(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記癌が、乳癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、卵巣癌、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病およびホジキンリンパ腫からなる群から選択されるWEE1キナーゼ関連癌である、請求項6に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】WEE1阻害剤による多様な腫瘍細胞株における細胞増殖の破壊の図解である。WEE1−1の9点の滴定で処置した522種類の癌細胞株に対して3つ組で96時間の枠にわたる増殖をアッセイした。細胞株反応データを起源腫瘍組織に分類し、WEE1−1濃度の関数として、(DMSO−処理対照細胞と比較した)生存率として表す。
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、WEE1阻害剤での処理の結果起こるS期におけるDNA損傷の説明であり、ここでES−2、A2058、A431、A427、KNS62およびNCI−H460細胞をDMSO(−)またはWEE1−1の漸増濃度の何れかで2時間処理した。リン酸化CHK1
S345、リン酸化CDK1
Y15、リン酸化CDK1
T14またはローディング対照としてのアクチンに対する抗体を用いたウエスタンブロッティングによってタンパク質溶解液を分析した(
図2A)。最長2または6時間、DMSOまたは150nM WEE1−1でTOV−21G細胞を処理した(
図2B)。DNA複製が活発に起こるS期細胞を標識するためにBrdUでの回収の1時間前に細胞をパルス標識した。総DNA含量に対するDNA2本鎖切断(γH2AX)(
図2B、左パネル)またはBrdU取り込みに対するγH2AX(
図2B、右パネル)について、フローサイトメトリーによって細胞を分析した。γH2AX−染色細胞の%は、DNA2本鎖切断を含有する細胞集団に相当し、各処理状態に対して示され、右パネルにおいてBrdUの状態によって分けられる。
【
図2B】
図2Aおよび2Bは、WEE1阻害剤での処理の結果起こるS期におけるDNA損傷の説明であり、ここでES−2、A2058、A431、A427、KNS62およびNCI−H460細胞をDMSO(−)またはWEE1−1の漸増濃度の何れかで2時間処理した。リン酸化CHK1
S345、リン酸化CDK1
Y15、リン酸化CDK1
T14またはローディング対照としてのアクチンに対する抗体を用いたウエスタンブロッティングによってタンパク質溶解液を分析した(
図2A)。最長2または6時間、DMSOまたは150nM WEE1−1でTOV−21G細胞を処理した(
図2B)。DNA複製が活発に起こるS期細胞を標識するためにBrdUでの回収の1時間前に細胞をパルス標識した。総DNA含量に対するDNA2本鎖切断(γH2AX)(
図2B、左パネル)またはBrdU取り込みに対するγH2AX(
図2B、右パネル)について、フローサイトメトリーによって細胞を分析した。γH2AX−染色細胞の%は、DNA2本鎖切断を含有する細胞集団に相当し、各処理状態に対して示され、右パネルにおいてBrdUの状態によって分けられる。
【
図3A】
図3Aから3Cは、WEE1阻害剤での処理の結果起こるS期進行遅延の説明である。血清除去36時間後にES−2細胞を同期化させた。
図3Aおよび3Bにおいて、レーン1から6のビヒクル(DMSO)またはレーン7から11の500nM WEE1−1の何れかのさらなる存在下で20%FBSで周期を再開するために細胞を刺激した。FBS刺激後の回収時間が示される。回収1時間前に、BrdUで細胞をパルス標識し、BrdU染色細胞の%は上部パネルで示す。並行して処理したES−2細胞からのタンパク質溶解液を回収し、続いて指定の抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った。ビヒクル処理対照との比較において、WEE1−1処理によって、S期を通じた進行(
図3A、上部パネルおよび
図3B)およびS期BrdU取り込み(
図3A、上部パネル)が遅延するが、これは、DNA複製の減速を示す。WEE1−1処理によって、サイクリンA発現が遅延し、pChk1
S345により証明されるように、DNA損傷シグナル伝達が誘導される(
図3A、左下パネル)。
図3Bは、BrdU−染色およびDNA含量を比較する、パートAからの選択試料(4、12および24時間処理)におけるフローサイトメトリー分析を示す。
図3Cのデータは、20%FBSの存在下または非存在下の何れかにおける、500nM WEE1−1が添加された血清飢餓ES−2細胞の代表である。24時間後、フローサイトメトリーによってDNA含量およびγH2AX(DNA2本鎖切断)を分析した。細胞の総集団の%をチャートで与えるが(
図3C)、これにより、集団が20%FBSによって刺激される場合、WEE1−1がより多くの細胞においてDNA2本鎖切断を誘導することが明らかになる。
【
図3B】
図3Aから3Cは、WEE1阻害剤での処理の結果起こるS期進行遅延の説明である。血清除去36時間後にES−2細胞を同期化させた。
図3Aおよび3Bにおいて、レーン1から6のビヒクル(DMSO)またはレーン7から11の500nM WEE1−1の何れかのさらなる存在下で20%FBSで周期を再開するために細胞を刺激した。FBS刺激後の回収時間が示される。回収1時間前に、BrdUで細胞をパルス標識し、BrdU染色細胞の%は上部パネルで示す。並行して処理したES−2細胞からのタンパク質溶解液を回収し、続いて指定の抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った。ビヒクル処理対照との比較において、WEE1−1処理によって、S期を通じた進行(
図3A、上部パネルおよび
図3B)およびS期BrdU取り込み(
図3A、上部パネル)が遅延するが、これは、DNA複製の減速を示す。WEE1−1処理によって、サイクリンA発現が遅延し、pChk1
S345により証明されるように、DNA損傷シグナル伝達が誘導される(
図3A、左下パネル)。
図3Bは、BrdU−染色およびDNA含量を比較する、パートAからの選択試料(4、12および24時間処理)におけるフローサイトメトリー分析を示す。
図3Cのデータは、20%FBSの存在下または非存在下の何れかにおける、500nM WEE1−1が添加された血清飢餓ES−2細胞の代表である。24時間後、フローサイトメトリーによってDNA含量およびγH2AX(DNA2本鎖切断)を分析した。細胞の総集団の%をチャートで与えるが(
図3C)、これにより、集団が20%FBSによって刺激される場合、WEE1−1がより多くの細胞においてDNA2本鎖切断を誘導することが明らかになる。
【
図3C】
図3Aから3Cは、WEE1阻害剤での処理の結果起こるS期進行遅延の説明である。血清除去36時間後にES−2細胞を同期化させた。
図3Aおよび3Bにおいて、レーン1から6のビヒクル(DMSO)またはレーン7から11の500nM WEE1−1の何れかのさらなる存在下で20%FBSで周期を再開するために細胞を刺激した。FBS刺激後の回収時間が示される。回収1時間前に、BrdUで細胞をパルス標識し、BrdU染色細胞の%は上部パネルで示す。並行して処理したES−2細胞からのタンパク質溶解液を回収し、続いて指定の抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った。ビヒクル処理対照との比較において、WEE1−1処理によって、S期を通じた進行(
図3A、上部パネルおよび
図3B)およびS期BrdU取り込み(
図3A、上部パネル)が遅延するが、これは、DNA複製の減速を示す。WEE1−1処理によって、サイクリンA発現が遅延し、pChk1
S345により証明されるように、DNA損傷シグナル伝達が誘導される(
図3A、左下パネル)。
図3Bは、BrdU−染色およびDNA含量を比較する、パートAからの選択試料(4、12および24時間処理)におけるフローサイトメトリー分析を示す。
図3Cのデータは、20%FBSの存在下または非存在下の何れかにおける、500nM WEE1−1が添加された血清飢餓ES−2細胞の代表である。24時間後、フローサイトメトリーによってDNA含量およびγH2AX(DNA2本鎖切断)を分析した。細胞の総集団の%をチャートで与えるが(
図3C)、これにより、集団が20%FBSによって刺激される場合、WEE1−1がより多くの細胞においてDNA2本鎖切断を誘導することが明らかになる。
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、早期有糸分裂が、WEE1阻害で細胞毒性を誘導するのに必要ではないことを示す。A2058、HT−29およびLoVo細胞をDMSO(−WE1−1)または薬物のEC
90濃度のWEE1−1の何れかで24時間処理した。有糸分裂マーカーリン酸化ヒストンH3(pHH3
S10、
図4A)またはDNA2本鎖切断マーカーγH2AX(
図4B)に対して陽性である細胞の集団を同定するために、フローサイトメトリーを使用した。上方のパネルにおいて、右のゲートは、予想される有糸分裂集団(4N DNA含量)を示し、左のゲートは、4N未満のDNA含量であるpHH3に対して陽性である細胞を示す。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、早期有糸分裂が、WEE1阻害で細胞毒性を誘導するのに必要ではないことを示す。A2058、HT−29およびLoVo細胞をDMSO(−WE1−1)または薬物のEC
90濃度のWEE1−1の何れかで24時間処理した。有糸分裂マーカーリン酸化ヒストンH3(pHH3
S10、
図4A)またはDNA2本鎖切断マーカーγH2AX(
図4B)に対して陽性である細胞の集団を同定するために、フローサイトメトリーを使用した。上方のパネルにおいて、右のゲートは、予想される有糸分裂集団(4N DNA含量)を示し、左のゲートは、4N未満のDNA含量であるpHH3に対して陽性である細胞を示す。
【
図5A】
図5Aから5Dは、WEE1−1単剤処置のインビボ効力の説明であり、A427異種移植物を有するマウスにビヒクル(0.5%メチルセルロース)または60mg/kgのWEE1−1の何れかを投与した。ビヒクルおよび化合物両者の投与は、連続28日間にわたりBIDであった。異種移植腫瘍体積を週に2回得て、ビヒクル(n=10)およびWEE1−1(n=10)処置マウスに対する処置の日数に対してプロット(平均体積−/+SEM)した(
図5A)。
図5Bは、ビヒクルまたはMK−1775の何れかで28日間処置された個々のA427異種移植片の最終腫瘍体積がプロットされたことを示す。試験開始時の平均腫瘍体積は164mm
3であり、点線で示す。
図5Cおよび5Dは、WEE1−1処置がLoVo異種移植試験(星印により示される)において第13日に停止され、腫瘍体積がさらに2週間にわたり測定されたことを除き、
図5Aに対して記載されるとおりSK−MES−1(C)およびLoVo(D)異種移植モデルで行われた、さらなるインビボ効力試験を示す。
【
図5B】
図5Aから5Dは、WEE1−1単剤処置のインビボ効力の説明であり、A427異種移植物を有するマウスにビヒクル(0.5%メチルセルロース)または60mg/kgのWEE1−1の何れかを投与した。ビヒクルおよび化合物両者の投与は、連続28日間にわたりBIDであった。異種移植腫瘍体積を週に2回得て、ビヒクル(n=10)およびWEE1−1(n=10)処置マウスに対する処置の日数に対してプロット(平均体積−/+SEM)した(
図5A)。
図5Bは、ビヒクルまたはMK−1775の何れかで28日間処置された個々のA427異種移植片の最終腫瘍体積がプロットされたことを示す。試験開始時の平均腫瘍体積は164mm
3であり、点線で示す。
図5Cおよび5Dは、WEE1−1処置がLoVo異種移植試験(星印により示される)において第13日に停止され、腫瘍体積がさらに2週間にわたり測定されたことを除き、
図5Aに対して記載されるとおりSK−MES−1(C)およびLoVo(D)異種移植モデルで行われた、さらなるインビボ効力試験を示す。
【
図5C】
図5Aから5Dは、WEE1−1単剤処置のインビボ効力の説明であり、A427異種移植物を有するマウスにビヒクル(0.5%メチルセルロース)または60mg/kgのWEE1−1の何れかを投与した。ビヒクルおよび化合物両者の投与は、連続28日間にわたりBIDであった。異種移植腫瘍体積を週に2回得て、ビヒクル(n=10)およびWEE1−1(n=10)処置マウスに対する処置の日数に対してプロット(平均体積−/+SEM)した(
図5A)。
図5Bは、ビヒクルまたはMK−1775の何れかで28日間処置された個々のA427異種移植片の最終腫瘍体積がプロットされたことを示す。試験開始時の平均腫瘍体積は164mm
3であり、点線で示す。
図5Cおよび5Dは、WEE1−1処置がLoVo異種移植試験(星印により示される)において第13日に停止され、腫瘍体積がさらに2週間にわたり測定されたことを除き、
図5Aに対して記載されるとおりSK−MES−1(C)およびLoVo(D)異種移植モデルで行われた、さらなるインビボ効力試験を示す。
【
図5D】
図5Aから5Dは、WEE1−1単剤処置のインビボ効力の説明であり、A427異種移植物を有するマウスにビヒクル(0.5%メチルセルロース)または60mg/kgのWEE1−1の何れかを投与した。ビヒクルおよび化合物両者の投与は、連続28日間にわたりBIDであった。異種移植腫瘍体積を週に2回得て、ビヒクル(n=10)およびWEE1−1(n=10)処置マウスに対する処置の日数に対してプロット(平均体積−/+SEM)した(
図5A)。
図5Bは、ビヒクルまたはMK−1775の何れかで28日間処置された個々のA427異種移植片の最終腫瘍体積がプロットされたことを示す。試験開始時の平均腫瘍体積は164mm
3であり、点線で示す。
図5Cおよび5Dは、WEE1−1処置がLoVo異種移植試験(星印により示される)において第13日に停止され、腫瘍体積がさらに2週間にわたり測定されたことを除き、
図5Aに対して記載されるとおりSK−MES−1(C)およびLoVo(D)異種移植モデルで行われた、さらなるインビボ効力試験を示す。
【
図6A】
図6Aおよび6Bは、PKMYT1ノックダウンが、選択的にWEE1−1に対する感受性を向上させ、CDK1の阻害的リン酸化を減少させたことを示す。
図6Aは、相対的WEE1−1耐性を呈する2種類の細胞株H460およびKNS62においてPKMYT1がノックダウンされたことを示す。非ターゲティング対照(CT)またはPKMYT1配列を含有するsiRNAプールを用いて細胞に対して遺伝子移入を行った。ViaLight ATPアッセイで増殖についてアッセイする前に、細胞をWEE1−1、カルボプラチン、MEK阻害剤(PD0325901)またはドキソルビシンで72時間処理した。PKMYT1のノックダウンによって、WEE1−1単独に対する増殖EC
50が低下したが、試験した他の化合物の場合は低下しなかった。
図6Bにおいて、非ターゲティング対照(CT)またはPKMYT1 siRNAプールを用いてKNS62細胞に対して遺伝子移入を行い、指定の時間、400nM WEE1−1で処理した。
【
図6B】
図6Aおよび6Bは、PKMYT1ノックダウンが、選択的にWEE1−1に対する感受性を向上させ、CDK1の阻害的リン酸化を減少させたことを示す。
図6Aは、相対的WEE1−1耐性を呈する2種類の細胞株H460およびKNS62においてPKMYT1がノックダウンされたことを示す。非ターゲティング対照(CT)またはPKMYT1配列を含有するsiRNAプールを用いて細胞に対して遺伝子移入を行った。ViaLight ATPアッセイで増殖についてアッセイする前に、細胞をWEE1−1、カルボプラチン、MEK阻害剤(PD0325901)またはドキソルビシンで72時間処理した。PKMYT1のノックダウンによって、WEE1−1単独に対する増殖EC
50が低下したが、試験した他の化合物の場合は低下しなかった。
図6Bにおいて、非ターゲティング対照(CT)またはPKMYT1 siRNAプールを用いてKNS62細胞に対して遺伝子移入を行い、指定の時間、400nM WEE1−1で処理した。
【
図7A】
図7Aおよび7Bは、低PKMYT1発現により、WEE1−1に対する感受性が向上したことを示す。
図7Aにおいて、相対的PKMYT1発現(CCLEデータベース、Broad−Novartis)を305種類の細胞株における400nM WEE1−1処理への反応に対してプロットし、それぞれを1個の点により表した。WEE1−1(x−軸)に対する反応は、96時間増殖アッセイに基づく調整値であり、1の値は、DMSO処理細胞と比べて増殖率に変化がないことを示し、0.25(垂直破線)以下の値は、負の増殖率または細胞死を示す。305種類の細胞株での平均相対PKMYT1発現は413である。
図7Bは、上の
図7Aの分析に含まれない13種類の細胞株に対するPKMYT1 mRNA(左パネル)またはPKMYT1タンパク質(右パネル)の相対的発現に対してプロットされたEC
50値(μM)で測定される、WEE1−1に対する増殖反応を示す。
【
図7B】
図7Aおよび7Bは、低PKMYT1発現により、WEE1−1に対する感受性が向上したことを示す。
図7Aにおいて、相対的PKMYT1発現(CCLEデータベース、Broad−Novartis)を305種類の細胞株における400nM WEE1−1処理への反応に対してプロットし、それぞれを1個の点により表した。WEE1−1(x−軸)に対する反応は、96時間増殖アッセイに基づく調整値であり、1の値は、DMSO処理細胞と比べて増殖率に変化がないことを示し、0.25(垂直破線)以下の値は、負の増殖率または細胞死を示す。305種類の細胞株での平均相対PKMYT1発現は413である。
図7Bは、上の
図7Aの分析に含まれない13種類の細胞株に対するPKMYT1 mRNA(左パネル)またはPKMYT1タンパク質(右パネル)の相対的発現に対してプロットされたEC
50値(μM)で測定される、WEE1−1に対する増殖反応を示す。
【
図8A】
図8Aおよび8Bは、WEE1−1によるWEE1の阻害がCDK1および2活性上昇につながることを示す。ES−2細胞をDMSOまたは250nM WEE1−1の何れかで24時間処理し、回収し、ウエスタンブロット分析のために溶解させた。
図8Aにおいて、溶解液をWEE1基質(pCDK1
Y15)、DDRマーカー(pCHK1
S345)またはCDK1および2基質(それぞれpStathmin
S38およびpLaminA/C
S22)に対する個々の抗体で探索した。
図8Bにおいて、panCDK−基質モチーフ抗体で溶解液を探索した。
【
図8B】
図8Aおよび8Bは、WEE1−1によるWEE1の阻害がCDK1および2活性上昇につながることを示す。ES−2細胞をDMSOまたは250nM WEE1−1の何れかで24時間処理し、回収し、ウエスタンブロット分析のために溶解させた。
図8Aにおいて、溶解液をWEE1基質(pCDK1
Y15)、DDRマーカー(pCHK1
S345)またはCDK1および2基質(それぞれpStathmin
S38およびpLaminA/C
S22)に対する個々の抗体で探索した。
図8Bにおいて、panCDK−基質モチーフ抗体で溶解液を探索した。
【
図9A】
図9Aおよび9Bは、WEE1−1処理により誘導されるDNA損傷が、マイトジェン刺激を必要とすることを示す。ES−2細胞を36時間、血清飢餓状態にし、その時点でこれらを未刺激のままにするかまたは20%FBSで処理した。DNA含量(7−AAD)およびDNA2本鎖切断(γH2AX)のフローサイトメトリー分析のための回収前に、両条件下で培養した細胞に24時間、DMSOまたは500nM WEE1−1の何れかを与えた。
図9Aは、細胞周期分布のヒストグラムを示す。
図9Bは、γH2AX集団を示すゲートでの散布図を示す。総細胞の%は、細胞周期のフェーズにおいてまたはγH2AX陽性としての何れかで示される。
【
図9B】
図9Aおよび9Bは、WEE1−1処理により誘導されるDNA損傷が、マイトジェン刺激を必要とすることを示す。ES−2細胞を36時間、血清飢餓状態にし、その時点でこれらを未刺激のままにするかまたは20%FBSで処理した。DNA含量(7−AAD)およびDNA2本鎖切断(γH2AX)のフローサイトメトリー分析のための回収前に、両条件下で培養した細胞に24時間、DMSOまたは500nM WEE1−1の何れかを与えた。
図9Aは、細胞周期分布のヒストグラムを示す。
図9Bは、γH2AX集団を示すゲートでの散布図を示す。総細胞の%は、細胞周期のフェーズにおいてまたはγH2AX陽性としての何れかで示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
多くの抗癌処置は、DNAに損傷を与え、続いてDNA損傷反応(DDR)を開始させ、チェックポイントキナーゼを活性化して、DNA修復中に分裂を停止させることにより作用する。WEE1、チロシンキナーゼは、DDRにより活性化され、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)1および2をリン酸化し、阻害し、このようにして細胞分裂を停止させる。WEE1を阻害することは、細胞周期停止および的確なDNA修復を抑止することによってDNA損傷処理を増強する。
【0011】
2−アリル−1−[6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−2−イル]−6−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−オンとしても知られるWEE1−1は、標準治療(SOC)化学療法薬と組み合わせた抗腫瘍薬として現在臨床開発中である、強力で(IC
50=5.2nM)選択的なWEE1のATP−競合性低分子阻害剤(Hirai,H.ら、
Mol.Cancer Ther.,2009,8(11):2992−3000)である(Stathis,A.およびOza A.,
Drug News & Perspectives,2010,23(7):425−429;Schellens,J.H.M.ら、
J.Clin.Oncol.,2011,29:2011(suppl;abstr 3068);Mizuarai,S.ら、
Mol.Cancer,2009,8:34)。WEE1−1に対する先行研究から、最終的にアポトーシスまたは分裂期細胞死をもたらす不定期有糸分裂を強制するWEE1−1の能力によって、現在使用されている標準治療(SOC)化学療法薬に対する補助剤または増感剤としてのその可能性が示されている(Hirai,H.ら、
Cancer Biol.& Ther.,2010,9(7):514−522;Aarts,M.ら、
Cancer Discovery,2012,2(6):524−539;Indovina,P.およびGiordano A.,
Cancer Biol.& Ther.,2010,9(7);523−525;Wang,Y.L.ら、
Cancer Biol.& Ther.,2004,3(3):305−313)。しかし、SOC化学療法なしでのWEE1阻害の治療効果の可能性はあまり明確になっていない。WEE1のRNAiノックダウンは、癌細胞株の増殖を阻害し(Iorns,E.ら、
Cancer Targets,2009,Plos One,4(4);Murrow,L.M.ら、
Breast Cancer Research and Treatment,2010,122(2):347−357)、最近、インビトロで処理された肉腫細胞株において、WEE1−1単独でアポトーシスを誘導し得ることが明らかになった(Kreahling,J.M.ら、
Mol.Cancer Ther.,2012,11(1):174−182)。
【0012】
出願者らは、本明細書中で、WEE1単独の薬理学的阻害が、単剤としてのWEE1−1の使用を通じて、幅広い腫瘍細胞株のパネルにわたり細胞毒性であり、DNA2本鎖切断を強く誘導したことを明らかにする。特に、WEE1−1は、SOC化学療法または放射線療法と独立し、S期細胞で起こり、活性DNA複製に依存した、DNA損傷を誘導した。耐容用量で、WEE1−1単剤療法は、異種移植腫瘍成長阻害または退縮に導く。WEE1に機能的に関連するキナーゼであるPKMYT1のノックダウンは、選択的に癌細胞をWEE1−1に対して感受性にしたが、他の細胞毒性剤に対しては癌細胞を感受性にしなかった。本明細書中で記載のように、PKMYT1の発現は、WEE1−1に対して最も反応性がある癌細胞株のおよそ4分の3において、平均以下であった。PKMYT1発現レベルが低かった細胞株を選択することは、WEE1−1に対するこれらの細胞株のインビトロでの感受性の予測となった。まとめると、これらの知見から、強力な単剤抗癌療法としてのWEE1阻害の使用および、WEE1−1単剤療法に反応する可能性が最も高い患者を同定および選択するための低PKMYT1発現の使用に対する根拠が提供される。
【0013】
したがって、本発明は、WEE1−1もしくは医薬的に許容可能なその塩またはWEE1−2もしくは医薬的に許容可能なその塩であるWEE1阻害剤で癌を処置するための方法に関する。別の実施形態において、本発明は、WEE1阻害剤によって発現がWEE1阻害に感受性となる予測的バイオマーカー、PKMYT1に関する。さらに別の実施形態において、本発明は、WEE1キナーゼ関連癌の処置を必要とする、WEE1キナーゼ関連癌と診断された患者をWEE1阻害剤で処置するための方法であって、この患者の癌細胞が、PKMYT1の低発現を特徴とし、このWEE1阻害剤が、WEE1−1もしくは医薬的に許容可能なその塩またはWEE1−2もしくは医薬的に許容可能なその塩である、方法に関する。また別の実施形態において、本発明は、WEE1阻害剤での処置に感受性がある癌患者を処置するための方法であって、この患者の癌細胞が、参照値のレベルを下回るPKMYT1の発現レベルを特徴とし、このWEE1阻害剤が、WEE1−1もしくは医薬的に許容可能なその塩またはWEE1−2もしくは医薬的に許容可能なその塩である、方法である。別の実施形態において、本発明は、WEE1キナーゼ関連癌を処置することにおける使用のためのPKMYT1阻害剤を同定するための方法である。また別の実施形態において、本発明は、PKMYT1に反応する試薬を含むWEE1阻害剤での処置に反応すると思われる患者を同定するためのキットである。
【0014】
本発明の実施形態において、WEE1阻害剤は、WEE1−1または医薬的に許容可能なその塩である。
【0015】
本発明の別の実施形態において、WEE1阻害剤は、100mg/日から200mg/日の間の用量で投与される。本発明の実施形態において、WEE1阻害剤は、2日半のコースにわたり1日2回(BID)(全部で5回投与)または2日間のコースにわたり1日1回(QD)(全部で2回投与)、投与され得る。
【0016】
「癌」という用語は、この記載中で言及される場合、様々な肉腫および癌腫を含み、固形癌および造血器癌を含む。本明細書中で言及される場合、固形癌としては、例えば、脳の癌、頭頸部癌、食道癌、甲状腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、子宮内膜癌、肺癌、胃癌、胆嚢/胆管癌、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、絨毛癌、子宮体癌、子宮頸癌、腎盂/尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、精巣癌、胎児癌、ウィルムス腫瘍、皮膚癌、悪性メラノーマ、神経芽腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍、軟部肉腫が挙げられる。他方で、造血器癌としては、例えば、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫が挙げられる。
【0017】
「WEE1キナーゼ関連癌」という用語は、この記載中で言及される場合、脳の癌、頭頸部癌、食道癌、甲状腺癌、小細胞癌、非小細胞癌、乳癌、肺癌、胃癌、胆嚢/胆管癌、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、絨毛癌、子宮体癌、子宮頸癌、腎盂/尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、精巣癌、胎児癌、ウィルムス癌、皮膚癌、悪性メラノーマ、神経芽腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍、軟部肉腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫を含むが限定されないWEE1キナーゼの活性または阻害と関連する癌、またはこれらの癌の化学療法または放射線療法に対する増感剤として、を意味する。特に、本発明のWEE1阻害剤は、例えば乳癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、卵巣癌、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫に対する治療薬として、またはこれらの癌の化学療法または放射線療法に対する増感剤として有用である。
【0018】
「癌の処置」という用語は、この記載中で言及される場合、患者において癌細胞の増殖を阻害するために、癌患者に抗癌剤が投与されることを意味する。好ましくは、この処置の結果、癌成長退縮の一部の形態が起こるか、またはこの処置により、癌の再発が遅延するかまたは阻止される。より好ましくは、この処置の結果、癌が完全に消失する。
【0019】
「患者」または「対象」という用語は、この記載中で言及される場合、医学的介入または処置を必要とする受容者を意味する。哺乳動物および非哺乳動物患者または対象が含まれる。
【0020】
「予測的バイオマーカー」という用語は、この記載中で言及される場合、発現が、ある種の治療薬または治療薬クラスに対する反応と相関する遺伝子マーカーを意味する。本明細書中で使用される場合、この用語は、PKMYT1を指し、この発現は、WEE1阻害剤の治療効果と相関する。本明細書中の一実施形態において、WEE1阻害剤はWEE1−1である。
【0021】
「マーカー由来ポリヌクレオチド」は、RNA転写形態、マーカー遺伝子、それらから産生される何らかのcDNAまたはcRNAおよびそれら由来の何らかの核酸、例えばマーカー遺伝子に対応する遺伝子由来の配列を有する合成核酸を意味する。
【0022】
「対照」、「対照レベル」、「参照レベル」または「所定の参照レベル」という用語は、疾患がなくてもあってもよい、同等の対照細胞において測定された個別のベースラインレベルを意味する。これは、同じ個体由来または、正常であるかまたは疾患または試験試料が得られる同じ疾患を示さない別の個体由来であり得る。したがって、「参照値」は、絶対値、値の範囲、平均値、中央値、平均の値または特定の対照またはベースライン値と比較した場合の値であり得る。参照値は、個々の試料値に基づき得、例えば、WEE1キナーゼ関連癌があるが、処置の初期または処置前の個体からの試料から得られた値、または被験個体以外のWEE1キナーゼ関連癌と診断された患者もしくはWEE1キナーゼ関連癌と診断されていない個体である「正常」個体からの試料から得られる値である。参照値は、WEE1キナーゼ介在癌と診断された複数の患者または正常個体由来などの試料の数に基づき得るか、または試験しようとする試料を含むかまたは除外する試料のプールに基づき得る。
【0023】
「PKMYT1」という用語は、この記載中で言及される場合、NCBI参照配列番号NM_004203(配列番号1)およびNP_004194(配列番号2)で配列が示される、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼファミリーのメンバーであるタンパク質である、膜結合型チロシン−およびスレオニン−特異的CDK1阻害性キナーゼをコードする遺伝子を意味する(Liu,F.ら、
Mol.Cell.Biol.,1997,17(2):571−583)。
【0024】
「PKMYT1の低発現」または「低PKMYT1発現」という用語は、この記載中で言及される場合、癌と診断されていない患者として特徴づけられるかまたはそのような患者由来の細胞株から得られた細胞または対照細胞と比較した場合に、PKMYT1 DNA、mRNAまたはタンパク質発現がより低いか、またはPKMYT1遺伝子のコピー数が少ない癌と診断された患者として特徴づけられるかまたはそのような患者由来の細胞株から得られた細胞を意味する。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「発現レベルを測定する」、「遺伝子発現レベルを測定する」または「発現レベルを得る」などの用語は、マイクロRNA(miRNA)または遺伝子によりコードされるタンパク質を含む遺伝子の転写産物により代表される標的遺伝子発現レベルを定量する方法ならびに、関心のある遺伝子がとにかく発現されるか否かを決定する方法を含む。したがって、必ずしも発現量の定量を提供することなく「イエス」または「ノー」の結果を提供するアッセイは、その用語が本明細書中で使用される場合、「発現を測定する」アッセイである。あるいは、この用語は、定量的な値で、例えば、対照遺伝子に対する、もしくは別の試料中の同じ遺伝子に対する、倍単位の発現変化、上かもしくは下か、または発現の対数比率もしくはその何らかの視覚的表示、例えば色の強さが、検出される遺伝子発現の量を表す「ヒートマップ」などで、発現される標的遺伝子の発現レベルを定量することを含み得る。遺伝子の発現レベルを検出するための代表的な方法としては、ノーザンブロッティング、ドットまたはスロットブロット、レポーター遺伝子マトリックス(例えば米国特許第5,569,588号明細書を参照)、ヌクレアーゼ保護、RT−PCR、マイクロアレイプロファイリング、ディファレンシャルディスプレイ、SAGE(Velculescuら、(1995),
Science 270:484−87)、デジタル遺伝子発現系(国際公開第2007076128号パンフレット;同第2007076129号パンフレットを参照)、複数mRNAアッセイ(Tianら、(2004),
Nucleic Acids Res.32:e126)、PMAGE(Kimら、(2007),
Science 316:1481−84)、cDNA介在アニーリング、選択、伸長およびライゲーションアッセイ(DASL,Bibikovaら、(2004),
AJP 165:1799−807)、多重分岐状DNAアッセイ(Flagellaら、(2006),
Anal.Biochem.352:50−60)、2Dゲル電気泳動、SELDI−TOF、ICAT、酵素アッセイ、抗体アッセイなどが挙げられるが限定されない。
【0026】
WEE1阻害剤
本発明の実施形態において、本発明のWEE1阻害剤は、WEE1−1であり、この構造は下で示されるとおりである。
【化1】
【0027】
WEE1−1は、癌の処置に有用であるWEE1阻害剤である。WEE1−1は、2−アリル−1−[6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−2−イル]−6−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−オンとしても知られる。WEE1−1は、その全体において本明細書中で参照により組み込まれる、米国特許第7,834,019号明細書および国際公開第2007/126122号パンフレット、同第2007/126128号パンフレットおよび同第2008/153207号パンフレットに記載されている。WEE1−1の結晶形態は、その全体において本明細書中で参照により組み込まれる米国特許出願公開第2010−0124544号明細書および国際公開第2011/034743号パンフレットに記載されている。
【0028】
本発明の実施形態において、本発明のWEE1阻害剤は、WEE1−2であり、この構造は下で示されるとおりである。
【化2】
【0029】
WEE1−2は、癌の処置に有用であるWEE1阻害剤である。WEE1−2はまた、3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−[(2’−メチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−7’−イル)アミノ]−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンとしても知られる。WEE1−2は、その全体において本明細書中で参照により組み込まれる、国際公開第2008/153207号パンフレットおよび米国特許出願公開第2011−0135601号明細書に記載されている。WEE1−2の結晶形態は、国際公開第2009/151997号パンフレットおよび米国特許出願公開第2011−0092520号明細書に記載されている。
【0030】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸およびキラル面を有し得(E.L.ElielおよびS.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,1119−1190頁に記載のとおり)、ラセミ体、ラセミ混合物としておよび個々のジアステレオマーとして生じ得、光学異性体を含む全ての可能性のある異性体およびそれらの混合物、全てのこのような立体異性体が本発明に含まれる。さらに、本明細書中で開示される化合物は、互変異性体として存在し得、互変異性構造が1つしか示されていなくても、両互変異性形態が本発明の範囲に包含されるものとする。
【0031】
本発明に記載の化合物において、原子は、それらの天然の同位体存在度を示し得るか、またはこれらの原子の1以上は、同じ原子番号を有するが原子質量または質量数が天然で主に見出される原子質量または質量数とは異なる特定の同位体において人工的に濃縮され得る。本発明は、本明細書中で開示される化合物の全ての適切な同位体変異体を含むものとする。例えば、水素(H)の異なる同位体形態としては、プロチウム(1H)および重水素(2H)が挙げられる。プロチウムは、天然で見出される主要な水素同位体である。重水素に対する濃縮によって、インビボ半減期延長または投与要件の軽減など、ある種の治療的長所がもたらされ得るか、または生体試料の特徴評価のための標準物質として有用な化合物を提供し得る。本明細書中で開示される同位体濃縮化合物は、当業者にとって周知の従来技術によって、または適切な同位体濃縮試薬および/または中間体を用いて、本明細書中のスキームおよび実施例に記載のものと類似の過程によって、不要な実験なく調製され得る。
【0032】
本発明のWEE1阻害剤はまた、様々な結晶、非晶質物質、医薬的に許容可能な塩、水和物および溶媒和物としても存在し得る。さらに、本発明のWEE1阻害剤はプロドラッグとして提供され得る。一般に、このようなプロドラッグは、生体により必要とされる化合物に容易に変換され得る本発明のWEE1阻害剤の機能的誘導体である。したがって、本発明における様々な癌の処置の方法において、「投与」という用語は、特異的な化合物投与だけでなく、患者への投与後に生体中でその特異的な化合物に変換され得る化合物の投与も含む。適切なプロドラッグ誘導体の選択および産生のための従来法は、例えば「Design of Prodrugs」,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載され、これは、本明細書中で参照され、本記載の一部として本明細書中に全体的に組み込まれる。本化合物の代謝産物は、化合物を生体環境に置くことにより産生される活性化合物を含み得、これは本発明中の化合物の範囲内である。
【0033】
バイオマーカー発現レベルの決定
A.バイオマーカーを測定する方法
一実施形態において、本発明は、WEE1阻害剤によって発現がWEE1阻害に感受性となる予測的バイオマーカー、PKMYT1である。試料中の予測的バイオマーカーの発現レベルは、当分野で公知の何らかの手段により決定され得る。発現レベルは、単離し、バイオマーカーから転写される核酸のレベル(すなわち量)を決定することによって決定され得る。あるいは、またはさらに、バイオマーカーによりコードされる特異的なタンパク質レベルが決定され得る。
【0034】
バイオマーカーの発現レベルは、試料中に存在するmRNAまたはそれ由来のポリヌクレオチドの量を決定することにより遂行され得る。RNAレベルを決定するためのあらゆる方法が使用され得る。例えば、RNAは、試料から単離され、アガロースゲル上で分離される。次に、分離されたRNAをフィルターなどの固形支持体に転写する。次いで、1以上のマーカーを表す核酸プローブをノーザンハイブリッド形成によりフィルターにハイブリッド形成させ、マーカー由来RNAの量が決定される。このような決定は、例えば、デンシトメーターの使用による、視覚的または機械的なものであり得る。RNAレベルを決定する別の方法は、ドットブロットまたはスロットブロットの使用によるものである。この方法において、試料からのRNAまたはそれ由来の核酸が標識される。次に、オリゴヌクレオチドがフィルター上で容易に同定可能な別々の位置に置かれている、1以上のマーカー遺伝子由来のオリゴヌクレオチドを含有するフィルターと、RNAまたはそれ由来の核酸をハイブリッド形成させる。フィルター結合オリゴヌクレオチドへの標識化RNAのハイブリッド形成またはその欠如は、視覚的に、またはデンシトメーターにより判定される。ポリヌクレオチドは、放射性標識または蛍光(すなわち可視的)標識を用いて標識され得る。
【0035】
多くの組織検体中のバイオマーカー遺伝子の発現は、「組織アレイ」を用いて特徴評価され得る(Kononenら、
Nat.Med,1998,4(7):844−847)。組織アレイにおいて、同じマイクロアレイ上で複数の組織試料を評価し得る。組織アレイによって、RNAおよびタンパク質レベルのインサイチュ検出が可能となり;連続切片により、複数の試料の同時分析が可能となる。
【0036】
RNA存在量を決定する他の方法が当分野で公知であるので、これらの例は限定的なものではない。
【0037】
B.マイクロアレイ
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドマイクロアレイは、各バイオマーカーの発現状況が同時に評価されるように、発現を測定するために使用され得る。この測定方法が使用される場合、マイクロアレイは、好ましくは、対象サブセット内で分類にとって情報価値があるとして判定された少なくとも2、3、4、5以上のバイオマーカーまたは全バイオマーカーまたはバイオマーカーの何らかの組み合わせを含む。マイクロアレイが含む情報価値があるバイオマーカーの実際の数は、関心のある特定の状態、同定されるバイオマーカー数および場合によってはエンドポイント表現型の決定においてタイプIエラー、タイプIIエラーまたはタイプIおよびタイプIIエラーが最も少なくなることが分かった情報価値のあるバイオマーカー数に依存して変動する。本明細書中で使用される場合、「タイプIエラー」は偽陽性を意味し、「タイプIIエラー」は、偽陰性を意味し;CDK阻害剤への曝露に対する患者の治療反応を予測する例において、タイプIエラーは、CDK阻害剤に対する治療反応がある個体を、CDK阻害剤処置に対して非反応性であるものとして誤って特徴づけることであり、タイプIIエラーは、CDK阻害剤処置に対する反応がない個体を、治療反応を有するものとして誤って特徴づけることである。
【0038】
具体的な実施形態において使用される場合、本発明は、特定の対象サブセットについて同定されるバイオマーカーが、このアレイ上のプローブの少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または98%を含む、ポリヌクレオチドアレイを提供する。別の具体的な実施形態において、マイクロアレイは複数のプローブを含み、この複数のプローブは、特定の患者サブセットについて同定されたWEE1阻害剤曝露/予測−情報バイオマーカーの少なくとも75%と相補的であり、ハイブリッド形成可能なプローブを含む。本発明のマイクロアレイは、当然ではあるが、特定の状態について同定された、複数の対象サブセットに対するかまたは各対象サブセットに対するWEE1阻害剤予測/評価−情報バイオマーカーに相補的であり、これとハイブリッド形成可能であるプローブを含み得る。その推進において、本発明のマイクロアレイは、関心のある状態について同定された各対象サブセットに対して同定されたWEE1阻害剤予測/評価−情報バイオマーカーの少なくとも75%と相補的であり、これとハイブリッド形成する複数のプローブを含み、ここでこのプローブは、全体で、前記のマイクロアレイ上のプローブの少なくとも50%である。
【0039】
また別の具体的な実施形態において、本マイクロアレイは、本明細書中に記載の方法により同定される少なくとも2つのバイオマーカーを含む、市販のcDNAマイクロアレイである。好ましくは、市販のcDNAマイクロアレイは、本明細書中に記載の方法により特定の状態について患者サブセットに対して情報価値があると同定されたバイオマーカー全てを含む。しかし、このようなマイクロアレイは、同定されたマーカーの最大数まで、このようなマーカーのうち少なくとも1、2、3、4または5個を含み得る。
【0040】
本明細書中に記載のマイクロアレイの何れも、キット中の密封容器中で提供され得る。
【0041】
C.予測的バイオマーカーの産物を測定するために使用されるポリヌクレオチド
本発明の、ポリペプチド予測的バイオマーカー、PKMYT1をコードするmRNA転写産物に特異的にまたは選択的に結合可能なポリヌクレオチドも企図される。本発明によれば、例えば、オリゴヌクレオチド、cDNA、DNA、RNA、PCR産物、合成DNA、合成RNAまたは、本発明の予測的バイオマーカーのRNA産物のうち1以上と特異的におよび/または選択的にハイブリッド形成する天然のまたは修飾ヌクレオチドの他の組み合わせが有用である。
【0042】
好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド、cDNA、DNA、RNA、PCR産物、合成DNA、合成RNAまたは、本発明の予測的バイオマーカーのRNA産物のうち1以上と両者とも特異的におよび選択的にハイブリッド形成する天然のまたは修飾ヌクレオチドオリゴヌクレオチドの他の組み合わせが使用される。
【0043】
本発明の実施においてPKMYT1の(高または低)発現レベルを決定するために、当分野で公知の何らかの方法が利用され得る。本発明の一実施形態において、本明細書中で同定され、開示される遺伝子とハイブリッド形成するRNAの検出に基づく発現が使用される。これは、逆転写−PCRなどであるが限定されない当分野の同等物として公知であるかまたは認識される何らかのRNA検出または増幅方法および、RNA安定化または不安定化配列の有無を検出するための方法により容易に行われる。
【0044】
あるいは、DNA状況の検出に基づく発現が使用され得る。として同定された遺伝子のDNAの検出は、特定の転帰と相関して発現が上昇した遺伝子に対して使用され得る。これは、Q−PCRを含むが限定されない当分野で公知のPCRに基づく方法によって容易に行われ得る。逆に、増幅されるものとして同定された遺伝子のDNAの検出は、特定の処置の転帰と相関して発現が上昇した遺伝子に対して使用され得る。これは、当分野で公知のPCRに基づく蛍光インサイチュハイブリッド形成(FISH)および染色体インサイチュハイブリッド形成(CISH)法によって容易に行われ得る。
【0045】
D.バイオマーカーのRNA産物を測定するための技術
1.リアルタイムPCR
実際に、少数の遺伝子、すなわち約1から3000遺伝子に基づく、遺伝子発現ベースの発現アッセイは、臨床検査室でよく使用される既存の定量的リアルタイムPCR技術を用いて比較的容易に行われ得る。定量的リアルタイムPCRは、二重標識フルオリジェニック(fluorigenic)プローブを通じてPCR産物蓄積を測定する。各標的配列に対する内部競合物、試料内に含有される正規化遺伝子またはハウスキーピング遺伝子など、様々な正規化法が使用され得る。リアルタイムPCRに対する十分なRNAを対象からの数ミリグラム量から単離し得る。現在、多遺伝子発現をベースとしたアッセイのルーチン的な臨床用途を現実的な目標とする試薬と一緒に予め搭載されたミクロ流体カードとともに、定量的サーマルサイクラーが使用され得る。
【0046】
本発明によりアッセイされる、本発明の予測的バイオマーカーの遺伝子マーカーまたはそのサブセットは、一般的にはトータルRNAまたはmRNAまたは逆転写トータルRNAまたはmRNAの形態である。トータルおよびmRNA抽出のための一般的方法は、当分野で周知であり、Ausubelら、
Current Protocols of Molecular Biology,John Wiley and Sons(1997)を含む分子生物学の標準的教科書で開示される。RNA単離はまた、製造者の説明書に従い、Qiagen(Valencia,CA)およびAmbion(Austin,TX)など、市販業者からの精製キット、緩衝液セットおよびプロテアーゼを用いて行うこともできる。
【0047】
TAQman定量的リアルタイムPCRは、製造者の説明書に従い、市販のPCR試薬(Applied Biosystems,Foster City,CA)および装置、例えばABI Prism 7900HT配列検出システム(Applied Biosystems)を用いて行われ得る。この系は、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラおよびコンピューターからなる。この系は、サーモサイクラー上で96ウェルまたは384ウェルの方式で試料を増幅する。増幅中、全96ウェルに対して光ファイバーケーブルを通じて、レーザー誘導性蛍光シグナルをリアルタイムで回収し、CCDで検出する。この系は、機器を動作させるための、およびデータを分析するためのソフトウェアを含む。
【0048】
遺伝子発現測定を行い、本明細書中に記載の分類方法を行うために、本発明で同定された予測的バイオマーカーに基づき、リアルタイムPCR TAQmanアッセイを使用し得る。当業者にとって明らかであるように、予測的バイオマーカー転写産物配列に基づいて、本発明の予測的バイオマーカーに相補的であるかまたはこれとハイブリッド形成する多岐にわたるオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブが選択され得る。
【0049】
2.アレイハイブリッド形成
本発明のある態様によるアレイを含むために安定的に支持体と結合される核酸メンバーとして、本発明のRNA産物を測定するために使用されるポリヌクレオチドを使用し得る。核酸メンバーの長さは、8から1000ヌクレオチド長の範囲であり得、本発明の予測的バイオマーカーのRNA産物に特異的であるように選択され得る。一実施形態において、これらのメンバーは、本発明のRNA産物に選択的である。核酸メンバーは、1本または2本鎖であり得、および/またはcDNAから増幅されたオリゴヌクレオチドまたはPCR断片であり得る。好ましくは、オリゴヌクレオチドはおよそ20から30ヌクレオチド長である。ESTは、好ましくは100から600ヌクレオチド長である。アレイ上でプローブとして本発明の予測的バイオマーカーの発現領域の一部を利用し得ることは当業者にとって理解される。とりわけ、本発明の遺伝子に相補的なオリゴヌクレオチドおよび本発明の遺伝子由来のcDNAまたはESTは有用である。オリゴヌクレオチドに基づくアレイに対して、プローブとして有用である関心のある遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドの選択は当分野でよく理解されている。とりわけ、標的核酸へのハイブリッド形成を可能にする領域を選択することは重要である。オリゴヌクレオチドのTm、%GC含量、二次構造の程度および核酸の長さなどの因子は重要な因子である。例えば米国特許第6,551,784号明細書を参照。
【0050】
3.核酸アレイの構築
提案される方法において、アレイ上の特有の位置の1以上の相補的核酸メンバーが標的核酸に特異的にハイブリッド形成する、相補的核酸メンバー/標的複合体のハイブリッド形成パターンを生成させるのに十分なハイブリッド形成条件下で、標的核酸を含む試料と、実質的に支持体の表面と安定的に結合される核酸メンバーのアレイを接触させる。ハイブリッド形成する標的核酸の同一性は、アレイ上の核酸メンバーの位置を参照して決定され得る。
【0051】
核酸メンバーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および逆転写(RT)などの確立された技術を用いて生成され得る。これらの方法は、当分野で現在公知のものと同様である(例えば、
PCR Strategies,Michael A.Innis(Editor)ら、1995および
PCR:Introduction to Biotechniques Series,C.R.Newton,A.Graham,1997を参照)。当分野で周知の方法(例えば、カラム精製またはアルコール沈殿)によって増幅核酸を精製する。核酸は、プライマーおよび所望の核酸の合成中に生成された不完全産物を実質的に含まないように単離されている場合、純粋とみなされる。好ましくは、精製核酸はまた、実質的に、分子の特異的な結合活性を妨げ得るかまたはそうでなければ遮蔽し得る夾雑物不含である。
【0052】
本発明のある態様によると、アレイは、20種類の異なる核酸/cm
2を超える密度で支持体の片面に連結される複数の核酸を含み、各核酸は、非同一である予め選択された領域(例えばマイクロアレイ)の支持体面に連結される。アレイ上の各結合試料は、下記でさらに詳述するように、公知の同一性の、通常は公知の配列の核酸組成物を含む。本発明において、あらゆる考え得る基質を使用し得る。
【0053】
一実施形態において、支持体の表面に連結される核酸はDNAである。一実施形態において、支持体の表面に連結される核酸はcDNAまたはRNAである。別の実施形態において、支持体の表面に連結される核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により合成されたcDNAである。通常、本発明によるアレイ中の核酸メンバーは、少なくとも10、25、50、60ヌクレオチド長である。一実施形態において、核酸メンバーは、少なくとも150ヌクレオチド長である。好ましくは、核酸メンバーは、1000ヌクレオチド長未満である。より好ましくは、核酸メンバーは、500ヌクレオチド長未満である。
【0054】
本発明のアレイにおいて、核酸組成物は、支持体の表面と安定的に結合され、その支持体は、柔軟または剛性支持体であり得る。「安定的に結合される」とは、各核酸メンバーが、ハイブリッド形成および洗浄条件下で支持体に対して特有の位置を維持することを意味する。それ自体、試料は、支持体表面と安定的に非共有または共有結合される。非共有結合の例としては、非特異的な吸着、静電相互作用に基づく結合(例えばイオン対相互作用)、疎水性相互作用、水素結合相互作用、支持体面に共有結合される特異的な結合対メンバーを通じた特異的な結合などが挙げられる。共有結合の例としては、剛性支持体の表面上に存在する核酸と官能基(例えば−−OH)との間で形成される共有結合が挙げられ、この官能基は、下記でさらに詳述するように、天然に存在するものであってもよいし、または導入される連結基のメンバーとして存在してもよい。
【0055】
各組成物中に存在する核酸の量は、アレイが使用されるアッセイ中に、的確なハイブリッド形成および標的核酸配列の検出を提供するのに十分であろう。一般に、アレイの支持体に安定的に結合する各核酸メンバーの量は、少なくとも約0.001ng、好ましくは少なくとも約0.02ngおよびより好ましくは少なくとも約0.05ngであり、その量は1000ng以上に達し得るが、通常は約20ngを超えない。核酸メンバーが、全体的な円の様相を含むスポットで支持体上に「スポットされる」場合、「スポット」の直径は一般的に、約10から5,000μm、通常は約20から2,000μm、より一般的には約100から200μmの範囲である。
【0056】
対照核酸メンバーは、ゲノムDNA、ハウスキーピング遺伝子、ベクター配列、植物核酸配列、陰性および陽性対照遺伝子などに対応するオリゴヌクレオチドまたは核酸を含む核酸メンバーを含むアレイ上に存在し得る。対照核酸メンバーは、その機能が、関心のある特定の「キー」遺伝子が発現されるか否かを示そうとするものではなく、むしろ、発現のバックグラウンドまたは基底レベルなどの他の有用な情報を提供するものである、較正または対照遺伝子である。
【0057】
他の対照核酸は、アレイ上にスポットされ、プローブが向けられる標的以外の試料中の核酸に対する非特異的な結合またはクロスハイブリッド形成を監視するために、標的発現対照核酸およびミスマッチ対照ヌクレオチドとして使用される。したがって、ミスマッチプローブは、ハイブリッド形成が、特異的であるかまたは非特異的であるかを示す。例えば、標的が存在する場合、完全一致プローブは、常にミスマッチされたプローブよりも明るいはずである。さらに、全対照ミスマッチが存在する場合、突然変異を検出するためにミスマッチプローブが使用される。
【0058】
本発明の核酸メンバーの基質への連結(「スポッティング」と呼ばれる過程)のために多くの方法が使用され得る。例えば、ポリマー連結の方法を教示するために参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第5,807,522号明細書の技術を用いて、核酸が連結される。あるいは、当分野で公知のようなコンタクトプリンティング技術を用いて、スポッティングが行われ得る。
【0059】
本発明のRNA産物の発現の測定は、RNA産物の発現を定量するために、本発明のRNA産物に特異的および/または選択的であるポリヌクレオチドを使用することによって行われ得る。本発明の具体的な実施形態において、RNA産物に特異的および/または選択的であるポリヌクレオチドは、プローブまたはプライマーである。一実施形態において、これらのポリヌクレオチドは、測定しようとする個体の試料からのRNAを測定するためにアレイ上にスポットされ得る核酸プローブの形態である。別の実施形態において、RNA産物の発現を測定するために市販アレイを使用し得る。また別の実施形態において、本発明のRNA産物に特異的および/または選択的であるポリヌクレオチドは、例えば、SYBR(登録商標)Greenを用いた、または、使用されるポリヌクレオチドがフォワードプライマー、リバースプライマー、TaqMan標識プローブもしくはMolecular Beacon標識プローブの形態で使用される、TaqMan(登録商標)もしくはMolecular Beaconを用いた、定量的リアルタイムRT PCRなどの技術において、プローブおよびプライマーの形態で使用される。
【0060】
僅か1または2の遺伝子を分析しようとする実施形態において、分析しようとする遺伝子のみが増幅されて、乳房細胞で発現される他の遺伝子からのバックグラウンドシグナルが減少するように、適切なプライマーの使用によって、(1または複数の)試料細胞由来の核酸を優先的に増幅し得る。あるいは、および複数の遺伝子を分析しようとする場合、またはごく僅かの細胞(または1つの細胞)が使用される場合、固定化ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成前に、試料からの核酸が全体的に増幅され得る。当然ではあるが、当分野で公知の方法によって、RNAまたはそのcDNA対応物を直接標識し、増幅せずに使用し得る。
【0061】
4.マイクロアレイの使用
「マイクロアレイ」は、好ましくはそれぞれが定められた面積を有し、ガラス、プラスチックまたは合成膜などであるが限定されない固形支持体の表面上に形成される、個別の領域の、直線状または二次元アレイである。マイクロアレイ上の個々の領域の密度は、1つの固相支持体の表面上で検出しようとする固定化ポリヌクレオチドの総数により決定され、好ましくは少なくとも約50/cm
2、より好ましくは少なくとも約100/cm
2、さらにより好ましくは少なくとも約500/cm
2であるが、好ましくは約1,000/cm
2を下回る。好ましくは、アレイは、全部で約500、約1000、約1500、約2000、約2500または約3000未満の固定化ポリヌクレオチドを含有する。本明細書中で使用される場合、DNAマイクロアレイは、試料から増幅またはクローニングされたポリヌクレオチドとハイブリッド形成させるために使用されるチップまたは他の面上に置かれるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのアレイである。アレイにおける各特定のプライマー群の位置は分かっているので、マイクロアレイ中の特定の位置へのそれらの結合に基づき、試料ポリヌクレオチドの正体が特定され得る。
【0062】
遺伝子発現レベルの決定は、マイクロアレイを利用して遂行され得る。一般に、次の段階が含まれ得る:(a)対象からmRNA試料を得て、それらから標識核酸(「標的核酸」または「標的」)を調製すること;(b)例えばハイブリッド形成または特異的結合によって標的核酸をアレイ上の対応するプローブと結合させるのに十分な条件下で、標的核酸をアレイと接触させること;(c)アレイからの未結合標的を除去してもよい;(d)結合した標的を検出すること、および(e)例えばコンピューターに基づく分析方法を用いて結果を分析すること。本明細書中で使用される場合、「核酸プローブ」または「プローブ」は、アレイに連結される核酸であり、一方で「標的核酸」は、アレイとハイブリッド形成させられる核酸である。
【0063】
「侵襲性」または「非侵襲性」試料採取手段の何れかを用いて、試験しようとする対象から核酸検体を得ることができる。試料採取手段は、それが動物(マウス、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌまたはネコ科動物を含む)の皮膚または臓器内からの核酸の回収を含む場合、「侵襲性」であると言われる。侵襲性試料採取手段の例としては、採血、精液回収、針生検、胸膜吸引、臍帯生検が挙げられる。このような方法の例は、Kimら、
J.Virol.,1992,66:3879−3882,Biswasら、
Ann.NY Acad.Sci.,1990,590:582−583およびBiswasら、
J.Clin.Microbiol.,1991,29:2228−2233により論じられている。
【0064】
その一方、「非侵襲性」試料採取手段は、核酸分子が動物の内面または外面から回収されるものである。「非侵襲性」試料採取手段の例としては、「スワブでの採取(swabbing)」、涙液、唾液、尿、糞便物質の回収などが挙げられる。
【0065】
本発明の一実施形態において、1以上の細胞、すなわち試験しようとする対象からの試料を得て、RNAを細胞から単離する。対象から細胞試料を得て、次いで所望の細胞型について試料を濃縮することも可能である。例えば、所望の細胞型の細胞表面上のエピトープへの抗体結合による単離など、様々な技術を用いて、細胞を他の細胞から単離し得る。所望の細胞が固形組織中にある場合、例えば、マイクロダイセクションによって、またはレーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション(LCM)によって、特定の細胞を切り出し得る(例えば、Bonnerら、
Science,1997,278:1481,Emmert−Buckら、
Science,1996,274:998,Fendら、
Am.J.Path.,1999,154:61およびMurakamiら、
Kidney Hit.,2000,58:1346を参照)。
【0066】
様々な方法、例えばグアニジンチオシアン酸塩溶解とそれに続くCsCl遠心(Chirgwinら、
Biochemistry,1979,18:5294−5299)によって、組織または細胞試料からRNAを抽出し得る。単一細胞からのcDNAライブラリを調製するための方法に記載のように、単一細胞由来のRNAを得ることができる(例えば、Dulac,
Curr.Top.Dev.Biol.,1998,36:245,およびJenaら、
J.Immunol.Methods,1996,190:199参照)。
【0067】
特定の種に対してRNA試料をさらに濃縮し得る。一実施形態において、例えばポリ(A)+RNAがRNA試料から単離され得る。別の実施形態において、プライマー特異的なcDNA合成またはcDNA合成および鋳型に対するインビトロ転写に基づく複数回の直線的増幅(例えば、Wangら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:9717;Dulacら、前出;Jenaら、前出参照)によって、関心のある配列に対してRNA集団を濃縮し得る。さらに、特に種または配列に対して濃縮されているかまたはされていないRNAの集団は、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、WuおよびWallace,
Genomics,1989,4:560;Landegrenら、
Science,1988,241:1077参照)、自律的配列複製(SSR)(例えば、Guatelliら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1990,87:1874参照)、核酸に基づく配列増幅(NASBA)および転写増幅(例えば、Kwohら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:1173参照)を含む様々な増幅方法によってさらに増幅され得る。PCR技術のための方法は、当分野で周知である(例えば、
PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification,ed.H.A.Erlich,Freeman Press,N.Y.,N.Y.,1992;
PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,eds.Innisら、Academic Press,San Diego,Calif.,1990;Mattilaら、
Nucleic Acids Res.,1991,19:4967;Eckertら、
PCR Methods and Applications,1991,1:17;
PCR,eds.McPhersonら、IRL Press,Oxford;および米国特許第4,683,202号明細書を参照)。増幅の方法は、例えばOhyamaら、
BioTechniques,2000,29:530;Luoら、
Nat.Med.,1999,5:117;Hegdeら、
BioTechniques,2000,29:548;Kacharminaら、
Meth.Enzymol.,1999,303:3;Liveseyら、
Curr.Biol.,2000,10:301;Spirinら、
Invest.Ophtalmol.Vis.Sci.,1999,40:3108;およびSakaiら、
Anal.Biochem.,2000,287:32に記載されている。RNA増幅およびcDNA合成はまた、インサイチュで細胞中で行われ得る(例えば、Eberwineら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,89:3010参照)。
【0068】
本発明のまた別の実施形態において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および、定量的PCR(Q−PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)およびリアルタイムPCR、場合によってはリアルタイムRT−PCRなどであるが限定されない、それらの変法などの方法によって、開示されるマーカー配列の全てまたは一部を増幅し、検出し得る。このような方法は、開示される配列の一部分と相補的である1または2つのプライマーを利用するが、これらのプライマーは、核酸合成を開始させるために使用される。
【0069】
新たに合成された核酸は、標識されてもよく、直接的にまたは本発明のポリヌクレオチドへのハイブリッド形成によって検出され得る。
【0070】
マイクロアレイへの核酸分子のハイブリッド形成の検出を可能にするために、核酸分子を標識し得る。すなわち、プローブは、シグナル生成系のメンバーを含み得、したがって、直接的に、またはシグナル生成系の1以上のさらなるメンバーとの複合作用を通じるかの何れかで検出可能である。例えば、核酸は、蛍光標識dNTP(例えば、Kricka,
Nonisotopic DNA Probe Techniques,Academic Press San Diego,Calif.,1992参照)、ビオチン化dNTPまたはrNTPと、それに続く標識化ストレプトアビジン、化学発光標識または同位体の添加により標識され得る。標識の別の例としては、TyagiおよびKramer,
Nature Biotech.,1996,14:303に記載のような「分子ビーコン」が挙げられる。それらのハイブリッド形成を可能とする条件下で、新たに合成された核酸を本発明のポリヌクレオチド(含有配列)と接触させ得る。ハイブリッド形成はまた、例えばプラズモン共鳴によっても判定され得る(例えば、Thielら、
Anal.Chem.,1997,69:4948参照)。
【0071】
一実施形態において、複数の、例えば2セットの標的核酸を標識し、1回のハイブリッド形成反応において使用される(「多重」分析)。一方のセットの核酸は、一方の細胞からのRNAに対応し得、別のセットの核酸は、別の細胞からのRNAに対応し得る。区別され得るように個々の発光スペクトルを有する異なる蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)など、異なる標識で複数のセットの核酸を標識し得る。次に、これらのセットを混合し、1つのマイクロアレイに対して同時にハイブリッド形成させ得る(例えば、Shenaら、
Science,1995,270:467−470参照)。
【0072】
多くの様々なマイクロアレイ配置およびそれらの作製のための方法は、当業者にとって公知であり、米国特許第5,242,974号明細書;同第5,384,261号明細書;同第5,405,783号明細書;同第5,412,087号明細書;同第5,424,186号明細書;同第5,429,807号明細書;同第5,436,327号明細書;同第5,445,934号明細書;同第5,556,752号明細書;同第5,405,783号明細書;同第5,412,087号明細書;同第5,424,186号明細書;同第5,429,807号明細書;同第5,436,327号明細書;同第5,472,672号明細書;同第5,527,681号明細書;同第5,529,756号明細書;同第5,545,531号明細書;同第5,554,501号明細書;同第5,561,071号明細書;同第5,571,639号明細書;同第5,593,839号明細書;同第5,624,711号明細書;同第5,700,637号明細書;同第5,744,305号明細書;同第5,770,456号明細書;同第5,770,722号明細書;同第5,837,832号明細書;同第5,856,101号明細書;同第5,874,219号明細書;同第5,885,837号明細書;同第5,919,523号明細書;同第6,022,963号明細書;同第6,077,674号明細書;および同第6,156,501号明細書;Shenaら、Tibtech 16:301,1998;Dugganら、Nat.Genet.21:10,1999;Bowtellら、Nat.Genet.21:25,1999;Lipshutzら、21 Nature Genet.20−24,1999;Blanchardら、11 Biosensors and Bioelectronics,687−90,1996;Maskosら、21 Nucleic Acids Res.4663−69,1993;Hughesら、Nat.Biotechol.(2001)19:342で開示されており、これらの開示は、参照により本明細書中に組み込まれる。様々な適用においてアレイを使用する方法を記載する特許としては、米国特許第5,143,854号明細書;同第5,288,644号明細書;同第5,324,633号明細書;同第5,432,049号明細書;同第5,470,710号明細書;同第5,492,806号明細書;同第5,503,980号明細書;同第5,510,270号明細書;同第5,525,464号明細書;同第5,547,839号明細書;同第5,580,732号明細書;同第5,661,028号明細書;同第5,848,659号明細書;および同第5,874,219号明細書が挙げられ;これらの開示は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0073】
一実施形態において、オリゴヌクレオチドのアレイは、固形支持体上で合成され得る。代表的な固形支持体としては、ガラス、プラスチック、ポリマー、金属、メタロイド、セラミック、有機物などが挙げられる。チップ遮蔽技術および光防護化学を用いて、核酸プローブの秩序配列を作製することが可能である。例えば「DNAチップ」として知られるこれらのアレイまたは非常に大規模な固定化ポリマーアレイ(「VLSIPS(登録商標)」アレイ)は、約1cm
2から数cm
2の面積を有する基質上に数百万の規定のプローブ領域を含み得、それにより数個から数百万のプローブを組み込む(例えば、米国特許第5,631,734号明細書を参照)。
【0074】
発現レベルを比較するために、アレイ上での標的核酸とプローブとの間の結合に十分な条件下で標識化核酸をアレイと接触させ得る。一実施形態において、ハイブリッド形成条件は、所望のレベルのハイブリッド形成特異性を提供するために選択され得;すなわち、マイクロアレイ上での標識化核酸とプローブとの間でハイブリッド形成を生じさせるのに十分な条件である。
【0075】
ハイブリッド形成は、基本的に特異的なハイブリッド形成を可能とする条件で行われ得る。核酸の長さおよびGC含量は、熱融解点、したがって、プローブの標的核酸への特異的なハイブリッド形成を得るために必要なハイブリッド形成条件を決定する。これらの因子は、当業者にとって周知であり、また、アッセイにおいて試験され得る。核酸ハイブリッド形成に対する詳細な指針は、Tijssenら、
Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Vol.24:Hybridization with Nucleic Acid Probes,P.Tijssen,ed.Elsevier,N.Y.,1993において見出され得る。
【0076】
上記の方法の結果、アレイ表面上で標識される標的核酸のハイブリッド形成パターンが生成される。標識化核酸の得られるハイブリッド形成パターンは、標的核酸の特定の標識に基づいて選択される検出の特定の方式を用いて、様々な方法で、可視化され得るかまたは検出され得る。代表的な検出手段としては、シンチレーション測定、オートラジオグラフィー、蛍光測定、熱量測定、発光測定、光散乱などが挙げられる。
【0077】
検出のあるこのような方法は、市販のアレイスキャナー(Affymetrix,Santa Clara,Calif.)、例えば417(登録商標)Arrayer、418(登録商標)Array ScannerまたはAgilent GeneArray(登録商標)Scannerを利用する。このスキャナーは、インターフェースおよび使用し易いソフトウェアツール付きのシステムコンピューターから制御される。出力は、様々なソフトウェアアプリケーションに直接インポートされ得るかまたはソフトウェアアプリケーションにより直接読まれ得る。代表的なスキャニング装置は、例えば米国特許第5,143,854号明細書および同第5,424,186号明細書に記載されている。
【0078】
投与および投与経路
本発明のWEE1阻害剤に関して、様々な剤形が選択され得、その例としては、経口製剤、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤または液体または滅菌液体非経口製剤、例えば溶液または懸濁液、坐薬、軟膏などが挙げられる。WEE1阻害剤は医薬的に許容可能な塩として利用可能である。本発明のWEE1阻害剤は、医薬的に許容可能な担体または希釈剤とともに調製される。
【0079】
「医薬的に許容可能な塩」という用語は、この記載中で言及される場合、通常、医薬的に許容可能な塩を意味する。例えば、化合物がヒドロキシル基またはカルボキシル基およびテトラゾリル基などの酸性基を有する場合、これは、ヒドロキシル基または酸性基で塩基付加塩を形成し得るか;または化合物がアミノ基もしくは塩基性複素環基を有する場合、これは、アミノ基または塩基性複素環基で酸付加塩を形成し得る。
【0080】
塩基付加塩としては、例えば、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩など;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩など;アンモニウム塩;および有機アミン塩、例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロへキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩が挙げられる。
【0081】
酸付加塩としては、例えば、無機酸塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩など;有機酸塩、例えば、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩など;およびスルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0082】
「医薬的に許容可能な担体または希釈剤」という用語は、賦形剤(例えば、脂肪、蜜蝋、半固体および液体ポリオール、天然または硬化油など]、水(例えば、蒸留水、特に注射用蒸留水など)、生理食塩水、アルコール(例えばエタノール)、グリセロール、ポリオール、グルコース水溶液、マンニトール、植物油など)および添加物(例えば、増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定化剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、調味料または芳香剤、濃縮剤、希釈剤、緩衝物質、溶媒または可溶化剤、保存効果を達成するための化学物質、浸透圧を変化させるための塩、コーティング剤または抗酸化剤など)を指す。
【0083】
固形製剤は、何ら添加物なく、錠剤、カプセル、顆粒剤および粉末の形態で調製され得るか、または適切な担体(添加物)を用いて調製され得る。このような担体(添加物)の例としては、糖類、例えばラクトースまたはグルコースなど;トウモロコシ、小麦またはコメのデンプン;脂肪酸、例えばステアリン酸など;無機塩、例えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウムまたは無水リン酸カルシウムなど;合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドンまたはポリアルキレングリコールなど;アルコール、例えばステアリルアルコールまたはベンジルアルコールなど;合成セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど;および他の従来使用される添加物、例えばゼラチン、タルク、植物油およびアラビアゴムなどが挙げられ得る。
【0084】
これらの固形製剤、例えば錠剤、カプセル、顆粒剤および粉末などは、各製剤の総重量に基づいて、一般に例えば、0.1から100重量%および好ましくは5から98重量%のWEE1阻害剤を含有し得る。
【0085】
液体製剤は、液体製剤において従来使用される適切な添加物、例えば水、アルコールまたは植物由来油、例えばダイズ油、ピーナツ油およびゴマ油などを用いて、懸濁液、シロップ剤、注射および点滴(静脈内液体)の形態で生成される。
【0086】
特に、製剤が筋肉内注射、静脈内注射または皮下注射の形態で非経口投与される場合、適切な溶媒または希釈剤は、注射用の蒸留水、塩酸リドカインの水溶液(筋肉内注射用)、生理食塩水、グルコース水溶液、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、静脈内注射用の液体(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムの水溶液など)または電解質溶液(静脈内点滴および静脈内注射用)またはその混合溶液により例示され得る。
【0087】
このような注射は、予め溶解された溶液の形態または、使用時に溶解される、粉末それ自体または適切な担体(添加物)と組み合わせられた粉末の形態であり得る。注射液は、例えば、各製剤の総重量に基づいて0.1から10重量%の活性成分を含有し得る。
【0088】
経口投与用の懸濁液またはシロップ剤などの液体製剤は、例えば、各製剤の総重量に基づいて0.1から10重量%の活性成分を含有し得る。
【0089】
本発明における各製剤は、従来の方法または一般的技術に従い、当業者により調製され得る。例えば、調製は、製剤が経口製剤である場合、例えば適切な量の本発明の化合物を適切な量のラクトースと混合し、この混合物を経口投与に適切な硬ゼラチンカプセルに充填することによって行われ得る。他方では、調製は、本発明の化合物を含有する製剤が注射剤である場合、例えば適切な量の本発明の化合物を適切な量の0.9%生理食塩水と混合し、この混合物を注射用のバイアルに充填することによって行われ得る。
【0090】
本発明の成分は、標準的な薬務に従い、医薬組成物中で、単独でまたは医薬的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤と組み合わせての何れかで、ヒトを含む哺乳動物に投与され得る。本成分は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸および局所投与経路を含め、経口または非経口投与され得る。
【0091】
適切な投与量は、医師にとって公知であり、当然ではあるが、特定の疾患状態、投与されている組成物の特異的な活性および処置を受けている特定の患者に依存する。一部の例において、所望の治療量を達成するために、反復投与、すなわち特定の監視または計量された量の反復される個々の投与を提供することが必要であり得、所望の1日用量または効果が達成されるまで、個々の投与が反復される。適切な投与量に関するさらなる情報は以下で提供する。
【0092】
本発明の成分に関連して「投与」という用語およびそれらの変形物(例えば化合物を「投与する」)は、処置を必要とする動物の系に成分または成分のプロドラッグを導入することを意味する。本発明の成分またはそのプロドラッグが、1以上の他の活性物質(例えばWEE1阻害剤)と組み合わせて提供される場合、「投与」およびその変形物は、それぞれ、成分またはそのプロドラッグおよび他の物質の同時および連続導入を含むと理解される。
【0093】
本明細書中で使用される場合、「組成物」という用語は、指定量で指定成分を含む生成物ならびに指定量での指定成分の組み合わせから直接または間接的に得られる何らかの生成物を包含するものとする。
【0094】
「治療的有効量」という用語は、本明細書中で使用される場合、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床家により求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を引き出す、活性化合物または医薬品の量を意味する。これは、第一のおよび第二の処置の合わせた量など、複数の治療薬の使用を含む併用療法を含み、この合わせた量は、所望の生体反応を達成する。所望の生体反応は、部分的もしくは全体的な、癌転移を含む癌の進行の阻害、遅延もしくは予防;癌転移を含む癌の再発の阻害、遅延もしくは予防;または哺乳動物、例えばヒトにおける癌の発生または発現の予防(化学的予防)である。
【0095】
適切な量のWEE1阻害剤が癌に対する処置を受けている患者に投与される。実施形態において、WEE1阻害剤は、約100mg/日から250mg/日の範囲の用量で投与される。本発明の実施形態において、WEE1阻害剤は、2日半にわたり、1日2回(BID)、全部で5回、投与される。本発明の別の実施形態において、WEE1阻害剤は、2日間にわたり、1日1回(QD)、全部で2回、投与される。
【0096】
本発明の実施形態において、WEE1阻害剤は、週に5回投与され得る。本発明の別の実施形態において、WEE1阻害剤は、週に2回投与され得る。
【0097】
適応症
一実施形態において、本明細書中で本発明は、WEE1関連癌と診断された患者をWEE1阻害剤で処置する方法であり、この患者は、PKMYT1の低発現を有することを特徴とする。本発明のWEE1阻害剤は、キナーゼ−阻害効果、特にWEE1キナーゼ−阻害的効果を有し、このようなものとして、これは、したがって、WEE1キナーゼが関連する様々な癌に対する療法として有用である。WEE1キナーゼ関連癌の例としては、脳の癌、頭頸部癌、食道癌、甲状腺癌、小細胞癌、非小細胞癌、乳癌、肺癌、胃癌、胆嚢/胆管癌、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、絨毛癌、子宮体癌、子宮頸癌、腎盂/尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、精巣癌、胎児癌、ウィルムス癌、皮膚癌、悪性メラノーマ、神経芽腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍、軟部肉腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫が挙げられるが限定されず、またはこれらの癌の化学療法または放射線治療に対する増感剤として、含まれる。
【0098】
特に、本発明のWEE1阻害剤は、例えば乳癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、卵巣癌、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫に対する治療薬として、またはこれらの癌の化学療法または放射線療法に対する増感剤として有用である。
【0099】
上記のWEE1キナーゼ関連癌の処置に加えて、WEE1阻害剤はまた、次の癌:
心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;
肺:気管支原性肺癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;
胃腸:食道(扁平細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結直腸、直腸;
泌尿生殖器:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胚性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);
肝臓:肝細胞腫(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;
骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、オステオクロンフロマ(osteochronfroma)(骨軟骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫および巨細胞腫瘍;
神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
婦人科学的なもの:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、未分類癌]、顆粒膜莢膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平細胞癌、ブドウ状肉腫(胚性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);
血液学的なもの:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];および
皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平細胞癌、カポジ肉腫、黒子異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫の処置にも有用であり得る。したがって、「癌性細胞」という用語は、本明細書中で提供される場合、上記で挙げられた状態のうち何れか1つを負っている細胞を含む。
【0100】
本発明の範囲内にさらに含まれるのは、血管形成が関連する疾患を処置または予防する方法であり、これは、このような処置を必要とする哺乳動物に治療的有効量の本発明の組み合わせを投与することから構成される。眼の血管新生疾患は、結果として生じる組織障害の多くが、眼での血管の異常な浸潤に起因し得る状態の例である(国際公開第2000/30651号パンフレット)。糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞などから生じるものなど、虚血性網膜症によって、または加齢性黄斑変性で観察される脈絡膜血管新生などの変性疾患によって、望ましくない浸潤が惹起され得る。したがって、本化合物の投与によって血管の成長を阻害することによって、血管の浸潤が予防され、網膜血管化、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性などのような眼疾患など、血管形成が関連する疾患が予防または処置される。
【0101】
本発明の範囲内にさらに含まれるのは、眼疾患(網膜血管化、糖尿病性網膜症および加齢性黄斑変性など)、アテローム性動脈硬化症、関節炎、乾癬、肥満およびアルツハイマー病を含むが限定されない、血管形成が関連する非悪性疾患を処置または予防する方法である(Dredgeら、
Expert Opin.Biol.Ther.,2002,2(8):953−966)。別の実施形態において、血管形成が関連する疾患を処置または予防する方法は、眼疾患(網膜血管化、糖尿病性網膜症および加齢性黄斑変性など)、アテローム性動脈硬化症、関節炎および乾癬を含む。
【0102】
本発明の範囲内にさらに含まれるのは、過剰増殖性障害、例えば再狭窄、炎症、自己免疫疾患およびアレルギー/喘息などを処置する方法である。
【0103】
本発明の範囲内にさらに含まれるのは、ステントを被覆するための本組み合わせの使用であり、したがって、再狭窄の処置および/または予防のための被覆ステント上での本化合物の使用である(国際公開第2003/032809号パンフレット)。
【0104】
本発明の範囲内にさらに含まれるのは、変形性関節症の処置および/または予防のための本組み合わせの使用である(国際公開第2003/035048号パンフレット)。
【0105】
本発明の範囲内にさらに含まれるのは、低インスリン症を処置する方法である。
【0106】
本発明を例証するのは、WEE1関連癌の処置のための薬剤の調製において上に記載されるWEE1阻害剤の使用である。
【0107】
さらなる抗癌剤
本発明の方法で投与されるWEE1阻害剤はまた、さらなる治療薬、化学療法薬および抗癌剤との組み合わせでも有用である。治療薬、化学療法薬および抗癌剤との本発明のWEE1阻害剤とのさらなる組み合わせは、本発明の範囲内である。このような薬剤の例は、
Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T.DevitaおよびS.Hellman(editors),6
th edition(February 15,2001),Lippincott Williams & Wilkins Publishersで見出され得る。当業者は、薬物および関与する癌の特定の特徴に基づいて、薬剤のどの組み合わせが有用であるかを識別することができる。このようなさらなる薬剤としては、次のもの:エストロゲン受容体修飾物質、アンドロゲン受容体修飾物質、レチノイド受容体修飾物質、細胞毒性/細胞分裂阻害剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤および他の血管形成阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞増殖および生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA療法、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤および細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤が挙げられる。本発明のmTOR阻害剤およびαvβ3インテグリンアンタゴニストの組み合わせは、放射線療法とともに同時投与される場合、特に有用であり得る。
【0108】
「エストロゲン受容体修飾物質」は、機序にかかわらず、受容体へのエストロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体修飾物質の例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾンおよびSH646が挙げられるが限定されない。
【0109】
「アンドロゲン受容体修飾物質」は、機序にかかわらず、受容体へのアンドロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体修飾物質の例としては、フィナステリドおよび他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよびアビラテロン酢酸エステルが挙げられる。
【0110】
「レチノイド受容体修飾物質」は、機序にかかわらず、受容体へのレチノイドの結合を妨害または阻害する化合物を指す。このようなレチノイド受容体修飾物質の例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13−cis−レチノイン酸、9−cis−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられる。
【0111】
「細胞毒性/細胞分裂阻害剤」は、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、干渉物質、低酸素活性化可能な化合物、微小管阻害剤/微小管−安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、有糸分裂進行に関与するキナーゼの阻害剤、増殖因子およびサイトカインシグナル伝達経路に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗剤、生体応答修飾因子、ホルモン/抗ホルモン治療薬、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療薬、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤およびオーロラキナーゼ阻害剤を含む、主に細胞の機能を直接妨害することによって、細胞死を引き起こすかまたは細胞増殖を阻害するか、または細胞減数分裂(myosis)を妨害もしくは阻害する化合物を指す。
【0112】
細胞毒性/細胞分裂阻害剤の例としては、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(国際公開第00/50032号パンフレットを参照)、Rafキナーゼ阻害剤(Bay43−9006など)およびmTOR阻害剤、例えばリダホロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、シロリムスまたはラパマイシン−類似体などが挙げられるが限定されない。
【0113】
低酸素活性化化合物の例はチラパザミンである。
【0114】
プロテオソーム阻害剤の例としては、ラクタシスチンおよびMLN−341(ベルケイド)が挙げられるが限定されない。
【0115】
微小管阻害剤/微小管−安定化剤の例としては、パクリタキセル、ビンデシン硫酸塩、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば米国特許第6,284,781号明細書および同第6,288,237号明細書を参照)およびBMS188797が挙げられる。実施形態において、エポチロンは、微小管阻害剤/微小管−安定化剤に含まれない。
【0116】
トポイソメラーゼ阻害剤のある例は、トポテカン、ヒカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−シャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ラルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロオキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソグイノリン(isoguinoline)−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびディメスナである。
【0117】
有糸分裂キネシン、特にヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の例は、国際公開第2003/039460号パンフレット、同第2003/050064号パンフレット、同第2003/050122号パンフレット、同第2003/049527号パンフレット、同第2003/049679号パンフレット、同第2003/049678号パンフレット、同第2004/039774号パンフレット、同第2003/079973号パンフレット、同第2003/099211号パンフレット、同第2003/105855号パンフレット、同第2003/106417号パンフレット、同第2004/037171号パンフレット、同第2004/058148号パンフレット、同第2004/058700号パンフレット、同第2004/126699号パンフレット、同第2005/018638号パンフレット、同第2005/019206号パンフレット、同第2005/019205号パンフレット、同第2005/018547号パンフレット、同第2005/017190号パンフレット、米国特許出願公開第2005/0176776号明細書に記載されている。実施形態において、有糸分裂キネシンの阻害剤としては、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤およびRab6−KIFLの阻害剤が挙げられるが限定されない。
【0118】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」の例としては、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98およびスクリプタイドが挙げられるが限定されない。他のヒストンデアセチラーゼ阻害剤に対するさらなる参照は、次の原稿;Miller,T.A.ら、
J.Med.Chem.,2003,46(24):5097−5116で見出され得る。
【0119】
「有糸分裂進行に関与するキナーゼの阻害剤」としては、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK;特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤およびbub−R1の阻害剤が挙げられるが限定されない。「オーロラキナーゼ阻害剤」の例はVX−680である。
【0120】
「抗増殖剤」としては、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001など、および代謝拮抗剤、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビン・オクホスファート、フォステアビン・ナトリウム(fosteabine sodium)水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール(emitefur)、チアゾフリン(tiazofurin)、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルロウラシル(flurouracil)、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメテレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンおよびトラスツズマブなどが挙げられる。
【0121】
モノクローナル抗体標的化治療薬の例としては、癌細胞特異的なまたは標的細胞特異的なモノクローナル抗体と連結される、細胞毒性剤または放射性同位体を有する治療薬が挙げられる。例としてはベキサールが挙げられる。
【0122】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用され得るHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例としては、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR)(登録商標);米国特許第4,231,938号明細書、同第4,294,926号明細書および同第4,319,039号明細書を参照)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR)(登録商標);米国特許第4,444,784号明細書、同第4,820,850号明細書および同第4,916,239号明細書を参照)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標);米国特許第4,346,227号明細書、同第4,537,859号明細書、同第4,410,629号明細書、同第5,030,447号明細書および同第5,180,589号明細書を参照)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL)(登録商標);米国特許第5,354,772号明細書、同第4,911,165号明細書、同第4,929,437号明細書、同第5,189,164号明細書、同第5,118,853号明細書、同第5,290,946号明細書および同第5,356,896号明細書を参照)、アトロバスタチン(リピトール(LIPITOR)(登録商標);米国特許第5,273,995号明細書、同第4,681,893号明細書、同第5,489,691号明細書および同第5,342,952号明細書を参照)およびセリバスタチン(リバスタチンおよびバイコール(BAYCHOL)(登録商標)としても知られる;米国特許第5,177,080号明細書を参照)が挙げられるが限定されない。本方法で使用され得るこれらおよびさらなるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、M.Yalpani,Cholesterol Lowering Drugs,
Chemistry & Industry,1996,pp.85−89の87頁および米国特許第4,782,084号明細書および同第4,885,314号明細書に記載されている。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤という用語は、本明細書中で使用される場合、全ての医薬的に許容可能なラクトンおよびオープン−アシッド型(open−acid form)(すなわちラクトン環が開いて遊離酸を形成している)ならびにHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩およびエステル型を含み、したがってこのような塩、エステル、オープン−アシッド(open−acid)およびラクトン型の使用が本発明の範囲内に含まれる。
【0123】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTase)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTase−I)およびゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTase−II、Rab GGPTaseとも呼ばれる)を含むプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素のうち何らかの1つまたは何らかの組み合わせを阻害する化合物を指す。
【0124】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の例は、次の刊行物および特許:国際公開第96/30343号パンフレット、同第97/18813号パンフレット、同第97/21701号パンフレット、同第97/23478号パンフレット、同第97/38665号パンフレット、同第98/28980号パンフレット、同第98/29119号パンフレット、同第95/32987号パンフレット、米国特許第5,420,245号明細書、同第5,523,430号明細書、同第5,532,359号明細書、同第5,510,510号明細書、同第5,589,485号明細書、同第5,602,098号明細書、欧州特許公開第0618221号明細書、同第0675112号明細書、同第0604181号明細書、同第0696593号明細書、国際公開第94/19357号パンフレット、同第95/08542号パンフレット、同第95/11917号パンフレット、同第95/12612号パンフレット、同第95/12572号パンフレット、同第95/10514号パンフレット、米国特許第5,661,152号明細書、国際公開第95/10515号パンフレット、同第95/10516号パンフレット、同第95/24612号パンフレット、同第95/34535号パンフレット、同第95/25086号パンフレット、同第96/05529号パンフレット、同第96/06138号パンフレット、同第96/06193号パンフレット、同第96/16443号パンフレット、同第96/21701号パンフレット、同第96/21456号パンフレット、同第96/22278号パンフレット、同第96/24611号パンフレット、同第96/24612号パンフレット、同第96/05168号パンフレット、同第96/05169号パンフレット、同第96/00736号パンフレット、米国特許第5,571,792号明細書、国際公開第96/17861号パンフレット、同第96/33159号パンフレット、同第96/34850号パンフレット、同第96/34851号パンフレット、同第96/30017号パンフレット、同第96/30018号パンフレット、同第96/30362号パンフレット、同第96/30363号パンフレット、同第96/31111号パンフレット、同第96/31477号パンフレット、同第96/31478号パンフレット、同第96/31501号パンフレット、同第97/00252号パンフレット、同第97/03047号パンフレット、同第97/03050号パンフレット、同第97/04785号パンフレット、同第97/02920号パンフレット、同第97/17070号パンフレット、同第97/23478号パンフレット、同第97/26246号パンフレット、同第97/30053号パンフレット、同第97/44350号パンフレット、同第98/02436号パンフレットおよび米国特許第5,532,359号明細書で見出すことができる。血管形成におけるプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の例については、
European J.of Cancer,1999,35(9):1394−1401を参照。
【0125】
「血管形成阻害剤」は、機序にかかわらず、新しい血管の形成を阻害する化合物を指す。血管形成阻害剤の例としては、チロシンキナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)およびFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、線維芽細胞由来または血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリクスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ポリ硫酸ペントサン、アスピリンおよびイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)ならびにセレコキシブおよびロフェコキシブのような選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(
PNAS,1992,89:7384;
JNCI,1982,69:475;
Arch.Opthalmol.,1990,108:573;
Anat.Rec.,1994,238:68;
FEBS Letters,1995,372:83;
Clin,Orthop.,1995,313:76;
J.Mol.Endocrinol.,1996,16:07;
Jpn.J.Pharmacol.,1997,75:105;
Cancer Res.,1997,57:1625;
Cell,1998,93:705;
Intl.J.Mol.Med.,1998,2:715;
J.Biol.Chem.,1999.274:9116)、ステロイド系抗炎症剤(例えばコルチコステロイド、鉱質コルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレッド、ベタメタゾンなど)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンジオスタチン、トロポニン−1、アンジオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandezら、
J.Lab.Clin.Med.,1985,105:141−145を参照)およびVEGFに対する抗体(
Nature Biotechnology,1999,17:963−968を参照);Kimら、
Nature,1993,362:841−844;国際公開第2000/44777号パンフレット;および同第2000/61186号パンフレット)が挙げられるが限定されない。
【0126】
血管形成を調整または阻害し、本発明の化合物と組み合わせても使用され得る他の治療薬としては、凝固および線維素溶解系を調整するかまたは阻害する薬剤が挙げられる(
Clin.Chem.La.Med.,2000,38:679−692における概説を参照)。凝固および線維素溶解経路を調整または阻害するこのような薬剤の例としては、ヘパリン(
Thromb.Haemost.,1998,80:10−23を参照)、低分子量ヘパリンおよびカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性トロンビン活性化線維素溶解阻害剤[TAFIa]の阻害剤としても知られる)が挙げられるが限定されない(
Thrombosis Res.,2001,101:329−354を参照)。TAFIa阻害剤は、国際公開第2003/013526号パンフレットに記載されている。「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するタンパク質キナーゼを阻害し、それによって癌細胞をDNA損傷剤に対して感受性にする化合物を指す。このような薬剤としては、ATR、ATMおよびCHK1キナーゼの阻害剤ならびにcdkおよびcdcキナーゼ阻害剤が挙げられ、具体的には、7−ヒドロキシ−スタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル)およびBMS−387032により例示される。
【0127】
「受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤」は、RTKおよびしたがって発癌および腫瘍進行に関与する機序を阻害する化合物を指す。このような薬剤としては、c−キット、Eph、PDGF、Flt3およびc−Metの阻害剤が挙げられる。さらなる薬剤としては、Bume−JensenおよびHunter,
Nature,2001,411:355−365により記載されるようなRTKの阻害剤が挙げられる。
【0128】
「細胞増殖および生存シグナル伝達経路の阻害剤」は、細胞表面受容体のシグナル伝達カスケード下流を阻害する化合物を指す。このような薬剤としては、セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤(国際公開第02/083064号パンフレット、同第02/083139号パンフレット、同第02/083140号パンフレット、米国特許出願公開第2004−0116432号明細書、国際公開第02/083138号パンフレット、米国特許出願公開第2004−0102360号明細書、国際公開第03/086404号パンフレット、同第03/086279号パンフレット、同第03/086394号パンフレット、同第03/084473号パンフレット、同第03/086403号パンフレット、同第2004/041162号パンフレット、同第2004/096131号パンフレット、同第2004/096129号パンフレット、同第2004/096135号パンフレット、同第2004/096130号パンフレット、同第2005/100356号パンフレット、同第2005/100344号パンフレット、米国特許出願公開第2005/029941号明細書、同第2005/44294号明細書、同第2005/43361号明細書、国際公開第2006/135627号パンフレット、同第2006/091395号パンフレット、同第2006/110638号パンフレットに記載のものなどのAktの阻害剤を含むが限定されない)、Rafキナーゼの阻害剤(例えばBAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えばCI−1040およびPD−098059)、mTORの阻害剤(例えばWyeth CCI−779)およびPI3Kの阻害剤(例えばLY294002)が挙げられる。
【0129】
特異的な抗IGF−1R抗体としては、ダロツズマブ、フィギツムマブ、シクスツムマブ、SHC717454、Roche R1507、EM164またはAmgen AMG479が挙げられるが限定されない。
【0130】
上記のように、NSAIDとの組み合わせは、強力なCOX−2阻害剤であるNSAIDの使用を対象とする。この明細書の目的のために、NSAIDは、細胞またはミクロソームアッセイによって測定される場合、COX−2の阻害に対して1μM以下のIC
50を保持する場合、強力である。
【0131】
本発明はまた、選択的なCOX−2阻害剤であるNSAIDとの組み合わせも包含する。この明細書の目的のために、選択的なCOX−2阻害剤であるNSAIDは、細胞もしくはミクロソームアッセイにより評価されるCOX−2に対するIC
50とCOX−1に対するIC
50との比率により測定される場合、COX−1よりもCOX−2を少なくとも100倍阻害することに対する特異性を保持するものとして定義される。このような化合物としては、全て参照により本明細書によって組み込まれる、米国特許第5,474,995号明細書、同第5,861,419号明細書、同第6,001,843号明細書、同第6,020,343号明細書、同第5,409,944号明細書、同第5,436,265号明細書、同第5,536,752号明細書、同第5,550,142号明細書、同第5,604,260号明細書、同第5,698,584号明細書、同第5,710,140号明細書,国際公開第94/15932号パンフレット、米国特許第5,344,991号明細書、同第5,134,142号明細書、同第5,380,738号明細書、同第5,393,790号明細書、同第5,466,823号明細書、同第5,633,272号明細書および同第5,932,598号明細書で開示されるものが挙げられるが限定されない。
【0132】
処置の本方法において特に有用であるCOX−2の阻害剤は、3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;および5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジンまたは医薬的に許容可能なその塩である。
【0133】
COX−2の特異的な阻害剤として記載されており、したがって、本発明において有用である化合物としては、次のもの:パレコキシブ、ベクストラ(BEXTRA)(登録商標)およびセレブレックス(CELEBREX)(登録商標)または医薬的に許容可能なその塩が挙げられるが限定されない。
【0134】
血管形成阻害剤の他の例としては、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースリン酸、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)および3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)が挙げられるが限定されない。
【0135】
上記で使用される場合、「インテグリンブロッカー」は、α
vβ
3インテグリンへの生理学的リガンドの結合に選択的に拮抗するか、この結合を阻害するかまたはこの結合に対抗する化合物、αvβ5インテグリンへの生理学的リガンドの結合に選択的に拮抗するか、この結合を阻害するかまたはこの結合に対抗する化合物、α
vβ
3インテグリンおよびα
vβ
5インテグリンの両方への生理学的リガンドの結合に拮抗するか、この結合を阻害するかまたはこの結合に対抗する化合物および毛細血管内皮細胞上で発現される特定の(1または複数の)インテグリンの活性に拮抗するか、この活性を阻害するかまたはこの活性に対抗する化合物を指す。この用語はまた、α
vβ
6、α
vβ
8、α
1β
1、α
2β
1、α
5β
1、α
6β
1およびα
6β
4インテグリンのアンタゴニストも指す。この用語はまた、α
vβ
3、α
vβ
5、α
vβ
6、α
vβ
8、α
1β
1、α
2β
1、α
5β
1、α
6β
1およびα
6β
4インテグリンのあらゆる組み合わせのアンタゴニストも指す。
【0136】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体的な例としては、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミンおよびEMD121974が挙げられる。
【0137】
抗癌化合物以外の化合物との組み合わせも本方法中に包含される。例えば、PPAR−γ(すなわちPPAR−ガンマ)アゴニストおよびPPAR−δ(すなわちPPAR−デルタ)アゴニストとの、本発明のmTOR阻害剤およびαvβ3インテグリンアンタゴニストの組み合わせは、ある種の悪性腫瘍の処置において有用である。PPAR−γおよびPPAR−δは、核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γおよびδである。上皮細胞上でのPPAR−γの発現および血管形成におけるその関与は、文献で報告されている(
J.Cardiovasc.Pharmacol.,1998,31:909−913;
J.Biol.Chem.,1999,274:9116−9121;
Invest.Ophthalmol Vis.Sci.,2000,41:2309−2317を参照)。より最近、PPAR−γアゴニストは、インビトロでVEGFに対する血管形成反応を阻害することが示されており;トログリタゾンおよびマレイン酸ロシグリタゾンの両者とも、マウスにおける網膜血管新生の発生を阻害する(
Arch.Ophthamol.,2001;119:709−717)。PPAR−γアゴニストおよびPPAR−γ/αアゴニストの例としては、チアゾリジンジオン(例えば、DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンなど)、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN09/782,856で開示)および2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN60/235,708および60/244,697にて開示)が挙げられるが限定されない。
【0138】
本発明の別の実施形態は、癌の処置のための遺伝子治療と組み合わせた現在開示されている化合物の使用である。癌を処置するための遺伝子ストラテジーの概観については、Hallら、
Am.J.Hum.Genet.,1997,61:785−789およびKufeら、
Cancer Medicine,5th Ed,B.C.Decker,Hamilton,2000,pp876−889を参照。何らかの腫瘍抑制遺伝子を送達するために、遺伝子治療が使用され得る。このような遺伝子の例としては、組み換えウイルス介在遺伝子移入を介して送達され得るp53(米国特許第6,069,134号明細書を参照)、uPA/uPARアンタゴニス(
Gene Therapy,1998,5(8):1105−13)およびインターフェロンガンマ(
J.Immunol.,2000,164:217−222)が挙げられるが限定されない。
【0139】
本発明の化合物はまた、固有の多剤耐性(MDR)、特に輸送体タンパク質の高レベル発現を伴うMDRの阻害剤と組み合わせて投与することもできる。このようなMDR阻害剤としては、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤、例えばLY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853およびPSC833(バルスポダール)などが挙げられる。
【0140】
本発明の化合物は、単独でのまたは放射線療法との本発明の化合物の使用の結果であり得る、急性、遅延性、後期および予期嘔吐を含め、吐き気または嘔吐を処置するための制吐剤と一緒に使用され得る。嘔吐の予防または処置のために、他の制吐剤、特に、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロンおよびザチセトロンなど、GABAB受容体アゴニスト、例えばバクロフェンなど、コルチコステロイド、例えばデカドロン(デキサメタゾン)、ケナログ、アリストコート、ナサリド、プレフェリド、ベネコルテン(Benecorten)または他のもの、例えば米国特許第2,789,118号明細書、同第2,990,401号明細書、同第3,048,581号明細書、同第3,126,375号明細書、同第3,929,768号明細書、同第3,996,359号明細書、同第3,928,326号明細書および同第3,749,712号明細書で開示されるものなど、抗ドーパミン作動薬、例えばフェノチアジン(例えばプロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジンおよびメソリダジン)、メトクロプラミドまたはドロナビノールなどと一緒に本発明の化合物が使用され得る。別の実施形態において、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニストおよびコルチコステロイドから選択される制吐剤との併用療法が、本化合物の投与に対する結果であり得る嘔吐の処置または予防に対して開示される。
【0141】
本発明の化合物と併用した使用のニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339号明細書、同第5,232,929号明細書、同第5,242,930号明細書、同第5,373,003号明細書、同第5,387,595号明細書、同第5,459,270号明細書、同第5,494,926号明細書、同第5,496,833号明細書、同第5,637,699号明細書、同第5,719,147号明細書;欧州特許公開第0360390号明細書、同第0394989号明細書、同第0428434号明細書、同第0429366号明細書、同第0430771号明細書、同第0436334号明細書、同第0443132号明細書、同第0482539号明細書、同第0498069号明細書、同第0499313号明細書、同第0512901号明細書、同第0512902号明細書、同第0514273号明細書、同第0514274号明細書、同第0514275号明細書、同第0514276号明細書、同第0515681号明細書、同第0517589号明細書、同第0520555号明細書、同第0522808号明細書、同第0528495号明細書、同第0532456号明細書、同第0533280号明細書、同第0536817号明細書、同第0545478号明細書、同第0558156号明細書、同第0577394号明細書、同第0585913号明細書、0590152号明細書、同第0599538号明細書、同第0610793号明細書、同第0634402号明細書、同第0686629号明細書、同第0693489号明細書、同第0694535号明細書、同第0699655号明細書、同第0699674号明細書、同第0707006号明細書、同第0708101号明細書、同第0709375号明細書、同第0709376号明細書、同第0714891号明細書、同第0723959号明細書、同第0733632号明細書および同第0776893号明細書;国際公開第90/05525号パンフレット、同第90/05729号パンフレット、同第91/09844号パンフレット、同第91/18899号パンフレット、同第92/01688号パンフレット、同第92/06079号パンフレット、同第92/12151号パンフレット、同第92/15585号パンフレット、同第92/17449号パンフレット、同第92/20661号パンフレット、同第92/20676号パンフレット、同第92/21677号パンフレット、同第92/22569号パンフレット、同第93/00330号パンフレット、同第93/00331号パンフレット、同第93/01159号パンフレット、同第93/01165号パンフレット、同第93/01169号パンフレット、同第93/01170号パンフレット、同第93/06099号パンフレット、同第93/09116号パンフレット、同第93/10073号パンフレット、同第93/14084号パンフレット、同第93/14113号パンフレット、同第93/18023号パンフレット、同第93/19064号パンフレット、同第93/21155号パンフレット、同第93/21181号パンフレット、同第93/23380号パンフレット、同第93/24465号パンフレット、同第94/00440号パンフレット、同第94/01402号パンフレット、同第94/02461号パンフレット、同第94/02595号パンフレット、同第94/03429号パンフレット、同第94/03445号パンフレット、同第94/04494号パンフレット、同第94/04496号パンフレット、同第94/05625号パンフレット、同第94/07843号パンフレット、同第94/08997号パンフレット、同第94/10165号パンフレット、同第94/10167号パンフレット、同第94/10168号パンフレット、同第94/10170号パンフレット、同第94/11368号パンフレット、同第94/13639号パンフレット、94/13663号パンフレット、同第94/14767号パンフレット、同第94/15903号パンフレット、同第94/19320号パンフレット、同第94/19323号パンフレット、同第94/20500号パンフレット、同第94/26735号パンフレット、同第94/26740号パンフレット、同第94/29309号パンフレット、同第95/02595号パンフレット、同第95/04040号パンフレット、同第95/04042号パンフレット、同第95/06645号パンフレット、同第95/07886号パンフレット、同第95/07908号パンフレット、同第95/08549号パンフレット、同第95/11880号パンフレット、同第95/14017号パンフレット、同第95/15311号パンフレット、同第95/16679号パンフレット、同第95/17382号パンフレット、同第95/18124号パンフレット、同第95/18129号パンフレット、同第95/19344号パンフレット、同第95/20575号パンフレット、同第95/21819号パンフレット、同第95/22525号パンフレット、同第95/23798号パンフレット、同第95/26338号パンフレット、同第95/28418号パンフレット、同第95/30674号パンフレット、同第95/30687号パンフレット、同第95/33744号パンフレット、同第96/05181号パンフレット、同第96/05193号パンフレット、同第96/05203号パンフレット、同第96/06094号パンフレット、同第96/07649号パンフレット、同第96/10562号パンフレット、同第96/16939号パンフレット、同第96/18643号パンフレット、同第96/20197号パンフレット、同第96/21661号パンフレット、同第96/29304号パンフレット、同第96/29317号パンフレット、同第96/29326号パンフレット、同第96/29328号パンフレット、同第96/31214号パンフレット、同第96/32385号パンフレット、同第96/37489号パンフレット、同第97/01553号パンフレット、同第97/01554号パンフレット、同第97/03066号パンフレット、同第97/08144号パンフレット、同第97/14671号パンフレット、同第97/17362号パンフレット、同第97/18206号パンフレット、同第97/19084号パンフレット、同第97/19942号パンフレットおよび同第97/21702号パンフレット;および英国特許公開第2266529号明細書、同第2268931号明細書、同第2269170号明細書、同第2269590号明細書、同第2271774号明細書、同第2292144号明細書、同第2293168号明細書、同第2293169号明細書および同第2302689号明細書で完全に記載されている。このような化合物の調製は、参照により本明細書中に組み込まれる上述の特許および刊行物に完全に記載されている。
【0142】
実施形態において、本発明の化合物との併用での使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、米国特許第5,719,147号明細書に記載される、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリンまたは医薬的に許容可能なその塩から選択される。
【0143】
本発明のWEE1阻害剤はまた、貧血の処置において有用な薬剤とともに投与することもできる。このような貧血治療剤は、例えば、持続性赤血球産生受容体活性化因子(エポエチンアルファなど)である。
【0144】
本発明のWEE1阻害剤はまた、好中球減少症の処置において有用な薬剤とともに投与することもできる。このような好中球減少症処置剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子、(G−CSF)などの好中球の産生および機能を制御する造血成長因子である。G−CSFの例としては、フィルグラスチムが挙げられる。
【0145】
本発明のWEE1阻害剤はまた、レバミソール、イソプリノシンおよびザダキシンなどの免疫促進薬とともに投与することもできる。
【0146】
本発明のWEE1阻害剤はまた、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸およびジホスホン酸を含むものと理解される)と組み合わせて、骨癌を含む癌を処置または予防するためにも有用であり得る。ビスホスホネートの例としては、エチドロネート(ジドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(ホサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネートもしくはシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネートおよびチルドロネートおよび何れかまたは全ての、それらの医薬的に許容可能な塩、誘導体、水和物および混合物が挙げられるが限定されない。
【0147】
本発明のWEE1阻害剤はまた、アロマターゼ阻害剤と組み合わせて乳癌を処置または予防するためにも有用であり得る。アロマターゼ阻害剤の例としては、アナストロゾール、レトロゾールおよびエキセメスタンが挙げられるが限定されない。
【0148】
本発明のWEE1阻害剤はまた、siRNA療法と組み合わせた癌の処置または予防のためにも有用であり得る。
【0149】
本発明のWEE1阻害剤は、γ−セクレターゼ阻害剤および/またはNOTCHシグナル伝達の阻害剤と組み合わせて投与することもできる。このような阻害剤としては、国際公開第01/90084号パンフレット、同第02/30912号パンフレット、同第01/70677号パンフレット、同第03/013506号パンフレット、同第02/36555号パンフレット、同第03/093252号パンフレット、同第03/093264号パンフレット、同第03/093251号パンフレット、同第03/093253号パンフレット、同第2004/039800号パンフレット、同第2004/039370号パンフレット、同第2005/030731号パンフレット、同第2005/014553号パンフレット、米国特許出願第10/957,251号明細書、国際公開第2004/089911号パンフレット、同第02/081435号パンフレット、同第02/081433号パンフレット、同第03/018543号パンフレット、同第2004/031137号パンフレット、同第2004/031139号パンフレット、同第2004/031138号パンフレット、同第2004/101538号パンフレット、同第2004/101539号パンフレットおよび同第02/47671号パンフレット(LY−450139を含む)に記載の化合物が挙げられる。
【0150】
本発明のWEE1阻害剤はまた、Aktの阻害剤と組み合わせた癌の処置または予防のためにも有用であり得る。このような阻害剤としては、次の刊行物:国際公開第02/083064号パンフレット、同第02/083139号パンフレット、同第02/083140号パンフレット、米国特許出願公開第2004−0116432号明細書、国際公開第02/083138号パンフレット、米国特許出願公開第2004−0102360号明細書、国際公開第03/086404号パンフレット、同第03/086279号パンフレット、同第03/086394号パンフレット、同第03/084473号パンフレット、同第03/086403号パンフレット、同第2004/041162号パンフレット、同第2004/096131号パンフレット、同第2004/096129号パンフレット、同第2004/096135号パンフレット、同第2004/096130号パンフレット、同第2005/100356号パンフレット、同第2005/100344号パンフレット、米国特許出願公開第2005/029941号明細書、同第2005/44294号明細書、同第2005/43361号明細書、国際公開第2006/135627号パンフレット、同第2006091395号パンフレット、同第2006/110638号パンフレット)に記載の化合物が挙げられるが限定されない。
【0151】
本発明のWEE1阻害剤はまた、PARP阻害剤と組み合わせた癌の処置または予防のためにも有用であり得る。
【0152】
放射線療法それ自体は、癌の処置の分野での通常の方法を意味する。放射線療法に対して、X線、γ線、中性子線、電子ビーム、陽子ビームなどの様々な放射線;および線源を使用可能である。最も一般的な放射線療法においては、外部放射、γ線での放射のために、線形加速器が使用される。
【0153】
本発明のWEE1阻害剤はまた、次の治療薬とさらに組み合わせて癌を処置するためにも有用であり得る:アバレリックス(プレナキシス・デポー(Plenaxis depot)(登録商標));アビラテロン酢酸エステル(ジティガ(Zytiga)(登録商標));(アクティック(Actiq)(登録商標));アルデスロイキン(プロカイン(Prokine)(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(Proleukin)(登録商標));アレムツズマブ(キャンパス(Campath)(登録商標));アルフゾシンHCl(ウロキサトラル(UroXatral)(登録商標));アリトレチノイン(パンレチン(Panretin)(登録商標));アロプリノール(ザイロプリム(Zyloprim)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサレン(Hexalen)(登録商標));アミフォスチン(エチオール(Ethyol)(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標));(アンゼメット(Anzemet)(登録商標));(アネクシア(Anexsia)(登録商標));アプレピタント(エメンド(Emend)(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(Trisenox)(登録商標));アスパラギナーゼ(エルスパル(Elspar)(登録商標));アザシチジン(ビダザ(Vidaza)(登録商標));ベンダムスチン塩酸塩(トレアンダ(Treanda)(登録商標));ベバクジマブ(bevacuzimab)(アバスチン(Avastin)(登録商標));ベキサロテン・カプセル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ベキサロテン・ゲル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケイド(Velcade)(登録商標));(ブロフェナク(Brofenac)(登録商標));ブスルファン・静注(ブスルフレックス(Busulflex)(登録商標));ブスルファン・経口(マイレラン(Myleran)(登録商標));カバジタキセル(ジェブタナ(Jevtana)(登録商標));カルステロン(メトサーブ(Methosarb)(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(グリアデル(Gliadel)(登録商標));インプラント型ポリフェプロサン20とのカルムスチン(グリアデル・ウエファー(Gliadel Wafer)(登録商標));セレコキシブ(セレブレックス(Celebrex)(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(Erbitux)(登録商標));クロランブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標));シナカルセット(センシパール(Sensipar)(登録商標));シスプラチン(プラチノール(Platinol)(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(クロラール(Clolar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)(登録商標)、ネオサール(Neosar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)注射用(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)錠(登録商標));シタラビン(サイトサール−U(Cytosar−U)(登録商標));リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標));ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(コスメゲン(Cosmegen)(登録商標));ダルベポエチン・アルファ(アラネスプ(Aranesp)(登録商標));ダサチニブ(スプリセル(sprycel)(登録商標));リポソーム化ダウノルビシン(ダヌオキソーム(DanuoXome)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン(Daunorubicin)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(セルビジン(Cerubidine)(登録商標));デシタビン(ダコジェン(Dacogen)(登録商標));デガレリクス(デガレリクス(Degarelix)(登録商標));デニロイキン・ディフチトクス(オンタック(Ontak)(登録商標));デノスマブ(Xゲバ(Xgeva)(登録商標));デクスラゾキサン(ザインカード(Zinecard)(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(Adriamycin PFS)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射用(Adriamycin PFS Injection)(登録商標));リポソーム化ドキソルビシン(ドキシル(Doxil)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(Dromostanolone)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(マステロン注射用(Masterone Injection)(登録商標));エリオットのB溶液(エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution)(登録商標));エピルビシン(エレンス(Ellence)(登録商標));エポエチン・アルファ(エポジェン(epogen)(登録商標));エリブリンメシル酸塩(ハラベン(Halaven)(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標));エストラムスチン(エムシット(Emcyt)(登録商標));エトポシドリン酸塩(エトポフォス(Etopophos)(登録商標));エトポシド、VP−16(ベペシド(Vepesid)(登録商標));エベロリムス(アフィニトール(Afinitor)(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(Aromasin)(登録商標));フェンタニルバッカル錠(オンソリス(Onsolis)(登録商標));フェンタニルクエン酸塩(フェントラ(Fentora)(登録商標));フェンタニル舌下錠(アブストラル(Abstral)(登録商標));フィルグラスチム(ノイポゲン(Neupogen)(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(アドルシル(Adrucil)(登録商標));フルタミド(オイレキシン(Eulexin)(登録商標));フルベストラント(ファスロデックス(Faslodex)(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(登録商標));ゲムシタビン(ジェムザール(Gemzar)(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(マイロターグ(Mylotarg)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス・インプラント(Zoladex Implant)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス(Zoladex)(登録商標));グラニセトロン(カイトリル溶液(Kytril Solution)(登録商標))(サンキューソ(Sancuso)(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(ヒストレリン・インプラント(Histrelin implant)(登録商標));ヒトパピローマウイルス二価ワクチン(セルバリックス(Cervarix)(登録商標));ヒドロキシウレア(ハイドレア(Hydrea)(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン(Zevalin)(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標));イホスファミド(IFEX(登録商標));メシル酸イマチニブ(グリベック(Gleevec)(登録商標));インターフェロンアルファ2a(ロフェロンA(Roferon A)(登録商標));インターフェロンアルファ−2b(イントロンA(Intron A)(登録商標));イピリムマブ(ヤーボイ(Yervoy)(登録商標));イリノテカン(カンプトサール(Camptosar)(登録商標));(カディアン(Kadian)(登録商標));イキサベピロン(イキセンプラ(Ixempra)(登録商標));ラパチニブ(タイケルブ(Tykerb)(登録商標));レナリドミド(レブリミド(Revlimid)(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(Femara)(登録商標));ロイコボリン(ウェルコボリン(Wellcovorin)(登録商標)、ロイコボリン(Leucovorin)(登録商標));酢酸ロイプロリド(エリガード(Eligard)(登録商標));(ルプロン デポー(Lupron Depot)(登録商標));(ビアドゥア(Viadur)(登録商標));レバミゾール(エルガミゾール(Ergamisol)(登録商標));レボルコボリン(フシレブ(Fusilev)(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン、ナイトロジェンマスタード(マスタルゲン(Mustargen)(登録商標));酢酸メゲストロール(メゲース(Megace)(登録商標));メルファラン、L−PAM(アルケラン(Alkeran)(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(プリネトール(Purinethol)(登録商標));メスナ(メスネックス(Mesnex)(登録商標));メスナ(メスネックス錠(Mesnex tabs)(登録商標));メトトレキサート(メトトレキサート(Methotrexate)(登録商標));メトキサレン(ウヴァデクス(Uvadex)(登録商標));マイトマイシンC(ミュータマイシン(Mutamycin)(登録商標));マイトマイシン C(ミトザイトレックス(Mitozytrex)(登録商標));ミトタン(リソドレン(Lysodren)(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone)(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(デュラボリン−50(Durabolin−50)(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));ニロチニブ塩酸塩一水和物(タシグナ(Tasigna)(登録商標));ノフェツモマブ(ヴァールマ(Verluma)(登録商標));オファツムマブ(アルゼラ(Arzerra)(登録商標));オンダンセトロン(ズプレンズ(Zuplenz)(登録商標));オプレルベキン(ニューメガ(Neumega)(登録商標));(ニューポジェン(Neupogen)(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(Eloxatin)(登録商標));パクリタキセル(パクセン(Paxene)(登録商標));パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標));パクリタキセル・タンパク質結合粒子(アブラキサン(Abraxane)(登録商標));パリフェルミン(ケピバンス(Kepivance)(登録商標));パロノセトロン(アロキシ(Aloxi)(登録商標));パミドロネート(アレディア(Aredia)(登録商標));パニツムマブ(ベクチビックス(Vectibix)(登録商標));パゾパニブ(ボトリエント(Votrient)(登録商標));ペグアデマーゼ(アダジェン(Adagen)(ウシ・ペグアデマーゼ(Pegademase Bovine))(登録商標));ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー(Oncaspar)(登録商標));ペグフィルグラスチム(ニューラスタ(Neulasta)(登録商標));ペグインターフェロンアルファ−2B(シラトロン(Sylatron)(登録商標));ペメトレキセド2ナトリウム(アリムタ(Alimta)(登録商標));ペントスタチン(ナイペント(Nipent)(登録商標));ピポブロマン(バーサイト(Vercyte)(登録商標));プレリキサフォル注射用(モゾビル(Mozobil)(登
録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(ミトラシン(Mithracin)(登録商標));ポルフィマーナトリウム(ホトフリン(Photofrin)(登録商標));プララトレキサート注射用(ホロチン(Folotyn)(登録商標));プロカルバジン(マツラン(Matulane)(登録商標));クアドラメット(Quadramet)(登録商標));4価ヒトパピローマウイルス(6、11、16、18型)組み換えワクチン(ガーダシル(Gardasil)(登録商標));キナクリン(アタブリン(Atabrine)(登録商標));ラロキシフェン塩酸塩(エビスタ(Evista)(登録商標));ラスブリカーゼ(エリテック(Elitek)(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標));ロミデプシン(イソトダックス(Istodax)(登録商標));サルグラモスチン(リューカイン(Leukine)(登録商標));サルグラモスチン(プロカイン(Prokine)(登録商標));セクレチン(セクレフロー(SecreFlo)(登録商標));シプリューセル−T(プロベンジ(Provenge)(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(Nexavar)(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサール(Zanosar)(登録商標));スニチニブ・マレイン酸塩(スーテント(Sutent)(登録商標));タルク(スクレロゾール(Sclerosol)(登録商標));タモキシフェン(ノルバデックス(Nolvadex)(登録商標));テモゾロミド(テモダール(Temodar)(登録商標));テムシロリムス(トーリセル(Torisel)(登録商標));テニポシド、VM−26(ヴァモン(Vumon)(登録商標));(テモダール(Temodar)(登録商標));テストラクトン(テスラク(Teslac)(登録商標));サリドマイド(サロミド(Thalomid(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(Thioguanine)(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));トポテカン(ハイカムチン(Hycamtin)(登録商標));トレミフェン(フェアストン(Fareston)(登録商標));トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トシツモマブ/I−131トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トラスツズマブ(ハーセプチン(Herceptin)(登録商標));(トレルスター・エル・エー(Trelstar LA)(登録商標));トレチノイン、ATRA(ベサノイド(Vesanoid)(登録商標));パモ酸トリプトレリン(トレルスター・デポ(Trelstar Depot)(登録商標));(ウルトラジェクト(UltraJect)(登録商標));ウラシル・マスタード(ウラシル・マスタード・カプセル(Uracil Mustard Capsules)(登録商標));バルルビシン(バルスター(Valstar)(登録商標));バンデタニブ(バンデタニブ(Vandetanib)(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(Velban)(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(登録商標));ビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標));ボリノスタット(ゾリンザ(Zolinza)(登録商標));(ゾフラン ODT)(Zofran ODT)(登録商標));およびゾレドロネート(ゾメタ(Zometa)(登録商標))。
【0154】
特定される全ての特許、刊行物および係属中の特許出願は参照により本明細書によって組み込まれる。
【0155】
[実施例]
[実施例1]
WEE1−1の調製
【化3】
【0156】
2−アリル−1−[6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−2−イル]−6−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−オンの生成
段階1)2−(6−ブロモ−2−ピリジニル)−2−プロパノールの生成:
窒素雰囲気中で、8.72gのメチル6−ブロモピリジン−2−カルボキシレートの300mLのジエチルエーテル溶液に30mLの3Mメチルマグネシウムヨージド/ジエチルエーテルを添加した。反応液に水および2N塩酸を添加し、酢酸エチルで抽出した。これを炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で留去して、粗製2−(6−ブロモ−2−ピリジニル)−2−プロパノールを黄色の油状物質として得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.56(1H,t,J=7.8Hz),7.38(1H,dd,J=7.8,1.0Hz),7.36(1H,dd,J=7.8,1.0Hz),1.55(6H,s)。ESI−MS実測:m/z[M+H]+ 216,218。
【0157】
段階2)2−アリル−1−[6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−ピリジニル]−6−(メチルチオ)−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−オンの生成:
調製例1−1と同じようにして表題の化合物を得たが、調製例1−1で使用される2−ヨードピリジンの代わりに上記反応で得た化合物を使用した。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.95(1H,s),7.91(1H,t,J=8.0Hz),7.76(1H,d,J=7.3Hz),7.40(1H,dd,J=7.8,1.0Hz),5.70(1H,ddt,J=17.1,10.2,6.3Hz),5.06(1H,dd,J=10.2,1.0Hz),4.93(1H,dd,J=17.1,1.2Hz),4.81(2H,d,J=6.3Hz),2.59(4H,s),1.59(6H,s)。ESI−MS実測:m/z[M+H]+:358。
【0158】
段階3)2−アリル−1−[6−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−2−イル]−6−{[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]アミノ}−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−オンの生成:
1.10gの上記生成物のトルエン(20mL)溶液に817mgのm−クロロ過安息香酸(>65%)を添加し、20分間撹拌した。1.61mLのN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび706mgの4−(4−メチルピペラジン−1−イル)アニリンを反応液に添加し、一晩撹拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を反応液に添加し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し、塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1から0/1、酢酸エチル/エタノール=98/2)を通じて残渣を精製した。濃縮後、これを酢酸エチルから再結晶化して、黄色の固形物として表題の化合物を得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.83(1H,s),7.86(1H,dd,J=8.0,7.8Hz),7.75(1H,d,J=7.3Hz),7.49(1H,brs),7.48(2H,d,J=9.0Hz),7.34(1H,d,J=7.4Hz),6.93(2H,d,J=9.0Hz),5.70(1H,ddt,J=17.2,10.0,6.5Hz),5.04(1H,d,J=10.0Hz),4.94(1H,d,J=17.2Hz),4.74(2H,d,J=6.5Hz),3.26(4H,t,J=4.8Hz),2.73(4H,brs),2.44(3H,s),1.59(6H,s)。ESI−MS実測:m/z[M+H]+ 501。
【0159】
[調製例1−1]
2−アリル−6−(メチルチオ)−1−ピリジン−2−イル−3H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−オンの生成:
4.44gの2−アリル−6−(メチルチオ)−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−オン、3.80gのヨウ化銅(I)、5.33gの2−ヨードピリジンおよび3.80gの炭酸カリウムの1,4−ジオキサン(50mL)溶液に2.4mLのN,N’−ジメチルエチレンジアミンを添加し、95℃で一晩撹拌した。反応液を冷却し、それにアンモニア水を添加し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で留去し、酢酸エチルを用いて結晶化して、白色の固形物として表題の化合物を得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:8.94(1H,s),8.52(1H,d,J=5.1Hz),7.90(2H,d,J=3.5Hz),7.29−7.25(1H,m),5.68(1H,ddt,J=17.0,10.2,6.3Hz),5.05(1H,d,J=10.2Hz),4.91(1H,d,J=17.0Hz),4.85(1H,d,J=6.3Hz),2.58(3H,s)。
【0160】
[実施例2]
WEE1−2の調製
【化4】
【0161】
3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−[(2’−メチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−7’−イル)アミノ]−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの生成
調製例2−1で得られた1.5gの7−クロロ−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの1−ブタノール溶液、調製例2−2で得られた1gの2’−メチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−7’−アミンおよび0.83gのp−トルエンスルホン酸一水和物を90℃で15分間撹拌した。反応液を冷却し、クロロホルムで希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液および次いで飽和食塩水で有機層を洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、溶媒を留去した。このようにして得て、粗精製した生成物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーに通して精製し、3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−[(2’−メチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−7’−イル)アミノ]−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンを得た。クロロホルム/メタノールの混合溶媒中でこれを溶解し、1.5当量の塩酸水溶液をそれに添加し、室温で5分間撹拌した。次に、溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルで洗浄して、3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−7−[(2’−メチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−7’−イル)アミノ]−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オン二塩酸塩を黄色の固形物として得た。1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:11.83(1H,brs),10.05(1H,brs),9.10(1H,s),8.88(1H,s),7.79−7.68(1H,m),7.63−7.59(2H,m),7.47(1H,t,J=8.2Hz),7.38(1H,d,J=8.3Hz),6.63(1H,d,J=8.5Hz),3.59(2H,s),2.44(2H,s),2.32(3H,s),0.90−0.81(4H,m)ESI−MS実測:m/z[M+H]+ 494
[調製例2−1]
【化5】
【0162】
7−クロロ−3−(2,6−ジクロロフェニル)−4−イミノ−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−d]ピリミジン−2(1H)−オンの生成
3.0gの4−アミノ−2−クロロピリミジン−5−カルボニトリルのN,N−ジメチルホルムアミド(35mL)溶液に1.12gの水素化ナトリウムを添加し、室温で5分間撹拌した。4.38gの2,6−ジクロロフェニルイソシアネートを反応液に添加し、室温で1時間撹拌した。酢酸エチルおよび1N塩酸水溶液を反応溶液に添加し、有機層を分離した。これを飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。沈殿した固形物をメタノール/酢酸エチルの混合溶媒で凝固させ、ろ過を通じて取り出して、表題の化合物を白色固形物として得た。1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:9.33(1H,s),7.66(2H,d,J=8.2Hz),7.53(1H,t,J=8.2Hz)ESI−MS実測:m/z[M+H]342
[調製例2−2]
2’−メチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−7’−アミンの生成
【化6】
【0163】
段階1)メチル1−(2−シアノフェニル)シクロプロパンカルボキシレートの生成:
1.5gの臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、6.5gの1,2−ジブロモエタンおよび20mLの50%水酸化ナトリウム水溶液を4.0gのメチル2−シアノフェニルアセテートのトルエン(40mL)溶液に添加し、室温で1時間撹拌した。反応液に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)を通じて粗製生成物を精製し、表題の化合物を無色の化合物として得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.66(1H,dd,J=7.6,1.2Hz),7.55(1H,td,J=7.6,1.2Hz),7.43−7.36(2H,m),3.66(3H,s),1.82(2H,q,J=3.7Hz),1.30(2H,q,J=3.7Hz)
ESI−MS実測:m/z[M+H]202
【化7】
【0164】
段階2)メチル1−[2−(アミノメチル)フェニル]シクロプロパンカルボキシレート一塩酸塩の生成:
上記の反応段階1)で得られた2.95gの化合物のエタノール(50mL)溶液に、1.6gの10%パラジウム−炭素を添加し、2気圧下、室温にて3時間、水素雰囲気中で撹拌した。ろ過を通じてパラジウム−炭素を除去し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗製生成物をジエチルエーテルで洗浄して、表題の化合物を無色の固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6)δ:8.47(2H,s),7.55(1H,d,J=6.8Hz),7.38(3H,td,J=7.2,2.1Hz),7.36−7.29(2H,m),4.04(2H,d,J=4.9Hz),3.54(3H,s),1.61−1.56(2H,m),1.33−1.29(2H,m)ESI−MS実測:m/z[M+H]206
【化8】
【0165】
段階3)1’,2’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−3’−オンの生成
上記反応段階2)で得られた3.2gの化合物のメタノール(50mL)溶液に4mLの5N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、室温で30分間撹拌した。1N塩酸水溶液をこれに添加してこれを中和し、減圧下でメタノールを留去した。残渣を水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去して、表題の化合物を無色の固形物として得た。1H−NMR(CDCl3)δ:7.23(1H,td,J=7.8,1.1Hz),7.18(1H,td,J=7.3,1.1Hz),7.10(1H,dd,J=7.3,1.0Hz),6.73(1H,dd,J=7.8,1.0Hz),4.69(2H,d,J=1.5Hz),1.85(2H,q,J=3.7Hz),1.24(2H,q,J=3.7Hz)ESI−MS実測:m/z[M+H]174
【化9】
【0166】
段階4)7’−ニトロ−1’,2’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−3’−オンの生成:
上記反応3)で得られた2.1gの化合物の硫酸(60mL)溶液に1.3gの硝酸カリウムを5分間かけて徐々に添加し、室温で10分間さらに撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、沈殿した結晶をろ過により取って、水で洗浄して表題の化合物を黄色の固形物として得た。1H−NMR(CDCl3)δ:8.09(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),8.01(1H,t,J=2.4Hz),6.86(1H,d,J=8.8Hz),6.30(1H,s),4.78(2H,d,J=1.5Hz),2.01(2H,q,J=4.1Hz),1.35(2H,q,J=4.1Hz)ESI−MS実測:m/z[M+H]219
【化10】
【0167】
段階5)7’−ニトロ−1’,2’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]の生成:
氷で冷却しながら、1.3gの水素化ホウ素ナトリウムのテトラヒドロフラン懸濁液に、6.3gの三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体を添加し、1時間撹拌した。この反応液に、上記反応段階4)で得られた2.4gの化合物のテトラ−ヒドロフラン(100ml)溶液を添加し、還流下で2時間加熱した。反応液を冷却し、次いで重炭酸ナトリウム飽和水溶液で中和した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をエタノール中で溶解し、5N塩酸をそれに添加し、還流下で1時間加熱した。反応液を冷却し、次いで溶媒を減圧下で留去し、残渣を炭酸カリウム水溶液で中和した。水層をクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で留去して表題の化合物を得た。ESI−MS実測:m/z[M+H]205
【化11】
【0168】
段階6)2’−メチル−7’−ニトロ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]の生成:
上記反応段階5)で得られた化合物(2.3g)のメタノール(50mL)溶液、2.7mLの37%ホルムアルデヒド水溶液および0.7mLの酢酸に、1.5gのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、室温で15時間撹拌した。反応液を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で中和し、メタノールを減圧下で留去した。残渣を水で希釈し、クロロホルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)を通じて粗製生成物を精製して、表題の化合物を無色の固形物として得た。1H−NMR(CDCl3)δ:7.97(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),7.91(1H,d,J=2.4Hz),6.78(1H,d,J=8.8Hz),3.77(2H,s),2.57(2H,s),2.48(3H,s),1.16−1.12(2H,m),1.10−1.06(2H,m)ESI−MS実測:m/z[M+H]219
【化12】
【0169】
段階7)2’−メチル−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−イソキノリン]−7’−アミンの生成:
上記の反応段階6)で得られた1.7gの化合物のエタノール(20mL)溶液に、800mgの10%パラジウム−炭素を添加し、1気圧下、室温にて15時間、水素雰囲気中で撹拌した。ろ過を通じてパラジウム−炭素を除去し、ろ液を減圧下で濃縮し、塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)を通じて粗製生成物を精製して、表題の化合物を無色の固形物として得た。1H−NMR(CDCl3)δ:6.50−6.48(2H,m),6.38−6.36(1H,m),3.61(2H,s),3.50(2H,s),2.49(2H,s),2.42(3H,s),0.91(2H,dd,J=6.3,4.6Hz),0.81(2H,dd,J=6.3,4.6Hz)ESI−MS実測:m/z[M+H]189
[実施例3]
一般的材料および方法:
A.細胞培養、増殖アッセイおよびMYT1 siRNAノックダウン
細胞株ベンダー(ATCC)により推奨される培地中で全ての癌細胞株を増殖させた。組織培養培地、血清および補助剤はSigma−Aldrich(登録商標)(St.Louis,MO)から購入した。増殖アッセイスクリーン(
図1)の場合、384ウェル組織培養プレートにおいて細胞を播種し、化合物またはビヒクル処理下で増殖させた。96時間後、製造者のプロトコールに従い、およその細胞含量までCellTiter−Glo(Promega,Madison,WI)を使用した。試料を3つ組で操作し、ビヒクル処理対照ウェルに対する被処理試料のCellTiter−Glo未処理値として増殖を計算した。
【0170】
ノックダウン試験に対して、NCI−H460およびKNS62という2種類の非小細胞肺癌細胞株、American Type Culture Collection,Manassas,VAに対して、非ターゲティング対照またはPKMYT1配列の何れかを有するsiRNAプール(SMARTpool,Dharmacon,Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を用いて遺伝子移入した。96ウェル組織培養プレートにおいて、遺伝子移入から48時間後に細胞を播種し、翌日、これらを72時間にわたり化合物またはビヒクルで処理した。およその細胞含量に対して、製造者のプロトコールに従い、ViaLight(Lonza,Basel,Switzerland)を使用した。試料を3つ組で操作し、各処理に対する対照未処理値の%を決定することによって増殖を計算した。
【0171】
B.ウエスタンブロッティング
哺乳動物タンパク質抽出試薬(MPER,Thermo Fisher 78505,Waltham,MA)中で細胞を溶解し、次いでSDS−PAGEに供し、ニトロセルロースまたはPVDF膜上に転写した。ウエスタンブロッティングのために使用される抗体は、次の起源由来である:Cell Signaling Technologies(Beverly,MA)からの、総CDK1、pCDK1
Y15、pCDK1
T14、pCHK1
S345、pStathmin
S38、pLaminA/C
S22、pCDK基質モチーフ、γH2AX、サイクリンAおよび総PKMYT1;Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)からのアクチン−HRP;GE Healthcare(Waukesha,WI)からの二次HRP−結合抗マウスおよびウサギ抗体。ブロットをSuperSignal West Femto化学発光基質(Thermo Fisher Pierce,Waltham,MA)に曝露した。
【0172】
C.フローサイトメトリー
DNA2本鎖切断を検出するために、氷冷70%エタノール中で一晩固定した後、FITC−結合抗γH2AX(S139)抗体(キット17−344,Millipore,Billerica,MA)で細胞を染色し、ヨウ化プロピジウム(PI)/RNase溶液(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)を使用して総DNA含量を検出した。早期有糸分裂を調べる試験に対して、抗pHH3−Alexa647抗体(BD Biosciences 558217)を添加した。
【0173】
同期化試験に対して、血清不含培地中で細胞を36時間温置し、続いて20%FBSを補充した。各回収の1時間前に、細胞に10μMブロモデオキシウリジン(BrdU)を瞬間適用した。細胞を固定し、BD Pharmingen(商標)FITC BrdU Flowキット(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)での説明書に従い、抗BrdU FITC−結合抗体および7−アミノアクチノマイシン−D(7−AAD)色素でそれぞれBrdUおよびDNA含量について染色した。BD FACS Diva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)を用いてBD LSR IIフローサイトメーター上で全てのサイトメトリーデータを回収し、FlowJoバージョン7.5において結果を分析した。
【0174】
D.インビボ有効性試験
5から6週齢のCD−1 Nu/Nu雌マウスをCharles River Laboratories(Wilmington,DE)から入手して、出願者らの動物飼育施設で標準的な実験室条件で飼育し、2018Sオートクレーブ可能餌(Harlan Laboratories,Indianapolis,IN)および水を自由に摂取させた。プロトコールは、出願者らの社内動物飼育および使用委員会により承認された。マウスに細胞(1:1 マトリゲル:PBS)を右側腹部の皮下に(SC)接種した。腫瘍体積が200mm
3(+/−50)に達したら、マウスをペアマッチし、各群が同様の平均および標準偏差を有するようにした。隔週で腫瘍体積および体重を記録した。マウスは、2日間にわたり1日2回の投与(BID)の4回の処置サイクルを受け、ビヒクルまたはWEE1−1(60mpk)の何れかを受けた。
【0175】
[実施例4]
WEE1の阻害は、多種多様な腫瘍細胞株において細胞増殖を崩壊させる。
遺伝子標的化を通じたマウスにおけるWEE1発現の喪失は致死的であり、胚が胚盤胞段階にさえ到達しないうちに(初期胚第3.5日)、発生が中断される。この表現型は、胚におけるアポトーシスおよび早期有糸分裂ならびにWEE1遺伝子を欠くマウス胚線維芽細胞でのDNA損傷により引き起こされる(Tominaga,Y.ら、
J.Biol.Sciences,2006,2(4):161−170)。さらに、WEE1のRNAi−介在性のサイレンシングは、多くの形質転換ヒト細胞株での生存能不良につながる。WEE1−1は、WEE1の強力なATP−競合性阻害剤であり、外因性DNA損傷に対して癌細胞を感受性にする(Hirai,H.ら、
Mol.Cancer Ther.,2009,8(11):2992−3000)。出願者らは、多岐に及ぶヒト腫瘍細胞株にわたり、WEE1の薬理学的阻害の効果を調べるために、この低分子阻害剤を使用した(
図1)。
【0176】
16種類の異なる腫瘍型に相当する522種類の癌の株を細胞増殖アッセイでWEE1−1を用いてスクリーニングしたところ、多様な反応が観察された(
図1)。EC
50値は、試験した細胞株について、2%(9/522)で≦0.1μMから19%(98/522)で≧1μMの範囲であった。異なる腫瘍型の平均EC
50値を比較したところ、群として、WEE1−1処置に対して、結直腸癌細胞株はより感受性が低く(平均EC
50=1.16μM、n=66、0.17から>10μMの範囲)、神経芽腫腫瘍細胞株は、平均でより感受性が高い(平均EC
50=0.28μM、n=7、0.12から0.45μMの範囲)ことが明らかになった。後者の群の試料サイズは限定されていたが、神経芽腫細胞がWEE1阻害に対してより反応性がある傾向があるという知見は、最近の知見と一致する(Russellら、原稿投稿中)。多くの細胞株が、より高い濃度のWEE1−1が存在しても増殖し、分裂し続けることは、重要であった。これらのデータは、薬理学的WEE1阻害の抗増殖効力および体液腫瘍細胞株間の多様性を明らかにした。
【0177】
[実施例5]
WEE1阻害はDNA損傷反応を活性化する。
機能性ゲノムスクリーニングおよび有効性確認研究から、WEE1のノックダウンが、DNA2本鎖切断およびDNA損傷反応(DDR)の活性化につながることが明らかになった。出願者らは、WEE1−1に対する感度が様々である6種類の細胞株においてWEE1の薬理学的阻害の効果を調べるために、活性化DDRのマーカーとしてpCHK1
S345を使用した:ES−2(EC
50=256nM)、A2058(EC
50=225nM)、A431(EC
50=170nM)、A427(EC
50=116nM)、KNS62(EC
50=487nM)およびNCI−H460(EC
50=535nM)。pCHK1
S345に対するウエスタンブロットから、全6種類の細胞株におけるDDRの用量依存的活性化およびより感受性が高い細胞株、すなわちES−2、A2058、A431およびA427では50nM WEE1−1という低い濃度でpCHK1
S345が上昇する証拠が明らかになった(
図2A)。WEE1−1処理の結果としてのCDK活性上昇がES−2細胞で確認された(
図8A)。予想されるように、付随するpCDK1
Y15の用量依存的減少も全ての6種類の細胞株で観察され、これにより、DDRの誘導とWEE1阻害の結果としてのCDK活性上昇との間の関連が与えられた。PKMYT1によるT14でのCDK1およびCDK2のリン酸化はまた、CDK1/2キナーゼ活性を損なわせることも知られており、WEE1−1は、インビトロでWEE1を阻害するのに必要とされる濃度のおよそ100倍高い濃度でPKMYT1を阻害する(Hirai,H.ら、2009)。出願者らは、pCDK1
T14レベルが、DNA損傷を誘導するWEE1−1濃度により影響を受けるか否かという疑問を持った。A427細胞株の可能性を除いて、出願者らはpCDK1
T14でのWEE1−1−依存性効果を観察しなかった(
図2A)。
【0178】
[実施例6]
WEE1阻害は、S期ダイナミクスおよびDNA複製の完全性を崩壊させる。
WEE1−1−依存性DNA損傷がどこで起こるかを理解するために、出願者らは、フローサイトメトリーによってTOV21G卵巣癌細胞を分析した。指数関数的に増殖するTOV21G細胞において、1%から2%の集団が、DNA2本鎖切断マーカーγH2AXに対して陽性に染色された。しかし、WEE1−1での2時間という短い処理の結果、23%の細胞がγH2AXに対して陽性染色された(
図2B、左パネル)。γH2AX陽性細胞の染色体含量は>2Nであり、このことから、WEE1阻害から生じたDNA損傷が、S期のDNA複製中またはその開始後に発生することが示唆された。TOV21G細胞をWEE1−1で処理し、BrdUでパルス標識した場合、BrdU−陽性細胞でほぼ独占的にDNA損傷が検出され(2時間で95%、6時間で92%)、これにより、DNA2本鎖切断がDNA複製中のWEE1阻害の結果であるという出願者らの観察が裏付けられる(
図2B、右パネル)。
【0179】
S期の染色体切断は、DNA複製チェックポイントを活性化し、S期を通じた進行を遅延させると予想された。この予想を確認するために、細胞同期化試験を行った。ES−2細胞株は血清飢餓時にマイトジェン休止により誘導されるG1同期化に他の細胞株よりも影響を受け易かったので(データは示さない)、これらの試験のために、ES−2細胞株を選択した。S期同期化に対する他のアプローチ(例えば二重チミジン遮断、アフィディコリン、ヒドロキシウレア、アクチノマイシンDなど)は、これらの方法が独立にDNA損傷を誘導し、DNA複製のダイナミクスに悪影響を及ぼし得るので、利用しなかった。
図3Aで示されるように、36時間にわたる血清除去は、ES−2細胞をG1において完全には停止させなかった。しかし、20%FBSの添加によって、ビヒクル処理したES−2細胞のS期集団を8時間までに約40%倍増させ、12から14時間までに50%でピークとなった。対照的に、20%FBSの添加とともにWEE1−1処理が含まれた場合、8時間までにS期集団で検出可能な変化はなく、ピークレベル(約50%)はFBS後24時間まで遅延した(
図3A)。そのピークでさえも、取り込まれたBrdUの平均蛍光強度は、ビヒクル処理細胞と比較した場合、WEE1−1でかなり低く、これにより、BrdU陽性集団でのDNA複製の遅延が示唆された。
図3Aで与えられるウエスタンブロット分析によって、ビヒクル処理細胞と比較した、S期進行遅延(サイクリンA)、DDRのより迅速でロバストな活性化(pCHK1
S345)およびWEE1−1処理におけるWEE1キナーゼ活性の阻害(pCDK1
Y15)が確認された。興味深いことに、ES−2細胞においてpCDK1
Y15のリン酸化が24時間にわたり増加した。WEE1−1処理24時間までに誘導されたDNA2本鎖切断(γH2AX)の程度は、マイトジェン刺激の条件下でかなり大きく、再刺激されなかった細胞と比較した場合、DNA複製の鋭い増加が観察された(
図3Bおよび
図9)。
【0180】
[実施例7]
WEE1阻害の主な細胞毒性の結果としてのDNA損傷
それぞれ細胞周期のSおよびG2期におけるCDK2およびCDK1キナーゼ両方の一時的活性化のためにWEE1が必要とされる。したがってWEE1の阻害は、S期欠損(DNA複製中のDNA2本鎖切断)およびG2−M欠損(早期有糸分裂)につながると予想された。これらの効果の何れかまたは両方がWEE1−1に対する感受性に必要であるかまたは十分であるか否かを評価するために、WEE1−1の細胞毒性(EC
90濃度で、3種類の感受性細胞株、A2058、HT−29およびLoVoにおいて、有糸分裂のマーカーである、γH2AXおよびリン酸化ヒストンH3(pHH3)を調べた。WEE1−1での処置の24時間後、pHH3陽性細胞の%が全ての3種類の細胞株で上昇した(
図4)。3種類の株のうち、HT−29細胞のみが実質的な有糸分裂集団を含有し、4N DNAが43%であり、<4N DNAが23%であり、このことから、S期細胞からの早期有糸分裂がDNA複製を完遂しなかったことが示される。しかし、WEE1−1処理後、実質的なH2AX−陽性細胞集団が全ての3種類の細胞株で観察された(A2058で8%、HT−29で59%、LoVoで27%)。理論により束縛されることを望むものではないが、これらのデータから、早期有糸分裂(pHH3)ではなくDNA2本鎖切断の誘導(γH2AX)が、感受性細胞株におけるWEE1−1によるWEE1阻害の主要な細胞毒性的結果であったことが示唆される。
【0181】
[実施例8]
WEE1阻害からのインビボでの抗腫瘍活性
耐容用量でのインビボでの腫瘍成長におけるWEE1−1単剤療法の効果を調べるために、最大耐容用量(MTD)を1日2回(BID)投与に対して60mg/kgとした。この用量およびスケジュールでの一連の28日間の試験にわたり、平均体重減少は、処置群で5%を超えなかった(データは示さない)。WEE1−1は、低濃度でA427非小細胞肺癌細胞株において増殖を阻害し(EC
50=116nM)、DNA損傷反応を容易に誘導した(
図2A)。A427異種移植モデルにおいて、WEE1−1処理によって、最初の平均腫瘍体積のおよそ50%への退縮が起こった(
図5A)。個々の腫瘍分析から、10個のビヒクル処理A427腫瘍のうち9個が、それらの出発体積の2から6倍成長したことが示された(
図5B)。対照的に、全10個のWEE1−1処理腫瘍に対する最終体積は、それらの最初の体積よりも小さかった(
図5B)。WEE1−1単剤療法の抗腫瘍成長効果がさらなる異種移植モデルで観察され(
図5C):腫瘍成長阻害(TGI)は、SK−MES−1 NSCLCモデルで92%、LoVo結直腸腫瘍モデルで13%腫瘍退縮、A431類表皮腫瘍モデルで88%TGI、およびNCI−H2122 NSCLCモデルで64%TGIであった。ΔT>0である場合、100−(100*ΔT/ΔC)として%TGIを計算した(ΔT=処理群の最終平均体積−最初の平均体積およびΔC=ビヒクル対照群の最終平均体積−最初の平均体積)。まとめると、これらのデータから、耐容性良好なWEE1−1用量でのWEE1阻害の抗腫瘍処置の可能性が明らかとなった。
【0182】
[実施例9]
PKMYT1発現は、WEE1阻害剤に対する感受性に影響を及ぼした。
WEE1発現は、胚の生存能に必須であり(Tominaga,Y.ら、2006)、スクリーニングされた癌細胞株の大部分が、WEE1−1での処理に対して少なくともある程度の感受性を示す(
図1)。しかし、全ての細胞株がWEE1阻害に対して同じように影響を受け易い訳ではなく、抗増殖性EC
50は少なくとも10倍の範囲であった(
図1)。出願者らは、本明細書中で、WEE1阻害に対する感受性の決定因子候補は、機能的に関連するCDK−阻害キナーゼ、PKMYT1の活性であることを見出した。2つのN末端部位、T14またはY15の何れかでのCDK1またはCDK2のリン酸化は、さもなければ活性化サイクリン結合パートナー(それぞれサイクリンBまたはサイクリンA)の存在にもかかわらず、このキナーゼの不活性化を引き起こした。WEE1は、CDK1およびCDK2のY15をリン酸化することが知られており、PKMYT1は、T14および/またはY15でのリン酸化を通じてCDK1およびCDK2を同様に阻害することが示されている(Mueller,P.R.ら、
Science,1995,270(5233):86−90)。
【0183】
出願者らは、本明細書中で、PKMYT1発現が、2種類の細胞株、NCI−H460およびKNS62でWEE1阻害への反応を特異的に変化させ得るか否かを評価するために、siRNAノックダウンを使用した。これらの株は、WEE1−1処理に対して比較的非感受性を示し、PKMYT1の発現が比較的高いために、選択された(データは示さない)。細胞に対して、全てPKMYT1を標的とする4種類の個々のsiRNAのプールを用いて遺伝子移入を行い、様々な細胞毒性剤に対する感受性について増殖アッセイにおいて分析した(
図6A)。
図6Aで示されるように、PKMYT1をノックダウンした場合、NCI−H460(n=3)およびKNS62(n=2)に対するWEE1−1抗増殖EC
50は、それぞれ677nMから104nMおよび487nMから93nMにシフトした。特に、PKMYT1欠乏は、WEE1−1処理の最大効果に影響を及ぼさなかった。増強効果の目安として、EC
50の倍単位の変化を用いて、PKMYT1は、WEE1−1をNCI−H460細胞(n=3)において平均で4.7倍、KNS62細胞(n=2)において4.9倍増強させた。対照(CT)およびカルボプラチン、MEK阻害剤(PD−0325901)またはドキソルビシンで処理したPKMYT1 siRNA遺伝子移入細胞の両方での同一の用量反応曲線によって、WEE1−1に対するPKMYT1−依存性感受性向上の特異性を確認した(
図6A)。KNS62細胞のウエスタンブロット分析(
図6B)から、PKMYT1ノックダウンの結果、Y15においてCDK1および2の基底リン酸化が僅かに低くなり、T14において基底リン酸化が顕著に低下したことが示された(レーン9とレーン1および5)。PKMYT1のノックダウンはまた、pCHK1
S345およびγH2AXの両方の全体的増加にもつながる。これは、DNA損傷の結果、WEE1−1−介在性細胞毒性が起こり(
図4Aおよび4B)、PKMYT1ノックダウンがWEE1−1に対する感受性およびその抗増殖効果を向上させたという観察と一致した(
図6B)。
【0184】
PKMYT1ノックダウンがWEE1−1に対する感受性向上につながるという点において、出願者らは、低PKMYT1発現がまた、最もWEE1−1反応性である細胞株の予測となり得るという仮説を立てた。この仮説を確証するために、Broad Institute(Cambridge,MA)およびNovartis Institute for Biomedical Research(Cambridge,MA)およびそのGenomics Institute of the Novartis Research Foundation(San Diego,CA)(Stransky,B.C.ら、
Nature,2012,483:603−807)の間の共同研究である、公開されている細胞株データベースであるBroad−Novartis Cancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)を用いて、PKMYT1 mRNAレベルに対する522種類の細胞株パネルを評価した。WEE1−1に対する感受性についてアッセイした522種類の癌細胞株のうち、PKMYT1に対する発現データが305種類の株に対して利用可能であった。450nMのWEE1−1での観察された細胞株反応データに対するCCLEデータベースからの相対的PKMYT1発現のプロットから、PKMYT1 mRNAとWEE1−1感受性との間の相関関係は明らかにならなかった(
図7A)。しかし、450nMのWEE1−1で処理した場合に死滅した33種類の細胞株のうち24種類(73%)(調整スケールで反応<0.25、これは
図7Aで点線により示される)は、平均発現レベル、すなわちPKMYT1 mRNAに対して413±154未満であった。
【0185】
PKMYT1発現がWEE1−1感受性の予測となったという仮説をさらに試験するために、以前にWEE1−1で処理したことのないCCLEデータベースから13種類のさらなる細胞株を選択した。これらの13種類の細胞株におけるWEE1−1に対する抗増殖EC
50値は、PKMYT1のmRNA発現(
図7B、左パネル)およびタンパク質レベル(
図7B、右パネル)の両方と相関した。まとめると、これらのデータは、低PKMYT1発現が、WEE1−1反応性細胞株、すなわちWEE1−1での処理に対する感受性を予測したという仮説を裏付ける。