【実施例】
【0049】
マトリックスポリマー合成
以下の実施例においてコポリマーの合成に以下のモノマーが使用された:
【化1】
【0050】
ポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)の合成
ECPMA(5.092g)、MCPMA(10.967g)、MNLMA(15.661g)およびHADA(8.280g)のモノマーを60gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(27.335g)を入れ、この溶媒を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。その後、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)(0.858g)を8gのPGMEAに溶解させ、この開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。この開始剤溶液は上記反応フラスコに入れられ、次いで激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液が3時間にわたってこの反応器に滴下で供給された。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃でそのまま置いておいた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温まで冷却させた。メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(1634g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーがろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてMTBE(1634g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下、60℃で、48時間乾燥させられて、以下のポリマーA(Mw=20,120およびPDI=1.59)を得た:
【0051】
【化2】
【0052】
ポリ(MCPMA/NLM)の合成
MCPMA(17.234g)およびNLM(22.766g)のモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(31.938g)を入れ、この溶媒を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。その後この反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度にした。V601(2.831g)を8gのPGMEAに溶解させ、この開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。この開始剤溶液が前記反応フラスコに入れられ、次いで激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液が3時間にわたってこの反応器に滴下で供給された。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃でそのまま置いておいた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温まで冷却させた。MTBE(1713g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーがろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてMTBE(1713g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下、60℃で、48時間乾燥させられて、以下のポリマーB(Mw=8,060およびPDI=1.46)を得た:
【0053】
【化3】
【0054】
添加剤ポリマー合成:ポリ(メタクリル酸n−ブチル)(PnBMA)
40gのメタクリル酸n−ブチルを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(35.913g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。その後、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(1.295g)が8gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1781g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1781g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、真空下60℃で48時間乾燥させられて、31.5gのPnBMA(Mw=17,600およびMw/Mn=1.80)を得た。
【0055】
フォトレジスト組成物A
6.315gのポリマーAおよび6.315gのポリマーBを145.35gのPGMEA、96.90gのシクロヘキサノンおよび242.25gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラート中に溶解させた。この混合物に2.418gの以下に記載の「PAG A」、0.143gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、および0.31gのPnBMAを添加した。得られた混合物をローラー上で3時間ロールし、次いで0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン
(登録商標)フィルターを通して濾過した。
【0056】
【化4】
【0057】
溶媒の構造
以下の溶媒が、単一種の溶媒現像剤としてまたは2成分混合現像剤でネガティブトーン現像において使用された:
【化5】
【0058】
ドライリソグラフィプロセスおよびコントラスト評価
ドライリソグラフィ処理は、ASML/1100スキャナーにリンクしたTEL CleanTrack(クリーントラック)ACT8を用いて、0.75の最大開口数(NA)で、200mmのシリコンウェハ上で行われ、様々な溶媒現像剤での193nm液浸レジストのNTDコントラストを検討した。シリコンウェハはAR
商標77反射防止コーティング(BARC)材料(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、60秒間205℃でベークされ、840Åの膜厚を生じさせた。フォトレジスト組成物Aは、TEL CleanTrackACT8コータ/デベロッパにおいて、BARCコーティングしたウェハ上にコーティングされ、90℃で60秒間ソフトベークされて、900Åのレジスト層厚みをもたらした。
【0059】
このフォトレジストコーティングしたウェハは、次いで、0.89アウターシグマおよび0.64インナーシグマで、クアドラポール(Quadrapole)30照明条件および0.75NAを用いて、ブランクマスクを通して露光された。露光は1.0mJ/cm
2の開始線量で0.4mJ/cm
2の増分で実施され、1.0〜40.6mJ/cm
2の線量範囲で、ウェハの10×10アレイにおける100個のダイを露光した。露光されたウェハは90℃で60秒間露光後ベークされ、次いでTEL CleanTrackACT8コータ/デベロッパにおいて様々な有機溶媒現像剤を用いて10秒間現像された。様々な露光線量での現像後の残留膜厚さをTherma Wave Optiprobe(サーマウェーブオプティプローブ)(KLA−Tencor)において測定し、残留膜厚さを露光エネルギーの関数としてプロットすることによりNTDコントラスト曲線を得た。コントラスト曲線から、一定の膜厚さに到達する最小限のエネルギーとして閾値エネルギー(E
th)が各現像剤について決定された。この値はNTDプロセスにおけるレジストの光感度の指標として使用された。
【0060】
例1〜20
現像剤として、例えば、エステル、ケトン、アルコールおよびエーテル官能基を含む様々な有機溶媒を使用してリソグラフィ例1〜20が行われた。現像剤、E
th、並びにE
thでの、および3mJ/cm
2および33mJ/cm
2の線量でのレジスト厚さが表1に示される。
【0061】
【表1】
*E
thは40.6mJ/cm
2で観察されなかった。
**溶媒の不完全な蒸発のせいで厚さの測定なし。
【0062】
図2に示され、かつ上述のように、フォトレジスト組成物Aを用いて、例7(PGMEA)は典型的なタイプIのNTD挙動を示すことが認められ、例17(2−ヘプタノン)は典型的なタイプIIのNTD挙動を示すことが認められ、例11(酢酸n−ブチル)は典型的なタイプIIIのNTD挙動を示すことが認められ、および例14(酢酸n−ヘキシル)は典型的なタイプIVのNTD挙動を示すことが認められた。C
4〜C
6環式エステルもしくはケトン(例1〜4)、C
5ヒドロキシルアルキルエステル(例5〜6)およびC
6アルコキシアルキルアセタート(例7)は、フォトレジスト組成物Aを用いた所定の条件下で、タイプIのNTD挙動を示すことが見いだされた。33mJ/cm
2の露光エネルギーでさえ、4種類の環式有機溶媒およびヒドロキシルアルキルエステルを現像剤として使用することにより、わずかな厚さ保持のみが観察されただけであった。現像後トラック上でウェハを単に回転させることによって残留ε−カプロラクトンを除去することは困難であり、このことが不正確な厚さ測定値をもたらしたと考えられる。このことは、C
6を超える環式エステルもしくはケトンはその蒸発速度の遅さのせいでNTDプロセスに現像剤として適用できないことを示しうる。
【0063】
現像剤として試験された7種類のアルキルエステル(例9〜15)のなかでは、酢酸n−プロピルおよび酢酸n−ブチルのみが良好なNTDコントラスト(それぞれ、例10および11)をもたらし、そしてC
6を超えるアルキルエステルはNTDコントラストを生じさせなかった(例12〜15)。C
6を超えるアルキルエステルは非常に低い線量でさえ露光領域において劣った溶解力を示したことが認められ、これらの溶媒ではタイプIVのNTD挙動が観察された(例12〜15)。より高次の他のアルキルエステルほど顕著ではないが、酢酸n−ブチルは、完全なレジスト除去が望まれる低線量での現像後に63Åの検出可能な残留膜厚さを示した(例11)。よって、酢酸n−ブチルを用いて得られるNTDコントラストを説明するのにタイプIIIのNTD挙動が使用されうる。これに対して、酢酸エチルはタイプIIのNTD挙動を示し(例9)、酢酸n−プロピルは、低エネルギーで露光された領域を完全に除去し、高エネルギーで露光された領域において良好な膜厚さを残すという、タイプIIとタイプIIIの間の非常に良好なNTDコントラストを示した(例10)。
【0064】
試験された5種類のアルキルケトン(例16〜20)は、アルキル鎖中の酸素原子の位置および炭素原子の数に応じて非常に異なる結果を示した。末端C
7アルキルケトン、例えば、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノン(それぞれ、例17および18)はタイプIIIのNTD挙動を示したが、4−ヘプタノンは低線量で露光された場合に検出可能な量の厚さ(〜30Å)を示した(例19)。2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(C
9アルキルケトン、例20)はタイプIVのNTD挙動を示し、C
6を超えるアルキルエステル(例12〜15)と非常に類似する露光エネルギーに応じた厚さ変化を伴っていた。現像剤として2,6−ジメチル−4−ヘプタノンを用いるとE
th値は観察されず、そして表1に示されるように、高い露光線量よりも低い露光線量において、より厚い残留厚さが観察された。これは、より高い露光エネルギーでの脱離基の喪失によって説明されうる。例17および18において現像剤として末端C
7ケトンを使用すると、低露光線量においてレジスト膜は完全に除去されることができ、3mJ/cm
2での残留膜厚さは1.0nm未満であった。このことは、末端ケトンは、中央部分にケトン基を有するエステルもしくはケトンよりも、レジスト膜の未露光領域の除去に効果的であることを示すと考えられる。
【0065】
アルコキシもしくはヒドロキシ官能基を有するエステルも現像剤として試験された(例5〜8)。ヒドロキシル基を有するエステルが現像剤として使用された場合には(例5および6)、NTDコントラストのないタイプIのNTD挙動が観察され、そして33mJ/cm
2の露光エネルギーでさえ、乳酸エチルもしくはメチル−2−ヒドロキシイソブチラートを現像剤として使用することにより、わずかな厚さ保持(10nm未満)が観察されただけであった。アルコキシアルキルエステルが現像剤として使用された場合には(例7および8)、炭素原子の数および化学構造に応じて非常に異なる結果が得られた。C
6アルコキシエステル(例7)はタイプIのNTD挙動を示したが、例8のC
7アルコキシプロピオナートでは良好なNTDコントラストが観察された。低い露光エネルギーでの測定可能な残留厚さ(すなわち、3mJ/cm
2で〜50Å)のせいで、例8において得られたNTDコントラストはタイプIIよりもタイプIIIのNTD挙動により近いと考えられる。
【0066】
特定の有機溶媒のみが193nmフォトレジストでのNTDプロセスに現像剤として使用されうることがわかる。概して、環式ラクトンおよびケトンは、露光領域および未露光領域の双方を溶解してNTDコントラストがないので、これら環式ラクトンおよびケトンはNTDプロセスにおける良好な現像剤でない場合がある。限定されたアルキルエステルのみがNTDプロセスにおいて現像剤として使用されうる。C
6を超えるアルキルエステルは、低露光線量において部分的に脱保護されたレジストに対してさえ比較的貧溶媒であるから、良好なNTD現像剤として機能しない場合がある。C
7未満の酢酸アルキルはNTDプロセスにおいて現像剤として機能しうるが、その可燃性は安全上の理由から望ましくない場合がある。可燃性のC
6酢酸アルキルである酢酸n−ブチルは良好なNTDコントラストを示すが、部分的に脱保護された領域(すなわち、低線量で露光された領域)のその不完全な溶解が、像形成プロセスにおけるマイクロ架橋もしくはコンタクトホール欠失のような欠陥を生じさせる場合がある。その可燃性を考えなければ、C
5酢酸アルキルである酢酸n−プロピルはNTDプロセスにおいて溶媒現像剤として最も適していると認められる。
【0067】
アルキルエステルをヒドロキシ基と組み合わせることは、生じる溶媒中に、完全に露光された領域が依然として可溶性なので、溶媒現像剤のために良好な戦略でない場合がある。アルキルエステルをアルコキシ基と組み合わせることは、炭素の数および化学構造に応じて良好なNTDコントラストを得るための実行可能な方法であると考えられる。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA、メチルエーテルと組み合わせられたC
6アルキルエステル)は劣ったNTDコントラストを示すが、エチル−3−エトキシプロピオナート(エチルエーテルと組み合わせられたC
7プロピオン酸アルキル)は良好なNTDコントラストを示した。
【0068】
C
7アルキルケトンは良好なNTDコントラストを示し、低線量下で露光領域の完全な除去を伴う。これに対して、例として試験されたC
9アルキルケトンは、C
6を超えるアルキルエステルと同じ理由で、良好なNTD現像剤として機能しなかった。末端C
6アルキルケトンは、高エネルギーでの露光後でさえ深刻な厚さ損失をもたらして、タイプIに近いNTD挙動を示すと考えられる。
【0069】
実施例21〜25
末端C
7アルキルケトン(例17および18)は低露光エネルギー下で露光領域の効果的な除去を示したが、タイプIIIのNTD現像剤(例11)と比較してその相対的に遅いフォトスピードおよびより大きな厚さ損失は望ましくない場合がある。2−ヘプタノンでの(例17)光感受性および膜保持を向上させるために、2−ヘプタノンと、タイプIVのNTD挙動を示す(例13)プロピオン酸n−ブチルとを混合することにより、2成分溶媒混合物が調製された。結果のまとめは表2に示され、例13および17と比較した実施例21〜25についてのNTDコントラスト曲線が
図3に示される。2−ヘプタノンのフォトスピードは、20〜80重量%の範囲で混合物中のプロピオン酸n−ブチルの重量パーセンテージに応じて線形的に増大させられうることが認められた。2成分溶媒現像剤が20〜60重量%のプロピオン酸n−ブチルを含んでいた実施例21〜24については、3mJ/cm
2での露光後の残留膜厚さが5nm未満であったことも認められた。3および33mJ/cm
2での残留厚さデータは線形的な関係を示さなかった。20%のプロピオン酸n−ブチルの実施例21でさえ、33mJ/cm
2での露光後に非常に良好な膜保持を示し、そして60重量%のプロピオン酸n−ブチルの実施例24でさえ、3mJ/cm
2での露光後に非常に良好なレジスト除去能力を示す。低露光線量でのレジスト除去および高露光線量での膜保持の双方の相乗効果が、タイプIIIもしくはIVのNTD挙動を有する溶媒とタイプIもしくはIIのNTD挙動を有する溶媒とをブレンドすることを、NTDプロセスに非常に適した現像剤を生じさせる実行可能な方法にしていると考えられる。さらに、フォトスピードは、低露光エネルギー下で露光されたレジスト膜を除去することの困難なしに、現像剤としての2−ヘプタノンとプロピオン酸n−ブチルとの混合物で示されるように効果的に調節されうる。
【0070】
【表2】
*NTDコントラストがなかったのでE
thは計算されなかった。
【0071】
表3〜8に記載されるように、この2成分溶媒NTD現像剤の概念はタイプIもしくはIIの挙動の溶媒とタイプIIもしくはIVの挙動の溶媒との他のペアまで拡大された。このデータは、適切な溶媒の比率の選択によって、低露光線量で露光された領域を除去しつつ、同時に高露光線量で露光された領域における有意な膜厚さを維持するための相乗効果が達成されうることを示す。
【0072】
【表3】
*NTDコントラストがなかったのでE
thは計算されなかった。
【0073】
【表4】
*NTDコントラストがなかったのでE
thは計算されなかった。
【0074】
【表5】
*NTDコントラストがなかったのでE
thは計算されなかった。
【0075】
【表6】
【0076】
【表7】
*NTDコントラストがなかったのでE
thは計算されなかった。
【0077】
【表8】
【0078】
液浸リソグラフィプロセス
TEL CLEAN TRACK LITHIUS(テルクリーントラックリシウス)i+コータ/デベロッパにおいて、300mmシリコンウェハがAR
商標40A反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、第1のBARC層を形成した。このウェハは60秒間215℃でベークされ、840Åの厚さの第1のBARC膜を生じさせた。次いで、この第1のBARC上に、AR
商標124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて第2のBARC層がコーティングされ、205℃で60秒間ベークされて、200Åの上部BARC層を生じさせた。次いで、TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コータ/デベロッパにおいて、この二重BARCコートウェハ上にフォトレジスト組成物Aがコーティングされ、90℃で60秒間ソフトベークされて、900Åの厚さのレジスト層を提供した。
【0079】
フォトレジストコーティングしたウェハは、ASML TWINSCAN XT:1900i液浸スキャナにおいて、3つの異なる露光条件を用いて、マスクを通して露光された。2つの異なる照明条件(1.環状照明、1.35NA、0.9アウターシグマ、0.7インナーシグマおよびXY偏光;2.交差セクトラル四重(crossed sectoral quadruple)(C−Quad)照明、1.35NA、0.9アウターシグマ、0.7インナーシグマおよびXY偏光)を用いて、ポストパターンを有するマスクを通して2つの異なる単一露光プロセスが行われて、ホールパターンをプリントした。第3の露光条件はライン/スペースパターンの二重露光を含んでいた。第2の露光に使用されたフォトマスクのライン/スペースパターンは、コンタクトホール像をプリントするために第1の露光に使用されたフォトマスクの方向と垂直の方向に向けられた。第1の露光は1.35NA、0.97アウターシグマ、0.82インナーシグマおよびX偏光のダイポール照明を用いて行われた。第1の露光の直後に、1.35NA、0.97アウターシグマ、0.82インナーシグマおよびY偏光のダイポール照明を用いてウェハは再び露光された。
【0080】
露光されたウェハは、TEL CLEAN TRACK
商標LITHIUS
商標i+コータ/デベロッパにおいて、90℃で60秒間露光後ベークされ、次いで有機溶媒現像剤を用いて25秒間現像されて、ネガティブトーンパターンを生じさせた。日立CG4000CD SEMにおいて、60nm(マスク上での不透明ポストの直径)でのマスクCDおよび90nm(マスクCDと、不透明ポストどうしの間の距離との合計)でのピッチCDを用いて測定した限界寸法(critical demension;CD)値を露光エネルギーに応じてプロットすることにより、単一露光NTDプロセスについて45nmホールをプリントするのに最適なエネルギー(E
op)が決定された。240CD値の3σとして、45nmホールのローカルCD均一性(CDU)が測定された。それぞれのウェハについて、ダイあたり20個の像がとられ、像あたり12個のコンタクトホール測定値が250K倍率でとられた。二重露光NTDプロセスについては、38もしくは40nmホールをプリントするためのE
opは38もしくは40nmの1:1ライン/スペースCDを有するマスクを用いて露光エネルギーに応じてコンタクトホールのCD値をプロットすることにより計算された。38もしくは40nmのコンタクトホールのCDUは270CD値の3σとして測定された。それぞれのウェハについて、ダイあたり30個の像および像あたり9個のコンタクトホール測定値が250K倍率でとられた。
【0081】
フォトレジストの露光寛容度(exposure latitude;EL)は目標CD(CD
t)の±10%以内の露光エネルギー(mJ/cm
2)あたりのCD変化(ΔCD)によって定義される。露光線量の変化の最少ΔCDはフォトレジストの望ましい特性である。異なるNTD現像剤は所定のフォトレジストについて異なるEL値をもたらし、そしてEL値は、異なる溶媒現像剤システムについて以下の式に従って計算されることが認められた:
【数1】
【0082】
実施例44〜54
エチル−3−エトキシプロピオナートもしくは2−ヘプタノンとプロピオン酸n−ブチルとの混合物について、様々な2成分溶媒混合物の現像性能が試験された。表9および10は、それぞれ、さまざまなエチル−3−エトキシプロピオナート/プロピオン酸n−ブチルまたは2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチル現像剤ブレンドで現像された76nmピッチでの38nmコンタクトホールの二重露光NTDの結果をまとめる。
図4は表9および10におけるデータに基づくこれらコンタクトホールについての現像剤組成物に応じたE
opを示す。このデータは、プロピオン酸n−ブチル中のエチル−3−エトキシプロピオナートもしくは2−ヘプタノンの含量に応じてE
opが線形的に制御されうることを示す。リソグラフィ性能の観点から、2成分プロピオン酸n−ブチル/エチル−3−エトキシプロピオナート現像剤組成物は結果的にELおよびCDUの悪化をもたらした。エチル−3−エトキシプロピオナート中でプロピオン酸n−ブチルが25重量%より大きくなると、76nmピッチでの38nmコンタクトホールについて、より多くのコンタクトホール欠失が観察された。表10を参照すると、プロピオン酸n−ブチル/2−ヘプタノンNTD現像剤組成物についての改良は、広範囲のプロピオン酸n−ブチル含量にわたって(〜20−60重量%)フォトスピードおよびCDUの双方において示された。
【0083】
【表9】
*76nmピッチでの38nmコンタクトホールのE
op
**コンタクトホールの欠失のせいで決定されなかった
【0084】
【表10】
*76nmピッチでの38nmコンタクトホールのE
op
【0085】
実施例55〜68
2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチル混合現像剤を用いて単一露光NTDリソグラフィが行われ、現像剤と結果は表11および12にまとめられる。実施例55〜61(表11)は環状照明下で露光され、そして実施例62〜68(表12)C−クアッド(Quad)照明下で露光された。
図5に示されるように、E
opは2−ヘプタノン中のプロピオン酸n−ブチル含量に応じていずれの場合においても線形的に制御されうる。現像剤中のプロピオン酸n−ブチルが増大すると共にE
opが低下すると、ELはより悪くなる傾向があったが、プロピオン酸n−ブチルが現像剤中で80重量%に到達するまでは、いずれの照明条件についても有意ではなかった。
【0086】
【表11】
*90nmピッチでの45nmコンタクトホールのE
op
【0087】
【表12】
*90nmピッチでの45nmコンタクトホールのE
op
【0088】
単一露光NTDプロセスは概して二重露光プロセスと比較して高い露光エネルギーを必要とする。得られたデータに基づくと、2−ヘプタノン現像剤を使用する単一露光NTDプロセスは、90nmピッチで45nmコンタクトホールをプリントするために典型的には〜80mJ/cm
2を必要とする(例55および62)が、同じレジストおよび現像剤システムを使用する二重露光NTDプロセスは、さらにより小さな76nmピッチで38nmコンタクトホールをプリントするのに45mJ/cm
2を必要とするだけである(例49)。このことは、二重露光プロセスに最適化されたレジストは、単一露光NTDプロセスの極端に遅いフォトスピードのせいで、より小さなサイズのCDをプリントするために単一露光プロセスに効果的に使用されることができないことを示すと思われる。驚くべきことに、この問題は、現像剤混合物中での一方の有機溶媒対他方の比率を変えることにより解決されうる。例えば、2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチルの40/60混合物が現像剤として使用される場合には、単一露光NTDプロセスにおいては、実施例59〜66に示されるようにリソグラフィ性能を失うことなく90nmピッチでの45nmコンタクトホールのE
opは〜45mJ/cm
2まで低減されうる。