(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態1における呼気測定装置を、添付図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
<1.構成>
(呼気測定装置の概要)
図1は、呼気測定装置の一例であって、喘息検出に関連性がある呼気中に含まれる一酸化窒素を測定する呼気測定装置である。
【0014】
本実施の形態の呼気測定装置は、
図1に示すようにハンドル部1と、ハンドル部1とチューブ2によって接続された測定装置本体3とを備えている。
ハンドル部1は、使用者が呼気を吹込むための構成であり、ハンドル部1から呼気が吹き込まれる。このハンドル部1には、チューブ2の一端2aが接続され、また、このチューブ2の他端2bには、吹き込まれた呼気を測定するための測定装置本体3が接続されている。つまり、ハンドル部1はチューブ2を介して測定装置本体3に接続されている。
【0015】
(測定装置本体3)
図2は、本実施の形態の呼気測定装置の測定装置本体3の構成を示す図である。
測定装置本体3には、
図2に示すように、フローレギュレータ4と、チャンバ5と、吸排気孔6a、6bと、センサ7と、ポンプ8と、切り替えバルブ18と、本体ケース30と、開放流路60(
図6〜
図9参照)とを有している。
【0016】
フローレギュレータ4は、ハンドル部1の下流に設けられ、ハンドル部1から吹込まれた呼気の流量を調整する。チャンバ5は、フローレギュレータ4の下流に設けられ、呼気を一時的に溜め込む。吸排気孔6a、6bは、チャンバ5に設けられた貫通孔であり、同フローレギュレータ4を大気圧に開放する。ポンプ8は、チャンバ5の下流に設けられており、チャンバ5内に溜め込まれた呼気をセンサ7に送り込む。切り替えバルブ18は、チャンバ5とポンプ8との間に設けられており、測定対象である呼気をセンサ7に流したり、センサ7の初期設定を行なうために一酸化窒素が含まれていない気体をセンサ7に流したりする。センサ7は、所定の流量に調整された呼気に含まれる一酸化窒素の量を測定する。
【0017】
また、上述したフローレギュレータ4、チャンバ5、吸排気孔6a、6b、センサ7、ポンプ8、及び切り替えバルブ18は、本体ケース30に収納されている。
(フローレギュレータ4)
図3は、本実施の形態のフローレギュレータ4の構成を示す図である。呼気中に含まれる一酸化窒素を測定するために呼気の流量を調整するフローレギュレータ4は、呼気流入部9と、呼気流出部10と、調整部11と、駆動部12と、流入部圧力センサ13と、流出部圧力センサ14と、フローレギュレータ制御部15とを有している。
【0018】
呼気流入部9は、チューブ2の他端2bと接続されており、ハンドル部1側からチューブ2を介して呼気が流入する。
呼気流出部10は、呼気流入部9と連通孔31を介して連通しており、チャンバ5に接続されている。呼気流入部9に流入した呼気が、呼気流出部10からチャンバ5へと流出する。このように、フローレギュレータ4に流入した呼気は、ハンドル部1側の呼気流入部9と、チャンバ5側の呼気流出部10とを通って、チャンバ5へと流出する。
【0019】
(調整部11)
調整部11は、呼気流入部9と呼気流出部10との路間に配置されており、呼気の流量を調整する。駆動部12は、調整部11を可動させる。より詳細には、調整部11は、弁体32と、軸部33を有している。弁体32は、呼気流入部9に配置されており、連通孔31を通して連通孔31と略垂直に配置された軸部33に固定されている。軸部33が駆動部12に連結されており、駆動部12によって軸部33はその軸方向に移動可能である。
【0020】
弁体32は、円盤状の第1部分32aと、円錐台形状の第2部分32bを有している。第1部分32aの連通孔31側の面に、第2部分32bが設けられている。第2部分32bは、呼気流入部9から呼気流出部10に向かって径が細くなるように形成されている。第2部分32bの最大径は、第1部分32aの径よりも小さく形成されている。第2部分32bの呼気流出部10側の端に軸部33が連結されている。
【0021】
第1部分32aの第2部分32bより突出した部分が、弁体32のツバ部16を形成する。ツバ部16が連通孔31の周囲の壁部17に当接することによって、連通孔31が弁体32によって塞がれて呼気流入部9と呼気流出部10が分離される。ツバ部16は、その連通孔31側に、ゴム等の材料によって形成された弾性部材32a1を有している。この弾性部材32a1は、第2部分32bの周囲を取り囲むようにリング状に形成されている。
【0022】
一方、連通孔31の周囲の壁部17には、壁部17から弁体32に向かって突出した突出部35が形成されている。この突出部35は、連通孔31を囲むようにリング状に形成されている
駆動部12による軸部33の呼気流出部10側への移動により、弁体32によって連通孔31が閉じられた状態では、弾性部材32a1は、突出部35及び壁部17に当接している。また、連通孔31を塞いだ状態から弁体32が呼気流入部9側へと移動すると、その移動に伴って連通孔31に配置される第2部分32bの径が除々に小さくなり、より多くの呼気が呼気流入部9から呼気流出部10へと移動する。このように、呼気流入部9側への弁体32の移動によって、呼気流入部9から呼気流出部10へと移動する呼気の量を除々に増やすことが出来る。
【0023】
流入部圧力センサ13は、調整部11の呼気流入部9側に配置されており、呼気流入部9内の圧力を検出する。
流出部圧力センサ14は、調整部11の呼気流出部10側に配置されており、呼気流出部10内の圧力を検知する。
フローレギュレータ制御部15は、駆動部12を制御する。
【0024】
(フローレギュレータ制御部15)
図4は、本実施の形態の呼気測定装置を示すブロック図である。
図4に示すように、フローレギュレータ制御部15は、第1オフセット調整部40と、電圧差検出部41と、判定部42と、第2オフセット調整部43とを有している。
第1オフセット調整部40は、駆動部12を動作させて弁体32によって連通孔31を塞ぐことによって呼気流入部9と呼気流出部10を分離させた後に、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14のオフセット調整(第1オフセット調整の一例)を行う。
【0025】
電圧差検出部41は、駆動部12を動作させて弁体32を壁部17から離間させ、呼気流入部9と呼気流出部10を連通させる。電圧差検出部41は、この連通状態における流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の出力電圧の差を演算し、出力電圧差を検出する。
判定部42は、電圧差検出部41によって求められた出力電圧差に基づいて、流入部圧力センサ13に対して更なるオフセット調整を行うか否かを判定する。判定部42は、出力電圧差が略0(ゼロ)の場合には、更なるオフセット調整を行わないと判定する。ここで、略0(ゼロ)とは、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の出力電圧の差がそれぞれの誤差範囲内であることを意味する。
【0026】
第2オフセット調整部43は、判定部42によって更なる第2オフセット調整を行うと判定された場合に、出力電圧差を用いて流入部圧力センサ13のオフセット調整を行う(第2オフセット調整の一例)。
(チャンバ5)
図5は、チャンバ5の模式図である。
図6は、チャンバ5の外観図であり、後述する開放流路60の天板64を取外した状態を示す図である。
【0027】
図5に示すように、チャンバ5は、略直方体形状の容器50と、その容器50に形成されたフローレギュレータ4からの流入口51とを有している。容器50の内部には、
図5に示すように流入口51から蛇行経路52が形成され、蛇行経路52の中間部分には切り替えバルブ18への流出口53が形成されている。また、蛇行経路52の始点側と終点側には、それぞれ吸排気孔6a、6bが形成されている。尚、
図2では、チャンバ5内の蛇行経路52の構成は省略されている。又、
図6に示すようにチャンバ5の上面には、後述する開放流路60が形成されているが、
図5では、チャンバ5の内部構成を説明しやすいように省略されている。
【0028】
流入口51、流出口53、及び吸排気孔6a、6bの位置について更に詳しく説明する。
略直方体形状の容器50は、対向する略矩形状の平面と、その平面の間に、それらに対して垂直に設けられた側面とを有している。
容器50は、対向する面のうちの一方の面が本体ケース30の面30aの内側と接触して本体ケース30に固定されている。
図6では、容器50の対向する面のうち面30aと接触していない平面が50aとして示されている。尚、実際にはチャンバ5の全体を収納するように本体ケース30は設けられているが、
図6ではチャンバ5の外観を示すために本体ケース30の一部(
図1における上側部分)が省略されている。
【0029】
また、
図5に示すように、平面50aと略垂直な面のうち、平面50aの長辺と繋がっている2つの面を50b、50cとし、平面50aの短辺と繋がっている2つの面を50d、50eとする。尚、側面50bと側面50cは対向しており、側面50dと側面50eは対向している。
蛇行経路52は、側面50bから側面50cに向かって平面50aと垂直に形成された複数の板状の壁部52aと、側面50cから側面50bに向かって平面50aと垂直に形成された複数の板状の壁部52bによって形成されている。尚、壁部52aと壁部52bは側面50dから側面50eの方向に沿って交互に配置されている。
【0030】
流入口51は、側面50bの側面50d側の端に設けられている。
吸排気孔6a、6bは平面50aに形成された貫通孔である。吸排気孔6aは、
図5に示すように側面50cと側面50dの角近傍に設けられており、いいかえると吸排気孔6aは流入口51と対向する位置に配置されている。吸排気孔6bは、側面50cと側面50eの角近傍に設けられている。流出口53は、平面50aの側面50b側であって、長辺の中央近傍に配置されている。
【0031】
(開放流路60)
図7は、開放流路60の平面図であり、チャンバ5を
図6における上方から見た図である。
面30aには、
図6及び
図7に示すように、本体ケース30の内部と外部を接続する4つの吸排気孔30bが形成されている。
【0032】
開放流路60は、上述したチャンバ5の吸排気孔6a、6bと吸排気孔30bを接続する流路である。開放流路60は、上記4つの吸排気孔30bのうち2つの吸排気孔30b(
図7中右側)と吸排気孔6aとを繋ぐ流路A601と、残り2つの吸排気孔30b(
図7中左側)と吸排気孔6bとを繋ぐ流路B602を有している。
より詳細には、流路A601は、吸排気孔6aと繋がっている第1流路60aと、第1流路60aと2つの吸排気孔30b(
図7中右側)と繋がっている第3流路60cとを有し、流路B602は、吸排気孔6bと繋がっている第2流路60bと、第2流路60bと残り2つの吸排気孔30b(
図7中左側)と繋がっている第4流路60dとを有している。
【0033】
第1流路60aと第2流路60bは平面50aに形成されており、第3流路60cと第4流路60dは側面50bに形成されている。
第1流路60aと第2流路60bは、平面50aと、平面50a上に突出して設けられたリブ61と、リブ61を覆うように配置された天板62によって形成されている。
第3流路60cと第4流路60dは、側面50bと、側面50b上に突出して設けられたリブ63と、リブ63を覆うように配置された天板64によって形成されている。リブ61とリブ63は連結されている。
【0034】
第3流路60c及び第4流路60dは、流出口53の側面50e側に配置されており、平面50aから面30aに向かって平面50aに対して略垂直に形成されている。
第1流路60aは、吸排気孔6aから側面50bに向かって形成された第1部分60a1と、第1部分60a1の先端から側面50eに向かって形成された第2部分60a2と、第2部分60a2の先端から側面50bに向かうように形成された第3部分60a3と、第3部分60a3の先端から第3流路60cまで側面50bに向かって側面50bと略垂直に形成された第4部分60a4とを有している。
【0035】
第2流路60bは、吸排気孔6bから側面50dに向かって形成された第1部分60b1と、第1部分60b1の先端から折り返して側面50eに向かって形成された第2部分60b2と、第2部分60b2の先端から側面50bに向かうように形成された第3部分60b3と、第3部分60b3の先端から第3流路60cまで側面50bに向かって形成された第4部分60b4とを有している。
【0036】
このように、気体の流通方向が変わるように開放流路60が形成することによって、外気の変化が呼気流出部10に伝わり難くなり、外気の変化による流出部圧力センサ14の検出値の変動を抑えることが出来る。
具体的には、例えば、外部の圧力の変動などによってチャンバ5の内部の圧力が外部の圧力よりも高くなった場合には、チャンバ5の内部から外部へと気体が流れ出すことになる。この状態が、
図8に示されている。吸排気孔6aから流れ出した気体は、天板62(
図8のP1部分)に当り、その向きを変えて第1部分60a1へと流れ込む。そして、第1部分60a1を流通する気体は、第1部分60a1から第2部分60a2の折れ曲がり部分でリブ61(
図8のP2部分)に当り、その向きを変えて第2部分60a2へと流れ込む。第2部分60a2を流通する気体は、第3部分60a3でリブ61(
図8のP3部分)に当り、その向きを変えて第4部分60a4へと流れ込む。第4部分60a4を流通し、天板64(
図8のP4部分)に当った後、その方向を変えて第3流路60cを流通して吸排気孔6bから外部へと排出される。
【0037】
また、吸排気孔6bから流れ出した気体は、はじめに天板62(
図8のP5部分)に当り、その向きを変えて第1部分60b1へと流れ込む。そして、第1部分60b1を流通する気体は、第1部分60b1から第2部分60b2の折れ曲がり部分でリブ61(
図8のP6部分)に当り、その向きを変えて第2部分60b2へと流れ込む。第2部分60b2を流通する気体は、第3部分60b3でリブ61(
図8のP7部分)に当り、その向きを変えて第4部分60b4へと流れ込む。第4部分60b4を流通して天板64(
図8のP8部分)に当った気体は、方向を変えて第4流路60dを流通して吸排気孔6bから外部へと排出される。
【0038】
一方、例えば、外部の圧力が大きくなった場合、外部から気体(空気)が流れ込むことになる。この状態が、
図9に示されている。
図9中右側の2つの吸排気孔30bから流れ込んだ気体は、第3流路60cを流通した後、天板62(
図9のQ1部分)に当り、その向きを変えて第4部分60a4へと流れ込む。そして、第4部分60a4を流通する気体は、第3部分60a3でリブ61(
図9のQ2部分)に当り、その向きを変えて第2部分60a2へと流れ込む。第2部分60a2を流通する気体は、第2部分60a2と第1部分60a1の折れ曲がり部分でリブ61(
図9のQ3部分)に当り、その向きを変えて第1部分60a1へと流れ込む。そして、第1部分60a1を流通してリブ61(
図9のQ4部分)に当った気体は、方向を変えて吸排気孔6bへと流入する。
【0039】
又、
図6中左側の2つの吸排気孔30bから流れ込んだ気体は、第4流路60dを流通した後、天板62(
図9のQ5部分)に当り、その向きを変えて第4部分60b4へと流れ込む。そして、第4部分60b4を流通する気体は、第3部分60b3でリブ61(
図9のQ6部分)に当り、その向きを変えて第2部分60b2へと流れ込む。第2部分60b2を流通する気体は、第2部分60b2と第1部分60b1の折曲がり部分でリブ61(
図9のQ7部分)に当り、その向きを変えて第1部分60b1へと流れ込む。そして、第1部分60b1を流通してリブ61(
図9のQ8部分)に当った気体は、方向を変えて吸排気孔6bへと流入する。
【0040】
尚、
図8及び
図9に示す説明では、気体が当り方向を変える部分のうち主要な部分だけを述べており、実際には、流路のあらゆる部分に気体は当っている。例えば、
図8において、P4部分に当った気体は、
図9に示すQ1部分にも当りながら吸排気孔30bへと流れ込む。また、
図9において、Q4部分に当った気体は、
図8に示すP1部分にも当りながら吸排気孔6aへと流れ込む。
【0041】
このように、チャンバ5から測定装置本体3の外部へと気体が出て行く場合と、外部からチャンバ5へと気体が流入する場合のどちらの場合であっても、気体は、天板62、64又はリブ61、63に当りながら方向を変えなければ出入り出来ないため、外気の変動が直接チャンバ5の内部には伝わらず、内部に与える影響を低減することが出来る。
また、開放流路60には、少なくとも吸排気孔6a、6bと対向する位置又は、吸排気孔30bと対向する位置に、開放流路60を構成する壁部分(例えば、P1、P4、Q1、Q4部分)が形成されている。このため、吸排気孔6a、6bから吸排気孔30bに向かって気体が移動する場合、又は吸排気孔30bから吸排気孔6a、6bに向かって気体が移動する場合であっても、気体は壁部に当り、その流通する向きを大きく変えられるため、外部の影響が直接的にチャンバ5の内部に影響を及ぼすことを防ぐことが出来る。
【0042】
(全体の制御構成)
尚、
図4に示すように、本実施の形態の呼気測定装置は、切り替えバルブ18、ポンプ8、センサ7を制御する制御部44を備えている。この制御部44は、フローレギュレータ制御部15と接続されており、例えば、第1オフセット調整部40からの信号を受けて、切り替えバルブ18の制御を行う。
【0043】
<2.動作>
上記構成の呼気測定装置を用いて、使用者が呼気中の一酸化窒素を測定する場合、測定を開始するというシグナル、例えば、呼気測定装置の電源をオンにすることをトリガーとして、呼気測定前にフローレギュレータ4を構成している流入部圧力センサ13と、流出部圧力センサ14の零点補正が行われる。
図10は、本実施の形態の呼気測定装置の零点補正の制御動作を説明するフロー図である。
【0044】
以下、その零点補正について、
図2〜
図10を用いて、説明する。
フローレギュレータ制御部15の第1オフセット調整部40は、上記トリガーにより、呼気中の一酸化窒素を測定する前に、調整部11を可動させて、調整部11を構成しているツバ部16と、呼気流入部9と呼気流出部10との間に形成されている壁部17とを当接させる。これにより、呼気流入部9と呼気流出部10が分離状態となる。
【0045】
更に、切り替えバルブ18にて、チャンバ5とセンサ7(ポンプ8)の連結路が一旦遮断される(S2)。このS2では、S1における調整部11の可動完了後に第1オフセット調整部40から制御部44へと可動完了信号が送信され、制御部44が切り替えバルブ18による遮断の制御を行う。
そして、第1オフセット調整部40が、呼気流入部9と呼気流出部10とが分離した状態において、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14を用いて、呼気流入部9と呼気流出部10の圧力を測定し、これら第1の測定結果が、第1オフセット調整部40に出力され、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14のオフセット調整が行われる(S3〜S6)。
【0046】
ここで、呼気流出部10と連結しているチャンバ5には、内部の圧力を一定に保つために、大気圧に開放する吸排気孔6a、6bが設けられている。そして、チャンバ5の下流側に配置されている切り替えバルブ18にてセンサ7(ポンプ8)方向への連結路が遮断されているために、呼気流出部10と、チャンバ5とは、大気圧となっている。
その状態(呼気流出部10が大気圧環境状態)にて、呼気流出部10の圧力が測定され、
その測定結果が第1オフセット調整部40に出力され(S3)、出力された測定結果に基づいて、第1オフセット調整部40は、流出部圧力センサ14のオフセット調整を行う(S4)。
【0047】
次に、呼気流入部9の圧力が測定され、その測定結果が第1オフセット調整部40に出力され(S5)、出力された測定結果に基づいて、第1オフセット調整部40は、流入部圧力センサ13のオフセット調整を行う(S6)。
次に、電圧差検出部41が、調整部11を可動させて、呼気流入部9と呼気流出部10が結合(連結ともいう)した状態とされる(S7)。
【0048】
その後、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14を用いて、呼気流入部9と呼気流出部10の圧力が測定され、第2の測定結果が電圧差検出部41に出力される(S8、S9)。
上記第1の測定結果と第2の測定結果を用いて、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の零点補正が行われる。
【0049】
次に、上記S3〜S9について、
図11も参照しながら詳細に説明する。
図11において、線19は、圧力センサの基準特性であり、20は、オフセット範囲である。ここで、基準特性とは、所定既知の圧力環境下において、理論上、圧力センサが出力する出力電圧を意味しており、オフセット範囲とは、所定既知の圧力環境下において、圧力センサが出力電圧として出力するバラツキ幅を意味する。
【0050】
本実施の形態においては、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14は、同じタイプの圧力センサであり、
図11に示している基準特性(線19)、オフセット範囲20を有しているものであり、この
図11を用いて、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の零点補正について説明する。
まず、呼気流入部9と呼気流出部10とが分離した状態において、呼気流出部10の圧力が流出部圧力センサ14によって測定される(S3)。ここで、呼気流出部10の圧力は、大気圧(P
0)であるので、流出部圧力センサ14の基準特性より、出力電圧は、V
0(点z)と出力されるはずである。しかしながら、実測値としては、出力電圧V
1(点a)として出力されている。理論上、大気圧(P
0)という概知の圧力環境下では、出力電圧は、V
0(点z)と出力される必要があるため、大気圧(P
0)で出力される出力電圧がV
1からV
0になるように基準特性のオフセット調整が行われる(S4)。
【0051】
すなわち、オフセット調整が行われる前の状態では、流出部圧力センサ14の特性は、線19´によって示される。線19´は、y=ax+b
1(x、yは変数)と表すことが出来る。ここで、a×P
0+b
1=V
1となるため、P
0の場合にV
0の値を示すように、y=ax+b
1+(V
0―V
1)と、流出部圧力センサ14の基準特性へのオフセット調整が行われる。すなわち、線19´に対して傾きが同じ状態で切片を(V
0―V
1)分移動させることによって流出部圧力センサ14の特性を基準特性(線19)に合わせることが出来る。
【0052】
次に、呼気流入部9と呼気流出部10とが分離した状態にて、呼気流入部9の圧力が流入部圧力センサ13にて測定される(S5)。呼気流入部9は、常に開口している呼気を吹込むための入口部を有しているハンドル部1に連結している。したがって、呼気流出部10とは異なり、呼気流入部9の圧力(P
X)は不明である。その圧力環境下(P
X)にて、流入部圧力センサ13を用いて呼気流入部9の圧力を測定した結果、出力電圧は、V
2(点b)となる。ここで、出力電圧V
2を圧力が大気圧(P
0)環境下における値であると仮定し、出力電圧V
2に換えて出力電圧V
0が出力されるようにオフセット調整が行われる(S6)。
【0053】
具体的には、流入部圧力センサ13の基準特性も線19であるため、オフセット調整前の流入部圧力センサ13の特性をy=ax+b
2とすると、y=ax+b
2+(V
0―V
2)と流入部圧力センサ13のオフセット調整が行われる。
以上のように、呼気流入部9と呼気流出部10とが分離した状態(S1)にて、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14を用いて、呼気流入部9と呼気流出部10の圧力を測定し(S3、S5)、出力電圧V
1と出力電圧V
2に換えて出力電圧V
0が出力されるようにオフセット調整(S4、S6)が行われる(第1オフセット調整の一例)。
【0054】
次に、電圧差検出部41は、調整部11を可動させて、呼気流入部9と呼気流出部10とを結合(連通ともいえる)した状態とする(S7)。この結合した状態において、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14を用いて、呼気流入部9と呼気流出部10の圧力が測定される(S8、S9)。
ここで、呼気流入部9と呼気流出部10は、結合された状態となっているため、同じ圧力値となっており、この圧力値をP
1として
図11に示す。呼気流入部9と呼気流出部10とを結合した状態において、S4において流出部圧力センサ14については適切なオフセット調整が行われているので、S8において流出部圧力センサ14の出力される出力電圧は、既に、
図11に示しているように、基準特性(線19)より、V
3(点c)となる。
【0055】
一方、S9において流入部圧力センサ13によって出力される出力電圧は、出力電圧(V
2)が大気圧(P
0)環境下における値であると仮定し、第1オフセット調整を行っているので、出力電圧V
3と出力されるかどうか不明である。
このため、流入部圧力センサ13によって出力される出力電圧(Vs)が、流出部圧力センサ14の出力電圧(V
3)と同じであるか否かの判定が行われる(S10、S11)
S9において呼気流入部9の圧力測定が流入部圧力センサ13によって行われた後、電圧差検出部41によって、S9において得られた流入部圧力センサ13の出力電圧(Vs)と、S8において得られた流出部圧力センサ14の出力電圧(V
3)の差が求められる(S10)。
【0056】
次に、判定部42によって、S10において求められた出力電圧差(Vs−V
3)が略0(ゼロ)か否かの判定が行われる(S11)。すなわち、流入部圧力センサ13の出力電圧(Vs)が、流出部圧力センサ14の出力電圧(V
3)と略同じか否かの判定が行われる(S11)。ここで、流入部圧力センサ13の出力電圧(Vs)と、流出部圧力センサ14の出力電圧(V
3)が略同じであれば良く、厳密に同じでなくても良い。略同じ、及び略0(ゼロ)とは、出力電圧の誤差範囲及び装置の仕様によって許容される範囲内としてもよい。
【0057】
ここで、流入部圧力センサ13の出力される出力電圧Vsが、出力電圧V
3と出力された場合について説明する。
流入部圧力センサ13の出力電圧Vsが、出力電圧V
3と出力された場合(出力電圧差がゼロと判定された場合)は、流入部圧力センサ13の第1オフセット調整が、流出部圧力センサ14と同様に基準特性(線19)になるように行われていると判断できる。
【0058】
したがって、呼気流入部9と呼気流出部10とが分離した状態における呼気流入部9の圧力は、大気圧(P
0)であったと判断できる。つまり、流入部圧力センサ13は、第1オフセット調整により、基準特性(線19)への補正が完了していることになり、零点補正の制御は終了する。
しかし、流入部圧力センサ13の出力電圧(Vs)が、出力電圧(V
3)と出力されず、V
4と出力された場合は、呼気流入部9と呼気流出部10とが分離した状態における呼気流入部9の圧力(Px)は、大気圧(P
0)ではなかったと判断できる。つまり、第1オフセット調整では、流入部圧力センサ13の基準特性(線19)への補正が完了していないことになる。
【0059】
そこで、流入部圧力センサ13の出力電圧(V
4)と流出部圧力センサ14の出力電圧(V
3)の差分を用いて、第2のオフセット調整を行い、流入部圧力センサ13の基準特性(線19)への補正を完了させる(S12)。
すなわち、出力電圧(V
4)と出力電圧(V
3)との差分により、第1オフセット調整後の流入部圧力センサ13に更にオフセット調整を行うことにより、基準特性(線19)への補正を完了させることができる。
【0060】
具体的には、第1オフセット調整後に、流入部圧力センサ13の特性は、y=ax+b
2+(V
0―V
2)と調整されている。そして、呼気流入部9と呼気流出部10は連通しているため、同じ圧力値P
1となっている。圧力値(P
1)のときの流出部圧力センサ14による出力電圧がV
3である。そして、圧力値(P
1)において、流入部圧力センサ13の出力電圧がV
4となっている。したがって、流入部圧力センサ13の出力電圧がV
3になるように補正を行えばよいため、y=ax+b
2+(V
0―V
2)+(V
3−V
4)とすることによって流入部圧力センサ13を基準特性(線19)とすることが出来る。
【0061】
以上のように、呼気流入部9と呼気流出部10とを結合した状態にて、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14を用いて、呼気流入部9と呼気流出部10の圧力を測定し、出力電圧V
sと出力電圧V
3とを比較した結果が同じ場合(出力電圧Vsが略V
3の場合)は、第1オフセット調整の状態を維持し、比較した結果が異なる場合(出力電圧VsがV4の場合)は、第1オフセット調整を行った後の特性に対して更に上記出力電圧(V4)と出力電圧(V3)の差分を用いてオフセット調整が行われる。(第2オフセット調整)。
【0062】
したがって、測定開始前の環境が大きく変わったとしても、流量を調整するための流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の零点補正が、環境に影響を受けることなく正確に補正可能となる。
つまり、第1オフセット調整と、呼気流入部9と呼気流出部10との出力電圧の差分を用いて第2オフセット調整とを行うので、経時変化したとしても、常に測定時における大気圧環境下での流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の零点補正が可能となり、経時変化による影響を抑制することが出来、指針に定められている流量を正確に制御できることになる。
【0063】
そのため、吹き込まれた呼気を安定的にチャンバ5へ溜めることが可能となるので、測定不能となることが軽減され、再測定などの手間を省く事が可能となる。つまり、使用者が呼気を測定するにあたり、使い勝手が良くなり、操作性が向上する。
<3.主な特徴>
(3−1)
上記実施の形態の呼気測定装置は、ハンドル部1と、フローレギュレータ4と、チャンバ5と、吸排気孔6a、6b(第1貫通孔の一例)と、センサ7(測定部の一例)と、ポンプ8とを備えている。ハンドル部1には、呼気が吹込まれる。フローレギュレータ4は、ハンドル部1の下流に設けられ、ハンドル部1から吹込まれた呼気の流量を調整する。チャンバ5は、フローレギュレータ4の下流に設けられ、呼気を一時的に溜め込む。吸排気孔6a、6bは、チャンバ5に設けられ、フローレギュレータ4を大気圧に開放する。センサ7は、呼気中の所定の成分を測定する。ポンプ8は、チャンバ5の下流に設けられ、センサ7に呼気を送り込む。
【0064】
フローレギュレータ4は、呼気流入部9と、呼気流出部10と、調整部11(流量調整部の一例)と、駆動部12と、流入部圧力センサ13と、流出部圧力センサ14と、第1オフセット調整部40と、電圧差検出部41と、第2オフセット調整部43とを有する。呼気流入部9は、ハンドル部1側から呼気が流入する。呼気流出部10は、チャンバ5側へと呼気が流出する。呼気流出部10は、呼気流入部9と呼気流出部10の間に設けられ、呼気の流量を調整する。駆動部12は、調整部11を可動させる。流入部圧力センサ13は、呼気流入部9の圧力を検出する。流出部圧力センサ14は、呼気流出部10の圧力を検出する。第1オフセット調整部40は、駆動部12により調整部11を可動させて、呼気流入部9と呼気流出部10とを分離状態とし、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の第1オフセット調整を行う。電圧差検出部41は、駆動部12により調整部11を可動させて、呼気流入部9と呼気流出部10とを連結状態とし、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の第1オフセット調整後の出力電圧差を検出する。第2オフセット調整部43は、出力電圧差を用いて、流入部圧力センサ13の第2オフセット調整を行う。
【0065】
以上のように、第1オフセット調整を行った後に、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14との出力電圧の差分を用いて第2オフセット調整が行われる。
すなわち、第2オフセット調整では、呼気流入部9と呼気流出部10が連結しているため、呼気流入部9と呼気流出部10は同じ圧力となっている。そのため、第1オフセット調整によって適切に零点補正が行われている流出部圧力センサ14の値に基づいて、流入部圧力センサ13の第2オフセット調整を行うことが出来る。
【0066】
従って、例えハンドル部1側から呼気流入部9への気体の流入又は呼気流入部9側からハンドル部1側への気体の流出があった場合であっても、流入部圧力センサ13に対して適切な零点補正を行うことが可能となる。
また、測定前に、これらオフセット調整を行うことにより、経時変化したとしても、常に測定時における大気圧環境下での流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の零点補正が可能となり、経時変化による影響を抑制することが出来、指針に定められている流量を正確に制御できることになる。
【0067】
(3−2)
上記実施の形態の呼気測定装置では、分離状態での呼気流出部10は大気圧環境下であり、第1オフセット調整部40は、流出部圧力センサ14の検出値が大気圧を示すように第1オフセット調整を行なう。
これにより、第1オフセット調整において、大気圧を基準にして流出部圧力センサ14の零点補正を行うことが出来る。そのため、第2オフセット調整において、補正後の流出部圧力センサ14を基準にして、流入部圧力センサ13の零点補正を行うことが可能となる。
【0068】
(3−3)
上記実施の形態の呼気測定装置では、第1オフセット調整部40は、分離状態における呼気流入部9が大気圧環境下であると仮定し、流入部圧力センサ13の検出値が大気圧を示すように第1オフセット調整を行う。
これにより、呼気流入部9が大気圧の場合には、流入部圧力センサ13の零点補正が適切に行われることになる。また、呼気流入部9が大気圧ではない場合には、呼気流出部10の測定結果を用いて第2オフセット調整によって適切な零点補正を行うことが可能となる。
【0069】
(3−4)
上記実施の形態の呼気測定装置では、フローレギュレータ4は、第2オフセット調整部43による第2オフセット調整を行うか否かを判定する判定部42を更に有している。判定部42は、出力電圧差が、略0(ゼロ)の場合、流入部圧力センサ13の第2オフセット調整を行わないと判定する。
【0070】
呼気流入部9と呼気流出部10は連通しているため、双方の実際の圧力は同じである。従って、出力電圧差が略0(ゼロ)である場合、すなわち流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の出力電圧が略同じである場合には、流入部圧力センサ13の零点補正は、第1のオフセット調整によって適切に行われていると判断でき、第2オフセット調整を実行しないように制御を行うことが可能となる。
【0071】
(3−5)
上記実施の形態の呼気測定装置は、本体ケース30と、開放流路60とを更に備えている。本体ケース30は、フローレギュレータ4と、チャンバ5と、センサ7と、ポンプ8を収納し、内部と外部を接続する吸排気孔30b(第2貫通孔の一例)を有する。開放流路60の吸排気孔6aと吸排気孔30bを繋ぐ流路A601は、流路の一部を構成し、吸排気孔6aと吸排気孔30bを接続し、吸排気孔6a及び吸排気孔30bの少なくとも一方と対向するP1部分、及びQ1部分(第1流路壁部の一例)を有する。
【0072】
又、開放流路60の吸排気孔6bと吸排気孔30bを繋ぐ流路B602は、流路の一部を構成し、吸排気孔6bと吸排気孔30bを接続し、吸排気孔6b及び吸排気孔30bの少なくとも一方と対向するP5部分及びQ5部分(第1流路壁部の一例)を有する。
このように、吸排気孔6a、6bと吸排気孔30bの間に、どちらか一方に対向するように壁部が形成されると、吸排気孔6a、6bと吸排気孔30bの間を気体が流通する際に、壁部分に当り少なくとも1回は向きを変えることになるため、本体ケース30の外部の気体の変動がチャンバ5の内部に直接伝達され難くすることが出来る。これにより、呼気流出部10側に生じる外乱影響を出来るだけ低減し、流出部圧力センサ14の零点補正をより精度良く行うことが出来、更に流出部圧力センサ14の値に基づいた流入部圧力センサ13の第2オフセット調整もより精度良く行うことが出来る。
【0073】
(3−6)
上記実施の形態の呼気測定装置では、
図6〜
図9に示すように開放流路60は、3次元的に形成されている。
図6〜9に示すように、チャンバ5の平面50aの長辺と平行な方向をX方向とし、短辺と並行な方向をY方向とし、XYと垂直な方向をZ方向とすると、第1流路60a及び第2流路60bは、チャンバ5の平面50a上においてXY方向(2次元的)に流路の向きを変えて形成されており、更に、平面50aと垂直な方向(Z方向)に形成された第3流路60c及び第4流路60dが形成されている。このように、3次元的にXYZ方向に流路の向きを変えることによって、吸排気孔6a、6bと吸排気孔30bの間を流通する気体は、流路の壁に複数回衝突して向きを変える必要があるため、本体ケース30の外部の気体の変動がチャンバ5の内部に直接伝達され難くすることが出来る。
【0074】
(3−7)
上記実施の形態の呼気測定装置では、開放流路60の吸排気孔6aと吸排気孔30bを繋ぐ流路A601は、流路の一部を構成し、気体の流通方向を変えるように配置されたP2部分、P3部分、P4部分、Q2部分、Q3部分、及びQ4部分(第2流路壁部の一例)を更に有している。これら第2流路壁部の一例は、P1部分、及びQ1部分(第1流路壁部の一例)に対して略垂直に配置されている。
【0075】
又、開放流路60の吸排気孔6bと吸排気孔30bを繋ぐ流路B602は、流路の一部を構成し、気体の流通方向を変えるように配置されたP6部分、P7部分、P8部分、Q6部分、Q7部分、及びQ8部分(第2流路壁部の一例)を更に有している。これら第2流路壁部の一例は、P5部分及びQ5部分(第1流路壁部の一例)に対して略垂直に配置されている。
【0076】
これにより、吸排気孔6a、6bと吸排気孔30bの間を流通する気体は、流路の壁に複数回衝突して向きを変える必要があるため、本体ケース30の外部の気体の変動がチャンバ5の内部に直接伝達され難くすることが出来る。
(3−8)
上記実施の形態の呼気測定装置では、
図3に示すように、フローレギュレータ4は、壁部17と、連通孔31とを有している。壁部17は、呼気流入部9と呼気流出部10の間に設けられている。連通孔31は、壁部17に形成され、呼気流入部9と呼気流出部10を連通する。調整部11は、連通孔31を開閉可能な弁体32と、弁体32に固定され、駆動部12によって駆動される軸部33とを有している。弁体32は、連通孔31を閉じた状態において、連通孔31の周囲の壁部17と当接する弾性部材32a1を有している。
【0077】
このように弁体32が弾性部材32a1を有していることによって、壁部17に密着しやすいため、弁体32によって連通孔31をより確実に塞ぐことが可能となる。
(3−9)
上記実施の形態の呼気測定装置では、
図3に示すように、フローレギュレータ4は、連通孔31を囲むように壁部17から突出したリング状の突出部35を更に有している。連通孔31が弁体32によって閉じられた状態において、弾性部材32a1は突出部35に当接している。
【0078】
このようにリング状に形成された突出部35が設けられることによって、突出部35が存在せずに壁部17に当接するだけよりも確実に連通孔31を塞ぐことが可能となる。これは、面同士の接触では、製造誤差などによって隙間が生じる場合があるためである。
(3−10)
上記実施の形態の呼気測定装置の制御方法は、呼気を吹込むためのハンドル部1と、ハンドル部1の下流に設けられ、ハンドル部1から吹込まれた呼気の流量を調整するフローレギュレータ4と、フローレギュレータ4の下流に設けられ、呼気を一時的に溜め込むチャンバ5と、チャンバ5に設けられ、フローレギュレータ4を大気圧に開放する吸排気孔6a、6bと、呼気中の所定の成分を測定するセンサ7と、チャンバ5の下流に設けられ、センサ7に呼気を送り込むポンプ8と、を備えた呼気測定装置の制御方法であって、
図8に示すように、S1〜S6(第1オフセット調整工程の一例)と、S7〜S10(差圧検出工程の一例)と、S12(第2オフセット調整工程の一例)とを備えている。
【0079】
S1〜S6(第1オフセット調整工程の一例)では、フローレギュレータ4内に設けられた、ハンドル部1側から呼気が流入する呼気流入部9とチャンバ5側へと呼気が流出する呼気流出部10とを分離状態とし、呼気流入部9の圧力を検知する流入部圧力センサ13と、呼気流出部10の圧力を検知する流出部圧力センサ14の第1オフセット調整を行う。
【0080】
S7〜S10(差圧検出工程の一例)では、呼気流入部9と呼気流出部10とを連結状態とし、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の第1オフセット調整後の出力電圧差を検出する。
S12(第2オフセット調整工程の一例)では、出力電圧差を用いて、流入部圧力センサ13の第2オフセット調整を行う。
【0081】
以上のように、第1オフセット調整を行った後に、流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14との出力電圧の差分を用いて第2オフセット調整を行うので、経時変化したとしても、常に測定時における大気圧環境下での流入部圧力センサ13と流出部圧力センサ14の零点補正が可能となり、経時変化による影響を抑制することが出来、指針に定められている流量を正確に制御できることになる。
【0082】
(3−11)
上記実施の形態の呼気測定装置の制御方法は、
図8に示すように、出力電圧差に基づいて、第2オフセット調整を行うか否かを判定するS11(判定工程の一例)を更に備えている。
S11(判定工程の一例)は、出力電圧差が、略0(ゼロ)の場合、流入部圧力センサ13の第2オフセット調整(S12)を行わないと判定する。
【0083】
これにより、第2オフセット調整が必要ない場合には、実行しないように制御を行うことが可能となる。
<4.他の実施の形態>
(A)
上記実施の形態では、
図5に示すように、チャンバ5の内部と外部を接続する吸排気孔6a、6b(第1貫通孔の一例)が形成されているが、吸排気孔6a、6bにワンウェイバルブが更に設けられていても良い。
【0084】
図12は、吸排気孔6a、6bを塞ぐようにワンウェイバルブ70a、70bが配置された状態を示す図である。
図12に示すワンウェイバルブ70a、70bは、チャンバ5から外部へと気体が排出される際に、吸排気孔6a、6bを開放する。一方、吸排気孔30bを介して外部から流れこんできた気体に対しては、吸排気孔6a、6bを閉じた状態を保持する。
【0085】
(B)
また、上記実施の形態の開放流路60には、
図6A〜
図8に示すように気体の流通方向を変更するように複数個の壁部分(P1〜P8、Q1〜Q8)が設けられている。このように複数個に限らなくてもよいが、気体の流通方向を変更する壁部分が少なくとも1箇所形成されていることが好ましい。
【0086】
(C)
また、上記実施の形態では、呼気測定装置の全体の制御を行う制御部44とは別にフローレギュレータ制御部15が設けられていたが、制御部44内に、フローレギュレータ制御部15が組み込まれていても良い。
(D)
また、上記実施の形態では、S11において、流入部圧力センサ13の出力電圧(Vs)が、流出部圧力センサ14の出力電圧V
3と略同じ値である場合には、流入部圧力センサ13に対する更なるオフセット調整(第2オフセット調整)を行わないように制御が行われるが、略同じ値であっても流入部圧力センサ13に対して第2オフセット調整を行ってもよい。第2オフセット調整を行った場合の流入部圧力センサ13の特性の式は、y=ax+b
2+(V
0―V
2)+(V
3−V
s)であるため、出力電圧(Vs)が出力電圧V
3と略同じ値である場合には、第2オフセット調整を行った場合であっても行わない場合であっても、流入部圧力センサ13の特性の式はy=ax+b
2+(V
0―V
2)となり、結果が同じになるためである。
【0087】
(E)
又、上記実施の形態の開放流路60の吸排気孔6aと吸排気孔30bを繋ぐ流路A601では、第1流路壁部の一例であるP1部分及びQ1部分は、双方とも天板62に形成されているが、同一平面上に形成されておらず、互いに平行でなくてもよい。この場合、第2流路壁部の一例であるP2部分、P3部分、P4部分、Q2部分、Q3部分、及びQ4部分は、それぞれが第1流路壁部の一例であるP1部分とQ1部分のいずれかと略垂直に形成されていればよい。
【0088】
尚、開放流路60の吸排気孔6bと吸排気孔30bを繋ぐ流路B602においても同様であり、第1流路壁部の一例であるP5部分及びQ5部分は、双方とも天板62に形成されているが、同一平面上に形成されておらず、互いに平行でなくてもよい。この場合、第2流路壁部の一例であるP6部分、P7部分、P8部分、Q6部分、Q7部分、及びQ8部分は、それぞれが第1流路壁部の一例であるP5部分とQ5部分のいずれかと略垂直に形成されていればよい。
【0089】
(F)
又、上記実施の形態では開放流路60は、チャンバ5の内部とケース30の外部を繋ぐ2本の流路(流路A601及び流路B602)を有しているが、一本の流路だけを有していてもよいし、3本以上の流路を有していてもよい。