特許第6290470号(P6290470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6290470
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】搬送物の位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/88 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   B65G47/88 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-23534(P2017-23534)
(22)【出願日】2017年2月10日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 優馬
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−050626(JP,U)
【文献】 実開平07−008320(JP,U)
【文献】 特開2002−274640(JP,A)
【文献】 特開2000−001213(JP,A)
【文献】 特開平05−031545(JP,A)
【文献】 実開昭63−126327(JP,U)
【文献】 特開2010−001144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/88
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を所定位置に載置する際の位置決めを行う搬送物の位置決め装置において、
回動可能に軸支され、前記搬送物に設けられた係合穴に係合することにより前記搬送物の位置決めを行う位置決め部材と、
前記位置決め部材に設けられた連結ピンが移動可能に係合される長穴が形成されたリンク部材と、
前記リンク部材に連結される伸縮ロッドを備え、前記伸縮ロッドを伸縮させて前記リンク部材を介し前記位置決め部材を回動させることにより、前記位置決め部材を床面から表出させる表出状態と床下に格納する格納状態とを切り替えるシリンダと、
前記リンク部材の下面をスライド可能に支持する支持台と、
前記位置決め部材に設けられ、前記位置決め部材の前記表出状態時に、前記リンク部材の上面に接触して、前記支持台及び前記リンク部材とともに、前記位置決め部材に作用する前記搬送物の荷重を受ける荷重受け部材とを有する
ことを特徴とする搬送物の位置決め装置。
【請求項2】
請求項1に記載する搬送物の位置決め装置において、
前記位置決め部材は、前記表出状態時に前記搬送物の位置決めを行うための傾斜面と、前記格納状態時に床面と同一面に位置する平坦面とを備えている
ことを特徴とする搬送物の位置決め装置。
【請求項3】
搬送物を所定位置に載置する際の位置決めを行う搬送物の位置決め装置において、
前記搬送物に設けられた係合穴に係合することにより前記搬送物の位置決めを行う位置決め部材と、
前記位置決め部材と蓋部材とが固定された回転軸と、
装置本体に固定され、前記回転軸の両端部を回転可能に支持する軸受と、
前記回転軸に固定されたピニオンと、
前記ピニオンに噛み合うラックと、
前記ラックに連結する伸縮ロッドを備え、前記伸縮ロッドを伸縮させ、前記ラックを移動させて前記ピニオンを介し前記回転軸を回転させることにより、前記位置決め部材を床面から表出させる表出状態と、前記位置決め部材を床下に格納するとともに前記蓋部材を床面と面一に配置する格納状態とを切り替えるシリンダとを有する
ことを特徴とする搬送物の位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を所定位置に載置するための搬送物の位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナなどの搬送物を所定位置に載置するために、従来から突起やコーンなどの位置決め部材が利用されている。このような位置決め部材は、搬送物を載置する位置に床面上に配置されている。そして、吊り上げた搬送物を下降させていき、搬送物に設けられた係合穴を床面に配置された位置決め部材に係合させて搬送物を床面に載置することにより、搬送物を所定位置に位置決めして載置するようにしている。
【0003】
ここで、位置決め部材は、常時、床面上に表出しているため、床面上を移動する車両の走行に支障をきたしたり、作業員が位置決め部材につまずいてしまうおそれがあった。そのため、例えば、特許文献1に記載されている揺動ストッパのような機構を用いて、位置決め時に必要となる場合にのみ、位置決め部材を回動させて床面上に表出させる位置決め装置を構成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−1213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような位置決め装置では、搬送物を位置決めする際に、搬送物の重量が位置決め部材に下向きに作用するため位置決め部材が動いてしまい、精度良く位置決めすることができないおそれがある。また、搬送物が数トンの重量物である場合には、精度良く位置決めすることができないばかりでなく、位置決め装置自体が破損するおそれもある。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、位置決め時に必要となる場合にのみ、位置決め部材を床面上に表出させることができ、所定位置に搬送物を精度良く載置することができる搬送物の位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一形態は、搬送物を所定位置に載置する際の位置決めを行う搬送物の位置決め装置において、回動可能に軸支され、前記搬送物に設けられた係合穴に係合することにより前記搬送物の位置決めを行う位置決め部材と、前記位置決め部材に設けられた連結ピンが移動可能に係合される長穴が形成されたリンク部材と、前記リンク部材に連結される伸縮ロッドを備え、前記伸縮ロッドを伸縮させて前記リンク部材を介し前記位置決め部材を回動させることにより、前記位置決め部材を床面から表出させる表出状態と床下に格納する格納状態とを切り替えるシリンダと、前記リンク部材の下面をスライド可能に支持する支持台と、前記位置決め部材に設けられ、前記位置決め部材の前記表出状態時に、前記リンク部材の上面に接触して、前記支持台及び前記リンク部材とともに、前記位置決め部材に作用する前記搬送物の荷重を受ける荷重受け部材とを有することを特徴とする。
【0008】
この搬送物の位置決め装置では、シリンダを駆動することにより、伸縮ロッドが伸縮し、伸縮ロッドの伸縮に伴って伸縮ロッドに連結されたリンク部材がスライドする。このリンク部材のスライドにより、位置決め部材が回動させられる。すなわち、伸縮ロッドを伸ばしていくと、位置決め部材は、リンク部材により押し上げられるように回動して床面から表出させられる。一方、伸縮ロッドを縮めていくと、位置決め部材は、リンク部材により下方へ引き込まれるように回動して床下に格納される。従って、搬送物の位置決めを行う場合だけ、位置決め部材を床面上に表出させることができる。
【0009】
そして、表出状態時には、位置決め部材は、荷重受け部材を介して支持台上に位置するリンク部材に支持されている。そのため、搬送物の位置決めを行う際に、搬送物の荷重が位置決め部材に作用すると、その荷重は支持台及びリンク部材とともに荷重受け部材によって受けられる。従って、搬送物の荷重が位置決め部材に作用した際に、位置決め部材が動くことなく精度良く搬送物の位置決めを行うことができる。また、搬送物の荷重により位置決め装置が破損することもない。
【0010】
上記の搬送物の位置決め装置において、前記位置決め部材は、前記表出状態時に前記搬送物の位置決めを行うための傾斜面と、前記格納状態時に床面と同一面に位置する平坦面とを備えていることが望ましい。
【0011】
このようにすることにより、傾斜面により搬送物の位置決めをスムーズかつ精度良く行うことができるとともに、格納状態時には、平坦面により床面と段差無く位置決め部材を床下に格納することができる。そのため、床面上を移動する車両の走行や作業者の通行に支障をきたすことがない。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別形態は、搬送物を所定位置に載置する際の位置決めを行う搬送物の位置決め装置において、前記搬送物に設けられた係合穴に係合することにより前記搬送物の位置決めを行う位置決め部材と、前記位置決め部材と蓋部材とが固定された回転軸と、装置本体に固定され、前記回転軸の両端部を回転可能に支持する軸受と、前記回転軸に固定されたピニオンと、前記ピニオンに噛み合うラックと、前記ラックに連結する伸縮ロッドを備え、前記伸縮ロッドを伸縮させ、前記ラックを移動させて前記ピニオンを介し前記回転軸を回転させることにより、前記位置決め部材を床面から表出させる表出状態と、前記位置決め部材を床下に格納するとともに前記蓋部材を床面と面一に配置する格納状態とを切り替えるシリンダとを有することを特徴とする。
【0013】
この搬送物の位置決め装置では、シリンダを駆動することにより、伸縮ロッドが伸縮し、伸縮ロッドの伸縮に伴って伸縮ロッドに連結されたラックがスライドする。このラックのスライドにより、ラックに噛み合うピニオンが回転して回転軸が回転させられる。このようにして、回転軸を回転させることにより、回転軸に固定されている位置決め部材を、床面上に表出させる、あるいは床下に格納することができる。そのため、搬送物の位置決めを行う場合だけ、位置決め部材を床面上に表出させることができる。
【0014】
そして、搬送物の位置決めを行う際に、搬送物の荷重が位置決め部材に作用すると、その荷重は回転軸を介して回転軸の両端部で軸受によって受けられる。この軸受は、装置本体に固定されている。そのため、搬送物の荷重が位置決め部材に作用した際に、位置決め部材が動くことなく精度良く搬送物の位置決めを行うことができる。また、搬送物の荷重により位置決め装置が破損することもない。
【0015】
さらに、位置決め部材を床下に格納する格納状態時には、蓋部材が床面と面一に配置される。そのため、床面上を移動する車両の走行や作業者の通行に支障をきたすことがない。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る搬送物の位置決め装置によれば、位置決め時に必要となる場合にのみ、位置決め部材を床面上に表出させることができ、所定位置に搬送物を精度良く載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の位置決め装置の正面図である。
図2】第1実施形態の位置決め装置の平面図である。
図3】第1実施形態の位置決め装置の格納状態を示す図である。
図4】第2実施形態の位置決め装置の全体構成を示す平面図である。
図5】第2実施形態の位置決め装置の正面図である。
図6】第2実施形態の位置決め装置の側面図である。
図7】第2実施形態の位置決め装置の格納状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る搬送物の位置決め装置の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態に係る位置決め装置1は、図1及び図2に示すように、位置決め部材10と、リンク部材20と、シリンダ30と、支持台35とを備えている。なお、位置決め装置1は、搬送物の対角線上に2つ、あるいは搬送物の隅にそれぞれ配置されるのが一般的であるが、特に配置位置が限定されることはない。
【0019】
位置決め部材10は、表出状態時に搬送物の位置決めを行うための傾斜面10aと、格納状態時に床面Fと同一面に位置する平坦面10bとを備える半円錐形状をなす部材である。なお、図1及び図2には、位置決め部材10近傍の床面Fだけを記載している。この位置決め部材10に、吊り上げられた搬送物に設けられた係合穴(不図示)を係合させることにより、傾斜面10aに沿って搬送物の位置が調整されていき、搬送物が所定位置に載置されるようになっている。
【0020】
このような位置決め部材10は、軸11に中心にして回動可能に軸支されている。これにより、位置決め部材10を回動させることにより、床面から表出させる表出状態と床下に格納する格納状態とを切り替えることができるようになっている。
【0021】
そして、位置決め部材10には、表出状態時に、リンク部材20の上面20aに接触して、支持台35及びリンク部材20とともに、位置決め部材10に作用する搬送物の荷重を受ける荷重受け部材13が設けられている。この荷重受け部材13は、位置決め部材の半円錐の底部に設けられた半円形状の部材であり、リンク部材20に接触している。具体的に、表出状態時には、荷重受け部材13はリンク部材20の上面20aに接触しており、格納状態時には、荷重受け部材13はリンク部材20の先端部20bに接触している。
【0022】
リンク部材20は、先端部20bが円弧状の略直方体形状をなす部材であり、下面20cが支持台35上をスライドするように配置されている。リンク部材20の後端部20dにシリンダ30の伸縮ロッド31が連結されている。これにより、リンク部材20は、伸縮ロッド31の伸縮動作にしたがって前後(図1の左右方向)にスライドするようになっている。
【0023】
このリンク部材20には、位置決め部材10に設けられた連結ピン12が移動可能に係合される長穴21が形成されている。この長穴21は、リンク部材20のスライド方向(伸縮ロッド31の伸縮方向)に沿って設けられている。この長穴21に連結ピン12が係合されることにより、リンク部材20と位置決め部材10とが連結されている。
【0024】
シリンダ30は、伸縮ロッド31を備えており、その伸縮ロッド31を介してリンク部材20に連結されている。これにより、シリンダ30を駆動して伸縮ロッド31を伸縮させると、リンク部材20が前後にスライドするようになっている。なお、シリンダ30は、ブラケット32を介して装置本体(筐体)に固定されている。
【0025】
次に、上記の構成を有する位置決め装置1の動作について、図1及び図3を参照しながら説明する。まず、位置決め部材10を床下に格納した格納状態について説明する。格納状態では、図3に示すように、シリンダ30の伸縮ロッド31が縮められており、リンク部材20が最もシリンダ30側に位置している。このとき、位置決め部材10に設けられた荷重受け部材13が、リンク部材20の先端部20bに接触している。そして、位置決め部材10は、平坦面10bが床面と同一面に位置するように床下に格納されている。
【0026】
このような格納状態から表出状態にする場合には、シリンダ30を駆動して伸縮ロッド31を伸ばす。これにより、リンク部材20が前方(シリンダ30から離れる方向)へスライドする。このリンク部材20の移動に伴って、位置決め部材10が軸11を中心にして押し上げられるように回動する。すなわち、リンク部材20が、先端部20bの円弧に沿って位置決め部材10の荷重受け部材13との接触点を移動させながら、位置決め部材10を押し上げながら回動させていく。このとき、位置決め部材10の連結ピン12が、リンク部材20の長穴21内を移動する。
【0027】
そして、図1に示すように、所定位置まで伸縮ロッド31が伸びると、長穴21の後方端21bに連結ピン12が接触し、シリンダ30の駆動が停止してリンク部材20のスライドが停止する。このとき、位置決め部材10は、荷重受け部材13の下面全体がリンク部材20の上面に接触することにより、リンク部材20に支持されて床面上に表出する。このようにして位置決め部材10を床上に表出させた後、位置決め部材10を利用して搬送物の位置決めを行う。
【0028】
ここで、搬送物の位置決めを行う際、位置決め部材10の傾斜面10aを滑りながら搬送物が徐々に下降していくため、位置決め部材10に対して搬送物の荷重が下向きに作用する。このとき、位置決め部材10は、荷重受け部材13を介して支持台35上に位置するリンク部材20に支持されている。そのため、位置決め部材10に作用する搬送物の荷重は、支持台35及びリンク部材20とともに荷重受け部材13によって受けられる。従って、搬送物の荷重が位置決め部材10に作用した際に、位置決め部材10が動くことなく精度良く搬送物の位置決めを行うことができる。また、搬送物の荷重により位置決め装置が破損することもない。
【0029】
一方、表出状態から格納状態にする場合には、シリンダ30を駆動して伸縮ロッド31を縮める。これにより、リンク部材20が後方(シリンダ30に近づく方向)へスライドする。そして、連結ピン12が長穴21の前方端21aに接触する。その後、さらにリンク部材20が後方へスライドすると、リンク部材20の移動に伴って、位置決め部材10が軸11を中心にして床下に引き込まれるように回動する。すなわち、リンク部材20が、上面20aから先端部20bの円弧に沿って、位置決め部材10の荷重受け部材13との接触点を移動させながら、位置決め部材10を床下に引き込みながら回動させていく。
【0030】
そして、図3に示すように、所定位置まで伸縮ロッド31が縮むと、シリンダ30の駆動が停止してリンク部材20のスライドが停止する。このとき、位置決め部材10の平坦面10bが、床面と同一面に位置するため、床面と段差無く位置決め部材10を床下に格納することができる。従って、格納状態において、床面を移動する車両の走行や作業者の通行に支障をきたすことがない。
【0031】
以上、詳細に説明したように本実施形態に係る位置決め装置1によれば、シリンダ30を駆動して伸縮ロッド31を伸縮させ、伸縮ロッド31に連結されたリンク部材20をスライドさせることにより、位置決め部材10が回動させられる。これにより、搬送物の位置決めを行う場合だけ、位置決め部材10を床面F上に表出させることができる。そして、表出状態時には、位置決め部材10は、荷重受け部材13を介して支持台35上に位置するリンク部材20に支持されている。そのため、搬送物の位置決めを行う際に、搬送物の荷重が位置決め部材に作用しても、その荷重は支持台35及びリンク部材20とともに荷重受け部材13によって受けられる。これにより、搬送物の荷重が位置決め部材10に作用しても、位置決め部材10が動くことがないので、精度良く搬送物の位置決めを行うことができる。
【0032】
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、図4に示すように、搬送車両が走行する領域に本実施形態の位置決め装置51を2つ配置し、搬送車両が走行しない領域に固定式の位置決め部材55を2つ配置している。なお、位置決め装置51の配置位置は、このような配置に限定されることはない。本実施形態の位置決め装置51は、図4図6に示すように、位置決め部材60と、回転軸70と、軸受71,72と、ピニオン75と、ラック76と、シリンダ80とを備えている。
【0033】
位置決め部材60は、表出状態時に搬送物の位置決めを行うための傾斜面(円錐面)60aを備える半円錐形状をなす部材である。なお、位置決め部材60の形状は、半円錐形状に限られることなく、搬送物の位置決めを行うことができる形状であればよい。この位置決め部材60に、吊り上げられた搬送物に設けられた係合穴(不図示)を係合させることにより、傾斜面60aに沿って搬送物の位置が調整されていき、搬送物が所定位置に載置されるようになっている。
【0034】
このような位置決め部材60は、回転軸70に固定されており、回転軸70とともに回転するようになっている。これにより、回転軸70を回転させて位置決め部材60を回転させることにより、床面から表出させる表出状態と床下に格納する格納状態とを切り替えることができるようになっている。
【0035】
回転軸70は、その両端を回転可能に軸受71,72によって支持されている。軸受71,72は、装置本体(筐体)に固定されている。つまり、回転軸70は、軸受71,72を介して装置本体(筐体)に固定されている。
【0036】
この回転軸70には、位置決め部材60と対向する位置に蓋部材61が固定されている。この蓋部材61は、板状部材であり、位置決め部材60を床下に格納したときに床面と面一に配置されるようになっている。また、回転軸70には、ピニオン75が取り付けられている。
【0037】
ピニオン75にはラック76が噛み合って配置されている。このラック76は、シリンダ80の伸縮ロッド81に連結されている。これにより、ラック76は、伸縮ロッド81の伸縮動作にしたがって前後方向(シリンダの軸方向)に移動するようになっている。このラック76の移動に伴ってピニオン75とともに回転軸70が回転するようになっている。
【0038】
シリンダ80は、伸縮ロッド81を備えており、その伸縮ロッド81を介してラック76に連結されている。これにより、シリンダ80を駆動して伸縮ロッド31を伸縮させると、ラック76が前後方向(シリンダ80の軸方向)に移動するようになっている。なお、シリンダ80は、ブラケット82を介して装置本体(筐体)に固定されている。
【0039】
次に、上記の構成を有する位置決め装置51の動作について、図5及び図7を参照しながら説明する。まず、位置決め部材60を床下に格納した格納状態について説明する。格納状態では、図7に示すように、シリンダ80の伸縮ロッド81が伸ばされており、ラック76が最もシリンダ80から離れたところに位置している。このとき、ラック76は、ほぼ中央でピニオン75と噛み合っている。そして、位置決め部材60が床下に格納され、蓋部材61が床面Fと同一面に位置している。
【0040】
このような格納状態から表出状態にする場合には、シリンダ80を駆動して伸縮ロッド81を縮める。これにより、ラック76が後方(シリンダ80に近づく方向)へ移動する。このラック76の移動に伴って、ピニオン75とともに回転軸70が回転する。そして、図5に示すように、所定位置まで伸縮ロッド81が縮むと、回転軸70が180°回転させられて、位置決め部材60が床面F上に表出する。このとき、ラック76は、端部でピニオン75と噛み合っている。このようにして位置決め部材60を床上に表出させた後、位置決め部材60(及び55)を利用して搬送物の位置決めを行う。
【0041】
ここで、搬送物の位置決めを行う際、位置決め部材60の傾斜面60aを滑りながら搬送物が徐々に下降していくため、位置決め部材60に対して搬送物の荷重が下向きに作用する。このとき、位置決め部材60は、回転軸70に固定されている。そのため、搬送物の荷重は回転軸70を介して回転軸70の両端部で軸受71,72によって受けられる。そして、軸受71,72は、装置本体(筐体)に固定されているため、搬送物の荷重が位置決め部材60に作用した際に、位置決め部材60が動くことなく精度良く搬送物の位置決めを行うことができる。また、搬送物の荷重により位置決め装置51が破損することもない。
【0042】
一方、表出状態から格納状態にする場合には、シリンダ80を駆動して伸縮ロッド81を伸ばす。これにより、ラック76が前方(シリンダ80から離れる方向)へ移動する。このラック76の移動に伴って、ピニオン75とともに回転軸70が回転する。そして、図7に示すように、所定位置まで伸縮ロッド81が伸びると、回転軸70が180°回転させられて、位置決め部材60が床下に格納されるとともに、蓋部材61が床面Fと同一面に位置する。従って、格納状態において、床面Fを移動する車両の走行や作業者の通行に支障をきたすことがない。
【0043】
以上、詳細に説明したように本実施形態に係る位置決め装置51によれば、シリンダ80を駆動して伸縮ロッド81を伸縮させ、伸縮ロッド81に連結されたラック76を移動させることにより、ピニオン75とともに回転軸70が回転して位置決め部材60が回転する。これにより、搬送物の位置決めを行う場合だけ、位置決め部材60を床面F上に表出させることができる。そして、表出状態時には、位置決め部材60は回転軸70に固定されているため、搬送物の荷重は回転軸70を介して回転軸70の両端部において装置本体(筐体)に固定されている軸受71,72によって受けられる。これにより、搬送物の荷重が位置決め部材60に作用しても、位置決め部材60が動くことがないので、精度良く搬送物の位置決めを行うことができる。
【0044】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0045】
1 位置決め装置
10 位置決め部材
10a 傾斜面
10b 平坦面
12 連結ピン
13 荷重受け部材
20 リンク部材
21 長穴
30 シリンダ
31 伸縮ロッド
35 支持台
51 位置決め装置
60 位置決め部材
60a 傾斜面
61 蓋部材
70 回転軸
71 軸受
72 軸受
75 ピニオン
76 ラック
80 シリンダ
81 伸縮ロッド
【要約】
【課題】位置決め時に必要となる場合にのみ、位置決め部材を床面上に表出させることができ、所定位置に搬送物を精度良く載置することができる搬送物の位置決め装置を提供すること。
【解決手段】位置決め装置1は、回動可能に軸支され、搬送物の位置決めを行う位置決め部材10と、位置決め部材10の連結ピン12が係合される長穴21が形成されたリンク部材20と、伸縮ロッド31を伸縮させてリンク部材20を介し位置決め部材10を回動させることにより、位置決め部材10を床面Fから表出させる表出状態と床下に格納する格納状態とを切り替えるシリンダ30と、リンク部材20の下面をスライド可能に支持する支持台35と、位置決め部材10に設けられ、位置決め部材10の前記表出状態時に、リンク部材20の上面20aに接触して、支持台35及びリンク部材20とともに、位置決め部材10に作用する搬送物の荷重を受ける荷重受け部材13とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7