(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配線基板の樹脂上に金属析出触媒を付与後、無電解銅めっきを行い、その後電気銅めっきを行い、次いで不要な銅皮膜をエッチングすることにより回路パターンを形成した後、請求項1〜6の何れかに記載の無電解金属めっきのブリッジ防止液を作用させ、更にその回路上に無電解金属めっきを行うことを特徴とするプリント配線板のブリッジ防止方法。
配線基板の樹脂上に金属析出触媒を付与後、無電解銅めっきを行い、その後電気銅めっきを行い、次いで不要な銅皮膜をエッチングすることにより回路パターンを形成し、その回路上に無電解金属めっきを行うプリント配線板の製造方法において、前記エッチングと無電解金属めっき工程の間に、配線基板の樹脂上に請求項1〜6の何れかに記載の無電解金属めっきのブリッジ防止液を作用させることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
配線基板の樹脂上に金属析出触媒を付与後、無電解銅めっきを行い、その後電気銅めっきを行い、次いで不要な銅皮膜をエッチングすることにより回路パターンを形成し、その回路上に無電解金属めっきを行うプリント配線板の製造方法において、前記エッチングと無電解金属めっき工程の間に、配線基板の樹脂上に金属析出触媒の除去液を作用させた後、更に請求項1〜6の何れかに記載の無電解金属めっきのブリッジ防止液を作用させることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の無電解金属めっきのブリッジ防止液(以下、「本発明防止液」という)は、ポリチオール化合物を含有するものである。
【0015】
本発明防止液に用いられる、ポリチオール化合物は、チオール基を2個以上含有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ジチオール化合物、トリチオール化合物、テトラチオール化合物等が挙げられる。具体的に、ジチオール化合物としては、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオエリトリトール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、ビス(3−メルカプトブタン酸)テトラメチレン、エチレンビス(ジチオカルバミン酸)等が挙げられ、トリチオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)等が挙げられ、テトラチオール化合物としては、ペンタエリトリトールテトラ(3−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトブチラート)等が挙げられる。これらのポリチオール化合物の中でもジチオール化合物が好ましく、特に3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−エタンジチオールが好ましい。これらのポリチオール化合物は1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
本発明防止液におけるポリチオール化合物の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1〜100g/L、好ましくは0.2〜50g/Lである。
【0017】
また、本発明防止液は、水系でも非水系でも特に問題はないが、水系が好ましい。本発明防止液を水系とする場合には、上記ポリチオール化合物の水への溶解性を向上させるために、有機溶媒を添加することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、エステル等が挙げられる。具体的に、アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール等が挙げられ、エーテルとしては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、ケトンとしては、アセトン等が挙げられ、エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。これらの有機溶媒の中でもアルコールが好ましく、エタノール、2−プロパノールがより好ましい。また、これらの有機溶媒は1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
本発明防止液における有機溶媒の含有量は特に限定されないが、例えば、1〜800g/L、好ましくは2〜500g/Lである。
【0019】
また、本発明防止液には、上記ポリチオール化合物の溶解性を更に向上させるために、あるいは浸透性の向上等よる析出防止効果の向上のために、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、アルキルベタイン等の両性界面活性剤を本発明防止液の効果を損なわない程度で添加してもよい。
【0020】
以下、本発明防止液の好ましい態様を以下に示す。
<本発明防止液>
(組成1)
1,2−エタンジチオール:0.1〜100g/L、好ましくは0.2〜50g/L
エタノール:1〜800g/L、好ましくは2〜500g/L
(組成2)
1,8−オクタンジチオール:0.1〜100g/L、好ましくは0.2〜50g/L
2−プロパノール:1〜800g/L、好ましくは2〜500g/L
(組成3)
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール:0.1〜100g/L、好ましくは0.2〜50g/L
2−プロパノール:1〜800g/L、好ましくは2〜500g/L
【0021】
更に、本発明防止液には、金属析出触媒の除去液を含有させることが好ましい。これによりブリッジ防止と、配線基板上にある無電解銅めっき等に使用されるパラジウム等の触媒の除去を同時に行うことができる。
【0022】
金属析出触媒の除去液としては、従来公知の金属析出触媒の除去液を利用することができ、例えば、硫酸、塩酸、燐酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、イセチオン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸等を含有するものが挙げられ、これ以外にも、特開平7−207466号公報に記載されているシアン化物、ニトロ安息香酸誘導体を主成分とするもの、特許第4583549号に記載されている硝酸、塩素イオンを主成分とし、含窒素複素環化合物、多価アルコール、非イオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤のうち1種以上を添加したもの、特許第4113846号に記載されている硝酸、塩素イオンおよびカチオン性ポリマーを含有するもの等を利用することができる。これらの金属析出触媒の除去液であれば銅配線腐食性を抑制し、かつ配線間の樹脂上に付着した触媒を除去できる。
【0023】
更に、金属析出触媒の除去液としては、本発明者らが新規に見出したチオ尿素化合物を含有するものが挙げられる。チオ尿素化合物としては、例えば、チオ尿素、N−メチルチオ尿素、1,3−ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,3−ジエチルチオ尿素、1,3−ジブチルチオ尿素、1,1,3−トリブチルチオ尿素、チオアセトアミド、4−メチルチオセミカルバジド、1−アリル2−チオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、1−アリル−3−(2−ヒドロキシエチル)−2−チオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、1−フェニル−2−チオ尿素、1,3−ジフェニルチオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、N−ベンゾイルチオ尿素、グアニルチオ尿素、2,5−ジチオビチオ尿素等が挙げられる。これらのチオ尿素化合物は1種または2種以上を用いることができる。このチオ尿素化合物を含有する金属析出触媒の除去液であれば、従来の金属析出触媒の除去液よりも、より銅配線腐食性を抑制し、かつ配線間の樹脂上に付着した触媒を除去できる。
【0024】
上記したチオ尿素化合物を含有する金属析出触媒の除去液に、チオ尿素化合物は例えば、1〜140g/L、好ましくは10〜100g/L含有させる。
【0025】
また、チオ尿素化合物を含有する金属析出触媒の除去液には、無機酸および有機酸から選ばれる1種または2種以上を含有させ、液のpHを酸性にすることが好ましい。なお、この金属析出触媒の除去液に用いられる無機酸および有機酸は上記したもの同様である。
【0026】
更に、チオ尿素化合物を含有する金属析出触媒の除去液には、浸透性の向上等よる金属析出触媒除去効果の向上のために、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、アルキルベタイン等の両性界面活性剤等を含有させることができる。
【0027】
以下、チオ尿素化合物を含有する金属析出触媒の除去液の好ましい態様を以下に示す。
<金属析出触媒の除去液>
(組成1)
チオ尿素:1〜140g/L、好ましくは10〜100g/L
硫酸:5〜700g/L、好ましくは10〜600g/L
(組成2)
N−メチルチオ尿素:1〜100g/L、好ましくは10〜70g/L
メタンスルホン酸:5〜700g/L、好ましくは10〜600g/L
(組成3)
チオ尿素:1〜140g/L、好ましくは10〜100g/L
硫酸:5〜700g/L、好ましくは10〜600g/L
リンゴ酸:5〜400g/L、好ましくは10〜300g/L
【0028】
以上説明した金属析出触媒の除去液の中でも、チオ尿素化合物、無機酸および有機酸から選ばれる1種または2種以上を含有するものが好ましく、特にチオ尿素化合物を含有するものが好ましい。
【0029】
本発明防止液における、金属析出触媒の除去液の含有量は、金属析出触媒の除去液が金属析出触媒の除去作用を発揮する濃度であれば特に限定されないが、例えば、チオ尿素化合物、無機酸および有機酸であれば、それぞれ、1〜140g/L、好ましくは10〜100g/L、5〜700g/L、好ましくは10〜600g/L、5〜400g/L、好ましくは10〜300g/Lである。
【0030】
以下、金属析出触媒の除去液を含有する本発明防止液の好ましい態様を以下に示す。
<金属析出触媒の除去液を含有する本発明防止液>
(組成1)
1,2−エタンジチオール:0.1〜100g/L、好ましくは0.2〜50g/L
エタノール:1〜800g/L、好ましくは2〜500g/L
チオ尿素:1〜140g/L、好ましくは10〜100g/L
硫酸:5〜700g/L、好ましくは10〜600g/L
(組成2)
1,8−オクタンジチオール:0.1〜100g/L、好ましくは0.2〜50g/L
2−プロパノール:1〜800g/L、好ましくは2〜500g/L
N−メチルチオ尿素:1〜100g/L、好ましくは10〜70g/L
メタンスルホン酸:5〜700g/L、好ましくは10〜600g/L
(組成3)
1,8−オクタンジチオール:0.1〜100g/L、好ましくは0.2〜50g/L
2−プロパノール:1〜800g/L、好ましくは2〜500g/L
チオ尿素:1〜140g/L、好ましくは10〜100g/L
硫酸:5〜700g/L、好ましくは10〜600g/L
リンゴ酸:5〜400g/L、好ましくは10〜300g/L
【0031】
なお、本発明防止液は、水系または非水系の溶液に少なくともポリチオール化合物を添加し、撹拌、混合させることにより得られる。具体的に本発明防止液が水系の場合には、水にポリチオール化合物、必要により有機溶媒等を添加し、撹拌、混合させればよい。
【0032】
これら本発明防止液は、回路パターン形成後に行う無電解金属めっきが、配線基板の樹脂上に析出するブリッジを防止することができるので、公知のプリント配線板の製造方法に利用することができる。具体的には、配線基板の樹脂上に金属析出触媒を付与後、無電解銅めっきを行い、その後電気銅めっきを行い、次いで不要な銅皮膜をエッチングすることにより回路パターンを形成し、その回路上に無電解金属めっきを行うプリント配線板の製造方法において、前記エッチングと無電解金属めっき工程の間に、配線基板の樹脂上に本発明防止液を作用させればよい。なお、各工程の間には水洗、乾燥等を適宜行ってもよい。
【0033】
上記プリント配線板の製造方法において、配線基板の樹脂上に本発明防止液を作用させる方法としては、特に限定されず、配線基板そのものを本発明防止液に浸漬するか、配線基板の樹脂上に本発明防止液をスプレー等により噴射すればよい。また、本発明防止液の使用条件は、浸漬、スプレーとも、10〜55℃、好ましくは30〜55℃の液温で、10秒〜5分、好ましくは1〜5分で作用させることが好ましい。
【0034】
なお、上記プリント配線板の製造方法においては、本発明防止液に添加される金属析出触媒の除去液を、本発明防止液に添加せずに、別途金属析出触媒の除去液として作用させた後、更に本発明防止液を作用させてもよい。こうすることにより本発明防止液に含有させた場合よりもより高密度な配線パターンに対してブリッジを防止することができる。
【0035】
配線基板の樹脂上に金属析出触媒の除去液を作用させる方法としては、特に限定されず、配線基板そのものを金属析出触媒の除去液に浸漬するか、配線基板の樹脂上に金属析出触媒の除去液をスプレー等により噴射すればよい。また、金属析出触媒の除去液の使用条件は、浸漬、スプレーとも、10〜55℃、好ましくは30〜55℃の液温で、10秒〜5分、好ましくは1〜5分で作用させることが好ましい。
【0036】
このようにして製造されるプリント配線板は、従来よりも高密度とされる配線パターン、例えば、ライン/スペース(L/S)=15/15μmの配線パターンに対してブリッジを防止することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0038】
実 施 例 1
ブリッジ防止液の調製:
1,2−エタンジチオール2g/Lおよびエタノール100g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0039】
実 施 例 2
ブリッジ防止液の調製:
1,8−オクタンジチオール2g/Lおよびエタノール100g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0040】
実 施 例 3
ブリッジ防止液の調製:
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール2g/Lおよびエタノール100g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0041】
実 施 例 4
ブリッジ防止液の調製:
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)2g/Lおよびエタノール100g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0042】
比 較 例 1
ブリッジ防止液の調製:
2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム5g/Lおよび水酸化ナトリウム5g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0043】
比 較 例 2
ブリッジ防止液の調製:
メルカプトエチルアミン10g/Lおよびエタノール100g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0044】
試 験 例 1
ブリッジ防止試験:
実施例1〜4および比較例1〜2で調製したブリッジ防止液を用いて下記の方法により銅配線腐食性、触媒除去性およびブリッジ防止性を評価した。これらの結果を表1に示した。なお、下記の方法においてブリッジ防止液は50℃に加温したものを用い、処理(浸漬)時間は1分間である。
【0045】
<銅配線腐食性>
大きさ5×5cmのエポキシ樹脂製の基材に、無電解銅めっきを約0.3μm形成した。その後セミアディティブ法によりエポキシ樹脂製の基材上に、銅配線高さ約20μm、ライン/スペース(L/S)=20/20(μm)の銅配線パターンを形成し、これを試験片とした。この試験片を各ブリッジ防止液で処理後、銅配線の状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、処理前の試験片と比較して以下の評価基準で評価した。
【0046】
<銅配線腐食性評価基準>
(評価) (内容)
◎ : 変化なし
○ : ほぼ変化なし
△ : やや腐食あり
× : 腐食あり
【0047】
<触媒除去性>
大きさ5×10cmのエポキシ樹脂製の基材に、以下の工程で無電解銅めっきを約0.3μm形成し、その後、7%硫酸、2%過酸化水素の水溶液に浸漬して無電解銅めっき皮膜を剥離し、エポキシ樹脂製の基材上に触媒が残存した状態のものを作製し、これを試験片とした。この試験片を各ブリッジ防止液で処理後、パラジウム残留量を測定し、未処理の試験片とのパラジウム残留量の差を、パラジウム除去率として算出し評価した。パラジウム残留量の測定は、試験片を、37質量%塩酸と68質量%硝酸を3:1の容量比で混合し作製した王水約50mLに5分間浸漬して、その王水を100mLメスフラスコにサンプリングし、次に試験片をイオン交換水で洗浄し、その洗浄水も100mLメスフラスコにサンプリングして、最後に100mLに正確にメスアップした水溶液中のパラジウム濃度を、原子吸光分析装置(AA240FS;Varian社製)により分析した。
【0048】
<試験片の無電解銅めっき処理工程>
クリーナー/コンディショナー(PB−117S)50℃、5分
↓
水洗
↓
ソフトエッチング(PB−228)30℃、2分
↓
水洗
↓
プリディップ(塩酸)30℃、1分
↓
パラジウム触媒付与(PB−318)30℃、5分
↓
アクセラレーター(PB−445)30℃、5分
↓
水洗
↓
無電解銅めっき(PB−503F)30℃、15分
(塩酸以外の薬品は何れも(株)JCU製)
【0049】
<ブリッジ防止性>
エポキシ樹脂製の基材をセミアディティブ法により処理し、銅配線高さ約20μm、ライン/スペース(L/S)=15/15、20/20、25/25、30/30(μm)の3種類の銅配線パターンを有する試験片を作成した。この試験片を各ブリッジ防止液で処理後、これらの各試験片に対し、下記工程の無電解ニッケルめっきを施した。各試験片のパターン間のめっき析出状態を調べ、下記評価基準により評価した。また、ブリッジ防止液に浸漬しなかった試験片についても同様にめっき析出状態を調べ、同様に評価した。更に無電解ニッケルめっきの膜厚を測定した。
【0050】
<無電解ニッケルめっき工程>
酸性脱脂(PB−242D)、45℃、5分
↓
水洗
↓
ソフトエッチ(SC−300)、30℃、1分
↓
水洗
↓
触媒付与(PB−305)、30℃、3分
↓
水洗
↓
無電解ニッケルめっき(PB−606)、80℃、20分
(硫酸以外の薬品は何れも(株)JCU製)
【0051】
<めっき析出状態の評価基準>
(評価) (内容)
◎ : ほとんど析出がない
○ : 部分的に析出がある(短絡はなし)
× : 析出が多い(短絡がある)
××: 全面的に析出がある
【0052】
【表1】
【0053】
ポリチオール化合物を含有するブリッジ防止液(実施例1〜4)で処理した場合、L/S=15/15でもブリッジが発生しなかった。一方、ブリッジ防止液で処理を行わない場合には、L/S=30/30でも全面に析出し、モノチオール化合物を含有するブリッジ防止液(比較例1、2)で処理した場合には、L/S=25/25以下でブリッジが発生した。なお、それぞれの処理により、銅配線への影響は認められなかったが、触媒もまったく除去されなかった。
【0054】
実 施 例 5
ブリッジ防止液の調製:
実施例1のブリッジ防止液に、更に、チオ尿素60g/Lおよびメタンスルホン酸200g/Lを含有させたブリッジ防止液を調製した。
【0055】
実 施 例 6
ブリッジ防止液の調製:
実施例2のブリッジ防止液に、更に、N−メチルチオ尿素70g/Lおよびメタンスルホン酸600g/Lを含有させたブリッジ防止液を調製した。
【0056】
実 施 例 7
ブリッジ防止液の調製:
実施例3のブリッジ防止液に、更に、N−メチルチオ尿素70g/Lおよびメタンスルホン酸600g/Lを含有させたブリッジ防止液を調製した。
【0057】
実 施 例 8
ブリッジ防止液の調製:
実施例4のブリッジ防止液に、更に、チオ尿素60g/Lおよびメタンスルホン酸400g/Lを含有させたブリッジ防止液を調製した。
【0058】
比 較 例 3
ブリッジ防止液の調製:
チオ尿素60g/Lおよびメタンスルホン酸200g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0059】
比 較 例 4
ブリッジ防止液の調製:
比較例1のブリッジ防止液に、更に、チオ尿素60g/Lおよびメタンスルホン酸200g/Lを含有させたブリッジ防止液を調製した。
【0060】
比 較 例 5
ブリッジ防止液の調製:
比較例2のブリッジ防止液に、更に、チオ尿素60g/Lおよびメタンスルホン酸200g/Lを含有させたブリッジ防止液を調製した。
【0061】
試 験 例 2
ブリッジ防止試験:
実施例5〜8および比較例3〜5で調製したブリッジ防止液を用いて試験例1と同様にして銅配線腐食性、触媒除去性およびブリッジ防止性を評価した。これらの結果を表2に示した。
【0062】
【表2】
【0063】
ポリチオール化合物を含有するブリッジ防止液に、更に、金属析出触媒の除去液を含有させたもの(実施例5〜8)で処理した場合、L/S=15/15でもブリッジが発生しない上、触媒もよく除去されているため、樹脂上への析出も少なかった。一方、金属析出触媒の除去液をブリッジ防止液の代わりに用いて処理した場合(比較例3)またはモノチオール化合物を含有するブリッジ防止液に、更に、金属析出触媒の除去液を含有させたもの(比較例4〜5)で処理した場合には、L/S=20/20以下でブリッジが発生した。なお、金属析出触媒の除去液により樹脂上の触媒が90%以上除去され、銅配線への影響は比較例4以外、実用上問題のない程度であった。
【0064】
実 施 例 9
金属析出触媒の除去液の調製:
塩酸300g/Lおよび硝酸30g/Lを含有する水溶液を調製し、これを金属析出触媒の除去液とした。
【0065】
実 施 例 10
金属析出触媒の除去液の調製:
チオ尿素60g/Lおよびメタンスルホン酸200g/Lを含有する水溶液を調製し、これを金属析出触媒の除去液とした。
【0066】
実 施 例 11
金属析出触媒の除去液の調製:
N−メチルチオ尿素70g/Lおよびメタンスルホン酸600g/Lを含有する水溶液を調製し、これを金属析出触媒の除去液とした。
【0067】
比 較 例 6
ブリッジ防止液の調製:
2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム5g/Lおよびエタノール100g/Lを含有する水溶液を調製し、これをブリッジ防止液とした。
【0068】
試 験 例 3
ブリッジ防止試験:
実施例1〜3および比較例6で調製したブリッジ防止液と、実施例9〜11で調製した金属析出触媒の除去液を用いて試験例1と同様にして銅配線腐食性、触媒除去性およびブリッジ防止性を評価した。なお、金属析出触媒の除去液を用いた処理は、ブリッジ防止液を用いた処理の前に行った。また、この処理には、金属析出触媒の除去液を50℃に加温したものを用い、処理(浸漬)時間は1分間である。これらの結果を表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】
金属析出触媒の除去液(実施例9〜11)で処理を行った後、ポリチオール化合物を含有するブリッジ防止液で処理した場合(実施例1〜3)、L/S=15/15でもブリッジが発生しない上、触媒もよく除去されているため、樹脂上への析出が少なかった。一方、金属析出触媒の除去液(実施例9)のみで処理した場合、触媒はよく除去されたが、L/S=30/30でも全面に析出した。また、金属析出触媒の除去液(実施例9)で処理を行った後、モノチオール化合物を含有するブリッジ防止液(比較例6)で処理した場合には、L/S=20/20以下でブリッジが発生した。更に、金属析出触媒の除去液(実施例10)で処理を行った後、モノチオール化合物を含有するブリッジ防止液(比較例6)で処理した場合には、L/S=15/15以下でブリッジが発生した。なお、金属析出触媒の除去液により樹脂上の触媒が90%以上除去され、銅配線への影響は実用上問題のない程度であった。