(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290240
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】歯科補綴物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 6/027 20060101AFI20180226BHJP
C03C 3/097 20060101ALI20180226BHJP
C03C 10/04 20060101ALI20180226BHJP
A61C 13/083 20060101ALI20180226BHJP
A61C 13/20 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
A61K6/027
C03C3/097
C03C10/04
A61C13/083
A61C13/20 A
【請求項の数】24
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-544436(P2015-544436)
(86)(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公表番号】特表2016-505541(P2016-505541A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013074634
(87)【国際公開番号】WO2014082969
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】102012111683.0
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504013395
【氏名又は名称】デグデント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】クリューデア、ペーター
【審査官】
常見 優
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/076422(WO,A1)
【文献】
特開2005−053776(JP,A)
【文献】
特開平08−040744(JP,A)
【文献】
特開2006−089502(JP,A)
【文献】
特開平02−045048(JP,A)
【文献】
特開昭60−028911(JP,A)
【文献】
特開昭62−123042(JP,A)
【文献】
特開2007−190215(JP,A)
【文献】
特開2005−187436(JP,A)
【文献】
特表平09−501092(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/059143(WO,A1)
【文献】
特開昭56−049145(JP,A)
【文献】
特開昭62−108750(JP,A)
【文献】
特開2011−225441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 6/00− 6/10
A61L15/00−33/18
A61C 5/00− 5/90
8/00−13/38
C03C 3/00− 3/32
10/04−10/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸リチウムガラスまたはケイ酸リチウムガラス−セラミックをベースとする歯科補綴物を製造する方法であって、以下の方法工程:
− 重量%で
SiO2 50〜70%
Li2O 5〜25%
Al2O3 0.1〜20%
K2O 0.1〜15%
CeO2 0.1〜15%
B2O3 0〜5%
P2O5 0〜15%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 0〜15%
ZnO 0〜4%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの少なくとも1種の添加剤0.1乃至5重量%の組成をもつ粉末を溶融させ、
− 前記溶融物から固化した球形またはレンズ形のガラス粒子を製造し、
− 前記ガラス粒子を分けて、それらをるつぼ中に充填し、
− 前記るつぼ中の前記ガラス粒子を溶融させ、4dPa・s≦ν≦80dPa・sの粘度νを設定し、
− こうして製造した溶融物を、埋封材料によって形成された、製造すべき前記歯科補綴物に対応する雌型中にキャストし、
− 前記雌型中で前記溶融物を固化させ、
− 600℃乃至760℃の温度での20分乃至120分にわたる第1の熱処理を使用することによって固化した溶融物からメタケイ酸リチウムを主結晶相として結晶化させ、ここで固化した溶融物の結晶化を雌型中においてまたは雌型からの取り出し後に行い、
− 760℃乃至860℃での5分乃至60分にわたる第2の熱処理で二ケイ酸リチウムを主結晶相として結晶化させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記歯科補綴物を遠心鋳造または真空ダイキャスト鋳造によって製造することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶融物を9dPa・sから40dPa・sの粘度νでキャストすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ケイ酸リチウムガラスまたはケイ酸リチウムガラス−セラミックをベースとする歯科補綴物を製造する方法であって、以下の方法工程:
・ 少なくともSiO2、Li2O、Al2O3を含有する粉末混合物を溶融させて溶融物を製造する工程と、
・ こうして製造した溶融物を、埋封材料によって形成された、製造すべき前記歯科補綴物に対応する雌型中にキャストする工程とを含み、
− 前記歯科補綴物を、重量%で
SiO2 50〜70%
Li2O 5〜25%
Al2O3 0.1〜20%
K2O 0.1〜15%
CeO2 0.1〜15%
B2O3 0〜5%
P2O5 0〜15%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 0〜15%
ZnO 0〜4%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの少なくとも1種の添加剤0.1%乃至5%の組成をもつ前記溶融物から、遠心鋳造または真空ダイキャスト鋳造を使用して製造することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記溶融物は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばNb、Ta、およびLaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至8%の重量%比率でさらに含み、原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率が5%以下であることを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項6】
重量%で
SiO2 55〜65%
Li2O 10〜20%
Al2O3 0.2〜15%
K2O 0.2〜10%
CeO2 0.1〜10%
B2O3 0〜5%
P2O5 1〜10%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 2〜15%
ZnO 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの少なくとも1種の添加剤0.1乃至5%の組成をもつ溶融物から製造した前記歯科補綴物を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融物は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至8%の重量%比率で含み、原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率が5%以下であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
重量%で
SiO2 57〜63%
Li2O 11〜19%
Al2O3 0.5〜10%
K2O 0.5〜10%
CeO2 0.1〜10%
B2O3 0〜5%
P2O5 1〜10%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 4〜15%
ZnO 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの少なくとも1種の添加剤0.1乃至5%の組成をもつ溶融物から製造した前記歯科補綴物を使用することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項9】
前記組成は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至6%の重量%比率で含み、原子番号59、62、64、68をもつ酸化物の重量%比率が5%以下であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
重量%で
SiO2 58〜62%
Li2O 13〜19%
Al2O3 1〜6%
K2O 1〜5%
CeO2 0.1〜5%
B2O3 0〜4%
P2O5 2〜8%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 8〜12%
ZnO 0〜1%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの少なくとも1種の添加剤0.1乃至4%の組成をもつ溶融物から製造した前記歯科補綴物を使用することを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項11】
前記組成は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至5%の重量%比率でさらに含み、原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率が4%以下であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶融した粉末をノズルによって小滴に変換し、前記小滴は冷却部を通して落下し、その中で前記小滴の少なくとも表面の固化が生じ、前記冷却部を通しての落下の後、必要であれば前記小滴を事前にクエンチした後に、前記小滴を液体または耐熱綿の入った受器によって収集することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
クエンチするために、小滴を、温度を室温乃至500℃に設定した金属要素、たとえば金属薄板の上に落下させることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粉末混合物を、4時間≦t1≦12時間の時間t1にわたって、1500℃≦T1≦1600℃の温度T1で溶融させることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
小滴の変換の間、ノズルを1250℃≦T2≦1450℃の温度T2に設定することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
小滴の変換の間、ノズルを、40Hz乃至60Hz、特に50Hzの周波数で振動させることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
2時間≦t3≦6時間の時間t3にわたって、収集した小滴を350℃≦T3≦500℃、好ましくはT3≒450℃の温度T3から室温に冷却して内部応力を低下させることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の熱処理の後、前記キャストを、10分≦t7≦180分の時間t7にわたって室温に冷却することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
石膏結合埋封材料を埋封材料として使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
小滴をグラファイトまたはセラミック製のるつぼまたは取鍋中で溶融させることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
グラファイトるつぼを使用するとき、少なくとも内部を特に窒化ホウ素でコーティングすることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記溶融物を1200℃≦T8≦1300℃の温度T8をもつ前記雌型に供給することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記溶融物をキャストするとき、前記埋封材料を600℃≦T9≦800℃の温度T9に設定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記溶融物を、3dPa・s≦ν≦32dPa・sの粘度νでノズルに供給し、小滴に変換することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、ケイ酸リチウムガラスまたはケイ酸リチウムガラス−セラミックをベースとする歯科補綴物を製造する方法に関し、この方法は少なくとも以下の方法工程:
− 少なくともSiO
2、Li
2O、Al
2O
3を含有する粉末混合物を溶融させる工程と、
− こうして製造した溶融物または粉末から作った溶融物を、埋封材料によって囲まれ、製造すべき歯科補綴物に対応する雌型中にキャストする工程と
を含む。
【0002】
ケイ酸リチウムガラス−セラミックをベースとする歯科補綴物を製造するには、円筒ペレットを製造し、その後これらをマッフル中に詰めることが知られている(たとえば、EP−B−1 484 031を参照のこと)。これは実績のある受け入れられた方法であるが、いくつかの提案も知られており、それによれば、US−A−4 515 634からわかるように、ケイ酸リチウムガラス溶融物をキャストする。
【0003】
DE−A−29 49 619には、ケイ酸リチウムをベースとする溶融物をキャストして歯科修復物を製造できることが記載されている。このガラスはP
2O
5を含まない。
【0004】
ケイ酸リチウムをベースとする前躯体の製造に関して、US−A−5 698 482は、キャストまたは一軸もしくは静水圧加圧成形によってペレットを製造することを示唆している。
【0005】
DE−A−10 2009 060 274およびWO−A−2012/059143は、二ケイ酸リチウムガラス−セラミックから歯科補綴物を製造する方法を教示している。
【0006】
US−A−5 507 981は歯科補綴物を製造する方法を教示しており、その過程で真空および圧力によってセラミック溶融物を雌型に供給する。ケイ酸リチウムガラスまたはケイ酸リチウムガラス−セラミックを製造する方法は、DE−A−10 2010 050 275より公知である。
【0007】
本発明は、再生可能な歯科補綴物を、それぞれケイ酸リチウムガラスおよびケイ酸リチウムガラス−セラミックをベースとするキャスティングによって製造することができるように、上述した種類の方法を開発するという課題に基づいている。先行技術と対照的に、簡便化された製造法がもたらされるであろう。また、問題なく管理できる出発原料を供給するのがよい。
【0008】
とりわけ、この課題を解決するために、
− 重量%で
SiO
2 50〜70%
Li
2O 5〜25%
Al
2O
3 0.1〜20%
K
2O 0.1〜15%
CeO
2 0.1〜15%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 0〜15%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 0〜15%
ZnO
2 0〜4%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5重量%の組成をもつ粉末を溶融させ、
− 前記溶融物から固化した球形、レンズ形または棒形のガラス粒子を製造し、
− ガラス粒子を分けて、それらをるつぼ中に充填し、
− 前記るつぼ中の前記ガラス粒子を溶融させ、4dPa・s≦ν≦80dPa・sの粘度νを設定し、
− こうして製造した溶融物を、埋封材料によって囲まれ、前記歯科補綴物に対応する雌型中にキャストし、
− 前記雌型中で前記溶融物を固化させ、
− 700℃乃至900℃の温度での少なくとも1つの熱処理工程を用いることによって、前記固化した溶融物から二ケイ酸リチウムを結晶化させる
ことを提供する。
【0009】
特に、本発明は、遠心鋳造または真空ダイキャスト鋳造によって歯科補綴物を製造することを提供する。
【0010】
好ましくは、本発明は、溶融物を9dPa・sから40dPa・sの粘度νでキャストすることを特徴とする。
【0011】
課題を解決するために、本発明はまた、歯科補綴物を、重量%で
SiO
2 50〜70%
Li
2O 5〜25%
Al
2O
3 0.1〜20%
K
2O 0.1〜15%
CeO
2 0.1〜15%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 0〜15%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 0〜15%
ZnO
2 0〜4%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1%乃至5%の組成をもつ溶融物から、遠心鋳造または真空ダイキャスト鋳造を使用して製造することを本質的に提供する。
【0012】
この組成は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、NbおよびTaの少なくとも1種の酸化物を0乃至8%の重量%比率でさらに含むことを特に提供する。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は5%以下である。
【0013】
好ましくは、歯科補綴物を製造するために、重量%で
SiO
2 55〜65%
Li
2O 10〜20%
Al
2O
3 0.2〜15%
K
2O 0.2〜10%
CeO
2 0.1〜10%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 1〜10%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 2〜15%
ZnO
2 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5%を含む組成を使用し、特に、その組成が、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至8%の重量%比率で含むことが提供される。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は5%以下である。
【0014】
より好ましくは、歯科補綴物を製造するために、重量%で
SiO
2 57〜63%
Li
2O 11〜19%
Al
2O
3 0.5〜10%
K
2O 0.5〜10%
CeO
2 0.1〜10%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 1〜10%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 4〜15%
ZnO
2 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5%の組成を使用し、特に、その組成が、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、NbおよびTaの少なくとも1種の酸化物を0乃至6%の重量%比率でさらに含むことが提供される。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は5%以下である。
【0015】
さらにより好ましくは、歯科補綴物を製造するために、重量%で
SiO
2 58〜62%
Li
2O 13〜19%
Al
2O
3 1〜6%
K
2O 1〜5%
CeO
2 0.1〜5%
B
2O
3 0〜4%
P
2O
5 2〜8%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 8〜12%
ZnO
2 0〜1%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至4%の組成を使用し、特に、その組成が、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至5%の重量%比率でさらに含むことが提供される。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は4%以下である。
【0016】
本発明の思想に基づくと、粉末混合物から製造した溶融物を小滴に変換し、こうして製造した小滴は冷却部を通して落下し、その中で小滴の少なくとも表面の固化が生じ、冷却部を通した落下の後、必要であればクエンチした後で、小滴を、好ましくは液体、たとえば水、または耐熱綿の入った受器に供給する。
【0017】
これらの手段を使用することによって、一様な、球形またはレンズ形の、固化したテール小滴が得られ、次いでこれをキャスティングの前に溶融させる。
【0018】
こうしてキャスティング用の出発生成物を準備し、これは容易に扱うことができる。歯科技術キャスティング用のるつぼの充填は、それぞれ、キャストすべき物体の質量およびサイズ(たとえば、歯冠、歯科用ブリッジ、アバットメントなど)に応じて、容易に所望の程度まで可能である。
【0019】
粉末混合物を溶融させるために、粉末混合物を、4時間≦t1≦12時間の時間t1にわたって、1500℃≦T1≦1600℃の温度T1にさらすことが提供される。溶融は、Pt合金、たとえばPt/Rh 80/20製の好適なるつぼ中で生じ、この中では脱ガスも生じる。次いで、こうして製造した溶融物、すなわちガラスを、別個に加熱できるノズルに供給する。ノズルの温度T2は、1250℃乃至1450℃の範囲内とするのがよい。次いで、高温の液体ガラスをノズルから小滴ごとに放出する。このために、ノズルを振動させてもよい。これにかかわらず、温度T2は1250℃≦T2≦1450℃に設定するのがよい。
【0020】
次いで、ノズルから出た小滴は冷却部を通して落下し、その中で少なくとも表面の固化が生じる。このことが必要なのは、後に小滴が、好ましくは、室温乃至500℃の温度になりうる金属薄板要素たとえば金属薄板に衝突するためである。金属要素に衝突することによって、小滴は平坦になり、好ましくは耐熱綿で裏打ちされているか、または水で満たされた容器からなる受器中へと方向転換される。
【0021】
小滴を、金属要素から、たとえば傾斜した表面を経由して、それぞれ耐熱綿および水へ供給することができる。
【0022】
固化した小滴の形状は、それぞれ、底部側が平坦化した球、「半球」または「レンズ」と記述することができる。小滴のサイズは、±0.1mmから±1mmの分布で、赤道直径で2mmから9mmになる。「半球」の高さはmm乃至5mmである。
【0023】
それぞれ、固化およびクエンチによって引き起こされたかもしれない、ありうる内部張力を解放するために、小滴を、応力解放オーブン中で、350℃≦T3≦500℃の温度T3、特に約450℃のT3から室温へ、2時間≦t3≦6時間の時間t3にわたって、段階的に冷却することができる。
【0024】
キャスト歯科補綴物の歯科技工の間、必要な強度を得るために、ガラス中に結晶相を析出させることを提案する。雌型中で固化させた溶融物、すなわち雌型中のガラスを熱処理にさらすことを提案する。すなわち、たとえば、20分≦t4≦2時間の時間t4にわたる600℃≦T4≦760℃の温度T4での第1の熱処理の間に、メタケイ酸リチウムを析出させることができる。
【0025】
あるいはさらに、本発明は、溶融物の固化後、キャストを埋封材料から取り出し、次いで、キャストを20分≦t5≦120分の時間t5にわたって、600℃≦T5≦760℃の温度T5での第1の熱処理にさらし、その間にメタケイ酸リチウムを主結晶相として形成させることを特徴とする。
【0026】
雌型中でまたは脱型後に同様に実施することができ、二ケイ酸リチウムを主結晶相として析出させる第2の熱処理において、キャストを、5分≦t6≦60分の時間t6にわたって、760℃≦T6≦860℃の温度T6での熱処理にさらすことができる。
【0027】
それぞれの熱処理後における二ケイ酸リチウムの結晶相の比率はガラス−セラミックの20体積%から90体積%である。
【0028】
次いで、二ケイ酸リチウムガラス−セラミックを10分≦t7≦180分の時間t7にわたって室温に冷却する。
【0029】
特に、マッフルシステムにおけるように、石膏結合埋封材料を使用して公知のように雌型を形成することを提供する。また、リン酸塩結合埋封材料を使用してもよい。
【0030】
石膏結合埋封材料の利点は、たとえば、この埋封材料が水に可溶であるため、容易に型を取り除けることである。
【0031】
るつぼはセラミック製るつぼまたはグラファイト製るつぼであるのがよい。後者は、それぞれ炭素および他のるつぼ不純物が溶融物に混入するのを防ぐため、内部をたとえば窒化ホウ素で(たとえば化粧掛けとして)コーティングするのがよい。
【0032】
小滴を溶融させるために、るつぼを1200℃≦T8≦1300℃の温度T8に加熱し、ここで、キャスティングプロセス中に、雌型部における埋封材料を600℃≦T8≦800℃の温度T8に設定するのがよい。710℃より高い温度では、リン酸塩結合埋封材料を使用しなければならない。
【0033】
それに無関係に、キャスティングのためには、るつぼ中の溶融物を4dPa・s≦ν≦80dPa・s、好ましくは9dPa・s≦ν≦40dPa・sの粘度νに設定するのがよい。
【0034】
本発明のさらなる詳細、利点および特徴は、特許請求の範囲、単独のおよび/または組み合わせたそれらの特徴からだけでなく、好ましい実施形態の記載にも由来する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【0036】
キャスティングによって歯科補綴物を製造するために、以下に記載した主要な手順の工程を実施すべきであり、これは
図1によるフローチャートからも理解することができる。
【0037】
まず、歯科補綴物の雄型を、手作業またはラピッドプロトタイピング手順によって、たとえばワックスまたはプラスチックから成形する(方法工程10)。こうして製造した雄型を、一般的なマッフルシステムにおけるように、特に石膏結合した埋封材料中に埋め込む。次いで、埋封材料を硬化させ、その後雄型を加熱することによって除去し(方法工程16)、これにより、硬化した埋封材料、すなわちマッフルを、一体化した雌型とともに準備する(方法工程18)。それと無関係に、ケイ酸リチウムガラスを生成するために、これは以下の好ましい組成でありうる粉末を溶融する(方法工程20):
SiO
2 50〜70%
Li
2O 5〜25%
Al
2O
3 0.1〜20%
K
2O 0.1〜15%
CeO
2 0.1〜15%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 0〜15%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 0〜15%
ZnO
2 0〜4%
および、BaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5重量%。
【0038】
この組成が原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、NbおよびTaの少なくとも1種の酸化物を0乃至8%の重量%比率で含むことが特に提供される。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は5%以下である。
【0039】
特に、
SiO
2 55〜65%
Li
2O 10〜20%
Al
2O
3 0.2〜15%
K
2O 0.2〜10%
CeO
2 0.1〜10%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 1〜10%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 2〜15%
ZnO
2 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる1種の添加剤0.1乃至5%からなり組成を用い、この組成が原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0乃至8%の重量%比率でさらに含むことが特に提供される。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は5%以下である。
【0040】
好ましくは、選択すべき組成は以下の通りである:
SiO
2 57〜63%
Li
2O 11〜19%
Al
2O
3 0.5〜10%
K
2O 0.5〜10%
CeO
2 0.1〜10%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 1〜10%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 4〜15%
ZnO
2 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5%からなり、この組成が原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、NbおよびTaの少なくとも1種の酸化物を0乃至6%の重量%比率でさらに含むことが特に提供される。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は5%以下である。
【0041】
特に好ましくは、以下の組成を選択すべきである:
SiO
2 58〜62%
Li
2O 13〜19%
Al
2O
3 1〜6%
K
2O 1〜5%
CeO
2 0.1〜5%
B
2O
3 0〜5%
P
2O
5 2〜8%
Tb
2O
3 0〜2%
ZrO
2 8〜12%
ZnO
2 0〜1%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er
2O
3、Gd
2O
3、Na
2O、Pr
2O
3、Pr
6O
11、Sm
2O
3、TiO
2、V
2O
5、Y
2O
3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至4%からなり、この組成が原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0乃至5%の重量%比率でさらに含むことが特に提供される。原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率は4%以下である。
【0042】
ガラス着色用酸化物も添加剤の成分でありうる。
【0043】
組成の種類に関係なく、粉末混合物の成分の合計重量パーセントは、所定の成分を有する各組成において100重量%になることに言及すべきである。
【0044】
粉末混合物を、特に、分散強化された高温耐性白金合金、たとえばPt/Rh 80/20、またはPt/Rh 90/10などからなるるつぼ中で、4時間乃至12時間の時間t1にわたって1500℃乃至1600℃の温度T1で、特に、4時間の時間にわたって1540℃の温度で、溶融および精製する。次いで、こうして製造したガラスを、好ましくは小滴に変換する(方法工程22)。ガラスを、好ましくは、1250℃乃至1450℃、特に1310℃の温度T2を有する振動するノズルに供給する。ガラスは小滴の形状でノズルから出る。溶融物を半球に変換するとき、好ましくは3dPa・sから32dPa・sの溶融物の粘度を設定すべきである。ノズル直径は2.0mmから3.0mm、好ましくは2.6mmであり、ノズルの長さは好ましくは10mmから40mmであり、ノズルの振動周波数は40Hz乃至60Hz、好ましくは50Hzである。
【0045】
小滴は、冷却部を通して落下し、次いで金属要素、たとえば金属薄板(これは室温乃至500℃、特に室温から100℃の範囲の温度を有しているのがよい)に衝突するとき、少なくとも表面が予備固化する。これによって、小滴をクエンチする(工程24)。次いで、クエンチした小滴を容器(これはたとえば耐熱綿または水を収容しうる)に供給する(工程26)。いわゆる真珠滴、すなわち、球形またはレンズ形の小滴が形成され、これは実行した方法に起因して、ほぼ等しい寸法を有する。好ましくは、ノズル部、金属要素の温度、ノズルの温度および高温ガラスの温度を互いに調和させ、真珠滴に以下の寸法が現れるようにする:2mm≦R≦9mmの主直径Rおよび1mm≦H≦5mmの高さH。
【0046】
それぞれの真珠滴すなわち小滴の断面図を
図3に示す。断面図は、滑らかな表面を有するロール形状に実際に言及できるであろうことを示している。
【0047】
次いで、真珠滴を溶融させる(工程30)。このために、特にグラファイトまたはセラミック製のるつぼを使用する。グラファイト製るつぼを使用するとき、これをコーティングするのがよい。このために、窒化ホウ素(またはそれぞれ完全に炭化ケイ素および窒化ホウ素からなるるつぼ)を使用することができる。この手段を適用することにより、炭素が溶融物中に浸透できなくなることが確実になる。好ましくは、るつぼは、その前面側において、中央に好ましくは8mmの直径を有する開口が位置する、閉じた中空円筒の形状を有する。
【0048】
次いで、工程32において、マッフル内の雌型を、キャスティングプロセスで溶融させたケイ酸リチウムガラスで充填する。好ましくは、遠心鋳造または真空ダイキャスト鋳造手順を使用するが、これらは、目下、合金鋳造物、特に貴金属を含有する合金、または、コバルトクロムもしくはニッケルクロムをベースとする卑金属合金のためにのみ使用されている。好適な装置は、たとえば、それぞれDE 31 17 470(遠心鋳造)およびDE 26 51 842(真空ダイキャスト鋳造)に記載されている。ここで考慮すべきパラメータは以下の通りである:
a)遠心鋳造:
溶融物の温度:1230℃。マッフルの充填後、マッフルをなおも回転させながら、5分乃至15分にわたり、るつぼおよびマッフルの稼働を行う。その後、マッフルを予備加熱器中で(たとえば、600℃で)焼戻しするか、または好適な加熱していない耐熱性の支持体上で放置することによって室温に冷却することができる。
【0049】
b)真空ダイキャスト鋳造:
キャスティング中における溶融物の温度:1250℃で、5分のキャスティング時間(すなわち、この時間の間、るつぼおよびマッフルがキャスティング位置に留まる)。次いで、鋳造機中でマッフルを600℃に冷却する。
【0050】
真珠滴を融解させる前に、さらなる方法工程を行って、クエンチ中に発生した張力を減少させることができる(工程27)。そのために、真珠滴を応力解放オーブン中で約450℃の温度T3に加熱し、次いで2時間から6時間の時間t3内に段階的に室温まで冷却してもよい。
【0051】
次いで、マッフルと歯科補綴物を形成する固化したキャストを、第1の熱処理にさらしてもよく、30分および120分の時間t4にわたって、600℃乃至760℃の温度T4で、メタケイ酸リチウムを主結晶相として伴う予備結晶化が生じる(方法工程34)。次いで、5分から20分の時間t6にわたって温度T6を760℃乃至860℃に設定し、マッフルを予備加熱器中に留めて、二ケイ酸リチウムを主結晶相として形成させてもよい。これにより、二ケイ酸リチウム結晶を形成させる(方法工程36)。
【0052】
代わりに、キャストをマッフルから取り出し(方法工程38)、前述したように、オーブン中で第1および第2の熱処理にさらしてもよい(方法工程40、42)。温度T5および時間t5は、T4およびt4に従って選択することができる。
【0053】
マッフル中で結晶化が生じる場合、方法工程44で歯科補綴物を取り出し、次いで、必要とされる程度まで、サンド粒子でブラストすることによって仕上げを行う(方法工程46)。第2の熱処理工程42の後、それぞれの仕上げ(工程48)を行うこともできる。
【0054】
こうして製造した歯科補綴物は以下の特性を有する:
200MPa乃至400MPaの曲げ強度(DIN ISO 6872:2008による)。3mmの厚さでの30〜60%の可視光に対する半透明度(透過率測定値)および歯に類似した原色(VITAクラシカルシェードガイド〜A1−A2による)。100μg/cm
2未満のISO 68772:2008による酸溶解度。
【0055】
真珠滴、すなわち、底部側に平坦性をもつ、球形またはレンズ形の幾何形状を有する小滴の製造を原理的に
図2に示す。るつぼに50と符号を付け、最初の粉末混合物をるつぼ中に充填し、4時間乃至12時間の時間t1にわたって、1500℃乃至1600℃の温度T1で溶融させ、その後脱ガスさせる。溶融物をノズル52に供給し、これは振動させてもよい(両矢印54)。溶融物は小滴の形状(小滴56)でノズル52から出る。冷却部58の後に、小滴は金属薄板60の上に落下する。冷却部58内において、小滴は、金属薄板53に衝突したときにほとんど小滴形状が維持される程度に、少なくとも表面で固化する。金属薄板60は、室温乃至500℃の温度に設定され、小滴56のクエンチを引き起こす。その表面が小滴48の落下方向に対して傾斜して延びる金属薄板60から始まって、小滴は、水または、たとえば耐熱綿で満たしていてもよい受器62に達する。その後、真珠滴と呼ぶ硬化した小滴を受器62から取り出し、必要であれば、上述したように応力解放オーブンに供給して応力を低下させる。次いで、上述したように真珠滴を溶融させて、キャスティングプロセスで歯科補綴物を製造する。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]ケイ酸リチウムガラスまたはケイ酸リチウムガラス−セラミックをベースとする歯科補綴物を製造する方法であって、以下の方法工程:
− 少なくともSiO2、Li2O、Al2O3を含有する粉末混合物を溶融させる工程と、
− こうして製造した溶融物または前記粉末から製造した溶融物を、埋封材料によって囲まれ、製造すべき前記歯科補綴物に対応する雌型中にキャストする工程と
を含み、
− 重量%で
SiO2 50〜70%
Li2O 5〜25%
Al2O3 0.1〜20%
K2O 0.1〜15%
CeO2 0.1〜15%
B2O3 0〜5%
P2O5 0〜15%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 0〜15%
ZnO2 0〜4%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5重量%の組成をもつ粉末を溶融させ、
− 前記溶融物から固化した球形、レンズ形または棒形のガラス粒子を製造し、
− 前記ガラス粒子を分けて、それらをるつぼ中に充填し、
− 前記るつぼ中の前記ガラス粒子を溶融させ、4dPa・s≦ν≦80dPa・sの粘度νを設定し、
− こうして製造した溶融物を、埋封材料によって囲まれ、前記歯科補綴物に対応する雌型中にキャストし、
− 前記雌型中で前記溶融物を固化させ、
− 700℃乃至900℃の温度での少なくとも1つの熱処理工程を用いることによって、前記固化した溶融物から二ケイ酸リチウムを結晶化させる
ことを特徴とする方法。
[2]前記歯科補綴物を遠心鋳造または真空ダイキャスト鋳造によって製造することを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3]前記溶融物を9dPa・sから40dPa・sの粘度νでキャストすることを特徴とする、[1]または[2]に記載の方法。
[4]ケイ酸リチウムガラスまたはケイ酸リチウムガラス−セラミックをベースとする歯科補綴物を製造する方法であって、以下の方法工程:
・ 少なくともSiO2、Li2O、Al2O3を含有する粉末混合物を溶融させる工程と、
・ こうして製造した溶融物または前記粉末から製造した溶融物を、埋封材料によって囲まれ、製造すべき前記歯科補綴物に対応する雌型中にキャストする工程と
を含み、
− 前記歯科補綴物を、重量%で
SiO2 50〜70%
Li2O 5〜25%
Al2O3 0.1〜20%
K2O 0.1〜15%
CeO2 0.1〜15%
B2O3 0〜5%
P2O5 0〜15%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 0〜15%
ZnO2 0〜4%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1%乃至5%の組成をもつ溶融物から、遠心鋳造または真空ダイキャスト鋳造を使用して製造することを特徴とする方法。
[5]前記溶融物は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばNb、Ta、およびLaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至8%の重量%比率でさらに含み、原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率が5%以下であることを特徴とする、[1]または[4]に記載の方法。
[6]重量%で
SiO2 55〜65%
Li2O 10〜20%
Al2O3 0.2〜15%
K2O 0.2〜10%
CeO2 0.1〜10%
B2O3 0〜5%
P2O5 1〜10%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 2〜15%
ZnO2 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5%の組成をもつ溶融物から製造した前記歯科補綴物を使用することを特徴とする、[1]に記載の方法。
[7]前記溶融物は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至8%の重量%比率でさらに含み、原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率が5%以下であることを特徴とする、[6]に記載の方法。
[8]
重量%で
SiO2 57〜63%
Li2O 11〜19%
Al2O3 0.5〜10%
K2O 0.5〜10%
CeO2 0.1〜10%
B2O3 0〜5%
P2O5 1〜10%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 4〜15%
ZnO2 0〜2%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至5%の組成をもつ溶融物から製造した前記歯科補綴物を使用することを特徴とする、[1]または[4]に記載の方法。
[9]前記組成は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至6%の重量%比率でさらに含み、原子番号59、62、64、をもつ酸化物の重量%比率が5%以下であることを特徴とする、[8]に記載の方法。
[10]重量%で
SiO2 58〜62%
Li2O 13〜19%
Al2O3 1〜6%
K2O 1〜5%
CeO2 0.1〜5%
B2O3 0〜4%
P2O5 2〜8%
Tb2O3 0〜2%
ZrO2 8〜12%
ZnO2 0〜1%
およびBaO、CaO、MgO、MnO、Er2O3、Gd2O3、Na2O、Pr2O3、Pr6O11、Sm2O3、TiO2、V2O5、Y2O3の群からの酸化物からなる少なくとも1種の添加剤0.1乃至4%の組成をもつ溶融物から製造した前記歯科補綴物を使用することを特徴とする、[1]または[4]に記載の方法。
[11]前記組成は、原子番号41乃至79をもつ遷移金属、たとえばLa、Nb、およびTaの少なくとも1種の酸化物を0%乃至5%の重量%比率でさらに含み、原子番号59、62、64、68をもつ遷移金属の酸化物の重量%比率が4%以下であることを特徴とする、[10]に記載の方法。
[12]前記溶融した粉末をノズルによって小滴に変換し、前記小滴は冷却部を通して落下し、その中で前記小滴の少なくとも表面の固化が生じ、前記冷却部を通しての落下の後、必要であれば前記小滴を事前にクエンチした後に、前記小滴を液体または耐熱綿の入った受器によって収集することを特徴とする、[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の方法。
[13]クエンチするために、小滴を、温度を室温乃至500℃に設定した金属要素、たとえば金属薄板の上に落下させることを特徴とする、[1]乃至[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14]前記粉末混合物を、4時間≦t1≦12時間の時間t1にわたって、1500℃≦T1≦1600℃の温度T1で溶融させることを特徴とする、[1]乃至[13]のいずれか1つに記載の方法。
[15]小滴の変換の間、ノズルを1250℃≦T2≦1450℃の温度T2に設定することを特徴とする、[1]乃至[14]のいずれか1つに記載の方法。
[16]小滴の変換の間、ノズルを、40Hz乃至60Hz、特に50Hzの周波数で振動させることを特徴とする、[1]乃至[15]のいずれか1つに記載の方法。
[17]2時間≦t3≦6時間の時間t3にわたって、収集した小滴を350℃≦T3≦500℃、好ましくはT3≒450℃の温度T3から室温に冷却して内部応力を低下させることを特徴とする、[1]乃至[16]のいずれか1つに記載の方法。
[18]前記雌型中で固化させた前記溶融物を第1の熱処理にさらし、その間にメタケイ酸リチウムを主結晶相として形成させ、ここで第1の熱処理を30分≦t4≦2時間の時間t4にわたって、600℃≦T4≦760℃の温度T4で行うことを特徴とする、[1]乃至[17]のいずれか1つに記載の方法。
[19]前記溶融物の固化後、前記キャストを前記埋封材料から取り出し、次いで前記キャストを第1の熱処理にさらし、その間に30分≦t5≦120分の時間t5にわたって、600℃≦T5≦760℃の温度T5でメタケイ酸リチウムを主結晶相として形成させることを特徴とする、[1]乃至[14]のいずれか1つに記載の方法。
[20]前記第1の熱処理の後、前記歯科補綴物を第2の熱処理にさらし、その間に二ケイ酸リチウムを主結晶相として形成させることを特徴とする、[1]乃至[19]のいずれか1つに記載の方法。
[21]前記第2の熱処理を、前記埋封材料中で、5分≦t6≦60分の時間t6にわたって、760℃≦T6≦860℃の温度T6で行うことを特徴とする、[20]に記載の方法。
[22]前記第2の熱処理の後、前記キャストを、10分≦t7≦180分の時間t7にわたって室温に冷却することを特徴とする、[21]に記載の方法。
[23]石膏結合埋封材料を埋封材料として使用することを特徴とする、[1]乃至[22]のいずれか1つに記載の方法。
[24]小滴をグラファイトまたはセラミック製のるつぼまたは取鍋中で溶融させることを特徴とする、[1]乃至[23]のいずれか1つに記載の方法。
[25]グラファイトるつぼを使用するとき、少なくとも内部を特に窒化ホウ素でコーティングすることを特徴とする、[24]に記載の方法。
[26]前記溶融物を1200℃≦T8≦1300℃の温度T8をもつ前記雌型に供給することを特徴とする、[1]乃至[25]のいずれか1つに記載の方法。
[27]前記溶融物をキャストするとき、前記埋封材料を600℃≦T9≦800℃の温度T9に設定することを特徴とする、[1]乃至[26]のいずれか1つに記載の方法。
[28]前記溶融物を、3dPa・s≦ν≦32dPa・sの粘度νでノズルに供給し、小滴に変換することを特徴とする、[1]乃至[27]のいずれか1つに記載の方法。