(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Zは、1つ以上のエーテル結合、1つ以上のヒドロキシル部分、または1つ以上のエーテル結合と1つ以上のヒドロキシル部分との組み合わせを有する、請求項1に記載の前記化合物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、誘電材料の分野に関し、より具体的には、電子デバイス製造における使用のための誘電体に関する。
【0002】
より小さく、より高い性能の電子デバイスの現在の傾向は、これらのデバイスの製造において使用されるより薄いウエハに対する需要を促進している。より薄いウエハは、熱放散及び三次元集積化のための増加した相互接続(例えば、貫通シリコンビア)の密度における利点を提供する。しかしながら、より薄いウエハは、ウエハ曲がり及び/または反りによって明示される、応力に起因する変形をより被る。ウエハ曲がりは、中位面から正三角形の3つの角によって画定される基準面までの、自由な固定されていないウエハの中位面の中心点の偏差として定義される。ウエハ反りは、この場合も同様に正三角形の3つの角によって画定される基準面からの、自由な固定されていないウエハの中位面の最大距離と最小距離との間の差として定義される。
【0003】
ポリマー系永久誘電体は、電子デバイスの製造において広く使用されている。典型的に、そのようなポリマー系誘電体は、例えばスピンコーティングによってウエハ上にコーティングされ、次いで、硬化させられる。ポリマー系コーティングが硬化中に収縮する傾向は、ウエハに応力を加え、これは、ウエハ曲がりとして現れ得る。ウエハの直径が大きくなり、かつウエハの厚さが薄くなるにつれ、ウエハ曲がりの問題は、ウエハ操作が困難になるほどに悪化する。
【0004】
アリールシクロブテン系ポリマーは、マイクロエレクトロニクス実装及び相互接続用途等の種々の電子用途における永久誘電材料として使用される。従来、アリールシクロブテン系ポリマーは、2個のアリールシクロブテン部分を含有するモノマーであるビス−アリールコブテンモノマーの重合から調製される。ある特定のビス−アリールシクロブテンモノマーは、米国特許第4,812,588号及び同第5,026,892号、ならびに日本特許第4282460B号に開示されている。アリールシクロブテン系ポリマーは、電子用途のために多くの望ましい特性を有する。しかしながら、従来のアリールシクロブテン系ポリマーは、比較的高い応力を本質的に有し、比較的薄い(例えば、≦200μmの厚さ)ウエハ上にコーティングされたときに望ましくないウエハ曲がりを付与し得る。例えば、光画像化可能な水性現像可能なアリールシクロブテン系材料は、現像ステップ中の未露光フィルム厚損失(UTFL)を防ぐために、典型的にエポキシ系架橋剤を含有する。そのようなエポキシ系架橋剤が不必要なUTFLを低減または防ぐのに効果的である一方で、得られたエポキシ架橋アリールシクロブテンポリマーは典型的に、非架橋ポリマーと比較して増加した残留応力を有し、許容できないウエハ曲がりをもたらす。したがって、低減した応力を有し、比較的薄いウエハ上にコーティングされたときに低減したウエハ0曲がりをもたらすアリールシクロブテン系ポリマーコーティング、具体的には光画像化可能なアリールシクロブテン系コーティングの必要性が未だ存在する。
【0005】
本発明は、式(1)の化合物を提供し、
【0006】
【化1】
【0007】
式中、各Aは独立して、−CR
3R
4−O−、−C(=O)O−、及び−C(=O)NH−から選択され、各Bは独立して、−CR
3R
4−及び−C(=O)−から選択され、各Rは独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル、C
1−6ハロアルキル、C
2−6アルケニル、カルボキシC
1−6アルキル、−(C=O)−C
1−6アルキル、−G−(C=O)−C
1−6アルキル、−(C=O)−G−C
1−6アルキル、−O−C
4−20アリール、−(C=O)−C
4−20アリール、−G−(C=O)−C
4−20アリール、及び−(C=O)−G−C
4−20アリールから選択され、R
1、R
2、R
3、及びR
4の各々は独立して、H、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、及びC
4−15アリールから選択され、Zは、2〜50個の炭素原子を有する有機ラジカルであり、Gは、OまたはN(R’)
2であり、各R’は独立して、H、C
1−6アルキル、C
4−10アリール、及びC
7−15アラルキルから選択され、xは、R基の数であり、0〜2の整数であり、mは、1〜6の整数であり、nは、0〜5の整数であり、m+n=3〜6である。
【0008】
さらに、本発明は、重合単位として上述の式(1)の1つ以上のモノマーを含むポリマーを提供する。
【0009】
上述の式(1)の1つ以上の化合物及び1つ以上の有機溶媒を含む組成物が、本発明によって提供される。
【0010】
本発明は、上述の式(1)の1つ以上の化合物及び1つ以上のオリゴマーを含む架橋性組成物をさらに提供する。好ましくは、この架橋性組成物は、1つ以上の有機溶媒をさらに含むか、または乾燥フィルムの形態である。
【0011】
なおさらに、本発明は、基材上にフィルムを形成する方法を提供し、本方法は、基材を提供することと、基材の表面上に上述の式(1)の1つ以上の化合物及び1つ以上の有機溶媒を含む組成物の層をコーティングすることと、コーティングを硬化させることと、を含む。
【0012】
本明細書を通して使用される場合、以下の省略語は、文脈が別途明確に示さない限り、以下の意味を有する。℃=摂氏度、min.=分、hr.=時間、g=グラム、L=リットル、μm=ミクロン=マイクロメートル、nm=ナノメートル、mm=ミリメートル、mL=ミリリットル、MPa=メガパスカル、M
w=重量平均分子量、及びM
n=数平均分子量。「重量%」は、別途述べられない限り、言及される組成物の総重量に基づく重量パーセントを指す。
【0013】
「アルキル」という用語は、直鎖、分岐鎖、及び環状アルキルを含む。同様に「アルケニル」は、直鎖、分岐鎖、及び環状アルケニルを指す。「アリール」は、芳香族炭素環及び芳香族ヘテロ環を指す。本明細書において使用する場合、「脂肪族」という用語は、開鎖炭素含有部分、例えば、アルキル、アルケニル、及びアルキニル部分を指し、これは直鎖または分岐鎖であり得る。また、本明細書において使用する場合、「脂環式」という用語は、環状脂肪族部分、例えば、シクロアルキル及びシクロアルケニルを指す。そのような脂環式部分は、芳香族ではないが、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含み得る。「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを指す。「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を指し、同様に(メタ)アクリルアミドという用語は、メタクリルアミド及びアクリルアミドの両方を指す。「硬化」という用語は、材料または組成物の分子量を増加させる、重合または凝縮等の任意のプロセスを意味する。「硬化性」は、ある特定の条件下で硬化されることが可能な任意の材料を指す。「ポリマー」という用語は、オリゴマーも含む。「オリゴマー」という用語は、さらなる硬化が可能である、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体等の比較的低い分子量材料を指す。冠詞「a」、「an」、及び「the」は、単数形及び複数形を指す。別途述べられない限り、全ての量は重量パーセントであり、全ての比はモル比である。全ての数的範囲は、そのような数的範囲がやむを得ず合計100%になることが明らかである場合を除き、端点を含み、かつ任意の順序で組み合わせ可能である。
【0014】
本発明者は、従来のアリールシクロブテン系ポリマーと比較して低減した残留応力を有するアリールシクロブテン系ポリマーの形成のためにモノマーとして有用なある特定の化合物を見出した。本モノマーは、ビニル置換アリールシクロブテン部分、アリルエーテル部分、(メタ)アクリレート部分、及び(メタ)アクリルアミド部分から選択される3個以上、例えば3〜6個の反応性部分を含み、少なくとも1個のビニル置換アリールシクロブテン部分が存在する。本化合物中で、各アリールシクロブテン部分は、アリルエーテル部分、ビニルエステル部分、またはビニルアミド部分の末端エチレン性不飽和炭素に直接結合し、ビニルエステル部分またはビニルアミド部分のアリルエーテル酸素または非カルボニル酸素は、硬化した従来のアリールシクロブテン系ポリマーコーティングと比較して、硬化したポリマーコーティングの残留応力を低減するのに十分な可撓性を有する有機ラジカルに直接結合する。好ましくは、アリールシクロブテン部分は、ベンゾシクロブテン部分または置換ベンゾシクロブテン部分である。
【0015】
本発明のモノマーは、式(1)の化合物であり、
【0016】
【化2】
【0017】
式中、各Aは独立して、−CR
3R
4−O−、−C(=O)O−、及び−C(=O)NH−から選択され、各Bは独立して、−CR
3R
4−及び−C(=O)−から選択され、各Rは独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル、C
1−6ハロアルキル、C
2−6アルケニル、カルボキシC
1−6アルキル、−(C=O)−C
1−6アルキル、−G−(C=O)−C
1−6アルキル、−(C=O)−G−C
1−6アルキル、−O−C
4−20アリール、−(C=O)−C
4−20アリール、−G−(C=O)−C
4−20アリール、及び−(C=O)−G−C
4−20アリールから選択され、R
1、R
2、R
3、及びR
4の各々は独立して、H、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、及びC
4−15アリールから選択され、Zは、2〜50個の炭素原子を有する有機ラジカルであり、Gは、OまたはN(R’)
2であり、各R’は独立して、H、C
1−6アルキル、C
4−10アリール、及びC
7−15アラルキルから選択され、xは、R基の数であり、0〜2の整数であり、mは、1〜6の整数であり、nは、0〜5の整数であり、m+n=3〜6である。好ましくは、Aは、−CR
3R
4−O−または−C(=O)O−であり、より好ましくは、Aは、−C(=O)O−である。より好ましくは、各Aは、同じであり、さらにより好ましくは、各Aは、−C(=O)O−である。Bは、好ましくは−CR
3R
4−である。より好ましくは、各Bは、同じであり、さらにより好ましくは、各Bは、−CR
3R
4−である。各Rは好ましくは独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル、C
1−6ハロアルキル、C
2−6アルケニル、カルボキシC
1−6アルキル、−(C=O)−C
1−6アルキル、−G−(C=O)−C
1−6アルキル、−(C=O)−G−C
1−6アルキル、−O−C
4−20アリール、−(C=O)−C
6−20アリール、−G−(C=O)−C
6−20アリール、及び−(C=O)−G−C
6−20アリールから、より好ましくは、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル、C
1−6ハロアルキル、カルボキシC
1−6アルキル、−O−C
6−20アリール、−(C=O)−C
6−20アリール、−G−(C=O)−C
6−20アリール、及び−(C=O)−G−C
6−20アリールから、さらにより好ましくは、ハロ、カルボキシ、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル、C
1−3ハロアルキル、カルボキシC
1−3アルキル、−O−C
6−20アリール、−(C=O)−C
6−20アリール、−O−(C=O)−C
6−20アリール、及び−(C=O)−O−C
6−20アリールから、さらにより好ましくは、ハロ、C
1−3アルコキシ、C
1−3アルキル、及びC
1−3ハロアルキルから選択される。R
1、R
2、R
3、及びR
4の各々は好ましくは独立して、H、C
1−10アルキル、C
2−10アルケニル、C
2−10アルキニル、及びC
6−15アリールから選択される。各R
1及びR
2は独立して、H、C
1−10アルキル、及びC
2−10アルケニルから、より好ましくは、H、C
1−8アルキル、及びC
2−8アルケニルから、さらにより好ましくは、H及びC
1−4アルキルから選択され、さらにより好ましくは各R
1及びR
2は、Hまたはメチルであることが望ましい。各R
3及びR
4は独立して、H、C
1−10アルキル、及びC
2−10アルケニルから、より好ましくは、H、C
1−8アルキル、及びC
2−8アルケニルから、さらにより好ましくは、H及びC
1−4アルキルから選択されることが望ましい。より好ましくは、R
3及びR
4は、同じであり、さらにより好ましくは各R
3及びR
4は、Hである。A=−C(=O)O−であるとき、R
1は、Hまたはメチルであり、より好ましくは、R
1は、Hであることが望ましい。A=−C(=O)NH−であるとき、R
1は、Hであることが望ましい。B=−CR
3R
4−であるとき、R
3及びR
4は、両方ともHであることが望ましい。Zは、好ましくは3〜50個の炭素原子、より好ましくは4〜45個の炭素原子を有する有機ラジカルである。Zの有機ラジカルは、1つ以上のエーテル結合、1つ以上のヒドロキシル部分、または1つ以上のエーテル結合と1つ以上のヒドロキシル部分との組み合わせを有し得る。Zの有機ラジカルは、脂肪族、脂環式、またはこれらの組み合わせであり、好ましくは脂肪族である。好ましくは、Zの有機ラジカルは、アリール部分を含まない。Gは、好ましくはOである。各R’は独立して、H、C
1−6アルキル、C
6−10アリール、及びC
7−15アラルキルから、より好ましくは、H、C
1−6アルキル、及びC
6−10アリールから選択されることが望ましい。好ましくはx=0〜1であり、より好ましくはx=0である。m=1〜4であり、より好ましくはm=1〜3であり、さらにより好ましくはm=3であることが望ましい。好ましくは、n=0〜4であり、より好ましくはn=0〜3であり、さらにより好ましくはn=0である。m+n=3〜5であり、より好ましくは3または4であることが望ましい。
【0018】
式(1)中のRの例となる基には、ブロモ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソ−ブトキシ、tert−ブトキシ、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオ−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、トリフルオロメチル、ビニル、アリル、ブタ−2−エン−1−イル、カルボキシ、カルボキシメチル、フェノキシ、フリルオキシ、フェニルカルボニル、カルボニルオキシフェニル、フェニルアミド、及びジフェニルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。式(1)中のRに好ましい基は、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソ−ブトキシ、tert−ブトキシ、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオ−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、トリフルオロメチル、及びカルボキシメチルである。式(1)中のR
1、R
2、R
3、及びR
4のいずれかの例となる基には、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオ−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、ビニル、アリル、ブタ−2−エン−1−イル、フリル、フェニル、トリル、キシリル、及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。Zに好適な基には、C
2−30アルキレン、ポリ(C
2−6アルキレンオキシ)、C
3−30ヒドロキシアルキレン、C
3−30ポリヒドロキシアルキレン、アルコキシル化C
3−30ヒドロキシアルキレン、アルコキシル化C
3−30ポリヒドロキシアルキレン等が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「アルコキシル化」は、1つの部分をエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシド等のアルキレンオキシドと反応させることを指す。アルコキシル化有機ラジカルがZに使用されるとき、そのような有機ラジカルは、平均1〜10個のアルキレンオキシ部分を含有し得、好ましくは平均1〜6個のそのような部分を含有する。
【0019】
式(1)の好ましいモノマーは、式(2a)及び(2b)のものであり、
【0020】
【化3】
【0021】
式中、A、R、及びxは、式(1)に関して定義されるとおりであり、各Dは、2〜6個の炭素を有するアルキレンオキシド残基であり、各R
6は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6ヒドロキシアルキル、または−CH
2(D)
gOHであり、各R
7は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6ヒドロキシアルキル、または−CH
2(D)
gOHであり、gは、繰り返し単位の平均数を表し、0〜10の整数であり、pは、繰り返し単位の平均数を表し、0〜10の整数であり、rは、繰り返し単位の平均数を表し、0〜10の整数であり、w=1〜4であり、y=0または1であり、a=0〜2であり、k=1〜3であり、z=0〜3であり、u=0〜3であり、a+u=0〜3であり、k+z=1〜6であり、k+(3−(k+a)+z+(3−(z+u)=3〜6であり、k+a+(3−(k+a)+z+u+(3−(z+u)=6である。好ましくは、Dは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドから選択されるアルキレンオキシド残基である。R
6は、H、C
1−4アルキル、またはC
1−4ヒドロキシアルキルであり、より好ましくはR
6は、C
1−4アルキル、またはC
1−4ヒドロキシアルキルであることが望ましい。R
7は、H、C
1−4アルキル、またはC
1−4ヒドロキシアルキルであり、より好ましくは、R
7は、C
1−4アルキル、またはC
1−4ヒドロキシアルキルであることが望ましい。好ましくは、p=0〜8であり、より好ましくはp=0〜6である。w+y=1〜4であることが、当業者によって理解されるであろう。好ましくは、r=0〜8であり、より好ましくはr=0〜6である。w=2または3、より好ましくは3であることが望ましい。好ましくは、k=2または3である。z=1〜3であり、より好ましくはz=2〜3であることが望ましい。aは、0または1であることが望ましい。好ましくは、u=0または1である。式(2b)の好ましい一実施形態において、k+z=2〜6、より好ましくは3〜6である。式(2b)の別の好ましい実施形態において、k=z=1である。式(2b)の別の好ましい実施形態において、k=1であり、z=0である。
【0022】
式(2a)及び(2b)の好ましいモノマーは、式(3)〜(19)に示される構造を有するものである。
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
本発明のモノマーは、文献で既知の様々な方法によって調製され得る。例えば、3−ブロモベンゾシクロブテンは、パラジウム(II)触媒の存在下でヘックカップリング反応により、1つ以上の末端(メタ)アクリレートまたはアリルエーテル部分を有する有機ラジカルと反応し得る。好ましくは、3−ブロモベンゾシクロブテンは、トリメチロールプロパンモノ−、ジ−、もしくはトリ−(メタ)アクリレートまたはトリメチロールプロパンモノ−、ジ−、もしくはトリ−アリルエーテル、あるいはそれらのアルコキシル化バージョンと反応する。モノマーは、一般的に、あらゆる残存するパラジウム触媒及び/または他の不純物を除去するために、使用前に従来の手順を使用して精製される。
【0026】
本発明の1つ以上のモノマーは、重合してホモポリマーを形成し得るか、またはコモノマーと共重合して、コポリマーを形成し得る。好適なコモノマーは、当技術分野で周知であり、ベンゾシクロブテン部分または本化合物の任意のアリルエーテル部分と重合するであろう任意のものである。一般に、ホモポリマーは、本モノマーのうちの1つ以上を、典型的には好適な溶媒中で、使用される特定のモノマー(複数可)の重合開始温度に加熱することにより調製される。理論によって制約されることを望まない一方で、これらのモノマーは、ディールスアルダー付加環化によって単独重合するため、重合を起こすのに触媒開始剤または硬化剤は必要でないと考えられる。典型的に、これらのモノマーの重合は、≧150℃、好ましくは≧170℃の温度で開始するが、より低い温度またはより高い温度が、選択された特定のモノマー(複数可)に応じて使用され得る。本モノマーが重合を起こす温度は、シクロブテン環上のいずれかの置換基によって影響を受ける。一般に、シクロブテン環が置換されていない場合は、重合は≧170℃で開始する。シクロブテン環上の電子供与性置換基または電子求引性置換基は、一般に重合開始温度を下げる。好適な重合溶媒は、1つ以上のモノマーを溶解し、モノマーの重合温度を超える沸騰点を有する任意の有機溶媒である。例となる有機溶媒には、アミド及びスルホン等の極性非プロトン性溶媒が挙げられる。重合時間は、典型的に1〜48時間である。ある特定の用途について、オリゴマーの段階で重合を止めることが望ましくあり得る。本発明の1つ以上のモノマーで構成されるそのようなオリゴマーは、二量体、トリマー、四量体等で主に構成され得、続いてさらに重合され得る。本明細書において使用する場合、「本発明のモノマー」及び「本モノマー」という用語は、本明細書に記載される個々の化合物、ならびに次いでさらに重合されるそれらの二量体、トリマー、及び四量体を含むことが意図される。本発明の1つ以上のモノマーを含むポリマーは、そのままで使用され得るか、または水もしくはメタノール等の非溶媒を添加して溶液からポリマーを沈殿させ、その後、有機溶媒を除去することにより単離され得る。
【0027】
本発明のモノマーまたはそれらのオリゴマーは、そのままで使用され得るか、または任意の好適な有機溶媒と合わせられ得る。好適な有機溶媒は、本モノマーが可溶のものである。本モノマーに特に有用な有機溶媒は、アリールシクロブテンオリゴマーの製造または形成に有用な任意の溶媒である。例となる有機溶媒には、トルエン、キシレン、及びメシチレン等の芳香族炭化水素;2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、及びメチルイソブチルカルビノール等のアルコール;乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メチル2−ヒドロキシイソブチレート、メチル3−メトキシプロピオネート、及び3−メトキシ−1−ブチルアセテート等のエステル;ガンマ−ブチロラクトン等のラクトン;N−メチルピロリジノン等のラクタム;プロピレングリコールメチルエーテル及びジプロピレングリコールジメチルエーテル異性体(The Dow Chemical CompanyからP
ROGLYDE(商標)DMMとして商用的に入手可能)等のエーテル;シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン;ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
また、本モノマーまたはそれらのオリゴマーは、架橋剤として種々のポリマーと一緒に使用され得る。好適な架橋性組成物は、本モノマーのうちの1つ以上、1つ以上のオリゴマー、任意選択的に1つ以上の有機溶媒、及び任意選択的に1つ以上の添加剤を含む。本モノマー組成物のための上述の有機溶媒のいずれかは、これらの架橋性組成物に好適に使用され得る。重合単位として本発明のモノマーを含まず、本モノマーと反応して架橋ポリマーを形成する任意のオリゴマーが、これらの組成物に好適に使用され得る。オリゴマーは、アリールシクロブテンオリゴマーであることが望ましい。
【0029】
本組成物で有用なアリールシクロブテンオリゴマーは、当技術分野で周知である。好適なアリールシクロブテンオリゴマーには、式(20)を有し、
【0030】
【化6】
【0031】
式中、B
1が、n価の連結基であり、Arが、多価アリール基であり、シクロブテン環の炭素原子が、Arの同じ芳香族環上の隣接する炭素原子に結合し、mが、1以上の整数であり、nが、1以上の整数であり、各R
10が、一価の基であるものが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、多価アリール基、Arは、1〜3個の芳香族炭素環またはヘテロ芳香族環で構成され得る。アリール基は、単一の芳香族環、より好ましくはフェニル環を含むことが望ましい。アリール基は、任意選択的にC
1−6アルキル、トリ−C
1−6−アルキルシリル、C
1−6アルコキシ、ハロ、及びカルボキシルから選択される1〜3個の基で置換され、好ましくはC
1−6アルキル、トリ−C
1−3−アルキルシリル、C
1−3アルコキシ、クロロ、及びカルボキシルのうちの1つ以上で置換され、より好ましくはC
1−3アルキル、トリ−C
1−3−アルキルシリル、C
1−3アルコキシ、及びカルボキシルのうちの1つ以上で置換される。アリール基は、非置換であるか、またはカルボキシルで置換されていることが望ましい。n=1または2であり、より好ましくはn=1であることが望ましい。m=1〜4であり、より好ましくはm=2〜4であり、さらにより好ましくはm=2であることが望ましい。好ましくは、各R
10は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルケニル、C
1−6アルコキシ、カルボキシ、C
2−6カルボキシ含有部分、C
2−6ケト含有部分、C
1−6アミド含有部分、C
2−6アルコキシアルカノール、及びC
2−6アルコキシエステルから、より好ましくはH、C
1−3アルキル、及びC
1−3アルコキシから選択される。好ましくは、B
1は、1つ以上の炭素−炭素二重結合(エチレン性不飽和)を含む。好適な単一の価のB
1基は、好ましくは式−[C(R
11)=CR
12]
xZ
1を有し、式中、R
11及びR
12は独立して、水素、C
1−6アルキル、及びアリールから選択され、Zは、水素、C
1−6アルキル、C
6−10アリール、シロキサリール、−CO
2R
13から選択され、各R
13は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6ヒドロキシアルキル、C
6−10アリール、C
6−10ヒドロキシアリール、C
7−20アラルキル、C
7−20ヒドロキシアラルキル、及びC
7−20アルカリールから選択され、x=1または2である。好ましくは、R
11及びR
12は独立して、H、C
1−3アルキル、及びアリール、より好ましくはH及びC
1−3アルキルから選択される。R
13は、H、C
1−3アルキル、C
1−6ヒドロキシアルキル、C
6−10アリール、C
6−10ヒドロキシアリール、及びC
7−20ヒドロキシアラルキルであることが望ましい。Z
1は、好ましくはシロキシルまたは−CO
2R
13である。好ましいシロキシル基は、式−[Si(R
14)
2−O]p−Si(R
14)
2−を有し、式中、各R
14は独立して、H、C
1−6アルキル、アリール、アラルキル、及びアルカリールから選択され、pは、1以上の整数である。R
14は、C
1−3アルキル、C
6−10アリール、及びC
7−20アラルキルから選択されることが望ましい。好適なアラルキル基には、ベンジル、フェネチル、及びフェニルプロピルが挙げられる。
【0032】
好ましくは、架橋性組成物中のアリールシクロブテンオリゴマーは、式(21)の重合単位として1つ以上のビス−ベンゾシクロブテンモノマーを含み、
【0033】
【化7】
【0034】
式中、各R
15は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルケニル、C
1−6アルコキシ、カルボキシ、C
2−6カルボキシ含有部分、C
2−6ケト含有部分、C
1−6アミド含有部分、C
2−6アルコキシアルカノール、C
2−6アルコキシエステル、及び−O−C
6−20アリール、−(C=O)−C
6−20アリール、−O−(C=O)−C
6−20アリール、及び−(C=O)−O−C
6−20アリールから、好ましくはH、C
1−3アルキル、及びC
1−3アルコキシから選択され、各R
16は独立して、C
1−6アルキル、トリ−C
1−6−アルキルシリル、C
1−6アルコキシ、及びハロから選択され、各R
17は独立して、二価のエチレン性不飽和有機基であり、各R
18は独立して、H、C
1−6アルキル、C
7−20アラルキル、及びフェニルから選択され、pは、1以上の整数であり、qは、0〜3の整数である。各R
15は好ましくは独立して、H、C
1−3アルキル、及びC
1−3アルコキシから選択され、より好ましくは、各R
15は、Hである。各R
16は独立して、C
1−6アルキル、トリ−C
1−3−アルキルシリル、C
1−3アルコキシ、及びクロロから、より好ましくはC
1−3アルキル、トリ−C
1−3−アルキルシリル、及びC
1−
3アルコキシから選択されることが望ましい。好ましくは、各R
17は独立して、C
2−6アルケニルから選択され、より好ましくは、各R
17は、−CH=CH−である。各R
18は、好ましくはC
1−3アルキルから選択され、より好ましくは、各R
18は、メチルである。好ましくは、p=1〜5であり、より好ましくはp=1〜3であり、さらにより好ましくはp=1である。q=0であることが望ましい。特に好ましいアリールシクロブテンモノマーである1,3−ビス(2−ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イルエテニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(DVS−ビスBCB)は、以下の式(22)を有する。
【0035】
【化8】
【0036】
また、架橋性組成物に好ましいのは、式(23)の重合単位として1つ以上のベンゾシクロブテンモノマーを含むアリールシクロブテンオリゴマーであり、
【0037】
【化9】
【0038】
式中、各R
20は独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルケニル、C
1−6アルコキシ、カルボキシ、C
2−6カルボキシ含有部分、C
2−6ケト含有部分、C
1−6アミド含有部分、C
2−6アルコキシアルカノール、C
2−6アルコキシエステル、−O−C
6−20アリール、−(C=O)−C
6−20アリール、−O−(C=O)−C
6−20アリール、及び−(C=O)−O−C
6−20アリールから、好ましくはH、C
1−3アルキル、及びC
1−3アルコキシから選択され、各R
21は独立して、C
1−6アルキル、トリ−C
1−6−アルキルシリル、C
1−6アルコキシ、及びハロから選択され、Yは、3〜15個の炭素原子を有する一価のラジカルであり、少なくとも1個の−OH部分を有し、fは、0〜2の整数である。各R
20は好ましくは独立して、H、C
1−3アルキル、及びC
1−3アルコキシから選択され、より好ましくは、各R
20は、Hである。好ましくは、各R
21は独立して、C
1−6アルキル、トリ−C
1−3−アルキルシリル、C
1−3アルコキシ、及びクロロから、より好ましくはC
1−3アルキル、トリ−C
1−3−アルキルシリル、及びC
1−
3アルコキシから選択される。Yの一価のラジカルは、脂肪族及び/または芳香族であり得る。典型的に、Yは、1〜5個の−OH部分、好ましくは1〜3個、より好ましくは1または2個、さらにより好ましくは1個の−OH部分を有する。Yは、好ましくは3〜15個の炭素原子を有し、少なくとも1個の−OH部分を有するエチレン性不飽和一価のラジカルである。より好ましくは、Yの少なくとも1個の−OH部分は、−CO
2Hである。式(23)の好ましい化合物は、式中、Yが、−CH=CHC(=O)OR
22、−CH=CH−CH
2OH、−CH
2−CH=CHC
6H
4OH、及び−CH=CHCH
2C
6H
4OHから選択され、R
22が、H、C
2−8ヒドロキシアルキル、及びカルボキシル部分の酸素に直接結合する1個以上の4級炭素を有するC
4−8アルキルから選択されるものである。より好ましいのは、式(23)の化合物が、式中、Yが−CH=CHC(=O)OR
22、さらにより好ましくは−CH=CHC(=O)OHであるものである。f=0であることが望ましい。式(20)のアリールシクロブテンオリゴマーが、重合単位として式(21)の1つ以上のビス−ベンゾシクロブテンモノマーと、式(23)の1つ以上のモノマーとを含むことがさらに好ましい。
【0039】
アリールシクロブテンオリゴマーは、米国特許第4,812,588号、同第5,136,069号、同第5,138,081号、及び国際特許出願第WO94/25903号に記載されるもの等の任意の好適な手段によって調製され得る。好適なアリールシクロブテンオリゴマーは、C
YCLOTENE(商標)の銘柄の下、Dow Electronic Materialsから市販もされている。
【0040】
オリゴマー材料は、固形物で1〜99重量%、好ましくは15〜75重量%、より好ましくは25〜75重量%の量で本架橋性組成物に使用され得る。少なくとも2つのアリールシクロブテン架橋剤もしくは少なくとも2個のアリールシクロブテンオリゴマー、またはアリールシクロブテン架橋剤とアリールシクロブテンオリゴマーとの混合物等の異なるアリールシクロブテン材料の混合物が使用されるとき、あるアリールシクロブテン材料に対する別のアリールシクロブテン材料の任意の好適な比率、例えば、1:99〜99:1が使用され得る。
【0041】
本架橋性組成物に有用な好適な任意の添加剤には、硬化剤、界面活性剤、本モノマーとは異なる二次架橋剤、非架橋モノマー、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、接着促進剤、金属不動態化材料等の各々のうちの1つ以上、及び前述のものの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な界面活性剤は、当業者に周知であり、非イオン界面活性剤が好ましい。そのような界面活性剤は、0〜10g/L、好ましくは0〜5g/Lの量で存在し得る。任意の好適な無機充填剤が、任意選択的に本組成物に使用され得、当業者に周知である。例となる無機充填剤には、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、炭化アルミニウム、窒化アルミニウム、ジルコニア等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。無機充填剤は、粉末、ロッド、球体の形態、または任意の他の好適な形状であり得る。そのような無機充填剤は、任意の好適な寸法を有し得る。無機充填剤は、組成物の総重量に基づいて、0〜80重量%の量で使用され得る。本発明のモノマーとは異なる任意の架橋モノマーが二次架橋剤として使用され得るが、ただし、これらが、本組成物を硬化させるのに使用される条件の下、組成物中のベンゾシクロブテン系構成成分と架橋することを条件とする。好適な二次架橋剤には、ポリアミン、ポリチオール、及び(メタ)アクリレート含有架橋剤が挙げられるが、これらに限定されない。そのような二次架橋剤の選択は、当業者の能力の範囲内である。そのような二次架橋剤は、典型的に、組成物中の重合可能な構成成分の総重量に基づいて、0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の量で使用される。1つ以上の非架橋モノマーもまた本組成物に添加され得、典型的に、組成物中の重合可能な構成成分の総重量に基づいて、0〜20重量%の量で存在する。そのような非架橋モノマーは、本組成物中のベンゾシクロブテン系構成成分と重合し得る1個または2個の重合可能な部分を含有する。好ましくは、金属不動態化材料は、銅不動態化剤である。好適な銅不動態化剤は、当技術分野で周知であり、イミダゾール及びベンゾチアオールを含む。
【0042】
種々の硬化剤が、本架橋性組成物に使用され得る。好適な硬化剤は、ベンゾシクロブテン系材料の硬化を助け得、熱または光によって活性化され得る。例となる硬化剤には、熱生成開始剤及び光活性化合物(光生成開始剤)が挙げられるが、これらに限定されない。そのような硬化剤の選択は、当業者の能力の範囲内である。好ましい硬化剤は、光活性化合物、より好ましくはジアゾナフトキノン(DNQ)化合物のスルホン酸エステルを含むDNQ化合物である。好適なDNQ化合物は、DNQスルホン酸エステル部分等のDNQ部分を有し、本組成物中で光活性化合物として機能する任意の化合物であり、つまりこれらは、適切な放射に露出されると溶解抑制剤として機能する。好適なDNQ化合物は、米国特許第7,198,878号及び同第8,143,360号に開示されている。光活性化合物の量は、ベンゾシクロブテン系構成成分の総重量に基づいて、0〜30重量%と異なる。存在するとき、光活性構成成分は、典型的にベンゾシクロブテン系構成成分の総重量に基づいて、5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは10〜25重量%の量で使用される。
【0043】
任意の好適な接着促進剤が本組成物に使用されてもよく、そのような接着促進剤の選択は、十分に当業者の能力の範囲内である。好ましい接着促進剤は、シラン含有材料、より好ましくはトリアルコキシシラン含有材料である。例となる接着促進剤は、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン等のビス(トリアルコキシシリルアルキル)ベンゼン;アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、及びフェニルアミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノアルキルトリアルコキシシラン;ならびに他のシランカップリング剤、ひいては前述のものの混合物を含むが、これらに限定されない。特に好適な接着促進剤には、Dow Electronic Materials(Marlborough,Massachusetts)から入手可能な、AP3000、AP8000、及びAP9000Sが挙げられる。本架橋性組成物は、典型的に組成物の総重量に基づいて、0〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜10重量%、さらにより好ましくは5〜10重量%の接着促進剤を含有する。
【0044】
本架橋性組成物は、1つ以上の本モノマーと、1つ以上のオリゴマーと、あらゆる任意の有機溶媒または追加の構成成分とを、任意の順序で合わせることによって調製される。本架橋性組成物が光活性化合物等の硬化剤を含有するとき、まず硬化剤を好適な有機溶媒に溶解し、次いで1つ以上の本モノマーとあらゆる任意の界面活性剤と合わせ、次いで1つ以上のオリゴマーとあらゆる任意の接着促進剤と合わせることが望ましい。
【0045】
本モノマーのうちの1つ以上及び1つ以上の有機溶媒を含み、任意選択的に1つ以上のオリゴマーを含有する本組成物のいずれも、基材上に改善された可撓性を有するベンゾシクロブテンポリマーの層を形成する際に有用である。そのようなベンゾシクロブテンポリマー層は、誘電層、永久接合剤、応力緩衝層等として好適である。本組成物は、任意の好適な方法によって基材上にコーティングされてもよい。本組成物を配置するための好適な方法には、他の方法の中でも、スピンコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、浸漬コーティング、蒸着、及び真空積層等の積層が挙げられるが、これらに限定されない。半導体製造産業では、スピンコーティングは、既存の器具及びプロセスを活用するために、好ましい方法である。スピンコーティングでは、組成物の固体分は、適用される表面上の組成物の所望の厚さを達成するために、回転速度と共に調整され得る。典型的に、本組成物は、400〜4000rpmの回転速度でスピンコーティングされる。ウエハまたは基材上に分配される本組成物の量は、組成物内の合計固体分、結果として生じる層の所望の厚さ、及び当業者に周知の他の要因に依存する。本組成物のフィルムまたは層がスピンコーティング等によって流延されると、溶媒のほとんど(または全て)がフィルムの堆積中に蒸発する。好ましくは、組成物は、表面上に配置された後、残りのいかなる溶媒をも除去するために加熱(ベーク)される。典型的なベーク温度は90〜160℃であるが、他の温度が好適に使用されてもよい。残留溶媒を除去するためのそのようなベークは、典型的に約2分間行われるが、より長いかまたはより短い時間が好適に使用されてもよい。アリールシクロブテンオリゴマーは、典型的に、ある時間加熱することによって硬化される。好適な硬化温度は、180〜250℃以上の範囲である。典型的に、硬化時間は1〜600分間の範囲である。
【0046】
代替の好ましい方法では、本架橋性組成物は、乾燥フィルムとして形成され得、積層により基材の表面上に配置される。真空積層技術を含む種々の好適な積層技術が使用されてもよく、当業者に周知である。乾燥フィルムの形成において、本組成物は、最初に、ポリエステルシート、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)シート、またはK
APTON(商標)ポリイミド等のポリイミドシートのような、好適なフィルム支持シートの前面に、スロットダイコーティング、グラビア印刷、または別の適切な方法を使用して配置される。組成物は、その後好適な温度、例えば90〜140℃で、適切な時間、例えば1〜30分間ソフトベークされ、いかなる溶媒をも除去する。その後ポリエチレン等のポリマーフィルム被覆シートが、保存及び操作中に組成物を保護するために、室温で乾燥組成物上にロール積層される。基材上に乾燥組成物を配置するために、最初に被覆シートが除去される。その後、支持シート上の乾燥組成物は、ロール積層または真空積層を使用して、基材表面に積層される。積層温度は、20〜120℃の範囲であり得る。その後、支持シートは除去(剥離)され、その表面に乾燥組成物を残す。
【0047】
幅広い様々な電子デバイス基材が、本発明において用いられ得る。電子デバイス基材は、任意の電子デバイスの製造における使用のための任意の基材である。例となる電子デバイス基材には、半導体ウエハ、ガラス、サファイア、ケイ酸材料、窒化ケイ素材料、炭化ケイ素材料、ディスプレイデバイス基材、エポキシ成形化合物ウエハ、回路基板基材、及び熱安定性ポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書において使用する場合、「半導体ウエハ」という用語は、半導体基材、半導体デバイス、及び単一チップウエハ、複数チップウエハ、様々なレベル用のパッケージ、発光ダイオード(LED)用の基材、またははんだ接続を必要とする他のアセンブリを含む、様々なレベルの相互接続用の様々なパッケージを包含することが意図される。シリコンウエハ、ガリウムヒ素ウエハ、及びシリコンゲルマニウムウエハ等の半導体ウエハは、パターン化されてもパターン化されなくてもよい。本明細書において使用する場合、「半導体基材」という用語は、半導体デバイスの有効または動作可能部分を含む、1つ以上の半導体層または構造を有する、任意の基材を含む。「半導体基材」という用語は、半導体デバイス等の、半導体材料を含む任意の構成を意味するように定義される。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロエレクトロニクスデバイスが製作されたかまたはされている、半導体基材を指す。熱安定性ポリマーには、ポリイミド(例えば、DuPont,Wilmington,Delawareから入手可能なK
APTON(商標)ポリイミド)等の、アリールシクロブテン材料を硬化するのに使用される温度に安定性の任意のポリマーが挙げられるがこれに限定されない。
【0048】
接着促進剤を含有しない本発明の組成物が使用されるとき、本組成物でコーティングされる基材の表面は、任意選択的に最初に好適な接着促進剤に接触させられ得るか、または蒸気処理され得る。そのような処理は、本アリールシクロブテンポリマーの基材表面への接着を改善する。スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、カーテンコーティング、ロールコーティング、蒸着等の任意の好適な方法が、基材表面を接着促進剤と接触させるために使用されてもよい。スピンコーティングは、基材表面を接着促進剤と接触させるための、好ましい方法である。任意の好適な接着促進剤が使用されてもよく、そのような接着促進剤の選択は、十分に当業者の能力の範囲内である。好ましい接着促進剤はシラン含有材料、より好ましくはトリアルコキシシラン含有材料である。基材表面の前処理に有用な例となる接着促進剤は、上述のものである。プラズマ処理等の、当業者に既知の様々な蒸気処理は、本発明のアリールシクロブテンポリマーの基材表面への接着を増加させるために使用され得る。ある特定の用途では、表面を本組成物でコーティングする前に、基材表面を処理するために接着促進剤を使用するのが好ましくあり得る。
【0049】
本モノマーは、従来のベンゾシクロブテン系ポリマーと比較して改善された可撓性を有するベンゾシクロブテン系ポリマーの形成に有用である。したがって、重合単位として本発明の1つ以上のモノマーを含むベンゾシクロブテン系ポリマーでコーティングされたウエハは、従来のベンゾシクロブテン系ポリマーでコーティングされた同じウエハと比較して低減されたウエハ曲がりを示す。
【0050】
実施例1:トリメチロールプロパンプロポキシレートトリ(アクリレートベンゾシクロブテン)−化合物(9)の合成。機械撹拌器、均圧添加漏斗、及び付属窒素注入口を有する凝縮器が装備されている底部排水口を有する2000mL三ツ口丸底フラスコに、酢酸カリウム(125.6g、1.28mol)及び脱イオン(DI)水(60mL)を充填した。溶液を10分間撹拌し、次いで平均2個のプロポキシレート基を有するトリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート(107.1g、165.9mmol)、100mLのジメチルホルムアミド(DMF)、パラジウムアセテート(0.27g、1.18mmol)、及びトリ(o−トリル)ホスフィン(1.14g、3.75mmol)を容器に添加し、この混合物を撹拌しながら30分間窒素でスパージした。均圧添加漏斗に、DMF(50mL)中の3−ブロモベンゾシクロブタン(91.46g、499.6mmol)の溶液を充填した。次いで、この溶液を、窒素スパージにより20分間脱気した。反応溶液を緩徐に80℃に加熱し、続いて3−ブロモベンゾシクロブタンを緩徐に添加した。反応完全性を、3−ブロモベンゾシクロブタンの消失によりガスクロマトグラフィーにより監視し、これには27時間かかった。トルエン(200mL)を溶液に添加し、次いで室温まで冷ました。浮遊固形物を多く帯びた水層を、反応器底部の排水口を介して除去した。有機層を、セライトのパッド上で真空濾過により濾過した。濾液を脱イオン水で洗浄して、分離していないエマルションをもたらした。エマルションを、再度セライトを通して濾過し、有機層と水層とを分離させた。有機層を単離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、明澄な黄色い粘性油として生成物を得た。収率:140.4g(88.9%)。
【0051】
実施例2〜5:平均2個のプロポキシレート基を有するトリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレートをトリメチロールプロパントリアクリレート(エトキシレート基なし、化合物10)と、または表1に示されるエトキシル化基の平均数を有するトリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレートと置き換えたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例6:ゴム隔膜及び付属窒素注入口を有する凝縮器を有する500mL二口丸底フラスコに、3−アクリル酸ベンゾシクロブテン(30.17g、173.2mmol)、クロロホルム(100mL)、及びDMF(0.10mL)を充填した。クロロホルム(20mL)中の塩化チオニル(23.60g、198.4mmol)の溶液を、注射器を介して15分間にわたって添加した。この溶液を室温で60分間撹拌し、続いて1時間45℃に加熱した。トルエン(75mL)を、容器に添加し、溶液を回転蒸発装置上で濃縮して、淡褐色の固形物としてベンゾシクロブテンアクリロイルクロリド(BCB−AA酸クロリド)を定量的収率で得た。
1H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δ7.83(d、J=15.5Hz、1H)、7.41(dd、J=7.6、1.4Hz、1H)、7.29(dd、J=1.3、0.7Hz、1H)、7.13(dd、J=7.6、0.9Hz、1H)、6.59(d、J=15.4Hz、1H)、3.24(s、4H)。
【0054】
実施例7:ペンタエリスリトールトリアリルエーテル−ベンゾシクロブテンアクリル酸−化合物(3)の合成。機械撹拌器(テフロンパドル)、均圧添加漏斗が装備されている1000mL三ツ口丸底フラスコに、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(N
EOALLYL P−30)(111.9g、436.5mmol)、トルエン(300mL)、及びトリエチルアミン(56.61g、559.4mmol)を充填した。添加漏斗に、トルエン(100mL)中の実施例6からのBCB−AA酸クロリド(88.96g、461.8mmol)の溶液を充填し、次いで、これを45分間にわたって反応混合物に滴加した。次いで、この溶液を9.5時間90℃に加熱した。次いで溶液を、350mLフリットガラス漏斗上で厚さ38mm(1.5インチ)のシリカゲルプラグを通して濾過した。ヘキサン:エチルアセテート(80:20、200mL)を洗浄溶媒として使用した。濾液を濃縮して、橙色の粘性油を得、これをヘキサン(300mL)中に取り込み、冷凍庫内に3日間置いた。溶液を濾過し、濃縮し、粘性の濃い黄色い油として生成物を得た。収率:178.0g(93.97%)。
1H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δ7.67(dd、J=15.9、3.1Hz、1H)、7.36(dd、J=7.6、1.5Hz、1H)、7.31〜7.18(m、1H)、7.13〜6.94(m、1H)、6.39(d、J=16.0Hz、1H)、5.97〜5.78(m、2H)、5.27(dd、J=17.3、1.7Hz、2H)、5.15(dd、J=10.5、1.6Hz、2H)、4.30(s、2H)、3.97(d、J=5.4Hz、4H)、3.52(s、4H)、3.20(s、3H)。
【0055】
実施例8:トリメチロールプロパンアリルエーテル−ビス(ベンゾシクロブテンアクリル酸)−化合物(5)の合成。磁気撹拌子、ゴム隔膜、及び付属窒素注入口を有する凝縮器を有する500mL二口丸底フラスコが、この反応のための容器の役割を果たした。容器に、実施例6からのBCB−AA酸クロリド(28.59g、148.4mmol)、トルエン(150mL)、トリエチルアミン(19.35g、191.2mmol)、及びトリメチロールプロパンアリルエーテル(27.62g、128.9mmol)を充填した。この溶液を3時間50℃に加熱し、その後、触媒量のDMAPを添加した。溶液を追加で5時間、50℃で加熱し、次いで熱いうちに濾過した。濾液を脱イオン水及び飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。有機層を単離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗物質を得、これを、自動フラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲル上で精製した。次いで、得られた生成物をエチルアセテート:ヘキサン(20:80、200mL)中に取り込み、冷凍庫内に48時間置いた。次いで、溶液を濾過し、真空中で濃縮した。得られた油をジクロロメタン(200mL)中に取り込み、1%のNaOHをドープした飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を単離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、明澄な黄色い油として生成物化合物(5)を得た。収率:34.65g(72.4%)。
1H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δ7.67(d、J=15.9Hz、1H)、7.36(d、J=7.4Hz、1H)、7.26(s、1H)、7.07(d、J=7.5Hz、1H)、6.39(d、J=16.0Hz、1H)、5.89(ddt、J=17.3、10.6、5.4Hz、2H)、5.27(dd、J=17.3、1.7Hz、2H)、5.16(dd、J=10.4、1.7Hz、2H)、4.19(d、J=1.0Hz、2H)、3.97(d、J=5.4Hz、4H)、3.40(s、4H)、3.20(s、4H)、1.52(q、J=7.5Hz、2H)、0.91(t、J=7.5Hz、3H)。
【0056】
実施例9:トリメチロールプロパンジアリルエーテル−ベンゾシクロブテンアクリル酸−化合物(4)の合成。以下の量の材料:実施例6からのBCB−AA酸クロリド(40.98g、212.7mmol)、トルエン(200mL)、トリエチルアミン(29.11g、287.7mmol)、及びトリメチロールプロパンアリルエーテル(18.18g、104.3mmol)を使用したことを除いて、実施例8の手順を繰り返した。生成物を明澄な橙色の粘性油として単離した。収率:36.02g(71.6%)。
1H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δ7.68(d、J=15.9Hz、2H)、7.35(dd、J=7.6、1.4Hz、2H)、7.24(s、2H)、7.06(d、J=7.6Hz、2H)、6.39(d、J=16.0Hz、2H)、5.89(ddt、J=17.2、10.7、5.5Hz、1H)、5.37〜5.23(m、1H)、5.17(dd、J=10.4、1.6Hz、1H)、4.25(d、J=2.1Hz、4H)、3.98(d、J=5.5Hz、2H)、3.44(s、2H)、3.19(s、8H)、1.59(q、J=7.6Hz、2H)、0.96(t、J=7.6Hz、3H)。
【0057】
実施例10:化合物(24)の合成。磁気撹拌子、ゴム隔膜、及び付属窒素注入口を有する凝縮器を有する500mL二口丸底フラスコに、実施例6からのBCB−AA酸クロリド(13.91g、72.2mmol)、トルエン(150mL)、及びトリエチルアミン(8.86g、87.6mmol)を充填した。次いで、合計5〜6個のプロポキシレート基を有するアミン末端プロポキシレート化トリメチロールプロパン(J
EFFAMINE(商標)T−403、Huntsman Corporation)(10.33g、21.5mmol)を、ゴム隔膜を通し、注射器を介して溶液に添加した。次いで、この溶液を8時間90℃に加熱した。溶液が熱いうちに濾過し、希釈(1重量%)NaOHで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。次いで、単離した物質を、自動フラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲル上で精製した。得られた生成物(化合物24)は、黄色い固形物であった。収率:13.89g(68.0%)。
1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ7.56(d、J=15.7Hz、3H)、7.27(s、3H)、7.15(d、J=7.3Hz、3H)、6.98(d、J=7.7Hz、3)、6.53〜6.08(m、3H)、4.33〜4.06(m、3H)、3.68〜3.21(m、18H)、3.19〜2.99(m、12H)、1.49〜1.33(m、2H)、1.30〜0.99(m、9H)、0.93〜0.67(m、3H)。
【0058】
【化10】
【0059】
実施例11〜14:化合物(25〜28)の合成。実施例6からのBCB−AA酸クロリドを以下のポリオール化合物の各々と反応させて化合物(25〜28)を得たことを除いて、実施例9の一般的な手順を繰り返した。化合物(25〜27)の各々について、3当量のBCB−AA酸クロリドを各当量のポリオール化合物に対して使用し、4当量のBCB−AA酸クロリドを、化合物(28)を調製するために使用した。
【0060】
【化11】
【0061】
【表2】
【0062】
実施例15:化合物(29)の合成。実施例6からの4当量のBCB−AA酸クロリドをペンタエリスリトールと反応させて化合物(29)を得たことを除いて、実施例9の一般的な手順を繰り返した。
【0063】
実施例16:1−MeO−トリス−ベンゾシクロブテン−アクリレート−化合物(11)の合成。ブロモベンゾシクロブテン(91.5g、0.5mol)及びクロロベンゼン(無水、2500mL)を、機械撹拌、凝縮器、N
2(注入口及び出口)、ならびに温度計を装備した四ツ口5Lフラスコ内に充填した。反応混合物を120℃に加熱し、N−ブロモスクシンイミド(111.3g、0.625mol)を30分にわたって徐々に充填し、続いてフリーラジカルアゾ化合物源(V
AZO(商標)68)(14.0g、0.05mol)とクロロベンゼン(500mL)との混合物を30分間にわたって緩徐に供給し、次いで反応混合物を133℃(穏やかな還流)に加熱し、その温度で6時間維持した。次いで、この混合物を一晩室温に冷まし、クロロベンゼンを真空蒸発によって除去した。粗生成物をヘキサンで抽出した。ヘキサンの除去後、真空蒸留によって1−ブロモ−ブロモベンゾシクロブテン(1−Br−BrBCB)(80〜85℃/0.35トル、90g、約93%の純度)を得た。
【0064】
1−Br−BrBCB(90.0g、0.49mol)、無水THF(100mL)、及びナトリウムメトキシド(200g、0.93mol、メタノール中2〜5重量%)を、凝縮器、N
2(注入口及び出口)、及び機械撹拌器を装備した1000mL四ツ口フラスコ内に充填した。反応混合物を75℃に加熱し、この温度で6時間維持した。反応後、反応混合物を400mLのヘキサンに注ぎ入れ、脱イオン水で6回(6×100mL)洗浄した。分離した有機層中の溶媒を、蒸発装置によって除去し、真空蒸留によって無色の生成物1−メトキシ−ブロモベンゾシクロブテン(1−MeO−BrBCB)を得た(80g、62〜65℃/0.39トル、収率76%)。
【0065】
トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート(TMPPTA、32.24g、0.05mol)、トルエン(無水、30g)、N−メチルジシクロヘキシルアミン(39.07g、0.20mol)を、追加の漏斗、N
2(注入口及び出口)、及び磁気撹拌器、及び温度計を装備した500mL四ツ口フラスコ内に充填した。1−MeO−BrBCB(32.0g、0.15mol)及びトルエン(無水、30g)を、添加漏斗内に充填し、続いて乾燥グローブボックス中で20分間N
2バブリングし、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.916g、1.0mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン(0.425g、2.1mmol)、及びトルエン(無水、20g)の触媒溶液を調製した。この触媒溶液をN
2下で20分間撹拌し、次いで注射器を介して反応フラスコに移した。次に、MeO−BrBCB/トルエン溶液を、追加の漏斗から60分間にわたって滴下した。添加の完了後、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応後、反応混合物を500mLのヘキサンに注ぎ入れ、脱イオン水(5mLの酢酸を含む100mLの水)で6回(6×100mL)洗浄した。溶媒(トルエン、ヘキサン)を真空下で除去することによって、得られた生成物(化合物11)(43g、収率82%)を得た。
【0066】
実施例17:ペンタエリスリトールトリス(1−MeO−BCB)アリルエーテル−化合物(16)の合成。ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(N
EOALLYL P−30、12.72g、0.05mol)、トルエン(無水、30g)、及びN−メチルジシクロヘキシルアミン(39.07g、0.20mol)を、添加漏斗、N
2(注入口及び出口)、磁気撹拌器、及び温度計を装備した500mL四ツ口反応フラスコ内に充填した。1−MeO−BrBCB(32.0g、0.15mol)及びトルエン(無水、30g)を、添加漏斗内に充填し、続いて乾燥グローブボックス中で20分間N
2バブリングし、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.916g、1.0mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン(0.425g、2.1mmol)、及びトルエン(無水、20g)の触媒溶液を調製した。この触媒溶液を、N
2下で20分間撹拌し、次いで注射器を介して反応フラスコに移した。1−MeO−BrBCB/トルエン溶液を、フラスコに60分間にわたって滴加した。添加の完了後、反応混合物を室温で48時間撹拌し続けた。反応後、反応混合物を500mLのヘキサンに注ぎ入れ、脱イオン水(5mLの酢酸を含む100mLの水)で6回(6×100mL)洗浄した。溶媒(トルエン、ヘキサン)を真空下で除去することによって、得られた生成物(化合物16)(37g、収率82%)を得た。
【0067】
実施例18:配合物1の調製。250mLの茶色い瓶中で、光活性化合物(PAC)として、平均65モル%のエステル化フェノールを有する4,4’−((2−ヒドロキシフェニル)メチレン)ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)の6.16gの2,1,5−ジアゾナフトキノン(DNQ)スルホン酸エステルを、1.39gのジプロピレングリコールジメチルエーテル(P
ROGLYDE(商標)DMM、The Dow Chemical Company)、3.75gのメチル3−メトキシプロピオネート(MMP)、及び0.16gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ならびに2.64gのMMP溶媒中の5重量%のケイ素含有界面活性剤(DCT L−7604)の溶液に溶解した。次に、架橋剤として、23.32gの実施例11からの化合物(25)のMMP中の50重量%溶液を、57.30gのP
ROGLYDE DMM溶媒中に40.85重量%のアリールシクロブテンオリゴマー溶液、及び接着促進剤として5.28gのPGMEA中に50重量%のトリエトキシシリルプロピルマレインアミド酸と一緒に添加した。アリールシクロブテンオリゴマー溶液は、平均69モル%のベンゾシクロブテンアクリル酸(BCB−AA)及び31モル%のビス(ベンゾシクロブテンビニル)ジメチルシロキサン(DVS−BCB)を有する、Bステージ反応混合物であった。瓶を12時間転がして、均質な溶液を形成した。消泡後、この溶液を使用前に0.45μmのナイロンフィルターを通して濾過した。
【0068】
実施例19〜22:配合物2〜5。架橋剤溶液が、化合物が表3に示される50重量%のMMP溶液であることを除いて、実施例18の手順を繰り返した。
【0069】
【表3】
【0070】
実施例23:配合物6。使用した架橋剤溶液を23.51gのP
ROGLYDE DMM溶媒中の重合単位としてのみ化合物25のモノマーを含むオリゴマーの39.68重量%溶液と置き換えたことを除いて、実施例18の手順を繰り返した。
【0071】
実施例24:配合物7。使用した架橋剤溶液を23.54gのオリゴマー3−メトキシ−1−ブチルアセテート中の重合単位としてのみ化合物25のモノマーを含む39.62重量%の溶液と置き換えたことを除いて、実施例18の手順を繰り返した。
【0072】
実施例25。配合物1〜7及び対照試料の各々の溶液を、Site Trac TT5−XPコーティング機を使用して、1450rpmで30秒間、200mmの最高等級ケイ素ウエハ上にスピンコーティングし、続いて120℃で90秒間ホットプレートベークして、溶媒をさらに除去した。フィルム厚は、約6.5μmであった。次いで、コーティングされたウエハを、Blue M Ultra−Tempオーブン(IGF−6680F−4型)中で、窒素下200℃で100分間熱硬化させた。酸素レベルを全プロセスにわたって100ppm未満で維持した。最終フィルム厚は、約6.1μmであった。フィルム応力を、炉から取り出してから2時間以内に測定した。対照試料は、Dow Electronic Materialsから入手可能な、市販されているベンゾシクロブテン材料、C
YCLOTENE(商標)6505であった。対照群は、いかなる本発明のモノマーも、本発明のモノマーを含むいかなるオリゴマーも含有しなかった。
【0073】
硬化ポリマーフィルムの残留応力を、TOHO Technology製のFLX−3300−T Thin Film Stress Measurement Systemで測定した。複製ウエハを、各配合物について調製し、2つの測定値の平均を残留応力値として報告した。残留応力σ
filmは、等式1で定義され、
【0074】
【数1】
【0075】
式中、σ
filmは、残留応力であり、t
sは、シリコン基材の厚さであり、t
fは、コーティング厚さであり、Rは、等式2で定義される半径である。Eは、ケイ素の弾性率であり、νは、ポアソン比である。これらの値は一定であり、E=169.0 GPa及びv=0.0641として定義される(Hopcroft,MA,J.Micromechanical Systems,Vol19,No2,April 2010.Page237,TableV.を参照のこと)。
【0076】
【数2】
【0077】
Lは、走査長であり、Bは、ウエハ曲がりであり、これは、中位面から基準面までの自由な固定されていないウエハの中位面の中心点の偏差として定義される。配合物1〜7及び対照群の各々からのポリマーフィルムの残留応力値を表4に報告する。これらのデータから見ることができるように、本発明の組成物は、市販されている対照群と比較して、残留応力の大幅な減少を提供する。
【0078】
【表4】
【0079】
実施例26:化合物(30〜39)の合成。使用する3−ブロモベンゾシクロブタンの当量が異なり、かつ/または平均2個のプロポキシレート基を有するトリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレートを、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペントレリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、またはプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートと置き換えることを除いて、実施例1の一般的な手順を繰り返し、表5に記載される以下の一般式を有する化合物(30〜39)が調製されるはずである。
【0080】
【化12】
【0081】
【表5】
【0082】
実施例27:化合物(40〜54)の合成。使用される3−ブロモベンゾシクロブタン当量が異なり、平均2個のプロポキシレート基を有するトリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレートが、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、またはエトキシル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと置き換えることを除いて、実施例1の一般的な手順を繰り返し、表6に記載される以下の一般式を有する化合物(40〜54)が調製されるはずであり、式中、ΣAGは、末端アクリレート基の合計、または[(3−(k+a))+(3−(z+u))]である。
【0083】
【化13】
【0084】
【表6】
【0085】
実施例28〜:配合物8〜10。類似の結果を予測しながら、架橋剤溶液が、化合物が表7に示される50重量%のMMP溶液であることを除いて、実施例18の手順を繰り返す。
【0086】
【表7】