(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サーバは、前記コマンドを送信した前記中継装置から、前記コマンドを実行したとの通知を所定の期間内に受信しない場合、前記複数の中継装置の中で、前記受信強度が次に大きい中継装置に前記コマンドを送信する、
請求項1又は2に記載の作動制御システム。
コマンドに応じて対象物の作動を制御する制御装置と、前記コマンドを前記制御へ送信する複数の中継装置と、前記複数の中継装置に前記コマンドを送信するサーバとを用いて前記対象物を作動させる作動制御方法であって、
前記複数の中継装置の各々が、前記制御装置から送信される無線信号の受信強度を測定して前記サーバに通知するステップと、
前記サーバが、前記複数の中継装置の各々で測定された前記受信強度の大小を比較し、前記複数の中継装置の中で、前記受信強度が最も大きい中継装置に前記コマンドを送信するステップと、
を含む、作動制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、制御対象となる機器の管理者あるいはユーザの利便性を考えると、例えばユーザの要求があった場合に、機器の設置場所とは別の遠隔の場所から制御対象の機器を制御できることが望ましい。例えば、マンション等の鍵の開閉に関していえば、機器の設置場所にいるユーザからの携帯端末を用いた操作指示等に応じて、又は、遠隔の場所にある管理者側の装置からの操作指示等に応じて、リアルタイムに鍵の開閉を制御できれば管理者やユーザの利便性が向上する。
【0005】
このような仕組みを実現するために、操作指示に関する信号を送信する管理者側の装置と制御対象となる機器との間で信号の送受信を可能にするため、鍵の開閉を行うマンション内に複数の中継装置を設置することが考えられる。しかしながら、中継装置を設置する際には、管理者側の装置や中継装置などにアドレス等のネットワーク情報を正しく設定する等作業が必要になり、設置者に各種設定を行うためのスキルが要求される等、システムの運用が煩雑になる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、制御対象となる機器の設置場所とは別の遠隔の場所から機器の作動を自在に制御する作動制御システムにおいて、簡易な運用を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作動制御システムは、対象物を作動させるための作動制御システムであって、コマンドに応じて対象物の作動を制御する制御装置と、コマンドを制御装置へ送信する複数の中継装置と、複数の中継装置にコマンドを送信するサーバと、を含み、複数の中継装置の各々は、制御装置から送信される無線信号の受信強度を測定してサーバに通知し、サーバは、複数の中継装置の各々で測定された受信強度の大小を比較し、複数の中継装置の中で、受信強度が最も大きい中継装置にコマンドを送信する。
【0008】
上記態様において、複数の中継装置の各々は、制御装置から送信される無線信号の受信強度を周期的に測定してサーバに通知するようにしてもよい。これにより、制御装置から送信される無線信号の受信強度が変化したことをサーバに認識させることが可能になる。また、制御装置が新たに追加された場合であっても、追加された制御装置から送信される無線信号の受信強度をサーバに認識させることが可能になる。
【0009】
上記の態様において、サーバは、コマンドを送信した中継装置からコマンドを実行したとの通知を所定の期間内に受信しない場合、複数の中継装置の中で、受信強度が次に大きい中継装置にコマンドを送信するようにしてもよい。これにより、コマンドが制御装置に到達する確率を高めることができ、より確実に制御装置を操作することが可能になる。
【0010】
上記の態様において、サーバは、コマンドを送信する中継装置に権限情報を送信し、制御装置は、中継装置からコマンドと権限情報とを受信した場合にコマンドの内容に応じて対象物を作動させるようにしてもよい。これにより、制御装置に対する不正操作を防ぐことが可能となる。
【0011】
上記の態様において、複数の中継装置は、相互に無線マルチホップ通信技術を用いて通信を行い、複数の中継装置のうちいずれか1つの中継装置は、サーバとの間で移動無線通信技術を用いて通信を行い、制御装置は、複数の中継装置との間で近距離無線通信技術を用いて通信を行うようにしてもよい。これにより、中継装置が新たに設置された場合に、新たに設置された中継装置を自動的に無線マルチホップネットワーク内に組み込むことが可能になる。
【0012】
本発明の一態様に係るサーバは、コマンドに応じて対象物の作動を制御する制御装置との間で無線信号を送受信する複数の中継装置と通信するサーバであって、複数の中継装置の各々から、制御装置から送信される無線信号の受信強度を示す情報を受信する受信部と、複数の中継装置の各々で測定された受信強度の大小を比較し、複数の中継装置の中で、受信強度が最も大きい中継装置にコマンドを送信する、送信部と、を有する。
【0013】
本発明の一態様に係る作動制御方法は、コマンドに応じて対象物の作動を制御する制御装置と、コマンドを制御へ送信する複数の中継装置と、複数の中継装置にコマンドを送信するサーバとを用いて対象物を作動させる作動制御方法であって、複数の中継装置の各々が、制御装置から送信される無線信号の受信強度を測定してサーバに通知するステップと、サーバが、複数の中継装置の各々で測定された受信強度の大小を比較し、複数の中継装置の中で、受信強度が最も大きい中継装置にコマンドを送信するステップと、を含む。
【0014】
本発明の一態様に係る作動制御方法は、コマンドに応じて対象物の作動を制御する制御装置との間で無線信号を送受信する複数の中継装置と通信するサーバが実行する作動制御方法であって、複数の中継装置の各々から、制御装置から送信される無線信号の受信強度を示す情報を受信するステップと、複数の中継装置の各々で測定された受信強度の大小を比較し、複数の中継装置の中で、受信強度が最も大きい中継装置にコマンドを送信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御対象となる機器の設置場所とは別の遠隔の場所から機器の作動を自在に制御する作動制御システムにおいて、簡易な運用を可能とする技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。(なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。)
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る作動制御システムの構成例を示す図である。
図1に示す作動制御システムは、住居やオフィスなどの各ドアに設置された鍵や自動ドア(対象物)の開閉を遠隔操作によって行わせるためのシステムである。この作動制御システムは、鍵やドア(対象物)の開閉を行うための開閉装置100a、100bと、開閉装置100a、100bへ動作指示を行う中継装置200、210a、210b、210c、210dと、サーバ300と、サーバ300に接続された情報処理装置310と、ユーザが所持するスマートフォン等の携帯端末320を有する。以下の説明において、開閉装置100a、100bを区別しない場合、「開閉装置100」と記載する。中継装置210a、210b、210c、210dを区別しない場合、「中継装置210」と記載する。なお、
図1には、開閉装置100が2台図示されているが、開閉装置100は1台であってもよいし3台以上であってもよい。また、中継装置200は1台、中継装置210は4台図示されているが、中継装置200は2台以上であってもよいし、中継装置210は1〜3台であってもよいし5台以上であってもよい。
【0018】
開閉装置100は、鍵や自動ドア(対象物)の開閉を行う装置である。
図2及び
図3に、本実施形態に係る開閉装置100の一例を示す。
【0019】
図2に示す開閉装置100は、例えば、ドアのサムターン400に対応付けて設置され、このサムターン400を回転させる機構を備えている。ここで、サムターン400とは、例えば板状の摘み部を有しており、この摘み部を回転させることによってドア内部に内蔵された錠前を作動させるためのものである。例えば、サムターン400の摘み部がほぼ垂直に位置する状態が「解錠」に対応し、摘み部がほぼ水平に位置する状態が「施錠」に対応している。開閉装置100は、このようなサムターン400を自動的に回転させる。なお、このような開閉装置100の具体的な構成としては、種々の公知技術(例えば、特開2002−168014号公報参照)を用いることができる。この開閉装置100は、例えば磁石によりドア410に着脱自在である。開閉装置100は、例えばサムターン400とその周囲を覆う筐体160を備えている。また、開閉装置100は、サムターン開閉機構として、サムターン400を回転させるサムターン回転部170と、駆動源の動力によりサムターン回転部170を回転させる回転駆動機構と、手動によりサムターン回転部170を回転させる手動回転部172と、電源部等を筐体160内に備えている。
【0020】
図3に示す開閉装置100は、自動ドアが備えるセンサ500から送信される赤外線又はマイクロ波を遮ることで、自動ドアに対し人が近づいたと認識させ、自動ドアの開閉を制御する装置である。この開閉装置100は、端部が開閉装置100の筐体に取り付けられ、端部を中心に回転する楕円形状の部材101を備える。この開閉装置100は、自動ドアのセンサの近傍に設置され、部材101を、例えば
図3(a)に示す状態から
図3(b)に示す状態に回転させることで、センサ500から送信される赤外線又はマイクロ波を遮ることができる。
【0021】
開閉装置100は、中継装置200及び中継装置210との間で、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信を行う機能を有しており、中継装置200又は中継装置210から近距離無線通信を用いて送信されるコマンドを受信し、受信したコマンドに従って鍵や自動ドアの開閉を行う。各開閉装置100には、本作動制御システム内で開閉装置100を一意に識別可能な開閉装置識別子が割り当てられている。
【0022】
中継装置200及び中継装置210は、920MHz帯等を用いた無線マルチホップ通信を用いて無線マルチホップネットワークN2を構築している。中継装置200はWAN(Wide Area Network)回線である通信ネットワークN1を用いて通信を行う機能を備えており、サーバ300と直接通信するゲートウェイとしての役割を有している。ゲートウェイとしての役割以外については、中継装置200及び中継装置210は同一の機能を備えている。
【0023】
中継装置200及び中継装置210は、各開閉装置100から周期的に送信されるビーコンの受信電力を測定し、測定結果をサーバ300に通知する機能を有する。中継装置200及び中継装置210は、無線マルチホップ通信により、任意の中継装置から任意の中継装置に対してバケツリレーのように情報を伝えることができる。また、新たな中継装置210が設置された場合、当該中継装置210はリクエスト信号をブロードキャストすることでネットワークへの参入を要求し、既設の中継装置200及び中継装置210の間で経路情報が更新されて新たな中継装置210が自動的に無線マルチホップネットワークN2内に組み込まれる。無線マルチホップ通信技術には様々な方式が存在するが、本実施形態においては、どのような無線マルチホップ通信技術が適用されてもよい。中継装置200及び中継装置210には、本作動制御システム内で中継装置200及び中継装置210を一意に識別可能な中継装置識別子が割り当てられている。
【0024】
サーバ300は、情報処理装置310又は携帯端末320を介したユーザの指示に基づき、鍵や自動ドアの開閉を遠隔で行うコマンドを送信する機能、あるいは鍵や自動ドアの開閉に関する権限を管理する等の処理を行う機能を有する。具体的には、サーバ300は、中継装置200及び中継装置210から通知された各開閉装置100から周期的に送信されるビーコンの受信電力に基づいて、鍵や自動ドアの開閉を行うためのコマンドを送信するのに適切な中継装置200又は中継装置210を判定し、当該中継装置200又は中継装置210に向けてコマンドを送信する。このサーバ300は、例えば演算処理能力の高いコンピュータによって構成され、そのコンピュータにおいて所定のサーバ用プログラムを実行することによって構成される。
【0025】
情報処理装置310は、各種情報を受信してその内容を表示することや、操作部を用いて入力される情報をサーバへ送信するためのものである。このような情報処理装置310としては、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ、あるいはスマートフォンやタブレット型コンピュータなどの携帯型端末などを用いることができる。また、情報処理装置310は、サーバ300における動作に必要な各種情報を設定するために用いられる。情報処理装置310とサーバ300との間は、直接的に接続されてもよいし、ローカルエリアネットワーク等を介して接続されてもよいし、インターネット等の外部通信ネットワークを介して接続されてもよい。
【0026】
携帯端末320は、ユーザが所持するものであり、通信回線を介して通信を行う機能を備えている。携帯端末320としては、スマートフォン、携帯電話機、PHS、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器など、通信機能を備えたあらゆる端末を用いることができる。この携帯端末320は、通信ネットワークN1を介してサーバ300と相互に情報通信可能に接続されている。
【0027】
通信ネットワークN1は、中継装置200、携帯端末320及びサーバ300の間で相互に情報通信を行うことが可能な通信網を含んで構成されている。本実施形態において、通信ネットワークN1には、移動無線通信(3G、LTE(Long Term Evolution)等)、無線LAN、インターネット、専用線、電話回線、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0028】
<機能ブロック構成>
(開閉装置)
図4は、本実施形態に係る開閉装置100の機能ブロック構成の一例を示す図である。開閉装置100は、近距離通信部11と、認証処理部12と、開閉制御部13とを有する。これらの各機能部は、開閉装置100のメモリに記憶されたプログラムが、CPUに実行させる処理により実現され得る。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。
【0029】
近距離通信部11は、近距離無線通信を行う機能を有し、中継装置200から送信されるコマンドを受信する処理を行う。また、近距離通信部11は、周期的に、開閉装置100自身の開閉装置識別子を含むビーコンを送信する。
【0030】
認証処理部12は、中継装置200又は中継装置210からコマンドを受信した場合に、受信したコマンドが不正に送信されたものではないことを確認する処理(認証処理)を行う。この認証処理は、予め開閉装置100のメモリに格納された権限情報と、中継装置200又は中継装置210から受信した権限情報とを突合することで行われる。
【0031】
開閉制御部13は、受信したコマンド(命令)に基づいて、鍵や自動ドアを開閉する。具体的には、
図2に示す開閉装置100である場合、開閉装置100は、サムターン開閉機構に動作指示命令を与える。また、開閉制御部13は、サムターン開閉機構に対して「解錠」の動作指示命令を与えた後に一定時間が経過した場合には、サムターン開閉機構に「施錠」の動作指示命令を与える。
図3に示す開閉装置100である場合、開閉装置100は、部材101を回転させる回転機構に動作指示命令を与えることで部材101を回転させ、自動ドアの開閉を行う。
【0032】
(中継装置)
図5は、本実施形態に係る中継装置200の機能ブロック構成の一例を示す図である。中継装置200は、近距離通信部21と、マルチホップ通信部22と、WAN通信部23と、測定部24と、コマンド処理部25とを有する。これらの各機能部は、中継装置200のメモリに記憶されたプログラムが、CPUに実行させる処理により実現され得る。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。
【0033】
近距離通信部21は、近距離無線通信を行う機能を有し、開閉装置100に向けてコマンドを送信する処理を行う。また、近距離通信部11は、開閉装置100から周期的に送信されるビーコンを受信する処理を行う。
【0034】
マルチホップ通信部22は、無線マルチホップ通信に関する各種の動作を行う機能を有し、中継装置210との間で無線マルチホップネットワークN2を構築する。
【0035】
WAN通信部23は、3G、LTE等の移動無線通信を行う機能を有し、通信ネットワークN1を介してサーバ300との間で相互に通信を行う。なお、WAN通信部23は、移動無線通信に代えて、無線LANを用いてもよいし、有線通信(インターネット、専用線、電話回線等)を用いることとしてもよい。
【0036】
近距離通信部21及びマルチホップ通信部22は、それぞれ、近距離通信部21で受信した情報をマルチホップ通信部22から送信する機能、及び、マルチホップ通信部22で受信した情報を近距離通信部21から送信する機能を有している。また、マルチホップ通信部22及びWAN通信部23は、それぞれ、マルチホップ通信部22で受信した情報をWAN通信部23から送信する機能、及び、WAN通信部23で受信した情報をマルチホップ通信部22から送信する機能を有している。
【0037】
測定部24は、近距離通信部11で受信された、開閉装置100から周期的に送信されるビーコンの受信強度(受信電力)を測定する。また、測定部24は、測定結果を示す測定結果報告メッセージをサーバ300に送信する。測定結果報告メッセージには、受信電力を示す値と、測定したビーコンに含まれる開閉装置識別子と、中継装置200自身の中継装置識別子とが含まれる。
【0038】
コマンド処理部25は、開閉装置100に対して鍵や自動ドアを開閉するためのコマンドを送信する処理を行う。また、コマンド処理部25は、コマンドを送信する際に、サーバ300から取得した権限情報を開閉装置100に送信する処理を行う。
【0039】
図6は、本実施形態に係る中継装置210の機能ブロック構成の一例を示す図である。中継装置210の機能ブロック構成は、中継装置200からWAN通信部23を除いたものであり、その他の機能ブロックについては中継装置200と同一であることから説明は省略する。
【0040】
(サーバ)
図7は、本実施形態に係るサーバ300の機能ブロック構成の一例を示す図である。サーバ300は、通信部31と、受信強度管理部32と、ユーザ認証処理部33と、権限情報処理部34と、コマンド送信部35と、記憶部36とを有する。これらの各機能部は、サーバ300のメモリに記憶されたプログラムが、CPUに実行させる処理により実現され得る。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。
【0041】
通信部31は、通信ネットワークN1を介して、中継装置200及び携帯端末320の間で相互に通信する機能を有する。
【0042】
受信強度管理部32は、中継装置200及び中継装置210から受信した、測定結果報告メッセージから必要な情報を取り出して、記憶部36に格納されている受信強度情報DBに格納する。
【0043】
ユーザ認証処理部33は、携帯端末320から送信される要求に応じて、その携帯端末320のユーザが登録されたユーザであるかを確認する処理である認証処理を行う。例えば、ユーザ認証処理部33は、携帯端末320から送信されるユーザIDとパスワードが予め登録されてメモリに記憶されているものと一致する場合に、その携帯端末320のユーザが予め登録されたユーザのものであると認証する。
【0044】
権限情報処理部34は、鍵や自動ドアの開閉が要求されている開閉装置100に対応付けられている権限情報を権限情報DBから取得し、コマンド送信部35に渡す。
【0045】
コマンド送信部35は、鍵や自動ドアの開閉が要求されている開閉装置100に向けてコマンドを送信可能な中継装置200又は中継装置210に、コマンドを送信する機能を有する。コマンドの例として、開閉を所望するドアの選択及び所望の操作内容(解錠、施錠、自動ドアの開放等)が挙げられるが、これに限定する趣旨ではない。コマンド送信部35は、受信強度情報DBを参照し、複数の中継装置(200、210)のうち、鍵や自動ドアの開閉が要求されている開閉装置100から送信されるビーコンの受信強度が最も大きい中継装置200又は中継装置210を選択し、選択した中継装置200又は中継装置210にコマンドを送信する。
【0046】
また、コマンド送信部35は、コマンドの送信と同時に、又は、コマンド送信先の中継装置200又は中継装置210からの要求を受けて、コマンド送信先の中継装置200又は中継装置210に権限情報を送信する。
【0047】
図8は、受信強度情報DBの一例を示す図である。
図8に示すように、受信強度情報DBには、各中継装置(200、210)の中継装置識別子と、各開閉装置100の開閉装置識別子と、各中継装置(200、210)から報告された、開閉装置100ごとの受信強度が格納されている。なお、
図8において、例えば「200」は、中継装置200の中継装置識別子を意味している。同様に、「100a」は、開閉装置100aの開閉装置識別子を意味している。以下に示す
図9についても同様である。また、「‐」は、受信強度が報告されていないことを意味している。
【0048】
図9は、権限情報DBの一例を示す図である。
図9に示すように、権限情報DBには、開閉装置識別子と、権限情報とが対応づけられて格納されている。
図9に示すように、権限情報は、例えば、鍵利用IDとパスワードを含んで構成される。鍵利用IDは、開閉装置100に予め設定された鍵利用者の識別情報である。開閉装置100は、この鍵利用IDと対応するパスワードが送信された場合に、受信したコマンドが不正に送信されたものではない(すなわち、鍵や自動ドアの開閉を行う権限を有しない第3者が、不正に設置した機器等を用いて送信したコマンドではない)と判断する。
【0049】
<処理手順>
図10は、受信強度の報告が行われる際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0050】
ステップS101において、開閉装置100a、100bは、近距離無線通信におけるビーコンを周期的に送信する。
【0051】
ステップS102において、中継装置210a〜210dの測定部24は、開閉装置100a、100bから送信されるビーコンの受信強度を測定する。
【0052】
ステップS103において、中継装置210a〜210dの測定部24は、測定した受信電力を示す値と、測定したビーコンに含まれる開閉装置識別子と、中継装置210自身の中継装置識別子とを含む測定結果報告メッセージを中継装置200に送信する。
【0053】
ステップS104において、中継装置200の測定部24は、開閉装置100a、100bから送信されるビーコンの受信強度を測定する。
【0054】
ステップS105において、中継装置200は、中継装置210a〜210dから受信した測定結果報告メッセージを、サーバ300に送信する。また、中継装置200自身が測定した受信電力を示す値と、測定したビーコンに含まれていた開閉装置識別子と、中継装置200自身の中継装置識別子とを含む測定結果を含む測定結果報告メッセージを、サーバ300に送信する。なお、中継装置200は、中継装置210a〜210dから受信した測定結果報告メッセージと、中継装置200自身が測定した受信強度の測定結果を含む測定結果報告メッセージとをまとめてサーバ300に送信するようにしてもよいし、中継装置210a〜210dから測定結果報告メッセージを受信したタイミングで個別にサーバ300に送信するようにしてもよい。
【0055】
なお、ステップS102及びステップS104において、中継装置200及び中継装置210a〜210dの測定部24は、ビーコンの受信を検出できなかった場合、測定結果を含む測定結果報告メッセージを送信しなくてもよい。
【0056】
ステップS106において、サーバ300の受信強度管理部32は、中継装置200から受信した測定結果報告メッセージを受信強度情報DBに格納する。
【0057】
以上説明したシーケンスにおいて、中継装置210が新たに設置された場合、新たに設置された中継装置210も、
図10に示す処理手順に従ってビーコンの受信電力を測定し、測定結果報告メッセージを中継装置200に送信する。これにより、サーバ300の受信強度情報DBには、新たに設置された中継装置210の測定結果が追加されることになる。
【0058】
また、中継装置200及び中継装置210は、周期的に受信強度の測定(S102、S104)を行い、測定結果をサーバ300に送信する(S103、S105)。これにより、開閉装置100が新たに設置された場合、新たに設置された開閉装置100を含めたビーコンの測定が中継装置200及び中継装置210で行われることになり、新たに設置された開閉装置100に対する測定結果がサーバ300の受信強度情報DBに追加されることになる。また、開閉装置100と中継装置200及び中継装置210との間の電波の伝搬状況が変化した場合であっても、受信強度情報DBが最新の測定結果に更新されることになる。
【0059】
図11は、開閉動作が行われる際の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0060】
ステップS201において、サーバ300のユーザ認証処理部33は、携帯端末320から送信されるアクセス要求に応じて、その携帯端末320のユーザが登録されたユーザであるかを確認する処理である認証処理を行う。登録されたユーザである場合、権限情報処理部34は、ユーザ認証処理部33によって認証されたユーザに、そのユーザが開閉する権限を有する1以上のドア(自動ドアを含む)を抽出し、解錠、施錠、自動ドアの開放等の操作内容を示す操作画像を表示するためのデータを携帯端末320へ送信する。また、携帯端末320は、ユーザが開閉を所望するドアの選択及び所望の操作内容(解錠、施錠、自動ドアの開放等)をユーザから受け付け、ユーザにより選択されたドア及び所望の操作内容を示す情報をサーバ300に送信する。
【0061】
なお、ユーザにより選択されたドア及び所望の操作内容を示す情報は、携帯端末320からサーバ300に送信されるのではなく、例えばユーザからの電話連絡等による操作指示に応じて管理者側のオペレータが情報処理装置310を用いてサーバ300に送信することとしてもよい。また、サーバ300へのユーザ登録は、例えば管理者側のオペレータが情報処理装置310を用いて、サーバ300の所定のデータベース(以下、「認証DB」という。)に対象ユーザの電話番号、若しくはユーザID及びパスワード等を設定することで実現できる。サーバ300は、携帯端末320のからアクセス要求があった場合、アクセス要求に含まれる電話番号、若しくはユーザID及びパスワード等が、認証DBに登録されているいずれかの電話番号、若しくはユーザID及びパスワード等と一致するか確認することで認証処理を行う。
【0062】
ステップS202において、サーバ300のコマンド送信部35は、コマンドを送信すべき中継装置(200、210)を選択する。具体的には、コマンド送信部35は、中継装置(200、210)のうち、ユーザにより選択されたドアに設置されている開閉装置100から送信されたビーコンの受信電力が最も大きい中継装置(200、210)を選択する。具体例として、受信強度情報DBに
図8に示す情報が格納されていると仮定する。開閉装置100aに解錠/施錠等を指示する場合、コマンド送信先として、開閉装置100aから送信されたビーコンの受信電力が最も大きい「−50dBm」である中継装置210aが選択される。同様に、開閉装置100bの開閉を行う場合、コマンド送信先として、開閉装置100bから送信されたビーコンの受信電力が最も大きい「−50dBm」である中継装置210cが選択される。
【0063】
次に、権限情報処理部34は、ユーザにより選択されたドアに設置されている開閉装置100に対応する権限情報を、権限情報DBから取得する。
【0064】
ステップS203において、コマンド送信部35は、ステップS202で選択された中継装置(200、210)に、ユーザにより選択された所望の操作内容を示すコマンドと、権限情報とを含むメッセージを中継装置200に送信する。このとき、サーバ300は、コマンド及び権限情報を含むメッセージのヘッダ部等に、ステップS202で選択された中継装置(200、210)に対応する中継装置識別子を含めて送信する。なお、サーバ300は、権限情報を、ステップS202で選択された中継装置(200、210)からの要求を受けてから送信することとしてもよい。
【0065】
ステップS204において、中継装置200のマルチホップ通信部22は、受信したメッセージを、メッセージに含まれる中継装置識別子に対応する中継装置210に向けて送信する。当該メッセージは、無線マルチホップ通信により、該当する中継装置210にリレーされる。なお、メッセージに含まれる中継装置識別子が中継装置200自身の識別子である場合、中継装置200の近距離通信部21は、開閉装置100に向けてコマンド及び権限情報を送信する。
【0066】
ステップS205において、中継装置210のコマンド処理部25は、受信したメッセージに含まれるコマンド及び権限情報を、近距離通信部21を介して開閉装置100に向けて送信する。開閉装置100の近距離通信部11は、中継装置210から送信されたコマンド及び権限情報を受信する。
【0067】
ステップS206において、開閉装置100の開閉制御部13は、認証処理部12にて、受信したコマンドが不正に送信されたものではないと判断された場合に、受信したコマンド(解錠、施錠、自動ドアの開放等)に基づき、鍵の解錠又は施錠若しくは自動ドアの開放等を行う。
【0068】
ステップS207において、開閉制御部13は、コマンドの実行を完了したことを示すコマンド完了応答メッセージを、近距離通信部11を介して送信する。ステップS208及びステップS209において、当該コマンド完了応答メッセージは、中継装置210及び中継装置200を介してサーバ300に送信される。
【0069】
サーバ300のコマンド送信部35は、所定の期間内にコマンド完了応答を受信できない場合、開閉装置100がコマンドを受信することができなかった(すなわちコマンドが実行されなかった)と推定し、受信強度情報DBにおいて次に受信電力が大きい中継装置(200、210)を選択し、ステップS202及びステップS203の処理手順を再度実行する処理を繰り返してもよい。これにより、例えば開閉装置100aを制御する場合、サーバ300は、最初に、受信電力が最も大きい中継装置210aにコマンドを送信し、コマンド完了応答を受信しない場合、次に受信電力が大きい中継装置210bにコマンドを送信し、それでもコマンド完了応答を受信しない場合、次に受信電力が大きい中継装置210c又は中継装置210dにコマンドを送信するといった動作を行うことができる。これにより、何らかの要因で、開閉装置100にコマンドが到達しない場合であっても、他の中継装置(200、210)からコマンドが送信されることになるため、より確実に開閉装置100を操作することが可能になる。
【0070】
以上、本実施形態に係る作動制御システムについて説明した。本作動制御システムでは、各中継装置(200、210)で開閉装置100から送信されるビーコンの受信電力を定期的に測定し、測定結果をサーバ300に報告するようにした。また、サーバ300は、開閉装置100を操作する際、操作対象となる開閉装置100との間の通信環境が良好な中継装置(200、210)にコマンドを送信するようにした。また、中継装置(200、210)間の通信に無線マルチホップ通信を採用した。
【0071】
これにより、新たな中継装置210が設置された場合、当該中継装置210は自動的に無線マルチホップネットワークN2内に組み込まれ、ビーコンの受信電力の測定を開始してサーバ300に報告することになる。従って、サーバ300は、新たな中継装置210が追加されたことを自動的に認識することができ、開閉装置100を操作する際に、新たな中継装置210を含めてコマンド送信先の選択を行うことが可能になる。すなわち、中継装置210を新たに設置する際に、作動制御システム内の各装置にアドレス情報の追加等の作業を行うことなく、中継装置210を追加することが可能になる。
【0072】
また、新たな開閉装置100が設置された場合も、各中継装置(200、210)は、新たな開閉装置100から送信されるビーコンの受信電力の測定を開始してサーバ300に報告することになる。これにより、サーバ300は、新たな開閉装置100が設置されたことを自動的に認識することができ、当該新たな開閉装置100を操作対象に含めることが可能になる。
【0073】
また、開閉装置100は、単にコマンドを受信するだけでなく、開閉装置100に対応する権限情報を受信した場合にはじめて、当該コマンドに従って開閉制御を行う。よって、例えば悪意あるユーザがコマンドを不正に把握し、自身の携帯端末等からコマンドを開閉装置100に送信したとしても、開閉装置100は、権限なきユーザからの指示と判断し、当該コマンドは実行されない。このように、権限なきユーザによる不正操作を未然に防ぐことが可能となる。
【0074】
以上、本実施形態では、開閉装置100を用いて作動させる対象物としてドアの鍵(サムターン)及び自動ドアを例示していたが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。また、サムターンのように物理的な動作部分が伴う対象物に限らず電気的な動作部分のみを伴う対象物であっても本発明の適用範囲に含まれる。具体的には、例えば照明装置の点消灯、テレビジョン装置の制御(例えば電源のオンオフ切り替え等)、エアコン装置の電源のオンオフ切り替え、防火・防犯システムの作動制御、カーテンの自動開閉制御など種々の適用例が考えられる。
【0075】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本実施形態で説明したシーケンスは、処理が矛盾しない限り任意に順序を入れ替えることが可能である。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【解決手段】対象物を作動させるための作動制御システムであって、コマンドに応じて対象物の作動を制御する制御装置と、コマンドを制御装置へ送信する複数の中継装置200と、複数の中継装置にコマンドを送信するサーバ300と、を含む。複数の中継装置の各々は、制御装置から送信される無線信号の受信強度を測定してサーバに通知する。サーバは、複数の中継装置の各々で測定された受信強度の大小を比較し、複数の中継装置の中で、受信強度が最も大きい中継装置にコマンドを送信する。