特許第6290301号(P6290301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイボン プロダクツ インコーポレーテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290301
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】化粧用接着性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20180226BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180226BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61Q1/10
   A61K8/25
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61K8/34
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-103294(P2016-103294)
(22)【出願日】2016年5月24日
(62)【分割の表示】特願2013-546161(P2013-546161)の分割
【原出願日】2011年11月30日
(65)【公開番号】特開2016-199551(P2016-199551A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】61/426,261
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399130393
【氏名又は名称】エイボン プロダクツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】クルツ、キャシー
(72)【発明者】
【氏名】スロボディ、ブレント
(72)【発明者】
【氏名】レビーナ、ガリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ラウーフ、マハ
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−118384(JP,A)
【文献】 特表2009−536978(JP,A)
【文献】 特表2010−529227(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0265408(US,A1)
【文献】 特開昭57−092073(JP,A)
【文献】 特表2001−507962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0013840(US,A1)
【文献】 特開昭50−091635(JP,A)
【文献】 特開2009−040718(JP,A)
【文献】 特開昭49−099731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
A41G 5/02
C09J 107/00−107/02
C08L 7/00− 7/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.20wt%から30.0wt%のグアユール乳液の固形分;
b.0.1wt%から20.0wt%の膜形成剤;
c.0.1wt%から10.0wt%のゲル化剤;
d.1.0wt%から9.0wt%の可塑剤;および
e.水
を含有する非アレルギー性接着性組成物を用いて付け睫を瞼に固定する、人の瞼に付け睫を取り付けるための方法であって、
前記ゲル化剤は、シリカ;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース;セチルヒドロキシエチルセルロース;グアーガム;4級グアーガム;非イオン性グアーガム;キサンタンガム;カロブガム;スクレログルカンガム;ゲランガム;ラムサンガム;カラヤガム;アルギン酸塩;マルトデキストリン;スターチ;ヒアルロン酸および化粧用途上、許容可能であるその塩;クレー;アクリレートコポリマー;架橋ポリアクリル酸ポリマー;ポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;架橋アクリルアミドポリマーおよびコポリマー;架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドホモポリマー;会合性ポリウレタン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択され、
前記膜形成剤は、セルロース、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、シリコーンアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリエーテル、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリイミド、エポキシ、ホルムアルデヒド樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択され、
前記可塑剤は、ジブチルフタレート、トリブチルアセチルシトレート、エチルトルエンスルホンアミド(エチルトシルアミド)、n−シクロヘキシルパラ−トルエンスルホンアミド、グリセロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、水素化ヒマシ油、エポキシ化油、ポリエステル、ポリブチレン、低分子量脂肪族ポリウレタン、トルエンスルホンアミド尿素ホルムアルデヒド、γ−ブチラールラクトン、n−ブチルフタルイミド/イソプロピルフタルイミド、エチルヘキシルジフェニルホスフェート、羊毛脂誘導体、塩素化パラフィン、グリセリルトリアセテート、カンフル、スクロースアセテートイソブチレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、方法
【請求項2】
前記接着性組成物において、前記ゲル化剤は、0.1wt%から5.0wt%において存在する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記接着性組成物において、前記膜形成剤は、10.0wt%から15.0wt%において存在する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記接着性組成物において、前記可塑剤は、2.0wt%から5.0wt%において存在する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記接着性組成物は、酸化鉄、カーボンブラック、およびこれらの混合物からなる群から選択される色素を含有する着色剤を、0.01wt%から15.0wt%においてさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
a.20wt%から30.0wt%のグアユール乳液の固形分;
b.0.1wt%から20.0wt%の膜形成剤;
c.0.1wt%から10.0wt%のゲル化剤;
d.1.0wt%から9.0wt%の可塑剤;および
e.水
を含む、人の瞼に付け睫を取り付けるための接着性組成物であって、
前記ゲル化剤は、シリカ;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース;セチルヒドロキシエチルセルロース;グアーガム;4級グアーガム;非イオン性グアーガム;キサンタンガム;カロブガム;スクレログルカンガム;ゲランガム;ラムサンガム;カラヤガム;アルギン酸塩;マルトデキストリン;スターチ;ヒアルロン酸および化粧用途上、許容可能であるその塩;クレー;アクリレートコポリマー;架橋ポリアクリル酸ポリマー;ポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;架橋アクリルアミドポリマーおよびコポリマー;架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドホモポリマー;会合性ポリウレタン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択され、
前記膜形成剤は、セルロース、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、シリコーンアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリエーテル、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリイミド、エポキシ、ホルムアルデヒド樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択され、
前記可塑剤は、ジブチルフタレート、トリブチルアセチルシトレート、エチルトルエンスルホンアミド(エチルトシルアミド)、n−シクロヘキシルパラ−トルエンスルホンアミド、グリセロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、水素化ヒマシ油、エポキシ化油、ポリエステル、ポリブチレン、低分子量脂肪族ポリウレタン、トルエンスルホンアミド尿素ホルムアルデヒド、γ−ブチラールラクトン、n−ブチルフタルイミド/イソプロピルフタルイミド、エチルヘキシルジフェニルホスフェート、羊毛脂誘導体、塩素化パラフィン、グリセリルトリアセテート、カンフル、スクロースアセテートイソブチレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、接着性組成物
【請求項7】
前記ゲル化剤は、0.1wt%から5.0wt%において存在する、請求項に記載の接着性組成物。
【請求項8】
前記膜形成剤は、10.0wt%から15.0wt%において存在する、請求項に記載の接着性組成物。
【請求項9】
前記可塑剤は、2.0wt%から5.0wt%において存在する、請求項に記載の接着性組成物。
【請求項10】
酸化鉄、カーボンブラック、およびこれらの混合物からなる群から選択される色素を含有する着色剤を、0.01wt%から15.0wt%においてさらに含む、請求項に記載の接着性組成物。
【請求項11】
a.1つまたは複数の付け睫;ならびに
b.請求項から10のいずれか1項に記載の接着性組成物を含む密閉容器、
を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年12月22日に出願された米国仮特許出願第61/426,261号の利益を主張するものであり、これらの全体の開示を参照によりここに組み込む。
【0002】
本発明は、一般的に、グアユールに由来する乳液(ラテックス)を含有する非アレルギー性乳液を含む組成物に関する。さらには、本発明は、化粧用途上の適用のための、非アレルギー性乳液を含む接着性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
人の美しさまたは見映えは、睫を豊かでボリュームのある状態とすることにより増すことができる。付け睫、ならびにその他の化粧機器および材料は、自身の睫の上に、長く豊かで厚みのある睫を取り付けることにより、または人の自然な睫を増加させることにより、人の外見を向上させるために使用されてきた。しかし、付け睫は、使用の間に動いたり落ちたりしないよう、瞼に取り付ける必要がある。
【0004】
従来、ヘベア(Hevea)乳液またはニトロセルロースベースの配合剤を含んだ化粧用接着組成物が、使用の際付け睫を取り付けるために利用されてきた。しかし、そのような組成物は、人に対してアレルギー反応を起こさせ得る成分が含まれている。
【0005】
アレルギー反応を引き起こさない化粧用接着剤が望まれている。非アレルギー性乳液を含む化粧用接着剤も望まれている。さらには、グアユールのような、ヘベア(Hevea)ではない乳液を含む化粧用接着剤が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、非アレルギー性乳液を含む化粧用接着剤を提供することである。本発明のもう一つの目的は、ヘベア(Hevea)乳液ではないものを含む化粧用接着剤を提供することである。本発明のさらにもう一つの目的は、グアユール乳液を含む化粧用接着剤を提供することである。本発明のさらにもう一つの目的は、非アレルギー性乳液を用いて付け睫を使用者の瞼に取り付けるための方法を提供することである。本発明のさらにもう一つの目的は、ヘベア(Hevea)乳液ではないものを用いて付け睫を使用者の瞼に取り付けるための方法を提供することである。本発明のさらにもう一つの目的は、グアユール乳液を用いて付け睫を使用者の瞼に取り付けるための方法を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
これらの目的のいくつか、または全ては、広義における観点で言うと、非アレルギー性乳液を含む組成物に関する本発明によって提供される。当該組成物は、化粧等のような、人の外皮に対して適用するための化粧用組成物であってもよいし、または、付け睫、付け爪およびエクステンション等のような、化粧用の付属品を付けるための接着性組成物であってもよい。特定の実施において、方法は、付け睫を人の瞼に対して取り付けるために提供され、非アレルギー性乳液を用いて前記付け睫を前記瞼に乗せることを含む。当該非アレルギー性乳液は、好ましくは、限定されることはないが、グアユール(guayule)、ゴーファー(gopher)植物、マリオラ(mariola)、ラビットブラッシュ(rabbitburush)、ミルクウィード(milkweed)、ゴールデンロッド(goldenrod)、薄色のインドオオバコ(pale Indian plantain)、ゴムブドウ(rubber vine)、ロシアンダンデライオン(Russian dandelion)、マウンテンミント(mountain mint)、アメリカンジャーマンダー(American germander)、およびトールベルフラワー(tall bellflower)からなる群から選択される天然乳液を含む、ヘベア(Hevea)ではない乳液である。好適な実施においては、天然乳液はグアユール乳液である。
【0008】
これは、約15.0wt%から約40.0wt%のグアユール乳液の固形分;約0.1wt%から約20.0wt%の膜形成剤;約0.1wt%から約10.0wt%のゲル化剤;約1.0wt%から約9.0wt%の可塑剤;および水、を含む接着性組成物においても提供される。当該接着剤は、さらに、酸化鉄、カーボンブラックおよびこれらの混合物からなる群から選択された色素を含む着色剤を、約0.01wt%から約15.0wt%において含んでもよい。
【0009】
また、付け睫、1つまたは複数の付け睫のセットのような化粧用の付属品;および本発明による接着性組成物からなる接着性組成物を包含する密閉容器、を含むキットにおいても提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は非アレルギー性乳液を用いた組成物を提供する。当該組成物は、例えば、付け睫、ピールオフリップスティック、有効成分の有無を問わないピールオフスキンケアマスク、色素構築効果のための残余染色成分を含むピールオフブラシ、水系のネイルエナメル/ネイル装飾製品、および一時的な肌もしくは爪のタトゥーの取り付けにおける化粧用接着剤としての使用、または、例えば、色素を付着させるメイクアップファンデーション、可塑性コートマスカラもしくはアイライナー等のような化粧品における使用のための、長時間装飾する柔軟な膜形成剤としての化粧品における使用を含む、様々な適用での可能性を有する。
【0011】
非アレルギー性乳液は、ヘベア(Hevea)ではない乳液のような組成物を含む。ヘベア(Hevea)ではない乳液は、ヘベア(Hevea)以外の天然物である、グアユール(guayule)、ゴーファー(gopher)植物、マリオラ(mariola)、ラビットブラッシュ(rabbitburush)、ミルクウィード(milkweed)、ゴールデンロッド(goldenrod)、薄色のインドオオバコ(pale Indian plantain)、ゴムブドウ(rubber vine)、ロシアンダンデライオン(Russian dandelion)、マウンテンミント(mountain mint)、アメリカンジャーマンダー(American germander)、およびトールベルフラワー(tall bellflower)等に由来する天然乳液であり、これらについては米国特許出願公開第2008/0300526号明細書において述べられており、その全体において参照によりここに組み込まれる。これらの天然乳液はヘベア(Hevea)乳液ではないので、これらは、典型的にヘベア(Hevea)乳液適用での使用により伴い得るアレルギー性反応型を作り出す抗原を含まないという利益を有する。
【0012】
特に望ましいものは、グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum)(一般的にはグアユールとして知られている)由来の乳液であり、ユレックス・コーポレーション(Yulex Corporation)から市販されている。このグアユール乳液製品は、ヘベア(Hevea)材料に対する代替として、非常に純度がよく、高い品質の乳状液(エマルション)である。グアユールは、再生可能であり環境的に持続可能な非食品産業作物であり、現在はいくつかの薬物適用において使用されている。グアユール乳液は、水酸化カリウムベースの乳状液またはアンモニアベースの乳状液において利用でき、これらのいずれもが、最小で約49%の乾燥ゴム分および最大で約56%の乾燥ゴム分を含み、最小で約50%の総固形分および最大で約57%の総固形分を有する。当該抽出工程は、米国特許第7,259,231号明細書および米国特許第7,790,036号明細書において述べられており、これらの両方は、これらの全体において参照によりここに取り込まれる。
【0013】
本発明は、人に対して化粧用の材料または付属品を付けるための、非アレルギー性乳液の効果的な量を含む。典型的には、そのような非アレルギー性乳液の効果的な量は、全組成物の約1.0wt%から約90wt%の乳液固形分含有量であり、好ましくは全組成物の約15wt%から約40wt%であり;そして、さらに好ましくは、全組成物の約20wt%から約30wt%である。
【0014】
本発明は、親水性および疎水性の膜形成剤を含む、1つまたは複数の膜形成剤の効果的な量をも含有してもよい。膜形成剤は、ワックス、オイルおよびポリオールを含む、化粧用またはパーソナルケア用組成物の使用に好適な任意の材料でよい。しかし、膜形成ポリマーが好ましい。膜形成ポリマーという用語は、それ自身により、または少なくとも1つの補助の膜形成剤の存在下において、人の外皮のような表面に対して付着する連続した膜を形成することが可能であるポリマーを指していることは理解されるだろう。重合体の膜形成剤は、セルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニル系、ポリアクリレート系、ポリウレタン系、シリコーン系、シリコーンアクリレート系、ポリアミド系、ポリエステル系、フルオロポリマー系、ポリエーテル系、ポリアセテート系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、エポキシ系、ホルムアルデヒド樹脂、ならびに、前述の任意のホモポリマーおよびコポリマーを含む;好ましくは、セルロース系、ポリアクリレートコポリマー系、およびこれらの混合である。好ましくは、そのような膜形成剤の効果的な量は、全組成物の約0.1wt%から約20.0wt%であり;さらに好ましくは、全組成物の約10.0wt%から約15.0wt%である。
【0015】
本発明は、組成物に対してゲル構造を提供し、または形成するため、1つまたは複数のゲル化剤の効果的な量をも含んでもよい。当該ゲル化剤は化粧用途上、許容可能であるゲル化剤であるべきであり、シリカ;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース;セチルヒドロキシエチルセルロース;グアーガム;第4級グアーガム;非イオン性グアーガム;キサンタンガム;カロブガム;スクレログルカンガム;ゲランガム;ラムサンガム;カラヤガム;アルギン酸塩;マルトデキストリン;スターチ;ヒアルロン酸およびその塩;モンモリロナイト、ヘクトライトおよびラポナイトを含むクレー;アクリレートコポリマー;架橋ポリアクリル酸ポリマー;ポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;架橋アクリルアミドポリマーおよびコポリマー;架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドホモポリマー;会合性ポリウレタンを含む会合性ポリマー;ならびにこれらの混合物のようなものが挙げられる。好ましくは、架橋ポリアクリル酸ポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびこれらの混合物である。好ましくは、そのようなゲル化剤の効果的な量は、全組成物の約0.1wt%から約10.0wt%である;さらに好ましくは、全組成物の約0.1wt%から約5.0wt%である。
【0016】
いくつかのゲル化剤は膜形成剤でもあることが知られており、本発明の実施において好適であり得る。1つまたは複数のゲル化剤がそのような膜形成特性を持たない場合、または、もし、当該ゲル化剤が適切な膜を提供するための十分な量において存在していない場合には、1つまたは複数の膜形成剤が組み込まれる。
【0017】
本発明は、当該組成物の可塑性または流動性を増加させるための、可塑剤の効果的な量をも含んでもよい。当該可塑剤は化粧用途上、許容可能である可塑剤であるべきであり、ジブチルフタレート(DBP)およびその他のフタレート、トリブチルアセチルシトレートおよびその他のシトレート、エチルトルエンスルホンアミド(エチルトシルアミド)、n−シクロヘキシルパラ−トルエンスルホンアミド、グリセロールおよびブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルを含むその他のグリコール、水素化ヒマシ油またはエポキシ化油、ポリエステル、ポリブチレン、低分子量脂肪族ポリウレタン(約2000から約10000MW)、トルエンスルホンアミド尿素ホルムアルデヒド、γ−ブチラールラクトン、n−ブチルフタルイミド/イソプロピルフタルイミド、エチルヘキシルジフェニルホスフェート、羊毛脂誘導体、塩素化パラフィン、グリセリルトリアセテート、カンフルおよびスクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、ならびにこれらの混合物のようなものが挙げられる。好ましくは、ブチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの混合物である。好ましいそれらの効果的な量は、全組成物の約1.0wt%から約9.0wt%である;より好ましくは、全組成物の約2.0wt%から約5.0wt%である。
【0018】
本発明の組成物は、肌、髪、眉毛または睫を含む外皮の表面への局所的に適用する際、乾燥または任意の揮発性のものの蒸発により、乾燥した滑らかな膜を残すべきである。当該膜は、ケラチン繊維および/または肌に対して、良好な接着性および柔軟性をも示すべきである。
【0019】
本発明は、その外観をより良くするために、任意に色素を含んでもよい。当該色素は、化粧用途上、許容可能である色素および/または着色剤でなければならない。例えば、カーボンブラック、FD&C染料;D&C赤No.2、5、6、7、10、11、12、13、30および34、D&C黄色No.5、青No.1、紫No.2を含むD&C染料;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、水酸化鉄、二酸化チタン、低原子価酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケルおよび酸化亜鉛;チタン酸鉄、チタン酸コバルトおよびアルミン酸コバルトを含む、複合酸化物および複合水酸化物;硫黄を含有するナトリウムアルミニウムケイ酸塩を含むウルトラマリンブルー;プルシアンブルー、マンガンバイオレット、ビスマス酸塩化物、タルク、マイカ、セリサイト、マグネシウムカルボン酸塩、カルシウムカルボン酸塩、マグネシウムケイ酸塩、アルミニウムマグネシウムケイ酸塩、シリカ、チタン酸化マイカ、酸化鉄チタン酸化マイカ、ビスマス酸塩化物;およびこれらの混合物、が挙げられる。好ましくは、このような色素は、全組成物の約0.01wt%から約15.0wt%の量において存在する;より好ましくは、全組成物の約0.5wt%から約4.0wt%である。
【0020】
本発明は、1つまたは複数の、次に述べる作用成分も含んでもよい。当該作用成分は、麻酔剤、抗アレルギー剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、脱色剤、軟化剤、芳香剤、湿潤剤、潤滑剤、保湿剤、薬学的な製剤、保存剤、肌保護剤、肌浸透促進剤、安定剤、界面活性剤、ビタミン、およびこれらの相溶の混合物である。当該作用成分は、典型的には所望する作用を提供できる効果的な量において存在し、一般的には、当該成分の重量による、約0.001から約10%、約0.01から約5%、約0.1から約5%、または約1%である。
【0021】
本発明は、化粧用またはパーソナルケア用製品を作る技術において公知の従来の方法を使用し、作ることができる。例えば、第1の予備混合では、結果として全てのゲル化剤が溶けるよう、僅かに高めた温度での水の中に十分に攪拌しながらゲル化剤を溶解させることにより準備がなされてもよい。第2の予備混合では、適度な温度および剪断下において、残りの成分を混ぜることにより、準備がなされてもよい。第2の予備混合物を、大凡第1の予備混合物の温度にまで冷ました後、第1と第2の予備混合物は、かき混ぜながら共に混合される。当該組み合わせた混合物は、その後、室温まで冷却される。
【0022】
さらに、ここにおいて示される実施例は、本発明の観点の範囲において、実施の形態を描写および実証する。本発明の意図および観点から離れているものを除き、その多くの変形例が可能であるように、当該実施例は単に例示の目的のために与えられたものであり、本発明を限定するように構成するものではない。
【0023】
本発明は、以下の実施例1における接着性組成物として処方することができ、付け睫を取り付けるために使用することができる。付け睫は、一般的に、その上に複数の付け睫の単繊維を取り付けるベースから構成されている。単繊維は、通常、当該単繊維が使用され得る人の自然の睫と類似する色をしている。本発明の目的によると、人とは、本発明が使用される、人形、マネキンまたはその他の人間の模型をも含んでもよい。適用前には、当該人の瞼は、通常、化粧または本発明の接着剤の特性に干渉し得るその他の異物は取り去っておく。その後、付け睫のベースに対し、薄く接着剤を適用する。当該接着剤が乾く前に、その後、当該付け睫は、瞼の縁に対して取り付けられ、人の自然の睫が通常そこから広がる瞼の領域上またはそこと実質上隣接している場所へ取り付けられ、好ましくは自然の睫の中へと混ざるよう取り付けられる。付け睫には、複数の単繊維を有する1つのベースとしてなるもの、または複数のベース区画としてなるものを適用してもよく、それぞれの当該区画は少なくとも1つの単繊維を含んでいる。
【0024】
ここにおいて使用される、主として構成される、という用語は、本発明を、特定された材料または工程、および、本明細書を読めば理解できるように、請求される本発明の基本的かつ新規な特性に材料的に作用しないものに対して制限している、という意図である。他に示されていない限り、全ての割合は、組成物の全重量に基づいた、重量によるものである。
【表1】
【0025】
(付記)
(付記1)
非アレルギー性乳液を用いて付け睫を瞼に固定する、人の瞼に付け睫を取り付けるための方法。
【0026】
(付記2)
前記非アレルギー性乳液は、ヘベア(Hevea)ではない乳液を含む、付記1に記載の方法。
【0027】
(付記3)
前記ヘベア(Hevea)ではない乳液は、グアユール(guayule)、ゴーファー(gopher)植物、マリオラ(mariola)、ラビットブラッシュ(rabbitburush)、ミルクウィード(milkweed)、ゴールデンロッド(goldenrod)、薄色のインドオオバコ(pale Indian plantain)、ゴムブドウ(rubber vine)、ロシアンダンデライオン(Russian dandelion)、マウンテンミント(mountain mint)、アメリカンジャーマンダー(American germander)、およびトールベルフラワー(tall bellflower)からなる群から選択される天然乳液である、付記2に記載の方法。
【0028】
(付記4)
前記天然乳液はグアユールである、付記3に記載の方法。
【0029】
(付記5)
取り付け工程は、
a.約15.0wt%から約40.0wt%のグアユール乳液の固形分;
b.約0.1wt%から約20.0wt%の膜形成剤;
c.約0.1wt%から約10.0wt%のゲル化剤;および
d.水
を含有する接着性組成物を用いて前記付け睫を前記瞼に付着させることを含む、付記4に記載の方法。
【0030】
(付記6)
前記ゲル化剤は、シリカ;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース;セチルヒドロキシエチルセルロース;グアーガム;4級グアーガム;非イオン性グアーガム;キサンタンガム;カロブガム;スクレログルカンガム;ゲランガム;ラムサンガム;カラヤガム;アルギン酸塩;マルトデキストリン;スターチ;ヒアルロン酸および化粧用途上、許容可能であるその塩;クレー;アクリレートコポリマー;架橋ポリアクリル酸ポリマー;ポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;架橋アクリルアミドポリマーおよびコポリマー;架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドホモポリマー;会合性ポリウレタン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、付記5に記載の方法。
【0031】
(付記7)
前記膜形成剤は、セルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニル系、ポリアクリレート系、ポリウレタン系、シリコーン系、シリコーンアクリレート系、ポリアミド系、ポリエステル系、フルオロポリマー系、ポリエーテル系、ポリアセテート系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、エポキシ系、ホルムアルデヒド樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される、付記5に記載の方法。
【0032】
(付記8)
前記ゲル化剤は、約0.1wt%から約5.0wt%において存在する、付記6に記載の方法。
【0033】
(付記9)
前記膜形成剤は、約10.0wt%から約15.0wt%において存在する、付記7に記載の方法。
【0034】
(付記10)
前記接着性組成物は、さらに、約1.0wt%から約9.0wt%の可塑剤を含む、付記5に記載の方法。
【0035】
(付記11)
a.約15.0wt%から約40.0wt%のグアユール乳液の固形分;
b.約0.1wt%から約20.0wt%の膜形成剤;
c.約0.1wt%から約10.0wt%のゲル化剤;
d.約1.0wt%から約9.0wt%の可塑剤;および
e.水
を含む、接着性組成物。
【0036】
(付記12)
前記グアユール乳液の固形分は、約20wt%から約30.0wt%において存在する、付記11に記載の接着性組成物。
【0037】
(付記13)
前記ゲル化剤は、シリカ;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース;セチルヒドロキシエチルセルロース;グアーガム;4級グアーガム;非イオン性グアーガム;キサンタンガム;カロブガム;スクレログルカンガム;ゲランガム;ラムサンガム;カラヤガム;アルギン酸塩;マルトデキストリン;スターチ;ヒアルロン酸および化粧用途上、許容可能であるその塩;クレー;アクリレートコポリマー;架橋ポリアクリル酸ポリマー;ポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;架橋アクリルアミドポリマーおよびコポリマー;架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドホモポリマー;会合性ポリウレタン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、付記11に記載の接着性組成物。
【0038】
(付記14)
前記膜形成剤は、セルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニル系、ポリアクリレート系、ポリウレタン系、シリコーン系、シリコーンアクリレート系、ポリアミド系、ポリエステル系、フルオロポリマー系、ポリエーテル系、ポリアセテート系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、エポキシ系、ホルムアルデヒド樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される、付記11に記載の接着性組成物。
【0039】
(付記15)
前記可塑剤は、ジブチルフタレート(DBP)、トリブチルアセチルシトレート、エチルトルエンスルホンアミド(エチルトシルアミド)、n−シクロヘキシルパラ−トルエンスルホンアミド、グリセロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、水素化ヒマシ油、エポキシ化油、ポリエステル、ポリブチレン、低分子量脂肪族ポリウレタン、トルエンスルホンアミド尿素ホルムアルデヒド、γ−ブチラールラクトン、n−ブチルフタルイミド/イソプロピルフタルイミド、エチルヘキシルジフェニルホスフェート、羊毛脂誘導体、塩素化パラフィン、グリセリルトリアセテート、カンフル、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、およびこれらの混合物からなる群から選択される、付記11に記載の接着性組成物。
【0040】
(付記16)
前記ゲル化剤は、約0.1wt%から約5.0wt%において存在する、付記13に記載の接着性組成物。
【0041】
(付記17)
前記膜形成剤は、約10.0wt%から約15.0wt%において存在する、付記14に記載の接着性組成物。
【0042】
(付記18)
前記可塑剤は、約2.0wt%から約5.0wt%において存在する、付記15に記載の接着性組成物。
【0043】
(付記19)
酸化鉄、カーボンブラック、およびこれらの混合物からなる群から選択される色素を含有する着色剤を、約0.01wt%から約15.0wt%においてさらに含む、付記11に記載の接着性組成物。
【0044】
(付記20)
a.1つまたは複数の付け睫;ならびに
b. i. 約15.0wt%から約40.0wt%のグアユール乳液の固形分;
ii. 約0.1wt%から約20.0wt%の膜形成剤;
iii. 約0.1wt%から約10.0wt%のゲル化剤;
iv. 約1.0wt%から約9.0wt%の可塑剤;および
v. 水
を含有する接着性組成物を含む密閉容器、
を備える、キット。