(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明に至った経緯.
LED素子を絶縁処置が施されたアルミ製ヒートシンク上に貼り付け、それらをガラス管に挿入し、LEDが貼り付けられていない側のヒートシンクをガラス管内面にゆるく固定し、さらに、蛍光ランプの従来例どおり、当該ガラス管両端に口金を固着させて、試作品を作成した。
【0012】
この試作品の組立ては、工場内の室温で行われ、凡そ25℃前後の状態で行われた。ここでゆるく固定と表現したのは、シリコーン(弾性接着剤)により接着されたものであり、シリコーンは硬化後も弾性に富み、10×10
−6/K程度の線膨張係数(線膨張率)の材料が全長1m以上の長さかつLED光源が使用される温度領域における室温からの熱膨張を十分吸収できることを意味する。
【0013】
尚、1m以内の短いランプに関しては、各構造物の熱膨張に差があっても、その差が比較的小さく、歪等の悪影響が少なく、大きな問題にはならない。
【0014】
しかし、試作品を実際の照明器具に装着し点灯させると以下の課題が発生した。即ち両端の口金はガラス管端部に固着されているが、実点灯時の自己発熱、及び器具実装時の周囲温度上昇により、“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”が各々熱膨張し、かつ両端口金間を規定しているガラス管よりも、アルミヒートシンクの膨張が大きく、両端口金内面を外側方向に押す力が発生し、40,000時間という長きに渡る商品寿命に大きなマイナスとなるガラス歪みや、ガラス外面円周と口金内面と間の固着接着剤の切断応力が発生するものであった。
【0015】
発明の概要.
そこで我々は、この様な課題を解決する事を目的に研究し、本発明に至った。それは“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の内、一番線膨張係数の大きな構造物にて両端口金の相対位置関係を固定するものであり、または安定点灯中一番熱膨張による膨張が大きな構造物に口金を固定するものである。“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”とは、熱により伸縮するがその形状を保つ個体をいう。膜やフィルムも熱により伸縮するがその形状を保つことが出来ないのでここでいう“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”にはならない。
【0016】
なお室温25℃程度で組立てられた直管形LEDランプの熱膨張・収縮に関する課題は高温側で大きくなるが、逆に消灯時の自己発熱が無い状態で低温環境に曝されれば、当然一番線膨張係数の大きい構成物ほど縮む事になるため、設計時に実際に市場で起こりうる低温領域においても、他の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の長さを、両端口金位置関係を決定する構成部材より、若干短くしておく必要がある。
【0017】
最も線膨張係数の大きなアルミ製ヒートシンクが低温で最も収縮し、口金間距離を短くするが、この際、ガラス管と口金とのクリアランスが十分に確保されていないと、ガラス管が両口金間に挟まった形となり、ガラス及び口金に歪みを生じることとなる。
【0018】
また、前記最低温消灯放置時の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の長さが両端口金位置関係を決定する構成部材温度Tc(K)と、実機実装高温雰囲気点灯時の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の長さが両端口金位置関係を決定する構成部材温度Th(K)では、“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の相対長さが最も変化する。
【0019】
このため、ランプに起こり得る冷却収縮と高温熱膨張を考慮すると、当該ランプの組み立て作業は(Tc+Th)/2(K)程度の室温で組み立てられることが望ましい。即ち−20℃(253K)が市場で起こり得る最低温状態で、かつ実機実装高温時の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の長さが両端口金位置関係を決定する構成部材温度が70℃(343K)の場合、(253+343)/2=298(K)、即ち25℃雰囲気で組立てられた場合、製品完成時の収縮・膨張の影響の最大値が最も小さくできる。
【0020】
以上述べた通り、組立作業は25℃が望ましく、25±5℃が妥当な温度範囲といえる。この温度は、作業する人間が比較的快適に作業に従事できる温度でもある。
【0021】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の照明ランプ50を示す図である。
照明ランプ50は、筒状のガラス管6を有している。ガラス管6は、直管形ガラス管である。発光部54は、発光ダイオード1(LED1)と基板2とヒートシンク4(伸縮構成物の一例)を有している。基板2は、複数のLED1を均等に配置配列している。ガラス管6の両端に一対の口金5を備えている。ヒートシンク4は、アルミニウム製などの金属製であり、基板を取り付ける台座となりかつ放熱部材となる。基板2とヒートシンク4との間には絶縁フィルム3が有る。
【0022】
各口金5は、一対の給電端子8を備えている。給電端子8の本数や形は、図に限らず他の本数でも他の形状でもよい。
LED1は、LED(発光ダイオード)単体又はLEDモジュールからなる。
発光部54は、ガラス管6に収納されて光を発光する。発光部54は、ガラス管6の長手方向に渡って延在している。発光部54は、ガラス管6よりも線膨張係数の大きな伸縮構成物としてアルミニウム製のヒートシンク4を有する。
【0023】
1対の口金5は、ガラス管6の両端を覆うとともに、発光部54のヒートシンク4(伸縮構成物)の両端に固定されている。
口金5は、ガラス管6には固定されていないか、もしくは、ヒートシンク4(伸縮構成物)の伸縮する範囲でガラス管に移動可能に取り付けられている。
【0024】
照明ランプ50は、安定的に動作するために必要な制御装置が一体となっていない構造である。すなわち、照明ランプ50は、外部にある電源からLED1を点灯する直流の定電流を供給されて点灯する。
電力の供給は、給電端子8から受けてもよいが、図示していないコネクタから受けてもよい。
【0025】
照明ランプ50は、長期使用の観点で、使用中に安全を損なうランプ内へのホコリの侵入ができない構造を備えている。すなわち、ガラス管6と口金5とは接着されており、発光部54は、密封されている。ただし、真空密封ではない。
【0026】
照明ランプ50は、ガラス製外郭を有し外形が従来通りの直管形照明ランプである。また、照明ランプ50は、機能を損なわずには恒久的に分解できない直管形LEDランプシステムである。
照明ランプ50は、ガラス製外郭を有し、照明ランプ50の外形は、既存の直管形蛍光ランプの外形と同じである。
【0027】
図2は、
図1に示した照明ランプ50の平温組立時のZZ断面図(中心軸を含む縦断面図)である。
図3は、照明ランプ50の高温時の縦断面を示す図である。
図4は、照明ランプ50の低温時の縦断面を示す図である。
【0028】
ヒートシンク4は両面テープ60及びシリコーン9によりガラス管6の内面に接着されている。
【0029】
口金5は、全体として円柱形状をしている。口金5は、上半分が上口金51であり下半分が下口金52である。上口金51は、下口金52に、はめ込み機構(図示せず)によりはめ込まれる。一旦はめ込まれると分解できない。
【0030】
上口金51と下口金52の間には、給電端子8が固定される。
図2に示した一方の片側の2本の給電端子8は照明ランプ50のソケット装着に用いられ、さらに、電力の供給に用いられる。
図2に示した一方の片側の2本の給電端子8は、リード線10により基板2の電気回路に接続されている。給電端子8からリード線10を介して直流定電流が基板2に供給される。
【0031】
図示していない他方の片側の2本の給電端子8は、照明ランプ50のソケット装着のみに用いられ、リード線10は接続されない。
【0032】
下口金52の内端面の上部(口金5の中央部分)からはヒートシンク4へ固定される舌状の固定部56がガラス管6の長手方向に向かって突き出ている。固定部56はネジ穴を有し、固定部56は固定ネジ7によりヒートシンク4にネジ止めされる。こうして口金5は、ヒートシンク4の端部に固定ネジ7で固定される。
【0033】
口金5の円柱形状の内端面55の周囲縁部に、ガラス管6の端部の外周を覆う環状外壁部53を有している。環状外壁部53の内側には、環状内壁部63が筒状に形成されている。環状外壁部53と環状内壁部63とは、リング形状の環状面66によりつながっている。環状外壁部53と環状内壁部63と環状面66とにより凹部64を形成しておる。凹部64はガラス管6のガラス端面61を収納する360度の円形溝である。ガラス端面61は、環状面66に向かって凹部64に挿入され弾性接着剤、たとえば、シリコーン9により接着される。口金5の凹部64は、ガラス管6が口金5に対して長手方向に変位可能なように、弾性接着剤、たとえば、シリコーン9を介してガラス管6の環状のガラス端部をはめこんでいる。凹部64にはシリコーン9が塗布され、ガラス管6の端部に口金5が横からはめ込まれる。
【0034】
ガラス管と口金との間にはクリアランスCが存在する。
クリアランスとは、ガラス管6と口金5との隙間である。より正確には、クリアランスとは、ガラス管6のガラス端面61と口金5の環状面66との距離である。
【0035】
凹部64(クリアランスC)には、シリコーン9が接着剤として充填されている。シリコーンは硬化後も弾性に富み、熱膨張によりガラス管6と口金5とがずれても密閉機能と接着機能とを失わない。
【0036】
本実施の形態の照明ランプを、JEL801に規定されたLDL40に沿って説明する。構造は、公称寸法1198mmで、外郭に外径25.5mm、線膨張係数10×10
−6/Kのソーダライムガラスによるガラス管6があり、発光素子のLED1を配置した電子基板2が、絶縁フィルム3を挟んで、線膨張係数23.7×10
−6/Kのアルミニウム製のヒートシンク4に接着されている。
【0037】
LED1と基板2と絶縁フィルム3とヒートシンク4は一体となっており、膨張の主体はアルミ製ヒートシンク4である。ガラス管6と、ヒートシンク4とは長さは約1170mm程度であり、いずれも“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”である。
【0038】
両者の線膨張係数の差は、
23.7×10
−6/K−10×10
−6/K =13.7×10
−6/K
となる。
【0039】
平温25℃においてガラス管6と、ヒートシンク4との長さが双方正確に1170mmであったとすると、70℃においては、ガラス管6は、
1170mm×(70℃−25℃)×10×10
−6/K
=0.5265mm
≒0.5mm
伸びる。
【0040】
アルミ製のヒートシンク4は、
1170mm×(70℃−25℃)×23.7×10
−6/K
=1.247805mm
≒1.2mm
伸びる。
【0041】
従って、両者は全長で、
=1.247805mm−0.5265mm
=0.721305mm
≒0.7mm
の膨張差が発生し、これがひずみの原因になっている。
【0042】
一方、−20℃においては、ガラス管6は、
1170mm×(−20℃−25℃)×10×10
−6/K
≒−0.5mm
伸びる(0.5mm縮む)。
【0043】
アルミ製のヒートシンク4は、
1170mm×(−20℃−25℃)×23.7×10
−6/K
≒−1.2mm
伸びる(1.2mm縮む)。
【0044】
従って、両者は全長で0.7mmの縮小差が発生し、これがひずみの原因になっている。
【0045】
図2、
図3、
図4に示すガラス管6と口金5の間のクリアランスC,D,Eの関係は、
D>C>E
である。
【0046】
ここで、片側の接着がゆるく他方の接着が硬いため伸縮が全て片側のガラス管6と口金5の間のクリアランスを変化させるという最悪の場合を想定すると、70℃、25℃の時のクリアランスC,Dの関係は、
【0048】
25℃、−20℃の時のクリアランスC,Eの関係は、
C−0.7mm=E
である。
【0049】
クリアランスEは、シリコーン9の存在を無視すれば、最小値が0mmであるから、クリアランスCは0.7mm以上必要である。また、口金5の凹部64の深さFは、1.4mm以上必要である。
【0050】
凹部64の深さF=環状外壁部53の深さF=環状内壁部の深さF≧1.4mm
【0051】
クリアランスには何らかのシリコーン9が存在するから、口金5の凹部64の深さFは、1.4mm超が必要である。
【0052】
凹部64の深さF=環状外壁部53の深さF=環状内壁部の深さF>1.4mm
【0053】
実際には、余裕を持つ必要があるため、1.5mm以上あればよい。最大で2.0mm以下であればよい。
すなわち、口金5の環状外壁部の深さFは、最低温消灯放置時の伸縮構成物温度Tc(K)と、最高温雰囲気点灯時の伸縮構成物温度Th(K)との伸縮構成物の長さの差より大きくなければならない。また、当該ランプの組み立て作業を(Tc+Th)/2(K)程度の室温で組み立て、その時のガラス管6と口金5の間のクリアランスCは、口金5の凹部64の深さFの半分にすればよい。
【0054】
口金5の凹部64の深さF≧Th(K)の長さ−Tc(K)の長さ
ガラス管6と口金5の間のクリアランスCの長さ=F÷2
【0055】
両側の接着がゆるく伸縮が両側のガラス管6と口金5の間のクリアランスをほぼ対等に変化させるという場合を想定すると、凹部64の深さFは前記値の半分になる。
【0056】
凹部64の深さF=環状外壁部53の深さF=環状内壁部の深さF≧0.7mm
凹部64の深さF=環状外壁部53の深さF=環状内壁部の深さF>0.7mm
【0057】
余裕を持つ場合は、0.75mm以上あればよい。最大で1.0mm以下であればよい。
すなわち、口金5の環状外壁部の深さFは、最低温消灯放置時の伸縮構成物温度Tc(K)と、最高温雰囲気点灯時の伸縮構成物温度Th(K)との伸縮構成物の長さの差の二分の一より大きくなければならない。また、当該ランプの組み立て作業を(Tc+Th)/2(K)程度の室温で組み立て、その時のガラス管6と口金5の間のクリアランスCは、口金5の環状外壁部の深さFの四分の一にすればよい。
【0058】
口金5の環状外壁部の深さF≧(Th(K)の長さ−Tc(K)の長さ)÷2
ガラス管6と口金5の間のクリアランスCの長さ=F÷4
【0059】
実施の形態1の照明ランプ50は、両端に一対の口金5とLED単体又はLEDモジュールを備え、それが安定的に動作するために必要な制御装置が一体となっていない構造であり、更に長期使用の観点で、使用中に安全を損なうランプ内への埃の侵入ができない構造を備えている。
【0060】
実施の形態1の照明ランプ50は、機能を損なわずには分解できない直管形LEDランプシステムで有る。
【0061】
実施の形態1の照明ランプ50の両端の口金5は、ランプ長手方向の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”に接合され固定されており、前記“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”が少なくとも2つ以上存在し、更に、この構造物同士の線膨張係数が少なくとも10×10
−6/K以上の差があり、かつ全長(JEL801におけるA寸法、或いはJISC7601におけるA寸法相当の両端口金の外端面65の間の長さ)が1000mmを超えるものである。
【0062】
ランプ両端の口金5は、ランプほぼ全幅に渡る構造物の内、最も線膨張係数の大きなものに固定され、かつほぼ全幅に渡る構造物の内、最も線膨張係数の大きなもの以外のほぼ全幅に渡る構造物には固定されていないか、もしくはゆるく固定されている。
【0063】
実施の形態1の照明ランプ50によれば、ランプが組立て時よりも高温となり、各構造物が熱膨張して一番熱膨張する部材が両端口金間距離を広げるが、ランプほぼ全幅に渡る他の構造物とは固定されていないか、或いはゆるく固定されているため、高温雰囲気に曝されても、歪みや切断応力の発生が有効に抑制される効果がある。
【0064】
また、実施の形態1の照明ランプ50のランプ両端の口金は、“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の内、消灯時と安定点灯中最も熱膨張による長さの変化が大きな“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”に固定され、かつその他の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”には固定されていない、もしくはゆるく固定されている。
【0065】
実施の形態1の照明ランプ50によれば、ランプ実使用状態となり、組立て時よりも高温となり、口金の位置関係を固定する“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”が熱膨張して両端口金間距離を広げるが、他の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”とは固定されていないか、或いはゆるく固定されているため、実使用状態での歪みや切断応力の発生が有効に抑制される。
【0066】
実施の形態1の照明ランプ50は、市場で起こりうる低温領域である−20℃において、両端口金位置関係を決定する構成部材より、ランプほぼ全幅に渡る他の構成物の長さが、同等もしくは短い。
【0067】
実施の形態1の照明ランプ50によれば、ランプ実使用状態となり、組立て時よりも高温となり、口金の位置関係を固定する“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”が熱膨張して両端口金間距離を広げるが、他の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”とは固定されていないか、或いはゆるく固定されているため、自己発熱の無い消灯時かつ周囲温度が低温−20℃になった場合、歪みや切断応力の発生が有効に抑制される。
【0068】
実施の形態1の照明ランプ50は、25±5℃雰囲気で組立てられることを特徴とする。
実施の形態1の照明ランプ50によれば、最低温消灯放置時の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の長さが両端口金位置関係を決定する構成部材温度Tc(K)と、実機実装高温雰囲気点灯時の“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の長さが両端口金位置関係を決定する構成部材温度Th(K)では、“ランプのほぼ全幅に渡る構成物”の相対長さが変化し得る最大になるが、該ランプの組み立て作業が(Tc+Th)/2(K)程度の室温で組み立てられるため、温度変化による熱膨張の歪が最も少なくできる。
【0069】
次に、
図5、
図6、
図7を用いて、この実施の形態の照明ランプ50の製造方法について説明する。
【0070】
ステップ1.
ヒートシンク4の両端に、ネジ穴を作成する。ヒートシンク4の裏側に中央を空けて2枚の両面テープ60を貼り付ける。
【0071】
ステップ2.
ヒートシンク4の表側に絶縁フィルム3を貼り付ける。絶縁フィルム3はシリコーンでもよい。あるいは、両面テープやその他の接着剤を用いてもよい。これらを併用してもよい。雷サージ対策のためには、絶縁フィルム3のような絶縁物で固定するのが望ましい。
【0072】
ステップ3.
絶縁フィルム3に2枚の基板2を貼り付ける。2枚の基板2を電気的にフレキシブル基板21で連結する。基板2とヒートシンク4を絶縁物で固定するのが望ましいが、絶縁物でない導電性のものでもよく、熱伝導性に優れるものを用いるのがよい。
【0073】
ステップ4.
基板2にリード線10と給電端子8とを接続する。
【0074】
ステップ5.
ヒートシンク4の裏側の両面テープ60の間にシリコーン9を塗布する。両面テープ60の剥離シートをはがす。これで発光部54が完成する。
なお、ヒートシンク4とガラス管6とを、両面テープ60のみ、又は、シリコーン9のみ、又は、その他の接着剤のみ、又は、これらを併用して接着してもよい。また、ヒートシンク4とガラス管6とを絶縁物で固定するのが望ましいが、絶縁物でない導電性のものでもよく、熱伝導性に優れるものを用いるのがよい。
【0075】
ステップ6.
ガラス管6に発光部54を挿入する。
【0076】
ステップ7.
発光部54をガラス管6の中央に位置決めする。
【0077】
ステップ8.
発光部54の両端をガラス管6の内面に押し当てて、発光部54をガラス管6に接着する。発光部54の両端が押され発光部54の中央が浮きやすくなるが、発光部54の中央はシリコーン9なので、発光部54の中央がガラス管6の内面から浮気味であってもシリコーン9が発光部54の中央をガラス管6の内面に接着する。
【0078】
ステップ9.
下口金52の凹部64にシリコーン9を塗る。ガラス管6の両端から、ガラス管6のガラス端面61を凹部64に挿入しながら下口金52を装着する。
【0079】
ステップ10.
L字型のスクリュードライバーで、口金5の固定部56をヒートシンク4のネジ穴に固定ネジ7でネジ止めする。
給電端子8を下口金52にはめ込む。
上口金51の凹部64にシリコーン9を塗る。ガラス管6の両端から、ガラス管6のガラス端面61を凹部64に挿入しながら上口金51を下口金52にはめ込んで装着する。
【0080】
ステップ11.
しばらく乾燥させて、照明ランプ50が完成する。
【0081】
実施の形態2.
図8のように、環状外壁部53を内端面55あるいは環状内壁部63よりガラス管6に向かって突き出してもよい。環状外壁部53を内端面55あるいは環状内壁部63よりガラス管6に向かって突き出せば、口金5がガラス管6からはずれにくくなる。
【0082】
また、固定ネジ7ではなく、
図8のように、固定部56が固定フック57を有し、固定フック57を、ヒートシンク4に設けた固定溝58にひっかけて、固定してもよい。この実施の形態によれば、
図8の矢印の方向に口金5を落ち込むだけで、口金5をヒートシンク4に固定することができる。
【0083】
1対の口金の内、両方を
図8に示した固定フック57による口金5にしてもよい。1対の口金の内、片方の口金を
図2に示した固定ネジ7による口金5にし、他方の口金を
図8に示した固定フック57による口金5にしてもよい。固定フック57による口金5の場合は、上口金51と下口金52に分かれていなくてもよく一体化できる。
その他は、実施の形態1と同じである。
【0084】
実施の形態3.
凹部64ではなく、
図9のように、環状内壁部63をなくし環状外壁部53と環状面66のみを設けてもよい。環状外壁部53は、口金5の内端面55から360度周囲において内端面55からガラス管6に向かって突き出た壁である。環状外壁部53の内周面にシリコーン9を塗布し、ガラス管6の端部を横からはめ込めば、環状外壁部53の内周面にガラス管6の外周面が嵌め込まれてシリコーン9で接着される。
その他は、実施の形態1と同じである。
【0085】
実施の形態4.
図10に示すように、ガラス管6の両端の外径が小さくなる場合でもかまわない。
図10に示す場合は、口金5の外径をガラス管6の外径と同じにすることができ、照明ランプ50の管径を全長に渡って等しくできる。また、口金5の外径はガラス管6の外径より小さくしても構わない。
【0086】
実施の形態5.
凹部64ではなく、
図11のように、環状外壁部53をなくし環状内壁部63と環状面66のみを設けてもよい。環状内壁部63は、口金5の内端面55から360度周囲において内端面55からガラス管6に向かって突き出た筒状の壁である。環状内壁部63の外周面にシリコーン9を塗布し、ガラス管6の端部を横からはめ込めば、環状内壁部63の外周面にガラス管6の内周面が嵌め込まれてシリコーン9で接着される。
その他は、実施の形態1と同じである。
【0087】
実施の形態6.
実施の形態1〜5において、ヒートシンク4の材質を、銅、鉄、鋼、亜鉛、スズ、鉛などの他の金属にしてもよい。鉄の線膨張係数は、12.1×10
−6/Kであり、銅の線膨張係数は、16.8×10
−6/Kであり、ガラス管6の線膨張係数より大きいから、口金5は銅や鉄のヒートシンク4に固定される。
【0088】
ヒートシンク4の材質の線膨張係数が、ガラス管6の線膨張係数より小さい場合は、口金5はガラス管6に固定され、ヒートシンク4にゆるく固定されるか、ヒートシンク4に固定されない。ガラス管6の線膨張係数より小さい材質とは、たとえば、炭化ケイ素、硬質ガラスなどである。
【0089】
実施の形態1〜5において、絶縁フィルム3はシリコーン9でもよい。また、両面テープ60はシリコーン9でもよい。両面テープ60あるいはシリコーン9は放熱に用いられるとともに、ガラス管6の破損防止に用いられる。
【0090】
また、基板2は2枚ではなく3枚以上でもよいし、1枚でもよい。
【0091】
また、ガラス管6の表面にガラス片の飛散を防止する飛散防止膜を設けてもよい。
実施の形態1〜5において、G13タイプの口金で説明したが、口金はG13に限るのではなく、GX16タイプのもの、その他のタイプのものであっても構わない。
【0092】
以下に、前述した実施の形態の特徴を記載する。
【0093】
この発明に係る実施の形態の照明ランプは、
筒状のガラス管と、
ガラス管に収納されて光を発光する発光部であって、ガラス管の長手方向に渡って延在するとともにガラス管よりも線膨張係数の大きな伸縮構成物を有する発光部と、
ガラス管の両端を覆うとともに、発光部の伸縮構成物の両端に固定された1対の口金とを備えたことを特徴とする。
【0094】
口金は、ガラス管には固定されていないか、もしくは、伸縮構成物の伸縮する範囲でガラス管に移動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0095】
また、発光部は、
発光ダイオードと、
発光ダイオードを取り付けた基板と、
基板を取り付けるとともに、前記伸縮構成物となる金属製のヒートシンクと
を有し、
口金は、円柱形状をしており、
口金は、円柱形状の円形の端面の縁部に、ガラス管のガラス端面に向き合う環状面と、ガラス管の端部を覆う環状外壁部または環状内壁部とを有し、
口金は、円柱形状の円形の端面の中央部分にヒートシンクへ固定される固定部を有し、
口金の固定部は、ヒートシンクの端部に固定され、
口金の環状外壁部または環状内壁部は、ガラス管が口金に対して長手方向に変位可能なように、弾性接着剤を介してガラス管の端部をはめこんでいることを特徴とする。
【0096】
また、環状外壁部または環状内壁部の深さFは、最低温消灯放置時の伸縮構成物温度Tc(K)と、最高温雰囲気点灯時の伸縮構成物温度Th(K)との伸縮構成物の長さの差の四分の一以上であり、
(Tc+Th)/2(K)±5℃で、ガラス管のガラス端面と口金の環状面との距離が深さF÷2であることを特徴とする。
【0097】
また、環状外壁部または環状内壁部の深さFは、最低温消灯放置時の伸縮構成物温度Tc(K)と、最高温雰囲気点灯時の伸縮構成物温度Th(K)との伸縮構成物の長さの差の二分の一以上であることを特徴とする。
【0098】
この発明に係る実施の形態の照明ランプの製造方法は、
発光ダイオードと、基板と、ガラス管よりも線膨張係数の大きなヒートシンクとを有している発光部を製作するステップと、
筒状のガラス管に発光部を挿入するステップと、
口金のガラス管の端部を覆う部分に弾性接着剤を塗布し、口金を発光部の伸縮構成物の両端に固定して、口金を取り付けるステップと
を実行することを特徴とする。