(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの電気的な接続部材と1つの接続導体とを備えた板ガラス、この板ガラスを製造及び使用するための経済的かつ環境に配慮した方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、例えば発熱導体又はアンテナ導体のような導電性構造体を備えた車両用の、少なくとも2つの電気的な接続部材と1つの接続導体とを備えた板ガラスに関する。導電性構造体は通常、はんだ付けされた電気的な接続部材を介して、車載電気系統と接続されている。
【0003】
最近の自動車産業においては、視覚的に魅力的な窓ガラスのデザインがますます重要性を増してきており、例えば、窓ガラスの透明な部分の面積を最大にしようという努力が行われている。一般に窓ガラスの周縁部に被着される不透明な黒色印刷の役割は、板ガラスをボディと接着すること、及びバスバーを隠蔽することである。したがって、黒色印刷の割合をできるかぎり少なく抑えるためには、バスバーの幅及び接着面を最小にしなければならない。ただしバスバーの幅を狭めると、バスバーの厚さが同じままであれば導体の横断面積も減少することから、電流容量が低下してしまう。このため、発熱素子の十分な発熱出力が、もはや保証されなくなってしまう可能性がある。さらにこの場合、上述の接続部材との接触接続も、もはや簡単には行えなくなってしまう。
【0004】
従来技術によれば、バスバーの電流容量が小さすぎる場合、発熱出力を高めるために、付加的な接続導体が使用される場合もある。このような接続導体はバスバーの上に取り付けられ、規則的な間隔でバスバーと導電接続される。
【0005】
米国特許出願公開第4415116号明細書には、付加的な接続導体が取り付けられたバスバーが開示されており、この付加的な接続導体の自由端は車載電源電圧と接続されている。接続導体は編組された銅ケーブルから成り、この銅ケーブルは、それぞれ50mmの間隔ではんだバンプを介してバスバーの上に取り付けられている。この接続導体によれば、バスバーに望ましくない加熱を引き起こしてしまうような、バスバーにおける不所望な電圧降下が、最小限に抑えられる。米国特許出願公開第4415116号明細書によれば、バスバーの領域において電流経路の長さを最低限に抑える目的で、バスバーと接続導体との間のはんだ接続部を、それぞれ所定の短い距離内の間隔をおいて取り付けることが必要とされる。このようにすれば、バスバーにおける電圧降下、ひいてはそれによって引き起こされる熱損失がさらに低減することになり、したがって発熱素子の発熱出力が最適化される。
【0006】
実際の適用において、これと類似した解決手法が知られており、この手法によれば、ニッケルめっきされ編組された銅導体が、複数のはんだバンプを介してバスバーの上に取り付けられており、この場合、はんだバンプのところで銅導体にそれぞれ1つの圧着部材が取り付けられている。このような実施形態の場合にも、はんだバンプは60mmよりも短い所定の短い距離以内の間隔をおいて配置される。
【0007】
従来技術により知られている接続導体は、高い材料コストがかかることから高価である一方、多数のはんだバンプを用いることから処理に手間がかかる。
【0008】
本発明の課題は、少なくとも2つの電気的な接続部材と1つの接続導体とを備えた板ガラス、及びこの板ガラスを製造するための経済的かつ環境に配慮した方法を提供することにあり、その際、接続部材を接続導体とともに、低コストでしかも簡単かつ自動的に処理できるようにすることである。
【0009】
本発明の課題は、本発明によれば請求項1、13及び15記載の、少なくとも2つの電気的な接続部材と1つの接続導体とを備えた板ガラス、この板ガラスを製造及び使用するための方法によって解決される。従属請求項には有利な実施形態が示されている。
【0010】
少なくとも2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた本発明による板ガラスは少なくとも、
・少なくとも一部分の領域に導電性構造体が設けられた基板と、
・この導電性構造体の少なくとも一部分の領域に設けられた少なくとも2つの電気的な接続部材と、
・各接続部材の下面に設けられた少なくとも1つのコンタクト面と、
・電気的な接続部材のコンタクト面を導電性構造体の少なくとも一部分の領域に接続するはんだ材料と、
・接続部材同士を導電接続する接続導体と
を含み、
隣り合う接続部材の最も近接するコンタクト面相互の間隔xは、少なくとも70mmである。
【0011】
この場合、間隔xは、隣り合う接続部材の最も近接するコンタクト面の互いに最も近接するエッジ相互間で測定される。
【0012】
本発明に従い、電気的な構造体に取り付けられた接続部材の両端をつなぐ接続導体を使用することによって、板ガラスの発熱出力が著しく向上する。このようにすれば、電流容量の小さい狭幅のバスバーであっても、発熱出力の損失なく使用することができる。従来技術により公知の解決手段と対比すると、本発明による板ガラスの接続部材同士は、少なくとも70mmの間隔を有している。このため本発明による接続導体によって、著しく長い区間をブリッジ状に接続することができ、それらの著しく長い区間にわたり、接続導体ははんだバンプを介して固定されない。したがって接続部材と接続導体との組み立てにおいて、接続導体の長さが同じ場合、従来技術により公知のものよりも、著しく僅かなはんだバンプしか必要とされない。このことから、米国特許出願公開第4415116号明細書で述べられていた、発熱出力を高めるためには短いはんだバンプ間隔(50mm)が必要である、という先入観を打ち破ることができた。
【0013】
1つの有利な実施形態によれば、隣り合う接続部材の最も近接するコンタクト面相互の間隔は、少なくとも100mmであり、好ましくは少なくとも150mm、特に好ましくは少なくとも200mmである。このような長い間隔であっても、従来技術により公知の解決手段とは異なり発熱出力の損失を発生させることなく、本発明による接続部材と接続導体とによって橋絡することができる。本発明による装置は、接続導体が長い場合に特に有利である。その理由は、はんだバンプの個数の低減によってコストが著しく低下するからである。塗布すべきはんだバンプの個数とともに、製造コストも高まる。さらにはんだバンプの個数が多いと、プロセスを自動的に実施できない。したがってはんだバンプの個数を、できるかぎり小さくすべきである。
【0014】
接続導体は、導電性のコアと非導電性の外装とを含んでいる。導電性のコアは金属製の導体である。接続導体の導電性コアが例えば、銅、アルミニウム、及び/又は銀、或いはこれらの材料の合金又は混合物を含むようにすることができる。導電性コアを例えば、リッツ線又はソリッドワイヤとして実現することができる。この目的で使用可能な電気的導体は、当業者に周知である。非導電性外装(絶縁性被覆部)によって、導電性コアの電気的絶縁が形成される。好ましくは、非導電性外装はポリマーを含有し、特に好ましくは、ポリ塩化ビニル及び/又はポリテトラフルオロエチレンを含有する。非導電性外装は、導電性コアの電気的な絶縁のほか、車内に騒音が発生するのを回避する役割も果たす。接続導体は接続部材のところで固定されているだけなので、接続部材の間に位置する部分は自由に運動可能であり、走行中、接続部材の下にあるバスバーにぶつかる可能性があり、それによって適切な対抗措置がないと騒音が発生する可能性がある。非導電性外装によって、バスバーに対する接続導体のこのような衝突が緩和され、それによって妨害を及ぼす騒音の発生が阻止される。
【0015】
実現可能なさらに別の実施形態によれば、接続導体の非導電性外装は付加的に、発泡性ポリマーを含み、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチロール、ポリエチレンテレフタレート、及び/又は、これらの混合物及び/又はコポリマーを含んでいる。これによって、騒音抑圧がさらに改善される。
【0016】
接続導体の導体横断面積は6mm
2以下であり、好ましくは4mm
2以下であり、特に好ましくは2.5mm
2以下である。この場合、材料と重量の節約を達成する目的で、接続導体の導体横断面積ができるかぎり小さく選定される。驚くべきことに、接続導体の導体横断面積がこのように小さくても、十分に高い発熱出力を達成するためには十分である。特に格別好ましい実施形態によれば、接続導体の導体横断面積は1.5mm
2〜2.5mm
2である。
【0017】
1つの有利な実施形態によれば、接続部材はそれらの接続部材の上側を介して、接続導体と接続されている。接続部材の上側とは、本発明における意味においては、接続部材と導電性構造体とのコンタクト面(はんだ付け面)とは反対側の表面である。接続導体は、好ましくは接続部材の上側に取り付けられている。
【0018】
導電性構造体を例えば、板ガラスに被着されたワイヤ又はコーティングを接触接続するために用いることができる。この場合、導電性構造体は、例えばバスバーの形態で、板ガラスの互いに反対側の周縁部に取り付けられる。導電性構造体は少なくとも1つのバスバーを含み、このバスバーの導体横断面積は0.3mm
2よりも小さく、好ましくは0.1mm
2よりも小さく、特に好ましくは0.06mm
2よりも小さい。このため、本発明による接続部材を接続導体とともに用いることによって、導体横断面積が小さいバスバーであっても、同時に十分な発熱出力で実現することができる。
【0019】
バスバーに取り付けられた接続部材を介して、電圧を供給することができ、これによって導電性のワイヤもしくは導電性のコーティングを介して、一方のバスバーから他方へと電流が流れ、板ガラスが加熱される。このような加熱機能に代わる選択肢として、本発明による板ガラスをアンテナ導体と組み合わせて使用することができ、又は他の任意の形態も考えられる。
【0020】
バスバーの幅は10mm以下であり、好ましくは8mm以下、特に好ましくは6mm以下である。このような狭幅のバスバーは、バスバーを隠すための黒色印刷部分も同様に狭い幅であればよいことから、特に有利である。これによって、窓ガラスの透明な部分の割合を増やすことができる。
【0021】
バスバーの層厚は16μm以下であり、好ましくは12μm以下であり、特に好ましくは10μm以下である。バスバーの層厚を低減することによって材料が節約され、ひいてはコストも下げられる。したがってバスバーの層厚は、できるかぎり薄く抑えられるようにすべきであり、本発明による接続導体によれば、例えば8μmといった著しく薄い層厚を用いることもできる。
【0022】
1つの有利な実施形態によれば、板ガラスは2つの接続部材を含み、これらの接続部材の間に、長さ300mm以下の接続導体が延在している。最大で300mmというこの距離をブリッジ状に接続するために、接続導体の両端に2つの接続部材があれば十分であり、この場合、接続導体をさらに付加的に固定する必要がない。発熱出力に関しても、2つの接続部材を使用すれば十分である。
【0023】
さらに別の有利な実施形態によれば、板ガラスは少なくとも3つの接続部材を含み、この場合、接続導体の長さは300mm以上である。ここでは接続導体は、それぞれ1つの接続部材から次に位置する接続部材まで延在する個々の区間に分けられている。
【0024】
これらの接続部材は、当業者に知られている多種多様な材料および合金を含有することができる。これらの接続部材には好ましくは、チタン、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、銅、亜鉛、スズ、マンガン、ニオブ、及び/又はクロム、及び/又はこれらの材料から成る合金が含まれている。この場合、接続部材の材料組成を、使用されるはんだの材料組成に整合させることができる。鉛を含有するはんだと接続する場合、好ましくは銅を含有する接続部材が用いられる。1つの有利な実施形態によれば、接続部材は鉄の合金又はチタンを含有し、したがってこの接続部材は鉛フリーはんだ材料との組み合わせに特に適している。
【0025】
接続部材の材料厚は、好ましくは0.1mm〜2mmであり、特に好ましくは0.2mm〜1.5mm、特に著しく好ましくは0.4mm〜1mmである。1つの有利な実施形態によれば、接続部材の材料厚はすべての領域において一定である。このことは、接続部材の製造が容易であるという点で、格別有利である。
【0026】
接続部材は、それぞれ少なくとも1つのコンタクト面を有しており、このコンタクト面を介して、接続部材がはんだ材料によって面全体にわたり、導電性構造体の一部分の領域と接合されている。これらの接続部材を、多種多様な幾何学的形状で実現することができる。この場合、接続部材として、例えば圧着部材などのように、1つのコンタクト面だけしか備えていない単純な形状を適用してもよい。さらに接続部材を、ブリッジ状に形成してもよいし、又は押圧ボタンの形状で形成してもよい。
【0027】
1つの有利な実施形態によれば、接続部材はブリッジ形状に構成されており、その際に接続部材は、導電性構造体と接触接続させるための2つの脚部を有しており、それらの脚部の間に、導電性構造体とはじかに面接触せず位置が高められた区間が存在する。接続部材が、単純なブリッジ形状を含むようにしてもよいし、もっと複雑なブリッジ形状を含むようにしてもよい。例えばこの場合に考えられるのは、脚部に丸みが付けられたダンベル型の形状であり、これによって均等な引っ張り応力分布が生じるようになるとともに、均等なはんだ分布を生じさせることもできる。ブリッジ状の接続部材の使用は、特に有利である。その理由は、供給される電流が2つの部分流に分割され、それら2つの部分流が接続部材のそれぞれ1つのはんだ脚部を介して、導電性構造体に流入し、これによって均等な電流分布を実現できるからである。
【0028】
接続導体と接続部材との電気的な接触接続を、はんだ接続、溶接、圧着接続、又はプラグ接続によって行うことができる。
【0029】
接続導体を、該当する接続部材の長手方向に対し相対的に45°〜180°の角度で、その接続部材に当接させることができる。180°の角度の場合、接続導体はコンタクト面を超えて、次に位置する接続部材の方向に向かって延在する。したがって抵抗はんだ付けにおいて電極のために必要とされる取り付け点が、接続導体によって隠される。このことは例えば、プラグ接続を使用し、接続導体をあとから取り付けることによって、回避することができる。接続導体と接続部材との接触接続が可逆的な性質をもたないようにすべきであるならば、別の選択肢として、誘導はんだ付けによる取り付けも可能である。コンタクト面の隠蔽が望ましくない場合には、接続導体と接続部材との間の角度を変更することによって、このことを回避することができる。1つの実現可能な実施形態によれば、接続導体は接続部材の長手方向に対し相対的に90°の角度で、接続部材に取り付けられる。ただし実際の適用において、電極取り付け点に十分に接近できるようにしておくためには、すでに45°の角度で十分であることが判明した。
【0030】
少なくとも1つの接続部材は、自動車の車載電子装置と接続ケーブルを介して接続されている。接続部材と接続ケーブルとの電気的な接触接続を、同様にはんだ接続、溶接、圧着接続、又はプラグ接続によって行うことができる。
【0031】
考えられる最も簡単な実施形態の場合、接続導体と接続ケーブルは、例えばはんだ接続を介して、接続部材にダイレクトに取り付けられる。
【0032】
1つの有利な実施形態によれば、接続導体及び/又は接続ケーブルは、コンタクト部材を介して接続部材と接触接続されている。この場合、接続導体と接続ケーブルを、ともに共通して1つのコンタクト部材を介して取り付けてもよいし、それぞれ異なるコンタクト部材を介して取り付けてもよい。1つの実現可能な実施形態によれば、接続導体と接続ケーブルとが、一体型のケーブルとして構成されており、この場合、接続部材の領域では、ケーブルの非導電性の外装が取り除かれており、導電性のコアが例えば圧着部材を介して、接続部材と導電的に接触接続されている。
【0033】
コンタクト部材は接続部材と導電接続されており、その際、これらの部材を種々のはんだ技術又は溶接技術によって接続することができる。好ましくはコンタクト部材と接続部材とは、電極を用いた抵抗溶接、誘導はんだ付け、超音波溶接、又は摩擦溶接によって接続される。さらに、接続部材とコンタクト部材を一体型で構成することも考えられる。
【0034】
コンタクト部材として、例えば圧着部材又はコンタクトピンを使用することができ、これらは接続部材と一体型で実現することもできるし、複数の部分から成る構成形態で実現することもできる。これに関連して、押圧ボタンの上側の雌部材もコンタクト部材としての役割を果たし、このコンタクト部材に、接続導体及び/又は接続ケーブルが固定される。
【0035】
コンタクト部材の使用は、それによって実現される標準化の点で有利である。この場合、接続部材と接続導体は別個にストックされており、必要になったときに初めて個別モジュールの組み立てが行われる。したがって種々の長さの接続導体を、コンタクト部材を介して任意の接続部材と簡単に組み合わせることができる。この種のモジュール構造によって、高いフレキシビリティと多種多様性を、製造コストを同時に抑えながら実現することができる。
【0036】
1つの有利な実施形態によれば、コンタクト部材は、高さ0.8mm、幅4.8mm又は6.3mm又は9.5mmの規格化された自動車用ブレード端子を、コンタクト部材の少なくとも1つの自由端に差し込めるようなサイズに選定されている。特に好ましいのは、幅6.3mmのコンタクト部材の実施形態を適用することである。その理由は、このようなサイズは、この分野で一般に使用されているDIN 46244に準拠した自動車用ブレード端子にマッチしているからである。慣用の自動車用ブレード端子のサイズに合わせてコンタクト部材を規格化すれば、基板の導電性構造体を車載電源電圧と接続するための簡単かつ可逆的な構成を得ることができる。このようにすれば、接続ケーブル又は接続導体のケーブル破損が生じても、欠陥パーツを交換するためにはんだ付け接続を新たに行う必要がなく、代替ケーブルをコンタクト部材に差し込むだけよい。さらにシステムのモジュール構造及び標準化の点で、プラグ接続を使用するのが特に有利である。
【0037】
特に有利な実施形態によれば、コンタクト部材は対称に構成されており、2つのコンタクトピンを有する。対称的な形状は、処理中、コンタクト部材の均等な電力消費を生じさせるのに役立ち、例えばはんだプロセス及び溶接プロセスにおいて均等な熱分布を生じさせるのに役立つ。この種のコンタクト部材において、第1のコンタクトピンに接続導体が接触接続され、第2のコンタクトピンに接続ケーブルが接触接続される。この種の構造は、1つの接続導体のために単一の差込個所だけしか必要としなければ、標準化及びモジュール構造の点でやはり有用である。
【0038】
1つの実現可能な実施形態によれば、接続部材及びコンタクト部材は一体型に成形されている。
【0039】
別の選択肢として、コンタクト部材の電気的な接触接続を、はんだ付け接続又は圧着接続によって行ってもよい。
【0040】
使用可能な接続ケーブルは基本的に、導電性構造体を電気的に接触接続するために当業者に知られているすべてのケーブルである。接続ケーブルは、導電性コア(内部導体)のほか、有利にはポリマーの絶縁性外装を含むことができ、その際、接続部材と内部導体とを導電接続できるように、好ましくは接続ケーブルの終端領域において絶縁性外装が除去されている。
【0041】
接続ケーブルの導電性コアが、例えば銅、アルミニウム、及び/又は銀、或いはこれらの材料の合金又は混合物を含むようにすることができる。導電性コアを、例えば撚線又は単線として実装することができる。接続ケーブルの導電性コアの断面積は、本発明による板ガラスを使用するのに必要とされる電流容量に合わせられ、当業者が適宜選定することができる。断面積は、例えば0.3mm
2〜6mm
2である。
【0042】
接続ケーブルは、コンタクト部材又は接続部材とは接続されていない自由端に、プラグコネクタを備えており、このプラグコネクタを介して、車両の車載電子装置との接続が行われる。
【0043】
1つの特に有利な実施形態によれば、接続ケーブルは曲げ剛性がある。これによって、接続ケーブルの端部側のプラグコネクタを、差し込みに費やされる力によって接続ケーブルの不所望な変形が引き起こされることなく、車載電源電圧と簡単に接続することができる。したがってプラグコネクタを片手で接続することもでき、このことは製造プロセスが簡単になることを意味する。ケーブルの補強は、好ましくは曲げ剛性のある外装によって行われる。
【0044】
導電性構造体は少なくとも銀を含み、好ましくは銀粒子とガラスフリットとを含む。
【0045】
導電性構造体は、はんだ材料を介して接続部材と導電接続されている。この場合、はんだ材料は、接続部材の下面に位置するコンタクト面のところに配置されている。その際、当業者に周知の、ガラス上での処理に適したあらゆるはんだ材料を使用することができる。はんだ材料は好ましくは、スズ、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、鉛及び/又はこれらの材料の混合物、及び/又はこれらの材料の合金を含んでいる。
【0046】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、はんだ材料は鉛フリーである。このことは、電気的な接続部材を備えた本発明による板ガラスの環境親和性という点で、特に有利である。鉛フリーはんだ材料とは、本発明において意味するところは、電気機器及び電子機器における指定危険材料の使用を制限する欧州共同体の指令2002/95/ECに従い、0.1重量%以下の含有量の鉛しか含まないはんだ材料、好ましくは鉛を含まないはんだ材料、のことを意味する。
【0047】
鉛フリーはんだ材料は典型的には、鉛含有はんだ材料よりも延性が少ないので、接続部材と板ガラスとの間に生じる機械的な応力をあまり良好に補償することはできない。しかしながら、接続部材の材料を適切に選択することによって、クリティカルな機械的応力を回避できることが判明した。その際、接続部材の材料組成は、透明な基板と接続部材との熱膨張率の差が、5×10
−6/℃よりも小さくなるように選定される。このようにすることで、板ガラスの熱応力が低減し、付着特性が改善される。特に適した材料として、ここではチタンとクロム含有鋼とを挙げておく。
【0048】
鉛フリーはんだ材料と組み合わせて使用される接続部材の有利な材料を、以下に示す。
【0049】
1つの有利な実施形態によれば、接続部材は、クロム成分が5重量%以上、好ましくは10.5重量%以上のクロム含有鋼を含んでいる。モリブデン、マンガン又はニオブなど他の合金成分によって、耐食性が向上し、或いは抗張力又は冷間成形性などの機械的特性が変化する。
【0050】
接続部材は好ましくは少なくとも、49重量%〜95重量%の鉄、5重量%〜30重量%のクロム、0重量%〜1重量%の炭素、0重量%〜10重量%のニッケル、0重量%〜2重量%のマンガン、0重量%〜5重量%のモリブデン、0重量%〜2重量%のニオブ、及び0重量%〜1重量%のチタン、を含んでいる。これらに加え接続部材は、バナジウム、アルミニウム、窒素といった他の元素の添加物を含むことができる。
【0051】
接続部材はさらに好ましくは少なくとも、57重量%〜93重量%の鉄、7重量%〜25重量%のクロム、0重量%〜1重量%の炭素、0重量%〜8重量%のニッケル、0重量%〜2重量%のマンガン、0重量%〜4重量%のモリブデン、0重量%〜2重量%のニオブ、及び0重量%〜1重量%のチタン、を含んでいる。これらに加え接続部材は、バナジウム、アルミニウム、窒素といった他の元素の添加物を含むことができる。
【0052】
接続部材は特に好ましくは少なくとも、66.5重量%〜89.5重量%の鉄、10.5重量%〜20重量%のクロム、0重量%〜1重量%の炭素、0重量%〜5重量%のニッケル、0重量%〜2重量%のマンガン、0重量%〜2.5重量%のモリブデン、0重量%〜2重量%のニオブ、及び0重量%〜1重量%のチタン、を含んでいる。これらに加え接続部材は、バナジウム、アルミニウム、窒素といった他の元素の添加物を含むことができる。
【0053】
接続部材は、とりわけ特に好ましくは少なくとも、73重量%〜89.5重量%の鉄、10.5重量%〜20重量%のクロム、0重量%〜0.5重量%の炭素、0重量%〜2.5重量%のニッケル、0重量%〜1重量%のマンガン、0重量%〜1.5重量%のモリブデン、0重量%〜1重量%のニオブ、及び0重量%〜1重量%のチタン、を含んでいる。これらに加え接続部材は、バナジウム、アルミニウム、窒素といった他の元素の添加物を含むことができる。
【0054】
接続部材は特に少なくとも、77重量%〜84重量%の鉄、16重量%〜18.5重量%のクロム、0重量%〜0.1重量%の炭素、0重量%〜1重量%のマンガン、0重量%〜1重量%のニオブ、0重量%〜1.5重量%のモリブデン、及び0重量%〜1重量%のチタン、を含んでいる。これらに加え接続部材は、バナジウム、アルミニウム、窒素といった他の元素の添加物を含むことができる。
【0055】
クロム含有鋼、特にいわゆるステンレス鋼は、経済的なコストで入手可能である。しかも、クロム含有鋼から成る接続部材は、例えば銅などから成る多くの慣用の接続部材に比べて、高い剛性を有しており、このことから接続部材の好ましい安定性が得られるようになる。さらにクロム含有鋼のはんだ特性は、熱伝導率がいっそう高いことから、例えばチタンなどから成る多くの従来の接続部材よりも良好である。
【0056】
特に適切なクロム含有鋼は、EN 10 088-2に準拠する材料番号1.4016, 1.4113, 1.4509及び1.4510の鋼である。
【0057】
好ましくははんだ材料には、スズ及びビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、又はそれらから成る組成物が含まれる。はんだ組成物中、スズの含有量は、3重量%〜99.5重量%であり、好ましくは10重量%〜95.5重量%、特に好ましくは15重量%〜60重量%である。本発明によるはんだ組成物中、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、又はそれらの組成物の含有量は、0.5重量%〜97重量%、好ましくは10重量%〜67重量%であり、この場合、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、又は銀を0重量%としてもよい。はんだ組成物に、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム、又はリンを、0重量%〜5重量%の含有率で含めることができる。特に格別好ましいのは、はんだ組成物が、Bi40Sn57Ag3, Sn40Bi57Ag3, Bi59Sn40Ag1, Bi57Sn42Ag1, In97Ag3, In60Sn36.5Ag2Cu1.5, Sn95.5Ag3.8Cu0.7, Bi67In33, Bi33In50Sn17, Sn77.2In20Ag2.8, Sn95Ag4Cu1, Sn99Cu1, Sn96.5Ag3.5, Sn96.5Ag3Cu0.5, Sn97Ag3、又はこれらの混合物を含むことである。
【0058】
1つの有利な実施形態によれば、はんだ材料にはビスマスが含まれる。ビスマスを含有するはんだ材料によって、本発明による接続部材が板ガラスに極めて良好に付着するようになり、板ガラスの損傷を回避できることが判明した。はんだ材料組成物におけるビスマスの含有率は、好ましくは0.5重量%〜97重量%であり、特に好ましくは10重量%〜67重量%、特に格別好ましくは33重量%〜67重量%、特に50重量%〜60重量%である。はんだ材料には、ビスマスのほか好ましくはスズ及び銀、又はスズと銀と銅が含まれる。1つの特に好ましい実施形態によれば、はんだ材料は少なくとも、35重量%〜69重量%のビスマス、30重量%〜50重量%のスズ、1重量%〜10重量%の銀、及び0重量%〜5重量%の銅を含んでいる。1つのとりわけ特に好ましい実施形態によれば、はんだ材料は少なくとも、49重量%〜60重量%のビスマス、39重量%〜42重量%のスズ、1重量%〜4重量%の銀、及び0重量%〜3重量%の銅を含んでいる。
【0059】
さらに別の有利な実施形態によれば、はんだ材料は、90重量%〜99.5重量%のスズを含んでおり、好ましくは95重量%〜99重量%、特に好ましくは93重量%〜98重量%で含んでいる。はんだ材料には、スズのほか好ましくは0.5重量%〜5重量%の銀、及び0重量%〜5重量%の銅が含まれている。
【0060】
はんだ材料の層厚は、好ましくは600μm以下であり、特に好ましくは150μm〜600μmであり、特に300μmよりも薄い。
【0061】
はんだ材料は、接続部材のはんだ領域と導電性構造体との間の中間スペースから、好ましくは1mmよりも僅かな漏れ幅で漏れ出るだけである。1つの有利な実施形態によれば、最大漏れ幅は0.5mmよりも小さく、例えばほぼ0mmである。このことは、板ガラスにおける機械的な応力の低減、接続部材の付着、及びはんだの節約、という点で、格別有利である。この場合、はんだ領域外縁から、はんだ材料がはみ出てはんだ材料層厚が50μmの層厚を下回った部位までの間隔を、最大漏れ幅と定義する。最大漏れ幅は、はんだ付けプロセス後、凝固したはんだ材料において測定される。望ましい最大漏れ幅は、はんだ材料体積と、接続部材と導電性構造体との間の垂直方向距離とを適切に選定することによって達せられ、これらは簡単な実験により求めることができる。接続部材と導電性構造体との間の垂直方向距離を、適切なプロセス工具例えばスペーサが一体化された工具などによって設定することができる。最大漏れ幅が負であってもよく、つまり電気的な接続部材のはんだ領域と導電性構造体とにより形成されるスペース内に後退するようにしてもよい。本発明による板ガラスの1つの有利な実施形態によれば、電気的な接続部材のはんだ領域と導電性構造体とにより形成されたスペースにおける最大漏れ幅は、凹状のメニスカスの形状で後退している。凹状のメニスカスの形状は例えば、はんだ付けプロセスにおいてはんだがまだ液状である間に、スペーサと導電性構造体との垂直方向距離を長くすることにより形成される。これにより得られる利点とは、板ガラスにおいて、特にはんだ材料の大きなはみ出しが生じるクリティカルな領域において、機械的応力が低減されることである。
【0062】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、接続部材のコンタクト面にスペーサが設けられており、好ましくは少なくとも2つのスペーサ特に好ましくは少なくとも3つのスペーサが設けられている。この場合に有利であるのは、例えば型押しや深絞りなどによって、スペーサを接続部材と一体的に形成することである。好ましくはスペーサは、幅0.5×10
−4m〜10×10
−4mであり、高さ0.5×10
−4m〜5×10
−4m、特に好ましくは1×10
−4m〜3×10
−4mである。スペーサを設けることによって、一定の厚さで一様に溶融する均質なはんだ材料層が得られる。これにより接続部材と板ガラスとの間に生じる機械的応力を低減することができ、さらに接続部材の付着を向上させることができる。このことは、鉛フリーはんだ材料を使用したときに特に有利である。それというのも鉛フリーはんだ材料はその延性が小さいことから、鉛含有はんだ材料に比べて機械的応力を良好に補償することができないからである。
【0063】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、基板とは逆側の接続部材表面においてコンタクト面とは反対側に、少なくとも1つのコンタクトバンプが配置されており、このコンタクトバンプは、はんだプロセス中、接続部材をはんだ付け工具と接触させるために用いられる。コンタクトバンプは好ましくは、少なくともはんだ付け工具と接触する領域において、凸状に湾曲した形状に成形されている。さらに好ましくは、コンタクトバンプの高さは0.1mm〜2mmであり、特に好ましくは0.2mm〜1mmである。コンタクトバンプの長さと幅は、好ましくは0.1mm〜5mmであり、とりわけ特に好ましくは0.4mm〜3mmである。この場合に有利であるのは、例えば型押しや深絞りなどによって、コンタクトバンプを接続部材と一体的に形成することである。はんだ付けのために、コンタクト面が平坦に成形されている電極を用いることができる。この電極平面がコンタクトバンプと接触状態におかれる。その際、電極平面は基板表面と平行に配置される。電極平面とコンタクトバンプとが接触した領域により、はんだ付け部位が形成される。その際、はんだ付け部位のポジションは、コンタクトバンプの凸状表面において基板表面まで最大の垂直方向距離を有するポイントによって定まる。はんだ付け部位のポジションは、接続部材の上のはんだ付け電極のポジションには左右されない。このことは、はんだ付けプロセス中に再現可能な均一な熱分布を生じさせる点で、特に有利である。はんだ付けプロセス中の熱分布は、コンタクトバンプのポジション、サイズ、配置、及び形状によって定まる。
【0064】
電気的な接続部材は、少なくともはんだ材料に面したコンタクト面にコーティング(湿潤層)を有しており、このコーティングには、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、銀、金、又はこれらの材料から成る合金、又はこれらの材料から成る複数の層が含まれ、好ましくは銀が含まれる。このようにすることで、はんだ材料による接続部材の湿潤特性が向上し、さらには接続部材の付着特性が向上する。
【0065】
本発明による接続部材は、好ましくはニッケル、スズ、銅、及び/又は銀によってコーティングされている。特に好ましくは本発明による接続部材に、有利にはニッケル及び/又は銅から成る付着促進層が設けられており、さらにこれに加えて、有利には銀から成るはんだ付け可能な層が設けられている。本発明による接続部材は、とりわけ特に好ましくは、0.1μm〜0.3μmのニッケルによって、及び/又は3μm〜20μmの銀によって、コーティングされている。さらに接続部材に対し、ニッケルめっき、スズめっき、銅めっき、及び/又は銀めっきを施してもよい。ニッケル及び銀によって、接続部材の電流容量及び耐食性並びにはんだ材料による湿潤特性が改善される。
【0066】
オプションとして、コンタクト部材にもコーティングを施すことができる。ただしコンタクト部材のコーティングは必須ではなく、その理由は、コンタクト部材とはんだ材料とがじかに接触するわけではないからである。つまり、コンタクト部材の湿潤特性を最適化する必要はない。
【0067】
1つの別の選択肢による実施形態によれば、コンタクト部材にコーティングが施され、このコーティングには、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、銀、金、又はこれらの材料から成る合金、又はこれらの材料から成る複数の層が含まれ、好ましくは銀が含まれる。好ましくはコンタクト部材は、ニッケル、スズ、銅、及び/又は銀によってコーティングされる。コンタクト部材は、とりわけ特に好ましくは、0.1μm〜0.3μmのニッケルによって、及び/又は3μm〜20μmの銀によって、コーティングされる。さらにコンタクト部材に対し、ニッケルめっき、スズめっき、銅めっき、及び/又は銀めっきを施してもよい。
【0068】
電気的な接続部材の形状によって、接続部材と導電性構造体との間のスペースに1つ又は複数のはんだ溜まりを形成することができる。接続部材におけるはんだ溜まりとはんだの湿潤特性によって、中間スペースからはんだ材料が漏れ出るのが回避される。はんだ溜まりを、矩形、円形、又は多角形の形状にすることができる。
【0069】
基板には好ましくはガラスが含まれ、特に好ましくは平板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、及び/又はソーダ石灰ガラスが含まれる。とはいえ、基板はポリマーを含むものであってもよく、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボナイト、ポリメチルメタクリレート、ポリスチロール、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、及び/又はこれらのコポリマー又は混合物、を含むものであってもよい。好ましくは、この基板は透明である。基板の厚さは、好ましくは0.5mm〜25mmであり、特に好ましくは1mm〜10mm、とりわけ特に好ましくは1.5mm〜5mmである。
【0070】
オプションとして基板の上にスクリーン印刷を施すことができ、これは板ガラスが取り付けられた状態で、板ガラスの接触接続部分を隠すものであり、したがって接続部材は接続導体とともに外側からは見えない。
【0071】
本発明はさらに、板ガラスの製造方法に関する。この方法は、以下のステップを含む。即ち、
a)接続導体を、少なくとも2つの接続部材と電気的に接触接続させるステップと、
b)接続部材の下面においてそれぞれ少なくとも1つのコンタクト面に、はんだ材料を塗布するステップと、
c)接続部材をはんだ材料とともに、基板上の導電性構造体上に配置するステップと、
d)接続部材を導電性構造体とはんだ付けするステップと
を含み、
この場合、ステップa)を、ステップb)、c)及びd)の前、間、又は後に実施可能である。
【0072】
導電性構造体を、それ自体公知の方法により基板に取り付けることができ、例えばスクリーン印刷法によって取り付けることができる。導電性構造体の取り付けを、上述のステップb)の前、又はこれらのステップ中、或いはこれらのステップの後のタイミングで、実施することができる。
【0073】
好ましくははんだ材料を、規定の層厚、体積、形状、及び配置で、小さいプレート又は平坦な液滴として、接続部材の上に塗布する。はんだ材料の小プレートの層厚は、好ましくは0.6mm以下である。この場合、はんだ材料の小プレートの形状を、コンタクト面の形状にマッチさせるのが有利である。コンタクト面が例えば矩形状に形成されているならば、はんだ材料の小プレートを矩形状にするのがよい。
【0074】
電気的な接続部材と導電性構造体とを電気的に接続する際のエネルギーは、好ましくはパンチ、熱極、ピストンはんだ付け、マイクロフレームはんだ付け、好ましくはレーザはんだ付け、熱風はんだ付け、誘導はんだ付け、抵抗はんだ付け、及び/又は超音波によって、供給される。
【0075】
1つの好ましい実施形態によれば、接続部材を自動化してはんだ付けする。これが実現できる理由は、接続ウェブを備えた本発明による接続部材は、比較的僅かな個数のはんだバンプしか有しておらず、したがって自動化しても処理できるからである。
【0076】
好ましくは接続導体を、コンタクト部材を介して接続部材と導電的に接触接続させる。接続導体と接続部材とを電気的に接触接続させる前に、これらのコンタクト部材を接続部材に取り付ける。モジュール構造という意味合いにおいて、これらのコンタクト部材を最初のステップの前に、接続部材と接続して既に準備しておくことができ、他方、接続導体を取り付けるのは、ステップb)、c)、d)の前、間、又は後の時点になってからである。好ましくは、ステップd)の後、接続導体をコンタクト部材に差し込む。この場合、最初に、まだ互いに接続されていない接続部材をコンタクト部材とはんだ付けする。この時点では、接続導体による空間的妨害が存在せず、この接続導体を取り付けるのは、この方法がさらに経過してからである。
【0077】
好ましくはコンタクト部材を、接続部材の表面に溶接又ははんだ付けする。特に好ましいのはコンタクト部材を、電極抵抗溶接、誘導はんだ付け、超音波溶接、又は摩擦溶接によって、接続部材の上に取り付けることである。
【0078】
別の実施形態によれば、コンタクト部材と接続部材は一体型に成形されている。この場合、コンタクト部材と接続部材との接続は省略される。
【0079】
さらに本発明は、少なくとも2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた板ガラスの使用に関する。この板ガラスは、車両、航空機、船舶、建築用ガラス、及び構造用ガラスのための、導電性構造体を備えた板ガラスとして用いられ、好ましくは発熱導体及び/又はアンテナ導体を備えた板ガラスとして用いられる。この場合、接続部材は、板ガラスの導電性構造体例えば発熱導体又はアンテナ導体などを、外部の電気系統例えば増幅器、制御ユニット又は電圧源などと接続するために用いられる。本発明は特に、本発明による板ガラスをレール車両又は自動車において使用することに関し、本発明による板ガラスは好ましくは、フロントウィンドウガラス、リアウィンドウガラス、サイドウィンドウガラス、及び/又はルーフウィンドウガラスとして用いられ、特に加熱可能なガラスとして、又はアンテナ機能を備えたガラスとして用いられる。
【0080】
次に、図面及び実施例を参照しながら本発明について詳しく説明する。図面は概略的なものであり、原寸通りに描かれたものではない。これらの図面は、いかなるかたちであろうとも、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた本発明による板ガラスの概略図
【
図2】2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態を示す図
【
図3】2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態を示す図
【
図4】2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態を示す図
【
図5】2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態を示す図
【
図6】2つの接続部材と1つの接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態を示す図
【
図7a】接続部材及び接続導体を備えた板ガラスを製造するための本発明による方法を示すフローチャート
【
図7b】接続部材及び接続導体を備えた板ガラスを製造するための本発明による方法の別の実施形態を示すフローチャート
【0082】
図1には、2つの接続部材(4.1,4.2)と1つの接続導体(6)とを備えた本発明による板ガラスが示されている。この場合、熱によりプレストレスが加えられた、ソーダ石灰ガラスから成る3mm厚の単板安全ガラスの基板(1)上に、スクリーン印刷マスク(2)が被着されている。基板(1)は、幅150cm、高さ80cmであり、スクリーン印刷マスク(2)の領域の短辺のところに、2つの接続部材(4)が接続導体(6)とともに取り付けられている。基板(1)の表面には、導電性構造体(3)が発熱導体構造の形態で取り付けられている。導電性構造体には、銀粒子とガラスフリットが含まれており、この場合、銀の含有量は90%よりも高い。板ガラスの周縁領域において、導電性構造体(3)の幅が6mmまで拡がっており、これはバスバーとして用いられる。この場合、バスバーの層厚は10μmである。この領域に、はんだ材料(8)が取り付けられており、これによって導電性構造体(3)が接続部材(4)のコンタクト面(9)と接続される。車体に取り付けられた後、接触接続個所はスクリーン印刷マスク(2)によって隠される。はんだ材料(8)によって、導電性構造体(3)と接続部材(4)との持続的な電気的かつ機械的接続が、確実に行われるようになる。はんだ材料(8)は鉛フリーであり、96.5重量%のスズ、3重量%の銀、及び0.5重量%の銅を含んでいる。はんだ材料(8)の層厚は250μmである。接続部材(4.1,4.2)はブリッジ形状である。接続部材は、それぞれ1つのコンタクト面(9)が下面に設けられた2つの脚部と、これらの脚部間に延在するブリッジ形状区間とを有している。ブリッジ形状区間において接続部材(4.1,4.2)の表面に、それぞれコンタクト部材(5.1,5.2)が溶接されている。これらのコンタクト部材(5.1,5.2)は、ダブルブリッジ形状を有しており、接続部材(4.1,4.2)に平行に配列されている。コンタクト部材(5.1,5.2)は、それぞれ2つのコンタクトピンを備えており、プラグ接続によってこれらのコンタクトピンに、接続導体(6)又は接続ケーブルを接続することができる。それぞれ1つのコンタクト部材(5.1,5.2)のコンタクトピンに、プラグコネクタ(7.1,7.2)を介して接続導体(6)が接続されており、したがってこの接続導体(6)によって、両方の接続部材(4.1)と(4.2)とが導電接続される。接続導体(6)として、ポリマーの外装を備え導体横断面積が2.5mm
2である銅製円形ケーブルが用いられる。コンタクト部材(5.1,5.2)のまだ空いているコンタクトピンを介して、接続部材(4.1,4.2)を車載電子装置と接続する接続ケーブル(図示せず)を差し込むことができる。この接続ケーブルを介して流れる電流は、接続部材(4.1)のはんだ脚部を介して導電性構造体(3)に入る2つの部分流と、接続導体(6)を介して第2の接続部材(4.2)へ導かれる1つの部分流とに分かれる。ここで示した実施形態は、システムのモジュール構造という点で特に有利である。この場合、標準化されている個々の部材を、モジュール方式でプラグコネクタを介して可変に繋ぎ合わせることができる。プラグコネクタの使用はさらに、接続の可逆性という点で有利であり、したがってケーブルが損傷した場合に簡単に交換することができる。電気接続部材(4.1,4.2)は幅4mm、長さ24mmであり、EN 10 088-2による材料番号1.4509の鋼(ThyssenKrupp Nirosta(登録商標)4509)から成る。接続部材(4.1,4.2)の材料厚は1mmである。コンタクト部材(5.1,5.2)は、高さ0.8mm、幅6.3mm、長さ27mmである。コンタクト部材(5.1,5.2)は、材料番号CW004A(Cu-ETP)の銅から成る。鉛フリーはんだ材料(8)と、鋼から成る接続部材(4.1,4.2)と、銅を含有するコンタクト部材(5.1,5.2)との材料の組み合わせは、特に有利である。その理由は、接続部材は、基板(1)に適合した熱膨張係数を有する一方、コンタクト部材(5.1,5.2)は、1.8μΩ・cmという高い導電率を有するからである。したがってコンタクト部材(5.1,5.2)の電気抵抗は、コンタクト部材(5.1,5.2)において大きい電圧降下が生じないように選定される。接続部材自体はやはり、適合した膨張係数を有する材料(基板の熱膨張係数に対し5×10
−6/℃よりも小さい差)の材料によって形成されている。接続部材(4.1,4.2)及びコンタクト部材(5.1,5.2)の種々の材料組成によって、対応する個所で使用される材料の有利な特性が最適に用いられる。第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)の最も近接するコンタクト面(9)相互の間隔xは、190mmである。接続導体(6)を含む本発明による接続部材(4.1,4.2)によって、電流容量を著しく改善することができ、このことは、導体横断面積の小さいバスバーを用い、かつ、末端にある2つの接続部材だけしか用いなくても、実現することができる。この場合、はんだバンプをさらに設ける必要がない。
【0083】
図2には、2つの接続部材(4.1,4.2)と1つの接続導体(6)とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態が示されている。この場合、熱によりプレストレスが加えられた、ソーダ石灰ガラスから成る3mm厚の単板安全ガラスの基板(1)上に、スクリーン印刷マスク(2)が被着されている。基板(1)は、幅150cm、高さ80cmであり、スクリーン印刷マスク(2)の領域の短辺のところに、2つの接続部材(4)が接続導体(6)とともに取り付けられている。基板(1)の表面には、導電性構造体(3)が発熱導体構造の形態で取り付けられている。導電性構造体には、銀粒子とガラスフリットが含まれており、この場合、銀の含有量は90%よりも高い。板ガラスの周縁領域において、導電性構造体(3)の幅が6mmまで拡がっており、これはバスバーとして用いられる。この場合、バスバーの層厚は10μmである。この領域にはんだ材料(8)が取り付けられており、これによって導電性構造体(3)が接続部材(4)のコンタクト面(9)と接続される。車体に取り付けられた後、接触接続個所はスクリーン印刷マスク(2)によって隠される。はんだ材料(8)によって、導電性構造体(3)と接続部材(4)との持続的な電気的かつ機械的接続が、確実に行われるようになる。はんだ材料(8)は、組成Pb70Sn27Ag3の鉛フリーはんだ材料である。はんだ材料(8)の層厚は250μmである。電気的な接続部材(4.1,4.2)は、幅4mm、長さ24mmであり、材料番号CW004A (Cu-ETP)の銅から成る。接続部材(4.1,4.2)の材料厚は0.8mmである。コンタクト部材(5.1,5.2)は、高さ0.8mm、幅6.3mm、長さ8mmである。コンタクト部材(5.1,5.2)は、材料番号CW004A(Cu-ETP)の銅から成る。接続部材(4.1,4.2)はブリッジ形状である。接続部材は、それぞれ1つのコンタクト面(9)が下面に設けられた2つの脚部と、これらの脚部間に延在するブリッジ形状区間とを有している。この実施形態によれば、接続部材(4.1,4.2)とコンタクト部材(5.1,5.2)は、一体形で形成されており、この場合、第1のコンタクト部材(5.1)は、2つのコンタクトピンとして第1の接続部材(4.1)に取り付けられており、他方、第2の接続部材(4.2)は、やはり2つのコンタクトピンを有しており、これによって第2のコンタクト部材(5.2)が形成されている。この場合、コンタクト部材(5.1,5.2)によって、接続部材(4.1,4.2)が長手方向に延長されており、かつ、基板から離れる向きで上に向かって曲げられている。このようにして、接続部材(4.1,4.2)とコンタクト部材(5.1,5.2)とが合わさって、1つのダブルブリッジ形状が得られる。それぞれ1つのコンタクト部材(5.1,5.2)のコンタクトピンに、プラグコネクタ(7.1,7.2)を介して接続導体(6)が接続されており、したがってこの接続導体(6)によって、両方の接続部材(4.1)と(4.2)とが導電接続される。接続導体(6)として、ポリマーの外装を備え導体横断面積が2.5mm
2である銅製円形ケーブルが用いられる。コンタクト部材(5.1,5.2)のまだ空いているコンタクトピンを介して、接続部材(4.1,4.2)を車載電子装置と接続する接続ケーブル(図示せず)を差し込むことができる。この接続ケーブルを介して流れる電流は、接続部材(4.1)のはんだ脚部を介して導電性構造体(3)に入る2つの部分流と、接続導体(6)を介して第2の接続部材(4.2)へ導かれる1つの部分流とに分かれる。この実施形態は、接続部材(4.1,4.2)をコンタクト部材(5.1,5.2)と一体形に形成した場合に、特に有利であり、その理由は、これらの部材を、1つのステップで単一の金属薄片から打ち抜くことができるからである。第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)の最も近接するコンタクト面(9)相互の間隔xは、190mmである。接続導体(6)を含む本発明による接続部材(4.1,4.2)によって、電流容量を著しく改善することができ、このことは、導体横断面積の小さいバスバーを用い、かつ、末端にある2つの接続部材だけしか用いなくても、実現することができる。この場合、はんだバンプをさらに設ける必要がない。
【0084】
図3には、2つの接続部材(4.1,4.2)と1つの接続導体(6)とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態が示されている。この場合、熱によりプレストレスが加えられた、ソーダ石灰ガラスから成る3mm厚の単板安全ガラスの基板(1)上に、スクリーン印刷マスク(2)が被着されている。基板(1)は、幅150cm、高さ80cmであり、スクリーン印刷マスク(2)の領域の短辺のところに、2つの接続部材(4)が接続導体(6)とともに取り付けられている。基板(1)の表面には、導電性構造体(2)が発熱導体構造として取り付けられている。導電性構造体には、銀粒子とガラスフリットが含まれており、この場合、銀の含有量は90%よりも高い。板ガラスの周縁領域において、導電性構造体(3)の幅が6mmまで拡がっており、これはバスバーとして用いられる。この場合、バスバーの層厚は10μmである。この領域にはんだ材料(8)が取り付けられており、これによって導電性構造体(3)が接続部材(4)のコンタクト面(9)と接続される。車体に取り付けられた後、接触接続個所はスクリーン印刷マスク(2)によって隠される。はんだ材料(8)によって、導電性構造体(3)と接続部材(4)との持続的な電気的かつ機械的接続が、確実に行われるようになる。この場合、接続部材(4.1,4.2)及びはんだ材料(8)の形状と材料組成は、
図1に相応する。コンタクト部材(5.1,5.2)は圧着部材から成り、これらの圧着部材は、接続導体(6)の端部に圧着接続によって取り付けられており、接続部材(4.1,4.2)のブリッジ形状区間に溶接されている。したがって接続導体(6)は、第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)との導電接続部を成している。接続導体(6)として、ポリマーの外装を備え導体横断面積が2.5mm
2である銅製円形ケーブルが用いられる。コンタクト部材(5.1,5.2)は、材料番号CW004A(Cu-ETP)の銅から成る。この場合、第1のコンタクト部材(5.1)はコンタクトピンを含み、このコンタクトピンに、接続部材(4.1,4.2)を車載電子装置と接続する接続ケーブル(図示せず)を、プラグ接続によって差し込むことができる。第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)の最も近接するコンタクト面(9)相互の間隔xは、190mmである。接続導体(6)を含む本発明による接続部材(4.1,4.2)によって、電流容量を著しく改善することができ、このことは、導体横断面積の小さいバスバーを用い、末端にある2つの接続部材だけしか用いなくても、実現することができる。この場合、はんだバンプをさらに設ける必要がない。圧着接続の使用は特に、本発明による板ガラスの低コストな製造という点で有利である。
【0085】
図4には、接続部材と接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態が示されている。この場合、熱によりプレストレスが加えられた、ソーダ石灰ガラスから成る3mm厚の単板安全ガラスの基板(1)上に、スクリーン印刷マスク(2)が被着されている。基板(1)は、幅150cm、高さ80cmであり、スクリーン印刷マスク(2)の領域の短辺のところに、2つの接続部材(4)が接続導体(6)とともに取り付けられている。基板(1)の表面には、導電性構造体(3)が発熱導体構造として取り付けられている。導電性構造体には、銀粒子とガラスフリットが含まれており、この場合、銀の含有量は90%よりも高い。板ガラスの周縁領域において、導電性構造体(3)の幅が6mmまで拡がっており、これはバスバーとして用いられる。この場合、バスバーの層厚は10μmである。この領域にはんだ材料(8)が取り付けられており、これによって導電性構造体(3)が接続部材(4)のコンタクト面(9)と接続される。車体に取り付けられた後、接触接続個所はスクリーン印刷マスク(2)によって隠される。はんだ材料(8)によって、導電性構造体(3)と接続部材(4)との持続的な電気的かつ機械的接続が、確実に行われるようになる。接続部材(4.1,4.2)は、それぞれ1つのコンタクト面(9)を有しており、それらのコンタクト面を介して、接続部材(4.1,4.2)がはんだ材料(8)により、導電性構造体(3)にはんだ付けされている。この場合、接続部材(4.1,4.2)及びはんだ材料(8)の材料組成は、
図1に相応する。コンタクト部材(5.1,5.2)は圧着部材から成り、これらの圧着部材は、接続導体(6)の端部に圧着接続によって取り付けられており、接続部材(4.1,4.2)において位置が高められた区間に溶接されている。したがって接続導体(6)は、第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)との導電接続部を成している。接続導体(6)として、ポリマーの外装を備え導体横断面積が2.5mm
2である銅製円形ケーブルが用いられる。第1の接続部材(4.1)は第3のコンタクト部材(5.3)を有しており、これも接続部材(4.1)において位置が高められた区間に取り付けられており、接続ケーブル(10)を接続部材(4.1)と導電接続している。第3のコンタクト部材(5.3)も圧着部材であり、これは接続ケーブル(10)を取り囲み、第1の接続部材の上に溶接されている。コンタクト部材(5.1,5.2,5.3)は、EN 10 088-2による材料番号1.4016の鋼(ThyssenKrupp Nirosta(登録商標)4016)から成る。第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)の最も近接するコンタクト面(9)相互の間隔xは、190mmである。接続導体(6)を含む本発明による接続部材(4.1,4.2)によって、電流容量を著しく改善することができ、このことは、導体横断面積の小さいバスバーを用い、末端にある2つの接続部材だけしか用いなくても、実現することができる。この場合、はんだバンプをさらに設ける必要がない。圧着接続の使用は特に、本発明による板ガラスの低コストな製造という点で有利である。
【0086】
図5には、接続部材と接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態が示されている。この場合、熱によりプレストレスが加えられた、ソーダ石灰ガラスから成る3mm厚の単板安全ガラスの基板(1)上に、スクリーン印刷マスク(2)が被着されている。基板(1)は、幅150cm、高さ80cmであり、スクリーン印刷マスク(2)の領域の短辺のところに、2つの接続部材(4)が接続導体(6)とともに取り付けられている。基板(1)の表面には、導電性構造体(3)が発熱導体構造として取り付けられている。導電性構造体には、銀粒子とガラスフリットが含まれており、この場合、銀の含有量は90%よりも高い。板ガラスの周縁領域において、導電性構造体(3)の幅が6mmまで拡がっており、これはバスバーとして用いられる。この場合、バスバーの層厚は10μmである。この領域にはんだ材料(8)が取り付けられており、これによって導電性構造体(3)が接続部材(4)のコンタクト面(9)と接続される。車体に取り付けられた後、接触接続個所はスクリーン印刷マスク(2)によって隠される。はんだ材料(8)によって、導電性構造体(3)と接続部材(4)との持続的な電気的かつ機械的接続が、確実に行われるようになる。接続部材(4.1,4.2)は、それぞれ1つのコンタクト面(9)を有しており、それらのコンタクト面を介して、接続部材(4.1,4.2)がはんだ材料(8)により、導電性構造体(3)にはんだ付けされている。この場合、接続部材(4.1,4.2)及びはんだ材料(8)の材料組成は、
図4に相応する。接続部材(4.1,4.2)は圧着部材によって構成されており、これらの圧着部材は、接続導体(6)の端部に圧着接続によって取り付けられており、はんだ材料(8)により導電性構造体(3)上に直接、はんだ付けされている。したがって接続導体(6)は、第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)との導電接続部を成している。接続導体(6)として、ポリマーの外装を備え導体横断面積が2.5mm
2である銅製円形ケーブルが用いられる。接続部材(4.1,4.2)は、EN 10 088-2による材料番号1.4016の鋼(ThyssenKrupp Nirosta(登録商標)4016)から成る。第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)の最も近接するコンタクト面(9)相互の間隔xは、190mmである。第1の接続部材(4.1)は、コンタクト部材(5.1)として用いられるコンタクトピンを有する。このコンタクト部材(5.1)を介して、接続部材(4.1,4.2)を車載電子装置と接続する接続ケーブル(図示せず)が接続される。接続導体(6)を含む本発明による接続部材(4.1,4.2)によって、電流容量を著しく改善することができ、このことは、導体横断面積の小さいバスバーを用い、末端にある2つの接続部材だけしか用いなくても、実現することができる。この場合、はんだバンプをさらに設ける必要がない。圧着接続の使用は特に、本発明による板ガラスの低コストな製造という点で有利である。
【0087】
図6には、接続部材と接続導体とを備えた本発明による板ガラスの別の実施形態が示されている。この場合、熱によりプレストレスが加えられた、ソーダ石灰ガラスから成る3mm厚の単板安全ガラスの基板(1)上に、スクリーン印刷マスク(2)が被着されている。基板(1)は、幅150cm、高さ80cmであり、スクリーン印刷マスク(2)の領域の短辺のところに、接続導体(6)を備えた2つの接続部材(4)が取り付けられている。基板(1)の表面には、導電性構造体(2)が発熱導体構造として取り付けられている。導電性構造体には、銀粒子とガラスフリットが含まれており、この場合、銀の含有量は90%よりも高い。板ガラスの周縁領域において、導電性構造体(3)の幅が6mmまで拡がっており、これはバスバーとして用いられる。この場合、バスバーの層厚は10μmである。この領域にはんだ材料(8)が取り付けられており、これによって導電性構造体(3)が接続部材(4)のコンタクト面(9)と接続される。車体に取り付けられた後、接触接続個所はスクリーン印刷マスク(2)によって隠される。はんだ材料(8)によって、導電性構造体(3)と接続部材(4)との持続的な電気的かつ機械的接続が、確実に行われるようになる。接続部材(4.1,4.2)は、それぞれ1つのコンタクト面(9)を有しており、それらのコンタクト面を介して、接続部材(4.1,4.2)がはんだ材料(8)により、導電性構造体(3)にはんだ付けされている。接続部材(4.1,4.2)は押しボタンの形態で構成されており、この場合、押しボタンの下側の雄部材は、接続部材(4.1,4.2)としての役割を果たし、押しボタンの上側の雌部材は、コンタクト部材(5.1,5.2)として機能する。この場合、接続部材(4.1,4.2)及びはんだ材料(8)の材料組成は、
図1に相応する。コンタクト部材(5.1,5.2)は、接続部材(4.1,4.2)と同じ材料から成る。コンタクト部材(5.1,5.2)には、接続導体(6)のそれぞれ1つの端部が導電的に接触接続されており、それによって接続導体(6)は、両方の接続部材(4.1,4.2)の導電接続部を成している。第1の接続部材(4.1)と第2の接続部材(4.2)の最も近接するコンタクト面(9)相互の間隔xは、190mmである。第1のコンタクト部材(5.1)に、接続部材(4.1,4.2)を車載電子装置と接続する接続ケーブル(10)が取り付けられている。接続導体(6)を含む本発明による接続部材(4.1,4.2)によって、電流容量を著しく改善することができ、このことは、導体横断面積の小さいバスバーを用い、末端にある2つの接続部材だけしか用いなくても、実現することができる。この場合、はんだバンプをさらに設ける必要がない。押しボタンの形態の接続部材の使用は特に、接続導体と接続ケーブルの可逆的な取り付けという点で有利である。したがって、ケーブルが破損したときは、はんだ付けを外す必要がなく、該当するケーブルを単に交換するだけでよい。
【0088】
図7aには、接続部材及び接続導体を備えた板ガラスを製造するための本発明による方法のフローチャートが示されている。第1のステップにおいて、コンタクト部材(5)を接続部材(4)に導電接続させて取り付ける。その後ではじめて、後続のステップにおいて、はんだ材料(8)を用いて接続部材を導電性構造体(3)にはんだ付けする。最後のステップにおいて、コンタクト部材(5)に接続導体(6)を取り付けることによって、接続部材(4)同士を導電接続させる。ここで示した本発明による方法の実施形態は、接続導体を可逆的に取り付ける場合に、例えばプラグ接続によって接続導体を接触接続する場合に、特に有利である。これらの接続導体はあとから簡単に取り付けることができ、接続導体をあとになって初めて差し込むかぎりは、はんだ付けプロセスにおいていかなる空間的な妨害もなさない。
図7aに示した本発明による方法によって、はんだ付けプロセスがさらに簡単になる。第1の接続部材をはんだ付けする場合、接続導体と他の接続部材は、妨害を及ぼす質量体を成し、それによって第1の接続部材に及ぼされる力により、はんだ付けプロセス中に第1の接続部材が滑ってしまう。プラグ接続によってこれらの接続部材をあとから接続することによって、このことを回避することができる。
【0089】
図7bには、接続部材及び接続導体を備えた板ガラスを製造するための本発明による方法に関する別の実施形態のフローチャートが示されている。この場合、最初に接続導体(6)を、接続部材(4.1,4.2)と導電的に接触接続させる。これを直接、例えば接続部材に導体をじかにはんだ付けすることによって行ってもよいし、又は間接的に、例えばコンタクト部材を介して行ってもよい。後続のステップにおいて、接続部材(4)のコンタクト面(9)におけるこのような配置を、はんだ材料(8)によって導電性構造体(3)にはんだ付けする。本発明による方法のこの実施形態は、接続導体と接続部材との間の接続、もしくは接続部材とコンタクト部材との接続を、可逆的に外すことができない場合に、有利に適用される。
【0090】
次に本発明を、従来技術による接続部材と接続導体とを備えた板ガラスと、本発明による接続部材と接続導体とを備えた板ガラスに関する一連のテストに基づき比較する。
【0091】
実施例1:
2つの接続部材(4)と1つの接続導体(6)とを備えた本発明による板ガラスの構造は、
図3に示したものに対応し、その際、接続部材(4.1,4.2)の最も近接するコンタクト面(9)相互の間隔xを285mmとした。
【0092】
比較例2
それぞれ57mmの間隔で6つの接続部材が設けられた全長285mmの接続導体を、実施例1と同様、基板と導電性構造体とから成る装置にはんだ付けした。接続導体は、絶縁されておらず編組されニッケルめっきされた銅導体から成り、その導体横断面積を3mm
2とし、複数の圧着部材から成る接続部材を形成した。接続部材各々を、65重量%のインジウム、30重量%のスズ、4.5重量%の銀、及び0.5重量%の銅を含有する、鉛フリーのはんだ付け材料を用いて、導電性構造体にはんだ付けした。この種の接続導体は、Antaya社から市販されている。
【0093】
表1に、本発明による接続導体(実施例1)と、従来技術による接続導体(比較例2)に関する一連のテストの結果を示す。十分な電流容量のほか、バスバーの最高温度上昇も重要な意味をもつ。多くの自動車メーカーによれば、この温度は最高限界値60℃に指定されている。さらに種々の接続導体のコストも比較した。
【0094】
【表1】
【0095】
本発明による接続導体も、従来技術による接続導体も、バスバーの最高温度上昇に対する限界値を遵守している。ただし本発明による接続導体は、著しく低コストである。これは特に、従来技術による接続導体の設計では多くの材料を使用することに起因している。従来技術によれば、温度限界値を遵守するためには、また、十分な電流容量を達成するためには、質量をかなり大きくし、それとともに導体横断面積もいくらか大きくした導体が必要とされるからである。やはり十分に大きい電流容量を達成するために、また、走行中の自動車における騒音発生を阻止するために、多数の接続部材が用いられる。しかしながら、ここで示すことができたように、ただ2つの接続部材だけしか設けられていない本発明による接続導体によっても、同様に高い電流容量を達成することができる。本発明による接続導体を、さらに別の接続部材を設けて固定するのは不必要である。場合によって発生する可能性のある騒音は、ポリマーを含有した接続導体の外装によって阻止される。はんだバンプを著しく減らすことによって、より短期間のうちに本発明による接続導体を接続部材とはんだ付けすることができる。このような時間の節約に付随して、製造コストがさらに低下する。さらに、はんだバンプの個数が減少することによって、はんだ付けプロセスの自動化が極めて簡単になる。しかも本発明による解決手段によって、材料コストが著しく低下することになる。その理由は、本発明による接続導体は接続部材とともに、より小さい質量で製作されているからである。従来技術による接続導体(比較例2)は、多数の接続部材(6個の圧着部材)とはんだバンプとが用いられることから、全体として著しく多くの材料を消費する。これらのことから本発明による接続導体(実施例1)は、従来技術(比較例2)と対比すると、製造に関してもその後の処理に関しても、著しく低コストで経済的である。