特許第6290441号(P6290441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6290441コンタクトスイッチのための超音波および歪みデュアルモードセンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6290441
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】コンタクトスイッチのための超音波および歪みデュアルモードセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20180226BHJP
   H01L 41/04 20060101ALI20180226BHJP
   H01L 41/113 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   H01H36/00 E
   H01H36/00 P
   H01L41/04
   H01L41/113
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-555579(P2016-555579)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公表番号】特表2017-510945(P2017-510945A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015019077
(87)【国際公開番号】WO2015134821
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】61/948,312
(32)【優先日】2014年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510225465
【氏名又は名称】メジャメント スペシャリティーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100189360
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 昭典
(72)【発明者】
【氏名】トダ,ミノル
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョンテ
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−282699(JP,A)
【文献】 特開2009−187579(JP,A)
【文献】 特公昭55−020432(JP,B1)
【文献】 特開平06−167158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00−36/02
H01L 41/04
H01L 41/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に圧電要素を有する基板の表面における指タッチを検出する、圧電タッチスイッチモードと組み合わされた超音波タッチスイッチモードのデュアルモード動作のためのデバイスであって、
前記圧電タッチスイッチモードおよび前記超音波タッチスイッチモードで共用される前記圧電要素と、
前記圧電要素に電気的に結合された検出器と、を備え、
前記検出器は、
前記圧電要素の出力をフィルタ処理して、前記圧電要素のインピーダンスの急激な変化を示す第1の信号を検出する第1の回路と、
前記圧電要素の平面方向の圧電歪みを示す第2の信号を検出する第2の回路と、を有する、
デバイス。
【請求項2】
前記超音波タッチスイッチモードにおいて、周波数変調(FM)駆動信号の周波数偏移が、周波数変化を表すインピーダンスの急激な変化を検出するのに十分な広さであり、それによって、前記基板の厚さの所与の許容範囲を保証する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の回路が、
FMからAMへの変換のための変換器と、
急激なインピーダンス変化に対応する鋭いパルスを有する低周波信号へとAM信号を変換するピーク検出器とを含み、
前記鋭いパルスのみを選択する高域通過フィルタをさらに含む、
請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記鋭いパルスの振幅が、異なる圧電要素に対する感度の許容範囲を増加させるためにAGCによって実質的に一定の値に保持される、
請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記鋭いパルスの前記振幅が、前記基板の前記表面における指タッチによって減少し、
出された前記第1の信号が、機器または装置のスイッチを制御する、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記超音波タッチスイッチモードおよび前記圧電タッチスイッチモードの両方からの信号がスイッチ状態を決定するために一緒に使用され、用途に応じて、一方が強化され、他方が低下され得る、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年3月5日に出願された「Ultrasonic and Strain Dual Mode Sensor For Contact Switch」という名称の米国仮特許出願第61/948,312号の優先権および35 U.S.C. §119(e)の下の利益を主張し、その開示全体は、その全体が記載されているように、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、タッチ感応デバイスに関し、より詳細には、超音波コンタクトセンサまたは指圧センサに関する。
【背景技術】
【0003】
指タッチスイッチは、限定はしないが、コンピュータキーボード、電子レンジ、複写機、電子カードリーダー、ATM機などを含む様々なタイプの電子装置にとって重要な入力デバイスである。加圧された(押し下げられた)点または場所を識別するための基本感知機構は、一般に、金属同士コンタクト、透明電極の容量性または導電性変動、磁場検出、光学的遮断、圧電歪み効果などを含む。加圧された点の小さい変形を検出するために、1つまたは複数の薄層もしくはメンブレン、または可撓性絶縁体が、多くの場合、利用される。しかしながら、そのような構造は、多くの場合、摩耗または疲労の問題があり、および/または破壊を受けやすい。
【0004】
当技術分野で知られている指タッチスイッチデバイスの例には、Measurement Specialties, Inc.に譲渡されており、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,673,041号に記載されているような反射モード超音波タッチスイッチデバイスが含まれる。そのようなデバイスは、基板(一般に、ガラスまたは金属などの低損失材料から構成されている)の共振と、基板の裏面にあり、共振を検出する圧電要素とに基づく。共振は、基板の半波長厚さの整数倍の条件で非常に鋭いピークを形成する。この共振は、指が基板の前面に接触することによって弱められ、それが圧電要素によって検出される。
【0005】
当技術分野で知られている別のタイプのタッチスイッチ(ピエゾタッチスイッチ)が、米国特許第4,896,069号および米国特許第6,064,141号に示されている。このタイプのタッチスイッチは、上述の超音波タッチスイッチと異なる機構に基づいている。この場合、圧迫力によるハウジングプレート(センサプレート)の曲げ歪みが圧電要素によって検出される。圧電要素は、プレートの裏面に接合され、電気器具の切替えを制御するために使用される。そのような圧電タッチスイッチの欠点には、定常的コンタクト力に対する感度の欠如、またはゆっくりと増加または減少する力に対する非常に低い感度、ならびに外部振動または機械的衝撃に対する望ましくなく高い感度が含まれる。
【0006】
一方、反射モード超音波タッチスイッチまたはセンサは、外部振動または機械的衝撃に対してほとんどまたは全く感度がない。さらに、超音波タッチセンサは、定常的コンタクトに対して感度を示し、コンタクト力が所与の点または閾値を超えて増加するとき、スイッチは働き始める(すなわち、作動する)。しかしながら、超音波タッチスイッチの動作の間、特に、キッチン機器での使用などの用途では、表面汚染(指の上のバター、ケチャップ、油、油脂、またはさらに純水などの汚染物質が感知区域に付着することによる)は、指の定常的タッチと同じ効果があり、それによって擬似信号を生ずることがある。
【0007】
超音波反射モードタッチスイッチの他の欠点には、手袋をはめた指または柔らかい布に対して望ましいとは言えない(すなわち、低い)感度が含まれるが、圧電タッチスイッチでは、このタイプのデバイスは圧迫力に対して本質的に同じ感度を示し、感度は指を覆う材料に本質的に無関係である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,673,041号
【特許文献2】米国特許第4,896,069号
【特許文献3】米国特許第6,064,141号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のセンサ(超音波または曲げ歪みタイプ)に関連するさらなる欠点には、自己診断機能を備えることの困難さ、または自己診断機能の完全な欠如が含まれる。
【0010】
代替のシステムおよび方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、同じセンサ要素を利用して、超音波タッチスイッチおよび圧電タッチスイッチの両方の有利な特徴を組み合わせた装置に関し、両方のモードから出力された2種類の信号が、フィルタおよび増幅器によって別々に検出される。このようにして、定常的タッチ力は超音波モードで検出され、センサに関連する汚染問題(例えば、センサに付けられた指の汚染物質の存在に起因する)は圧電歪みモードで緩和される。さらに、装置は、指が布で覆われているとき、外部振動または機械的衝撃への非感受性をさらに維持しながら検出するように構成される。
【0012】
圧電歪みモードセンサと組み合わされた超音波タッチスイッチのためのシステムおよび方法が開示される。センサ構造は、基板の裏面に圧電要素があり、前面がタッチ感知表面である基板として具現され得る。両方の動作モードが、信号のフィルタ処理とともに同じセンサ要素を使用することによって実現され、その結果、2つのモードの異なる利点が組み合わされるとともに、いずれのモードの欠点も緩和される。超音波タッチモードに関しての基板厚さの許容範囲は、駆動信号の広範囲の周波数変調(FM)を使用し、出力信号から基本変調周波数をフィルタ処理して除くことによって改善され、それによって、圧電要素の急激なインピーダンス変動に対応する鋭いパルスのみが抽出される。鋭いパルスの振幅は、基板の前面にタッチすることにより減少する。同時に、前面に与えられた圧迫力により、基板は曲げ変位を受け、圧電要素拡張歪みが電圧を発生する。これらの2つのモードは、機器または装置の切替えを制御するために組み合わされ使用される。
【0013】
一実施形態では、基板の裏面に圧電要素があり、前面がタッチ感知表面である基板を有する超音波タッチスイッチのためのシステムおよび方法が開示される。超音波タッチスイッチの基板厚さの許容範囲は、駆動信号の広範囲の周波数偏移を使用し、出力信号から基本変調周波数をフィルタ処理して除くことによって改善され、その結果、圧電要素の急激なインピーダンス変化に対応する鋭いパルスのみが抽出される。システムは、判断回路に渡すために高周波成分をフィルタ処理する。鋭いパルスの振幅は、基板の前面にタッチすることにより減少する。このように、指による基板の表面へのコンタクトは、ピークの減少によって検出され、切替え信号動作を発生して、機器または装置の切替えを制御する。
【0014】
比較的高いレベルの振動および機械的衝撃がある実際の環境では、設計は、圧電歪みモードの感度を低減するように修正することができ、手袋(手に着ける)が使用される場合、圧電歪みモードの感度はしばしば強化される。
【0015】
本発明の一態様によれば、共振における超音波インピーダンス変動は、基板の裏面の圧電要素によって検出される。厚さが半波長の整数倍の条件と等しくなるとき、基板材料に共振が起こり、圧電材料のインピーダンスは、共振周波数で(例えば、0.5mmのステンレス鋼では約〜5MHzで)急激に変化する。共振周波数は、基板厚さによって決定される。厚さには、基板材料の製造許容範囲に応じて若干の変動がある。異なる厚さに対していくつかの異なる周波数でこのインピーダンス変動を検出するために、励振信号の周波数は、比較的広い範囲にわたって周波数変調される(FM、例えば、約〜500kHzの範囲にわたる)。インピーダンスの急激な変化は、FM信号を振幅変調(AM)信号に変換する圧電要素の電圧の振幅差によって検出される。FMの変調周波数は、例えば、〜1kHzであり、インピーダンスの急激な変化は、AM信号の鋭い変動を発生する。システムは、AM信号の振幅を検出するように構成され、鋭い変動が、鋭いパルスまたはスパイクとして現れる。変調周波数成分(〜1kHz)を取り除いた後、信号は、鋭いパルスのみを含み、基板表面のタッチまたはタッチなしの検出のために利用される。このシステムにおいて、設計の特徴は、基板厚さの広い許容範囲である。
【0016】
超音波タッチスイッチの構造は、裏面に圧電要素がある基板を含み、前面は、指でタッチされるように構成される。同じ構造が、圧電歪みスイッチとして使用され、前面からの圧迫力が、基板をわずかに曲げ、平面拡張歪みを圧電センサに与える。超音波モードのFMの励振信号は、フィルタ処理によって取り除くことができ、圧迫力のみからの信号を電気信号として抽出することができ、その結果、圧電歪みセンサの応答信号は、超音波モードの励起電圧によって影響を受けない。
【0017】
センサ動作の自己診断は、単一の圧電要素の効果の組合せを使用して達成することができる。その効果には、超音波タッチ効果、圧電歪み効果、およびキャパシタンスチェックが含まれる。後者の場合、圧電要素のキャパシタンスが、決定され、決定されたキャパシタンス値に基づく自己診断のために使用される。別の態様では、コンタクト区域に当たる指からの熱の形態の熱エネルギーが、圧電要素の温度に影響を及ぼし、それによって、キャパシタンスの変化がもたらされる。そのようなキャパシタンス変化は、指タッチで引き起こされる圧電歪み効果と同様の信号の発生を引き起こす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態によるデュアルモード超音波反射モードおよび圧電歪みスイッチデバイスの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、基板の裏面に接合された圧電要素のインピーダンス変動を示し、基板の裏面の圧電要素のインピーダンス変動を検出するために使用される周波数変調信号をさらに示す図である。
図2(a)】同じ基板の裏面に接合された異なる厚さのPVDF材料要素に対する周波数の関数としての入力インピーダンス変動を示す図である。
図2(b)】同じ基板の裏面に接合された異なる厚さのPVDF材料要素に対する周波数の関数としての入力インピーダンス変動を示す図である。
図3(a)】同じ基板の裏面に接合された異なる厚さのセラミック圧電材料要素に対する周波数の関数としての入力インピーダンス変動を示す図である。
図3(b)】同じ基板の裏面に接合された異なる厚さのセラミック圧電材料要素に対する周波数の関数としての入力インピーダンス変動を示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるデバイスの容量効果を示す図1に示したデバイスの一部分のより詳細な概略図である。
図5図4のピーク検出器からのDC出力の測定データを示す図であり、測定データは、特異な不規則変化またはスパイクを除いて周波数変動にわたり概して一定の値を示している。図5(a)は、基板の表面がタッチされてないときのオシロスコープ波形を示す図である。図5(b)は、本発明の一実施形態による、指タッチによるオシロスコープ波形を示す図である。
図6(a)】本発明の一実施形態による、指タッチがない状態での100Hz変調およびパルス信号に対する図4のピーク検出器からのDC出力のオシロスコープ波形を示す図である。
図6(b)】本発明の一実施形態による、基板における指タッチ状態での100Hz変調およびパルス信号に対する図4のピーク検出器からのDC出力のオシロスコープ波形を示す図である。
図6(c)】本発明の一実施形態による、信号がない状態の場合ならびに信号が指押し下げおよび指解放状態を表している場合の100Hz変調およびパルス信号に対する図4のピーク検出器からのDC出力のオシロスコープ波形を示す図である。
図7】本発明による反射超音波タッチ検出回路の一実施形態の概略図である。
図8】本発明の実施形態による実行のために信号A、B、C、Dの各々を検出し処理するための図1の判断回路に関連する例示的な処理および判断論理部の概略図である。
図9】本発明の実施形態による、検出システムからの出力信号に基づく例示的な状態および処理論理を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の例示的な本実施形態が詳細に参照され、その例が、添付図面に示されている。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による、圧電歪みスイッチデバイスと組み合わされたデュアルモード超音波タッチスイッチとして構成されたデバイス100の断面図を示す。圧電要素102、好ましくは、薄膜形態のポリフッ化ビニリデン(PVDF)もしくはポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(PVDF−TrFE)などの圧電性ポリマー材料または圧電セラミック(PZT)は、要素102の向き合った表面(上面および下面)に配設された電極103、104を有する。例えばステンレス鋼またはガラスから形成することができる基板101は、第1および第2の対向した平行表面105および106を有する。基板101の第1の表面105には、好ましくはオペレータの指108のコンタクト面積とほぼ等しいサイズの画定されたタッチ領域がある。上部電極103は、タッチ領域とは反対の基板101の裏面106に接合される。単なる例として、タッチ領域は、コンピュータ生成表示の一部として画定することができ、基板101、圧電要素102、および電極(103、104)は、比較的透明とすることができ、またはタッチ領域は、前面105の指標(indicia)によって画定することができる。
【0021】
コントローラまたは発生器111が圧電要素102を励振し、超音波131が基板101に投入される。超音波は、3つの垂直に向けられた方向矢印で表されるように、指の皮膚108による吸収を伴って前面105で反射されて(132)、表面106に戻り、再び前面の方向に反射される(133)。超音波は、基板を横切って行ったり来たりして伝搬する。厚さが基板101の半波長の整数倍の条件と等しい場合、基板101の共振が起こる。指が前面105に存在しない場合、(すなわち、何も前面105にタッチしておらず、その結果、指タッチがない状態のため空気境界が存在する場合)共振は強力であり、共振により、インピーダンス変動への強力な影響が圧電要素102に与えられる。指または任意の他の吸収物質108が接触することによるインピーダンス変動は、検出器回路113および115によって検出される。
【0022】
オペレータの指がタッチ領域に関わり合うと、指は圧迫力を印加し、基板101は下方に押される。これらの状態の下で、歪みは、指108の真下の場所で最大である。それに応じて、圧電要素102は、平面方向(水平矢印Hとして表されている)に拡張し、電圧を発生し、電圧は回路116によって処理される。圧電要素102からの信号は、低周波信号成分の圧電歪みを決定するための低周波歪み検出器116に入力することができる。同時に、圧電層102のインピーダンス変化は、発生器111の周波数走査(または変調)により電極114の電圧変化を作り出し、信号振幅変動のピーク検出を実行するように動作するピーク検出器113に送り込まれる。処理された信号は、AGCをもつダウンストリーム検出器回路115に印加される(超音波または高周波信号検出)。検出器回路115および116から出力された信号は、判断回路117に送り込まれ、判断回路117は、意味がない雑音と指タッチとを区別し、機器または装置デバイス(図示せず)の状態を制御するスイッチ119に出力を供給する。
【0023】
1つの実施形態では、判断回路117が十分な出力信号をスイッチ119に供給することができない(例えば、感応区域に印加された非常に小さいタッチ力、増加がゆっくりすぎる低い印加力、押し下げる指の上の手袋もしくは柔らかい布、または感知区域の汚染などに起因する)場合には、インジケータ120は、ユーザ/システムオペレータに警戒信号(例えば、可視照明器および/または可聴警告信号)を出力するように作動する。
【0024】
ピーク検出器回路113からの出力は、さらに、容量検出器回路118に印加され、容量検出器回路118は自己診断のために圧電要素102のキャパシタンスのレベルを検出する。キャパシタンス値は、ピーク検出器113からのDC出力値によって感知される高周波振幅によってモニタされる。ピーク検出器出力は、高周波信号振幅に比例する。キャパシタンス値自体が、回路118によって検出され、自己診断として利用される。指が表面105にタッチすると、指からの熱が圧電要素102に送出され、それがキャパシタンスの変動を与える。この変化または変動は、回路118によって検出され、回路115から出力された超音波信号および回路116から出力された圧電歪み信号とともに自己診断として使用される。判断回路117は、これらの入力を受け取って処理し、入力が閾値または較正/期待値内にない場合にはインジケータ制御部120を通して警告信号を供給する。
【0025】
上述の機能は、図1図4、および図7に示す例示的な回路によって実現することができる。周波数変調(FM)発振器はFM信号を発生し、電流が直列抵抗器を通して圧電要素に送り込まれる。直列抵抗器の効果のために、圧電要素の電流は、周波数が変動する間ほとんど一定である。圧電要素のインピーダンス20は、容量性であり、ステップ21のところを除いて周波数の増加とともに減少する。FM信号は、圧電要素のインピーダンス変動によって振幅変調(AM)信号に変換される。AM信号は、インピーダンス曲線20のインピーダンス変動20(図2からの)に対応する振幅変動22を有し、その振幅変動はピーク検出器によって検出され、低周波数信号に変換される。その低周波信号の主成分は1kHz信号であるが、より高い周波数成分(5kHz〜25kHz範囲の)ならびにいくつかの非常に低い周波数成分(2Hz〜10Hz範囲の)をさらに含む。複合信号(CS)は帯域通過増幅回路に送り込まれ、帯域通過増幅回路によって低周波数成分が除去され、ピークまたはより急速な変動信号24(図2)のみが選択される。
図示の実施形態では、帯域通過増幅器は、自動利得制御(AGC)を含む。自動利得制御(AGC)は、利得を絶えず調節して、「タッチなし」状態で実質的に一定の出力を得、その結果、閾値設定が、非常にわずかなタッチでの小さく速い信号変動を検出する。自動利得制御(AGC)ではインピーダンス変動21はわずかしか減少せず、パルス振幅24の減少はより小さい。利得制御の応答時間は非常に遅く(例えば、約5分)、その結果、指タッチによるパルス出力の減少は、利得制御によって増加されない(すなわち、小さい出力をもたらすはずである)。帯域通過増幅回路は、追加の増幅(例えば、20〜40dB増幅器)および追加の帯域通過フィルタ処理などの追加の構成要素を含んでもよい。フィルタ−増幅器−フィルタ−AGCシーケンスは例示であり、本発明の範囲を逸脱することなく他のそのような構成要素およびシーケンスを利用できることを理解されたい。AGCの別の利点は、システム感度をより安定にするかまたはより一定にすることによって変動性を減少させることである。その理由は、圧電要素のインピーダンス変動21が温度変動に敏感であり、さらに、ユニットごとの感度の差に起因するからである。
【0026】
図2(a)および図2(b)は、圧電ポリマー要素102の周波数依存インピーダンス200のメーソンモデル(Mason model)を使用することによるシミュレーション結果を示す。図2(a)は、例示的な52μmPVDF9×8mm材料での結果を示す。図2(b)は、例示的な110μmPVDF9×8mm材料での結果を示す。両方の材料は、基板101(0.5mmステンレス鋼として示される)の裏面106に接合される。52μm厚PVDFそれ自体の共振は10.4MHzにあり、110μm厚PVDFの共振は5.2MHzにある。
インピーダンスは、周波数の増加とともに徐々に低下するが、PVDF材料のインピーダンスの急激な変化またはスパイク201を伴う。インピーダンスの急激な変化は、指タッチの場合には小さくなる。シミュレーション曲線において、指の音響インピーダンスは、人間の皮膚インピーダンス1.5×10kg/msecの0%(タッチなし、すなわち空気)、20%、および40%であると仮定している。指紋の溝が原因で、20%および40%の値を使用した。それに関して、指紋の溝は、目標領域に部分的に接触する。基板の共振および圧電要素の共振は、別個の共振であることに留意されたい。ステンレス鋼それ自体の共振は5.8MHzにある。2つの共振周波数(圧電要素および基板の)の値が互いに近い場合、タッチの影響は図2(b)に示すように小さく、ピークはタッチによって際だった影響を受けない。2つの共振周波数が互いに近くない場合(図2(a))、基板共振へのタッチの効果は、指によって強く影響され、圧電要素102によって検出される。
【0027】
図3(a)および図3(b)は、それぞれ、300μm厚および350μm厚のセラミック圧電要素PZT5Aに関する入力インピーダンスのシミュレーション結果を示す。300μmPZTの共振は6.7MHzにあり、350μmPZTの共振は5.4MHzにある。基板0.5mmステンレス鋼の共振は、5.8MHzにあり、350μmPZTの共振に近い。図3(a)に示す急激な変化301は、7.6MHzの主ピーク302よりもかなり小さい。しかしながら、そこで、6.5MHzの小さいピークへの指によるタッチの効果が認められる。他方、350μmPZTでは、6.4MHzのピークは非常に強いが、指によるコンタクトの影響は52μmPVDFよりもかなり小さい。インピーダンス変動のそのような効果も回路の設計のわずかな修正によって同じセンサで使用される。
【0028】
図2(a)または図2(b)に示したPVDFインピーダンスの漸減は、圧電要素102のインピーダンスがほとんどキャパシタンスCであることに起因する(キャパシタンスCのインピーダンスは1/ωCである)。次に、図4とともに図1および図2を参照すると、インピーダンス201の急激な変化は、基板プレート101(図1)の共振から生じる。高周波電流が、電圧源400(図4)から結合キャパシタ401(C)を通して圧電要素102(C)に送り込まれると、圧電要素102の電圧405は、C/Cのキャパシタンス比によってのみ決定され、C/Cのキャパシタンス比は、たとえインピーダンス200が周波数とともに変動しても周波数変動により変化せず、急激な変化201に対応する不規則な変化またはスパイクは同じままである。そのような設計から、405での電圧振幅は、基板共振201のところで突然の変化に出会う。
【0029】
図5は、ピーク検出器413からのDC出力の測定データを示し、それは、不規則な変化またはスパイク501を除いて6〜7MHzの周波数変動にわたってほとんど一定である。不規則な変化501は、前面105が指でタッチされると、小さくなる(図5に図示せず)。
【0030】
周波数が、走査されるか、または例えば100Hzによる正弦波周波数変動の状態(これは、100Hzの変調によるFM信号を表す)である場合、ピーク検出器413からのDC出力は、スパイク501のところで変化し、100Hzの繰返しレートでパルスを形成する。正パルスまたは負パルスが、半サイクルごとに周波数増加または減少に対応して形成される。これらのパルスが、0.5mmステンレス鋼基板105の前面へのタッチがない状態に対して図6(a)に示される。図6(b)は、指が表面105にタッチした場合の出力を示し、パルス高の減少を示している。
【0031】
図6(c)は、2つのオシロスコープ波形を示す。上のトレースは、デバイスが超音波モードにあるときの端子Aからの信号を示す。指がタッチすると、端子Aからの強い信号が、一般に、検出される。しかしながら、上のトレースでは、とがった物体(例えば、ドライバの先端)で押すことによって押し下げが生じる。小さいポイントは基板の共振に影響を及ぼさないので信号は生じない。下のトレース604は、圧電歪み効果に由来する帯域通過フィルタ716(10〜100Hzの低い範囲を通過させる)の後の信号を表す。曲線604はスパイク604aおよび604bを示し、ここで、時間の関数として、604aは指押し下げを表し、604bは基板上の指解放状態を表す。
【0032】
高周波の例示的な場合は6.6MHzに中心があり、その周波数変調は100Hzであり、周波数偏移は±250kHzに達し、観察されたパルスが図6(a)に示されている。これは、ステンレス鋼の前面105に何もタッチしていない場合である。前面が指108でタッチされると、パルスは図6(b)に示すように減少する。
【0033】
上述の機能は、図7に示す例示的な回路によって実現することができる。図1および図4とともに図7を参照すると、周波数変調(FM)発振器700がFM信号を発生し、電流は、結合キャパシタ701を通して圧電要素702(例えば、PVDF膜)に送り込まれる。圧電要素702のFM信号の振幅は、それぞれ、図2および図5の21、201、または501として示された不規則なスパイクを除いて、周波数変動にわたって変化をほとんど示さない。この振幅変動は、ピーク検出器703によって検出され、変調信号と同じ繰返しレートをもつパルス信号に変換される。ピーク検出器の出力は、周波数範囲5kHz〜25kHzをもつ帯域通過増幅器705に送り込まれる。波形は、さらに、ベース揺らぎまたはノイズ成分を除去することによってフィルタ処理済み(さらに純粋な)パルス形態に整形し直される。図示の実施形態では、自動利得制御(AGC)706が、帯域通過増幅器705の後に設けられ、自動利得制御(AGC)706は、「タッチなし」状態で実質的に一定のパルス高を得るために利得を調節し、その結果、非常にわずかなタッチでの小さい信号が、所与の所定の閾値条件を超えることによって検出される。
AGCの別の利点は、システム感度をより安定にするかまたはより一定にすることによって変動性を減少させることである。その理由は、圧電要素102のインピーダンス変動201が温度変動に敏感であり、さらに、ユニットごとの感度の差に起因するからである。利得制御の応答時間は、好ましくは、非常に遅く(例えば、数分の程度)なるように設計され、その結果、指タッチによるパルス出力信号の減少は、AGCによって補償されるのではなく、出力を生ずるはずである。図7の帯域通過増幅回路705からの信号は信号Aとして表されていることを理解されたい。さらに、結合キャパシタ701、圧電要素702、ピーク検出器703、および帯域通過増幅回路705をもつFM発振器ブロック700は、図1に示した発生器111、圧電要素102、ピーク検出器113、帯域通過増幅器115、および判断回路117に対応する。
【0034】
依然として図7を参照すると、ピーク検出器739は、AGC706からのパルス列のピーク値を検出するように構成され、ピーク検出器739からの波形が、図6(a)(タッチされていない)および図6(b)(タッチされた)に示されている。指が表面105にタッチしていない状態では、出力パルス高は比較的大きく、大きいDC値が第2のピーク検出器739から出力される。指が表面105にタッチすると、出力パルス高は低くなり、小さいDC値が739から出力される。
【0035】
指タッチと表面105の汚染(例えば、油、バター、ケチャップ、水など)とを区別するために、持続時間検出器740が使用される。汚染の影響は、指押しの持続時間(一般に、0.1〜0.5秒)よりも非常に長い持続時間にわたって信号検出を示すので、持続時間検出器740は、時間の関数として信号を比較して、信号が指押しを表しているかまたは基板の汚染を検出しているかどうかを決定し、信号A’として表される出力を生ずる。
【0036】
回路717および回路718は、圧電要素702のキャパシタンス変動によって熱エネルギー(例えば、熱信号)を検出するように構成される。指からの熱は圧電要素に比較的迅速に移送され、圧電要素702のキャパシタンスは温度変動に起因して変動する。この迅速な変動は、回路717において増幅され(例えば、40dB)、フィルタ機能を経て、その結果、指タッチをこのようにして検出することができる。この信号は、自己診断機能として使用される。例えば、圧電要素102は、表面105から剥離された状態になるが、完全に引き離されていないまたは全部が離れていない(すなわち、依然として105に接触している)場合があり、たとえ端子Aからの超音波信号がなくても出力信号を生ずることができる。
加えて、要素102の低い圧電性(例えば、ピエゾ材料に印加された過大な熱に起因する)の問題により、端子Aからの超音波信号が減少する(すなわち、非常に小さくなる)。しかしながら、熱信号はあまり減少しない。回路718には利得がなく、回路718はピーク検出器703からの信号を検出するためにキャパシタンス値をモニタする。回路718は、703における信号の定常的変動をチェックするためにDC応答を有する。このようにして、回路718は、発振器700、結合キャパシタ701、圧電要素702、およびピーク検出器703の正常機能をチェックする。
【0037】
非限定の例として、図1に示した検出器回路116は、帯域通過フィルタおよび増幅器を使用して実現することができる。より具体的な図を図7に提供しており、回路716で表された実施態様が示されている。図示のように、複合信号(CS)が、低域通過回路716に送り込まれる。例示的な実施形態では、回路716の通過帯域範囲は、10〜100Hzであり、その結果、複合信号の高周波成分は除去され、ゆっくり変動する信号のみが選択される(例えば、10〜100Hzのスペクトル範囲の信号)。図示の実施形態では、低域通過増幅回路716は、信号増幅構成要素(例えば、40dB増幅器)とフィルタ処理構成要素とを含む。指からの圧迫力による圧電要素702からの出力は、この回路716により感知され、出力信号Dとして表されている。図6(c)は、感知区域が鋭い器具(ドライバなどの)の端部で押されたとき、超音波信号は観察されない(上のトレース)が、圧電歪み信号は観察される(下のトレース)ことを示している。
【0038】
図1に示した図とともに図7を依然として参照すると、それぞれの回路705および716(図1の要素115および116に対応する)から出力された端子AおよびDの各々における出力信号は、判断回路117(図1)に印加される。信号AおよびDは、特定用途の要件に従って違うように処理することができる。単なる非限定の例として、静かな部屋の事務機器のための一般的なタッチパッドの実施態様では、信号AまたはDの少なくとも一方が判断回路117に送り込まれ、判断回路117はスイッチ19を制御するために信号を供給する。ATMまたは銀行関連用途などのセキュリティを必要とする用途または装置では、AおよびDの両方の信号が判断回路117に送り込まれて比較される。重機械、フォークリフト車、または自動車などの非常に強い振動雑音を伴ういくつかの環境では、回路705および716の利得を適切に調節することによって、信号Aは強化され、信号Dは低下される。
キッチン機器または工作機械ワークショップでの使用などの表面汚染物質がしばしば感知区域に接触している場合には、回路705および716の利得を適切に調節することによって、信号Aは低下され、信号Dは強化される(例えば、図8の117a)。いくつかの場合には、感知力が小さすぎる、および/または印加された力(圧力)の増加が遅すぎる、または柔らかい布が指を覆っていることがある、または激しい汚染が感知面に存在することがあるので、軽いタッチを感知区域に与えた場合、判断回路117は出力をトリガしない。そのような場合、判断回路117からの信号出力がない原因は、信号Aと信号Dとの比較から識別することができ(例えば、図8の117b)、識別した理由とともに警戒または警告信号が、インジケータコントローラ120からの音響信号および/または照明光によって提供され得る。
【0039】
判断回路117は、信号AおよびDの両方が存在する状態で出力を供給するように構成された1つまたは複数のAND論理回路、信号AまたはDのいずれかが存在する状態で出力を供給するように構成されたOR論理回路などの論理部をさらに含む(図8の117a)。プログラム型マイクロプロセッサは、ANDまたはOR回路の使用および使用態様(例えば、両方のAND/ORが混合して、またはいずれか一方がある程度だけ強化される)を決定し、信号入力に基づいて判断するように構成される(図8の117b)。非限定の例として、システムは、しばしば高い振動状態を受けやすい用途に向けて構成することができる。ここで、システム論理部は、偽の作動(例えば、感知振動を指タッチと間違える信号Dに基づく偽の検出に起因する)を緩和するように構成することができる。これは、信号A出力を信号D出力よりも大きく重み付けすること、および/または信号Aと信号Bとの間に不一致がある場合に信号Dではなく信号A出力を通す論理部を構築することによって緩和することができる。
【0040】
別の例では、表面汚染が問題である用途では、回路は、信号A出力を信号D出力よりも小さく重み付けすること、および/または信号Aと信号Dとの間に不一致がある場合に信号Aではなく信号D出力を通す論理部を構築することによって、回路705から出力される偽の検出(信号A)を緩和することができる。使用のための特定の条件および環境に基づいて他の論理構成を利用することができる。
【0041】
図1および図7とともに図8〜9を参照すると、本発明の実施形態による実行のために信号A、B、C、Dの各々を検出し処理する例示的な処理および判断論理部が示される。図1の判断回路117に関連する処理が、図8〜9に概略的に示される。
【0042】
特定用途に応じて、故障が、図9に示すように様々な異なる原因からもたらされることがある。列I〜VIは、図7のポートまたは端子A、A’、B、C、およびDからの信号と、それらの測定されたまたは決定された特徴および状態とを示す。故障は、自己診断および指摘したように行われる警告信号として識別され使用され得る。例示的な実施態様および処理論理方式が、図9に関して以下で説明される。
【0043】
信号A:処理は、超音波モードにおいてデバイスに関連する。指タッチの間、電圧が減少する(タッチなし状態から)。
【0044】
信号A’:処理は、指タッチ状態の期間をチェックすることを含む。期間が所定の期間(例えば、10秒)よりも長い場合、表面が汚染されているという決定がなされる。
【0045】
信号B:処理は、故障または大幅な温度変化を検出するために、センサ要素の電圧レベルを決定することによって実行することができるセンサ要素のキャパシタンスチェックを含む。
【0046】
信号C:処理は、指タッチからの熱を示すキャパシタンス変化を決定することによって熱信号のレベルを決定することを含む。
【0047】
信号D:処理は、指タッチに由来する圧電歪み信号を決定することを含む。
【0048】
センサの故障の決定された原因は、以下の判断/決定を含むことができる。
【0049】
項目I:膜(例えば、PVDF)の圧電性が消分極によって低下されるようなかなり高い温度への過剰な露出。
【0050】
項目II:圧電膜(例えば、PVDF)の長さが収縮し、圧電膜が基板(例えば、ステンレス鋼または金属またはガラス)から全面的にまたは部分的に分離されるようなかなり高い温度への過剰な露出、または欠陥のある生産工程に由来する層間剥離。
【0051】
項目III:リード線が、機械的衝撃、または液体もしくは酸化による腐食、または他の物理的もしくは化学的な理由によって切断される。
【0052】
項目IV:薄膜上のリード線または電極が、電気的に短絡する(様々な理由)。
【0053】
項目V:基板(例えば、ステンレス鋼または金属層)が、センサ場所のところで局所的に変形される。これは、タッチによる歪み分布が影響を受ける(例えば、正常/閾値限界を越えていると決定される)ような歪曲(例えば、汚損または偶発性の衝撃による)を示し得る。
【0054】
このように、基板の表面における指タッチを検出する超音波タッチスイッチモードと圧電タッチスイッチモードとを組み合わせている、裏面に圧電要素をもつデュアルモードタッチスイッチが開示された。
【0055】
デバイスが超音波モードにあるとき、FM駆動信号の周波数偏移は、周波数変化を表すインピーダンスの急激な変化を検出するのに十分な広さであり、その結果、基板の厚さの大きい許容範囲が保証される。
【0056】
急激な変化を含むインピーダンス変化は、FMからAMへの変換のための変換器と、急激なインピーダンス変化に対応する鋭いパルスを有する低周波信号へとAM信号を変換するピーク検出器とを含み、鋭いパルスのみを選択する高域通過フィルタをさらに含む回路によって検出することができる。
【0057】
鋭いパルスの振幅は、異なる圧電要素に対する感度の許容範囲を増加させるためにAGCによって実質的に一定の値に保持される。動作時に、鋭いパルスの振幅は基板の表面における指タッチによって減少し、検出された信号は機器または装置のスイッチを制御する。
【0058】
デバイスが圧電タッチスイッチモードで動作するとき、超音波モードでの動作の動作中に指からの圧力による圧電要素の平面拡張によって誘起される信号が抽出される。
【0059】
図示ように、超音波モードおよび圧電タッチモードの両方からの信号がスイッチ状態を決定するために一緒に使用される、および/または用途に応じて、一方のものが強化され、他方のものが低下され得る、本明細書で開示したシステムおよび方法が提供される。
【0060】
さらに、基板の表面における指タッチを検出し、裏面に圧電要素をもつ反射モード超音波スイッチデバイスを開示した。この超音波反射タッチスイッチデバイスの基板厚さの許容範囲は、駆動信号の広範囲の周波数偏移を使用し、出力信号から基本変調周波数をフィルタ処理して除くことによって改善され、圧電要素の急激なインピーダンス変化に対応する鋭いパルスのみが抽出され処理されて、表面に指が存在しているかまたは存在していないかが示される。
【0061】
上述の実施形態を参照して前述の発明を説明したが、様々な変形および変更を本発明の趣旨から逸脱することなく行なうことができる。したがって、すべてのそのような変形および変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示と見なされるべきである。本明細書の一部を形成する添付図面は、限定ではなく例証として、主題を実践することができる特定の実施形態を示す。図示の実施形態は、当業者が本明細書で開示された教示を実践できるように十分詳細に説明されている。本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置換および変更が行なわれ得るように、他の実施形態が利用され、そこから引き出されてもよい。それゆえに、この「発明を実施するための形態」は、限定の意味に取られるべきでなく、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに規定される。
【0062】
本発明の主題のそのような実施形態は、単に便宜上、および本出願の範囲を単一の発明または発明概念に自発的に限定することを意図することなく、本明細書において、個別におよび/または集合的に、「発明」という用語によって参照され得る。このように、特定の実施形態を本明細書で図示し説明したが、同じ目的を達成するように計画された任意の構成を図示の特定の実施形態の代わりに用いることができることを諒解されたい。本開示は、様々な実施形態の変形物のありとあらゆる適応を包含するように意図される。上述の説明を再検討する際に、上述の実施形態の組合せ、および本明細書において具体的に説明されていない他の実施形態が当業者には明らかであろう。
図1
図2
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図7
図8
図9