特許第6290291号(P6290291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6290291-水路用掘削機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290291
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】水路用掘削機
(51)【国際特許分類】
   E02F 5/04 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   E02F5/04 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-82290(P2016-82290)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-190650(P2017-190650A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395008849
【氏名又は名称】株式会社富士トレーラー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】皆川 功
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊男
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 貴行
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅文
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−013530(JP,A)
【文献】 実開昭53−128701(JP,U)
【文献】 特開2014−050360(JP,A)
【文献】 特開平07−259125(JP,A)
【文献】 特開平07−259124(JP,A)
【文献】 特開平07−197484(JP,A)
【文献】 米国特許第06336280(US,B1)
【文献】 米国特許第04819348(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 1/00−3/26
E02F 3/46−3/60
E02F 5/00−7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、該取付枠体に機枠体を設け、該機枠体に水路内の泥土を掘削すると共に該泥土を水路の側方位置に跳上排出する排土機構を設けてなり、上記排土機構に上記水路内方位置で水平軸線を回転軸線として回転して上記水路内の泥土を掘削すると共に該掘削された泥土を水路の外側方位置に跳上排出する排土ロータが設けられ、該排土ロータは上記水路内の泥土を回転掘削して該水路内の上記走行機体側に回転移送可能な螺旋羽根体及び該螺旋羽根体により回転移送された泥土を該水路内から水路の外側方位置に跳上排出する土跳上体からなり、該排土ロータを上記水路内方位置又は水路上方位置に位置変更させる位置変更機構を設けて構成したことを特徴とする水路用掘削機。
【請求項2】
上記位置変更機構として、上記排土ロータを上記水路内方位置と水路上方位置との間で揺動させる揺動機構を設けてなることを特徴とする請求項1記載の水路用掘削機。
【請求項3】
上記機枠体に上記排土機構による排土動作に伴う反力を受ける反力受体を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の水路用掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば圃場の用水路や排水路等の水路内に堆積した泥土の掘削に用いられる水路用掘削機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水路用掘削機として、走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、取付枠体に機枠体を移動案内機構により走行機体の進行方向に対して左右方向に案内移動自在に設け、該機枠体に水路内の泥土を掘削して上方に運搬するバケット構造の掘削機構及び上方に運搬された泥土を水路の側方に排出する排土機構を設けてなる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3314320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、機枠体に水路内の泥土を掘削して上方に運搬するバケット構造の掘削機構及び上方に運搬された泥土を水路の側方に排出する排土機構を備えているから、構造が複雑化し易く、高価であり、一般の農家には経済的な負担が大きくなり易く、重量化し易く、圃場面の過大な踏み締めもあって圃場内への乗り入れが困難となることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、該取付枠体に機枠体を設け、該機枠体に水路内の泥土を掘削すると共に該泥土を水路の側方位置に跳上排出する排土機構を設けてなり、上記排土機構に上記水路内方位置で水平軸線を回転軸線として回転して上記水路内の泥土を掘削すると共に該掘削された泥土を水路の外側方位置に跳上排出する排土ロータが設けられ、該排土ロータは上記水路内の泥土を回転掘削して該水路内の上記走行機体側に回転移送可能な螺旋羽根体及び該螺旋羽根体により回転移送された泥土を該水路内から水路の外側方位置に跳上排出する土跳上体からなり、該排土ロータを上記水路内方位置又は水路上方位置に位置変更させる位置変更機構を設けて構成したことを特徴とする水路用掘削機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記位置変更機構として、上記排土ロータを上記水路内方位置と水路上方位置との間で揺動させる揺動機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記機枠体に上記排土機構による排土動作に伴う反力を受ける反力受体を設けてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体に連結機構により取付枠体が連結され、取付枠体に機枠体を設け、機枠体に水路内の泥土を掘削すると共に泥土を水路の側方位置に跳上排出する排土機構を設けているから、圃場の用水路や排水路等の水路に移動案内機構により排土機構を配置し、走行機体を水路に沿って走行すると、排土機構により水路内の泥土は掘削されると共に泥土は水路の側方位置に跳上排出されることになり、水路内に堆積した泥土を掘削して泥土を水路の側方位置に跳上排出することができ、水路内の泥土を容易に掘削除去することができ、かつ、掘削した泥土を水路の側方位置に跳上排出することができ、掘削作業性を向上することができ、簡素な構造とすることができ、軽量化及び製作コストの低減を図ることができ、上記排土機構に上記水路内方位置で水平軸線を回転軸線として回転して上記水路内の泥土を掘削すると共に掘削された泥土を水路の外側方位置に跳上排出する排土ロータが設けられ、排土ロータは上記水路内の泥土を回転掘削して水路内の上記走行機体側に回転移送可能な螺旋羽根体及び螺旋羽根体により回転移送された泥土を水路内から水路の外側方位置に跳上排出する土跳上体からなるので、排土ロータの回転により上記水路内の泥土は螺旋羽根体の螺旋作用により掘削されつつ走行機体側に回転移送され、回転移送された泥土は土跳上体の回転により水路内から水路の外側方位置に跳上排出され、水路内の泥土を容易に掘削除去することができると共に円滑に排出することができ、作業性を向上することができ、更に、上記排土ロータを水路内方位置又は水路上方位置に位置変更させる位置変更機構を設けているから、掘削作業時においては排土ロータを水路内方位置に配置し、非掘削作業時においては排土ロータを水路上方位置に配置することができ、掘削作業時又は非掘削作業時において排土ロータを位置変更することができ、作業性を向上することができる。
【0008】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記位置変更機構として、上記排土ロータを上記水路内方位置と水路上方位置との間で揺動させる揺動機構を設けてなるから、排土ロータを容易に位置変更することができ、作業性を向上することができ、揺動機構の構造を簡素化することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記機枠体に上記排土機構による排土動作に伴う反力を受ける反力受体を設けているから、排土機構による掘削作業を確実に行うことができ、掘削排土作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
図2】本発明の実施の形態例の部分拡大側面図である。
図3】本発明の実施の形態例の部分拡大平面図である。
図4】本発明の実施の形態例の部分拡大側面図である。
図5】本発明の実施の形態例の部分拡大平面図である。
図6】本発明の実施の形態例の部分拡大後面図である。
図7】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図7は本発明の実施例を示すもので、1は走行機体であって、この場合、トラクタが用いられ、図1の如く、走行機体1は走行車輪1aを備えており、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により取付枠体3を上下動可能に連結して構成している。
【0011】
この場合、図1図2図3の如く、上記連結機構2は、走行機体1としてのトラクタの左右両側部下部に突設した下部リンク4と、トラクタの左右両側部上部に突設した揺動アーム5と、揺動アーム5と下部リンク4の中程部を連結する吊上リンク6と、トラクタの上部に突設した上部リンク7とからなる三点リンク式連結機構により構成され、上記下部リンク4の先端部と上部リンク7の先端部を連結ピン8・8・8により取付枠体3に連結し、取付枠体3を油圧により揺動する揺動アーム5によって上下動可能にしている。
【0012】
9は機枠体であって、この場合、図1図2図3の如く、上記取付枠体3に機枠体9を移動案内機構10により走行機体1の進行方向に対して左右方向に案内移動自在に設けて構成している。
【0013】
この場合、図2図3の如く、上記移動案内機構10として、水平リンク機構Sが用いられ、上記取付枠体3に上記機枠体9に水平リンク機構Sとしての一対の支持リンク10a・10aの基部を支持片10b・10bにピン10c・10cにより枢着し、支持リンク10a・10aの先端部を支持片10d・10dにピン10e・10eにより枢着し、一方、上記ピン10cと支持リンク10aの中程部間に移動用シリンダ10fをピン10gにより枢着架設し、これにより掘削作業時又は運搬作業時、保管時等の非掘削作業時において、機枠体9を走行機体1の進行方向に対して左右方向に移動E自在に設けて構成している。
【0014】
11は排土機構であって、この場合、図4図5の如く、上記機枠体9に配設され、水路W内の泥土Dを掘削すると共に泥土Dを水路Wの側方位置に跳上排出Qする構造に構成されている。
【0015】
この場合、上記排土機構11として、図4図5図6の如く、ロータ軸12cの水平軸線としての回転軸線Pを中心とする回転Kにより水路W内の泥土Dを掘削して上記走行機体1側に回転移送L可能な螺旋羽根体12a及び螺旋羽根体12aにより回転移送Lされた泥土Dを水路Wの側方位置、この場合、進行方向の前方側方位置に跳上排出Qする土跳上体12bからなる排土ロータ12を設けている。
【0016】
又、この場合、図2の如く、排土ロータ12を水路W内方位置H又は水路W上方位置Tに位置変更させる位置変更機構13を設けて構成している。
【0017】
この場合、図2の如く、上記位置変更機構13として、上記排土ロータ12を水路W内方位置Hと水路W上方位置Tとの間で揺動Rさせる揺動機構14を設けて構成されている。
【0018】
すなわち、この場合、図2図6図7の如く、上記機枠体9に門型形状の排土枠体11aを支点軸筒11bにより上下揺動自在に設け、機枠体9にブラケット9aを立設し、ブラケット9aと排土枠体11aとの間に揺動用シリンダ11cをピン11d・11dにより架設し、排土枠体11aに排土ロータ12のロータ軸12cを回転自在に架設し、排土ロータ12のロータ軸12cの走行機体1側に板面が傾斜状の土跳上体12bを固定し、揺動用シリンダ11cにより排土枠体11aを支点軸筒11bの軸線Oを中心として上下揺動させ、排土ロータ12を水路W内方位置H又は水路W上方位置Tに位置変更させるように構成している。
【0019】
この場合、図1図2図3の如く、排土機構11の排土ロータ12の回転駆動機構15として、上記機枠体9に歯車機構15aを配置し、歯車機構15aの入力軸15bと上記走行機体1の動力取出軸1bとを自在継手15cにより連結し、機枠体9に主軸15dを内装横設し、歯車機構15aの出力軸15eと主軸15dとを連結し、主軸15dに駆動スプロケット15fを固定し、上記ロータ軸12cに従動スプロケット15gを固定し、駆動スプロケット15fと従動スプロケット15g間にチェーン15hを掛回し、上記支点軸筒11bの軸線Oと主軸15dの軸線Oを同一の軸線Oとし、上記走行機体1の動力取出軸1bにより排土ロータ12を水平軸線としての回転軸線Pを中心として回転Kさせると共に揺動用シリンダ11cにより排土ロータ12を主軸15dの軸線Oを中心として上下揺動自在に設けて構成している。
【0020】
16は反力受体であって、この場合、図3の如く、円錐盤状に形成され、図2図3の如く、上記機枠体9に支持筒体16aを取付け、支持筒体16aに脚体16bをハンドル16cの回転及び図示省略のネジ機構により上下調節自在に垂設し、脚体16bに車軸16dにより反力受体16を取り付けて構成している。
【0021】
この実施の形態例は上記構成であるから、図1図4図5の如く、走行機体1に連結機構2により取付枠体3が連結され、取付枠体3に機枠体9を移動案内機構10により走行機体1の進行方向に対して左右方向に案内移動自在に設けられ、機枠体9に水路W内の泥土Dを掘削すると共に泥土Dを水路Wの側方位置に跳上排出Qする排土機構11を設けているから、図3の状態から図5の如く、圃場Mの用水路や排水路等の水路Wの上方に移動案内機構10により排土機構11を配置し、走行機体1を水路Wに沿って走行Bすると、図4図5の如く、排土機構11により水路W内の泥土Dは掘削されると共に泥土Dは水路Wの側方位置に跳上排出Qされることになり、水路W内に堆積した泥土Dを掘削して泥土Dを水路Wの側方位置に跳上排出Qすることができ、水路W内の泥土Dを容易に掘削除去することができ、かつ、掘削した泥土Dを水路Wの側方位置に跳上排出Qすることができ、掘削作業性を向上することができ、簡素な構造とすることができ、軽量化及び製作コストの低減を図ることができる。
【0022】
この場合、上記排土機構11として、上記水路W内の泥土Dを掘削して上記走行機体1側に回転移送L可能な螺旋羽根体12a及び螺旋羽根体12aにより回転移送Lされた泥土Dを水路Wの側方位置に跳上排出Qする土跳上体12bからなる排土ロータ12を設けているから、排土ロータ12の水平軸線としての回転軸線Pを中心とする回転Kにより上記水路W内の泥土Dは螺旋羽根体12aの螺旋作用により掘削されつつ走行機体1側に回転移送Lされ、回転移送Lされた泥土Dは土跳上体12bの回転により水路Wの側方位置に跳上排出Qされ、水路W内の泥土Dを容易に掘削除去することができると共に円滑に排出することができ、作業性を向上することができ、又、この場合、上記排土ロータ12を水路W内方位置H又は水路W上方位置Tに位置変更させる位置変更機構13を設けているから、掘削作業時においては排土ロータ12を水路W内方位置Hに配置し、非掘削作業時においては排土ロータ12を水路W上方位置Tに配置することができ、掘削作業時又は非掘削作業時において排土ロータ12を位置変更することができ、作業性を向上することができ、又、この場合、上記位置変更機構13として、上記排土ロータ12を水路W内方位置Hと水路W上方位置Tとの間で揺動させる揺動機構14を設けてなるから、排土ロータ12を容易に位置変更することができ、作業性を向上することができ、上記揺動機構14の構造を簡素化することができ、又、この場合、上記移動案内機構10として、上記取付枠体3に上記機枠体9を水平リンク機構Sにより上記走行機体1の進行方向に対して左右方向に移動自在に設けているから、機枠体9を走行機体1の進行方向に対して左右方向に円滑に移動することができ、作業性を向上することができ、移動案内機構10の構造を簡素化することができ、又、この場合、上記機枠体9に上記排土ロータ12による排土動作に伴う反力を受ける反力受体16を設けているから、排土機構11の排土ロータ12による掘削作業を確実に行うことができ、掘削排土作業性を向上することができる。
【0023】
尚、本発明は上記実施例に限られるものではなく、走行機体1、連結機構2、取付枠体3、機枠体9、移動案内機構10、排土機構11、排土ロータ12、螺旋羽根体12a、土跳上体12b、位置変更機構13、揺動機構14、反力受体16の構造等は適宜選択されるものである。
【0024】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0025】
W 水路
D 泥土
H 内方位置
T 上方位置
R 揺動
L 回転移送
Q 跳上排出
E 移動
回転軸線
K 回転
S 水平リンク機構
1 走行機体
2 連結機構
3 取付枠体
9 機枠体
10 移動案内機構
11 排土機構
12 排土ロータ
12a 螺線羽根体
12b 土跳上体
13 位置変更機構
14 揺動機構
16 反力受体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7