(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290213
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】環状空間用のシーリングシステム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20180226BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20180226BHJP
F16L 5/10 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
F16L5/02 E
F16L5/10
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-529026(P2015-529026)
(86)(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公表番号】特表2015-530708(P2015-530708A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】EP2013067891
(87)【国際公開番号】WO2014033211
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】12182375.1
(32)【優先日】2012年8月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515055166
【氏名又は名称】ベール エンジニアリング ベー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ベール,ヨハネス アルフレッド
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−072906(JP,A)
【文献】
特表2009−501303(JP,A)
【文献】
特表2006−514249(JP,A)
【文献】
特表2002−506185(JP,A)
【文献】
特表2002−506186(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第02203370(DE,A1)
【文献】
特開2006−032312(JP,A)
【文献】
特開平07−296884(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/147490(WO,A1)
【文献】
特表2010−501813(JP,A)
【文献】
特表2009−530555(JP,A)
【文献】
特開2013−047568(JP,A)
【文献】
特表2013−534594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
F16L 5/02
F16L 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状開口の内壁と、前記管状開口を通って軸方向に延在する一つの管、ケーブルまたはダクトとの間の環状空間をシールするシステムであって、
当該システムは、前記環状空間にシーリングプラグを形成する少なくとも2つのセグメント部分を有し、
各セグメント部分は、弾性材料で構成され、各セグメントには、前記プラグの前記環状空間への挿入を容易にする小径端部、および前記管状開口の端部に配置する大径端部が設けられ、前記セグメント部分は、前記管状開口の端部から、前記環状空間に挿入され、
さらに、各セグメント部分は、長手方向に離間して配置された複数の外側リブを有し、使用の際には、前記シーリングプラグと前記開口の前記内壁の間に、周方向に延在する外側接触表面が構成され、
さらに各セグメント部分には、前記長手方向に離間して配置された複数の内側リブが設けられ、使用の際には、前記シーリングプラグと前記管、ケーブルまたはダクトの間に、周方向に延在する内側接触表面が構成され、
少なくとも一つの前記外側リブおよび前記内側リブの一つは、前記プラグの非挿入状態において、以下の形状条件を満たすことを特徴とするシステム:
−前記外側リブは、断面において、鋸歯の形状を有し、該鋸歯の形状は、半径方向外方で、前記プラグの前記大径端部に向かって上昇する上昇表面と、傾斜した内方曲がりを有する下降表面と、を有し、前記傾斜した内方曲がりにより、該傾斜した内方曲がりの回転点の対向する両側の、前記下降表面の2部分の相対的な移動が容易となり、その結果、前記回転点の対向する両側は、負荷バネを形成し、前記回転点から前記プラグの仮想的な中心軸の方向に、力が加えられる;
−前記内側リブは、周方向および長手方向に延伸し、前記内側接触表面の一つを形成する上部表面を有する;
−横断方向に延伸する仮想的な直線ラインは、前記傾斜した曲がりの前記回転点と一致し、前記上部表面と交差する。
【請求項2】
前記下降表面の、前記回転点と前記プラグの仮想的な中心軸の間の下側部分は、前記長手方向に対して、30〜60゜の範囲、好ましくは40〜50゜の範囲の角度を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記下降表面の、前記回転点と前記鋸歯の頂点の間の上側部分は、前記長手方向に対して、90〜70゜の範囲の角度を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記下降表面の前記下側部分は、前記上部表面の長さの約70%の長さを有することを特徴とする請求項2、または該請求項2を引用する請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
横断方向に延伸する仮想的な直線ラインは、前記鋸歯の頂点と一致し、前記上部表面と交差することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項6】
横断方向に延伸する仮想的な直線ラインは、前記下降表面の上側部分と一致し、前記上部表面と交差することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項7】
前記上昇表面は、前記長手方向に対して、前記上昇表面の全表面に沿って一定の角度を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項8】
前記上昇表面の前記鋸歯の頂点と隣接する第1の部分には、前記上昇表面の前記頂点から離れて配置された第2の部分に対するレベリングが設けられ、
前記レベリングは、前記長手方向に対して、ある角度を有し、該角度は、0゜よりも大きく、前記長手方向に対する前記第2の部分の角度よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項9】
前記レベリングと、前記上昇表面の前記頂点から離れて配置された前記第2の部分との合致点は、前記上昇表面に配置された、傾斜した外方曲がりを形成し、
前記上昇表面の前記傾斜した外方曲がりは、前記下降表面に配置された前記傾斜した内方曲がりの前記回転点に比べて、前記プラグの仮想的な中心軸から離れて配置されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
さらに前記内側リブには、前記上部表面のいずれかの側に、傾斜表面が設けられ、該傾斜表面は、前記上部表面から離れるように延伸し、
各傾斜表面の傾斜は、前記セグメント部分の横断方向に対して、ある角度で取り囲まれ、
前記セグメント部分が前記環状空間に挿入される際に、前記内側リブの曲げが実質的に抑制されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項11】
前記内側リブは、前記長手方向において、相互に離間して配置されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項12】
前記大径端部には、前記管状開口の外端部に配置するように構成された外側フランジが設けられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項13】
前記大径端部は、前記管状開口の端部での配置に適し、
前記外側リブの直径は、前記大径端部の直径よりも僅かに大きいことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも3つの前記外側リブおよび3つの前記内側リブは、前記プラグの未挿入状態において、前記形状条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項15】
前記セグメント部分の各々は、ゴムで構成され、好ましくは70〜74゜のショアA硬度を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、管状開口の内壁と、管状開口を通って軸方向に延伸する一つの管、ケーブルまたはダクトとの間の環状空間をシールするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなシステムは、良く知られている。この一例には、国際公開WO2004/111513
号、WO2007/028443号、WO2007/107342号、およびWO2008/023058号があり、これらは全て本願の出願人によるものであり、本願の参照として取り入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/111513号
【特許文献2】国際公開第2007/028443号
【特許文献3】国際公開第2007/107342号
【特許文献4】国際公開第2008/023058号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのシステムは十分に機能するものの、シーリングシステムのさらなる改善、および/または特殊な用途のシーリングシステムを提供することに対する、継続的な要求の流れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
理想的には、特殊な状況で極めて有意に使用され得る、そのような改良されたシステムを提供するという目的は、請求項1に記載のシステムにより達成される。管状開口の内壁と、前記管状開口を通って軸方向に延伸する一つの管、ケーブル、またはダクトとの間の環状空間をシールするシステムが提供される。本システムは、環状空間にシーリングプラグを形成するための、少なくとも2つのセグメント部分を有する。各セグメント部分は、弾性材料で構成される。各セグメント部分には、小径端部が設けられ、環状空間へのプラグの挿入が容易になる。また、各セグメント部分には、管状開口の端部に配置する大径端部が提供され、セグメント部分は、前記管状開口の端部から、環状空間に挿入される。各セグメント部分は、さらに、長手方向に離間して配置された多くの外側リブを有し、使用の際には、シーリングプラグと開口の内壁の間に、周方向に延在する外側接触表面が構成される。各セグメント部分には、さらに、長手方向に離間して配置された多くの内側リブが設けられ、使用の際には、シーリングプラグと管、ケーブルまたはダクトの間に、周方向に延在する内側接触表面が構成される。少なくとも一つの外側リブおよび内側リブの一つは、プラグの非挿入状態において、以下の形状条件を満たす:
−外側リブは、断面において、鋸歯の形状を有し、該鋸歯の形状は、半径方向外方で、前記プラグの大径端部に向かって上昇する上昇表面と、傾斜した内方曲がりを有する下降表面とを有し、前記傾斜した内方曲がりにより、該傾斜した内方曲がりの回転点の対向する両側の、前記下降表面の2部分の相対的な移動が容易となる;
−内側リブは、周方向および長手方向に延伸し、前記内側接触表面の一つを形成する上部表面を有する;
−横断方向に延伸する、仮想的な直線ラインは、前記傾斜した曲がりの回転点と一致し、前記上部表面と交差する。
【0006】
この形状は、驚くべき効果を発揮する。環状空間にプラグが挿入されると、前述の条件を満たす外側リブは、大径端部に向かって曲がり、管状開口の内壁の直径となる。シーリングプラグをさらに挿入すると、外側リブの上昇表面の外端部は、内壁に沿ってスライドし、管状開口の内壁は、その直径を外側リブの最大直径として継続的に押し付ける。外側リブのこの曲げ状態の結果、シーリングプラグに弾性力が誘起される。いかなる理論に拘束されることも望まないが、これらの状況下では、回転点の対向する両側は、「負荷バネ」を構成し、回転点から、プラグの仮想的な中心軸の方向に力が加えられる。内側リブ、または特に前述の条件に合致する上部表面は、このバネの負荷が加わった外側リブに整列され、あるいは回転点に整列され、内側リブの上部表面に、半径方向内向きに誘導された力が印加される。
【0007】
従って、使用の際に以下の利点が得られる。外側リブが容易に曲がるため、プラグは、容易に挿入することができ、これらの最外直径は、管状開口の内壁の直径となる。また、内側リブの上部表面により、セグメント部分が環状空間に挿入された際に、管、ケーブルまたはダクトに沿ったセグメント部分のスライドが容易になる。そのような方法での外側リブの曲げの結果として、弾性力が導入され、その結果、今度は、内側リブの上部表面で半径方向内方に押し付け力が生じ、管、ケーブルまたはダクトの周囲でシーリングプラグがさらに締められる。
【0008】
本発明によるシステムの実施例では、下降表面の回転点とプラグの仮想中心軸の間の下側部分は、長手方向に対して30〜60゜の範囲の角度を有し、好ましくは40〜50゜の角度を有する。これにより、曲げられた外側リブから内側リブに向かって、外側リブの弾性力と一致する半径方向に、弾性力の最適な伝達が可能となる。
【0009】
本発明によるシステムの実施例では、下降表面の回転点と鋸歯の頂点の間の上側部分は、長手方向に対して90〜70゜の範囲の角度を有する。これにより、外側リブの比較的大きな曲げが可能となり、「バネ負荷」が最適化される。
【0010】
本発明によるシステムの実施例では、下降表面の下側部分は、上部表面の長さの約70%の長さを有する。力は、半径方向内向きに広がる傾向にあり、下降表面の下側部分の長さは、上部表面の長さよりも短くすることができる。下降表面の下側部分が比較的短い長さのため、上側部分の比較的長い長さは、その後、容易に曲がるようになる。下降表面の下側部分の長さが上部表面の長さよりも著しく短い場合、半径方向内向きに誘導される力は、上部表面の一部でのみ、有効となり、管、ケーブルまたはダクトの良好な締め付けが生じなくなる。70%は、良好なバランスを満たすと考えられる。
【0011】
本発明によるシステムの実施例では、横断方向に延伸する仮想的な直線ラインは、鋸歯の頂点に一致し、上部表面と交差する。これにより、外側リブの最小の曲げも、半径方向内向きに誘導される力に最も効率的に伝達され、内側リブの上部表面に伝達される。
【0012】
本発明によるシステムの実施例では、横断方向に延伸する仮想的な直線ラインは、下降表面の上側部分に一致し、上部表面と交差する。また、この結果、内側リブの上部表面で半径方向内向きに誘導される力に、外側リブの最小の曲げの最も効率的な伝達が生じる。
【0013】
本発明によるシステムの実施例では、上昇表面は、その全表面に沿って、水平方向に対して一定の角度を有する。これは、特に、プラグで環状空間を閉止する必要があるものの、管状開口から再度プラグを除去する際に必要な圧力を、あまり大きくすべきではない場合、好適である。
【0014】
本発明によるシステムの実施例では、鋸歯の頂点に隣接する上昇表面の第1の部分には、上昇表面の頂点から離れて配置された第2の部分に対するレベリングが提供される。レベリングは、長手方向に対して、ある角度を有し、該角度は、0゜よりも大きく、前記長手方向に対する第2の部分の角度よりも小さい。そのような実施例は、プラグが管状開口から押し付けられる前に、高圧に耐える必要がある状況において有意である。レベリングにより、プラグと管状開口の内壁の間で、さらなる摩擦接触が可能となり、プラグは、極めて大きな圧力下においても、特に挿入方向と反対の方向において、移動に対する抵抗を示すようになる。
【0015】
本発明によるシステムの実施例では、レベリングと、上昇表面の頂点から離れて配置された第2の部分との合致点は、上昇表面に配置された、傾斜した外方曲がりを形成し、前記上昇表面の傾斜した外方曲がりは、下降表面に配置された傾斜した内方曲がりの回転点に比べて、前記プラグの仮想的な中心軸から離れて配置される。そのような実施例では、プラグの外側リブと管状開口の内壁の間の大きな摩擦接触が、「バネ負荷」の外側リブとより簡単に組み合わされるようになり、内側リブに向かって、半径方向内向きの力が生じる。
【0016】
本発明によるシステムの実施例では、内側リブには、上部表面のいずれかの側に、さらに、傾斜表面が設けられ、該傾斜表面は、上部表面から離れるように延伸する。各傾斜表面の傾斜は、セグメント部分の横断方向に対して、ある角度で取り囲まれ、セグメント部分が環状空間に挿入される際に、内側リブの曲げは、実質的に抑制される。これにより、セグメント部分が環状空間に挿入された際に、管、ケーブルまたはダクトの外側表面と、セグメント部分との間に、極めて小さな摩擦が生じるようになる。
【0017】
以下の添付図面に基づき、本発明およびさらなる実施例についてさらに説明する。
【0018】
図において、同様の特徴物は、同様の参照符号で表される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明によるシステムの第1の実施例を示した断面図である。
【
図2】管状開口に挿入された第1の実施例の概略的な断面図である。
【
図3】本発明によるシステムの第2の実施例の断面図である。
【
図4】管状開口を有する骨格、および電気ケーブルまたは薄い管の輸送用の本発明によるシステムの第1の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、管状開口の内壁と、1つの管、ケーブルまたはダクトとの間の環状空間をシールするためのシステムの第1の実施例の断面図を示す。管状開口は、パイプの入口、船舶(vessels)もしくは海洋構造物の仕切り壁においてしばしば認められるような溝スリーブ、あるいはフレームワークに穴明けされた、もしくはミル処理された穴であって、これを介して、例えば、電気ケーブルが装置、設備、建物等に入るように延伸される穴、であっても良い。特に、管状開口の種類は、本発明によるシステムでシールすることができるものであれば、いかなる限定もされない。管状開口を通って、その軸方向に延伸する管、ケーブルまたはダクトは、該管、ケーブルまたはダクトが通常適用される、いかなる目的を有するものであっても良い。液体または気体は、管を介して流れ、電気信号または光信号は、ケーブルを介して伝送され、ダクトは、例えば、微細な光ファイバの被覆用に使用されても良い。
【0021】
システムは、少なくとも2つのセグメント部分1を有し、これは、管状開口の内壁と、管、ケーブルまたはダクトとの間の環状空間に、シーリングプラグを形成する。各セグメント部分1には、小径端部2が設けられ、これにより環状空間へのプラグの挿入が容易となる。小径端部2が、セグメント部分1の他の部分とはどのように異なるかについては、後述する。
【0022】
各セグメント部分1には、さらに、管状開口の端部に配置するための大径端部3が設けられ、ここから、セグメント部分1は、環状空間に挿入される。各セグメント部分1は、さらに、長手方向Lに離間して配置された多くの外側リブ4を有し、使用の際には、シーリングプラグと開口の内壁との間に、周方向に延在する外側接触表面5が構成される(
図2参照)。さらに、各セグメント部分1には、長手方向Lに離間して配置された多くの内側リブ6が設けられ、使用の際には、シーリングプラグと、管、ケーブルまたはダクトとの間に、周方向に延在する内側接触表面7が構成される。外側リブ4の少なくとも一つと、内側リブ6の一つは、プラグの非挿入状態において、以下の形状条件を満たす:
−外側リブ4は、断面において、半径方向外方で、プラグの大径端部3に向かって上昇する上昇表面8を有する鋸歯の形状を有する。鋸歯は、さらに、傾斜した内方曲がり10を有する下降表面9を有し、この傾斜した内方曲がり10により、該傾斜した曲がり10の回転点13の対向する両側の、下降表面9の部分11と12の相対的な移動が容易となる;
−内側リブ6は、周方向および長手方向Lに延伸し、内側接触表面7の一つを形成する上部表面14を有する;
−横断方向Tに延伸する仮想的な直線ライン(破線15)は、傾斜した曲がり10の回転点13と一致し、上部表面14と交差する。
【0023】
下降表面9の回転点13と、プラグの仮想中心軸Aの間の下側部分16は、長手方向に対して、30〜60゜の範囲の角度αを有することが好ましい。好ましくは、αは、40〜50゜の範囲である。最も好適な実施例では、αは、45゜である。下降表面9の回転点13と鋸歯の頂点18の間の上側部分17は、長手軸Lに対して、90〜70゜の範囲の角度δを有する。下降表面9の下側部分16は、内側リブ6の上部表面14の長さの約70%の長さを有することが好ましい。
図1の実施例に示すように、横断方向Tに延伸する仮想的な直線ライン15は、鋸歯の頂点18と一致するとともに、上部表面14と交差する。また、
図1の実施例に示すように、横断方向Tに延伸する仮想的な直線ライン15は、下降表面9の上側部分17と一致するとともに、上部表面14と交差する。図に示すように、上昇表面8は、その全表面に沿って、長手方向Lに対して一定の角度を有することが可能である。
【0024】
しかしながら、別の実施例(図示されていない)では、鋸歯の頂点18に隣接する上昇表面8の第1の部分には、上昇表面8の頂点18から離れて配置された第2の部分に対するレベリングが設けられる。レベリングは、長手方向Lに対して角度γを有し、この角度γは、0゜よりも大きく、第2の部分20の長手方向Lに対する角度θよりも小さい。国際公開第WO2004/111513号の、例えば、
図1、5、6a、6bには、そのようなレベリングが示されており、これは参照符号15で表されている。これらの図は、この代替実施例の一例として、本願の参照として取り入れられる。
【0025】
そのようなレベリングが適用された実施例では、レベリングと、頂点18から離れて配置された上昇表面8のセグメント部分の合致点は、上昇表面8に配置された、傾斜した外方曲がり21を形成する。上昇表面8における傾斜した外方曲がり21は、下降表面9に配置された傾斜した内方曲がりの回転点13に比べて、プラグの仮想的な中心軸Aから離れて配置される。
【0026】
いかなる実施例においても、内側リブ6は、上部表面14のいずれかの側に、さらに傾斜表面22を備えることが好ましい。傾斜表面22は、上部表面14から離れるように延伸する。各傾斜表面22の傾斜は、セグメント部分1の横断方向Tに対して角度Φで取り囲まれ、セグメント部分1が環状空間に挿入される際に、内側リブ6の曲がりは、実質的に抑制される。
【0027】
図に示すように、内側リブ6は、長手方向Lにおいて、相互に離間して配置されることが好ましい。しかしながら、国際公開第WO2007/028443A1号に示されているように、内側リブを相互に隣接させることも可能である。
【0028】
図3には、別の実施例を示す。この例では、大径端部3に外側フランジ23が設けられ、これは、管状開口の外側端部に設置するように構成される。しかしながら、
図1、2
および4に示すように、大径端部3を、管状開口の端部への配置に適するようにすることも可能である。後者の実施例では、外側リブ4の直径は、大径端部3の直径に比べて僅かに大きくされる。大径端部3の直径は、管状開口の内壁の直径に対応しても良い。そのような実施例の場合、フランジは、開口内のプラグの安定性に寄与する。
【0029】
図に示すように、4つの外側リブ4および4つの内側リブ6は、非挿入状態において、プラグの前述の形状条件を満たす。一つの外側リブ4および一つの内側リブ6の条件の適用により、効果は既に得られるものの、この効果がプラグの長手方向に沿った各種位置で得られる場合、全体のシール性が改善される。
【0030】
また、図に示すように、特に
図1、2および4に示すように、小径端部2における第1の外側リブ24は、他の外側リブ4よりも小さな直径を有する。この第1の外側リブ24の直径は、管状開口の内壁の直径に比べて、意図的に若干大きく形成しても良い。これにより、プラグの一部としての、セグメント部分1の挿入の最初の段階が容易となる。次に、第1の外側リブ24が容易に挿入され、挿入後にも依然として、プラグの安定性に一定の寄与を及ぼす。一旦第1の外側リブ24が挿入されると、大径端部3に向かって、長手方向に比較的大きな力を加えることにより、プラグの残りの部分が容易に挿入される。
【0031】
セグメント部分は、加硫性(vulcanizable)高分子材料の成形により製造され、所定の条件において、硬化が生じる。理想的には、この材料およびプロセスにより、セグメント部分の形態で、70〜74゜のショアA硬度を有するゴムが生成される。これらの処理は、当業者には容易に制御できる。
【0032】
図2および
図4に示すように、セグメント部分1は、管状開口への挿入の際に、管状開口に設けられたショルダー25に対して配置される。ショルダーは、挿入が行われる端部とは反対の、開口の端部でダクトが押し付けられることを抑制するとともに、プラグの大径端部3に大きな圧力が加わった際に、プラグの動的な応答が可能となるように配置される。この動的な効果は、国際公開第WO2008/023058A1号およびWO2007/107342号に記載されている。
【0033】
図に示したプラグは、電気ケーブルの防水搬送の構築に対して、極めて良好に作動することが確認された。プラグは、一例として
図5に示すような管状開口に、容易に挿入される。プラグと電気ケーブルの気密性は、電気ケーブルの周囲の管状開口にシーリングシステムを構築してから最初の24時間以内に改善された。シーリングシステムは、極めて容易に適用することができ、ネジなどの締め付けは不要である。フレームだけは、必要な場合、ネジにより固定する必要がある。従って、労働コストが抑制され、部品の管理は、直接的で容易となる。
【0034】
本発明は、本願に示された実施例に限定されるものではない。例えば、シールされる環状空間は、一部が他のケーブル、ダクト、または管で占められていても良い。セグメント部分は、例えば、国際公開第WO2004/111513号の
図4a〜4eに示されたような形態で、適合させても良い。本発明は、比較的小さな管状開口、および薄いケーブルまたは管用など、いかなるシステムに対しても利用できる。
図4および
図5には、スケールは示されていないことに留意する必要がある。この実施例は、15mmの直径を有する管状開口のシールに適し、内部を4〜5mmの直径のケーブルが延伸する。興味深いことに、ケーブルまたは管の移動のため、これを軸方向に引いたり押したりして大きな労力がなされた場合、これは、時間のある時点で軸方向に移動する。しかしながら、プラグは、依然として管状開口の位置に残る。これは、ある用途では極めて有意である。
【0035】
添付の特許請求の範囲に記載された本発明から逸脱しないで、多くの変更および修正が可能である。