特許第6290276号(P6290276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290276
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】撹拌セル及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/16 20060101AFI20180226BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20180226BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20180226BHJP
   B01F 13/06 20060101ALI20180226BHJP
   B01J 3/04 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   B65D51/16 310
   B65D51/24 700
   F16J12/00 G
   B01F13/06
   B01J3/04 H
   B01J3/04 G
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-24045(P2016-24045)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-147713(P2016-147713A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年4月11日
(31)【優先権主張番号】62/114,761
(32)【優先日】2015年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/994,402
(32)【優先日】2016年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】クルト・グリーニゼン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ドイル
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04082668(US,A)
【文献】 特開2014−226556(JP,A)
【文献】 実開昭51−024670(JP,U)
【文献】 米国特許第03539155(US,A)
【文献】 特開昭57−066716(JP,A)
【文献】 実開昭53−135149(JP,U)
【文献】 実開昭53−007365(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
F16J 12/00
B01D 61/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力源と連通するように構成された流体閉じ込め圧力容器であって、
(a)内部容積部を有する本体;
(b)該本体に気密的に装着できる頂部キャップ、ここで、該頂部キャップは、該頂部キャップが該本体に装着されたときに該内部容積部と連通するオリフィスを有し;及び
(d)流体が該頂部キャップ内における該オリフィスを通って該内部容積部から流出することを可能にする開位置と、流体が該オリフィスを通って該内部容積部から流出するのを防止する閉位置との間で作動できる圧力逃がし弁
を備え、該圧力逃がし弁は、該圧力逃がし弁が該閉位置にあるときに該本体から該頂部キャップが外れるのを防止するロック機構によって作動でき、該ロック機構は、該本体のロック受容部材と係合するように該頂部キャップ上で移動できる部材を備える流体閉じ込め圧力容器。
【請求項2】
前記圧力逃がし弁が前記頂部キャップ内に配置される、請求項1に記載の流体閉じ込め圧力容器。
【請求項3】
前記圧力逃がし弁は、シールと、ピストンと、弁の開位置に対して該ピストンを付勢する付勢部材とを備え、しかも前記ロック機構は、前記開位置から前記閉位置までの該ロック機構の作動により、該ピストンが該付勢部材の力を克服し、該シールが該オリフィスに抗して密閉させるように該ピストンが辿るカムスロットを備え、該カムスロットは、該ロック機構が該開位置と該閉位置との間で作動されるときに該ピストンのヘッドが該カムスロットをなぞるように構成される、請求項1に記載の流体閉じ込め圧力容器。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記ロック受容部材と係合したときに前記頂部キャップを前記本体と共にロックする、請求項1に記載の流体閉じ込め圧力容器。
【請求項5】
前記ロック機構が、前記本体に対する前記頂部キャップの回転を阻止する位置にまで作動できるピンを備える、請求項1に記載の流体閉じ込め圧力容器。
【請求項6】
前記内部容積部内に撹拌棒アセンブリをさらに備える、請求項1に記載の流体閉じ込め圧力容器。
【請求項7】
前記内部容積部が膜を備える、請求項1に記載の流体閉じ込め圧力容器。
【請求項8】
前記本体に気密的に取り付けることのできるベースキャップと、該ベースキャップに回転可能に結合される膜ホルダとをさらに備える、請求項に記載の流体閉じ込め圧力容器。
【請求項9】
サンプルをろ過する方法であって、次の工程:
内部容積部を有する本体と、該内部容積部内に配置される膜と、該内部容積部内に配置される撹拌部材と、該本体に気密的に装着できるキャップであって該内部容積部と連通するオリフィスを有するものと、流体が該キャップ内における該オリフィスを通って該内部容積部から流出することを可能にする開位置と流体が該オリフィスを通って該内部容積部から流出するのを防止する閉位置との間で作動できる圧力逃がし弁とを備える圧力容器を準備し;
該内部容積部内に該サンプルを導入し;
該キャップを該本体にシールし;
該圧力逃がし弁を該閉位置にまで作動させ;
該内部容積部に対して圧力を加えて該サンプルを該膜でろ過し;
該サンプルを該撹拌部材で撹拌し;
該内部容積部に圧力を加えるのを停止し;
該圧力逃がし弁を開位置にまで作動させることにより該内部容積部をベントし;
該本体から該キャップを取り外して該内部容積部にアクセスし;及び
該膜上に得られた生成物を回収すること
を含む方法。
【請求項10】
前記圧力逃がし弁は、該圧力逃がし弁が前記閉位置にあるときに前記本体からの前記キャップの取り外しを防止するロック機構によって作動できる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力逃がし弁は、シールと、ピストンと、弁の開位置に対して該ピストンを付勢する付勢部材とを備え、しかも前記ロック機構は、前記開位置から前記閉位置までの該ロック機構の作動により、該ピストンが該付勢部材の力を克服し、該シールがオリフィスに抗して密閉するように該ピストンが辿るカムスロットを備え、該カムスロットは、該ロック機構が該開位置と該閉位置との間で作動されるときに該ピストンのヘッドが該カムスロットをなぞるように構成される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年2月11日に出願された米国仮出願第62/114,761号の優先権を主張する。その開示を参照により本明細書で援用する。
【0002】
分野
本発明は、撹拌セルなどの流体閉じ込め圧力容器及びそれを利用する関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
サンプルの濃縮又は脱塩のための圧力容器は、駆動力として空気圧を使用して、例えば適切な膜を介して分離を達成することができる。典型的には、外側支持ハウジングが閉じ込めフレームであり、圧力下で容器を収容し、容器上のカバーを保持し、カバーの早期又は偶発的な脱離を防止するのに役立つだけでなく、加圧されたときにアセンブリに強度を付与することが必要である。しかし、濾過が完了すると、支持ハウジングから容器を取り外すことは非常に困難な場合が多い。さらに、容器を所定の位置で支持ハウジングなしで加圧しようとした場合には、カバーが吹き飛ぶと考えられる。
【0004】
このような圧力容器の一つの代表的な用途は、撹拌セル装置である。従来の撹拌セルでは、例えばタンパク質及びウイルスを含むサンプルの圧力ベースのサンプル濃縮又は脱塩が得られる。このような装置は、流体を膜に通すための駆動力として圧力を使用するが、膜を通過するのには大きすぎる高分子を保持し濃縮する。典型的には、膜は限外ろ過膜である。脱塩は、流体を交換し、システムを再加圧するダイアフィルトレーションの方法によって達成される。従来の撹拌セルは、膜の表面上の高分子の濃度分極又は蓄積を制御し、そしてせん断応力誘発変性を最小限に抑えるために穏やかに磁気撹拌することを包含することができる。これらの装置は、高分子溶液の迅速な濃縮又は精製のために設計されており、一般的に3ml〜1000mlの容量を処理することができる。
【0005】
このような撹拌セルで使用される限外ろ過膜は、サイズ排除膜である;非常に小さな孔のため、分離を行うのに相当な駆動力が必要となる。膜を通して液体を押し出すために十分に高い力を生成するのに十分な代表的な駆動力は、遠心分離及び空気圧である。通常は75psi未満の空気圧で十分である。
【0006】
上記のような圧力容器の欠点に加えて、撹拌セル装置に固有の追加の欠点としては、膜に接触して損傷させる磁気撹拌棒;非標準コネクタの使用;破損を受けやすい脆弱な通気弁部品;開閉が困難なキャップ;及びシステムの漏出の可能性が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧力容器において、格納フレームを排除し、適切な通気、圧力逃がし及び安全なインターロックを設けることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
従来技術の欠点は、サンプル、特にタンパク質サンプルの精製又は濃縮を含むサンプル調製のための装置及び方法に関する本明細書に開示される実施形態によって克服された。特定の実施形態では、該装置は、流体閉じ込め圧力容器であり、従来の撹拌セルに存在していた外部支持ハウジングを排除し、そしてキャップと本体との境界面を改善する。所定の実施形態では、キャップは、撹拌セルの本体とねじにより係合するようにねじ止めされかつ構成され、しかも支持ハウジングを必要とせずに装置内の圧力に耐えるのに十分な構造的一体性を有する。所定の実施形態では、装置が圧力下にある間にキャップが開かないようにする(例えば、本体から除去されないようにする)インターロック機構が設けられる。所定の実施形態では、圧力逃がし弁には、必要な圧力解放速度を達成するために予備負荷付勢機構が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、所定の実施形態に係る撹拌セル装置の斜視図である。
図1B図1Bは、所定の実施形態に係る撹拌セル装置の分解図である。
図2図2は、所定の実施形態に係る開位置のインターロック機構の斜視図である。
図3図3は、所定の実施形態に係る閉位置のインターロック機構の斜視図である。
図4図4は、所定の実施形態に係る開位置のインターロック機構及び圧力逃がし弁の部分断面斜視図である。
図5図5は、所定の実施形態に係る閉位置のインターロック機構及び圧力逃がし弁の部分断面斜視図である。
図6図6は、所定の実施形態に係る開位置のインターロック機構及び圧力逃がし弁の部分断面斜視図である。
図7図7は、所定の実施形態に係る撹拌セル本体に結合されたベースキャップの断面図である。
図8A図8Aは、所定の実施形態に係る開位置のインターロック機構及び圧力逃がし弁の部分断面斜視図である。
図8B図8Bは、所定の実施形態に係る閉位置のインターロック機構及び圧力逃がし弁の部分断面斜視図である。
図9A図9Aは、所定の実施形態に係る開位置の通気弁機構の断面図である。
図9B図9Bは、所定の実施形態に係る閉位置の通気弁機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
まず図1A及び図1Bを参照すると、所定の実施形態に係る撹拌セル装置10が示されている。所定の実施形態では、撹拌セル装置10は、略円筒形であることができかつサンプルを収容するための内部容積部を有する本体12を備える。典型的な容量としては、50〜75mL、200〜250mL、及び400〜500mLが挙げられるが、他の容量も本明細書に開示される実施形態の範囲内である。所定の実施形態では、本体12は、ベースキャップ16によって閉鎖可能である開放底端部と、頂部キャップ14によって閉鎖可能である開放上端部とを有することができる。本体12内に設置されているのは、内部容積部内でサンプルを撹拌するための撹拌機構、例えば膜60の直上、例えば、膜60表面より上約1mmに配置された撹拌パドル15’を備える棒アセンブリ15である。所定の実施形態では、パドル15’は、AlNiCo磁石を有し、かつ、磁気により動作可能である。所定の実施形態では、パドル15’は軸方向ステム15''(図1B)の一部であり、該軸方向ステムは、径方向内側に延在する本体12に形成されたリッジ8に乗る支持部材15'''に連結されている。この実施形態では、軸方向ステム15''は、支持部材15'''内で自由に回転できる。所定の実施形態では、本体12の構成材料は、好ましくは、ポリスルホン及びポリカーボネートなどの熱可塑性材料である。
【0011】
所定の実施形態では、着脱可能な頂部キャップ14は、本体12との境界となり、それと係合するときに本体12の開放上端部を閉じる。所定の実施形態では、頂部キャップ14は内部にねじが形成されており、例えば本体12の上端部の外周面上にある対応するねじ7により本体12に密閉式で連結できる。他の好適な固定機構としては、差込み口金及び1/4回転ねじが挙げられる。環状ワイパー部材又はシール13(図4)を内部ねじの半径方向内側に配置することができ、頂部キャップ14が本体12に組み立てられたとき及びそれから解体されたときに、該ワイパー部材13は、本体12の上部開放端部の内壁12aを拭う。頂部キャップ14は、ポリスルホンなどの任意の適切な材料から構成することができる。所定の実施形態では、頂部キャップ14は、圧力源と流体連通した好適な配管61(図1B)に連結でき、かつ、頂部キャップ14が組み立てられた状態で本体12に連結されているときに、例えば頂部キャップ14内のポートによって本体12の内部への流体連通を与える1個以上の迅速継手11(弁付きでもよい)を備えることができる。所定の実施形態では、頂部キャップ14は、装置の内部動作圧力に耐えるのに十分な構造的完全性を有するため、従来の装置で必要とされていた外部支持ハウジングの必要性がなくなる。頂部キャップ14は、ユーザが頂部キャップ14を把持するのを助けるために、1個以上の半径方向外向きに延在するリブ29を備えることができ、これによりそれを本体12に対して回転させるのが容易になる。
【0012】
ここで使用するときに、用語「から本質的になる」は、従来の装置で必要とされていた外部支持ハウジング又は格納フレームを除外する。
【0013】
所定の実施形態では、ベースキャップ16は本体12との境界となり、それと係合したときに本体12の底部開放端部を閉じる。所定の実施形態では、ベースキャップ16は内部にねじが形成され、本体12の下端部の内面にある対応するねじにより本体12に連結される。所定の実施形態では、ベースキャップ16は、ベースねじ停止タブ55を備えることができ、このベースねじ停止タブは、ベースキャップ16が本体12に完全に係合したときにスロット27を画定するフランジ部27aに係合する。これにより、ベースキャップ16が完全に係合されるという、その使用に肯定的な触覚フィードバックを与えることにより、一貫性のあるOリング22の圧縮が確保される。所定の実施形態では、膜ホルダ又は支持体18がベースキャップ16に取り付けられ、かつ、それに対して回転可能である。所定の実施形態では、膜ホルダ18は、中央ベースキャップ開口57にはまる複数の軸方向延在部材56(1個を図示する)によるベースキャップ16(図7)とのスナップ係合を有する。スナップ係合は、膜ホルダ18とベースキャップ16との間の相対回転を可能にする。
【0014】
膜ホルダ18は、複数の立ち上がった突起又はリブと、配管62などに連結できる出口19(例えば、雄型ルアースリップ)への流体流れのためのチャネルとを備えることができる。該複数の突起又はリブは、膜60を支持する。環状Oリング22を膜60の外側の環状縁付近に配置して、膜60を所定位置に保持するのを補助し、そして膜60の周囲への液漏れを防止することができる。出口19は、ベースキャップ16が本体12に取り付けられたときに本体12のスロット27に収容される。ベースキャップ16を本体12に取り付けるために、出口19をスロット27に挿入し、ベースキャップ16を、ベースキャップ16のねじが本体12の底部にある対応する内部ねじ6に係合するように回転させる。スナップ係合により、ベースキャップ16の回転は、膜ホルダ18の対応する回転を強制しない。ベースキャップ16は、ポリスルホンなどの任意の好適な材料から構成できる。ベースキャップ16の下側は、容器が使用中に加圧される間の膨張変形を補うために凹面を有することができる。
【0015】
図2〜4に見られるように、所定の実施形態では、頂部キャップ14は、装置10が加圧されている間又は装置10の加圧中に本体12から頂部キャップ14が開放するのを防止するためのインターロック機構20を備える。所定の実施形態では、インターロック機構20は、ロック機構21、例えば開位置(図2)と閉位置(図3)との間で頂部キャップ14のトラック42内において本体12に対して垂直方向にスライド可能なレバーを備える。頂部キャップ14が本体12と一体化しかつ該本体から半径方向外側に延在する環状フランジ24上に載置されるように本体12に締め付けられると、ロック機構21は、環状フランジ24において、スロットなどのロック機構受容部材23と整列する。トラック42内でロック機構21をロック機構21の狭い底部延長部26がロック機構受容部材23に入り、そしてこれを貫通するように下方にスライドさせることにより、本体12に対する頂部キャップ14の回転が阻止される。当業者であれば、ロック機構受容部材23がスロットである必要はないことが分かるであろう;このものは、ロック機構を受け取り、そしてキャップ14と本体12との間の相対回転を阻止する任意の部材又は機構とすることができる。
【0016】
図6から分かるように、フランジ24は、ロック機構受容部材23の中間点付近で終端するオフセット又は溝24aを備える。頂部キャップ14の底部環状面は、頂部キャップが本体12にねじ込まれ、その完全に締めた位置に近づくときに溝24aに乗る停止ロックタブ48を備える。溝24aはロック機構受容部材23の中間付近で終端するため、停止ロックタブ48は、溝24aの端壁に当接し、頂部キャップ14のさらなる締めを防ぎ、それによりロック機構21とロック機構受容部材23とを整列させる。
【0017】
図4及び5は、圧力逃がし弁の実施形態を示す。所定の実施形態では、圧力逃がし弁は、2つの作用可能な特徴を有する:ユーザ作動通気システムを与えること;及びこのシステムを過加圧した場合に圧力解放ベントを与えること。図示した実施形態では、圧力逃がし弁は、頂部キャップ14内に自蔵式弁カートリッジ又はハウジング30を備える。所定の実施形態では弁カートリッジ30は、インターロック機構20の半径方向内側に配置される。所定の実施形態では、弁カートリッジ30は、カートリッジ30の一方の端部にエラストマーシールなどのシール31を備え、該カートリッジの反対の長手方向端部に圧縮可能ピストン32を備え、該ピストン32は、ハウジング端部キャップ36の助けを借りて所定の位置に保持される。シール31は頂部キャップ14内のオリフィス33に対してシールするように配置され、このオリフィス自体は、頂部キャップ14が本体12に組み立てられるときに本体12の内部への流体連通を与えるように配置される。所定の実施形態では、オリフィス33面はずらされ(例えば0.040インチ)、シール接触面は0.015インチの全半径を有する。オリフィス33の直径は、内部容積部の通気速度を制御し、所定の実施形態では0.140インチの内径を有する。一定のワイヤ径及び外径の均一に巻かれたステンレス鋼ワイヤなどの付勢部材34がピストン32を半径方向外側に、例えばインターロック機構20に向かって付勢する。所定の実施形態では、付勢部材34は、直線状のバネ力を有する。所定のワイヤサイズ及びコイル長について、多くのバネが圧縮されればされるほど、バネを圧縮しピストン32を作動させるのに必要な力が大きくなり、それによってシステムがベントする圧力が制御される。
【0018】
所定の実施形態では、ロック機構21は、カムスロット35を備える。カムスロット35は、ロック機構21が全開位置と全閉位置との間で作動されるときにピストンのヘッドがカムスロット35をなぞるように構成及び配置される。所定の実施形態では、カムスロット35の下部領域は、カムスロット35の上方領域よりも大きな範囲まで半径方向外側に延在し、これら下部領域と上部領域との間には遷移傾き部35aがある。したがって、ロック機構21が図4に示すように開位置にあるときには、ピストン32は、カムスロット35の最下部領域に配置されるため、ピストン32は、その最も遠い範囲まで半径方向外向きに付勢される。この開放位置では、本体12内の流体(例えば空気)は、オリフィス33を介して、弁カートリッジ30を保持するキャビティ39内に通気され、弁カートリッジ30とキャビティ39の壁との間の小さな隙間の周囲に通気され、そして装置の外に通気され得る。所定の実施形態では、弁を閉じ、かつ、付勢部材34を配置するためのストロークは、カムスロット35を適切に構成することによって、ピストンが0.030インチ〜0.050インチ、好ましくは約0.040インチの間で移動するように設計できる。所定の実施形態では、弁は、85psi〜105psiの圧力範囲で開くように設計される(例えば、付勢部材34の力は、エラストマーシール31の受圧領域に作用する圧力によって解消される)。これは、オリフィス33の開口の大きさと、付勢部材のバネ定数と、バネ圧縮との関数である。
【0019】
ロック機構21が閉位置に向かって作動すると、ピストンはカムスロットをたどり、付勢部材34の力に抗して半径方向内側に押し込まれ、シール31をオリフィス33と密封接触させ、それによって流体がオリフィス33を介して本体12からベントするのが防止される。カムスロット35は、シール31とオリフィス33との間で係合接触するようにカートリッジ30を圧縮し、ピストン32及び付勢部材34を圧縮して最終的な圧力解放値を達成する。
【0020】
所定の実施形態では、付勢部材34は、ピストン32の最大移動で必要な解放速度を達成するように予荷重(例えば、60%)されている。
【0021】
弁及びロックシステムの別の実施形態を図8A及び8Bに示す。示された実施形態では、圧力逃がし弁は、頂部キャップ14内に弁を備える。所定の実施形態では、弁は、インターロック機構820の半径方向内側に配置される。所定の実施形態では、弁は、一方の端部にシール部材831を有する弁シャフト830を備える。弁シャフト830は、正常に閉じた位置では、キャップ14の内部の所定位置に固定され(自由浮動なし)、予め定められた負荷で付勢部材834を圧縮する。これにより、頂部キャップ14が本体12に組み立てられたときに本体12の内部への流体連通を与えるように配置される、キャップ14内におけるオリフィス833に対して、弁シャフト830、特にシール部材831をシールするための力が加えられる。弁シャフト830は、連結部材835を介して回転ハンドル890に連結されており、これによりハンドル890を回転させ、そして弁シャフト830を開放位置に押し、オリフィス833からシール831を脱離させることが可能になる。所定の実施形態では、連結部材835は、ハンドル890内のカムスロット836を介して弁シャフト830に挿入されたピンである。所定の実施形態では、付勢部材834は線形バネ力を有する;所定のワイヤサイズ及びコイル長について、多くのバネが圧縮されればされるほど、バネをさらに圧縮するのに必要な力は大きくなる。ロック機構が閉位置に向かって作動すると、弁カートリッジは、付勢部材834の力に抗して半径方向内側に押し込まれ、シール831がオリフィス833と密封接触するため、流体がオリフィス833を介して本体12からベントされるのが防止される。
【0022】
所定の実施形態では、インターロック機構820は、ピン892を備える。ピン892は、頂部キャップ14の半径方向ハウジング894内に配置されており、付勢部材895によりバネ加圧される。回転可能ハンドル890は、下端部に隆起ボス893(図8B)を備え、この隆起ボスは、ハンドル890が閉位置に作動したときにバネ加圧されたピン892に係合する。これにより、ピン892が軸方向に移動し、そして本体12の半径方向ハウジング896によって画定される領域に入る。このときに、ピン892の部分は、キャップ14の半径方向ハウジング894及び本体12の半径方向ハウジング896の内部を占めるため、キャップ14は、本体12に対して回転できず、加圧中に閉位置でロックされる。
【0023】
所定の実施形態における動作では、図8Aに示すように、システムは、ハンドル890が開位置にあるときにベントされる。この位置では、ハンドル内のカムスロット836は、シャフト830とハンドル890との間にある取付ピン835に横方向の力を加え、予荷重バネ834をさらに圧縮する(この位置ではオリフィス833とシール831との間に小さなギャップがある)。
【0024】
この位置では、ハンドル890とピン835との間のギャップは、ピン892が本体12の上部領域にある対応するジオメトリから自動的に離脱するのを可能にする(予荷重バネ機構895によって促進される)。図8Bに示されるように、ハンドルを90度後方に回転させると、弁シャフト830をハンドル890に連結するピン835が解放され、圧縮されたバネ834が弁シャフト830を半径方向内側に押し込み、それによってオリフィス833に抗してシール831に力を加えることが可能になる。ハンドル890を閉位置に回転させると、ハンドル890の下端部にある隆起ジオメトリ893は、ロックピン892に係合し、本体12のハウジング896によって画定される対応する開口部にピン892を押し込む。閉位置において、ハンドル890におけるカムスロット836と弁シャフト830における連結ピン835との間にはクリアランスがあり、システムが過剰に加圧された場合には、容器内の圧力/力がバネ力を克服し、シール831及びシャフト830を移動させて開く。
【0025】
所定の実施形態では、弁は、85psi〜105psiの圧力範囲内で開くように設計される(例えば、付勢部材834の力は、エラストマーシール831の加圧領域に作用する圧力によって克服される)。これは、オリフィス833の開口のサイズと付勢部材のバネ定数とバネ圧縮との関数である。
【0026】
所定の実施形態では、付勢部材834は、シャフト830の最大移動で必要な放出速度を達成するように予荷重される(例えば、60%)。
【0027】
図9A及び9Bは通気弁機構の実施形態を示す。図示した実施形態では、弁を収容するキャップ14の領域は、キャビティ領域901を含む。弁ステムは、2部品機構である;所定の実施形態では、このものは、円形又は円筒形断面の第1弁ステム部材930Aと、該第1部材930Aの半径方向内側に配置される正方形断面の第2弁ステム部材930Bとを備える。所定の実施形態では、弁ステム第1部材930Aは、ハンドル990の作動などによってキャビティ901内においてピン936の周りで回転可能であるが、ただしキャビティ901内において半径方向には可動できない。第1部材930Aは、図9Aに示すように、バルブが開位置にあるときに弁ステム第2部材930Bの対応する成形前面932と一致するように構成される成形端部面931を有する。この構成では、弁ステム部材930A及び930Bの合わせた長さは最小である。端部面931及び前面932の形状は特に限定されないが、ただし、それらが一方の位置において第1ステム長さを画定するように係合し、そして他方の位置において該第1ステム長さよりも長い第2ステム長さを画定するように分離するよう成形されることを条件とする。弁ステム第2部材930Bは、キャップ14内で半径方向に移動できる(例えば、ピン936に沿って)が、キャビティと第2部材930Bとの相対的な幾何学的形状のためキャビティ領域901内では回転できない。ハンドル990は回転可能であるが、半径方向には移動しない。示されるように、付勢部材934が、弁ステム第2部材930Bの端部面と弁の先端部935との間にピン936の周りに配置されている。
【0028】
図9Aに示すように、ハンドル990が開位置にあるときにシステムは通気されるため、この位置ではオリフィス833とシール981との間に小さなギャップが存在する。ハンドル990が回転すると(例えば、90度)、弁ステム第1部材930Aの成形端部面931は、第2部材930Bの前面932との一致整合から離れ、それによって、図9Bに見られるように、非回転弁第2部材930Bを、付勢部材934の付勢力に抗して、オリフィス833に向かって半径方向内側に移動させる。弁ステム第2部材930Bは、付勢部材934を圧縮し、その後オリフィス833に抗してシール981に力を加える。ハンドル990を逆にすると、システムが通気される。システムが過加圧されると、容器内の圧力/力は、付勢部材934のバネ力を克服し、かつ、開位置に弁を移動させる。
【0029】
所定の実施形態では、装置は、膜ホルダ18をベースキャップ16上にスナップ係合させ、そして膜片60を膜ホルダ18上に組み立て、それをOリング22と共に保持することによって組み立てることができる。次いで、膜ホルダ18を、ルアー出口19を本体12内の開口部又はスロット27と整列させた状態で配置することができ、そして、ベースキャップ16を、ベースキャップ16及び本体12における各ねじ6を係合させることにより、本体12に締め付けることができる。このときに、この装置は、サンプルを受け取る準備ができており、これを本体12の内部容積部に任意の適切な機構によって導入できる。撹拌棒アセンブリ15は、本体12内においてリッジ8を半径方向内側に突出させることによって生じたシェルフ上で支持部材15’’’を支えることにより所定の位置に配置される。次に、頂部キャップ14を本体12と係合させ締付ける。ロック機構21を閉位置に作動させて頂部キャップ14を所定位置でロックし、圧力逃がし弁に負荷をかける。適切なろ液容器に排出することができるろ液管をルアー出口19に取り付けることができる。圧力源を、頂部キャップ14上に迅速継手11と連通した状態で配置する。装置を撹拌プレート上に設置し、撹拌プレートをオンにして撹拌棒アセンブリ15を作動させ、そして圧力を圧力源により加えてろ過を開始させる。
【0030】
所定の実施形態では、ろ過の実施は、典型的には、サンプルが必要な程度、例えば10倍に濃縮されるまで監視される。濃縮が完了すると、圧力源を切断し、そしてロック機構21を開位置まで上昇させてこれとロック機構受容部材23とを脱離させ、空気を今のところシールされていないオリフィス33を介して排出させることによって圧力逃がし弁により本体12の内部容積部を加圧する。セルが減圧されたら、頂部キャップ14を取り外して濃縮サンプルにアクセスすることができる。膜上にある濃縮サンプルをピペットなどにより回収することができる。装置を洗浄し、再使用することができる。
【符号の説明】
【0031】
6 内部ねじ
8 リッジ
7 ねじ
10 撹拌セル装置
11 迅速継手
12 本体
12a 内壁
13 シール/環状ワイパー部材
14 頂部キャップ
15’ 撹拌パドル
15'' 軸方向ステム
15''' 支持部材
16 ベースキャップ
18 膜ホルダ/支持体
19 出口
20 インターロック機構
21 ロック機構
22 Oリング
23 ロック機構受容部材
24 環状フランジ
24a 溝
26 底部延長部
27 スロット
27a フランジ部
29 リブ
30 自蔵式弁カートリッジ/ハウジング
31 シール
32 ピストン
33 オリフィス
34 付勢部材
35 カムスロット
36 ハウジング端部キャップ
39 キャビティ
42 トラック
48 停止ロックタブ
56 軸方向延在部材
57 中央ベースキャップ開口
60 膜
62 配管
820 インターロック機構
830 弁シャフト
831 シール部材
833 オリフィス
834 付勢部材
835 連結部材
836 カムスロット
890 回転ハンドル
892 ピン
893 隆起ボス
894 半径方向ハウジング
896 半径方向ハウジング
901 キャビティ領域
930A 第1弁ステム部材
930B 第2弁ステム部材
931 端部面
932 前面
934 付勢部材
936 ピン
981 シール
990 ハンドル
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B