(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トップシートと、バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収性コアと、を含む吸収性物品であって、前記物品が少なくとも2つの容量インジケータを更に含み、
少なくとも1つの容量インジケータが、バリア層と水活性化可能な着色剤層とを含み、
第2の容量インジケータが、身体滲出液に曝露されてから少なくとも4時間経過後にのみ色を変えるものであり、
前記バリア層が、二酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、デンプン、エトセル、メトセル、炭酸バリウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び酸化アルミニウム、およびその混合物からなる群から選択されるポロシゲンを含む、吸収性物品。
前記バリア層が、ワックス、セルロース系材料、又はセルロース誘導体のうちの少なくとも1つを含んだポリマー基質を含み、前記水活性化可能な着色剤層が、水活性化可能な着色剤を含む、請求項1に記載の吸収性物品。
前記バリア層が、前記バックシートと前記吸収性コアとの間にあり、かつ前記吸収性コアに隣接しており、前記水活性化可能な着色剤層が、前記バリア層と前記バックシートとの間にある、請求項1に記載の吸収性物品。
第1の容量インジケータが、第1の水活性化可能な着色剤を含んだ第1の水活性化可能な着色剤層を含み、第2の容量インジケータが、第2の水活性化可能な着色剤を含んだ第2の水活性化可能な着色剤層を含む、請求項1に記載の吸収性物品。
前記第1の容量インジケータが、第1の厚さを備える第1のバリア層を有し、前記第2の容量インジケータが、第2の厚さを備える第2のバリア層を有し、前記第2の厚さが前記第1の厚さより大きい、請求項4に記載の吸収性物品。
前記第1の容量インジケータが第1のバリア層を有し、前記第2の容量インジケータが第2のバリア層を有し、前記第1のバリア層及び前記第2のバリア層が、異なる材料を含む、請求項1に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
本明細書において用いるとき、用語「吸収性物品」とは、尿、糞便、及び/又は経血を吸収して収容する目的で、乳児/幼児/成人及び失禁症状のあるその他個人が一般に着用する、衣類を指す。ただし、用語「吸収性物品」は、トレーニングパンツ、失禁者用ブリーフ、女性用衛生衣類、又はパンティなどの他の衣類にも適用できることを理解されたい。いくつかの実施形態において、「吸収性物品」は、テープ付きおむつを指す場合がある。
【0009】
本明細書において用いるとき、用語「着色剤」は、任意の染料、インク、顔料、インク(染料若しくは顔料を含む)、pHインジケータ、金属インジケータ、酸化若しくは還元インジケータ、ソルバクロミック(solvachromic)着色剤、生物学的着色剤インジケータ、すなわち、その環境の色を変化させる効果がある任意の材料又はこれらの任意の組み合わせで、滲出液の生物学的構成成分と接触した際に色を変化させるものを指す。
【0010】
本明細書において用いられるとき、用語「永久着色剤」は、環境因子に影響されずにその色を維持する着色剤、あるいはpHの変化、又は液体若しくは液体の特定の構成成分への曝露、高湿度、又は高温若しくは低温への曝露といったような如何なる状況下でもその色を変化させない着色剤を指す。
【0011】
説明
本発明は、色の変化によって測定されるとき、インジケータが曝露される流体の容量に基づくインジケータに関する。従来の湿り度インジケータは、pHに基づいて即反応する化学物質(chemistries)又は水可溶性染料/インクを利用したものが多く、乾燥した状態での湿り度インジケータは当初は初期の色であるが、尿/流体で湿潤すると、その湿り度インジケータに接触した流体の容量とは無関係に、2〜3分以内で異なる色に変化する。本発明において、色の変化に即反応する機序とは、必ずしも単にpHの変化又は流体/尿中での溶解度ではなく、むしろ、流体の容量が、インジケータの色が変化するかどうか及び色の変化する速度を決定する機序のことである。いくつかの実施形態において、マスキング層及び/又はバリア層を含むインジケータの構造は、色の変化が次第に露呈するのを遅延させるか又は可能にする。つまり、ある一定の容量の流体が放出されてインジケータに接触するまで、着色剤を第2の色に対して活性化させないようにすること及び/又は視認可能にしておくことができる。これにより、流体放出量だけでなく、いくつかの事例においては流体放出以降の経過時間も表示できるインジケータが実現される。本発明のインジケータは、単なる二連の(すなわち乾燥時には一色で湿潤時には別の色になる)インジケータであるに留まらず、第1の色状態と第2の色状態の間の階調/色の色相をも表示し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、吸収性物品は、水溶性の着色剤、又は流体に接触した際に放出される着色剤を含んだ複数の容量インジケータを含み得る。いくつかの実施形態において、特定の容量インジケータは、初期に液体のアクセスを妨げるバリア層に流体を注入することにより活性化される液体活性化可能な着色剤を利用して、色を変化させ得る又は視認可能若しくは視認不可能になり得るものである。いくつかの実施形態において、液体活性化可能な着色剤は、封入体染料粒子である。
【0013】
複数の容量インジケータがある場合、1つの容量インジケータは、尿による汚損から約15〜30分以内で色をすばやく変化させ得る一方、第2の容量インジケータは、身体滲出液に曝露されてから約1時間から約4〜12時間の範囲内のはるかに長い持続時間の時点まで色を変化させない場合がある。2つの色を変化させるための時間的差異は、マスキング層若しくはバリア層の量又は厚さに起因し得る。
【0014】
吸収性物品
図1は、本発明の物品(この事例では、おむつ20)の平らな未収縮状態の平面図であり、おむつの構造をより明瞭に示すために、構造の一部分が切り欠かれている。おむつ20の着用者に面する部分が観察者の方を向いている。
図1に図示されているように、おむつ20は、トップシート24、外側カバー26、捕捉層(不図示)、及びトップシート24の少なくとも一部とバックシート26との間に配置された吸収性コア28を備える。吸収性物品は更に、サイドパネル30、弾性脚部カフス32、弾性的ウエスト機構34、及び全体的に40で表される締結システムを含む。おむつ20は、第1腰部区域36、第1腰部区域36に対向する第2腰部区域38、及び第1腰部区域36と第2腰部区域38の間に位置する股部区域37を有する。おむつ20の周辺は、おむつ20の外側縁部によって画定されており、長手方向縁部50が、おむつ20の長手方向中心線100に対して概ね平行に延び、末端縁部52が、おむつ20の横方向中心線110に対して概ね平行に長手方向縁部50の間を延びている。
【0015】
バックシート/外側カバー26の最も外側の表面は、おむつ20の衣類接触面(不図示)を形成する一方、トップシート24の最も内側の表面は、おむつ20の身体接触面(不図示)を形成する。本発明の吸収性物品は、トップシート24を含む。一例において、トップシート24は順応性があり、柔らかな感触であり、かつ着用者の皮膚に対して非刺激性である。トップシート24は、一方向又は二方向に弾性的に伸縮可能であってもよい。更に、トップシートは液体透過性であり、その厚みを通して液体(経血、尿、及び/又は液状の糞便など)が容易に浸透可能なものである。好適なトップシートは、織布材料及び不織布材料、有孔又はハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルム、多孔質発泡体、網状発泡体、網状の熱可塑性フィルム、並びに熱可塑性スクリムといった広範囲の材料から製造することができる。好適な織布及び不織布材料は、木繊維又は綿繊維のような天然繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、又はポリエチレン繊維のような合成繊維又はこれらの組み合わせのから構成され得る。トップシートが繊維を含む場合、当該技術分野で既知のように、繊維を、スパンボンド、カード、湿式、メルトブローン、水流交絡、ないしは別の方法で加工してもよい。
【0016】
一実施形態において、バックシート26は流体(例えば、経血、尿、及び/又は液状糞便)に不透過性であり、薄いプラスチックフィルムから製造されるが、他の可撓性液体不透過性材料も使用される場合がある。本明細書において用いるとき、用語「可撓性」は、順応性があり、人体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を指す。バックシート26は、吸収性コアに吸収され、収容された排泄物によって、ベッドシーツ、パンツ、パジャマ及び下着といった、吸収性物品に接触する用品が濡れることを防止するものである。したがって、バックシート26は、織布材料、不織布材料、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルム、及び/又はフィルムコーティング付き不織布材料などの複合材料(すなわち、内側フィルム層及び外側不織布層を有する)を含んでもよい。バックシート26及びトップシート24はそれぞれ、吸収性コア28の衣類面及び身体面に隣接して位置付けられる。
【0017】
本発明の物品は、1つ以上の吸収性コア28を更に含む。吸収性コア28は、少なくとも部分的にトップシートとバックシートとの間に配置され、使い捨て吸収性物品と適合する任意の寸法又は形状をとってもよい。吸収性コア28は、一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプなどの吸収性物品に通常使用される、任意の幅広い種々の液体吸収性材料を含んでもよい。吸収性コアに用いられる他の好適な吸収性材料の例としては、捲縮セルロース塊、コフォームを含むメルトブローポリマー、化学的に強化、改質、又は架橋されたセルロース繊維、圧着ポリエステル繊維のような合成繊維、ピートモス、ティッシュラップ及びティッシュラミネートをはじめとするティッシュ、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル化材料(AGM)、又は任意の等価材料若しくは材料の組み合わせ、又はこれらの混合物が挙げられる。本明細書に記載されているトップシート、バックシート、外側カバー、及び吸収性コアに適した更に有用な材料並びに構造は、米国特許出願第14/302,473号に見出すことができる。
【0018】
本発明の物品は、少なくとも1つのグラフィックを含んでもよく、このグラフィックは、図(すなわち、線)、記号若しくは文字、色差若しくは少なくとも2色の遷移、又は同様のもので構成される画像又はデザインを指す。このグラフィックは、ユーザー又は消費者が本発明の吸収性物品を見たときにある特定の利益をもたらし得る審美的な画像又はデザインを有するものであってもよい。本発明の吸収性物品には、様々なグラフィックを使用できる。
【0019】
本発明の使い捨て吸収性物品は更に、少なくとも1つの容量インジケータ60を含む。容量インジケータ60が吸収性物品の外装から視認される状態に維持されるという条件で、容量インジケータを、身体接触面及び衣類接触面などの構成成分材料の任意の表面の上に又はその表面に対峙させて位置付けることができる。構成成分材料の非限定例としては、バックシートフィルム/不織布、トップシート、捕捉層、吸収性コア、及びバリア脚カフスが挙げられる。別の実施形態において、容量インジケータ60は吸収性コアとバックシートとの間に配設され、吸収性コアと液体連通する。
【0020】
バリア層
吸収性物品は、少なくとも1つの容量インジケータを含み得る。いくつかの実施形態において、容量インジケータはバリア層を含み得る。
図3は、バリア層を有する容量インジケータを含む吸収性物品の層の概略図である。バックシート/外側カバー26の最も外側の表面は、衣類接触面を形成する。着用者から最も遠く離れた位置にあるのが外側カバー不織布である。外側カバー不織布の隣にあるのがバックシートフィルムである。物品の内装に向かって次の層は、水活性化可能な着色剤層83とバリア層84とを含む容量インジケータ60である。水活性化可能な着色剤層83はバックシートフィルムの隣にあり、着用者に接近している。水活性化可能な着色剤は、ある程度の液体又は水に曝露されたときに色を変化させることが可能なものである。水活性化可能な着色剤層に隣接している又はその横にあるのが、バリア層84である。バリア層は、任意の色である場合もあれば、又は無色である場合もある。更に、バリア層から吸収性物品の内装にかけては、吸収性コア28が存在する。
【0021】
バリア層は、最初に液体を閉め出すことが可能な如何なる材料であってもよい。バリアが液体を閉じ込めるように作用しなくなる前の、バリアの強度又は寿命は、時間、液体容量、及び/若しくは厚さ、及び/若しくは組成、及び/若しくはデザイン、及び/若しくはバリア層の配置/位置に依存し得る。いくつかの実施形態において、バリア層は、水活性化着色剤を完全に囲繞する封入材であり得る。
【0022】
汚損が起こったときの事象の基本的な機序は、次のとおりであり得る。汚損が起こった際には、物品の吸収性コア内に尿が集められる。コアが湿潤すると、湿気が容量インジケータ内に浸透する。つまり、最初に容量インジケータのバリア層に入り込む。バリア層が湿気で破壊され、かつ/又はバリア層に湿気が透過すると、水活性化可能な着色剤が活性化して、その最終的な色に変化し始める。任意の量の液体がインジケータと接触した瞬間、インジケータが完全には変色しない場合があり、それどころか容量インジケータの色の変化が緩慢で、バリア層に障害を生じるのと同じペースで色の変化が起こることもあり得る。容量インジケータの初期の色は、水活性化可能な着色剤又はマスキング層の初期の色又はデザインである場合もあれば、最終的な色が、水活性化可能な着色剤の最終的な色である場合もある。いくつかの実施形態では、バリア層が水溶性着色剤を有する場合、物品の外装から見た容量インジケータの色は、初期には水活性化可能な着色剤のバリア層色と初期の色との組み合わせであるが、次第に、例えば、バリア層色が侵食及び/又は浸出するに伴って、その色が、後続の可視色に対して及ぼす影響力が少なくなっていき、水活性化可能な着色剤の最終的な色になり得る。
【0023】
水活性化可能な着色剤は、初期に任意の色であり得る。水活性化可能な着色剤は、pHインジケータであってもよい。いくつかの実施形態において、バリア層は水溶性着色剤又はpHインジケータを含む場合があり、容量インジケータの初期の色は、バリア層中の水活性化可能な着色剤又はpHインジケータと、水活性化可能な着色剤層中の着色剤の色との組み合わせであり得る。水活性化可能な着色剤を、永久着色剤と混合してもよい。バリア層は、澄んだワックスのように無色であってもよいし、又は白色ワックスを使用して白く見えるようにしてもよいため、容量インジケータの初期の色又は最終的な色に寄与しない場合がある。
【0024】
物品の乾燥状態における初期の色は、各層中に使用された着色剤の濃度、各層の組成、それらの層の厚さ、それらの層のデザイン、並びに層の配置に依存する。容量インジケータに湿気が導入された後、バリア層の水溶性着色剤構成成分は、コア内に吸収され得、容量インジケータの最終的な色は、水活性化可能な着色剤層内部で着色剤の最終的な色になり得る。
【0025】
水活性化可能な着色剤層は、pHインジケータ着色剤としてブロモクレゾールグリーンを用いたときに、その酸性乾燥状態では黄色、pH5を超える尿で湿潤したときに緑がかった青になる、湿り度インジケータホットメルト接着剤組成物(米国特許第6,772,708号に記載されているものなど)であってもよい。その永続性は、この水活性化可能な着色剤層の親水性により影響され、この水活性化可能な着色剤層では、疎水性/脂肪親和性の性質が強いと、親水性の尿のような滲出液ほどは湿潤性が高くないブロモクレゾールグリーンpHインジケータの移行が阻害される。この脂肪親和性は、脂肪親和性材料、例えば、ワックス類(例えば、パラフィン系ワックス、微晶質ワックス、合成ワックス若しくはポリエチレンワックス、又は蜜蝋のような天然ワックスなど)、鉱油、ペトロラタム、ベヘニルアルコール若しくはステアリルアルコールのような脂肪族アルコール、ステアリン酸ステアリルのようなエステル、又はポリエチレン酢酸ビニル及びポリプロピレンのような脂肪親和性ポリマーを取り込むことによって増大し得る。あるいは、ステアレス−2、セテス−2又はセテアレス−2のような親油性乳化剤を取り込むことによって、尿のような滲出液で湿潤する速度を修正し変化させることができる。加えて、四級アンモニウム化合物を取り込むと、尿のような滲出液で湿潤した後で、色が変わった後に、ブロモクレゾールグリーンのような着色剤の移行の防止に有益であり得る。理論に束縛されるものではないが、第四級アミンのカチオン性電荷が、グリーン及びアニオン性ブロモクレゾールグリーン分子とのコアセルベート(coecervate)を形成し得ることが仮定される。電荷が中性で分子量の大きいコアセルベートは、尿のような極性溶媒中では脂肪親和性がはるかに高くかつ可溶性が低くなり、その基質中では可溶性が高くなる。特に、その基質が脂肪親和性構成成分を含む場合。これにより、尿のような滲出液と接触した後に、水活性化可能な着色剤層内で、グリーンコアセルベート複合体の永続性が増大する。
【0026】
前述の水活性化可能な着色剤層が、黄色バリア層の上部に塗布された場合、FD&Cイエロー#11(CI #47000)のような水可溶性染料を取り込むことによってバリア層内に黄色が作られ、おむつの外側から見える乾燥した層の初期の色が黄色になる。バリア層は尿可溶性の黄色染料を含み、この黄色染料は湿潤した後にコアに移行する。ブロモクレゾールグリーンは、水活性化可能な着色剤層中で色を変化させるため、最終的な色は緑色になる。バリア層は、Performathox 490(New Phase Technologies,Sugar Land,TX製)のような水可溶性界面活性剤中で可溶化されるFD&Cイエロー#11で構成され得る。Performathox 490又はPerformathox 480中でのFD&Cイエロー#11の溶解度は、黄色染料及びその濃度の相対的な溶解度特性を介して制御できるだけでなく、界面活性剤(類)、及びワックスのような共原料を含んだ何らかのものの極性を変化させてバリアの組成を変更することによっても、制御できる。加えて、バリア層の厚さ並びにそのデザイン及び位置はまた、FD&Cイエロー#11がこのバリア層からコアへと拡散する速度にも影響を及ぼす。
【0027】
複数の容量インジケータ系の例として、着用者からの初回排尿は、バリア層内の極性が高くかつ尿で湿潤する組成物を使用して優先的に検出され得る。これは、バリア層内に水湿潤性の高い界面活性剤を使用し、かつ/又はこのバリア層内に塩化ナトリウムのようなポロシゲンを取り込み、尿で湿潤させた後に流体を流出させる経路となる空隙を作ることによって達成できる。ポロシゲンは、その基質内に分散された後に固体として分散された状態に維持される、極めて親水性の材料である。基質内のポロシゲンは、尿のような親水性滲出液に接触した後、溶解するか又は完全に湿潤して、空隙又は流体経路を生じ、基質内部での滲出液の流れの効率を向上させる。
【0028】
逆に、塩化ナトリウムのような極性ポロシゲンの使用を排除することによって、又は低湿潤性の界面活性剤を用い、脂肪親和性がより高い、基質中に尿可溶性黄色染料を取り込むことによって、又はワックスのような脂肪親和性材料を添加することによって、湿潤性の高い第1の容量インジケータの隣に置かれた第2の容量インジケータの湿潤性を低下させ得る。また、ワックスのような脂肪親和性原料を取り込むと、バリア層の湿潤速度が遅くなるため、初回排尿後に色が変化しにくくなる。当然、バリア層の厚さ、この層中の可溶性染料の濃度、及び脂肪親和性原料の取り込みはいずれも、バリア層の湿潤性、及び例えばブロモクレゾールグリーンpH着色剤インジケータを含む水活性化可能な着色剤層の内部での究極的な色の変化に影響する。この層の厚さを変更することによってだけでなく、界面活性剤組成を変更することによっても、ブロモクレゾールグリーンを含む水活性化可能な着色剤層の内部でブロモクレゾールグリーンの色が変化する速度に影響が及ぶ可能性があり、酸類及び四級アンモニウム材料のような任意選択的な原料を取り込むことによって、尿に接触した後に、アニオン性及びグリーンブロモクレゾールグリーンpHインジケータ着色剤の移行を低減させる目的に主に役立つ。
【0029】
また、バリア層は、酸化亜鉛又はアルミノケイ酸ナトリウム又は二酸化チタンのような白い乳白剤を含み、この白い背景は、アルミノケイ酸ナトリウムで作られたもので、水活性化可能な着色剤層中のブロモクレゾールグリーンの黄色で作られた乾燥状態の色の明度を高めるようにもできる。アルミノケイ酸ナトリウム又は二酸化チタン又は酸化亜鉛は、尿で湿った際に、半透明度を上昇させるか又は部分的にコアに移行するため、ブロモクレゾールグリーンの緑がかった青色は、乾燥状態のときと同じ程度の明度まで達しない。これにより、乾燥状態での薄黄色と湿潤状態での緑がかった青色とのコントラストが、確実に増大する。
【0030】
加えて、炭酸カルシウムのようなポロシゲンを添加して、尿/滲出液で湿潤した後に、流体を流出させるための空隙空間及び経路を作ることによって、滲出液がバリア層を通して移行するのを迅速化することができる。使用できるポロシゲンのいくつかの代表的な例としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、デンプン、エトセル(ethocell)、メトセル(methocell)、炭酸バリウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び酸化アルミニウムが挙げられる。
【0031】
また、このバリア層内部の着色剤が性質上中性又はカチオン性である場合、カチオン性四級アンモニウム化合物はバリア層に調製され得る。この中性電荷又はカチオン性電荷は、バリア層内の着色剤上では、カチオン性四級アンモニウム化合物とのコアセルベートを形成しない。ただし、カチオン性四級アンモニウム化合物が存在する場合、グリーン及びアニオン性ブロモクレゾールグリーンのような漂遊(stray)アニオン性着色剤が、水活性化可能な着色剤層から移行するのが妨げられる。ゆえに、水活性化可能な着色剤層内及びバリア層内の両方のカチオン性四級アンモニウム化合物によって、水活性化可能な着色剤層内で、グリーン及びアニオン性ブロモクレゾールグリーンのようなアニオン性着色剤の移行に対する制限が、更に確実に為される。
【0032】
放出制御技術は、所望の刺激に基づき、所与の期間にわたって又は特定の時間に、少量の化合物を徐々に送達する公知の手段である。本発明において、放出制御技術は、容量インジケータの色の変化を遅延させるための方法として使用することができる。一実施形態は、小粒子若しくはビーズを形成する薄いポリマー又はデンプンコーティングで封入される着色剤の使用を含む。これらのカプセルは、数十ミクロンから数ミリメートルまでサイズが異なる場合があり、ポリメタクリル酸メチル若しくはポリビニルアクリル酸エステルのようなポリマーコーティング材料、又はデンプン、又はホットメルト接着剤組成物内に組み込まれる場合もあれば、組み込まれない場合もあり、追加の拡散バリアとして作用して湿潤環境若しくは多湿環境内で着色剤の放出を防ぐ。
【0033】
マイクロカプセルは、液体又は固体材料を小粒子内に封入するのに用いられる外部コーティングを含む。マイクロカプセルのIUPAC定義は、永久的に又は一時的に封入された物質に利用可コアな形成空間を囲繞する固体シェルからなる中空微小粒子である。マイクロカプセルは概ね、直径が0.01ミクロン〜数百ミクロンの範囲内にある。封入手法は、所望の条件下である環境に化合物を徐々にただし体系的に放出する必要のある、いくつかの用途に用いられてきた。例としては、薬物送達式マイクロカプセル、持続放出型化粧品中に含有される活力源の栄養素又はタンパク質、及び農産品用肥料又は農薬が挙げられる。着色剤の封入体は、当業者に公知であるように為され得る。封入体染料及び着色剤は、米国特許第6,358,160号に記載されているものに類似したものであり得る。
【0034】
コーティングは、アクリレート系ポリマー又はポリスチレンのような広範な潜在的ポリマー及び改質ポリマー、デンプン及び改質デンプンのようなバイオポリマー改質バイオポリマー、キトサン及び改質キトサン、並びにゴム及び滲出液ゴムから構成することができる。殆どの放出制御技術の基盤は、封入体製品をコーティング又は基質を通して徐々に拡散させ、周囲の環境に取り入れることにある。拡散の駆動力は、高度に濃縮された内部領域から希釈された外部領域への物質移動にある。拡散プロセスは、多くの場合、ポリマーフィルムを膨潤させるか若しくは部分的に溶媒和させる溶媒の存在によって加速又は活性化され、結果としてポリマーフィルムが可塑化されて、ポリマー基質の有効拡散率が増加する。あるいは、マイクロカプセルシェルは、マイクロカプセルのシェルを可溶化し得る物質で湿潤されたときに、簡単に溶解される場合もある。例えば、デンプン又は改質デンプンでできたシェル材料は、尿で溶解される場合もある。シェル材料の部分的又は完全な可溶化が存在する場合、結果として、マイクロカプセルから封入体材料が運搬される速度が迅速化される。
【0035】
バリア層中の封入体染料又は着色剤は、尿のような身体滲出液に曝露されると、その滲出液で、その保護用封入体シェルから封入体着色剤を拡散させ得る。他の実施形態では、滲出液によってマイクロカプセルのシェルコーティングが溶解され、結果として、封入体着色剤が放出され得る。
【0036】
マイクロカプセルの場合、放出制御系への第2の経路は、非架橋又は鎖状ポリマーマイクロカプセルシェルコーティングを良溶媒中に徐々に溶解させ、結果として、コーティング壁部が薄くなり、最終的に完全に溶解されると、封入体組成物が放出される。この事例において、ポリマーの溶解速度は、単独の拡散速度でなく、むしろ封入材を放出する律速段階である。
【0037】
材料を放出制御するための第3の手法は、マクロ封入である。この事例において、着色剤のような材料は、任意の数の形状又は物体に成形され得る連続的なポリマー基質から徐放される。この手法とミクロ封入手法との主たる相違点は、後者の場合に、明確に画定された数ミクロンの規模の微小球内に材料が封入されるのに対して、マクロ封入体の場合は、数センチメートル以上の規模の物体に関心対象の材料が直接に封入されることである。これら両方の手法は、基質又は封入材シェルから材料を徐々に拡散することを含む。一実施形態では、封入体の内部に封入体が存在する場合があり、外殻は親水性であり、迅速に溶解して着色剤を放出する一方、内殻は溶解の緩慢な界面活性剤で構成され、その界面活性剤は最終的にそのシェル内部で着色剤を放出する。ある特定の事例においては、特定の着色剤及び特定のシェル溶解度を有する1つのマイクロカプセルを作製して、それを、一意のシェル溶解度を有するシェルからなる異なる着色剤を含んだ別のマイクロカプセルに封入することが有利であり得る。
【0038】
いくつかの異なるポリマー及びポリマー配合物を、離散性若しくは実質的に平坦な層、又は封入体コーティングのいずれかとしてバリア層に使用することができる。そのようなバリア層材料としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、エチレンとアクリル酸とのコポリマー、プロピレンとアクリル酸とのコポリマー、ポリアクリルアミド(polyvacrylamide)、ポリアクリルデキストラン、シアノアクリル酸ポリアルキル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース及び他のセルロース誘導体、ナイロン6,10、ナイロン6,6、ナイロン6、ポリテレフタルアミド及び他のポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリジメチルシロキサン並びに他のシロキサン類、脂肪族及び芳香族ポリエステル、酸化ポリエチレン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シェラック、デンプン及び改質デンプン、キトサン、脂肪族アルコール、長い炭素鎖長C24〜C50の第一級アルコール、エトキシル化脂肪族アルコール、C24〜C50の鎖長のエトキシル化第一級アルコール、脂肪酸、並びにワックス類(例えば、パラフィンワックス、合成ワックス及び微晶質ワックス、並びに蜜蝋、カルナバワックス及びこれらの混合物のような天然ワックス)が挙げられる。
【0039】
マイクロカプセルに使用されるポリマー及び他のシェル材料は、水の不在下にてシェル材料を通しての着色剤の拡散率がほぼゼロでなければならない。水、又は尿のような滲出液が周囲の基質に導入されて、ポリマーフィルム又は他のシェル材料を通して引き続き水が拡散された際、着色剤分子に対するポリマーコーティングの拡散率が増加して、ポリマーフィルムシェル全体に着色剤を運搬することが可能になる。この用途に対する理想的なポリマー系は、水に対する浸透性が限られているため、着色剤の放出に先立って拡散時間の広範化をもたらす。そのようなポリマーは、疎水性及び親水性ポリマー、セグメント化若しくはブロックコポリマーフィルムと親水性ブロックポリマー、若しくは非水溶性のポリマーとの架橋配合物又は非架橋配合物であり得る。そのようなポリマー類には、ナイロン6,10若しくはナイロン6、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリ塩化ビニルのようなナイロンが包含される。疎水性ポリマーと配合することによって着色剤、及びフィルムの水透過係数を調整し得る、水浸透性の高いポリマーとしては、セルロース誘導体、デンプン及び改質デンプン誘導体、ポリアクリル酸塩、酸化ポリエチレン、ポリグルセロール、ポリジメチルシロキサン並びにポリビニルアルコールが挙げられる。
【0040】
使用することができる着色剤としては、水溶性着色剤、pHインジケータ、及び永久着色剤が挙げられ、広範な工業用染料材料とは異なる場合がある。着色剤が封入されていて、初期に視認されない場合、その着色剤は、水活性化可能な着色剤又は永久着色剤であり得るが、典型的には水溶性着色剤でない。理想的には、染料は、染料封入材コーティングの下部のシェル又はマントルに使用されるポリマーと相溶性である必要がある。ポリマー中にはカルボキシレート基及びカルボン酸基が存在するため、イオン性及びいくつかの水可溶性染料は特に、そのようなマントルに一般的に用いられるイオノマー材料と相溶性である。染料系によっては、極性の大きい溶媒の存在下で変色するものもある。染料が、水に曝露されるまでは染料に殆ど色を有しない場合に、この効果は有用であり得る。この用途のいくつかの潜在的な染料には、メロシアニン染料及びピリジニウム−N−フェノキシド染料が包含され得る。例としては、ナフタレンオレンジG、クリスタルバイオレット、CIディスパースレッド及びいくつかの他の一般の工業用染料を挙げることができる。着色剤は分子量の大きいものの方が、ポリマー基質を通しての拡散速度が緩慢であることから、分子量のより大きい着色剤が望ましい。着色剤は、硫酸塩/スルホン酸塩で誘導体化して水溶性を強化することも可能であるし、又はアルキル基で誘導体化して界面活性剤様の性質を強化することも可能である。着色剤は、基質中で幾分可溶性であり、色の色相を変化させ、かつ/又は滲出液中で幾分可溶性になるように、官能基で改質され得る。
【0041】
水溶性染料は、水に曝露する前に、硬質固体ポリマーシェルフィルムで封入し、極めて駆動力が低くかつコーティングを通しての拡散に対して抵抗力の強い非水系媒質中に浸漬してもよい。長い期間にわたって水に曝露された際、水がポリマー層中に徐々に拡散し、次いで、マイクロカプセルを通して着色剤粒子に拡散する。着色剤が封入材シェルから拡散される場合もあれば、又は封入材シェルが徐々に水に溶解して着色剤が環境に曝露される場合もある。ポリマー層からの染料拡散は、基本的な物質移動則を使用してモデリングできる。
図4は染料カプセル54の概略図である。染料粒子62はマイクロカプセル60に包囲される。染料カプセルは半径Riを有する一方、マイクロカプセル全体は半径Roを有する。染料がカプセルから拡散する速度は、染料粒子を封入する染料カプセルのRo及びRiに関連する。Fickの第1の法則は、拡散プロセスをモデリングするのに、一般的に用いられる。定常状態では、マイクロカプセルからの染料の物質移動を、次の等式:dM/dt=4ΠDKΔC(RoRi/(Ro−Ri))を使用してモデリングでき、式中、dM/dtは経時的な染料の移動速度であり、Dはポリマー層中での染料の拡散率であり、Kは層中での染料の溶解度であり、Cはマイクロカプセル中対外装カプセル中での染料の濃度差であり、Roはカプセルの外径であり、Riはカプセルの内径である。
【0042】
約20〜約1000ミクロンの厚さの層では、染料の半分がナイロンのようなポリマーフィルムを通して拡散する時間は、基質中の染料の相対的な溶解度に応じて、約30分〜約12時間の範囲であり得る。各種のポリマー又はポリマー配合物のほか、様々な材料を使用して、拡散時間を調整できる。
【0043】
カプセルの形成は、いくつかの技術を使用して為され得る。これらの技術には、当該技術分野において公知であるように、可溶性ポリマーのコロイド懸濁の撹拌及び以後の非水系媒質中での微小粒子の単離を使用したポリマーのコアセルベーション/相分離が包含される。他のマイクロカプセル形成技法には、噴霧乾燥、パンコーティング、及び遠心押出、その他が包含される。ポリアミド並びに一部のポリエステル及びポリウレタンコーティングは、界面重合を使用して形成することができ、安定化されたエマルジョンは、安定剤を使用して形成することができる。ポリアクリル酸塩若しくは酢酸塩のようなビニルポリマー、又はコポリマーのフリーラジカル重合によって得られる数種のポリマーに対して、同様に非水系の非溶剤媒質を使用したビード懸濁重合技法を使用することができる。ポリマーコーティングがかなり透明である場合、封入材シェル内の着色剤の色を隠蔽する必要のある場合がある。この事例において、ポリマーコーティング壁部への白色顔料の取り込みは、封入プロセス中に導入され得る。
【0044】
マスキング層
いくつかの実施形態において、容量インジケータは、バリア層とマスキング層とを含み得る。つまり、特定の容量インジケータがバリア層及びマスキング層の両方を含む場合もあれば、又は物品が複数の容量インジケータを含む場合もあり、複数の容量インジケータのうちの1つががバリア層を含み、別の容量インジケータがマスキング層を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、容量インジケータはマスキング層を含み得る。そのような一実施形態は、
図2に概略的に図示されている。外側カバー26は着用者から最も遠く離されていて、(着用者から最も遠くの)外側カバー不織布層71と(外側カバー不織布の内側の)バックシートフィルム72とから構成される。物品の内装に向かって次の層は、バックシートフィルムの隣にあるマスキング層73と物品の吸収性コアの隣にある静止色層74とを含む、容量インジケータ60である。
【0046】
静止色層は、永久着色剤;非水溶性着色剤;鉱油のような有機脂肪親和性原料中で可溶性が高い溶媒可溶性着色剤;pHインジケータ層;又は封入体着色剤のうちの1つ以上を含む場合があり、それらの着色剤の各々は基質内に留まり、コア内には溶解されない。全体としての静止色層は、永久色又は固定色、つまり、一色であって環境の変化とは無関係に変わることのない着色剤(1つ又は複数)である場合もあれば又はそうでない場合もある。あらゆる場合において、静止色層は、物品の使用全般を通じてその基質層の内部に留まり、コア又は隣接のレベルに移行しない。また、静止色層は、層の流体流れを変化させるためのポロシゲンを含んでもよく、それにより、容量インジケータの色を変化させる速度が制御される。
【0047】
マスキング層は永久着色剤を含むこともできる。この永久着色剤は、いくつかの実施形態では濃い色であり得る。また、マスキング層は、水/pH活性化着色剤又は封入体着色剤である着色剤を含んでもよい。マスキング層は、滲出液で湿潤したときに溶解する、滲出液中で金属により活性化されるか、又は酸化反応若しくは還元反応により活性化される、pHインジケータ、又は分散/封入体固体着色剤を、マスキング層を含むことができる。マスキング層は、pHインジケータ、水溶性着色剤、溶媒可溶性着色剤、及び/又は極性着色剤を含むことができ、これらの着色剤は、封入体形態、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0048】
容量インジケータの初期の色は、マスキング層の色若しくはデザインであってもよいし、マスキング層の色及び静止色層の組み合わせによる色であってもよい。マスキング層及び静止色層の両方の厚さ、組成、パターンデザイン、及び配置は、初期の色の強度並びに容量インジケータの、最終的な色を変化させる速度を決定する助けになる。また、容量インジケータの色を変化させる速度は、静止色層の多孔度に依存する。
【0049】
汚損が起こった場合は、マスキング層及び静止色層の構造に応じて、いくつかの機序が生起し得る。第1の選択肢において、マスキング層は、水溶性着色剤を他の着色剤と組み合わせたものであり得る一方、静止色層は、多孔質不溶性着色剤又はpHインジケータであり得る。汚損が起こった際には、物品の吸収性コア内に尿が集められる。コアが湿潤すると、湿気は容量インジケータ内に浸透する。すなわち、湿気が多孔質静止色層に入ってからマスキング層に入り込む。静止色層は十分多孔質であり、マスキング層からの着色剤が、静止色層を通ってコア内に浸透するのを可能にしている。静止色層中で着色剤は、封入体形態である場合もあれば、又は非水溶性若しくはpHインジケータを静止層基質に結合したものである場合もあり、それにより、水が層に浸透した際に着色剤が所定の位置に留まることを可能にしている。したがって、容量インジケータの初期の色は、マスキング層の色であるか又はマスキング層と静止色層との組み合わせであり、マスキング層の水溶性着色剤(類)はコア内に吸収され、容量インジケータの最終的な色は静止色層の最終的な色であるか、又は水溶性着色剤(類)なしのマスキング層内に残留している着色剤の最終的な色と静止層の最終的な色との組み合わせである。静止着色剤層の多孔度及び組成によって、着色剤がマスキング層からコアに吸収される速度、及び色を変化させる速度を制御する。静止色層中の着色剤がpHインジケータの場合、静止色層は、米国特許第6,772,708号に記載されているもののような接着剤基質であり得る。他の実施形態において、静止色層は、アクリルポリマー又はアクリルスチレンポリマーで構成されるフィルムの上部のマスキング層に着色剤が塗布されているインク基質であってもよく、任意選択的に界面活性剤を取り込むことによって、コアから滲出液が流出する速度が上昇し得る。
【0050】
第2の選択肢において、マスキング層(水溶性着色剤及び他の着色剤の組み合わせ)並びに静止色層(ポロシゲン、pHインジケータ及び非水溶性着色剤)は、初期に1つの層に混合され得る。最終的な結果は選択肢1と同じであり、残りの非水溶性着色剤の色及び/若しくは最終的なpHインジケータの色、又はこれらの組み合わせが、最終的な色になる。マスキング層の水溶性着色剤(類)及び静止色層の着色剤(類)の相対量、並びにこれらの層の組成、その厚さ、デザイン及び配置はいずれも、容量インジケータの初期の色、及び色を変化させる速度を決定する。
【0051】
第3及び第4の選択肢では、複数の静止色層(多孔度を調整するためのもの)又は複数のマスキング層(マスキング層の水溶性着色剤の消散速度を調整するためのもの)が存在し得る。概して、マスキング層並びに静止色層の相対量、組成、パターンデザイン、配置/位置及び厚さは、容量インジケータの初期の色、並びに容量インジケータが流体に曝露された際に色を変化させる速度を決定する。
【0052】
容量インジケータは、色をすばやく変化させる場合もあれば、又はそうでない場合もある。本発明の1つの利点は、容量インジケータが、経時的に次第に色を変化させ、物品の飽和度及び可溶化度を継続的に示し得ることである。つまり、マスキング層の水溶性着色剤(類)がコア内に吸収され、容量インジケータの色は、元の状態と最終的な状態との間の継続的な色を有し得る。あるいは、マスキング層の着色剤は必ずしも全部でなくその一部がコア内に吸収されるため、容量インジケータは、染み又は斑点の付いた外観を有する場合もある。
【0053】
物品に複数の容量インジケータが装填されている場合、最初に静止色層を極めて薄くしてマスキング層に尿を迅速に拡散させるか、又は静止層の相対的な多孔度を増加させることによって、容量インジケータのうちの1つを優先的に変色させることができる。任意選択的に、界面活性剤湿潤剤を多孔質静止色層に添加することにより、尿の吸収速度を迅速化して尿をマスキング層に移行させることが可能である。加えて、第1の容量インジケータを優先的に「排尿箇所(pee point)」に接近させて位置付けることにより、着用者の初回排尿の吸収を強化することができる。また、物品コアと多孔質静止色層との間のAGM(例えば、溝領域及び溝無し領域)の量を変えて、第1の容量インジケータへの接触が他の容量インジケータよりも迅速に為されるようにすることによっても、第1の容量インジケータに対する尿又は滲出液の優先吸収を促すことができる。AGMの濃度は、静止色層を通しての移行を妨げないように最適化すべきである。また、AGMを、当該技術において公知であるポリエステル又は他の極性ポリマー製の多孔質及び海綿状の層で置き換えることもできる。加えて、着色剤の濃度を低下させ、超湿潤界面活性剤をマスキング層中に添加することによって、又は塩化ナトリウムのようなポロシゲンを添加して、尿/滲出液で湿潤された後に流体を流出させるための空隙空間及び経路を作ることによって、マスキング層の着色剤のコアへの移行を迅速化することができる。利用可能なポロシゲンのいくつかの代表例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム及び硫酸二ナトリウムのような無機塩類、クエン酸、酒石酸、マロン酸、グルコン酸及びマレイン酸のような果実酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム及び酒石酸カリウムのような果実酸の共役塩基、二酸化チタン及び酸化亜鉛のような乳白剤、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムのような隔離剤、グルコース及びフラクトースのような糖類、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び水酸化ナトリウムのようなアルカリ性物質、デンプン及び改質デンプンのような多糖類、キサンタンガム、セルロース粉末及び改質セルロース粉末、エトセル(ethocell)、メトセル(methocell)、ペクチン、キチン、ヘクトライト、ベントナイト及びラムポナイトのような粘土及び改質粘土、天然及び合成ゼオライト、並びに他の材料、例えば、ケイ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸バリウム、グリコプロテイン、グアーゴム、デキストリン及び改質デキストリン、デキストラン及び改質デキストラン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、並びに酸化アルミニウムが挙げられる。
【0054】
また、初回排尿後に、以後のインジケータの色の変化を妨げることによって、複数の容量インジケータの色を異なるペースで変化させることを達成することができる。例えば、考えられる方法としては、以後のインジケータの静止色層の厚さを増大させる方法、後続のインジケータを着用者の「排尿箇所」から更に離れて移動させる方法、後続のインジケータのマスキング層の水溶性着色剤の量若しくは濃度を増加させる方法、又は後続のインジケータのマスキング層の着色剤を、ステアレス−2、ベヘネス−2、若しくはPerformathox 420のように極性が低く脂肪親和性の高い界面活性剤に取り込むことによってその着色剤がコアに移行する速度を緩慢化する方法が挙げられる。
【0055】
複数の容量インジケータ
いくつかの実施形態では、2つ以上の容量インジケータが存在し得る。物品は複数の容量インジケータを有する場合があり、全ての容量インジケータはマスキング層を含む場合もあれば、又は全ての容量インジケータがバリア層を含む場合もある。いくつかの実施形態では、マスキング層を含む容量インジケータ(類)、及びバリア層を含む別個の容量インジケータ(類)が存在し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の容量インジケータが、簡易なpHインジケータであり得る一方、その他の容量インジケータ(類)はマスキング層及び/又はバリア層を含む。いくつかの実施形態では、バリア層及びマスキング層を含む単一の容量インジケータが存在する場合もあれば、又は複数の容量インジケータ(マスキング層を含む容量インジケータ、及びバリア層含む容量インジケータ、又はそれらのいくつかの組み合わせを含む容量インジケータ)が存在する場合もある。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の容量インジケータは、それぞれのマスキング層及び静止色層に、同じ着色剤を含む場合があるが、そのマスキング層並びに静止色層の相対量、及び/又は組成、及び/又は厚さ、及び/又はデザイン、及び/又は配置/位置は異なる場合がある。物品が汚損されたときに、第1の容量インジケータは、すばやく変色し始めてもよく、つまり、マスキング層の着色剤がすばやくコアないに吸収され得るが、第2の容量インジケータは、色の変化を完了させるためにより多くの時間及び/又は容量を要する場合がある。いくつかの実施形態では、第2の容量インジケータの色を完全に変化させるためには、数回の汚損を要する場合がある。
【0057】
いくつかの実施形態において、時間という観点では、第1の容量インジケータは、最大約15〜30分で、その初期の色からその最終的な色に完全に変化し得るが、第2の容量インジケータは、少なくとも約1時間経過後にのみ、その初期の色からその最終的な色に完全に変化し得る。つまり、2つの容量インジケータの色の変化には時間的な差異が存在し得る。一方は変化の速度が迅速であったことから、若干の湿りであったことがわかるのに対して、他方は変化の速度が遅かったことから、ユーザーが湿った物品に着座していた持続時間が長かった(すなわち、その流体が高容量であった)ことがわかる。いくつかの実施形態では、第1の容量インジケータは、第2の容量インジケータの色が変化し始める前に、その最終的な色状態に完全に変化する場合もある。特定のマスキング層の厚さはいずれも、約20ミクロン〜約1000ミクロンまで様々であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、マスキング層は、共原料の同じ着色剤及び組成物を含む一方、他の実施形態において、マスキング層は、異なる着色剤及び/又は異なる組成物及び/又は異なる厚さ及び/又は異なるデザイン及び/又は異なる配置/位置である場合もあれば、又はそれらを含む場合もある。第1及び第2の容量インジケータが、同じマスキング層及び静止色層の着色剤を含む場合、両方のインジケータは最終的に同じ外観を有するが、最終的な外観に達するタイミングは、例えば、滲出液に接触した後、又は滲出液で湿潤し易い位置に配置した後に、マスキング層の肉厚化、又は界面活性剤の取り込みによって色を変化させる速度が上昇することに起因して変化し得る。第1及び第2の容量インジケータは、異なるマスキング層の着色剤又は異なる静止色層の着色剤のいずれかを含み、この場合、2つのインジケータの初期及び/又は最終的な外観は異なり得る。いくつかの実施形態では、第1の容量インジケータのマスキング層と第2の容量インジケータのマスキング層とは異なる場合があり、2つの容量インジケータに対して初期の異なる外観を提供する。いくつかの実施形態では、静止色層の着色剤が異なる場合があり、結果として、インジケータの最終的な異なる外観を提供する。いくつかの実施形態において、第1の容量インジケータは、ホットメルト接着剤タイプの基質若しくはフィルム形成インクタイプの基質中で、又は単独のインク基質(Sun Chemical製のAquadestructのような市販インク)中で、単独のpHインジケータ(当該技術において現在公知である湿り度インジケータに類似のもの)とされる場合もあれば、あるいは任意選択的に乳化剤若しくは界面活性剤を含み得るアクリル又はスチレン−アクリルポリマーに調製される水溶性着色剤を含む場合もあるが、マスキング層を含むのは第2の容量インジケータのみである。
【0059】
いくつかの実施形態において、特定の容量インジケータはいずれも、その最終的な色に達するまで、初期の汚損後30分毎又は1時間毎に顕著に色を変化させ得、いくつかの実施形態においては、最大及び約2時間以上、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、8時間、12時間、又は約2〜約12時間の間の任意の30分間隔であり得る。同様に、いくつかの実施形態において、特定の容量インジケータはいずれも、その容量インジケータに50〜75ml(ミリリットル)、最大約150ml又は約300mlの滲出液に曝露される毎に、顕著に色を変化させ得る。いくつかの実施形態において、第1の容量インジケータは、最低約20mlに曝露されることで、その最終的な外観に変化させ得る(そのような第1のインジケータは、pHに基づくインジケータであり得る)一方、第2の容量インジケータは、少なくとも約100mlに曝露されて初めて、何らかの色の変化を開始し得る。第2の容量インジケータがその色の変化を完了するための所要時間は、その容量インジケータが最小量の侵襲に曝露される合計時間、又は任意の汚損に曝露される合計時間のいずれかによって制御される場合もあれば、あるいはその容量インジケータが曝露される合計容量によって制御される場合もある(例えば、合計約150mlに曝露された後に、その色の変化が完了する)。いくつかの実施形態では、第3の容量インジケータが存在し得る。例えば、第1の容量インジケータは、最大約15〜30分でその最終的な外観に変化して、何らかの汚損が起こったことを介護者に知らせることができる。第2の容量インジケータは、約1〜2時間湿気に曝露された後、又は最低約100mlに曝露された後に、その最終的な外観に達し得る。第3の容量インジケータは、湿気に最低約150ml又は約2時間以上(最大12時間)曝露された後に初めて、その最終的な外観に達し得る。
【0060】
一実施形態において、物品は2つの容量インジケータを含み、各容量インジケータは容量インジケータ封入体着色剤又はバリア層を含む。一実施形態において、第1の容量インジケータの封入体又はバリア層の厚さは、尿に曝露されたときに約5分以内で、いくつかの実施形態では、約10分以内、15分以内、20分以内、又は25分以内で着色剤が視認可能になるように為され得る。第2の容量インジケータの封入体、又は第2の容量インジケータのバリア層の厚さは、尿に曝露されてから少なくとも約1時間、又はいくつかの実施形態では、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、又は約4時間、最大12時間経過するまで着色剤が視認可能にならないように為され得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、第1の容量インジケータ着色剤(類)と第2の容量インジケータ着色剤(類)とは同じであってもよい。いくつかの実施形態において、それらは異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、第1の容量インジケータは第1の色から第2の色に変化する一方、第2の容量インジケータは第3の色から第4の色に変化する。いくつかの実施形態において、第2の容量インジケータは、2回以上の汚損襲にもかかわらず即反応しない(つまり、最終的な色状態が視認可能である)場合がある。
【0062】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、二部分からなる(dual)容量インジケータの実施形態を例証する。
図5Aは、2つの容量インジケータの乾燥状態での初期の外観を図示する。初期の色は、同じ色である場合もあれば、又は異なる場合もある。
図5Bは、滲出液を約15分又は少量(約15〜約30ml)充填して物品内に放出した後の、2つのインジケータが取り得る外観を図示する。一方のインジケータはその初期の色のままであったが、他方はその最終的な色状態に変化した。
図5Cは、身体滲出液に曝露されてから少なくとも1時間後の2つの容量インジケータを図示し、(また、身体滲出液を多量に(約75ml超)充填した後の2つの容量インジケータも表し得る。
【0063】
図6A、
図6B、
図6C、及び
図6Dは、3つ組の容量インジケータの実施形態を例証する。
図6Aは、3つの容量インジケータの乾燥状態での初期の外観を図示す。初期の色は、同じ色である場合もあれば、又は異なる色のいくつかの組み合わせである場合もある。
図6Bは、滲出液を約15分又は少量(約15〜約30ml)充填して物品内に放出した後の、3つのインジケータが取り得る外観を図示する。2つのインジケータは初期の色のままであったが、1つのインジケータはその最終的な色状態に変化した。
図6Cは、身体滲出液を約30分〜約2時間又は中程度に(約50〜約70ml)充填した後の、3つのインジケータの取り得る外観を図示する。インジケータのうちの2つは最終的な色状態に変化したが、1つは無変化のままであった。
図6Dは、身体滲出液を少なくとも約2時間又は多量に(約75ml超)充填した後の、3つのインジケータの取り得る外観を図示する。いずれの状況においても、3つのインジケータが全て即反応し、3つとも全て最終的な色状態になる。3つのインジケータは、初めは同じ初期の色であるが、その後、活性化された際に、各々が異なる色に変化し得る。この例における例証の目的で縞パターンを使用してきたが、後述するように、インジケータを様々なグラフィカルパターン又は幾何パターンの形としてもよいことに留意されたい。また、効率的な性能が所望される場合、吸収性物品内部の異なる位置に容量インジケータを配置することで、滲出液との接触に変化を持たせることができる。
【0064】
所望の間隔を置いて、任意の方法で、物品上に容量インジケータを配置できる。容量インジケータは、離散パターン若しくは連続パターンであってもよいし、又は、例えば、時間などを指示する数値を形成し得る。様々な実施形態において、インジケータは、幾分細長い全体形状を有し得る。いくつかの実施形態では、インジケータ及び/又は表示区域のうちの一部分若しくは複数部分、又はその全部が、直線状、曲線状、角度付き、セグメント化された、又は任意の規則的若しくは不規則的な幾何形状(例えば正方形、矩形、三角形、台形、八角形、六角形、星形、半円、四半円、半楕円形、四半楕円形、放射パターン、若しくはプロスポーツチームのロゴ(例えば、Green Bay Packersの「G」)など)、認識可能な画像(例えば、英字、数字、単語、文字、動物の顔、人の顔など)、又は別の認識可能な画像(例えば植物、自動車など)、又は別の形状、あるいはこれらの形状の組み合わせであり得る。また、様々な実施形態において、インジケータは、その長さの一部分、若しくは複数の部分、又は全部にわたって異なる幅を有し得る。
【0065】
容量インジケータは、着用者からの滲出液に接触する可能性の高い吸収性物品の如何なる箇所に位置付けられてもよい。例えば、一実施形態において、容量インジケータは、尿負荷点と連通する物品の部分(すなわち、尿が通常物品を汚損する位置、例えば物品の股部領域37内の物品の長手方向中心線100近辺など)に位置付けることができる。加えて、容量インジケータは、物品の任意の構成成分に装着され得るが、毛管現象又は導電リンク経由を含むがこれらに限定されない、尿負荷点と連通すべきである。例えば、容量インジケータは、トップシート、吸収性コア、又はバックシートに装着されてもよい。一実施形態において、少なくとも1つの容量インジケータをバックシートと吸収性コアとの間に配置することによって、容量インジケータの色がバックシートの少なくとも一部を通して見えるようにすることができる。一実施形態において、吸収性コアの内に少なくとも1つの容量インジケータを配設することができる。
【0066】
着色剤
着色剤は、例えば、染料、インク、顔料、又はpHインジケータであってもよい。水活性化着色剤は、容量インジケータ中で可溶性であり得るものであり、ある特定の場合には、容量インジケータ中に、固体状態の着色剤を均質に懸濁又は分散させるのに好適であり得る。注記したように、水活性化可能な着色剤は、水又は尿と接触すると、色を変化させる。いくつかの実施形態において、容量インジケータは、水又は尿と接触したときに変色しない永久着色剤を更に含んでいてもよい。
【0067】
本発明の実施に使用できる水活性化着色剤のいくつかの代表例としては、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エリトロシンB、メチルグリーン、メチルバイオレット2D、ピクリン酸、ナフトールイエローS、キナルジンレッド、エオシンY、メタニルイエロー、m−クレゾールパープル、チモールブルー、キシレノールブルー、塩基性フクシン、エオシンB、4−p−アミノフェノール(アゾ)ベンゼンスルホン酸−ナトリウム塩、クレゾールレッド、マルチウスイエロー、フロキシンB、アシッドフロキシンB、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、メチレンブルー、コンゴレッド、メチルオレンジ、ブロモクロロフェノールブルー(水溶性又は遊離酸型)、エチルオレンジ、フルオレセイン(flourocene)WS、ブロモクレゾールグリーン、クリソイジン、メチルレッドナトリウム塩、アリザリンレッドS−H2O、コチニール、クロロフェノールレッド、ブロモクレゾールパープル、4−ナフサ、アリザリン、ニトラジンイエロー、ブロモチモールブルー、ブリリアントイエロー、ニュートラルレッド、ロゾール酸(rosalic acid)、フェノールレッド、3−ニトロフェノール、オレンジII、フェノールフタレイン、o−クレゾールフタレイン、ナイルブルーA、チモールフタレイン、アニリンブルーWS、アリザリンイエローGG、モルダントオレンジ、トロペオリン(tropaolin)O、オレンジG、酸性フクシン、チアゾールイエローG、インジゴカルミン、クレゾールレッド、メチルレッド、p−ニトロフェノール、及びアリザリンイエローRが挙げられる。特定の場合には、遊離酸型、遊離塩基型若しくは塩型の着色剤、又はこれらの混合物を使用することが有利である。
【0068】
水溶性着色剤としては、FD&C及びD&C着色剤、例えば、FD&CブルーNo.1、FD&CブルーNo.2、FD&CグリーンNo.3、FD&CレッドNo.40、FD&CレッドNo.4、FD&CイエローNo.5、FD&CイエローNo.6、C.I.フードブルー5、及びC.I.フードレッド7、D&CイエローNo.10、D&CイエローNo.7、D&CイエローNo.2、D&CイエローNo.8、D&CオレンジNo.4、D&CレッドNo.22、D&CレッドNo.28、D&CレッドNo.33、D&CグリーンNo.8、D&CグリーンNo.5、D&CブラウンNo.1、並びにこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。好ましくは、着色剤は容量インジケータ中で可溶性であるが、ある特定の事例において注目されるように、容量インジケータ中に、その固体状態の形態を均質に懸濁又は分散させることによって、着色剤を意図されたとおりに作用させることも可能であり、あるいは、着色剤の一部を部分的に可溶化させ、その残りを基質中に分散させて不溶にすることも可能である。
【0069】
追加の好適な流体着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、及び様々な溶媒可溶性着色剤などの水溶性着色剤が挙げられる。また、分散又は懸濁された顔料着色剤も、これらの容量インジケータ中に使用できる。例としては、限定するものではないが、C.I.アシッドイエロー73、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.アシッドイエロー74、C.I.ソルベントオレンジ32、C.I.ソルベントレッド42、C.I.アシッドオレンジ11、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ピグメントオレンジ39、C.I.ソルベントオレンジ18、C.I.アシッドレッド87、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントオレンジ16、C.I.アシッドレッド91、C.I.アシッドレッド98、C.I.アシッドレッド92、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ピグメントレッド174、C.I.アシッドレッド95、C.I.ソルベントレッド73、C.I.ピグメントレッド191、C.I.アシッドレッド51、C.I.フードレッド14、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ソルベントレッド140、C.I.アシッドレッド93、C.I.ソルベントレッド47、C.I.アシッドレッド94、C.I.ソルベントレッド141、C.I.モーダントバイオレット25、C.I.ソルベントオレンジ17、C.I.ソルベントレッド46、D&Cレッド27(C.I.45410:1)、D&Cオレンジ5(C.I.45370:2)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。より好ましい着色剤は、D&Cレッド27、D&Cオレンジ5、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0070】
その他の好適な着色剤としては、ブロモピロガロールレッド、ブロモキシレノールブルー、メチレンブルー、モノアゾ染料(例えば、アシッドアリザリンバイオレットN)、モノアゾピラゾリン染料(例えば、アシッドイエロー34)、ジアゾ染料(例えば、アシッドブラック24)、アントラキノン染料(例えば、アシッドブラック48)、両性アントラキノン染料(例えば、アシッドブルー45)、トリフェニルメタン染料(例えば、アシッドフクシン)、フタレイン型染料(例えば、o−クレゾールフタレイン)、キサンテン染料(例えば、2’7’ジクロロフルオレセインエオシンB)、複素環式アクリジン芳香族(例えば、アクリジンオレンジ(cridine range))、ジフェニルメタン(diphenulmethane)染料(例えば、オーラミンO)、トリフェニルメタン染料(例えば、ベーシックフクシン)、カチオン性チアジン染料(アズールC)、カチオン性アントラキノン染料(例えば、ベーシックブルー47)、フタロシアニン型染料(例えば、アストラゾンオレンジ(strazon orange)G)、アントラキノン型(例えば、アリザリン)、中性錯体染料(例えば、アズールAエオシネート)、テルペン型染料(例えば、トランス−β−カロチン)、並びに上記染料の少なくとも1つを包含する組み合わせを挙げることができる。着色剤の例としては、限定するものではないが、有機染料、無機染料、着色巨大分子、着色ナノ粒子及びナノ材料が更に挙げられる。染料の例としては、アクリジン染料、アントラキノン染料、アリールメタン染料、アゾ染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、フタロシアニン染料、キノン−イミン染料、アザイン染料、インドフェノール染料、オキサジン染料、オキサゾン染料、チアゾール染料、キサンテン染料、フルオレン染料、フルオロン染料、ローダミン染料が挙げられる。顔料の例としては、カドミウム顔料:カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムグリーン、カドミウムオレンジ、炭素顔料:カーボンブラック(バインブラック、ランプブラックを含む)、アイボリーブラック(骨炭)、クロム顔料:クロムイエロー及びクロムグリーン、コバルト顔料:コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリアンブルー、オーレオリン(コバルトイエロー)、銅顔料:アズライト、ハンパープル、ハンブルー、エジプシャンブルー、マラカイト、マラカイトグリーン、カルコシッドブルー2G、パリスグリーン、フタロシアニンブルーBN、フタロシアニングリーンG、緑青、ビリジアン、酸化鉄顔料:サンギーヌ、カプットモータム(caput mortuum)、オキサイドレッド、レッドオーカー、ベネチアンレッド、プルシャンブルー、クレイアース顔料(酸化鉄):イエローオーカー、ローシェンナ、バーントシェンナ、ローアンバー、バーントアンバー、鉛顔料:鉛白、クレムニッツホワイト、ネイプルズイエロー、鉛丹、水銀顔料:バーミリオン、チタニウム顔料:チタニウムイエロー、チタニウムベージュ、チタニウムホワイト、チタニウムブラック、ウルトラマリン顔料:ウルトラマリン、ウルトラマリングリーンシェード、亜鉛顔料:亜鉛白、亜鉛フェライトが挙げられる。その他の例としては、アリザリン、アリザリンクリムゾン、ガンボージ、コチニールレッド、ローズマダー、インジゴ、インディアンイエロー、チリアンパープル、有機キナクリドン、マゼンタ、フタログリーン、フタロブルー、ピグメントレッドが挙げられる。
【0071】
上記着色剤の多くは、尿のような水溶液と接触したときに変色しない。これらは永久着色剤と呼ばれ、乾燥した状態、又は尿のような流体との接触後に変色した状態のどちらかの状態にある容量インジケータの色相を変化させるように作用し得る。油溶性永久着色剤のいくつかの例としては、D&CイエローNo.11、D&CレッドNo.17、D&CレッドNo.21、D&CレッドNo.27、D&CバイオレットNo.2、D&CグリーンNo.6、及びD&CオレンジNo.5が挙げられる。これらの永久着色剤のいくつかは油溶性又は脂溶性であり、乾燥又は湿潤状態のいずれかにて容量インジケータの色相を変化させ得る。これらは、尿のような親水性液体中での溶解度は低いため、有利であり得る。そのため、おむつの他の構成成分内への浸出は阻害され、適切に調製されている場合は、尿のような水性液体で湿潤した後も、容量インジケータ中で結合し続ける可能性が高い。
【実施例】
【0072】
実施例1:バリア層を含む容量インジケータ。
容量インジケータは、ブロモクレゾールグリーンの湿り度インジケータホットメルト接着剤組成物を含む、水活性化可能な着色剤層を含む。バリア層は、Performathox 490(New Phase Technologies,Sugar Land,TX製)のような水溶性界面活性剤中で可溶化されるFD&Cイエロー#11を含んだワックスで構成される。物品の外部から見える初期の乾燥色は、黄色になる。バリア層は尿可溶性の黄色染料を含み、この黄色染料は湿潤した後にコアに移行する。ブロモクレゾールグリーンは、水活性化可能な着色剤層中で色を変化させるため、最終的な色は緑色になる。
【0073】
実施例2:バリア層を含む容量インジケータ。
容量インジケータは、チモールフタレインの湿り度インジケータホットメルト接着剤組成物を含む、水活性化可能な着色剤層を含む。バリア層は、Performathox 490(New Phase Technologies,Sugar Land,TX製)のような水溶性界面活性剤中にワックスを溶解したものに、ケイ酸ナトリウムのようなポロシゲンを配合して構成される。物品の外部から見える初期の乾燥色は、白色又は無色になる。水がバリア層に浸透するにつれ、水活性化可能な着色剤層中のチモールフタレインの色が変わるため、最終的な色は青色になる。
【0074】
実施例3:マスキング層と静止色層とを含む容量インジケータ。
この容量インジケータは、青い着色剤で永久的に染色されたアクリルポリマー製の水膨潤性ヒドロゲルである、多孔質静止色層を含む。この永久ヒドロゲル層を通しての尿の拡散は、この層の厚さによってだけでなくだけでなく、任意選択的な原料、例えば、界面活性剤、乳化剤、ワックス、鉱油、シリコーン、粘土のような固体粒子、及びタルクのような粉末、及び二酸化チタンのような無機顔料、又は塩化ナトリウムのようなポロシゲンの取り込みによっても制御され得る。マスキング層は、New Phase Technologies(Sugar Land,Texas)製のPerformathox 490として入手可能なポリエチレン(及び)C20〜40 Pareth−95のような極性界面活性剤中に、又はDow Chemical(Midland,Michigan)製のCarbowax 8000のような高分子量ポリエチレングリコール中に溶解した、色指数が47005である、FD&Cイエロー#10などの水可溶性染料を含む。
【0075】
乾燥状態では、厚さ及び/又は黄色着色剤の濃度が、おむつの乾燥時、並びに滲出液が滲出器から滲出する前に、おむつの外側から見て濃い色及び不透明な黄色を生成するのに十分高くなる。尿又は他の滲出液は、静止色層に浸透し、最終的にマスキング層に到達して、FD&Cイエロー#10着色剤を可溶化することにより、静止色層を通ってコアに移行する。ゆえに、FD&Cイエロー#10がマスキング層からコアに拡散された際、容量インジケータの色が、静止層の青色に変化する。
【0076】
実施例4:マスキング層及び静止色層を含む容量インジケータ。
静止色層は、着色されたポリプロピレン不織布層が含まれ、その着色剤がポリプロピレン不織布繊維内に永久にかつ均質に分散されるようになっている。任意選択的に、この不織布層を構成するポリプロピレン繊維を界面活性剤で処理することにより、コアから尿を吸収する速度を迅速化することができる。マスキング層は、以下:FD&CイエローNo.5(=CI No.19140)、FD&CイエローNo.6(=CI No.15985)、Ext D&CイエローNo.7(=CI No.10316)、D&CイエローNo.10(=CI No.47005)、及びD&CイエローNo.8(=CI No.45350)をはじめとする水溶性黄色染料のいずれか1つを含む。マスキング層及び永久的に青く染色された静止色層中の水溶性黄色染料はグリーンの初期の色を生じ、グリーンの濃淡は、各着色剤の量だけでなく相対的な色相によっても影響される。尿又は滲出液と接触した後、マスキング層の黄色がコアに移行し、容量インジケータの最終的な色が青い色に保たれる。
【0077】
本明細書に開示される寸法及び値は、正確な数値の列挙に厳密に制限されるものとして理解すべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0078】
本明細書で引用されているあらゆる文献は、あらゆる相互参照、関連特許又は関連出願を含め、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全体が参照により本明細書に援用される。いずれの文書の引用も、その文書が、本明細書で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、あるいは、その文書が、単独で、又は任意の他の参照文献との任意の組み合わせで、そのような発明のいずれかを教示、示唆、又は開示することを容認するものでもない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0079】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。