔率の少なくとも80〜90%が維持され、そして750℃のエージング後に少なくとも30〜40%が維持される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
強制再生可能な微粒子捕集フィルター及びAEI型骨格を有し、そして銅で促進された熱水的に微小孔安定なアルミノシリケートゼオライトSSZ−39を含むSCR触媒を含む、排ガス浄化システム。
【請求項7】
前記SCR触媒が、前記微粒子捕集フィルターに組み入れられる、請求項に記載の排ガス浄化システム。
【請求項8】
前記アルミノシリケートゼオライトSSZ−39について、銅とアルミニウムとの原子比が0.01〜1である、請求項6又は7に記載の排ガス浄化システム。
【請求項9】
前記アルミノシリケートゼオライトSSZ−39について、ケイ素とアルミニウムとの原子比が5〜50である、請求項6〜8のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
【請求項10】
前記SCR触媒が、750℃の温度及び前記排ガス中の100%の水蒸気含有量に13時間曝された後に、300℃における窒素酸化物の初期の還元率の80%が維持される、請求項6〜9のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
【請求項11】
前記SCR触媒が、600℃のエージング後に初期の微小孔率の少なくとも80〜90%が維持され、そして750℃のエージング後に初期の微小孔率の少なくとも30〜40%が維持される、請求項6〜10のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
【請求項12】
前記SCR触媒が、モノリシック支持構造体上に堆積される、請求項6〜11のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害な化合物の除去又は低減の観点における、内燃エンジンからの排ガスの処理後に関する。より詳細には、本発明は、リーンバーン内燃機関、特にディーゼルエンジンからの排ガス中の粒状物質の除去及び窒素酸化物の低減に焦点を当てている。
【背景技術】
【0002】
リーンバーンエンジンは、エネルギー効率が良いことで知られているが、除去しなければならないか、もしくは少なくとも排ガス中において少なくとも減少しなければならない粒状物質及び窒素酸化物を形成するという欠点を有する。
【0003】
環境汚染を防ぎ、そしていくつかの行政の要求を満たすために、最新のディーゼルエンジンには、揮発性の有機化合物を除去するための酸化触媒、粒状物質を除去するための微粒子捕集フィルター、及び窒素酸化物(NOx)の選択的還元に活性な触媒を順次含む排ガス浄化システムが設けられている。
【0004】
また、SCR触媒を微粒子捕集フィルターに組み入れることも知られている。
【0005】
排ガス中のNOxの選択的接触還元は、通常、それ自体か又はその前駆体として導入されたアンモニアとの反応によって達成され、アンモニア又はその前駆体は、窒素酸化物、大抵は二酸化窒素及び一酸化窒素(NOx)を窒素に選択的接触還元するためのSCR触媒の上流で排ガス中に投入される。
【0006】
この目的のために、数多くの触媒組成物が文献に開示されている。
【0007】
近年、銅又は鉄で促進されたゼオライトは、特に、自動車用途における使用に大きな関心が示されてきた。
【0008】
NH−SCR用途のための銅を含有するゼオライト触媒は、低温において高い活性を示してきた。しかしながら、ある用途においては、その触媒は、排ガス中で高温の変動に曝される場合がある。さらに、排ガスは燃焼機関由来の高濃度の水蒸気を含み、それがゼオライト触媒の性能を劣化させる場合がある。触媒を失活させ得る一つの機構が、ゼオライトの骨格構造の熱水条件に対する不安定さに起因するその分解であり、その不安定さは銅の存在によってさらに強められるため、熱水安定性は銅をベースとするゼオライト触媒に関する課題である。
【0009】
NH−SCR用途における銅を含有するゼオライト触媒の失活は、典型的には、ゼオライトの骨格構造の熱水条件に対する不安定さに起因するその構造の分解に起因しており、その不安定さは銅の存在によってさらに強められる。しかしながら、触媒が水を含有する排ガス流における高温の変動を経る自動車用途には、その安定性は特に重要である。
【0010】
煤が堆積したフィルターにわたる圧力の上昇を防ぐために、周期的に、強制的に再生しなければならない微粒子捕集フィルターが設けられた排ガス浄化システムにおいては、触媒の失活は特に問題である。
【0011】
強制再生は、捕捉された煤の燃焼によって行われる。その再生は、酸化触媒の上流で燃料を排ガス中に投入するか、又は微粒子捕集フィルターを電気加熱することによって開始することができる。
【0012】
強制再生の間、フィルターの出口における排ガスの温度は850℃超に達し、そしてフィルター中に捕捉された煤の量に応じて、10〜15分の時間の周期の間、水蒸気の含有量は15%超及び100%にまで達する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,958,370号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】J. Chen, J. M. Thomas, P. A. Wright, R. P. Townsend, Catal. Lett. 28 (1994) [241−248]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
微粒子捕集フィルターを用いて粒状物質を、及びその微粒子捕集フィルターの強制再生の間に、高温及び高い水蒸気濃度に曝される時に、熱水安定性の触媒との接触における窒素酸化物の選択的接触還元によって窒素酸化物のようなリーンバーン内燃機関由来の有害な化合物を除去するための方法を提供することが、本発明の一般的な目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のその目的が、AEI型骨格を有する熱水的に安定なゼオライト又はゼオタイプであって、そのゼオライト又はゼオタイプ中に銅が存在する場合であっても熱水によるエージング条件下で骨格構造が保たれる、該ゼオライト又はゼオタイプを使用することによって達成できることを本発明者等は見出した。
【0017】
上記の知見に従って、本発明は、
排ガスを微粒子捕集フィルターに通すことによって、その排ガス中の煤の含有量を減少させる工程、
続いて、NH3−SCRにおいて活性な触媒との接触により、アンモニア又はその前駆体の存在下で窒素酸化物の含有量を減少させる工程、
該フィルター中に捕捉された煤を燃焼し、そしてそれによって排ガスの温度を最大850℃まで高めかつ水蒸気含有量を最大100体積%まで高めることによって、該フィルターを周期的に再生する工程、及び
該フィルターの再生の間、該フィルターからの排ガスを触媒に通過させる工程であって、その際、該触媒が、AEI型骨格を有し、そしてその骨格中に銅が組み入れられた、熱水的に安定なゼオライト及び/又はゼオタイプを含む、該工程、
を含む、内燃機関からの排ガスを浄化する方法を提供する。
【0018】
“熱水的に安定な”とは、ゼオライト及びゼオタイプの触媒が、少なくとも600℃の温度及び100体積%までの水蒸気含有量に13時間曝された後に、該触媒が初期の表面積の少なくとも80〜90%及び微小孔体積の80〜90%を、そして、少なくとも750℃の温度及び100体積%までの水蒸気含有量に13時間曝された後に、初期の表面積及び微小孔体積の少なくとも30〜40%を維持する能力を有することを意味する。
【0019】
好ましくは、AEI型骨格を有する熱水的に安定なゼオライト又はゼオタイプは、ケイ素とアルミニウムとの原子比が、ゼオライトについて5〜50、あるいは、ゼオタイプについて0.02〜0.5である。
【0020】
本発明の使用のために最も好ましいゼオライト触媒又はゼオタイプ触媒は、ゼオライトのSSZ−39及びゼオタイプのSAPO−18であり、いずれも浸漬、液体イオン交換又は固体イオン交換によって銅が導入された“AEI”骨格構造を有する。
【0021】
銅とアルミニウムとの原子比は、ゼオライトの場合約0.01〜約1であることが好ましい。ゼオタイプの場合、銅とケイ素の好ましい原子比は、相応して0.01〜約1である。
【0022】
本発明で採用される上述の触媒を利用することにより、750℃におけるエージング後、Cu−CHA触媒の20%と比較して、250℃におけるNOxの初期の還元率の80%が維持される。
【0023】
したがって、本発明の実施形態において、触媒が、750℃の温度及び排ガス中の100%の水蒸気含有量に13時間曝された後に、250℃における窒素酸化物の初期の還元率の80%が維持される。
【0024】
本発明は、さらに、強制再生可能な微粒子捕集フィルター、及びAEI型骨格を有し、そして銅で促進された、熱水的に微小孔安定なゼオライト及び/又はゼオタイプを含むSCR触媒を含む、排ガス浄化システムを提供する。
【0025】
本発明による排ガス浄化システムの一実施形態において、SCR触媒は微粒子捕集フィルターに組み入れられる。
【0026】
さらなる実施形態において、銅とアルミニウムとの原子比は、ゼオライトの場合約0.01〜約1であり、そして、ゼオタイプの場合、銅とケイ素との原子比は0.01〜約1である。
【0027】
別の実施形態において、SCR触媒におけるケイ素とアルミニウムとの原子比は、ゼオライトの場合5〜50であり、そしてゼオタイプの場合0.02〜0.5である。
【0028】
さらなる実施形態において、SCR触媒は、その触媒が、750℃の温度及び排ガス中の100%の水蒸気含有量に13時間曝された後に、250℃における窒素酸化物の初期の還元率の80%を維持する。
【0029】
さらなる実施形態において、SCR触媒は、600℃のエージング後に、初期の微小孔率の80〜90%を、そして、750℃のエージング後に、初期の微小孔率の30〜40%を維持する。
【0030】
別の実施形態において、SCR触媒は、アルミノシリケートゼオライトSSZ−39及び/又はシリコアルミノリン酸塩SAPO−18である。
【0031】
上記の実施形態において、SCR触媒は、モノリシック支持構造体上に堆積させることができる。
【0032】
Cu−SSZ−39触媒系は、同様のSi/Al比と比較した場合、典型的な“従来の”Cu−SSZ−13と比較して、改善された性能を示した。
本発明の特徴は次の通りである。
1. 内燃機関からの排ガスを浄化する方法であって、該方法が、
該ガスをフィルターに通すことによって、その排ガス中の煤の含有量を減少させる工程、
続いて、NH3−SCRにおいて活性な触媒との接触において、アンモニア又はその前駆体の存在下で窒素酸化物の含有量を減少させる工程、
該フィルター中に捕捉された煤を燃焼させ、そしてそれによって排ガスの温度を最大850℃まで高めかつ水蒸気含有量を最大100体積%まで高めることによって、該フィルターを周期的に再生する工程、及び
該フィルターの再生の間、該フィルターからの排ガスをNH3−SCRにおいて活性な触媒に通過させる工程であって、その際、該触媒が、AEI型骨格を有し、そして銅で促進された、熱水的に微小孔安定なゼオライト及び/又はゼオタイプを含む、該工程、
を含む、上記の方法。
2. 前記ゼオライトのための銅とアルミニウムとの原子比が0.01〜1であり、そして、前記ゼオタイプのための銅とケイ素との原子比が0.01〜1である、上記の特徴1に記載の方法。
3. 前記ゼオライトについて、ケイ素とアルミニウムとの原子比が5〜50であり、そして前記ゼオタイプについて、それが0.02〜0.5である、上記の特徴1又は2に記載の方法。
4. 前記NH3−SCRにおいて活性な触媒が、750℃の温度及び前記排ガス中の100%の水蒸気含有量に13時間曝された後に、250℃における窒素酸化物の初期の還元率の80%が維持される、上記の特徴1〜3のいずれか一つに記載の方法。
5. 600℃のエージング後に初期の微小孔率の少なくとも80〜90%が維持され、そして750℃のエージング後に少なくとも30〜40%が維持される、上記の特徴1〜4のいずれか一つに記載の方法。
6. 前記NH3−SCRにおいて活性な触媒が、アルミノシリケートゼオライトSSZ−39及び/又はシリコアルミノリン酸塩SAPO−18である、上記の特徴1〜5のいずれか一つに記載の方法。
7. 能動的再生可能な微粒子捕集フィルター及びAEI型骨格を有し、そして銅で促進された熱水的に微小孔安定なゼオライト及び/又はゼオタイプを含むSCR触媒を含む、排ガス浄化システム。
8. 前記SCR触媒が、前記微粒子捕集フィルターに組み入れられる、上記の特徴7に記載の排ガス浄化システム。
9. 前記ゼオライトについて、銅とアルミニウムとの原子比が0.01〜1であり、そして、前記ゼオタイプについて、銅とケイ素との原子比が0.01〜1である、上記の特徴7又は8に記載の排ガス浄化システム。
10. 前記ゼオライトについて、ケイ素とアルミニウムとの原子比が5〜50であり、そして前記ゼオタイプについて、それが0.02〜0.5である、上記の特徴7〜9のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
11. 前記SCR触媒が、750℃の温度及び前記排ガス中の100%の水蒸気含有量に13時間曝された後に、250℃における窒素酸化物の初期の還元率の80%が維持される、上記の特徴7〜10のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
12. 前記SCR触媒が、600℃のエージング後に初期の微小孔率の少なくとも80〜90%が維持され、そして750℃のエージング後に初期の微小孔率の少なくとも30〜40%が維持される、上記の特徴7〜11のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
13. 前記SCR触媒が、アルミノシリケートゼオライトSSZ−39及び/又はシリコアルミノリン酸塩SAPO−18である、上記の特徴7〜12のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
14. 前記SCR触媒が、モノリシック支持構造体上に堆積される、上記の特徴7〜13のいずれか一つに記載の排ガス浄化システム。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】本発明による、か焼後のCu−SSZ−39の粉末X線回折のパターンを示す図である。
図1B】本発明による、か焼後のCu−SSZ−39の粉末X線回折のパターンを示す図である。
図2】反応器から出るガス中に存在するNOxの転化率を示す図である。
図3】本発明による、反応器から出るガス中に存在するNOxの転化率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施例1:Cu−SSZ−39触媒の調製
有機テンプレートとして1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムを用いて、米国特許第5,958,370号明細書(特許文献1)に記載されるのと同様の方法で、骨格型コードAEIを有するゼオライトSSZ−39を合成した。次の組成、すなわち、30Si:1.0Al:0.51NaOH:5.1OSDA:600HO、を有するゲルを、135℃で7日間オートクレーブ処理し、生成物をろ過し、水で洗浄し、空気中で乾燥及びか焼した。最終的なSSZ−39は、ICP−AESで測定したSi/Al=9.1を有していた。
【0035】
Cu−SSZ−39を得るために、か焼したゼオライトを、Cu(CHCOO)とイオン交換して、か焼後のCu/Al=0.52を有する最終的な触媒を得た。
【0036】
か焼後のCu−SSZ−39の粉末X線回折(PXRD)パターンを図1に示す。
【0037】
実施例2:触媒の試験
500ppmのNO、533ppmのNH、7%のO、N中の5%HOからなる、300mL/分の全流量を用いてエンジン排ガス流をシミュレーションするために、NOxの選択的接触還元率について、試料の活性を固体床反応器中で試験し、40mgの触媒が試験された。
【0038】
反応器から出るガス中に存在するNOxを連続的に分析し、そして転化率を図2に示す。
【0039】
実施例3:熱水耐久性の試験
ゼオライトの熱水安定性を試験するために、試料に蒸気処理を行った。600℃もしくは750℃で13時間、慣用的な炉中で試料を水の供給(2.2mL/分)に曝し、そしてその後、実施例2と同様に試験した。
【0040】
触媒の結果もまた、図2に見られる。熱水処理を経た試料は、熱水処理の間に用いた温度に応じて、600もしくは700℃で印を付した。
【0041】
処理された全ての試料に対して、さらなる特徴付けも行った。熱水処理後のPXRDパターンを図1に示し、そして、処理した試料のBET表面積、微小孔面積、及び微小孔体積を以下の表1にまとめた。
【0042】
実施例4:Cu−CHA(Cu−SSZ−13)との比較例
分子組成、SiO:0.033Al:0.50OSDA:0.50HF:3HO(ここで、OSDAはN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドである。)を有するゲルから、Cu−CHAゼオライトを調製した。
【0043】
このゲルを、150℃で3日間、回転下でオートクレーブ処理し、洗浄、乾燥及びか焼後にSi/Al=12.7を有する最終的なゼオライト生成物が得られた。
【0044】
Cu−CHAを得るために、か焼したゼオライトを、Cu(CHCOO)とイオン交換し、か焼後のCu/Al=0.54を有する最終的な触媒を得た。
【0045】
か焼後のCu−CHAの粉末X線回折(PXRD)パターンを図1に示す。
【0046】
この触媒もまた、実施例2に従って試験し、そして実施例3と同様に、熱水耐久性を評価した。その触媒の結果を図面の図2にまとめる。処理したCHA試料のPXRDパターンを図1に示し、そして、組織の特性(BET表面積、微小孔体積及び微小孔面積)を表1にまとめる。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例5:Cu−SAPO−18
骨格型コードAEIを有するシリコアルミノリン酸塩SAPO−18を、[J. Chen, J. M. Thomas, P. A. Wright, R. P. Townsend, Catal. Lett. 28 (1994) [241−248](非特許文献1)に従って合成し、2重量%のCuを浸漬させた。最終的なCu−SAPO−18触媒を、10%HO及び10%O中、750℃で熱水的に処理し、そして、実施例2に与えられたのと同じ条件下で試験した。結果を、図面の図2に示す。
図1A
図1B
図2
図3