(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
さらに、図面はいくつかの例示的な実施形態を説明することを目的としているが、本開示は図面に示した配置および手段に限定されるものではないことが理解される。
【0007】
家又はその他の場所における再生ネットワーク(例えば、ホームオーディオシステム)を確立するために1つ又は複数のマルチメディア再生デバイスを接続する際には、有線、無線又はその両方が使用される。例えば、家の中にアドホックネットワークなどのネットワークが確立されると、再生デバイスのグループ間における通信が促進される。再生ネットワークに関連付けられた再生デバイスおよび/又は再生デバイスのグループ間において、音楽およびその他の種類のマルチメディアコンテンツを共有することができる。例えばビーチ、公園、ボートあるいはホテルの部屋といった別の場所でオーディオ再生を行うために、アドホックネットワークから少なくとも1つの再生デバイスを削除する場合がある。削除された再生デバイスはその後、ユーザにとって比較的シームレスな方法によってアドホックネットワークに再加入させてもよい。
【0008】
ある実施形態は、ネットワーク接続に関わらずオーディオコンテンツのポータブル再生を行う方法を提供する。当該例示の方法は、ポータブル再生デバイスを通じて、コンテンツ再生のために利用可能なネットワークを識別するステップを含む。当該方法はさらに、利用可能な再生ネットワークにポータブル再生デバイスを自動的に接続するステップを含む。当該方法はさらに、ポータブル再生デバイスを通じて、再生ネットワーク上でのコンテンツの制御および再生を促進するステップを含む。当該方法はさらに、利用可能な再生ネットワークがない場合にモバイルゾーンを確立するステップを含む。モバイルゾーンは、ポータブル再生デバイスを通じて、当該モバイルゾーンにおけるローカルなコンテンツ再生を促進するものである。当該方法はさらに、利用可能な再生ネットワークとモバイルゾーンとの間で自動的に切り替えることにより、ポータブル再生デバイスを通じたコンテンツ再生を提供するステップを含む。
【0009】
ある実施形態は、マルチメディアコンテンツのポータブル再生を行う、ユーザによる携帯可能な装置を提供する。当該例示の装置は、ネットワーク接続を通じて、再生用のマルチメディアコンテンツを含むデータの送受信を行う通信インタフェースを備える。当該装置はさらに、命令およびデータを保存するメモリを備える。当該装置はさらに、プロセッサを備える。プロセッサは、利用可能な再生ネットワークを検索して、利用可能な再生ネットワークがあれば自動的に当該再生ネットワークに接続するステップを実行する。プロセッサは、利用可能な再生ネットワークがない場合にモバイルゾーンを確立するステップを実行する。モバイルゾーンは、当該モバイルゾーンを通じたマルチメディアコンテンツの再生を促進するものである。プロセッサは、再生ネットワークの利用可能性に応じて、再生ネットワークとモバイルゾーンとの間で自動的に切り替えることにより、ポータブル再生デバイスを通じたコンテンツ再生を提供するステップを実行する。プロセッサは、ポータブル再生デバイスを通じて、再生ネットワークにおけるコンテンツの制御および再生を促進するステップを実行する。
【0010】
ある実施形態は、プロセッサによって実行される命令を有したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供するものであり、当該命令はプロセッサによって実行されたときにポータブル再生システムを実現する。当該例示のシステムは、利用可能な再生ネットワークを検索して、利用可能な再生ネットワークがあれば自動的に当該再生ネットワークに接続する。当該システムはさらに、利用可能な再生ネットワークがない場合に、モバイルゾーンを確立する。モバイルゾーンは、当該モバイルゾーンを通じたマルチメディアコンテンツの再生を促進するものである。当該システムはさらに、再生ネットワークの利用可能性に応じて、再生ネットワークとモバイルゾーンとの間で自動的に切り替えることにより、ポータブル再生デバイスを通じたコンテンツ再生を提供する。当該システムはさらに、ポータブル再生デバイスを通じて、再生ネットワークにおけるコンテンツの制御および再生を促進する。
【0011】
本明細書には、モバイル音楽をユーザに提供する多くの他の実施形態が記載されている。
【0012】
II.動作環境の例
図面を参照すると、同様のパーツに対しては、複数の図面において、同様の符号を付している。
図1は、本明細書で開示された1つ又は複数の実施形態が実行可能な、又は実施可能なシステム100の例を示している。
【0013】
例示のために、システム100は、複数のゾーンで構成されたホームを示し、ホームは1つのゾーンのみで構成することができる。ホーム内の各ゾーンは、例えば、オフィス、浴室、寝室、キッチン、ダイニングルーム、ファミリールーム、ホームシアタールーム、ユーティリティ又はランドリールーム、およびパティオなどの異なる部屋又はスペースを示してもよい。そのように構成されている場合では、1つのゾーンが複数の部屋を含んでいてもよい。ホーム内の各ゾーンに1つ又は複数のゾーンプレーヤー102−124が示されている。ゾーンプレーヤー102−124は、再生デバイス、マルチメディアユニット、スピーカ、プレーヤーなどと呼ばれ、オーディオ、ビデオ、および/又はオーディオビジュアルの出力を行う。コントローラ130は、システム100の制御を行う。コントローラ130は、ゾーンに固定されていてもよいし、あるいは、コントローラは130、ゾーンの周りを移動可能な移動体であってもよい。システム100は、複数のコントローラ130を含んでもよい。システム100は、例示的なハウスオーディオシステム全体を表すが、本明細書に記載の技術は、これらの特定の場所への用途に限定されず、又、
図1のハウスオーディオシステム100全体のような広範囲のシステムにも限定されない。
【0014】
A.ゾーンプレーヤーの例
図2A、
図2B、
図2Cは、様々な種類のゾーンプレーヤーの例を示している。例えば、
図2A、
図2B、
図2Cのゾーンプレーヤー200、202、および204は、それぞれ、
図1のゾーンプレーヤー102−124のいずれにも対応できる。いくつかの実施形態では、オーディオが、フルレンジプレーヤー等の単一のゾーンプレーヤーのみから再生されてもよい。いくつかの実施形態では、オーディオは、2つ以上のゾーンプレーヤー、例えば、複数のフルレンジプレーヤーの組み合わせ、又はフルレンジプレーヤーと特定のプレーヤーとの組み合わせ等で再生されてもよい。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー200−204はまた、「スマートスピーカ」と呼ばれてもよい。この理由は、オーディオの再生以上の処理能力を備えているからであり、以下に詳細に述べられている。
【0015】
図2Aは、フルレンジサウンドを再生可能なサウンド生成機器208を含むゾーンプレーヤー200を示す。サウンドは、オーディオ信号から得られ、オーディオ信号は、有線データネットワーク上又は無線データネットワーク上でゾーンプレーヤー200によって受信することができる。サウンド生成機器208は、1つ又は複数の内蔵アンプと、1つ又は複数のスピーカを含む。内蔵アンプは、
図4を参照して以下にさらに詳細に述べられている。スピーカ又は音響トランスデューサは、例えば、ツイーター、ミッドレンジドライバ、低域ドライバ、およびサブウーファーのいずれかを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー200は、ステレオオーディオ、モノラルオーディオ、又はその両方を再生するように静的に又は動的に構成することができる。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー200が他のゾーンプレーヤーとグループ化されてもよい。ステレオオーディオ、モノラルオーディオ、および/又はサラウンドオーディオを再生するとき、又はゾーンプレーヤー200によって受信したオーディオコンテンツがフルレンジより低いとき、ゾーンプレーヤー200は、フルレンジサウンドのサブセットを再生するように構成することもできる。
【0016】
図2Bは、分離したスピーカ210に電力を供給する内蔵アンプを含むゾーンプレーヤー202を示す。分離したスピーカは、例えば、任意のタイプのラウドスピーカを含むことができる。ゾーンプレーヤー202は、1つ、2つ、又はそれより多い数の別々のラウドスピーカに電力を供給するように構成されてもよい。ゾーンプレーヤー202は、有線パスを通じてオーディオ信号(例えば、右又は左のチャネルオーディオ又はその構成に応じた数のチャネル)を分離したスピーカ210に対して通信するように構成されている
【0017】
図2Cは、内蔵アンプを含まないが、データネットワーク上で受信した、オーディオ信号を、内蔵アンプを備えるオーディオ(又は「オーディオ/ビデオ」)受信器214に通信するゾーンプレーヤー204を示している。
【0018】
図1に戻って、いくつかの実施形態では、1つ、いくつか、又はすべてのゾーンプレーヤー102から124は、ソースから直接オーディオを取り出すことができる。例えば、ゾーンプレーヤーは、再生されるべきオーディオコンテンツの再生リスト又は再生列(本明細書では、「再生キュー」とも称される)を含んでいてもよい。再生列内の各項目は、ユーアールアイ(URI)又はいくつかの他の識別子を含んでいてもよい。URI又は識別子は、オーディオソースに対するゾーンプレーヤーを指し示すことができる。ソースは、インターネット(例えば、クラウド)上で見つけられるかもしれないし、データネットワーク128上の別のデバイス、ゾーンプレーヤー自体に格納されたコントローラ130からローカルに見つかるかもしれないし、又はゾーンプレーヤーと直接通信するオーディオソースから見つかるかもしれない。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤーは、オーディオそのものを再生できるし、オーディオを再生するために別のデバイスに送信できるし、又はゾーンプレーヤーと1つ又は複数の追加のゾーンプレーヤーとを同期してオーディオを再生することもできる。いくつかの実施形態では、再生するために別のゾーンプレーヤーに異なる第2オーディオコンテンツを送信している間、ゾーンプレーヤーは、第1オーディオコンテンツを再生することができる(又は全く再生できない)。
【0019】
説明のため、カリフォルニア州サンタバーバラのソノズ・インコーポレイテッドが現在販売提供している「PLAY:5」、「PLAY:3」、「CONNECT:AMP」、「CONNECT」、および「SUB」と呼ばれるゾーンプレーヤーがある。他の過去、現在、および/又は将来の任意のゾーンプレーヤーは、追加的に又は代替的に本明細書で開示された実施例のゾーンプレーヤーに実装して使用することができる。更に、ゾーンプレーヤーは、
図2A、2B、および2Cに示された特定の例又は提供されるソノズ製品に限定されないことを理解する。例えば、ゾーンプレーヤーは、有線のヘッドホン又は無線のヘッドホンで構成されていてもよい。更に別の例では、ゾーンプレーヤーは、テレビ用のサウンドバーを含んでいてもよい。更に別の例では、ゾーンプレーヤーは、アップル社のiPod(商標)又は同様のデバイス用のドッキングステーションを含むことができるし、又、それらと対話することができる。
【0020】
B.コントローラの例
図3は、ドッキングステーション302内の無線コントローラ300の例を示す。説明のため、コントローラ300は、
図1の制御デバイス130に対応可能である。ドッキングステーション302が備えられている場合、ドッキングステーション302は、コントローラ300のバッテリーを充電するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ300は、タッチスクリーン304を備えており、ユーザは、タッチスクリーン304をタッチすることでコントローラ300と対話可能となっている。例えば、ユーザは、オーディオコンテンツの再生リストを取り出し、ナビゲートし、1つ又は複数のゾーンプレーヤーの動作を制御し、システム構成100の全体を制御することができる。ある実施形態では、任意の数のコントローラを使用して、システム構成100を制御することができる。いくつかの実施形態では、システム構成100を制御可能なコントローラの数を制限することができる。コントローラは、無線コントローラ300のように無線であってもよいし、又はデータネットワーク128に有線で接続されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数のコントローラがシステム100に使用される場合、各コントローラは、共通のコンテンツを表示するために調整されてもよいし、1つのコントローラから生じた変更を示すためにすべてのコントローラを動的に更新してもよい。調整は、例えば、コントローラによって、1つ又は複数のゾーンプレーヤーから直接又は間接的に状態変数を定期的に要請することによって行われてもよい。状態変数は、システム100についての情報を提供してもよく、例えば、現在のゾーングループ構成、1つ又は複数のゾーンで再生しているもの、ボリュームレベル、および興味のある他の項目などを提供してもよい。状態変数は、必要に応じて、又は多くの場合プログラムされて、ゾーンプレーヤー(および、もし望むのであれば、コントローラ)間のデータネットワーク128上に渡されてもよい。
【0022】
更に、任意のネットワーク対応携帯デバイス、例えば、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、Android(登録商標)対応電話、又は任意の他のスマートフォン若しくはネットワーク対応デバイスなどで実行されるアプリケーションが、データネットワーク128に接続することによってコントローラとして使用できる。ラップトップ又はデスクトップのパーソナルコンピュータ(PC)若しくはMac上で実行されるアプリケーションも、コントローラ130として使用される。そのようなコントローラは、データネットワーク128、ゾーンプレーヤー、無線ルータを備えるインタフェースを通じてシステム100に接続されるか、又はいくつかの他の構成された接続パスを使用してシステム100に接続されてもよい。カリフォルニア州サンタバーバラのソノズ・インコーポレイテッドが提供するコントローラの例としては、「コントローラ200」、「Sonos CONTROL」、「Sonos(登録商標) Controller for iPhone」、「Sonos(登録商標) Controller for Android」、「Sonos(登録商標) Controller for Mac又はPC」を含む。
【0023】
C.データ接続の例
図1のゾーンプレーヤー102から124は、直接又は間接的にデータネットワーク、例えばデータネットワーク128に接続される。コントローラ130は、直接又は間接的にデータネットワーク128に接続されるか、又は個別にゾーンプレーヤーに接続されてもよい。データネットワーク128は、示された他の構成要素から目立つように図中に八角形で示されている。データネットワーク128が1つの場所に示されているが、そのようなネットワークは、システム100の中および周りに拡がっていることが理解される。特に、データネットワーク128は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、又は有線ネットワークと無線ネットワークの両方の組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー102−124の1つ又は複数は、専有のメッシュネットワークに基づいて、データネットワーク128に無線で接続されている。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー102−124の1つ又は複数は、非メッシュトポロジーを使用して、データネットワーク128に無線で接続される。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー102−124の1つ又は複数は、イーサネット(登録商標)又は同様の技術を使用し、データネットワーク128への有線を通じて接続されている。1つ又は複数のゾーンプレーヤー102−124をデータネットワーク128に接続することに加えて、データネットワーク128は、更に、例えば、インターネットなどのワイドエリアネットワークにアクセス可能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー102−124のいくつか、又はいくつかの他の接続デバイスをブロードバンドルータに接続することによって、データネットワーク128が形成されてもよい。他のゾーンプレーヤー102−124は、その後、データネットワーク128に対して有線で追加することができるか、又は無線で追加することができる。例えば、ゾーンプレーヤー(例えば、ゾーンプレーヤー102−124のいずれか)は、ゾーンプレーヤーに設けられたボタンを単に押すことによって、システム構成100に追加され(又はいくつかの他のアクションを実行し)、データネットワーク128への接続を可能にしている。ブロードバンドルータは、例えば、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に接続することができる。ブロードバンドルータは、他のアプリケーション(例えば、ウェブサーフィン)に使用可能なシステム構成100内の別のデータネットワークを形成するために使用することができる。データネットワーク128はまた、そのようにプログラムされている場合にも使用することができる。一例では、第2ネットワークは、サンタバーバラのソノズ・インコーポレイテッドによって開発されたソノズネット(商標)・プロトコルを実装してもよい。ソノズネット(商標)は、安全で、AES暗号化された、ピア・ツー・ピアの無線メッシュネットワークを表す。あるいは、ある実施形態では、データネットワーク128は、家庭内の他の用途に使用されるネットワーク、例えば従来の有線ネットワーク又は無線ネットワークと同じネットワークである。
【0025】
D.ゾーン構成の例
特定のゾーンは、1つ又は複数のゾーンプレーヤーを含むことができる。例えば、
図1のファミリールームでは、2つのゾーンプレーヤー106および108を含んでおり、一方キッチンでは、1つのゾーンプレーヤー102を備えていることが示されている。別の例では、ホームシアタールームは、5.1チャネル以上のオーディオソースからのオーディオ(例えば、5.1以上のオーディオチャネルにてエンコードされたムービー)を再生する追加のゾーンプレーヤーを有する。いくつかの実施形態では、1つは、ルーム内又はスペース内にゾーンプレーヤーを配置し、コントローラ130を通じてゾーンプレーヤーを新しいゾーンに割り当てるか、又は既存のゾーンに割り当てることができる。そのように、ゾーンが形成されてもよく、別のゾーンと組み合わされてもよく、取り除かれてもよく、特定の名前(例えば、「キッチン」)を与えてもよい。また、望むのならば、コントローラ130でそのようにするようにプログラムされてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ゾーン構成は、コントローラ130又はいくつかの他の機構を使用して構成された後においても動的に変更してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、ゾーンが、2つ以上のゾーンプレーヤー、例えば、ファミリールームにおいて2つのゾーンプレーヤー106および108を含む場合、2つのゾーンプレーヤー106および108は、同じオーディオソースを同期して再生するように構成することができる。また、2つのゾーンプレーヤー106および108は、例えば、左と右のチャネルのように、2つの別のサウンドを再生するようにペアにすることもできる。言い換えれば、サウンドのステレオ効果は、一方を左サウンド用、他方を右サウンド用として使用する2つのゾーンプレーヤー106および108を通して、再現されてもよく、又は強化されてもよい。ある実施形態では、ペアのゾーンプレーヤー(「結合したゾーンプレーヤー」とも呼ばれる)は、同じゾーン又は異なるゾーンにおける他のゾーンプレーヤーと同期してオーディオを再生することもできる。
【0027】
いくつかの実施形態では、2つ以上のゾーンプレーヤーを音響的に統合し、単一の統合されたゾーンプレーヤーを形成することができる。統合されたゾーンプレーヤーは、追加のスピーカドライバを通ってサウンドが流れるため、(複数の異なったデバイスから構成されている)統合されたゾーンプレーヤーは、統合されていないゾーンプレーヤー又はペアにされたゾーンプレーヤーと比べて、サウンドの処理や再現を異なるように構成することができる。統合されたゾーンプレーヤーは、更に、単一のゾーンプレーヤー又は他の統合されたゾーンプレーヤーとペアにすることができる。統合された再生デバイスのそれぞれの再生デバイスは例えば、統合モードに構成される。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、ユーザは、ゾーンプレーヤーのグループ化、統合、ペアリング等のいずれかを行い続け、所望の構成を完成させることができる。グループ化、統合、およびペアリングの操作は、好ましくは、例えば、コントローラ130を使用するなどの制御インタフェースを通じて行われ、異なる構成を作成するようにスピーカワイヤーを、例えば、個々の、離れたスピーカに物理的に接続および再接続することなく行われる。このように、本明細書に記載された特定の実施形態は、より柔軟で動的なプラットフォームを提供し、サウンド再生をエンドユーザに提供することができる。
【0029】
E.オーディオソースの例
いくつかの実施形態では、各ゾーンは、別のゾーンのオーディオソースと同じオーディオソースから再生できる。また、各ゾーンは、それぞれ異なるオーディオソースで再生することもできる。例えば、誰かがパティオ上でグリルしながら(grilling)、ゾーンプレーヤー124を通じてジャズ音楽を聞くことができる。また、誰かがキッチンで食事の準備をしながらゾーンプレーヤー102を通じてクラシック音楽を聞くこともできる。さらに、誰かがオフィスにいながら、パティオ上でゾーンプレーヤー124を通じて再生されているジャズ音楽と同じ音楽を、ゾーンプレーヤー110を通じて聞くこともできる。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー110と124を通じて再生されるジャズ音楽が、同期して再生される。複数のゾーン間で再生を同期することで、オーディオを途切れさせることなく(又はほぼ途切れさせることなく)聞きながら、ユーザは、複数のゾーンを移動することができる。さらに、ゾーンを「パーティーモード」とし、連結された全てのゾーンが同期してオーディオを再生することもできる。
【0030】
ゾーンプレーヤー102−124によって再生されるオーディオコンテンツのソースは、多数ある。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー自体が有する音楽にアクセスされ、その音楽が再生されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ又はネットワーク接続ストレージ(NAS)上に記憶された個人のライブラリから音楽が、データネットワーク128を通じてアクセスされ、再生されてもよい。いくつかの実施形態では、インターネットラジオ局、番組、およびポッドキャストが、データネットワーク128を通じてアクセスすることができる。ユーザに音楽とオーディオコンテンツを流す、および/又はダウンロードさせる音楽サービス又はクラウドサービスは、データネットワーク128を通じてアクセスできる。さらに、音楽は、例えば、ターンテーブル又はCDプレーヤーなどの従来のソースから、ラインイン接続を通じてゾーンプレーヤーに接続して、得られてもよい。オーディオコンテンツはまた、異なるプロトコル、例えば、アップル社のエアプレイ(商標)ワイヤレス技術を使用して、アクセスすることができる。1つ又は複数のソースから受信されたオーディオコンテンツは、データネットワーク128および/又はコントローラ130を通じて、ゾーンプレーヤー102から124の間で共有することができる。上述したオーディオコンテンツのソースは、本明細書において、ネットワークベースのオーディオ情報ソースと呼ばれる。しかしながら、ネットワークベースのオーディオ情報は、それらに限定されない。
【0031】
いくつかの実施形態では、例示のホームシアターゾーンプレーヤー116、118、120は、テレビ132などのオーディオ情報に接続されている。いくつかの例では、テレビ132が、ホームシアターゾーンプレーヤー116、118、120のためのオーディオソースとして使用されており、一方、他の例においては、テレビ132からのオーディオ情報がオーディオシステム100内のゾーンプレーヤー102−124のいずれかと共有することができる。
【0032】
III.ゾーンプレーヤー
図4を参照すると、実施の形態に関連するゾーンプレーヤー400の例示的なブロック図が示されている。
図4のゾーンプレーヤー400は、ネットワークインタフェース402、プロセッサ408、メモリ410、オーディオ処理コンポーネント412、1つ又は複数のモジュール414、オーディオアンプ416、およびスピーカユニット418を含む。スピーカユニット418は、オーディオアンプ416に接続されている。
図2Aは、そのようなゾーンプレーヤーの例を図示している。他のタイプのゾーンプレーヤーは、(例えば、
図2Bに示される)スピーカユニット418又は(例えば、
図2Cに示される)オーディオアンプ416を含まなくてもよい。さらに、ゾーンプレーヤー400は、別のコンポーネントに統合できることが意図されている。例えば、ゾーンプレーヤー400は、屋内又は屋外で使用するテレビ、照明、又はいくつかの他のデバイスの一部として構成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース402は、データネットワーク128上のゾーンプレーヤー400と他のデバイスとの間のデータフローを可能にする。いくつかの実施形態では、データネットワーク128上の別のゾーンプレーヤー又はデバイスからオーディオを取得することに加えて、ゾーンプレーヤー400は、オーディオソースから、例えば、ワイドエリアネットワーク上のオーディオソースから、又はローカルネットワーク上のオーディオソースから直接オーディオにアクセスできる。更に、いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース402は、各パケットのアドレス部を扱い、各パケットが正しい宛先に到達するように、ゾーンプレーヤー400に向かうべきパケットを受信する。したがって、特定の実施形態では、パケットのそれぞれは、IPベースのソースアドレスだけでなくIPベースの宛先アドレスも含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース402は、無線インタフェース404と有線インタフェース406のどちらか一方又は両方を含むことができる。無線インタフェース404は、無線周波数(RF)インタフェースとも呼ばれ、ゾーンプレーヤー400にネットワークインタフェース機能を提供し、通信プロトコル(例えば、IEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、又は802.15.1を含む、任意の無線規格)に従って他のデバイス(例えば、他のゾーンプレーヤー、スピーカ、受信機、データネットワーク128に関連付けられたコンポーネントなど)と無線で通信する。無線インタフェース404は、1つ又は複数のラジオを含んでもよい。無線信号を受信し、無線信号を無線インタフェース404に提供し、無線信号を送信するため、ゾーンプレーヤー400は、1つ又は複数のアンテナ420を含む。有線インタフェース406は、ネットワークインタフェース機能をゾーンプレーヤー400に提供し、通信プロトコル(例えば、IEEE802.3)に従って他のデバイスと有線で通信する。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤーは、インタフェース404と406の両方を含む。いくつかの実施形態では、ゾーンプレーヤー400は、無線インタフェース404のみを含むか、又は有線インタフェース406のみを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、プロセッサ408は、クロック駆動の電子デバイスであり、コンピュータのメモリ410に記憶された命令に従って、入力データを処理するように構成されている。メモリ410は、1つ又は複数のソフトウェアモジュール414を搭載することができるデータストレージであり、コンピュータのプロセッサ408によって実行されることで特定のタスクを実行することができる。図示された実施形態では、メモリ410は、有形のコンピュータで読み取り可能な記録媒体であって、プロセッサ408によって実行可能な命令を記憶している。いくつかの実施形態では、タスクとは、ゾーンプレーヤー400が別のゾーンプレーヤー又はネットワーク上のデバイスから(例えば、ユニフォームリソースロケータ(URL)又はいくつかの他の識別子を使用して)オーディオデータを取得することであってもよい。いくつかの実施形態では、タスクは、ゾーンプレーヤー400が別のゾーンプレーヤーにオーディオデータを送信することか、又はネットワーク上のデバイスにオーディオデータを送信することであってもよい。いくつかの実施形態では、タスクは、ゾーンプレーヤー400のオーディオの再生を1つ又は複数の追加のゾーンプレーヤーと同期させることであってもよい。いくつかの実施形態では、タスクは、ゾーンプレーヤー400を1つ又は複数のゾーンプレーヤーとペアにし、マルチチャネルオーディオ環境を作成することであってもよい。追加のタスク又は代替的なタスクは、1つ又は複数のソフトウェアモジュール414およびプロセッサ408を通じて実行することができる。
【0036】
オーディオ処理コンポーネント412は、1つ又は複数のデジタル−アナログ変換器(DAC)、オーディオ前処理コンポーネント、オーディオ強化コンポーネント又はデジタル信号プロセッサなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、オーディオ処理コンポーネント412は、プロセッサ408の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、ネットワークインタフェース402を通じて取り出されたオーディオを通じて取り出されたオーディオは、オーディオ処理コンポーネント412によって処理される、および/又は意図的に変更される。さらに、オーディオ処理コンポーネント412は、アナログオーディオ信号を生成することができる。処理されたアナログオーディオ信号は、オーディオアンプ416に提供され、スピーカ418を通して再生される。また、オーディオ処理コンポーネント412は、ゾーンプレーヤー400から再生するための入力としてアナログ又はデジタル信号を処理し、ネットワーク上の別のゾーンプレーヤーに送信することができる。また、オーディオ処理コンポーネント412は、ネットワーク上の別のデバイスに再生と送信の両方を行うための回路を含むこともできる。入力の例としては、ラインイン接続(例えば、オートディテクティング3.5mmオーディオラインイン接続)を含む。
【0037】
オーディオアンプ416は、1つ又は複数のスピーカ418を駆動できるレベルまでオーディオ信号を増幅するデバイスである。1つ又は複数のスピーカ418は、個々の変換器(例えば、「ドライバ」)又は1つ又は複数のドライバを内包する筐体を含んだ完全なスピーカシステムを含むことができる。特定のドライバは、例えば、サブウーファー(低周波用)、ミッドレンジドライバ(中周波用)、およびツイーター(高周波用)であってもよい。筐体は、例えば、密封することもでき、又は移植することもできる。各トランスデューサは、それ自体の個々の増幅器によって駆動されてもよい。
【0038】
現在、市販されている例として知られているゾーンプレーヤーとして、内蔵アンプとスピーカとを備えるPLAY:5がある。PLAY:5は、例えば、インターネット又はローカルネットワークなどのソースから直接オーディオを取り出すことができる。特に、PLAY:5は、5アンプ、5ドライバ・スピーカシステムであり、それは2つのツイーター、2つのミッドレンジドライバおよび1つのウーファーを含んでいる。PLAY:5を通じてオーディオコンテンツを再生する場合、トラックの左側のオーディオデータは、左側のツイーターと左側のミッドレンジドライバから送られる。トラックの右側のオーディオデータは、右側のツイーターと右側のミッドレンジドライバから送られる。また、モノラル低音は、サブウーファーから送られる。さらに、両方のミッドレンジドライバと両方のツイーターが同じイコライゼーション(又は実質的に同じイコライゼーション)を有してもよい。つまり、これらの両方は同じ周波数でも異なるオーディオチャネルから送信される。PLAY:5は、インターネットラジオ局又はオンライン音楽・ビデオサービスからのオーディオ、ダウンロードされた音楽、アナログオーディオ入力、テレビ、DVDなどを再生することができる。
【0039】
IV.コントローラ
図5を参照すると、
図1の制御デバイス130に対応可能なコントローラ500の例示的なブロック図が示されている。コントローラ500は、システム内のマルチメディアアプリケーションの制御、自動化およびその他のことを可能にするために使用することができる。特に、コントローラ500は、ネットワーク上にて利用可能な複数のオーディオソースを選択することを可能にすると共に、無線又は有線のネットワークインタフェース508を通じて1つ又は複数のゾーンプレーヤー(例えば、
図1のゾーンプレーヤー102−124)の制御を可能にするように構成することができる。一実施形態によれば、無線通信は、標準規格に基づいている(例えば、赤外線、ラジオ、あるいは無線規格のIEEE802.11a、802.11b、802.11g、802.11n又は802.15など)。さらに、特定のオーディオがコントローラ500を通じてアクセスされている場合か、又は特定のオーディオがゾーンプレーヤーを経由して再生されている場合、画像(例えば、アルバムアート)又は他のデータが、オーディオおよび/又はオーディオソースに関連付けられてコントローラ500へ送信され、あるゾーンプレーヤー又は他の電子機器から表示することもできる。
【0040】
コントローラ500には、スクリーン502と入力インタフェース514が設けられている。これにより、ユーザはコントローラ500と対話し、例えば、多くのマルチメディア項目の再生リストをナビゲートしたり、1つ又は複数のゾーンプレーヤーの動作を制御することができる。コントローラ500上のスクリーン502は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンとすることができる。スクリーン502は、マイクロコントローラ(例えば、プロセッサ)506によって制御されるスクリーンドライバ504と通信すると共に、コマンドを受信する。メモリ510は、1つ又は複数のアプリケーションモジュール512をロードすることができる。いくつかの実施形態では、アプリケーションモジュール512は、選択された複数のゾーンプレーヤーをゾーングループにグループ化し、ゾーンプレーヤーを同期して、オーディオを再生することができるように構成されている。いくつかの実施形態では、アプリケーションモジュール512は、ゾーングループ内のゾーンプレーヤーのオーディオサウンド(例えば、ボリューム)を制御するように構成されている。動作中において、マイクロコントローラ506がアプリケーションモジュール512の1つ又は複数を実行するとき、スクリーンドライバ504は、スクリーン502を駆動するための制御信号を生成し、特定のユーザインタフェースにアプリケーションを表示する。
【0041】
コントローラ500は、有線又は無線でゾーンプレーヤーと通信できるネットワークインタフェース508を含む。いくつかの実施形態では、ボリュームコントロールおよびオーディオ再生同期などのコマンドは、ネットワークインタフェース508を通じて送信される。いくつかの実施形態では、保存されたゾーングループ構成がネットワークインタフェース508を通じてゾーンプレーヤーとコントローラとの間に転送される。コントローラ500は、1つ又は複数のゾーンプレーヤー、例えば、
図1のゾーンプレーヤー102−124などを制御することができる。特定のシステム用に複数のコントローラを利用することができる。各コントローラは別のコントローラと共通の情報を共有することができる。又は、ゾーンプレーヤーが構成データ(例えば、状態変数など)を格納している場合、ゾーンプレーヤーから共通の情報を取り出すことができる。さらに、コントローラは、ゾーンプレーヤーに統合することできる。
【0042】
他のネットワーク対応デバイス、例えば、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)若しくは他の任意のスマートフォン又はネットワーク対応デバイス(例えば、PC又はMac(登録商標)などのネットワーク化されたコンピュータなど)は、特定の環境内のゾーンプレーヤーと対話するためのコントローラ、又は制御するためのコントローラとしても使用できることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーション又は更新は、ネットワーク対応デバイス上にダウンロードされ、本明細書で述べられている機能を実行できる。
【0043】
ある実施形態では、ユーザは、コントローラ500から少なくとも2つのゾーンプレーヤーを含むゾーングループ(結合されたゾーンとも呼ばれる)を作成することができる。ゾーングループ内のゾーンプレーヤーは、同期化された方法でオーディオを再生し、ゾーングループ内の全てのゾーンプレーヤーが同一のオーディオソースを再生する方法か、試聴遅延がないか又は音が途切れない(試聴遅延がほぼないか又は音の途切れがほぼない)ように同期する方法で、同一のオーディオソースのリストを再生することができる。同様に、いくつかの実施形態絵は、ユーザがコントローラ500からグループのオーディオボリュームを大きくするとき、グループのオーディオボリュームを大きくする信号又はデータが、ゾーンプレーヤーの1つに送信され、グループ内の他のゾーンプレーヤーのボリュームを一緒に大きくする。
【0044】
ユーザは、コントローラ500を通じて、「Link Zones」(「ゾーンをリンク」)又は「Add Zones」(「ゾーンを追加」)のソフトボタンをアクティブにすることによってゾーンプレーヤーをゾーングループにグループ化することができ、又ユーザは、「Unlink Zones」(「ゾーンをリンク解除」)又は「Drop Zones」(「ゾーンをドロップ」)ボタンをアクティブにすることによってゾーングループをグループ解除することができる。例えば、オーディオを再生するためにゾーンプレーヤーを一緒に「加入させる」ための1つの機構は、複数のゾーンプレーヤーをリンクしてグループを形成することである。
【0045】
ある実施形態では、ユーザは、例えば、単一のゾーンで始めて、その後手動でそれぞれのゾーンをそのゾーンにリンクすることによって、6つのゾーンプレーヤーのうち任意の数のゾーンプレーヤーだけをリンクすることができる。
【0046】
ある実施形態では、ゾーンは、コマンドを使用して共に動的にリンクし、(最初にゾーンシーンを作成した後に)ゾーンシーン又はテーマを作成することができる。例えば、「Morning」(「朝」)ゾーンシーンコマンドは、寝室、オフィス、およびキッチンゾーンを1つの動作で一緒にリンクすることができる。この単一のコマンドがないと、ユーザは、各ゾーンを手動で個別にリンクする場合がある。単一のコマンドは、マウスクリック、ダブルマウスクリック、ボタンを押すこと、ジェスチャー、又はいくつあの他のプログラムされた動作を含んでもよい。他の種類のゾーンシーンをプログラムすることもできる。
【0047】
ある実施形態では、ゾーンシーンは、時間(例えば、アラームクロック機能)に基づいてトリガーすることができる。例えば、ゾーンシーンは、午前8:00に適用されるように構成することができる。システムは、適切なゾーンに自動的にリンクすることができ、特定の音楽を再生するように構成することができる。任意の特定のゾーンが時間に基づいて状態を「オン」又は「オフ」にトリガーすることができるが、例えば、ゾーンシーンは、シーンとリンクされた任意のゾーンが、予め定義されたオーディオ(例えば、お気に入りの曲、ア予め定義された再生リスト)を、特定の時間に、および/又は特定の期間で再生可能なようにしている。何らかの理由により、スケジュールされた音楽の再生を失敗した(例えば、再生リストが空である、共有への接続がない、ユニバーサルプラグアンドプレイ(UPnP)の失敗、インターネットラジオ局へのインターネット接続がないなどの)場合、バックアップブザーが鳴るようにプログラムすることができる。
【0048】
V.例示的なアドホックネットワーク
再生ネットワークへの接続を容易にするいくつかのシステムおよびその方法を説明するために、
図6に関連して、いくつかの例が提供される。
図6は、アドホックネットワーク610とも称されるネットワークブランチを形成する3つのゾーンプレーヤー602、604、606とコントローラ608が存在することを示している。ネットワーク610は、有線、無線又はこれらの組み合わせであってもよい。一般に、アドホック(又は「自発的(spontaneous)」)ネットワークは、全てのトラフィック用のアクセスポイントが通常は存在しないローカルエリアネットワーク又はその他のスモールネットワークである。確立されたアドホックネットワーク610において、デバイス602、604、606、608は全て、例えば、「ピアツーピア」の通信方式により互いに通信可能である。さらに、ネットワーク610においてデバイスを追加/削除してもよく、ネットワーク610は、ユーザによる再設定がなくとも自動的にネットワーク610自体を再設定する。
図6ではアドホックネットワークを示したが、アドホックネットワークとは完全に異なる又は部分的に異なるネットワークの種類に基づいた再生ネットワークであってもよい。
【0049】
アドホックネットワーク610を使用することで、デバイス602、604、606、608は、1つ又は複数のオーディオソースを共有又は交換するとともに、同一の又は異なるオーディオソースを再生するように動的にグループ化が可能である。例えば、デバイス602、604が1曲の音楽を再生するようにグループ化されると同時に、デバイス606は別の音楽を再生する。換言すれば、デバイス602、604、606、608は、
図6に示されるように、オーディオを配信および/又は音声を再生するHOUSEHOLD(ハウスホールド)を形成する。本明細書で使用されるHOUSEHOLD(ユーザの居住地と明確に区別するために大文字で表される)という用語は、アプリケーション又はサービスを提供するために協働するネットワークデバイスの集合体を表すものとして使用される。HOUSEHOLDの一例は、ハウスホールド610(又はハウスホールド識別子)により特定されるが、それとは異なる領域や場所によってHOUSEHOLDが特定されてもよい。
【0050】
ある実施形態では、ハウスホールド識別子(HHID)は、固有であることを保証するためにコンピュータにて生成された短い文字列や識別子である。したがって、ネットワーク610は、固有のHHIDと、チャネル(例えば、各周波数バンド)、SSID(無線ネットワークの名称である一連の英数字)、WEPキー(有線同等プライバシー又はその他のセキュリティキー)などの構成変数やパラメータの固有セットと、によって特徴付けることができる。ある実施形態では、SSIDは、HHIDと同じになるように設定される。
【0051】
ある実施形態では、各HOUSEHOLDには、コントロールポイント(CP)とゾーンプレーヤー(ZP)の2種類のネットワークノードがある。コントロールポイントは、必要なネットワークパラメータ(例えば、WEPキー)の自動生成を行い、ネットワーク全体のセットアッププロセスおよびそのシーケンシングを制御する。ある実施形態では、CPは、ハウスホールド設定用のユーザインタフェースをユーザに提供する。CPにおける機能は、例えば、CPアプリケーションモジュールを実行しているコンピュータによって、又は、CPアプリケーションモジュールを実行しているハンドヘルドコントローラ(例えば、コントローラ308)によって提供することができる。ゾーンプレーヤーは、自動設定プロセスに加入するために配置されているネットワーク上のその他のデバイスである。本明細書で使用する表記としてのZPは、例えば、コントローラ608又はコンピューティングデバイスを含む。いくつかの実施形態では、CPとZPの両方における機能性又は機能性の一部が単一のノードにて組み合わされる(例えば、ZPがCPを含む、又はCPがZPを含む)。
【0052】
ある実施形態では、HOUSEHOLDの設定は、通信用の標準的なネットワークプロトコル(例えば、有線又は無線のイーサネット(登録商標)上のIP)を使用することができるように既知の設定を集合および確立させる複数のCPとZPを伴う。ある実施形態では、イーサネット(登録商標)802.3およびワイヤレス802.11gの2種類のネットワーク/プロトコルが採用されている。CPとZPの間の相互接続には、ネットワーク/プロトコルのいずれも使用することができる。HOUSEHOLDのメンバーであるシステム内のデバイスは、両方のネットワークに同時に接続することができる。
【0053】
両方のネットワークが使用中である環境においては、システム内における少なくとも1つのデバイスがブリッジデバイスとしてその両方に接続されることが想定され、これにより、有線/無線のネットワーク間における他人とのブリッジングサービスを提供する。
図6のゾーンプレーヤー606は、例えば、両方のネットワークに接続されるように示されている。ネットワーク612への接続はイーサネット(登録商標)および/又は無線に基づく一方で、所望の場合には、他のデバイス602、604、608への接続は無線とイーサネット(登録商標)に基づいている。
【0054】
しかしながら、いくつかの実施形態では、各ゾーンプレーヤー606、604、602は、ブリッジデバイスを介してクラウド(例えば、インターネット)からメディアを取得するときにインターネットにアクセスすることができる。例えば、ゾーンプレーヤー602は、クラウド内の特定のオーディオトラックへのアドレスを指定するユニフォームリソースロケータ(URL)を含んでもよい。URLを使用することで、ゾーンプレーヤー602はクラウドからオーディオトラックを取得し、最終的には1つ又は複数のゾーンプレーヤーから音声を再生する。
【0055】
VI.モバイル音楽
図1、
図6又は
図7に示すような例示のシステムでは、1つ又は複数の再生デバイスおよび1つ又は複数のコントローラを含むソノズシステムが、ローカルエリアネットワーク(LAN)を通じて接続されている。このようなシステムでは、ユーザが自宅の中/外へ移動する際に、オーディオの体験をシームレス又は実質的にシームレスに移行できるようにすることが有用となり得る。例えば、いくつかの実施形態によれば、ユーザはポータブル再生デバイスを用いて、自宅からビーチ、公園、ホテル、友人の家、ボート、あるいはユーザが行先として決定した場所なら通常どこでも、オーディオ体験を移行させることができる。また、ビーチや公園、あるいはウォーキングやジョギングに行くときなどポータブルデバイスを持って自宅から外出するときに、当該ポータブルデバイスの機能によって、シームレス又は実質的にシームレスにオーディオ体験を移行できるようにすることが有用となり得る。
【0056】
A.ポータブル再生デバイスの例示
ある実施形態では、ポータブル再生デバイスは、
図2および
図4に記載したゾーンプレーヤーを備える。ある実施形態では、ポータブル再生デバイスは、ブロードバンドインタフェースを備えており、当該ブロードバンドインタフェースは、無線や有線のインタフェースにより最初にLANに接続することなく、インターネットに直接接続する。別の実施形態では、ポータブル再生デバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ又はラップトップなどのモバイルデバイスとペアリングを行うブルートゥース又はその他の無線インタフェースを備える。さらに別の実施形態では、ポータブル再生デバイスは、動作用のメインサービスに接続する必要がないようにバッテリパックを備える。さらに別の実施形態では、ポータブル再生デバイスは、再生デバイスや再生デバイスのシステムに関わる設定および制御をユーザが行えるようにするための表示画面や入力インタフェースといった、
図3および
図5に記載のコントローラによる内蔵型制御機能を有する。さらに別の実施形態では、ポータブル再生デバイスは、特定の天候や屋外環境に耐えるように設計されている。
【0057】
図4の例示的なゾーンプレーヤー400と同様に、
図8の例示的なポータブルプレーヤー800は、プロセッサ408と、メモリ410と、オーディオ処理コンポーネント412と、モジュール414と、オーディオアンプ416と、スピーカー418と、1つ又は複数のアンテナ420とを備える。これらのコンポーネントについては、上記でより詳細に説明される。含めるコンポーネントの数を所望の構成に応じて増減させてもよい。ポータブルプレーヤー800は、ネットワークインタフェース802を備えており、当該ネットワークインタフェース802は、無線インタフェース404と、有線インタフェース406と、ブロードバンドインタフェース804とを備える。ブロードバンドインタフェース804は例えば、3G、4Gあるいはブルートゥースなどの産業規格に基づいてブロードバンドのインターネットワークセスを提供する。ポータブルプレーヤー800は、メイン入力を使用しない場合にデバイスに電力を供給するバッテリパック806を備える。バッテリパックとしては、単体のバッテリ又はバッテリの集合体が使用されてもよく、また当該バッテリは、充電式でも非充電式であってもよい。制御インタフェース808は、表示画面810と、入力インタフェース812とを備える。表示画面810は例えば、LCDスクリーンであってもよい。入力インタフェース812は、タッチパネルインタフェースや、ハードボタンインタフェースや、対応するソフトキー(常に存在する場合もそうでない場合もある)を有した静電容量式又は抵抗式のタッチインタフェースであってもよい。
【0058】
ポータブル再生デバイスの例示としては、人によって持ち運び可能な再生デバイス(例えば、既存のソノズ社製のPLAY:3又はPLAY:5は持ち運び可能であるとともに、ポータブル再生デバイスとして動作するようにソフトウェアによりさらに設定され得る)や、ポータビリティ用に設計された再生デバイス(例えば、容易に持ち運び可能なものおよび/又はバッテリ電源供給可能なもの)や、室外での使用のために設計された再生デバイスや、スピーカおよび/又はオーディオ出力を有した本明細書に記載されるような動作を行うスマートフォンや、スマートフォンと同様にスピーカおよび/又はオーディオ出力を有するタブレットや、ポータブル再生デバイスとして動作するようにハードウェアおよび/又はソフトウェアにより修正される既存のゾーンプレーヤー、などが含まれてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスは音響ソリューションを提供する。例えば、ポータブル再生デバイスを単独でおよび/又は1つ又は複数の他の再生デバイスと組み合わせて使用して音響空間を生成してもよい。音響空間は例えば、特定の音の質感を有した領域である。ポータブル再生デバイスは、広い空間に音を出力するよりもむしろ、部屋又はその他の空間の一部における視聴用に出力音を整形する又は集中させてもよい。例えば、ポータブル再生デバイスから周囲空間への音声出力を整形および/又は集中させる際には、ポータブル再生デバイスの方向、位置、出力パラメータ、および/又はその他の設定を用いてもよい。ある実施形態では、ホームオーディオ再生システムに接続されたときに音響ソリューションを提供するものとしてポータブル再生デバイスを使用してもよいが、その他にもフルレンジ又は略フルレンジのラウドスピーカーシステムとして使用してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスは複数の電力モードを有する。例えば、ポータブルプレーヤーは、通常の電力モードに加えて低電力モードで動作してもよい。当該電力モードは例えば、モバイルモードで動作するとき、および/又は、バッテリーを使用して動作するときに適用可能である。別の例では、ポータブルプレーヤーは、オン/オフの機能又はスタンバイモードを有する。例えば、ポータブルプレーヤーは、ポータブルプレーヤーをオフにするおよび/又はスタンバイモードにするためのユーザアクセス可能なボタンやその他のユーザインタフェースを有する。別の例では、ポータブルプレーヤーは、シャットダウンを行うおよび/又はスタンバイモードにするための独自の電力管理インテリジェンスを有する。
【0061】
B.ポータビリティ
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスは例えば、
図1および
図6に関して上述したようなホームネットワーク又はHOUSEHOLDに追加される。ポータブル再生デバイスなどのゾーンプレーヤーをホームネットワークに追加する際には、人の介入を最小限としながら行うことができる。具体的には例えば、コントローラ上で「ハウスホールドへの加入」の手順を開始した後に、デバイス上のボタンを押す又はその他のユーザクションを行うことで、当該ネットワーク(ソノズネット(商標))にポータブル再生デバイスを加入可能とする場合である。いくつかの実施形態では、その他の方法によってポータブル再生デバイスをホームネットワークに加入させてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスなどのゾーンプレーヤーによるホームネットワークへの加入の際に、当該再生ネットワークを識別するためのグローバル一意システムID(例えば、ハウスホールドID又はHHID)が用いられる。システムIDの決定は、再生ネットワークが最初に確立された後、再生ネットワーク内の全てのデバイス(例えば、ゾーンプレーヤーとコントローラ)が同じシステム識別子を有しているときに行ってもよい。
【0063】
ポータブル再生デバイスがホームネットワークに加入すると、部屋又はゾーンへの割り当ておよびオーディオシステムへの組み込みが可能となる。例えば、キッチンゾーンがまだ確立されていない場合には、ポータブル再生デバイスをキッチンに割り当てることで、キッチンゾーンを形成してもよい。別の例では、ポータブル再生デバイスは、位置の固定されない、家を中心に移動するポータブルゾーンに割り当てられる。別の例では、ポータブル再生デバイスは、別のゾーンプレーヤーと同期状態又はステレオペア状態のように確立されたゾーングループ内において他のプレーヤーと再生を行うように構成されてもよい。さらに別の例では、ポータブル再生デバイスを用いて音響が提供される。別の例では、ポータブル再生デバイスを用いてより指向性の強い音が提供される。
【0064】
システム内における他のゾーンプレーヤーと同様に、ポータブル再生デバイスを別のゾーン又は別のゾーングループに動的に再構成してもよい。このような再構成は、ユーザがコントローラ又はプレーヤーにおけるユーザインタフェースを用いて又はその他のメカニズムによって行ってもよい。例えば、ポータブル再生デバイスは、キッチンゾーンからファミリールームゾーンに移動する場合がある。一実施形態では、ユーザはコントローラを使用してポータブルプレーヤーをファミリールームゾーンに再割当することで、システムの変更を行うことができる。別の実施形態では、既にゾーンの一部となっているポータブル再生デバイスおよびゾーンプレーヤーにおけるボタンの組み合わせを押すことにより、コントローラを使用せずにポータブル再生デバイスを別のゾーンに追加することができる。さらに別の実施形態では、近傍検知を使用して、ポータブル再生デバイスをゾーン又はゾーングループに自動的に加入させる。
【0065】
いくつかの実施形態では、再生システムは、例えばホームネットワークにおけるゾーンプレーヤーの識別情報やゾーングループの設定といった再生システムについての情報を維持する状態変数を利用する。状態変数には、その他の態様のものが保存されていてもよい。状態変数は、ホームネットワーク内におけるデバイス間の通信によって知られる、設定される、あるいは学習される。ゾーンプレーヤーは、各種ゾーングループに加入および/又は離脱するときに状態変数を自動的に更新することで、各グループにおけるメンバーシップの変更を反映させる。ゾーンプレーヤーは、ポータブル再生デバイスなどのデバイスがネットワークの範囲内から離脱する又は当該範囲内に入るときに、状態変数を更新してもよい。要求に応じて又は定期的に状態変数をコントローラに提供することで、現在のシステム設定をユーザに通知するようにしてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスの電源がオフにされた後、当該デバイスに電力が回復されたときに、ポータブル再生デバイスは、再生ネットワークに自動的に再加入するようにプログラムされる。例えば、再生ネットワークの一部であったポータブル再生デバイスに電力が回復されると、当該デバイスは状態変数を使用して、再加入すべき再生ネットワークを識別する。いくつかの実施形態では、デバイスは再生ネットワークに加入したときに、ネットワーク内のゾーンプレーヤーやコントローラに対してシステム情報に関する照会を行うとともに、それに応じて状態変数を更新することができる。
【0067】
ポータブル再生デバイスが再生ネットワークから離脱すると、システムは、プレーヤーが離脱していることをユーザの入力なしに検出するとともに、それに応じて状態変数を更新することができる。例えば、ポータブル再生デバイスの電源がオフにされる、又はポータブル再生デバイスがネットワークの範囲外に移動した場合に、システムは、再生デバイスが離脱したことおよびローカルネットワーク上でポータブルプレーヤーとの通信が切断されたことを決定する。いくつかの実施形態では、ユーザは、ポータブル再生デバイスがホーム再生ネットワークに接続されていないことをコントローラから通知される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ホーム再生ネットワークのゾーンプレーヤーが自動的に再構成を行うことで、ポータブル再生デバイスの欠落を反映させる。例えば、あるポータブル再生デバイスが欠落しており、かつ当該ポータブル再生デバイスがステレオペアであったことを検出すると、残りのプレーヤーは、当該ステレオペアを一時的に削除するとともにフルレンジでのオーディオの再生を行う。ポータブル再生デバイスがホームネットワークに戻されたときに、ステレオペアリングを自動的に再構築して、2つのプレーヤーがステレオペアで再生を行うようにしてもよい(例えば、左右のチャネル又はその他のマルチチャネルによるオーディオの再生)。プレーヤーの欠落に対処するために、ボリュームの変更(例えば、ゾーンプレーヤーの欠落を埋め合わせるために残りのプレーヤーのボリュームを増加させる)、EQの変更、チャネルルーティングの変更、および周波数の変更など、ゾーンプレーヤーの各種設定を自動的に修正するようにしてもよい。システムは、ポータブルプレーヤーが戻ったときに、以前の設定に戻るようにしてもよい。
【0069】
ポータブル再生デバイスは、再生ネットワークの範囲外に移動するとともに、他の既存の再生ネットワークにも接続されなくなった場合(例えば、無線範囲外に移動した場合)にも、動作およびコンテンツの再生が可能な状態のままである。一実施形態では、再生デバイス内に格納された状態変数を更新して、ホームネットワークの一部ではなくなったこと、およびオーディオを取得するために独自のメカニズムを確立しなければならないことを反映させるようにしてもよい。このように、ポータブル再生デバイスは、再生ネットワークに接続又は再生ネットワークを確立することが可能であってもよく、また、ポータブル再生デバイスを介してマルチメディアコンテンツを再生するためのモバイルゾーンに接続又はそれを確立することが可能であってもよい。例えば、ポータブル再生デバイスは、ハウスホールド再生ネットワークの範囲外にあるときに、クラウドベースのストレージを介して、ローカルストレージ(例えば、携帯電話やタブレットコンピュータなど)を介して、ストリーミングソースを介して(例えば、携帯電話やタブレットコンピュータなどから)、あるいは本明細書に記載のその他の手段を介して、音楽に直接アクセスすることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、モバイルゾーンに複数のポータブル再生デバイスが加入する場合がある。ユーザは例えば、ステレオをより大きく分離することを望む場合があり、例えば、第2のポータブル再生デバイスを追加して、2つのデバイス間を無線でステレオペアにすることを望む場合がある。別の例では、ユーザは、2つ以上のデバイスをモバイルゾーンを通じて接続しながら同期して再生したい場合がある。そうするために、モバイルゾーンに加入しているそれぞれの再生デバイスが、構成セットアップモバイルネットワークID(configuration setup mobile network ID)を示す状態変数を共有してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの別々のシステムIDがポータブル再生デバイスによって維持される。例えば、ポータブル再生デバイスにおいて、ホームネットワークシステムID(HHID1)およびモバイルネットワークID(HHID2)が維持および保存される。ある実施形態では、ポータブル再生デバイスが両方のシステムからデバイスを確認することができる場合(例えば、HHID1およびHHID2のそれぞれからネットワークを検出する場合)、当該ポータブル再生デバイスはデフォルトで、例えばHHID1のシステムIDを有するホームネットワークシステムに加入する。しかしながら、ポータブル再生デバイスが1つのみのシステムを認識可能である場合には、デバイスは認識したそのシステムに加入する。ある実施形態では、両方のネットワークを制御しているコントローラをポータブル再生デバイスが現在どのネットワークに加入しているかを示すように更新することが好ましい。
【0072】
C.制御
上述したように、いくつかの実施形態では、ゾーングループを構成する、ステレオペアリングを確立する、あるいはサブウーファーのペアリングを確立するなど、ユーザが再生ネットワークを設定する場合に、当該設定の変更を反映させるために、システム設定を説明する状態変数が更新される。更新された状態変数は、1つ又は複数の再生デバイスに保存され、必要なときにコントローラによって読み出される。
【0073】
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスがホームネットワークの一部である場合に、コントローラは、ホームネットワークのシステム・再生情報をユーザに表示することができる。ポータブル再生デバイスがホームネットワークの一部でない場合も、コントローラは同様に、ホームネットワークのシステム・再生情報をユーザに表示してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、制御インタフェースは、ホームネットワークに接続しているかどうかに応じて、又は(ポータブル再生デバイスと同様に)ホームネットワーク外にあるかどうかに応じて適合(adapt)を行う。例えば、コントローラがホーム再生ネットワークに接続されている場合には、ゾーンやゾーングループなどのホーム再生ネットワークに関連付けられた通常の情報の全てを表示してもよい。しかしながら、コントローラがホーム再生ネットワークから離れているもののポータブル再生デバイスと通信している場合には、コントローラの画面を、ホームネットワークに関する情報を少なくし、かつ(さらなるポータブル再生デバイスがペアとなっている場合には)ポータブル再生デバイス又はモバイル音楽ゾーンに関する情報が多くなるように変更してもよい。コントローラは例えば、「モバイルゾーン」又はその他の識別子を表示してもよい。ユーザは、自宅のゾーンにいるかのようにモバイルゾーンとインタフェースをとることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、コントローラおよび/又はポータブル再生デバイスがクラウドに接続されている場合に、ホーム再生ネットワークに関する情報がコントローラ上に表示される。ある実施形態では、ポータブル再生デバイスは例えば、クラウドを通じてホーム再生ネットワークに接続することで、ホームネットワークの拡張部となり得る。このようにして、コントローラインタフェース上にホームネットワークに関する情報を表示してもよい。ある実施形態では、ユーザはクラウドを通じて遠方からホームネットワークを管理する。
【0076】
D.コンテンツアクセス
いくつかの実施形態では、オーディオコンテンツは、コントローラ(例えば、スマートフォン又はその他のコンピューティングデバイス)、「Play to」というポータブル再生デバイスによる機能を持つ別のコンピューティングデバイス、USBドライブ、ローカルストレージドライブ、あるいはクラウドからのものであってもよい。クラウドは通常、インターネット、並びに任意のクラウドベースのストレージ若しくはサービスソリューションを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、コントローラは、アカウントの認証情報を使用してクラウドからオーディオを取得し、取得したコンテンツをポータブル再生デバイスに向けることができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスは、ホームネットワークからのアカウント認証情報又はゲスト認証情報としてのアカウント認証情報のいずれかを維持して、クラウドからオーディオコンテンツを取得する。
【0079】
いくつかの実施形態では、ポータブル再生デバイスは、コントローラおよび/又はネットワークと通信を行う無線通信を使用する。例えば、ポータブル再生デバイスは、セルラー機能に加えて、ゾーンプレーヤーと同様の無線機能を有してもよい。このようなポータブル再生デバイスは、第4世代又はそれ以降の移動通信規格を実装して、例えばオーディオコンテンツを取得してもよい。ポータブル再生デバイスは、ブルートゥース規格を利用して、コントローラ又はコンピューティングデバイスからオーディオを取得してもよい。
【0080】
E.例示的なネットワークの説明
図9は、例示的な再生ネットワーク900の構成を示す。
図9に示す再生ネットワーク900は、モバイルデバイス910を備える。当該モバイルデバイス910は、ネットワーク920を通じて1つ又は複数の再生デバイス930、931とインタフェースをとるように構成されている。モバイルデバイス910は、既存の再生ネットワーク920と接続可能、および/又は、コンテンツの提供や1つ又は複数の再生デバイス930、931からコンテンツの取得を行うためのモバイル再生ネットワークを確立可能である。モバイルデバイス910は、ネットワーク920に接続されており、当該ネットワークを構成する1つ又は複数の再生デバイス930、931および/又はモバイルデバイス910により、コンテンツ(例えば、音楽などのオーディオコンテンツ)の再生を促進することができる。ネットワーク920との接続を介して、例えば、モバイルデバイス910を使用して1つ又は複数の再生デバイス930、931を制御してもよい。ネットワーク920との接続により、例えば1つ又は複数の再生デバイス930、931を使用して、モバイルデバイス910を制御することができる。モバイルデバイス910によって促進されるネットワーク920との接続を通じて、例えば、モバイルデバイス910および1つ又は複数の再生デバイス930、931のうちの1つ又は両方を使用して、再生用に利用可能なコンテンツを閲覧することもできる。
【0081】
F.例示的な方法の説明
図10は、ポータブル再生デバイスを通じてゾーンの設定およびコンテンツの再生を行う例示的な方法1000のフロー図を示す。
【0082】
ブロック1005において、ポータブル再生デバイスは、利用可能な再生ネットワークを探す。例えば、ポータブルゾーンプレーヤーは、接続可能なハウスホールド再生ネットワーク又はその他のビルディング再生ネットワークを探す。ブロック1010において、ポータブル再生デバイスは、ある再生ネットワーク(例えば、ハウスホールド再生ネットワーク)内にある場合に、当該既存の再生ネットワークに接続する。
【0083】
ブロック1015において、ポータブル再生デバイスを通じて、再生ネットワーク上でのコンテンツ再生の制御が促進される。ポータブル再生デバイスは例えば、当該再生ネットワークに接続された1つ又は複数の再生デバイスと同期されてもよい。例えば、ハウスホールドネットワークにおける1つ又は複数のゾーンプレーヤーとポータブル再生デバイスを同期させることで、当該1つ又は複数のゾーンプレーヤーがポータブル再生デバイスのコマンドにおいて、コンテンツを再生するようにしてもよい。
【0084】
ブロック1020において、再生ネットワークを通じて、コンテンツの再生が促進される。例えば、ポータブル再生デバイス上で利用可能な又はポータブル再生デバイスを通じて利用可能なコンテンツが閲覧される。コンテンツの閲覧を行う際には、ポータブル再生デバイス、別のコントローラ、あるいは、再生ネットワークに接続された1つ又は複数の他の再生デバイスを使用してもよい。再生用のコンテンツが選択されてもよい。例えば、ドッキングされたポータブル再生デバイスのメニュー又は当該再生デバイスから利用可能なメニューから曲が選択される。選択されたコンテンツはその後、ネットワークに接続された1つ又は複数の再生デバイスを通じて再生される。例えば、ポータブル再生デバイスで選択された曲は、再生ネットワーク上の1つ又は複数のゾーンプレーヤーを通じて再生される。
【0085】
ブロック1025において、再生ネットワークからポータブル再生デバイスが削除される。ポータブル再生デバイスは例えば、ハウスホールド再生ネットワークの範囲外にユーザによって運ばれる。ブロック1030において、ポータブル再生デバイスによって、再生ネットワークの不在が検出される。ポータブル再生デバイスは例えば、それまで接続していた再生ネットワークを通じて通信することができなくなったときを検出する。
【0086】
ブロック1035において、ポータブル再生デバイスは、モバイルネットワークの検索を行う。例えば、以前の再生ネットワークとの接続が切断された後、又は当該再生ネットワークから削除された後、ポータブル再生デバイスは、接続可能な別のネットワークを検索する。ポータブルデバイスは、利用可能なネットワークを検出した場合に、上述したように接続を試みる。
【0087】
しかしながら、ブロック1040において、利用可能な再生ネットワークが検出されなかった場合、ポータブル再生デバイスはモバイルネットワークを確立する。ポータブル再生デバイスは例えば、当該ポータブル再生デバイスを通じたコンテンツ再生を行うためのモバイルゾーンを確立する。ポータブル再生デバイスは、クラウドベースのストレージに接続、ストリーミングサービスに接続、あるいは、ポータブル再生デバイスおよび/又はスマートフォンなどのその他のユーザデバイス上にローカルに保存されたアクセスデータに接続することで、モバイルネットワーク/ゾーン上において再生用のコンテンツを提供することができる。
【0088】
ブロック1045において、ポータブル再生デバイスによって、モバイルネットワークを通じたコンテンツの再生および制御が促進される。例えば、ポータブル再生デバイスを通じて、コンテンツ、プレイリスト、ボリューム、タイミング、音声整形などを設定および促進してもよい。別の再生デバイスをモバイルゾーンに接続することで、コンテンツの提供や再生用コンテンツの受信を行うことができる。ポータブル再生デバイスによる利用が可能なモバイルのアドホックネットワークによって、動的なモバイルゾーングループの設定を促進してもよい。
【0089】
VII.結論
本明細書では、様々な例示のシステム、方法、装置、および生産物は、他のコンポーネントの中で、ハードウェア上で実行されるファームウェアおよび/又はソフトウェアを含むことが開示されている。しかしながら、そのような例は、単なる例示であり、これにより限定されものではない。例えば、これらのファームウェアコンポーネント、ハードウェアコンポーネント、および/又はソフトウェアコンポーネントのいくつか又はすべてが、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、ファームウェアのみ、又はハードウェア、ソフトウェア、および/又はファームウェアの任意の組み合わせにおいて具現化可能であることが意図されている。したがって、例示のシステム、方法、装置、および/又は生産物を説明しているが、提供されるそれらの例は、それらのシステム、方法、装置、および/又は生産物を実施する唯一の方法ではない。
【0090】
さらに、本明細書での「実施形態」の言及は、実施形態に関連して述べられた特定の特徴、構造、又は特性が、発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な場所でこの語句が用いられているが、その全てが必ずしも同じ実施形態を言及するものではなく、又、他の実施形態に対して相互排他的な別個の実施形態又は代替の実施形態でもない。このように、本明細書で述べられた実施形態に関して他の実施形態との組合せが可能であることが、明示的および暗黙的に当業者によって理解される。
【0091】
本明細書は、環境、システム、手順、ステップ、論理ブロック、処理、および他のシンボル表現に関して広く示されており、それらはネットワークに接続されるデータ処理デバイスの動作に直接又は間接的に類似するものである。これらの処理説明および表現は、一般的に当業者によって使用され、それらの仕事の内容を他の当業者に最も効率良く伝えることができる。本開示を理解するために、多くの具体的な内容が提供されている。しかしながら、本開示の特定の実施形態が特定の具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者に理解される。他の例では、実施形態を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の方法、手順、コンポーネント、および回路を詳細に説明していない。したがって、本開示の範囲は、上記した実施形態よりむしろ添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0092】
添付の特許請求の範囲のいずれかがソフトウェアおよび/又はファームウェアへの実装を純粋にカバーするように読み取れる場合には、少なくとも1つの例における要素の1つ又は複数が、ソフトウェアおよび/又はファームウェアを記憶するメモリ、DVD、CD、Blu−ray(登録商標)等の有形媒体を含むように、本明細書で明示的に定められる。